現在、保存的治療の中で神経痛にダントツで最も効果があると認められているのが神経根ブロックです。よって神経痛がある人が脊椎の手術を受けるというのなら、本ブロックを行っても改善しないことが手術の必要条件となっています。
しかしながら本ブロックを行うと神経痛が改善する患者が多く、本ブロックは手術キラーでもあります。本ブロックを全国の医師が頻繁に行うようになれば全国の脊椎手術件数が大幅に減ると予想されます。実際には手術前に本ブロックを行って、痛みの改善があるかないかを検討する医師は多くありません。
しかしながら本ブロックは手技が大変難しく、末期の変形性脊椎症の患者にこれを行うことは至難のわざとなります。つまり本ブロックを精巧に的確に実行できる医師は全国に多くはいません。
未熟な医師がこれを行うと、神経根や神経根動脈を損傷するリスクが高く、しかも神経に直接針を刺してそこに造影剤や薬液を注入するのでその時の激痛は耐えられるレベルではありません。造影剤は浸透圧が高く人体には有害なものなので注入するだけで痛みや炎症を誘発します。本ブロック後にさらに痛みが強くなる患者がいますが、それはこの造影剤が関与が考えられます。
本ブロックは患者をうつぶせにした状態でレントゲン透視により皮膚から5-6cm奥にある神経根の部位に針を進めていきます。モニターでロケーションを確認しながら行いますが、普通のブロック注射とは違い造影剤を用いて神経根を確認して行うなど大掛かりで治療費も20000円近くかかる高価なものです(3割保険で6-7000円)。
私は抵抗消失法を用いて神経根の外側の隙間に注射し、神経に直接針を刺しませんから、根動脈を損傷させることも、根動脈に薬液を誤注入することもありません。また、造影剤を神経根実質内に入れることもありませんので造影剤のリスクも最小です。そして用いる造影剤は0.5cc以下であり極めて少量です。造影剤に敏感な方に対しては造影剤を使用しなくともブロックができます。
かつ私は注射の際に表面麻酔薬を用いてゆっくり時間をかけて痛みが発生しないようにブロックをしますのでほとんど痛みを生じさせません。ただし針を刺す瞬間だけはチクとします。患者はブロックを行ったことさえわからない程に痛みを感じません。つまり私は痛くなく、リスクが極めて少なくもっとも効果的な治療を提供できます。
神経根ブロックは治療効果が非常に高く神経痛に極めて有用で、これを痛くなく安全行える場合においてはこれ以上の保存的治療法が存在しない程に強力です。