日本医療の難題4 日本医療を立て直す具体策

不当に安い保険診療

「良い医療を平等に万民に」の理念はもうすでに数十年前から崩壊しています。保険点数を不当に引き下げることを続けた結果、医師が「不当に安い治療は放棄する」「料金設定が安すぎるので短時間で大量の患者に処置しようと無理をするために事故が頻繁に起こる」「薄利多売をしなければならないので患者の話を十分に聞く時間がない」「回数が制限されているので重症の患者でも追い返す」「意味がなくても検査を多く入れてマイナス分を埋め合わせする」ということが普通に起こっているからです。この結果、いくらへ段を引き下げても、全体の国の支出が低下することはかつて一度もありませんでした。


また、保険点数の不当引き下げによる医療事故件数はデータには出ません。なぜなら、注射が死ぬほど痛い、乱暴で出血した、全く効かない、話も聞かず同じ注射しかしない、などは事故件数に計上されないからです。患者を追い返すのもデータには出ません。有効な注射治療を行わず薬だけしか出さないというのもデータには出ません。よって良い医療ができなくなったのは保険点数の引き下げのせいであることは一般的には知られていません。


この質の悪い医療でしか「平等に万民に受けさせることができなくなっている」理由は治療を必要とする弱者、高齢者が増え、それに比例し国の負債が年々増えているからです。すでに「良い医療を平等に万民に」は崩壊し、「万民に均一に質の低い医療」を提供せざるを得なくなっています。この影響でお金持ちであっても質の低い医療しか受けられないのが今の日本です。原因は未曾有の超高齢化です。これ以上国家予算にしがみつくことはどのように保険点数を引き下げても無理です。無理なのですからお金のある方から治療費をいただいて国家の負債を縮小させていくしか方法は残されておりません。この人口の超高齢化は今後の数50年間のみの現象です。よってこの50年だけ医療制度を変えればよいでしょう。


しわよせは開業医に

大学病院では高度な医療が受けられ先進医療も別枠でうけることができます。資産家は教授と親しくなることで別枠の高価な治療を受けることができます。大学病院には保険の審査や制限が甘く、混合診療もある程度認められています。よって教授クラスでは保険診療の質が低下していることを認識することはほとんどありません。保険診療の質が低下しているのは、教授が診察しないような不定愁訴系の大衆病に対する治療です。つまり「開業医クラスが行う治療」の質が低下しています。人口比で8割の民の治療の質が低下しているといえるでしょう。教授が診察している2割以下の患者たちの医療の質は低下していません。


自由診療を増やさなければ国が倒産する

開業医が自由診療を積極的に行わなければ、この国の財政は近い将来破綻します。現体制のまま保険点数をどのように調整したところで医療費の抑制は無駄なのですから、なるべく早く自由診療推進の体制をとるべきです。ところが自由診療には必要経費が認められにくいという理不尽な重税制があるために自由診療を行えば行うほど利益が上がらないという仕組みになっています(詳しくはシリーズ1参)。現状では、自由診療は税制によって禁止されているのと同意となります。


逆に言うと、税制を変えるだけで自由診療が一挙に拡大します。高齢化社会が厳しくなるこの50年だけ「自由診療には8割の必要経費を認める」という特例条項を作るだけで、開業医は自由診療を好んで行うようになり、保険診療費が激減します。国が開業医から得られる税収は減りますが、国民に支払わなければならない保険料が激減するので国の利益は莫大になります。自由診療をすれば税金が安い!という餌をまきちらすだけで自由診療は格段に増えます。法律は税法を変えるだけなので国会での議決を通しやすいでしょう。


混合診療を認めず日本医療を立て直す方法

混合診療を行うことは毎年のように国会で議論され、医師会が反対し法律が改正されることがないということをくり返していますが、日本医療を改善するには混合診療を認める必要はありません。あくまで現在の医療体制のまま改善する方法があります。その方法は開業医の優遇税制を自由診療にも拡大するというとても簡単なものです。


自由診療を誰も否定していない

自由診療は現在も多くの病院でなされており、反対も否定もされておらず、また、リスクがあるから現在行われている自由診療を禁止しなければならないという意見も出ておりません。したがって現行のまま、医療系の法律を何も変えることなく自由診療に優遇税制を敷くことには医師ならば誰も反対しないでしょう。自由診療を拡大すれば日本の医療財政は極めて健全になり、景気も回復します。来る高齢化社会で財政難に悩む日本にとっては渡りに船です。


現在、自由診療には重税が課せられています(おそらく違法と言えるレベル)。それは自由診療の必要経費が「ほとんど認められない」からです。日本では保険診療の収入には優遇税制が認められているだけに、自由診療にかかっている人件費の多く保険診療側の経費として計算されます。もしも自由診療で得た利益の80%を必要経費と認めるという措置税法改正を行えば、開業医たちは保険診療よりも自由診療を行いたいという意識変革をするため、保険診療が減り、自由診療が増えます。


保険診療のデメリット

シリーズ2では保険診療のデメリットを申し上げました。ネットで検索してもわかるように保険診療のデメリットについて述べている論文をほとんど見かけません。つまり一般の方々や医療従事者の方々は保険診療にはデメリットがないとでも思っておられるか、水面下に言論統制されているようです。


そこでシリーズ2では、保険診療では保険側がどれほど不当な支払い拒否をしているかについて述べさせていただきました。保険診療はそれ自体が共産主義医療であり、官僚や教授が強い権力を握っていて(中央集権)、彼らの機嫌を損ねるとそのさじ加減で保険点数を改正され、経営がいきなり赤字転落することもあり得ます。それほど、官僚に医療制度の権力が集中していることを述べました。よって保険審査が不当であると感じていても誰も抗議でしない状態であると言えます。中央の権力が強すぎるからです。


この権力集中こそが大きなデメリットであり、臨床現場にいない彼らが教授と結託して不適切な料金設定をしている状況を生みます。そして改正結果に誰もがおとなしく従うのですから、日本の医療が共産主義体制であることがわかります。共産主義体制では苦痛に困った患者の姿を考えることもなく、ただただ数字で制限を行いますから必要な治療さえ受けられないというデメリットが生じます。


カルテ虚偽記載に甘い理由

おもしろいことに、保険診療では容赦ない支払い拒否が行われていますが、その支払い拒否を回避しつつ患者に治療する際に必須となるカルテの虚偽記載については、今のところ監査が極めて甘いと言えます。その理由は、保険の審査が不当に厳しいことを審査している側も認識しているからです。例えば、採血検査などは実際に病気にかかっている人にしか認めないという姿勢ですので、肝機能を調べたいのなら肝炎という虚偽の病名をつけなければなりません。つまり「病気になっている人にしか検査料金を払わない」というのが保険側の不当な制限であることを審査員も認識しています。よってカルテ虚偽記載については甘くせざるを得ません。もし、虚偽記載を罰すると、保険医全員が罰されることになります。ここがミソです。本気になれば厚生省は保険医全員の資格を剥奪することさえできます。保険医は全員がカルテの虚偽記載をかならず行っているからです。どんな開業医でさえ本気で監査されれば必ずボロが出ます。そのことを開業医側も知っています。保険側が不当な支払い拒否をしても誰も抗議しない理由がここにあります。全ての開業医が不当に制限された治療を回避して患者に施すために、カルテに虚偽記載をするという実態があるからです。虚偽を記載しない限り赤字に転落する状況に陥っているのです。特に検査で生計を立てている開業医は検査をする度に虚偽の病名をつけることになります。よって監査側ににらまれればいつでも廃業に追い込まれます。そうした脅迫観念により医療の共産主義が成り立っています。なぜ医師たち全員が官僚のいいなりになっているかのシステムが理解できます。


自由診療に優遇経費を認める新税法が敷かれると

自由診療に重税がかかる(自由診療に経費が認められにくい)ことで自由診療が拡張できないというのが開業医の苦悩ですが、自由診療にも7~8割の経費を領収証がなくても認めるという新たな税法が制定されるとどうなるでしょう。ほぼ間違いなく開業医の反乱が起こります。自由診療を行えば、経営が黒字になり、保険審査の支払い拒否にびくびく怯えなくても済み、かつ治療制限をしなくてすむからです。保険医は大学教授以外、誰もが保険側の審査に怯えていたわけですが、その呪縛から自由になります。なにせ、医師たちがもっとも嫌がることはカルテの虚偽記載であり、これが彼らの良心を咎めていました。自由診療に必要経費が認められるようになれば、カルテに虚偽を記載する必要なく、正々堂々と正義感を貫いて医者をやっていけるのです。虚偽記載を逆手に取られて脅される心配がなくなるのと同時に、そうやって脅しをかけて自分たちを管理下に置いていた厚生労働省への積年の恨みを晴らすことができます。


さて、混合診療を認めることができない真の理由は、これを認めて自由化させてしまうと、積年の恨みが爆発して医師を統制できなくなることにあると思われます。混合治療に反対の立場をとる日本医師会の真意は不明ですが、おもしろいことに、混合診療は禁止という法律を変えることなく、自由診療に優遇税制を敷くというだけで、彼らの白い巨塔を崩すことができるのです。国会議員の方はこのことを認識しておいてください。国のために尽くしたいのなら、優遇税制の改定をすることです。医師を優遇するのですから医師会が反対する理由はありません。医師を優遇する税制改正なので医師会は文句を言わせず、さらに国家財政が健全化するのですから誰が反対できるでしょう? そして国家予算の3分の1を占める医療財源を事実上支配している厚生労働省の官僚たちと、大学教授を頂点とする支配体制をぎゃふんと言わせることができるのですから、国会議員にとってこれほど血がたぎる快感はないと思います。


医師たちが教授に逆らわない理由

医師たちは大学病院に所属すると、教授を筆頭にピラミッド型の主従関係を強制させられます。その理由は大学職員の人事権が教授に与えられているからです。労働基準法は厚生労働省が定めている法律であり、会社の経営者は社員を無闇に解雇することが禁じられていますが、この法律は大学病院でのみ「治外法権」なのです。つまり、医療系大学の職員は教授の一存で常に解雇させられます。教授に絶対服従を強いられているわけで、これが日本医療界の主従関係を構築しています。


教授になるためには東大卒が条件であることが多く、東京大学医学部卒業生は野心さえ持てば教授職につくことがたやすいと言えるでしょう。医学部の白い巨塔の世界は東京大学が作り上げている支配の世界とも言え、また、厚生労働省の高官たちも東大卒で占められており、教授と高官の両者が東大卒という縁で手を組み、医師界の封建システムを構築していると言ってもよいでしょう。


大学病院は地域の病院とも提携しており、若い医師たちを教授の采配で、周囲の関連病院に派遣させることを行っています。つまり教授が周囲の病院に対しても人事権を行使することができます。教授が少しでも機嫌を損ねれば、派遣を中止することができるので周囲の関連病院もまた教授のご機嫌取りをしなければなりません。地方の病院は医師不足に常に悩んでおり、医師がいなくなれば経営が傾きます。よって地方の個人病院もまた教授に主従関係を強制されています。


これは芸能プロダクションと同じような仕組みといえます。芸能プロに逆らった俳優は、他のプロダクションに所属しても、テレビ番組には出られなくなります。それは「あいつを、テレビに出演させたら、うちの人気タレント全員をあなたのテレビ局には出させません」という圧力をかけることができるからです。教授は周囲の関連病院の人事権さえ握っていますから、教授に逆らって辞めた医師は、周囲の病院全てに「就職禁止令」を出すことができます。ですから、教授に逆らうことは「教授の息のかかっていない病院を自ら探さなければならない」ことになるため、なかなか逆らうことができません。医師の世界が白い巨塔と呼ばれる理由は、労働基準法で禁止されているはずの解雇権が教授に与えられているからなのです。


一昔前は「医師の派遣業」が認められていなかったため、教授に逆らって辞めた医師は、再就職先を探すことが非常に困難でした。よって教授の支配力も莫大だったわけですが、さすがに、時代の流れには逆らえず、厚生労働省も「医師の派遣業」を認めるしかありませんでした。医師派遣業解禁となった現在、教授の権力はかなり低下しました。つまり教授に逆らっても自分で再就職先を探せます。白い巨塔が少しずつ崩れてきています。


しかしながら、大学病院に所属している間は、どんな理不尽な命令にも絶対服従をさせられるのが医局員の勤めであることは今も変わりありません。こうした人事権の強権に長い期間服従している医師は、教授に飼いならされてしまい、犬のように動くようになってしまいます。ですから、ミスは隠蔽、汚れ仕事は医局員、データ改ざん、カルテ偽装などが普通に行われるのです。厚生省が労働省と一体化した理由は、まさに労働基準法が関連しているのではないかと勘ぐってしまいます。厚生省の行う医師支配制度が労働省によって崩される恐れがあったからです。逆に言うと、厚生省と労働省を一体化させてまで、医師の封建制度を死守したがっているのかもしれません。


教授が治せないものを開業医が治してはいけない

私は大学病院で治せない症状・疾患を治療することを専門としている医師です。しかし、教授たる者が「あなたの病気は治りません」と宣言した患者を一般開業医が治せてしまうと教授の面子は丸つぶれです。教授は医療の頂点であり、教授が治せないものを他の一版医師が治せることは「あってはならない」ことです。私はその「あってはならない面子をつぶす」ような治療を長年やってきました。学会からも、病院からも、大学からも政治的な圧力を受けない職場を転々として治療法を開発してきました。


自由診療を行っている医師は、実際には大学病院の教授が治せないものまで治せる技術があるからこそ、自費で治療費を患者からもらうことができるわけです。では、自由診療が拡大して行くとして、それが何を意味するか? 大学病院の教授が治せない病気を一般の開業医がどんどん治していき、教授を、医学界を、愚弄することを意味します。


普通では治らないから大学病院に行くというのに、一般開業医がそれらを治してしまえるチャンスが格段に増えて行くことを意味します。それは教授の権威を弱め、医学自体がまだまだ発展途上であることを露見します。そして教授を頂点とする医師の服従制度が崩れることを意味します。また、学会を頂点とする医師の支配力も弱まります。江戸時代の身分制度が明治時代に崩壊したようなものです。自由診療の拡大は、間違いなく、教授を頂点とする封建制度、つまり学会制度さえも破壊する威力があります。


自由診療が国政に与える影響力

H25年の厚生労働省の調査によると、全国の歯科を除いた医療施設は109068施設で、うち、「病院」は 8540施設7.8%、「一般診療所」は100528施設で92.2%です。措置法26条は収入が5000万円以下に適用されるので病院には適用されませんが、一般診療所(92.2%)の大部分に適用されると思われます。よって措置法26条がいかに日本の医療形態に重要な役割をしているかということがわかります。


税法を改正し、措置法26条に50年間の期間限定で自由診療にも適用すれば一気に自由診療が広まります。さらに自由診療を行った方が、保険診療を行うよりも税金が少なくて済むようにすれば保険診療の割合が激減するでしょう。上記のように一般診療所の数は92.2%ですので、自由診療の拡大は、措置法の条項を改正するのみで全国に広がり、国家財政に莫大な黒字をもたらします。自由診療では手に技術を持つ医師が圧倒的に有利となりますから医師たちは新しい技術の習得に奔走するようになるでしょう。


厚生労働省に対する開業医の不満が爆発する

現在、医師には労働基準法が適用されることがなく、不当解雇は教授の特権として認められています。8時間以上勤務に対しても法的な抑止力はゼロです。そして保険点数は厚生労働省によって安値で管理されていて、倒産する開業医も増えてきました。それでも医師たちが厚生労働省官僚たちに逆らわなかったのは、大学病院と学会と官僚を中心とした白い巨塔があり、これに逆らうと不利益を被る仕組み(恐怖)があったからです。


自由診療が優遇されると、厚生労働省の不当な押さえつけに逆らう開業医が激増します。なぜなら、保険側は「保険医資格の剥奪と保険請求の支払い」を盾にして開業医の反乱を防いでいたわけですが、自由診療が優遇されれば、保険医の資格を剥奪されても自由診療のみで自立して営業が可能になるからです。保険側が不当に安い保険点数を制定してきたら、それを無視して自由診療に切り替えればいいわけですから。誰も保険側(国側)に従わなくなります。これはすなわち、学会にも教授にも逆らう医師が増加することを意味し、白い巨塔の崩壊を意味します。


逆に言うと、学会に逆らわなければ自由診療はできません。そもそも自由診療は学会の定める治療方針で治らない患者を治すための診療だからです。学会の定める診療ガイドライン通りに治療するのであれば、自由診療にしたところで治りませんので患者が治療費を支払ってくれないでしょう。つまり、学会推奨の治療をする開業医は「自由診療ができない」医師です。


ほとんどの開業医は国が定める(学会が定める)治療では、患者の症状が改善されないことを認識しています。そして、そういう患者を治してあげようと立ち上がる医師たちは、当然ながら学会にも国にも大学にも逆らって反旗をひるがえすわけです。まさに、医師たちを管理する側(国や学会や教授)がもっとも恐れているのはこうした開業医の反乱なのです。彼らは医師の支配体制が崩壊することをもっとも恐れており、逆に言うと、医師の支配体制を維持するためだけに、巨額の保険料を国が支払い、そして財政赤字を作っているわけです。いったい何のために国がこれほどの財政赤字を抱えなければならないのか? 真意を知ってほしいところです。それは国のお金で医師を管理するためです。患者のお金で医師が動く場合、治療は患者本意になりますが、国のお金で医師が動く場合、医師は患者の意志よりも国の意志を尊重します。よって開業医は国側に逆らわなかったわけです。自由診療が優遇されると、そうした医師の支配体制が崩壊します。


大衆医療が発展する

一生に一度しかかからないような大病や難病は大きな病院や大学病院が受け持ちます。そしてかぜ、腹痛、下痢、自律神経失調、腰痛、筋肉痛、神経痛、腱鞘炎、耳鳴り、難聴、ふらつき、鼻炎、高血圧、糖尿病など、これまで「薬で抑えてきたが、治すことができなかった」大衆の病気に対する治療は一般診療上が中心であり、ここで自由診療で発達します。マッサージや整体なども診療所がどんどん取り入れるはずです。医師も鍼灸を学ぶ人が多くなるかもしれません。税制で有利になるのでどの科の開業医も不定愁訴を治せる治療法をこぞって身につけようとするでしょう。


大衆に対する自由診療が増えた分だけ保険診療が減るので、財政赤字は一挙に改善されるでしょう。自由診療で法外な値段を請求する医師が出現するかもしれないと思うかもしれませんが、そのような医師は自由競争の中では真っ先に淘汰されるので心配要りません。


労働基準法が医師には適用されない

大学病院の医局員は教授の一存でいつでも首にすることができ、失業保険もありません。さらに大学病院の関連病院にも就職させないといういやがらせも可能であり、大学教授のこうした人事権、特権は日本国憲法の定める基本的人権の尊重を超えています。また、医師には労働時間の制限はなく、48時間連続勤務をさせられ、体を壊しても訴える先がありません。医学界では労働基準法の治外法権が認められており、基本的人権の尊重は無視されます。こうした中で医局員は常に首を切られる恐怖政治におびえながら、教授の犬となります。


教授の強権におびえながらも、お金を蓄え、やっと開業したあかつきには、今度は保険制度に束縛されることになります。保険制度の料金改正により、倒産させられる恐怖におびえなければならないからです。医師は大学を離れても保険医という呪縛から逃れることができません。保険医の呪縛から逃れるためには自由診療を行うしかありませんが、自由診療では優遇税制が受けられないという呪縛が待ち受けていて、自由診療に切り替えることがなかなかできません。保険診療と自由診療の混合が認められれば、保険で足らない部分は患者に自費で請求できるため、保険制度がどう変化していこうと自由に対応できるようになります。つまり、混合診療が認められれば、保険側(厚生労働省側)からの不当な支払い拒否の呪縛から逃れることができます。


現在、開業医たちが、保険制度の不当な料金引き下げに誰も抗議しないか?というと、保険制度から逃れることができない税制になっているからなのです。保険診療は報酬が安いが、税制で優遇されている分で充当されていると考えてよいでしょう。この充当が、アメであり、安い報酬がムチとなっていて、アメがほしけりゃムチを黙って受けなさい、というのが今の日本の医療体制となっています。


学会がそこに一枚かんでいて、学会公認の専門医にならなければ、保険で支払い拒否にしようとする動きもあります。保険(厚生労働省)、大学、学会は三位一体となって医師を支配する封建制度を構築しています。この強権に逆らう医師はこれまで一人もいなかったわけです。この強権のおかげで、医師の基本的人権の尊重は無視され、労働基準法も適用されない治外法権的な世界を作っているのが日本の医学界です。


自由診療、混合診療が認められれば、厚生労働省のガイドライン通りに治療しない医師が大勢出現し、学会が定めるガイドラインは形骸化します。保険外治療が増えるということはガイドラインが万人に通用しないことを暴露されるようなものだからです。学会のガイドラインが形骸化することは大学教授が支配する白い巨塔の強権と、厚生労働省の権威が崩れることを意味します。つまり、教授や官僚が医師を犬のように取り扱うことができなくなるわけです。


一般の医師は教授の駒にすぎません。そうした駒から逃れる道が保険外診療であると言えます。混合診療がなぜこれほどかたくなに拒絶されているのか? その理由は「教授・官僚が医師を支配する体制が崩壊する」からであると推測します。私は常に教授・官僚の強権の及ばないところで密かに非常勤を続け、そして自分の診療スタイルを見つけ、自分の治療法を数々発見してまいりました。保険外診療が公式に認められれば、私のような医師がどんどん増えることを意味します。


逆に言えば、教授の強権の及ばない場所で切磋琢磨すると、いろんな病気を治せるようになることを意味しています。すなわち、医師を支配する封建制度が医師の個人個人の研究を阻止し、「教授しか新たな治療を創造できない世界」を作っていることを意味しています。一般の医師に新たな治療法を編み出されることは教授たちや学会は許しません。


自由診療が拡大すれば、封建制度が崩れます。崩さなければ、日本の財政難と超高齢化社会問題を解決できません。この封建制度を死守したがっているのは東大卒の勢力です。東大が日本の医療界を牛耳るシステムがこの国の医療財政を危機に陥れているといえます。もちろん、それが悪いとばかりは言えません。医師を支配することで医師の教育レベルを一定水準以上にたもつことができるでしょう。しかし、その一方で秀でた才能を開花させることを阻み、出る杭が打たれ、自由な治療が阻止され、大衆が困っています。みなさまの力で、どうかこの国を救ってあげてください。

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