症例内訳
精神疾患19例中
パニック障害6例 うつ病4例 不眠症3例 不安神経症2例強迫神経症・心身症・閉所恐怖症・ナルコレプシー各1例
このうちパニック障害の1例は1回の治療で中断。これを除いた18例の治療成績。
治療回数は1例あたり平均11.3回。
治療成績
全治3例 著効10例 改善4例 悪化1例全治は8割以上の改善感が継続している、著効は5割以上の改善感、改善はそれ以下の改善としている。具体的な判定基準を用いず、患者への聞き取り調査で判定している。
考察
当院での治療は内服薬を一切使用せず上頚神経節ブロックで行う。現在服薬している向精神薬を離脱させることが最終目的としている。大半が減薬に成功していることと、減薬しているにもかかわらず症状が軽快していることから、根本治療に成功していると判断している。精神科疾患は一般的に「治らないもので一生薬で抑えなければならない」と考えられているだけに、それを覆しての根治療法なだけに、奇蹟的な実績と言える。ただし、症例は日常的な精神ストレスを常に受けており、治療をしても再燃する傾向がある。平均治療回数が11.3回と多いのはそのためである。当院はブロック注射という侵襲性のある治療を行い、かつ予約料金も発生するため、「効果がない」と感じれば患者は来院しなくなる。しかしながら、このように繰り返し来院し、治療成果が上がっていることは、すなわち効果がある信用性の証と私たちは判断している。
精神疾患はこれまで内服薬が治療の主流であっただけに、根治を目指す私たちの治療法は今後注目されると思われる。
副作用は基本的に見られないが、ブロック後にリバウンドがほぼ全例に発生する。リバウンドとは一時的な症状の増加であり、その強さ、継続期間に個人差があるが、たいてい翌日から数日以内の継続の後、症状が軽快するという経過をたどる。悪化の1例はリバウンドが強すぎたために治療を断念した。リバウンドは服薬による体質変化と密接な関係があると思われ、予測が不可能である。
精神疾患は内服薬が不要になった時点で完治と言えるが、薬物離脱を行うと禁断症状がほぼ全員に出現するため、離脱は極めて困難な道である。ヘザー・アシュトン博士がベンゾジアゼピン系薬物離脱のマニュアルを作成し、離脱の方法を模索しているが現実は極めて厳しいと言わざるを得ない。次に薬物離脱症状の治療成績を報告する。