ALS(筋委縮性側索硬化症)の治療成績(2017)

ALS

2017年新患23例+継続症例3例(12月から1月に来院した)=全26例
  • そのうちALS確定9例 未確定17例、治療1-2回で中断した4症例を除外し、
全22例 そのうちALS確定7例 未確定15例の調査

治療成績

ALS確定診断のついている8例の治療状況
  • 症例1)上肢の脱力が3割軽減するが3日で再燃 遠距離のため14回であきらめる
  • 症例2)呼吸筋・上肢下肢の脱力が10日以上回復。治療を休むと悪化。継続通院。
  • 症例3)治療で歩行能力が改善を実感。その後上頚神経節ブロックができる施設に転医。
  • 症例4)ブロック後呼吸が楽になるが筋力の回復は実感できず4回で中止(遠距離のため)。
  • 症例5)ブロック後呂律が回ることを実感も筋力回復は実感できず2回で中止(遠距離)。
  • 症例6)呂律改善・呼吸機能検査で改善、上肢の筋力低下はわずかに進行(遠距離だが通院)。
  • 症例7)中国・南京から来院、1度トライしたのみ。結果?
  • 症例8)呂律が回らないことが主訴。治療7回改善なし(遠距離のため中止)。

考察

症例2と6は明らかに治療効果が出ている。中断すると症状が進行することを経験しているので、治療と効果の因果関係が2と6に明確に出ている。それでも症状の進行がわずかにある。
8例中6例はブロックの効果を実感しているが結局治療回数が不十分なために右肩上がりに改善させることが困難と感じる。
突発性難聴の患者でさえ1日2回のブロックを2週間連続で行うというのに、命がかかっているALSという疾患で、数回のブロックで効果を判定しようとする愚かさに私は嘆く。命に後がないのだから患者には治療に最善を尽くしてほしいと指導しているが、当院の治療に全てを賭けるということができない症例が多い。「他に有効な方法がないのだから私たちの治療に賭けるしかない」と述べてもやはり大学病院の治療に賭けたいのだろう。
次に確定診断のついていないALS(ALS前段階?)症状の治療経過を報告する。確定診断はついていないがALSと同様な症状(球麻痺・四肢の筋力低下・線維束攣縮・腱反射亢進)を持つ症例への上頚神経節ブロックの治療成績を示す。

ALS様症状症例15例の症例検討

全治1例 著効3例 改善5例 やや改善1例 無効2例 治療1回で中断3例
中断3例の内訳は注射恐怖症1例、試し1例、他医紹介1例
中断3例を除外した12例の治療成績(有効率)は10/12(83.3%)

考察

球麻痺・四肢の筋力低下・線維束攣縮・腱反射亢進などの症状があるにもかかわらずALSと確定診断が下されない症例は治療法も診断名もないため患者は路頭に迷う。当院はそうした原因不明のALS様の病気に83.3%という有効率を出しており、現医学の常識では考えられない成果を出している。
診断名がつけられない時点で、これらを学会発表しても同意を得られない。が、現代医学で治すことのできないALS様症状に83.3%という驚くべき有効率を得ていることを軽視しないでほしい。
著効・改善・無効などの明確な判定基準は本症例には設けず、患者の10段階評価という主観での判定である。そのため効果判定の信用度は低い。が、それが治療成功を否定するものではない。