新概念「自己虐待症候群(Power Harassment For Yourself Syndrome)」について
<はじめに> 自己虐待症候群とは日常生活において繰り返し自分の体を酷使し、医師が治療を行ってもそれ以上に患者が自ら症状を悪化させることにより、改善することなく慢性的に症状が進行していく病態と定義したものです。 超高齢化社会の到来とともに、高齢者の労働人口が増加し、軽作業でも体の酷使となってしまうことにより自己虐待症候群という病態を定義しなければならなくなりました。 自己虐待症候群はその名の通り、自己にたいする執拗な攻撃を、耐え難い症状が出現しているにもかかわらずやめないことから生じる病態であり、患者の人格障害が根底に存在します。また、人格障害は病識の欠如を招き、医師の指導にも従わないことから医療現場では大変な混乱を引き起こします。 超高齢化社会では運動器の破壊により要介護状態になる割合が高く、要介護自体が家族の人生を苦しめ、国家の経済を圧迫し容認できない状況にあるので自己虐待症候群はもはや本人だけの人格問題では済まされません。 医療サイドとしては自分の体を虐待することをある程度の強制力をもって修正させていく必要があると思われます。したがって、この病気の概念を皆で共有する必要があると思われ、ここに定義させていただきました。<症例 83歳 男性> 大企業を一代で築き上げ現在会長職に就任しており、83歳という高齢ではあるが海外出張などもしている。普段、乗用車による長距離の移動を繰り返している。2か月前に会社の引っ越し作業以来腰痛が強くなる。また、ゴルフのラウンド時に足に力が入りにくくなるという訴えで当科外来初診(詳しくはpdf file自己虐待症候群)。