はじめに
高齢に伴い椎間板が崩壊し、椎間が狭小化すると椎間関節が強く重なり合うようになります。重なり合いぶつかり合う椎間関節はやがて変形し、椎間孔をふさぐようになります。 一方、高齢化とともに猫背になり、腰椎は前屈(後弯化)しますが、この猫背のおかげで椎間関節の強い重なり合いが解除され、椎間孔が狭くなることを防いでいます。ところが、高齢者が姿勢よく歩こうとすると(猫背を無理に正そうとすると)椎間孔がせまくなり神経根を損傷し、重篤な神経根症を起こします。 このように高齢者が腰椎前弯を保持しようとすることで神経根を圧迫し損傷させてしまう病態を「高齢者腰椎前弯症候群」と名付けました。わざわざこのように名づける理由は、姿勢よくしよう、姿勢よく歩こうとすることが病状を悪化させるという逆説的な疾患であるだけにこの病態を知らないでいると、「腰に、健康に気遣うほど歩けなくなり」本人も家族もたいへん不幸になるからです。
姿勢をよくすることが病気を悪化させるこの病態を、いち早く多くの高齢者に知識として広げるためにここに高齢者前弯症候群という新たな病名を命名し、この病態概念について記載することにします。もっと読む(pdf file高齢者腰椎前弯症候群)