はじめに
当院では上頚神経節ブロックを用いて突発性難聴の治療においてこの数年で比類なき治療成績を挙げた(2016年成績、2017年成績参)。しかしながら上頚神経節ブロックにも限界があり、完全に死滅した神経細胞を短期間で再生させることは無理である。よって治療は一定期間の後、必ず改善効果が頭落ちとなり、後遺症となる。ところが、2017年10月中旬より密教のご加持を上頚神経節ブロックと併用し、難聴治療を開始したところ症状固定の時期を超えて回復するという奇蹟を経験した。これはまさに神経細胞の再生が起こっているとしか考えようがない。これまでの上頚神経節ブロック単独治療ではこのように改善し続ける例は1例もなかったことから、症状固定時期を超えて改善し続けるのは「ご加持による神経細胞再生が起こっている」と結論付けた。ここにその実例を挙げる。
症例1 21歳男性
10/13発症の右耳突発性難聴。外来通院・大学病院での精査・鍼灸治療などを行うが全く改善が見られないため12/2に当院初診。すでに発症から1.5か月経過しており一般的には症状固定の時期であった。治療月間 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 |
治療頻度・割合 | 3.75日に1回 | 6日に1回 | 5日に1回 | 5日に1回 |
結果
12月から1月にかけて順調な改善が見られた。しかし1月から2月にかけては高音域が改善するが低音域は悪化するというシーソー現象が起こる。しかし2月から3月にかけては治療3か月目から4か月目というゴールデンアワーを大幅に過ぎた(発症から6か月)時期であるにもかかわらず全体的な改善を認めた。症例2 44歳 女性
10/15に左耳突発性難聴発症。入院治療の甲斐なく11/1時点で全域スケールアウトで全く何も聞こえない状態で退院。10/20に某大学病院に転院し高圧酸素療法、鼓室内注射などを受けるが改善しない。10/30に当院初診。ご加持と上頚神経節ブロックによる治療を開始。治療月間 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 |
治療頻度・割合 | 1日1回 | 2.5日に1回 | 7.5日に1回 | 10日に1回 | 10日に1回 | 0回 |
結果
10月・11月は数日に1回という高頻度で治療を行い、ようやく11/10に8KHzがスケールアウトを脱出。その後は仕事復帰したため治療頻度が減り、7~10日に1回という少ない頻度で治療。それでも少しずつではあるが徐々に中音域が改善する。しかしながら2月から3月にかけて治療回数は減り、3/9の時点で改善傾向は頭落ちとなった。症例3 58歳 男性
9/6発症の左突発性難聴。9/6に発症の左耳突発性難聴。9/8から9/15まで入院加療。全域スケールアウトで全く何も聞こえない状態であったが、入院治療を行いわずかに改善。9/26当院初診。治療月間 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 |
治療頻度・割合 | 2日1回 | 4日に1回 | 7日に1回 | 7日に1回 | 10日に1回 | 15日に1回 |
結果
発症から3か月経過の時点(治療開始1.5か月)で12/7の状態まで回復。その後も聴力は回復を続け4か月の時点(治療開始2.5か月)が1/18。低・高音の低下はあるものの、それを補う以上に中音が著しく改善している。考察
これまでも突発性難聴が症状固定した状態から治療を開始し、上頚神経節ブロックで改善させたという実績はある。しかしながら、治療が1か月を超えると頭落ちとなりそれ以上の改善が認められない例がほとんどであった。2か月以上の治療で今回のように改善し続けるのは極めて珍しい。ただし、治療効果が頭落ちになる理由は時期的な理由だけではない。改善させるためには1か月に5回以上の治療頻度が当然と思われるが(5回でも少ないくらいである)、5回以上の頻度で来院し続けたのは症例1だけであり、症例2・症例3は高頻度で来院したのは約1か月である。
1か月に5回以上の来院頻度を守った症例1は治療を行った3.5カ月間、聴力が改善し続けた。逆に言うと、症例2で改善が頭落ちになったのは「十分な治療回数を確保しなかった」ためと思われた。
もしこの推測が正しければ「十分な治療回数を確保し続ければ、聴力が改善し続ける」可能性がある。こうした聴力改善の可能性はこれまでの耳鼻科学会の常識を完全に覆すものであり大変衝撃的な命題である。
上頚神経節ブロック単独の治療では治療が1か月を経過すると効果が必ず頭落ちとなっていた。頭落ちの原因は「仮死細胞を改善させることはできても壊死細胞を再生させることができない」ことが理由であると推測する。おそらく上頚神経節ブロックは仮死状態の神経細胞を正常な状態に戻す力が極めて高い。しかしながら壊死した神経細胞を再生させることは不可能である。ブロック治療により全ての仮死細胞が正常化させたとしても、壊死した細胞はそのままなので後遺症をもたらす。だからどんなに優れた治療を行ったとしても改善効果は約1か月で必ず頭落ちとなる。一度頭落ちとなるとその後に上頚神経節ブロックを続けたとしても今以上改善することはない。
ところがご加持治療を併用すると、治療の頭落ちの時期を超えても1次関数的に改善し続ける例が出現し始めた。これはまさに「細胞再生」が起っていると考えざるを得ない。すなわち、ご加持には神経細胞を再生させる効力があり、しかも再生スピードも既存の医学理論を超えている可能性がある。
この現象は今後の医学治療の概念を大きく変える可能性がある。壊死した細胞を再生させることが可能であれば、脊髄損傷や脳梗塞後の片麻痺、認知症、失明、味覚・嗅覚障害などにも応用が利く。神経細胞が死滅し、半身不随になっている障害者にも希望を与えられるかもしれない。
ご加持治療の壁
今回のご加持の研究も、「ご加持単独」で行っていないためその効果は上頚神経節ブロックとオーバーラップし、どこまでがご加持の効力なのかを判定できない。さらに、長期経過の患者では治療回数が減少し、社会復帰を行っているため外界からの悪影響がマイナス要因として増加。この二つの悪い影響のため1次関数的に右肩上がりになるのは理論上無理に近い。本来ならばこの手の研究は長期間、同じ条件(治療頻度が同じ、社会環境が同じ)であって初めて効果判定ができるものである。どんなに素晴らしい治療を行ったところで、悪影響分の効果低下があるため右肩上がりに改善を望むことはできない。今回の3症例では、こうしたハンディがある中でご加持治療併用で1次関数的に長期改善が継続していることを考えてほしい。少しずつしか改善していないが、「少しずつ改善することが奇蹟」であることがわかるだろう。
また、ご加持治療の欠点として受け手(患者)側の感受性がある。感受性が低い場合は効果も低くなる可能性がある。感受性を高めるためには、阻害している原因をつきとめる必要があるが、それがスピリチュアルな問題である場合、根が深すぎて対処できないこともある。
ご加持は、特殊な波動治療であると思われるが治療原理は全く謎である。謎だから認めないというのであれば「勝手にしなさい」である。