慢性疲労の治療成績(2017)

慢性疲労症候群は身体を動かせないほどの疲労が6か月以上の長期間にわたって続き、日常生活に支障をきたすほどになる病気と定義されておりウイルスの先行感染が疑われたものという医学上の定義が広まっている。しかし、実際にはウイルス感染の先行がなくても慢性疲労は起こりうると私は考えている。当院の症例には6か月未満の症例や、ウイルス感染を疑わせない症例も含まれるため、慢性疲労症候群とは呼ばず、ここでは慢性疲労にとどめた。慢性疲労に対して現医学では治療法がなく、漢方薬やカウンセリングなどが試みられているのみである。

全5例 うち1例は1回中断

1例は頭重感と伴い、1例は睡眠障害を伴い、1例は腰痛・過活動性膀胱を伴う

治療成績

著効3例 無効1例 中断1例

著効:症状が5割以下になった状態が2週以上継続。

考察

腰痛・過活動性膀胱を伴った症例は治療抵抗性が高く無効だった。
1例の中断を無効と考えた場合、有効率は3/5(60.0%)とまずまずの治療成績であり、慢性疲労?慢性疲労症候群?に上頚神経節ブロックは有効である。
しかも有効例は改善ではなく著効(五割以上の改善が2週間以上続く)なので本治療が唯一の根本治療になりうると考える。
ALSや重症筋無力症の初期でも同様の症状がみられることがあるためこれらの疾患の初期と本症の厳密な鑑別はつかない。が、それらを含めても疲労(筋力低下)という状態に上頚神経節ブロックは有効と考える。