成長痛の仮説
成長痛の原因は、その一つに軸策反射があると推測している。軸策反射とは痛みを感じ取った末梢神経が、その支配領域の別の場所にも痛みや炎症を引き起こす現象である。 通常、軸策反射は末梢神経が健常な状態では起こらないと思われる。後根神経節(以下DRG)炎や脊髄後角炎などが存在する場合に、そのような反射が起こりやすくなると推測している。 すなわち、成長痛を訴える子供はDRGや脊髄後角に炎症が起こりやすいような状況を秘めていると思われる。つまり、脊柱管が成長し身長が伸びているにもかかわらず、脊髄や末梢神経の成長が追い付いておらず、神経線維が過度に引っ張られていると予想する。そうした神経の過緊張という土台があるため、刺激伝導系が損傷を起こし、そこに軸策反射などの中枢感作が起こるのだろう。よって、大人になって神経が十分に成長した後には成長痛が起こりにくいと思われる(ただしストレート仙骨などの破格があると成人した後も馬尾が損傷を起こしやすい・これは現在研究中の課題である)。
さらに付け加えると、軸策反射が生まれつき過敏に出やすい人とそうでない人が存在するという説、後天的に化学物質や電磁波などが影響して症状が過敏に出やすくなるなどの説である。つまり過敏性軸策反射症という病態があるのかもしれない。ただ、こういう説を次々と生み出すアメリカの基礎医学者たち(線維筋痛症学会)を私は信用していない。しかも彼らは常に断定的で自分たちの理論が唯一正しいとしている。それをうのみにして自分が考えた意見のように吹聴する日本の医学者がいることに私は困惑している。
このような推論の元、私は現在、成長期の子供たちの脊椎と脊髄の過緊張状態を綿密に調査研究を進めている。そう遠くない将来に、脊髄、神経根などが過度の張力で炎症を起こす(ヘルニアなどがなくても炎症を起こす)システムを明らかにさせる予定である。そうなると成長痛の正体はよりクリアになってくるだろう(この症例について詳細は(pdf file成長痛と思われる症例報告)。