慢性疲労症候群への硬膜外ブロックの活用

はじめに

慢性疲労症候群は原因不明の疲労感が6か月以上継続するものと定義されています。患者が訴える症状としては身体および思考力の両方の激しい疲労と、日常生活の著しい阻害ですが、病理的に本疾患の本態が証明されていないものです。ウイルス感染後疲労症候群とも呼ばれウイルス感染後に自己抗体が活性化され脳・脊髄の神経細胞などが炎症を起こしていると推測されています。これまで四肢の脱力を主訴とする疾患はそのほとんどが「原因不明、心因性のヒステリー」などと言われ、診断さえつけてもらえませんでした。よってこのような病気の概念が近年提唱されはじめたことに対して一定の評価をしたいと思っています。評価はするものの、慢性疲労症候群の定義から除外されてしまう「似たような病気を持つ患者」も大勢出現してしまうことが残念です。
私の診療所では原因不明の四肢の脱力を来す症例に対し、硬膜外ブロックと上頚神経節ブロックを用いて治療することを行っており、有効な治療実績を挙げています。一方、慢性疲労症候群の治療法としては「とにかく体幹を温めてあげる」以外に方法がないと言われているだけに、私の治療は四肢の脱力(慢性疲労)を来す疾患に対して一筋の光となると思われます。

四肢の脱力・慢性疲労の治療症例(H26.1~H27.8)

原因不明の四肢脱力・球麻痺・脳幹症状など来す12症例を治療した結果(治療成績)の集計です。こちらをクリック

随伴症状

  • 四肢の脱力(疲労感・無気力感)12例 100%
  • 線維束攣縮(筋肉がひくひくする)7例 58.3%
  • 嚥下障害 6例 50%
  • 頭痛・三叉神経の関与する痛み 6例 50%
  • めまい・ふらつき 6例 50%
  • 呂律悪化 4例 33.3%
  • 上肢帯痛 4例 33.3%
  • 眼精疲労(かすみ目)4例33.3%
  • 動悸 3例 25.0%
  • 嗄声 2例 16.7%
  • 耳鳴り 2例 16,7%
  • 呼吸困難 2例 16.7%
  • 突然の睡魔 2例 16.7%

原因不明の四肢の脱力(疲労感)を主訴とする12例は単一の症状ではなく、多くが何らかの随伴症を持つことがわかります。特に、筋肉のひくつき(線維束攣縮)は58.3%に認められ、嚥下困難、ふらつき、頭痛・三叉神経の関与する痛みは半数に認められます。咽頭痛・微熱・リンパ節腫脹はありません。よって上記の症例は「慢性疲労症候群」と呼ぶにはふさわしくないと思います。しかし、こうした「慢性疲労症候群の診断基準を満たさない四肢脱力症の実態」を知ると慢性疲労症候群の定義(こちら)が不適切である私は考えてしまいます。
  慢性疲労症候群の定義は1988年にCDCにより提唱された比較的新しい疾患概念です。しかし、この定義は慢性疲労症候群の原因をウイルス感染後の自己免疫の異常による脳・脊髄炎と限定したいという意図が読み取れてしまい、ウイルス感染に起因していない病態があるかもしれないという発想が無視されています。CDCの提唱を真に受けると、その定義から外れる慢性疲労の患者を救えなくなります。
これらの理由より、私は個人的に「慢性疲労症候群の定義」に同意しません。よって上記の症例に「どのような病名をつけて論じればよいのか?」が私にもわかりません。しかし、広く世間に「四肢の脱力を主訴とする疾患が想像以上にたくさん存在し、生活保護受給者の中にごまんと存在している」ことを訴えるために、ALS様症状や慢性疲労症候群というような既知の名前を使用しています。四肢の脱力が、原因不明として現医学の蚊帳の外に置かれるよりはましだからです。これよって私の論文自体が不適切とされるのであれば、患者は救われることなく「気が変である」と言われて放置されるのみとなるでしょう。

治療実績

  • ブロックの効果は100% 有効12例 無効は0例
  • 四肢の脱力にはT3~5の胸椎レベルへの硬膜外ブロックが著効する(理由は不明)。それより上位でも下位でも効果が低くなる印象がある。
  • 数回の治療で効果が1週間以上になるケースが多い(最初は数日しか効果が持続しない)
  • 数回の治療で社会復帰できた例があるが、多くは数週間以内に再燃しやすく完全寛解例は少ない。今のところ治療は不定期に継続する必要があり治療期間を推定できない。
  • 治療を中止したからといって症状が悪化するとは限らない
  • 球麻痺症状やふらつき・自律神経失調症状などは胸部硬膜外ブロックでは改善しきらず、上頚交感神経節ブロックの方が効果が高い

慢性疲労症候群とALSの違い

私は上記のような症状を来す症例を「ALS(初期)様症状」と呼び治療してきました。実際にALSで見られる球麻痺症状を伴う症例が多いからです。また、大学病院の脳神経内科に通院していて「ALSではない」と言われていた患者が、ある日突然ALSと診断されることがしばしばあります。よって、ALSと断定された患者でさえ初期には検査にひっかからないことが明らかであり、私は上記のような四肢脱力症状がある患者をたやすく「ALSではない」と否定してはいけないと考えています。そういう戒めも含め患者たちをALS初期症状などと表現してきました。
「木を見て森を見ず」という慣用句通り、「ウイルス感染などにより自己免疫が活性化されて脳神経に炎症が起こるものが慢性疲労症候群」と限定することは脳神経に起こっている全体の動きを見ていないと思います。自己免疫は血管病変で組織が変性を起こしても活発になりますし、物理的に脳幹部が慢性的に下方に引っ張られ続けることによっても活発になるでしょう。ウイルス感染だけが自己免疫を活性化させる要因ではありません。
さらに、自己免疫の活発化の原因はウイルス感染だけではなく、環境汚染物質、不明なアレルギー源、それらに伴う代謝異常、遺伝的な神経細胞の弱さ、脳脊髄系の血管奇形、骨格、姿勢、生活環境などなど、全てがからみあっているはずであり、「慢性疲労症候群をウイルス感染が起因したもの」と分類してしまうことで、患者がかなり限定されてしまい、その定義に漏れる四肢疲労の方々が大勢出現してしまうので、この定義にかなり違和感を覚えております。少なくとも私がALS初期症状と呼び、治療してきた患者たちと慢性疲労症候群と診断された患者の間に症状の差異はほとんど見受けられず、治療に関しては全例で硬膜外ブロック・上頚神経節ブロックなどが著効しており、細かく病名を定義して分類する必要性を見出せません。

慢性疲労症候群の原因箇所の特定

慢性疲労症候群は原因箇所を「脳・脊髄」と言い表しており、それは末梢神経以外の全てという意味になりますから「治療場所が特定できていない」ことがわかります。しかしながら私の「慢性疲労症候群様の症状をもたらす患者たち」への治療はT3/4の胸椎レベルへの硬膜外ブロックと、治療位置を限定しています。それより頭側でも尾側でも効果が少なくなるという印象があります。この位置へのブロックがなぜ効果的なのか?はいまのところ不明です。この場所へのブロック(0.5%キシロカイン5cc)では頭側はC6付近まで、尾側はT8付近まで薬液が拡散すると思われ、髄内の血流量増加効果はC2からT12くらいまで及ぶと考えます。その結果四肢の脱力が改善されるというのなら、脊髄前角細胞に原因がある可能性を考えます。錐体路にも原因があるかもしれませんが、それならば、胸椎への硬膜外ブロックよりも上頚交感神経節ブロックのほうが効果が高くてしかるべきですが、実際は四肢脱力にはT3付近の胸部硬膜外ブロックの方が効果が高いという印象があります。いずれにせよ、上記の症例たちの原因箇所は「縦に長い」と考えてよいでしょう。

慢性疲労症候群と痛み

慢性疲労症候群の定義に痛み症状はありません。しかしながら本疾患の原因を「ウイルス感染後の自己免疫活性」とするのなら、運動神経だけではなく、知覚神経(痛覚など)が同様に障害されなければ理屈に合いません。自己免疫の攻撃が運動神経にだけに向う理由がないからです。逆に言えば、自己免疫性のニューロンの障害であっても痛みがメインの症状で四肢の脱力がほとんどない症例もあるはずです。しかし、そうした痛みメインのものも病態的には「慢性疲労症候群と全く同じ」であるにもかかわらず、「それは慢性疲労症候群ではない」と言われて治療の対象外とされてしまう可能性があります。
私は2015年、二次ニューロン性の痛みやしびれがあることを発見しました。二次ニューロンとは末梢神経と脳を中継する神経であり(三次ニューロンの場合もある)脊髄の灰白質の多くを構成します。この「電気信号を中継する脊髄の神経細胞由来の痛み」が存在し、しかも、そうした二次ニューロン性の痛みやしびれを訴える患者の割合が少なくないことも突き止めました(後ほどまとめて報告します)。
そうした二次ニューロン性の痛みを訴える症例と、四肢脱力を訴える「慢性疲労症候群」の間には、おそらく病理学的な差がないと推測します。痛みを伝える神経が侵されているのか、運動神経が侵されているのかという「障害部位の違い」であって、病態生理は全く同じであると推測します。よって、痛みが主症状の「慢性疲労症候群」もあると考えます。

なぜ運動神経だけが障害を受けるのかの考察

運動神経だけに障害が出るためには解剖学的な必要条件がいります。脊髄の側索や前角のみが障害を受ける解剖学的な必然性の証明です。例えば私はそれを、脊髄・脊椎不適合症候群と命名し、脊髄が胸椎のカーブで圧迫を受けることが一因になっていると推測しています。「胸椎のカーブで圧迫されるのがきっかけで前脊椎動脈の血行障害が起こるとなると、四肢の脱力が説明がつくかもしれない」というような仮説が必要です。
錐体路が主として障害される理由にも解剖学的な理由があるはずで、解剖学的に運動神経だけが障害される理由を考察しない現在の神経学では、原因をつきとめることは難しいと思います。そもそも錐体路がなぜ延髄レベルで錐体交叉しているのか?の理由を述べなければなりません。私はその理由をニューロンの伸縮性を得るためであると確信しています。そして、延髄部分で交叉する理由は、その部分が人間においてもっとも伸び縮みを強制される場所だからであると推測しています。そうした解剖学的なストレス要因が遺伝的な骨格で増強されるなどの要因があってこそ、「運動神経のみが障害される」という理由になります。
また、脊髄の様々な神経の経路には「なぜ前索、側索、後索などを通る必要があるのか?の解剖学的な経路の意味があります。その意味が研究されていない現在の神経学では、解剖学的なアプローチは困難であり、現医学では「なぜ運動ニューロンだけが損傷されやすいか?の理由を推測できる考察力のある神経学者はいないと言えるでしょう。
私の元に集まってきた患者たちは、四肢の脱力もさることながら、主として四肢の痛みやしびれを訴えることもあり、そういう場合は慢性疲労症候群と言うだの、言わないだの、論争することは愚かと感じます。脳・脊髄系の疾患に明らかな境界はなく、全ての患者は全ての疾患にまたがって存在しているというのが真実です。脳・脊髄病に境界を作り、診断名をつけるのであれば、それぞれに異なる別々の有効な治療法開発していただきたいと思います。有効な治療法を見つけられないのであれば、病気を細かく分類して定義をつけることは医学の進歩を妨げます。ボーダーラインは全て心因性と言わて無視されてしまうからです。
ただし、妨げであっても、そうした特殊な診断名をつけてもらえたおかげで、この病に苦しむ人々は市民権が得られることを考えると、それは社会に貢献していると思います。ですから、慢性疲労症候群という定義があいあまいであったとしても、そういう病態が存在することを提唱して下さる先生方に実は私は感謝しております。

慢性疲労症候群と二次ニューロン性知覚異常の関係

私が抱える脳・脊髄系疾患患者の症状は多種多様です。顔面から手足までしびれを訴える患者が、ある日は全身の脱力を訴え、ある日は耐え難い背中の痛みを訴えます。嚥下障害・構語障害・めまい・耳鳴り・味覚異常・三叉神経痛などを一人の患者が日替わりに次々と訴え、痛みも、しびれも、脱力も神出鬼没に現れます。
興味深いことにそれらのしびれや痛みは神経根ブロックなど、末梢神経(1次ニューロン)をターゲットにしてもほとんど無効であるというところです。この特徴がゆえに、「ペインクリニックでどれほどブロックを行っても全く無効」という状態となり、そうした患者は心因性と捨て置かれることになるのです。
私の診療所にはそうした「ペインクリニック科、大学病院付属の疼痛研究所でもお手上げだった患者」が集まり、そして私は2015年から二次ニューロンをターゲットにしたブロックを開始しました。胸椎の部位T3/4付近への硬膜外ブロックです。
それは四肢の脱力、痛み、しびれ、冷え、下痢、腹痛、頻尿などにも効果を発揮しました。これらの結果より四肢の脱力も原因不明の痛みやしびれも「同じ二次ニューロンの障害による病態」ではないかと推測したわけです。治癒させてしまうことが出来れば、原因が見えてくるのです。

慢性疲労症候群の治療実績を重ねる

慢性疲労症候群の病態生理はまだまだ霧の中ですが、それらが解明される前に治療方法を確立させたいと思います。本症が疑わしいと思われる方はこちらに書き込んでいただければ幸いです。そして、本症の治療実績が多くの神経内科的難病を治癒に導くための手段となることを祈ります。

慢性疲労症候群への硬膜外ブロックの活用」への14件のフィードバック

  1. 初めまして。とよこと申します。48歳女性です。自営業で経営アドバイスの仕事をしております。

    私は2010年7月に神経内科にてALSと診断され、その後2013年4月にALSではないと判断されました。病名が分からないまま、ほぼ寝たきりかつ電動車椅子での生活を送っていました。
    そんな時、2013年11月に、昔に新聞で見た慢性疲労症候群のことを思い出し、診てくださる先生を探し、2013年12月に精神科で慢性疲労症候群との診断を受けました。
    私の場合は激しい身体の痛みがありました。精神科の先生に向精神薬を処方してもらい、ようやく痛みが治まり、リハビリを始めることができました。
    ようやく歩くことができるようになり、自転車にも乗り始めた昨今になり、2015年9月に膠原病(現在のところ、リウマチ性多発筋痛症として診断を受けています。ただ、他の膠原病かもしれないとのことです。)を発症いたしました。また新たな身体の痛みと、ステロイドの副作用との戦いが始まっています。

    喘息等のアレルギーもあり、慢性疲労症候群を自己免疫疾患と考えると、膠原病を含め、自己免疫が異常を起こす病気に、今後も悩まされなければ行けないのかと思っております。アスピリン喘息もあり、また、抗生剤でもアナフィラキシーを起こすので、痛み止めや抗生物質が使えずに困っています。

    先生は、慢性疲労症候群を自己免疫疾患とお考えでしょうか? 私は今後、その他の自己免疫疾患を患うことは考えられますでしょうか?

    先生のお考えをお聞きできれば幸いです。どうぞよろしくお願い申し上げます。

    • 慢性疲労症候群の診断基準は私としては納得のいかない茶番であると思っています。ウイルス感染後に続発する免疫異常に限定したい意志が見え見えであり、私の元へはウイルス感染が無関係であろう四肢脱力の人がたくさん来られている事情を考えると、診断基準は治療に意味を持たせていないと考えるに至ります。さて、人の体の異常には免疫システムが必ず絡みます。生きている以上、細胞が新陳代謝を繰り返す以上、どんな病気にも必ず関与します。もう一度いいます「どんな病気にも」必ず免疫が絡みます。そしてこの辺の理論は現医学では非常にあいまい、かつ、現医学では免疫システムはほとんど解明されていません。免疫学の進歩は極めて遅れており、その遅れた知識で免疫を語ること自体不誠実だと思っています。免疫・代謝・気圧・温度変化・重力・活性酸素・アレルギー・代謝異常・形態異常など全てがからんで起こると考えるのが正解に極めて近いです。もし、本気で勉強されるつもりであれば、「日常損傷病学」をお読みになることをお勧めします。いままでの医学に足りない概念を書き下ろしたつもりです。今後の自己免疫疾患の可能性は「一般の人よりも多少多い」と考えれば正解だと思います。それ以上でもそれ以下でもありません。

      • 早速のお返事をありがとうございます。

        なるほど、先生のコメントを読んでいると、他の病院で慢性疲労症候群の患者に行われている「ビタミンC大量投与」などの治療は、あまり意味を持たないと改めて思うようになりました。私は向精神薬で治療しているのですから、自己免疫疾患と決めつけるのはおかしいですよね。病気は環境(またはいろんな要因)が規定するのですよね。

        「日常損傷病学」拝見させていただきます。またご質問させていただきたい時はコメントさせていただきます。とても勉強になりました。ありがとうございます。取り急ぎ、お礼申し上げます。

        • 先日はコメントをありがとうございました。
          「日常損傷病学」を拝見させていただきました。勉強になりました。

          その後の私ですが、いろいろなセロトニンを服用し続けていました。しかし、ドーパミンが過少となってしまい、むずむず脚症候群になってしまいました。ドーパミンを補う薬をいろいろ飲みましたが一向に治らず、結局、眠剤(リボトリールを含む)と漢方以外、全ての薬をやめることとなりました。

          その結果、起き上がるのも辛くなり、活動が不自由になりました。仕事も辞めざるを得なくなってしまいました。強い倦怠感と痛みに加え、手の痺れまで出て来ました。

          アスピリン喘息のため、NSAIDsは飲むことができません。リリカ、トラムセット、セレコックスは私の痛みには効きません。
          また、立ちくらみが酷く、転倒することも増えました。メニエールの症状(回転性めまい)にも悩まされています。
          アレルギーも酷くなり、いままでなかった皮膚の症状が出始めました。

          先生のところへ通院したいのですが、私は関西なのと、お金がないので通うことができません。そこで、近くのペインクリニックに通おうかと思っておりますが、私はキシロカインにアナフィラキシー(防腐剤がアレルギーを引き起こすようですね)があり、小さなクリニックでは対応不可と言われてしまいます。
          しかし、大きな病院では手術ないしはがん患者の緩和に対する麻酔科となっており、慢性疲労症候群の痛みの治療をしてくださるドクターがいらっしゃいません。

          こつこつと、対応してくださるペインクリニックの先生を見つけるしかないでしょうか。アドバイスをいただければ幸いです。どうぞよろしくお願い申し上げます。

          • 奈良のペインクリニックの優秀な医師を紹介できますが、おそらくどんな優秀な医師でも、薬剤で変性した脳のシナプスを元通りにすることは難しく、治療を受けると種々のリバウンドが起こります。それに耐える精神力も必要になると思われます。また、防腐剤フリーのキシロカインは最近は主流ですので問題ないと思いますが・・・。秘書の方から連絡差し上げます。

  2. こんばんは。昨日の夜から深夜にかけて、今、以前からあった音に敏感に反応し我慢できないという症状がひどくなりALSなんかでは…と不安になったものです。先月から太ももがピクピク、ピリピリするような変な感覚が時々あり、胃の不快感、喉のつまり感と苦しさ、飲み込みづらさ(昨日の晩ごはんでは、食事中実際に飲み込めなくなるなる時がありました。)、両手足のつり感と筋肉痛のような痛み、たまに手に力が入りにくい、全身の悪寒、音が身体に響く、などの症状が先月あたりからあります。今月には頬骨の痛みがありましたが、副鼻腔炎によるものといわれました。抗生物質でおさまりましたが、その後一度痛くなったりした時がありました。血液検査、胃カメラ、脳のMRI、脊髄のMRIもすべて異常なしで問題なしと言われただけでした。先生にぜひ一度診て頂きたいと思っておりますが、実は私は、頚椎症性脊髄症と後縦靭帯骨化症で3カ月前に前方固定術をしているのですが、診て頂くことは可能なのでしょうか?

    • あなたにとって悪いことが2つ。よいことが二つあります。悪いことは、延髄レベルでの神経の障害と思われますが、残念ながら現医学の水準では異常なしとなること。頸椎の固定術を行っているため頸髄・延髄の物理的な張力がどうやっても緩和されないことです。しかし、幸運なことは症状が起こってから日が浅いこと。このHPを見つけ解決の糸口を見つけたことです。

       私は、ALS様の症状は「延髄に張力がかかりすぎていることが原因の一つ」であると推測しています。頸椎の固定術を行うと、延髄に張力がかかったままの状態となり、24時間血行不良が生じ今回のような症状が出ると考えています。実際に私の患者の中に、あなたと同じパターンの方がおられるからです。ただし、それは現医学では証明できないことですので泣き寝入りするしかありません。

       一刻も早く治療を開始するべきです。上頚神経節ブロックで延髄の血行を増加させる治療です。問題は東京への通院です。

  3. 先日はありがとうございました。残念ながら、奈良の先生からはお断りとのことでしたが、精神科の先生にエビリファイを増量してもらい、暫定的ながら痛みはほんのマシになっています。
    今度は、四肢に末梢神経障害を起こしてしまいました。神経内科で調べてもらったところ、CIDPではないとのこと。そして、こっちで治療しても薬が重なる(リボトリールなど)だけなので、いま慢性疲労症候群を診てもらっている精神科の先生のところで、末梢神経障害を治療してもらってとのことでした。
    四肢の手袋と靴下の部分は痺れが強くあります。キーボードを打つのも辛いです。腕・脚の筋力も落ちてしまいました。昔(ALSと言われていた時代)は介護保険で連絡した電動車椅子に乗っていましたが、いまはそれができません。障害福祉で電動車椅子の助成をもらいたいのですが、厳しいようです。
    この四肢の末梢神経障害は、慢性疲労症候群の症状なのでしょうか。痛みがほんの少し和らいだ途端に、痺れと関節痛(重力で関節から腕や脚、肘や膝が落ちそうな感覚です)をもった末梢神経障害が始まってしまいました。しかし、これ以上エビリファイを増やすと、また、むずむず脚症候群が出て来てしまいます。

    治療は諦めていますが、末梢神経障害と慢性疲労症候群はどのように関係しているのでしょうか。メカニズムが知りたいです。どうぞよろしくお願いいたします。

    • 末梢神経障害と慢性疲労症候群のメカニズムですが・・・私がそれを説明することにあまり意味がありません。その理由は、そもそも、どちらの症状も現在の医学で解明できないものだからです。解明できない者を私が説明したところで、それは信じるか信じないかの世界になりますので、「あなたは霊を信じますか?」という問答と全く同じになります。信じるか信じないかは正直なところ「あなたが世の中の真実を見よう欲するか?」に依存します。

       この世に霊があるかないかは誰にもわかりません。しかし、もし霊があるとすれば、真実を見ようとする者にだけ霊が理解できるようになります。私の解説もそれと同じことなので私が解説することにあまり意味がありません。

       治療をあきらめているとのことですが、あきらめていることの原因がどこにあるのか?の真実を見ようとしないかぎり、あなたの症状を治療しようとして手を貸すものは存在しなくなります。人は誰でもあなたを治して差し上げたいと思っています。しかし、それが失敗に終わった時に、あなたに恩を仇で返されることをみんな恐れています。あなたは病気のせいで精神がむしばまれ、そのため治療する側の相手の気持ちを察することができなくなり、知らない間に治療する者の心を傷つけてしまう傾向があると思います。その傾向(真実)をしっかり見つめ、改めようとすれば、周りはあなたに治療の手を伸ばし始めます。まずはそこから始めるのがよいと思います。

       根本がどこにあるのか? 真実を見ることはとても痛いのですが、見ないでやり過ごすことができないくらいに追い詰められています。追い詰められた場所から逃げることは難しいので、最終的にはただただ子供のようになきわめくか、真実を見ようと努力し始めるかのどちらかしか選択肢がありません。原因を知ることとはこのことです。末梢神経障害と慢性疲労症候群の原因を知っても無駄です。

      難病は、治療するには本人の生死をかけた努力が必要になることが多いです。例えると、修行僧が毎日84キロメートルの山道を走り、それを1000日間続けるようなものです。84キロを走る場合、少しでもゆっくり走れば、睡眠時間がなくなってしまいます、雨の日も雪の日も走らなければなりません。世の中には心を清めるためにそういう修行を実際にしている方もあられます。心の在り方を変えていくことが治療のきっかけとなります。

      • 先生、再度のコメントをありがとうございました。

        私はお医者さんを困らせていたのですね。先日、最初にALSととりあえず病名をつけてくださった神経内科の先生に、四肢の先が痺れるので検査してほしいと伝えたところ、「あなたは病気を作ってしまうから、検査をしない」と先生はおっしゃいました。

        その後、別の神経内科に行きました。そこで末梢神経障害と告げられ、精神科(慢性疲労症候群の先生)の薬と重なっているので、そちらで治療してもらってと言われました。でも、精神科の先生は「末梢神経障害という概念がわからない。中枢神経障害ならわかるけれど、とのことで、末梢神経障害の治療は特段、考えるおつもりはないとのことでした。また今度、上述の別の神経内科の先生のところにお伺いして、末梢神経障害を精神科の先生にどのように説明してどのように治療してもらうかお聞きしたいと思っています。

        また、立ちくらみとめまい(メニエール)が酷くなり、先日、駅の椅子に座っていて、電車が来たから立ち上がったところ、目の前が真っ暗になったまま足が動いてしまい、走ってくる電車にあと一歩でぶつかるところでした。周りの方に助けていただきました。それがあまりにも怖かったので、行政に電動車椅子の申請をしようと思っています。おそらく認められなく、自費で買うことになりそうですが。

        真実から逃げている・・・この言葉を拝見し、私は病気のことを調べすぎて、おかしくなっているのじゃないかと思いました。言い換えたら、説明できる病気にしたいと思っているのだと考えすぎているのかもしれません。

        私の真実はどこにあるのか。その前に、私は先生方を苦しめてきていたのか。

        どの先生もお忙しく、せめて私の診察時間を少なくするために、私は毎回、伝えたいことを資料にして持って行っています。どの先生にも気をつかっていたつもりだったのですが、そうはなっていなかったのかもしれません。
        その典型例が、最初に診てもらった最初にALSと病名をつけてくださった先生に、もう検査はしないとおっしゃられたことから非常にご迷惑をおかけしていたんだと思いました。
        近隣にある民医連のリハビリテーション科(元々は神経内科)の先生のところに通院していましたが、リハビリのPT/OTさんの態度があまりにも酷く、また、この先生が病院の管理を全然できていないため、転院すると告げました。

        日内変動が激しく、また、月変動も激しいため、今は精神科に2週間〜10日くらいの感覚で通院しないと不安が出るようになりました。ほとんど毎回、3時間待ちなのですが(午前診の終わりが午後6時ごろという患者の多さ。1日に60人ほど診ておられます)心身ともに体調が保てません。

        私の真実を見つけたいです。過去から学ぶか、現在から学ぶか、未来から学ぶか、考えてみたいと思っております。

        ありがとうございました。

        • 真実はあまりに厳しく、そしておそらく真実は慈悲深いものです。真実から逃げることは騙される道を歩むことですが、多くの人々は騙されても死に至ることはなく、不幸のどん底に陥ることもありません。ですから騙されることにデメリットは多くないので真実を見るという厳しい世界には踏み込みません。

           しかしながら、世界のトップに立つ志を持つものや、難病に犯されている者が、騙された世界に浸っていると、それは祈願が成就しない世界にとどまり、人生に悔いを残して死んでいきます。真実を見ることが必要な者は真実を見る以外に遺恨を残さず天寿を全うできることはありません。

           しかし、真実はあまりに厳しいものですから、受け入れる覚悟がない者にそれを説いたところで、意味がありません。真実は覚悟した者にしか意味をなさない宝石です。覚悟していない者にとって真実は常に心を破壊するブルトーザーとなります。

           さて、真実は「西洋医学には治療方法がない」というものです。診断名がついても関係がありません。まずはその真実をかみしめ、ならばどうすればよいのかを考えるのが次の段階となります。段階は一つずつ登らなければ、あたまでっかちになります。

          • いつもお世話になっております。今回もまた、ご丁寧なお返事をありがとうございました。

            真実は「西洋医学には治療方法がない」というものなのですね。
            私は身体の調子が良くないことから、3月末で仕事をほとんどやめました(自営業で経営コンサルタントをしています)。今までは身体の調子が悪くても仕事は必ず辞めてはいけないと思っていました。
            けれど、思考力や集中力が湧いてこないことがわかってきて、生活は苦しくなるけれど、仕事をほぼ辞めることにしました。自分の感情の方が、理性よりも強く感じたからです。

            通院は続けています。慢性疲労症候群の方は、それそのもの治療方法がないので、いま困っている症状に素直になろうと思いました。慢性疲労症候群は原因が分からないのだから、分かるまで付き合おうと考えました。
            いまは薬の処方は副作用を利用して眠れるようにする抗うつ薬や、その他の眠剤などを使っています。とりあえず、夜に眠れるようにしようと考えています。

            なぜ慢性疲労症候群が起きたのか、それは仕事+家事+大学院の指導教官の行ったアンケートのお手伝い(夜中に自宅で作業する)などをしていたため、眠れる時に眠る、という人生を歩んできたからです。そしていま、末梢神経障害も併発しました。なので、しんどい時は眠ることにしました。

            こんなことが、真実に近づく第一歩と言えるのかどうかわかりませんが、自分の症状を良く観察し、眠ると楽になるか、睡眠時間を早めた方がいいか等、それらを理性だけで考えず、自分の感情を取り入れてみようと考えています。

            あとは各病院のDr.と仲良くなりたいと思っています。一番最初にALSととりあえず診断してもらった先生(年に1回経過報告)とは、もう元の関係には戻れないでしょうけれど、あの時は病名も分からず(とりあえずALSにしてもらいました)、寝たきりの生活を送ることがとても辛かったのです。病名がわかったいま、来年はこの先生にお詫びしてきます。

            理性を抑えて、感情に素直になってみる・・・これが真実に近づくための私の第一弾だと考えて、行動してみようと思います。

            いつもいろいろと指南いただき、ありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願い申しあげます。

          • 人間の感情はとても自尊心に影響を受けやすいもので、自尊心が傷つくことで感情が大きく動いてしまいます。感情に素直になろうとしたときに、自尊心がその基軸となっていた場合、あなたは自分の意見に賛同する者を求めて行動するようになり、真実に到達することが極めて困難になることがあります。

             この問答でさえ、あなた自身の考え方に対し私が「はい、あなたの言っていることはもっともです」と言ってほしいがために書き込んでいるように感じます。すでに自尊心を基軸として動いているように思います。こうした状態の時に私の言葉は無意味となりますので、一旦、私のアドバイスから離れ、自由に行動されることです。人間の行動が真実に向かうためには時と運が必要と思われます。幸運の女神がほほ笑むことを本心から願っています。

  4. 貴重なお言葉をありがとうございました。
    今の私は、きっと誰かに認めてもらいたいと言う発言をしていると理解しました。

    私はいま、非常に苦しい状態です(先生に助けをお願いしているわけではありません)。病気と仕事の他に、介護や家族の死などが重なり、いろんなことを一人でこなすようになり、そのために疲れた身体に鞭打って、必死で動いています。

    でも、時と運がやってくることを願って、真実に近づきたいと思います。

    返信ボタンがありませんでしたので、こちらにお礼を書かせていただきました。本当にありがとうございました。

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