治療の種類
- 姑息療法:治療をやめると即座に症状が出現。効果を継続させるためには一生加療し続ける必要がある。ただし加療により症状は即座に軽快する場合が多い。
- 改善シフト療法(回復期):加療により症状が軽快する方向に生体恒常性がシフトする。症状も即座に軽快する。
- 改善シフト療法(停滞期):加療により症状が軽快するが患者本人が日常で悪化させていくため全体を通すと症状の改善が前進しない。
- 改善シフト療法(急性増悪期):加療により症状の加速を止めるが、症状の進行は当分収まらないため全体を通すと症状は悪化して見える。
- 物理改善療法:加療により腫れなどが消退し、物理的な障害が解除されその後半永久的に障害が起こらない。突発的な外傷によって生じたものの多くはこれに当たる。
日常生活で起こる慢性病の多くは4→2→3の経過をたどります。ダメージが大きいほど4の時期が長くなり、ダメージが少なければ2に速やかに移行します。しかしながら、日常生活のうちに起こった(明らかな外傷がない)症状は日常生活が損傷原因になっているので患者本人が症状を作る行為を必ず行っています(本人は気づかない)。よって治療で改善させて無症状にしたとしても、やがてかならず再燃させます。
そのまま治療を続けても、改善させるスピードと日常生活で悪化させるスピードがつりあった状態の症状以上に改善することはありません。これが停滞期です。停滞期の医療はこれまで認められていなかった経緯があります(改善しない症状に積極的な治療せずの考え方)。よって停滞期の医療に関してはかかえる問題が多いので後述します。
5は日常的ではない外傷などによりたまたま生じた症状のことを示し、局所の腫れを引かせる治療を行えば即座に治って再発もほとんどありません。例えば口腔粘膜を奥歯で噛んでしまい口内炎ができた場合、再び口内炎の部分の粘膜を噛みやすくなりますが、完全に口内炎の腫れが引けば、そこを再び噛むことは少なくなります。よって5の治療の場合、治療が的確であればほぼ一度の治療で完治してしまいます。よって5は日常損傷病の範疇ではありません。5、の多くは自然に治るものですから通院の必要性さえない場合も多いからです。ただし、私は5の場合、一度のブロック注射で治して返し、再診なしということを行っています(外来を混雑させないため)。また、医療従事者として、自然治癒よりも早く治るように手を加えます(ステロイドなどを用いることにより)。