新陳代謝速度とホルモンの関係
自己抗体は古びた細胞を破壊し、除去する役割を担っているでしょう。自己抗体が活発であれば、つまり免疫が活発であれば細胞の新旧交代の速度が上昇すると思われ、よって体細胞は比較的新しい細胞で埋め尽くされるでしょう。逆に自己抗体の活動が低ければ新陳代謝が衰え、古い細胞で埋め尽くされることになるでしょう。 体細胞が古いか新しいかは見た目にわかります。それは皮膚のしわや張りです。細胞の新旧交代が盛んである場合、皮膚のしわも少なく艶やかになるのはとても当たり前のことです。さて、これらの事実をふまえて、次のような推論が成立します。 女性の皮膚は女性ホルモンの影響により、男性の皮膚よりも一般的につややかであることから、生殖可能時期の女性の体細胞の新陳代謝は女性ホルモンの影響を受けて男性より速い傾向にあると思われます。つまり女性は自己免疫システムが一般的に男性よりも活発であると考えられます。よって女性ホルモンは体細胞のターンオーバーを速めるために自己抗体を活性化させる作用を持つと思われるわけです。
いずれにしても進化・適応として女性は肌を美しく保つように遺伝子に組み込まれていると思われ、そのため生殖可能期間の体細胞の入れ代わりを速くする必要があり(特に皮膚組織)、そこに女性ホルモンが関与していることは明らかです。 つまり免疫システムに性ホルモンが密接に関連していることは疑う余地のないことで、それはすなわち自己抗体の調整に関連していることを意味します。 多くの膠原病(自己免疫疾患)が女性に多いことは既知の事実ですが、それは体組織のターンオーバーと密接な関係があることを推測させます。
自己抗体の損傷細胞処理閾値が男性よりも女性の方が低いと思われ、閾値を低くすることに女性ホルモンが関与していると思われます。 なぜならば肝不全などで女性化乳房が出現した男性や、女性ホルモン注射療法を行った男性は、肌の形状も女性のようにきめが細かくつややかになるからです。 逆に女性ホルモンが枯渇した更年期になると女性の肌は急激に衰えます。ターンオーバーが遅くなったのでしょう。
自己免疫は当然ながら骨細胞のターンオーバーにも密接なつながりがあります。骨の場合、ターンオーバーが速いと骨密度が低下します。女性の骨密度が男性より低い理由は女性ホルモンに骨細胞のターンオーバーを速める作用があるからだと推測します。 しかしながら、更年期の女性では急激に骨密度が低下することから、骨細胞への女性ホルモンの関与は、もっと複雑で、他のホルモンとの連鎖で起こることが推測されます。 この分野はまだまだ未開拓ですが、免疫システムと骨密度には密接な関連があることが最近示唆されています。
また男性に特有の禿は毛母細胞のターンオーバーが速すぎることが原因の一因と思われます。つまり自己抗体が毛母細胞の入れ代わりを促進することが一つの原因でしょう。 このように自己免疫のシステムと性ホルモンの関連性については様々な憶測が飛び交っていますが、その決定的証拠はなく、この分野の医学知見は迷走しています。よって誰の意見も信用性が欠けるところがあることを否めません。 よって、ここで覚えておいていただきたいことは一つです。「性ホルモンは自己免疫システムと密接な関連がある」ということを頭に入れておくことです。自己免疫システム=炎症システムですので、性ホルモンによって炎症の諸症状の出方が変化するということを知っておいていただきたいのです(これまでの医学見識にはない考え方です)。 また、性ホルモンだけではなく成長ホルモンも体細胞の入れ替えのターンオーバーを速め、細胞の若返りをさせる効果があると思われます。つまり成長ホルモンも免疫システムに強力に関わっていると思われます。その他、甲状腺ホルモンや副甲状腺ホルモンなども当然ながらターンオーバーに関与しているでしょう。
ちなみに骨粗鬆症は女性ホルモンが低下することと密接な関係があります。ありますが、女性ホルモンをおぎなえば骨粗鬆症が改善するという現医学の考え方は短絡的です。なぜなら、女性ホルモンが十分に分泌されている時期においても、女性の骨密度は男性よりもはるかに低いからです。女性ホルモンは細胞のターンオーバーを速める効果があるのは前述しましたが、当然ながら骨細胞のターンオーバーも速めます(男性と比較して)。ターンオーバーが早いから女性は男性より骨密度が低くなります。女性は進化的に皮膚のターンオーバーを早めるように進化し、肌が美しくいられるのですが、その分、骨細胞のターンオーバーも早めてしまい、男性よりも骨格が弱くなると思われます。つまり女性は国家うの強さを犠牲にして見た目の美しさで有利になるよう進化したと思われます。この考え方からすると、女性ホルモンを補えば骨密度が上がるとする思考は少々短絡的すぎると思われます。ホルモンは歯車でありバランスですから、もっと複雑なシステムで、更年期の女性の骨密度低下が起こっていると思われます。複雑なシステムを解明するためにも、今後はホルモンバランスを考慮した医学へと進まなければ核心に到達しません。