偏りと時間の概念その3、反復×長時間
数秒の圧迫や摩擦など、通常は組織を損傷しないような小さな物理的刺激も、それを絶え間なく繰り返していると組織が炎症を起こします。これに該当する症状の代表は腰部脊柱管狭窄症における間欠性跛行でしょう。 間欠性跛行の特徴は「数分の歩行」では症状は出ませんが数十分の歩行で足に力が入らなくなる、痛くなる、痺れる、凝ってくるなどの症状が出現し、それ以上継続して歩くことができなくなることです。このような組織を損傷するはずのない通常の動作の反復繰り返しで症状が出るという現象は医師ならばほぼ誰もが認識しています。が、患者には病識が全くなく「誘因なく起こった」と主張します。それが証拠に腱鞘炎を呈して来院する多くの患者は病識がありません。そして患者が医師に「なぜ腱鞘炎は起こるのですか?」と質問し、それに対し「日常生活での使いすぎによります」と応えると「使いすぎるようなことはしていません」と反論し、医師と患者の信関係が崩れることもあります。 反復使用ですべての人が炎症を起こすわけではなく、そこには個人が持つ構造上の脆弱性が必ず存在します。
腱鞘炎にもそうした脆弱性がもともとあるからこそ反復刺激で炎症が起こります。 同様の考え方をすれば、脊柱管狭窄は後天的な構造上の脆弱性であり、症状の直接原因ではないという一歩進んだ考え方をしなければなりません。なぜなら室内を歩行しているだけなら脊柱管狭窄が存在していても無症状で一生を送れるからです。腱鞘炎も反復刺激の時間を短くすれば症状は出なくなるのと同じです。
また、脊柱管の狭窄がなくても間欠性跛行を呈する症例が多数存在しますが、これまでの医学に染まっている医師たちは、その事実を認めることが困難でしょう。実際のところ、間欠性跛行は神経根に緊張が存在するだけで起こり得ます。狭窄は必要ありません。なぜなら、緊張していれば椎間孔付近で神経根が反復の摩擦を受けて腫れを起こすからです。腫れた部分はさらに椎間孔部で強い圧迫を受けるので血行不良を起こし、跛行が発症します。神経根に緊張があると、狭窄がなくても摩擦や血行不良が起こるという概念はこれまでの医学にはありません。もちろん、緊張が原因の疾患では「器質的な異常」も見つけることができません。反復刺激で病気が起こるという概念、緊張や重力で組織が破損するといった概念が現医学に欠如しているからです。
逆に言うと 器質的な異常も生活指導を厳しく行えば反復刺激による症状を起こさせないようにできます。そうした指導方法を研究していくのも日常損傷学です。
足の骨折の経過が長引き、やっと2足歩行できたと喜んだのもつかの間、それまでのバランスに悪い歩きに限界があったのでしょうね、クルマの乗り降りで、股関節にグキッと痛みが。股関節唇損傷です。反復の怖さです。
まだMRI を撮っていないので損傷の詳細は分かりませんし、まだ今後の診療方針を主治医と話していない段階ですが、保存療法したいと願うばかり。結果が出たらあらためて先生にご相談したいです。
また股関節唇は修復しないと考えるしかないのでしょうか。
関節唇が修復するしないを悩むよりも、まず、股関節内注射を先に行うべきと思います。私の部下に、肩関節唇損傷で、某有名整形外科で手術を予定されていた者がいましたが、肩関節内注射をしてさしあげたところ、治ってしまい、手術が中止になった例もあります。何が真実か?を見ようとすることの方が重要かと存じます。
ただし、股関節内に注射をできる医者が、探してもそうそう見つからないことの方が難題です。