神経根ブロックは民を救う

 私は寝たきりになって車椅子での生活を強いられている人に神経根ブロックを行って歩行可能にした例を何例も経験しています。それほど神経根ブロックは人生を救うことのできる治療です。
 私は実際に55歳男性で左下肢麻痺をきたして杖歩行となった患者を1か月に1回の本ブロック治療で18か月かけて完治させた経験があります。下肢麻痺は手術の絶対適応であり、ブロックでは治らないとされていますが、患者は私の意見を信じ、本ブロックを根気よく受け続けました。そして見事に症状が改善され普通に歩行できるようになりました。このような例はおそらく本邦初でしょう。
 同様にトイレまで歩けないほどの神経痛の症状を持つ高齢者3名を現在本ブロックで治療中ですが、3名とも一人暮らしの日常生活を送れるまでに改善しました。改善しなければ特別養護老人ホームへ入所していた方々です。3人の平均年齢は90歳です。
 神経痛に通常用いる硬膜外ブロックは、90歳以上の変形脊椎には不可能であり、普通はどんな医者も「ご高齢なので仕方ありません」と言って積極的な治療をしません。また神経痛治療に普通に行われている硬膜外ブロックは誤って脊髄麻酔となってしまうことがあり、高齢者では急性循環ショックで命を落とすリスクもあることから、医者は高齢者には積極的に治療しません。
 しかし神経根ブロックは急性循環ショックを起こすリスクがないので超高齢者に対しても安心して用いることができます。脊椎が変形していても可能です。
 つまり安全に高齢者の神経痛を除去できる唯一の治療法が本ブロックです。養護老人ホームに入所するには莫大な費用がかかり、家族は経済的な負担に苦しめられます。
 本ブロックは高齢者に対してもリスクが低く極めて有用ですが、変形した脊椎に本ブロックを行うためには並々ならぬ技術が必要であり、かつ、治療はうつぶせで行うため短時間で行わないと患者が途中でギブアップしてしまいます。さらにブロック手技の痛みが強ければ本末転倒なので治療が成立しません。
 私のところへ来院した患者は以前の病院で本ブロックを受けた経験のある方がいますが、その方々は口をそろえて「あんなに痛い注射を我慢できるはずがない」と言っていました。これでは一度受けたらトラウマになって治療を継続できません。
 安全に正確に変形脊椎に短い時間で無痛で行える神経根ブロック技術を持つ医師はめったいません。それが本治療が普及しない理由の一つです。
 本ブロックは極めて優れた技術を持つ医師が行うと極めて有用性の高い神経痛治療法となります。

神経根ブロックは脊椎由来の神経痛に特効

 現在、保存的治療の中で神経痛にダントツで最も効果があると認められているのが神経根ブロックです。よって神経痛がある人が脊椎の手術を受けるというのなら、本ブロックを行っても改善しないことが手術の必要条件となっています。
 しかしながら本ブロックを行うと神経痛が改善する患者が多く、本ブロックは手術キラーでもあります。本ブロックを全国の医師が頻繁に行うようになれば全国の脊椎手術件数が大幅に減ると予想されます。実際には手術前に本ブロックを行って、痛みの改善があるかないかを検討する医師は多くありません。
 しかしながら本ブロックは手技が大変難しく、末期の変形性脊椎症の患者にこれを行うことは至難のわざとなります。つまり本ブロックを精巧に的確に実行できる医師は全国に多くはいません。
 未熟な医師がこれを行うと、神経根や神経根動脈を損傷するリスクが高く、しかも神経に直接針を刺してそこに造影剤や薬液を注入するのでその時の激痛は耐えられるレベルではありません。造影剤は浸透圧が高く人体には有害なものなので注入するだけで痛みや炎症を誘発します。本ブロック後にさらに痛みが強くなる患者がいますが、それはこの造影剤が関与が考えられます。
 本ブロックは患者をうつぶせにした状態でレントゲン透視により皮膚から5-6cm奥にある神経根の部位に針を進めていきます。モニターでロケーションを確認しながら行いますが、普通のブロック注射とは違い造影剤を用いて神経根を確認して行うなど大掛かりで治療費も20000円近くかかる高価なものです(3割保険で6-7000円)。

 私は抵抗消失法を用いて神経根の外側の隙間に注射し、神経に直接針を刺しませんから、根動脈を損傷させることも、根動脈に薬液を誤注入することもありません。また、造影剤を神経根実質内に入れることもありませんので造影剤のリスクも最小です。そして用いる造影剤は0.5cc以下であり極めて少量です。造影剤に敏感な方に対しては造影剤を使用しなくともブロックができます。
 かつ私は注射の際に表面麻酔薬を用いてゆっくり時間をかけて痛みが発生しないようにブロックをしますのでほとんど痛みを生じさせません。ただし針を刺す瞬間だけはチクとします。患者はブロックを行ったことさえわからない程に痛みを感じません。つまり私は痛くなく、リスクが極めて少なくもっとも効果的な治療を提供できます。 
 神経根ブロックは治療効果が非常に高く神経痛に極めて有用で、これを痛くなく安全行える場合においてはこれ以上の保存的治療法が存在しない程に強力です。

腰痛・神経痛で手術を勧められた方に手術回避の秘策

脊椎固定術を拒否する理由
1、成功率が低い(痛みが改善しない)
症状の原因は椎間孔の狭窄にあります。椎間孔狭窄の原因は主に上関節突起の変形です。が、脊椎固定術は下関節突起を上方に持ち上げて固定する手術なので上関節突起の変形に対して手が加えられません。多少手を加えるとしても椎間孔の最狭部に到達することはほぼ不可能です。よって固定術を行っても椎間孔狭窄は改善されず痛みが改善しないことがあります。改善したとしても狭窄が残っているので再発しやすいと言えます。これが脊椎固定術の問題点です。

2、固定術後に脊椎変形が急速進行する
脊椎を固定するとその部分は屈伸も回転もしません。よって背骨を曲げ伸ばしした際に固定した箇所の上と下の椎間に大きな負荷がかかります。手術から数年経過後、固定個所の上下椎間で新たな椎間孔狭窄が起こるようになります。

3、新たな腰痛発生
固定した箇所の上下椎間の関節は急速に変形します。その際の痛みは腰痛や違和感となり極めて不快な症状の原因になります。
4、何度も手術を受けることになる
固定した上下に新たな椎間孔狭窄が起こることは手術前から予想できます。手術後に新たな椎間に症状が出ればさらに広範囲の再固定術を行います。こうして何度も手術をする最悪なパターンが存在します。
5、固定術後に症状が悪化した場合に見放される
 手術は最終手段です。後がありません。術後は様々なブロック注射が困難となります。手術前ならブロック注射で症状を緩和できていたものが、術後は何もできなくなり医師から積極的な治療を受けられなくなります。
6、固定器具の除去手術をする人もいる
 固定術後の背中の痛みや違和感に耐えきれず担当医に挿入した器具の除去手術を願い出る患者が少なくありません。除去した患者はそれまでより楽になることが多いようですが、除去するとどうなるか?の研究がないため結果は未知数であり医者は否定的です。
脊椎固定手術を受けると上記のような不具合が予想されます。手術を回避できるなら回避すべきです。そこでどうすれば手術を回避できるのかの秘策をお伝えします。考えてみてください。椎間孔狭窄は高齢者になれば100%全員に起こります。しかしたいていは症状が出ません。症状が出る人でさえ、症状が出現した日の前日は症状が出ていません。徐々に症状が出る人でさえ、ある日突然その症状が急に悪化しますが、それまでは耐えることができていました。問題は椎間孔の狭さだけではないということです。原因は神経根の腫れにより狭い椎間孔内で圧迫や摩擦が起こることです。ならば神経根の腫れを引かせることができれば症状が出現する前に戻れるということです。これが秘策です。そのためには神経根ブロックが絶対に必要です。それ以外の硬膜外ブロックなどでは治せません。神経根ブロックについてはこちら→

腰椎椎間板ヘルニア 切らずに治すブロック治療

手術のデメリット 手術は内視鏡で行うと手軽で傷跡も残りませんので担当医に強く勧められると思いますが、デメリットがあります。

1,ヘルニアの除去と髄核摘出により椎体間が狭くなり、椎体が不安定な動きをするようになります。ちょっとした油断でぎっくり腰になりやすくなります。
2,椎体が不安定な動きをするようになった結果、椎間関節にかかる負担が大きくなるので将来的に椎間関節の変形が進みます。平均余命が長いのでヘルニア手術経験者が長生きすると変形は必至となり以下のようなる可能性が高まります。
3,椎間関節の変形が進む可能性が高くなり、いずれは椎間孔が狭窄します。そこを通る神経根が圧迫され、これが新たな坐骨神経痛や歩行障害を発生させます。この症状が進むと運動神経が損傷し、休み休みでなければ歩けなくなります。さらに症状が進むと自力で数メートルしか歩けなくなり、将来的に寝たきり生活になる確率が上がります。

 椎間板ヘルニアの手術は比較的楽にでき、症状も軽快してメリットは大きいのですが、その後、10年以上経過するといろんなマイナス面が起こります。将来のことを考えるとなるべく手術しない方が得策ですが、多くの方は早く痛みを除去してほしいという目先の利益を優先させるがゆえに手術を選んでしまうようです。

 ヘルニアがあっても高齢者の多くは無症状です。またヘルニアは自然に吸収されることもあるので待つという方法は治療法として有用です。どうしても我慢できない痛みは座薬やブロック注射でしのぎ、2週間ほど安静にしていられるのであれば神経の炎症は落ち着いてたいていは元の生活に戻れるようになります。この2週間をやり過ごせれば手術回避が可能です。

 ヘルニアによる神経痛治療としてのブロック注射は神経根ブロックの一択です。硬膜外ブロックでは不十分です。手術するかしないかを決断するのに、効果が低い硬膜外ブロックで「ブロックが効かないから手術」と判断を下すことは短絡的です。神経根ブロックは「どの神経が原因となっているのか?」を正確に診断するためのツールでもあるので、治療かつ診断も行え、これ以上の保存的治療は存在しません。
 神経根ブロックをするにはそれ相応の設備と医師の高度な技術が必要です。高度な技術を持たない普通の医師は神経根ブロックを行う際に神経に直接針を刺します。この時、患者には耐えがたい苦痛が生じます。この苦痛は二度と経験したくないという程であり、手術を受けるよりもこのブロックを受ける方がつらいという方が少なくありません。これでは本末転倒です。
 よって、神経根ブロックを行うためにはそれをほぼ無痛で行うことのできる高度な技術を持つ医師を探すのがベストです。しかし、手術治療を優先する大学病院ではそのような医師はなかなか育ちません。
 私は神経根ブロックを専門とし、神経に針を刺さず、寸止め注射ができます(抵抗消失法という)。また、寸止めなので根動脈を損傷することなく極めて安全です。一般的な神経根ブロックの手技ではは神経損傷と動脈損傷のリスクが高くおすすめしません。私の神経根ブロック手技の解説はこちら→

突発性難聴で耳鼻科医を変える必要性

突発性難聴は患者の3分の1は「全く改善しない」ことが耳鼻科学会で言われている難病です。

「全く改善しない」の定義はおおむね3か月間治療しても改善が認められないことを言います。現医学では3か月の治療で改善しない場合、今後どのような治療を行ったとしても「聴力が回復することはない」ことを宣言します。しばしば有毛細胞の壊死という言葉を用い、「有毛細胞が再生しないので治らない」と宣言します。

 さて、当院では東洋医学であるヒーリングと西洋医学の上頚神経節ブロックを用いて「全く改善しない」と定義された患者たちの多く(7-8割以上)を現状よりもよい状態に改善させる実績を持ちます。その改善幅は非常識であるため、担当医は「奇跡だ」と言います。

 しかしこの実績は耳鼻科学会では信じられないデータですから次のような対処をされる可能性があります。

1,測定誤差 :改善していても「これは測定誤差内」と言われ、「改善していない」と医師が患者に宣告する

2,計測のやり直し :検査者が前回のオージオグラムを見て、検査前に測定値を予測しておき、それ以上の値が出た場合はやり直しをさせ、前回の検査値に落ち着かせる。

3,データ捏造1 :検査者が前回のオージオグラムを見て、その値の前後から測定を開始する。検査のスピードを上げると患者が聞き取りにくくなります。

4,精神異常者と診断 :データが捏造できないレベルまで患者が回復した場合、患者が異常と精神異常者であると診断し、患者の検査成績は「異常な精神行動からのもであり信用に値しない」と判断する。

 これらは実際に当院の患者からの申告により発覚したものでありこれらが耳鼻科医の威信を汚すためのものでないことを述べておきます。あくまで患者の発言であり証拠を追究しない姿勢です。

 耳鼻科学会では定着した突発性難聴は治らないと宣言していることにより、改善した場合は「検査者のミス」と判断されてしまうという悪しき現状があります。つまり改善していると検査者が医師から叱責されます。きちんと計測できていないと判断されるからです。こうした状況によりこれらのデータ捏造が起こると見ています。

 よって突発性難聴を3か月以上かけてじっくり治そうと考えている方は定期的に検査をするクリニックを変え、検査結果の正当性を見ていかなければならないかもしれません。

新型コロナワクチン接種後死亡例に科学的根拠

ワクチン接種後の死亡例に対し、科学的根拠なしという発言をすることは科学的に禁じられています。これをご存じない医者や科学者、マスコミ関係の方が多いようです。

医学的には全ての病態や疾患に「原因が明らかに一つしかない」ということのほうが極めて稀であり、死亡原因には様々な原因がからみあっています。

単独の原因で死亡することはほぼありえず、死亡したのであればその原因やきっかけは基礎疾患や体質、遺伝的なもの、環境、精神状態など様々であり、その一因にワクチン接種が関わっていることは「タイミングで推測」されるものです。

 したがってワクチン摂取直後に死亡した例に対して「ワクチンとの関連に科学的根拠なし」と言うことはあまりにも科学を冒涜した言葉です。

 医学とはわずかな関連性を調べて行く学問であり、関連の度合いを%であらわして、%の高いものから診断名が挙げられていくという診断方式をとります。ワクチン接種後に死亡した場合、その関連性の割合は非常に高く、当然ながら原因の上位に挙げられます。

 その関連性に関しては現代の科学力の全てを結集したところで「関連性がないことを証明することが不可能」という原則があります。これが科学的な原則であり、なんぴとたりとも崩してはいけません。

 関連性があることを予想することはたやすいのですが、「関連性がない証拠を挙げることは科学的に不可能」であるという科学の規則にのっとって私たち科学者が論文を書いています。よって、死亡原因とワクチンに関して「科学的根拠がない」と宣言する者は科学者ではありません。

 では「科学的根拠がない」とは何語なのでしょう? これはみなさんも知っているように「裁判用語」です。容疑者に対しての用語です。

 つまり、この用語を用いることは「死亡させたのはワクチンのせいである」という容疑が掛けられていることが判明しており、すでに科学的根拠がないという用語を用いただけで「関連性を認めている証拠」となっているわけです。

しかし、その罪から逃れるために「証拠を出せ」としらをきっているという状態を表しています。

しらを切るのが一般人ならよいのですが、医者や教授、科学者、マスコミや大臣がそれを言ってはいけません。

医学は犯罪学ではありません。責任逃れを研究する学問ではなく、むしろ責任(原因)を追究する学問です。ですから「科学的に「関連性に根拠(証拠)なし」」とは公人が言ってはいけません。科学が発言を認めていない用語について「科学的に」という言葉を使うことは詐欺に当たるからです。

 また、蛇足ではありますが、「統計学的に関連性が認められる」という言葉をよく耳にしますが、統計学ではそれを「原因」と言ってはいけない決まりがあります。本当に原因になっているかどうかは統計学では白黒をはっきりさせることはできないことが統計学の原則であり、その原則を破ると統計学自体が学問ではなくなってしまい崩壊します。

 つまり、統計学では「原因であること」を言ってはいけない決まりがあり、この決まりを破って「〇〇の原因は××だと統計学的に言える」というようなことを言う教授がいますが、その発言はそもそも統計学の規則を破っており、詐欺にあたります。科学者は詐欺師になったら終わりですから、絶対にそのような発言をしないことが普通です。

 同様に、「科学的に全く根拠がない」という用語は科学を崩壊させる言葉です。崩壊させておきながら「科学的に」というのですから詐欺なのです。

 私たち科学者はこれらの原則を破ることを固く固く禁じられています。それは科学を自ら壊す発言だからです。科学者が自身の土台となる科学を否定したのでは理論を打ち出しても認めてもらうことはできません。だから「絶対に言ってはならない用語」というものが存在し、それが今回の「科学的に根拠はない」という言葉です。

 私たち国民は一人一人が義務教育を受け、科学を学ぶ科学者です。だからこそ詐欺を許してはなりません。今後は「科学的に根拠なし」と言う公人たちを糾弾していかなければなりません。そうでなければ私たちは科学を信用できなくなり、科学が崩壊してしまいます。

 コロナワクチン接種後死亡の家族の方々にお悔やみ申し上げるとともに、死亡者家族には国が率先して見舞金を支払ってほしいものです。その際に国側に「科学的に根拠がない」という言葉を発言させてはいけません。

 疑わしい場合は全て保証するのが当然の義務です。再度言いますが「科学では因果関係が全くないことを証明することは絶対にできない」という原則があることを忘れてはいけません。どうか科学をなめないでほしいものです。この原則を犯すことで科学が非科学的な洗脳の道具へとなっていくのですから。私たちはそうさせないためにも科学を守って行く必要があります。さしずめ今回の用語はマスコミで絶対に使わせてはいけません。

もっと医学の真実を知りたければ日常損傷病学をすみずみまでお読みください。

ストレートネック、側弯を実際に治す

はじめに 

 私は脊椎を研究する者として今日までストレートネック、側弯、人の重心の研究などを行ってきた。
 脊椎を正しい軸に戻すことは全ての病気に対して (内臓や免疫、ホルモン系、精神系にさえ) 有効と思われる。
 そこで私は自身の経営するクリニックにカイロプラクターを招き、ストレートネックの矯正を希望者に行うということを1年間行った。しかし、X線撮影で確認して脊椎の軸が矯正された方はほとんど存在せず、私はカイロプラクティックによる脊椎矯正の限界を感じていた。 しかし、当院ではある方法で短時間で脊椎の軸を改善させることに成功した。 ここにその例を挙げて行く。

ストレートネック治療例1 53歳女性

↑C3-C7の角度で計測したところ、施術前後で17.3°と大幅に改善している。

ストレートネック治療例2 36歳男性

↑6.3°改善した。改善幅には個人差がある。

ストレートネック治療例3 62歳男性

↑この治療例3では一見あまり改善していないように見えるが、実は第7頸椎(下方の黄色のライン)がしっかり前傾している。

ストレートネックの治療例4 61歳男性

↑施術前後で15°と大幅改善。美しい曲線を描き理想的な改善。

ストレートネックの治療例5 52歳男性

↑前弯角度は17.4°改善されているが、頭蓋底ライン(青)が施術前後で約10°背屈しているために正確な比較ができない。しかし、その影響を差し引いても十分な改善幅がある。

次に胸椎を示す。

胸椎弯曲の治療例1 41歳男性

↑施術前後で側弯が5°改善されている(数値はcobb角)。

胸椎弯曲の治療例 2 84歳女性

↑84歳という高齢かつ高度な側弯変形を持ち、改善の望みがなさそうな例であるが、施術前後で6.9°改善され、かつ胸腰椎の区画だけで身長が1.5cm伸びた。高齢者の身長は縮む一方であり、このように瞬時に身長を伸ばすことができるのは驚きである。

胸椎弯曲の治療例 3 9歳男性

↑この写真は胸椎立位側面像である。この例では本来前に曲がるはずの胸椎がほとんど曲がらずストレートになっている(胸椎後屈症)。施術前後で7.5°の改善を認める。

胸椎弯曲の治療例 4 19歳男性

↑施術前後で3.6°の差しかないが、全体的なバランスが整えられている。

次に腰椎を示す。

腰椎の弯曲治療例1 62歳男性

↑腰椎は仙骨に固定されているため頸椎や胸椎のような自由度がなく、そのうえ腰椎の軸が変化すると重心が変化するため弯曲矯正は簡単には行かない。上の治療例1では一見まっすぐで正常に見える。しかし写真右(施術前)をよく観察すると黄色の椎体のラインと赤の棘突起のラインのバランスが悪いことに気づく。黄色のラインの左右の中心に赤いラインが来るのが正常であるが、この例では左にシフトしている。これは椎体が捻れ(回旋し)ていることを意味する。
 施術後の写真(左)では赤のラインが黄色のラインのほぼ中央に来ており、捻じれ(回旋)が改善されたことがわかる。

腰椎弯曲の治療例 2 44歳女性

↑角度の改善は大幅ではないが、腰椎弯曲の形態に変化が見られ、重心がしっかり左にシフトしていることがわかるこうした”形態の変化”は「脊椎の軸治療は角度変化だけでは評価し得ない」ことを示している。


脊椎を自在に操る施術とは

 ここに掲載の脊椎矯正のデータはほとんど本日から数か月以内に撮影したものである。その意味は「この治療を開始して数か月しか経過していない」ということ。治療はほぼ1回きりであり、従来のカイロプラクティックのように毎週1回×半年間というような通院期間がないことである。ほぼ全て、30分から60分の施術1回で脊椎のバランスを変えてしまうことができるのである。しかも、側弯や前後弯、捻じれ(回旋)など3次元的に複雑な脊椎の形態をモニターなどを見ることなく手の感覚だけで治していく。
 その施術はなんと「手を当てるだけ」なのだ。押したり、もんだり、捻ったりすることは全くなく、ただ「手を当てるだけ」。この施術をもっとも近い名前で呼ぶならば”ヒーリング(量子波ヒーリング)”だ。

 私の医院では慈佑先生(真言宗阿闍梨の修行中)にヒーリング(ご加持とも言う)の施術していただき数々の難病患者を救済していただいている。しかし脊椎矯正を開始したのはわずか数か月前のことであり、私は正直言ってヒーリングにこれほどのパワー(生体バランスを変えてしまえる力)があることを知らなかった。ただし誰もができる能力ではないので世の中にこの治療法が普及しようがないのは残念なことである。

脊椎矯正を受けた人の声

本症例の最初に掲載した「ストレートネック治療例1 53歳女性」の方が施術後の体調改善の様子をメールしてくださったので原文のまま紹介する。

「おはようございます。昨日はありがとうございました!
昨晩は久々に鎮痛剤を飲まずに朝まで眠れました!ただ寝た、という感じではなく、地球の裏側から引っ張られたみたいに眠りに落ちました。今までが意識があるような眠りだったので、これ死んじゃうんじゃない?という感覚でちょっと怖かったです笑あと、最近常に歯をくいしばってしまう癖があったのですが、なくなってました。当然、朝、スッキリ。緩んでいた骨格がぐぐっとはまって安定したような感覚もありました。鏡見たら左右の骨盤の高さもほぼ同じになってます

 立ちっぱなし座りっぱなしだと腰とスネに少し痛みと痺れが出ますが、かなり軽くなっています。しかも朝イチよりも今の方が更に治ってる!
久々にお弁当も作れたので、娘も、なんで?なんで?と(よく知ってるくせに)驚いてました。笑
2~3日仕事を休んで更なる回復を実感したいと思います(emoji)またご報告させていただきます。
 いつもながら不思議ではありますが、すごいです。
また経過報告いたします! 」

脊椎矯正と未来の医療、考察

 実を言うと脊椎の軸異常に関する研究は医学的には極めて遅れていて「全く何もわかっていない」に等しい。私は少しでも脊椎の理解を深くするために「脊椎の力学」を徹底的に研究した。その結果、神経が脊髄の正中でクロスして反対側に走行する理由が「神経線維に伸縮性を持たせるためであること」を私は発見した。
 と、同時に脊髄はその直径程の長さの伸縮性しか持ち得ず、それ以上引き延ばされると神経細胞(節前線維)が破損すると理解した。
 ところが脊椎にあの特徴的な弯曲(頸椎が前弯、胸椎が後弯、腰椎が前弯、仙椎が前弯)が失われると、脊柱管の全長が伸びてしまい、その中に容れられている脊髄が引き延ばされてしまい、その結果、脳や延髄までも引っ張られ、様々な脳神経の病気をもたらすと結論付けた。それが私の言う「脊椎・脊髄不適合症候群」である。

 私はまた、安全な上頚神経節へのブロック方法を開発し、それを突発性難聴の患者の治療へ用い好成績を収めていた。そのため私の元へは全国から難聴・耳鳴り患者が集まり、幸運なことにその患者たちの頸椎のXPを研究するチャンスを得た。その結果、私の予想通り、突発性難聴の8割以上の症例でストレートネックがあった。やはり、ストレートネックは脳神経・延髄・自律神経系へもダメージがあるのだと確信した。

 そこで私は米国からCBCカイロプラクティックを学んだというカイロプラクターを招き、難聴があってストレートネックがある患者にカイロプラクティックを受けてもらった。しかし「ほぼ誰もストレートネックの改善が見られない」という結果だった。その上、施術自体に痛みを伴うため苦情もあり、ストレートネック治療自体をあきらめた。私は元々整形外科医であり脊椎を熟知しているが、ストレッチをしようが、物理的に矯正しようが、脊椎の軸異常は「何をやっても簡単には治らない」ことをよく知っているし、実際に思い知らされた。

 ところが当院で量子波ヒーリングを行っていた慈佑先生が「脊柱側弯があって背中がぼこっと出ている人でも私が手を当てれば引っ込みますよ。」と私に教えてくれました。もしかして脊椎の軸異常が矯正されているのかもしれないと思いXPをとると…上記のごとく見事に脊椎が矯正されているのだった。しかも、施術は30分程度。痛みもなく軽く手を当てるだけ。まさに信じられないことが私の目の前で起こったのだった。今後、この治療は多くの人々の不定愁訴的な慢性病を救う手立てとなると確信している。

量子波ヒーリングについて

 量子波ヒーリングでは施術者の手から3次元世界では測定が難しいエネルギー波が出ていると考えられる。測定が難しいのでそのエネルギーは「量子的であろう」と推測され、量子波ヒーリングとネーミングされている。

 その量子波には生体場の情報が含まれており、その情報を元に骨や筋肉はバランスを保つと推測される。しかし、狂った生体場情報をまとっていると背骨が曲がってくるのではないだろうか。そして量子波ヒーラーは狂った生体場の情報を書き換えることができる。そのため一瞬で背骨が矯正されてしまうのではないだろうか。この理論はまだまだ空想的ではあるが、実際には生体場の理論は1900年ころから研究されていて論文も散見する。もしそれらの詳細を知りたい方は「量子医学」のサイトを訪れてほしい。

日本で新型コロナ感染者数が少ない理由 ~神仏論~

 2020年12月18日現在、新型コロナの世界感染者数は7453万人,死亡165万人。米国で1701万人,死亡31万人、インド996万人死亡14万人、ブラジル705万人死亡18万人に対し日本は19万人死亡2793人と低水準で推移しています。日本での同ウイルスによる死者が少ない理由として、過去に罹患しているという説、日本脳炎予防接種説など、そもそも同ウイルスへの免疫を既に獲得しているという説が言われています。

 しかし、ここでは日本を守護する神仏の力によって疫病退散が行われているという科学的なデータを示したいと思います。その信ぴょう性については各自が吟味してくだされば幸いです。

 12月14日、毎日新聞では「忘れられた神「牛頭天王」に光を」という記事がとりあげられ、にわかに牛頭天王が注目を浴びています。牛頭天王は疫病退散の神として江戸時代は祇園社(八坂神社)に祀られ、日本で最もポピュラーで知らない人がいない神様でした。

 しかし明治時代に政府の神仏分離政策のために神社から急激に排除され、ほとんどの像が川に流されるなど私たち国民はこの神様に対し大変大変失礼なことをしてしまいました。都合の良いことに新型コロナ拡大により、再び牛頭天王を崇拝する動きが活発化しました。困った時の神頼みです。

■牛頭天王が慈佑に降臨

 東京都江戸川区「癒庵」で量子波ヒーリングを施術し難病の方々を救っている慈佑(現在は真言宗阿闍梨見習い)は、巫女として様々な神仏を降臨させることができます。私は慈佑に神仏が降臨した記録を可能な限り全てビデオに収めています。その上で2020年3月30日に牛頭天王と思われる方が慈佑に降りて来られました。

■降りた神仏が牛頭天王とする根拠

  • トランス中、頭に角が生えているイメージが浮かんだこと
写真は2020/3/30撮影、角に触れている
  • ポーズが牛頭天王に一致していること
3/30撮影、胸を張り口がへの字に
牛頭天王様像
  • 牛をイメージさせる動きをすること。手をグーにして体重を支えるという特徴的な動作。
手をグーにして4つん這いの姿
牛をイメージさせる
  • 慈佑の産土神社が大分市の弥栄神社であり、牛頭天王が産土神であること。
大分市弥栄神社

■第1回目の疫病退散の行法

 2020年3月30日、慈佑に牛頭天王と思われる方が降りて来られ、約10分間、印を結び地面に印を描くなど、約10分間の行法をされました。

3/30撮影

■第2回目の疫病退散の行法

7/25撮影、前回と同様4つん這いに

 2020年7月25日、前回と同様な動きをされる方が降りて来られました。3月30日に撮影したビデオと今回を比較し、この方は牛頭天王であると判断。約11分の行法をされました。

■第3回目の疫病退散の行法

 2020年12月16日、同様に牛頭天王に特徴的な動きをされる方が降りてこられました。手をグーにして体重を支える姿勢が特徴的です。

12/16撮影
特徴的な姿勢

今回は今まで以上に綿密に行動されていて、手に字を書いたり、糸巻きをして繭のようなものを作ったり、それを伸ばしたりしていました。

手に字を描いているところ
繭のようなものを作って両手で持つ
引き延ばしているところ

■新型コロナの感染者数と降臨日を比較すると

 次のグラフはNHKが発表している国内感染者数の推移グラフに、慈佑に牛頭天王が降りて行法をされた日を加えたものです。

 このグラフから、3月30日と7月25日の2回とも、牛頭天王降臨のほぼ2週間後から感染者数が減少していることがわかります。3回目の降臨が12月16日なので、私たちは12月30日頃をピークとして感染者数が減少すると予想しています。

■牛頭天王の恩恵を受けて感染が抑えられている

 慈佑は3月30日に初めて牛頭天王が降りて来た時点では牛頭天王の御身姿を知りませんでした。よって意図的に牛頭天王を意識してこれらのポーズをとったわけではありません。また、この3回の降臨日以外で四つん這いになってグーで支える(牛頭天王を思わせる)ポーズをとったことは1日たりともありません。

 もしも本当に12月30日前後に感染者数のピークが来れば、牛頭天王降臨の日と感染者数減少の関係性は「偶然ではない」と結論付けられるでしょう(3回とも1日以内の誤差でピークが一致することは偶然では不可能)。その偶然性を強調するために、本日、12月19日に公表することにしました。

 ちなみに、感染した日と症状が出て抗体検査してその結果が出る日までのギャップは、ウイルスの潜伏期間などを考えると2週間前後と考えられます。すなわち、牛頭天王が降臨した日は真実の感染者数(潜伏者を含む)が最大であった日であると理解できます。つまり、牛頭天王の行法の恩恵を受けて感染者数が減少したと言えるわけです。

■牛頭天王に感謝の意を持ちましょう  慈佑に牛頭天王が降臨した日と感染者数の関係性が3度も一致することになれば、これは科学的に考えても「もはや偶然では起こらない」と言えるでしょう。これを事実と受け止めるかどうかは各自に任せますが、少なくとも、「日本のコロナ感染による死亡者数が少ないのは牛頭天王の恩恵に寄与するところがある」と感じた方々は、ぜひとも牛頭天王に敬意と感謝の意を示してください。科学により日本人の信仰心はどこ吹く風となってしまっていますが、今一度神仏への感謝をし、わが国が神の国であることを思い出していただければ幸いです。

腰部脊柱管狭窄症に対するF式ルートブロックの治療成績

はじめに 

私は「他の医者が治せない難治性」腰椎椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症を奇蹟的に治すことを専門としています。奇蹟とは「他の医師がどうやっても治せなかった症状を治すこと」と私は定義しています。そしてこれまで、手術しても治らない、手術するしかないと言われている、有名な専門クリニックに何か所と通っても治らない、という極めて難治性の高い患者を主に治療し、以下のように良好な治療成績をおさめましたので報告します(決して誇大報告をしていません)。

難治性とは「他の医師が治すことができなかった」と定義します。難治性の分類は以下のようにしました。

1A:整形外科での治療が無効 13例

1B:整形外科+鍼灸などでの治療が無効 4例

2A:ブロック注射治療でも無効 5例

2B:ペインクリニックでのブロック注射でも無効 10例

2C:あらゆる専門クリニックでの治療でも無効 5例

3A:手術しなければ治らないと言われている 7例

3B:手術後再発・悪化 4例

3C:手術無効・術後悪化 14例

対象

2015年4月から2019年2月までの期間に神経根ブロックを行った72名中、当院の近郊から来院した15名と、前医での治療が有効であった2名を除いた57名。男女比40:17、平均年齢は61.2歳。

※近郊から来院した患者は治療前歴がない者が多く、難治性を定義できないため除外。前医で治療効果があった者は難治ではないので除外。

判定基準

無効:治療効果が1週間未満

やや改善:数割程度の改善(1週間以上)

良好:症状が半減(1週間以上)

著効:症状が7割以上改善(1週間以上)

全治:症状が7割以上改善(1か月以上)

完治:症状消失(1か月以上)

結果

  • 全体の治療成績
無効 やや改善 良好 著効 全治 完治
4 2 6 3 27 4

無効が8.7%と1割以下。有効が91.3%。前の医師たちが治せなかった症状に対して、9割以上の有効率を出すことは現医学では理解を超えたレベルです。しかも、著効+全治+完治が73.9%。と大半を占め、「単なる有効な治療」ではなく、劇的に効果があります。F式ルートブロックは現代医学の常識を超えた治療効果を期待できます。

  • ブロック無効群に対する治療成績
/ 無効 やや改善 良好 著効 全治 完治
2A 0 0 0 0 4 1
2B 0 0 2 2 4 0
2C 0 0 1 0 1 2

ブロック治療は腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症の治療において保存的に行う最終兵器です。その最終兵器を用いても無効という結果に終わった絶望的な患者群であり、常識的にはこうした患者にブロック治療をしようとする医師はいません。それでも腕に自信のある有名な医師たちが様々なブロックを試みます。が、それでも治らなかった群が2C群です。F式ルートブロックでは2C群5例に対しても無効例がなく、良好1、全治1、完治2、不詳1というような奇蹟的な治療成果をあげています。

 F式ルートブロック上記のグラフのように、ブロック無効群に対して100%有効であり(不詳3例除外)、かつ「やや改善」がなく、全例が良好以上、かつ著効以上が8割以上と劇的な効果をあげています。

 この結果はF式ルートブロックが現代医学のブロック治療技術を超えていることを示しており教科書的なブロック技術が疑問視されるきっかけとなるでしょう。すなわちブロック技術は医師の裁量により効果に大差が出るということを明らかにしています。

・手術待機群の治療成績

 手術待機群(3A群)は「これまであらゆる治療を行ってきたが改善が見られないため、手術以外に治療法なしと言われ、手術を予定している」患者群です。つまり私の元へ治療をしに来なければ、手術をしていた患者たちです。

/ 無効 やや改善 良好 著効 全治 完治
3A 0 0 1 0 4 1

完治と全治が8割以上を占め無効がありません。この結果は脊椎外科界に波紋を投げかけます。「あなたの受けようとしている背骨の手術は、本当に受ける必要があるのか?」という疑問を喚起します。全治と完治が8割以上だからです。

 ただし、これはF式ルートブロックだからこそこの成績を出せるのであり、普通にブロック注射を受けるだけではこれだけの成績は出ないでしょう。

・手術無効群(3B+3C群)に対する治療成績

 手術をして一度軽快した後に再発の3B群と、手術しても改善しなかった3C群への治療成績を示します(手術を複数回行った症例も含む)。

/ 無効 やや改善 良好 著効 全治 完治
3B 1 1 0 0 2 0
3C 0 1 5 2 3 1

 常識的には、手術を何度行っても改善しなかった症例に対し、積極的な治療をしようとする医師はほとんどいません。理由は、手術はブロックよりも効果が高い治療と思われていて、「手術でダメなものにブロックを行っても無駄」という考えがあるからです。また、治療のリスクが大きいこと、脊椎に挿入した固定器具の陰影により透視下のブロックが困難だからです。

 手術しても無効である症例に対し、F式ルートブロックでは無効が16例中1例と極めて少なく、絶望的な症例にも十分な効果を発揮しています。ただし、著効+全治+完治=50.0%であり、他の群に比べると成績が劣ります。これは治療効果が持続しないことが最大の理由です。術後は脊椎の変形が著しく、物理的な圧迫はF式ルートブロックでも解除できないため持続効果が得られにくいこと考えられます。

 しかしながら、症状を軽減させる方法が他にないという状況下においてF式ルートブロックは腰椎治療の最後の砦として成立しています。

・整形外科で無効群の治療成績

/ 無効 やや改善 良好 著効 全治 完治
1A 3 0 0 1 5 2
1B 0 0 1 0 2 0

整形外科+他の代替医療で無効群は未だブロック治療や手術を経験していませんので、難治症例に入れるべきではないかもしれません。ブロックや手術をすれば「治る余地」が残されているかもしれないからです。

 しかし、治療成績は意外にも無効例3例と他の群に比べて無効の率がもっとも高いという結果でした。この理由は次の二つが考えられます。一つは、患者が「自分の重症度を理解していないため、日常生活で腰をいたわるなど努力を全くしていない」こと。もう一つは「腰椎由来の腰痛ではなく、脳由来の腰痛」である可能性があげられます。

 当院では脳由来の腰痛を上頚神経節ブロックで改善させた例が多数あり、現医学では理解できない腰痛が存在することを明らかにしています。

F式ルートブロックの合併症

 F式ルートブロックの合併症は0件です。ブロック中に痛みを訴えた患者は0例であり、「痛みをほとんど感じないブロック」です。ブロック後数日間、強い痛みを訴えた例が数例ありますが、その数日を過ぎると痛みが劇的に軽減し、これは合併症ではなくリバウンドであると判断しています。

 また、F式ルートブロックは造影剤を0.5㏄しか用いません。よって造影剤による悪影響もほとんどありません。さらに照射する放射線量が極めて少なくなる方法をとっており被ばくによる悪影響がほとんどありません。

 直接神経に針を刺しませんので神経損傷や根動脈損傷のリスクがほとんどありません。

まとめ

 F式ルートブロックは侵襲の少なさ、安全面、かかる費用、治療効果などの面から見て、世界最高の腰痛関連疾患治療法であると宣言します。そしてこの治療法が腰椎治療の最後の砦としての役割を担っていると思います。

 ここではF式ルートブロックの詳細は述べません(企業秘密です)。世の先生方は自分の手術技術、ブロック技術を奢らず、本治療法のように患者たちを救う方法があるということを認識し、患者たちを救済するために切磋琢磨されることを希望します。他の医師たちが編み出した定型的な医療技術に頼り過ぎず、創意工夫で常識を超えることができることを知りましょう。

おわりに 若き医師たちへ

 手術をしなくてもルートブロックで治せる腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症の例が想像以上に多くあることを理解し、手術はあくまで、そうした治療が無効だった場合の最終手段とすべきであることを心に刻んだ方がよいでしょう。

 私は手術をして改善しなかった・悪化したという患者をこれまで多く救ってきましたが、「手術をしなくても私のブロックなら保存的に治せたであろう」患者を診てきました。脊椎固定術後にその両端の椎間が激しく変形して行く様子を見れば、手術は万能ではないことがわかります。

 また、整形外科医はリスクに対応できないという理由でブロックをしない医師が多いと思われます。しかし、腕のある医師に紹介すれば治る可能性があることを理解すべきでしょう。外来で治らないから即手術という考え方は乱暴でデリカシーがありません。

 最後にペインクリニック科の医師は、痛みの治療難民を救おうとして頑張っていることを知りましょう。しかし、ブロックは変形した脊椎、術後の脊椎では極めて成功率が低くなり、場合によっては毎回ミス注射になっていることがあるということを真摯に受け止めましょう。ミス注射はやり直しをすればミスにはなりませんが、やり直すためには常識を外れた精神力を持たなければなりません。そして常識を超えたところに「腕を磨くための唯一の道」があると信じ、努力していただきたいと思っています。

 超一流の腕を持つ名医よりも、少し下手でもやり直しをする医師の方が治療成績が上になります。たやすく手術に逃げない医師になるために、がんばってください。

あきらめないことで奇蹟的に回復した突発性難聴

はじめに

 当院には他の病院(大学病院も含む)で改善しなかった難治性の突発性難聴患者が来院します。突発性難聴はあらゆる治療を行ったとしても、約3分の1が難治性であり全く改善しません。この難治性の突発性難聴を医学的には治す方法がありません。

 この全体の3分の1と言われる「治らない突発性難聴の症例」に対し、私は上頚神経節ブロックを行うことでそのうちの60~70%を回復させることができます(詳しいデータはこちら)できます。しかし、逆に言うと上頚神経節ブロックでも改善しないケースが30~40%あります。これは突発性難聴全体の約10%に当たります。つまり医学的には全く回復することがない不幸な突発性難聴が全体の10%です。

この不幸な10%に対し、量子波ヒーリングを施術すると、そのうちの3分の2を改善させることができた(データはこちら)のは驚異的です。

ところが量子波ヒーリングを行っても改善しない超不幸な突発性難聴が全体の3~4%存在します。この超不幸な突発性難聴の症例では、治療をいつあきらめるのか? あきらめず続ければいつかは回復することがあるのか? のはざまで悩むことになります。

今回、あきらめずにご加持の施術を約1か月間受け続けた43歳の患者が奇蹟的に回復しはじめ、発症から2か月と2週間経過した現在も少しずつ回復し続けているので報告します。あきらめなければ回復し続けるという貴重な症例です。

症例 43歳男性

既往歴 左耳難聴(2012年発症)63.8db(4分法)

現病歴 10/3 右耳に難聴出現。10/4~10/15まで都内K記念病院に入院するが全く改善が見られず退院。10/15当院初診。K記念病院では星状神経節ブロック、混合ガス、鼓室内注射、点滴と、日本でこれ以上ないと言われるほどの徹底した最高峰の治療を受けた。しかし全く改善を認めなかった。

経過 10/15から初回治療を行い、10/23まで量子波ヒーリングと上頚神経節ブロックをそれぞれ5回受けるがほとんど改善が見られませんでした。通常ならばこれであきらめるところですが、左耳にも難聴があるのであきらめきれず、本人は量子波ヒーリング(K先生)の力を信じ、治療を継続することにしました。その後3週間、10回の治療を行ったところ、11/14には全体的な回復が認められました。その後も治療を続け、12/4にはさらに改善しました。

考察 本症例は2週間の入院治療で現医学で効果があると思われる治療の全てをし尽くし、そしてそれらが全く無効の超不幸な突発性難聴です。「治る見込みがない」状態をこのように改善させることができたのは、上頚神経節ブロックのおかげであるとは考えられません。なぜならば上頚神経節ブロック単独の治療においても、最初の2週間は全く改善しなかったからです。これまでの私の治療経験では、これほどの難治例が改善したケースは一例もありません。本データは驚くべき結果であり、改善は量子波ヒーリングに依存していると思われます。

 もし、最初の2週間で治療をあきらめていた場合、今回のような奇蹟的回復を経験することができなかったわけで、「量子波ヒーリングを信じて受け続ける」ことがもっとも重要であったことがわかります。私たちを信じた結果の改善と言えるでしょう。

今後

 改善は少しずつですが聴力は改善し続けており、このまま治療を続ければ、どこまで改善するのかが大変興味深い症例です。結果は追って報告したいと思います。

発症20か月後に奇蹟的な改善を認めた突発性難聴

突発性難聴は「1/3が自然治癒。2/3が全く治らないか後遺症となる。」と言われる難病です。現医学では有効な治療法がないと言われており、治療はたいてい発症後約1か月で打ち切りとなります。

星状神経節ブロック、鍼灸、高圧酸素、鼓室内注射など様々な治療が行われていますが、2週間治療しても改善が認められなかった場合は、それ以上治療を行っても改善する見込みはほとんどありません。

私たちは上頚神経節ブロックに量子波ヒーリングを併用し、発症から5か月以上も改善させ続けることに成功した4例を前回発表しました(詳細はこちら)。この4例は医学的には考えられない奇蹟的な改善です。

今回はそれらをさらに上回り、580日間、改善することがなかった突発性難聴症例に対し念入りな量子波ヒーリングと特殊な先祖供養を行うことで奇蹟的な回復を見せた一例を経験したので報告します。

症例 50歳 男性

現病歴 2017年2月28に右耳突発性難聴を発症。ほぼ全域スケールアウトでした。入院し、ステロイド治療や高圧酸素療法を行い、新橋の鍼灸を1日4回×?日行い、ペインクリニックで星状神経節ブロックなどを受け73db(5分法)まで回復しました。しかし、それ以上の回復は見込めないため発症2か月後に当院初診。

経過

普通に考えればこれ以上何を行っても改善することのない重症突発性難聴でした。2017年4月24日から上頚神経節ブロックを行い、約3か月後に65db(5分法)まで回復させました。しかしそれ以降再発と寛解を繰り返し、治療を何度行っても改善することはありませんでした。

 ところが発症2年後に聴力の悪化が起こり、75dbまで低下します。そこで私たちはこれまで行っていた上頚神経節ブロックに加え、念入りな量子波ヒーリング(1回1時間以上)を2回行いました。その結果44dbまで改善させることに成功しました。

しかも驚くべきことはこれまで少しの改善も見られなかった125Hzが70dbから50dbまで改善したことです。

考察

上頚神経節ブロックで多少の改善が見られましたが、それ以降治療を継続しても改善がみられませんでした。それでも治療を継続した理由は耳鳴り、めまい、ふらつき、気分不快、寒暖差でからだがだるくなるなどの症状があったからでした。聴力は多少の上下はありましたが発症後18か月間、改善することはありません。しかし2018年10月9日のオージオグラムで聴力低下が判明したのをきっかけに患者は「ヒーリングをしっかり受けて治療しよう」と考えました。10月10日と10月24日に念入りなご加持を受け、10月28日に特別な供養を行ったところ11月12日の検査で劇的に改善していました。

神経細胞が再生しない限りこのような改善が認められることはありません。つまりご加持は死滅した細胞部分に新たな細胞を新生させたと考えます。医学的には全く考えられない奇蹟です。

慢性好中球減少症を量子波ヒーリングで改善させる

要約

 血液検査で白血球減少を指摘されることがあります。好中球が<1500μlとなる症例を慢性好中球減少症といいますが原因不明で根本的な治療法がありません。今回私たちは数十年間白血球数が正常値を下回り、最近7年の検査でも(最低1900、最高2600、最近7年間の平均2200)白血球数が少なかった52歳の女性に対し、ご加持治療を行ったところ、今年の検査で3600となった1例を報告します。

症例 52歳女性

 30代から健診の度に白血球減少を指摘され、現在に至るまで健診では1000代から2000代でした。最近7年の白血球数の推移は以下。

 この8年間は白血球分画を検査していなかったため、正確な好中球数は不明ですが、仮に好中球が60%と仮定すると2016年以外は、好中球数<1500μlとなり、慢性好中球減少症の診断基準を満たします。慢性好中球減少症は難病に指定されており治療する方法がありません。

 40代の時に一度骨髄穿刺を行い精密検査を行いましたが、異常な白血球像は診られませんでした。彼女は担当医から「この病気は治ることはありませんので数値が低いのは一生続きます。あきらめてください。」と言われ、特に処方もなく経過観察だけでした。30代に足にアテロームの感染巣、40代の時に左右の鎖骨付近にアテローム感染巣が発症し、その3回とも「白血球が少ないと感染が命取りになる」という理由で切除術を受けています。

量子波ヒーリングの結果

 彼女は量子波ヒーリング後に健診に行き、その結果白血球は3600となり、初めて3000を超えました。担当医には「あり得ないですね。何かしたんですか?」と言われました。もちろん「量子波ヒーリングをしました」と言っても信じてもらえないと彼女は思い、黙っていたそうです。

量子波ヒーリングと白血球数増加との因果関係は、今回の1例報告では不確かではあります。しかし数十年間、一度も3000を超えたことがなかったことを考えると、単なる偶然と考えるべきではないでしょう。あくまで推論です。しかし、量子波ヒーリングでアトピーを治した実績から考えると、量子波ヒーリングには免疫系を正常化させるパワーがあると推測します。今後量子波ヒーリングは、免疫疾患、白血病、アレルギー疾患に現医学が起こせない奇蹟的な成果を起こせる可能性があります。今後の報告に期待してください。

気管支喘息をステロイドを使用せず改善させた3例

はじめに

気管支喘息は現医学では完治させることは難しく、アトピー性皮膚炎の治療と同様、ステロイド治療が主流となりますが、使用を中止すると再発することから、治療になっていないことが指摘されています。減感作療法は手間暇がかかること、アレルゲンが一つではないこと、と重大なリスクがあることから、日本ではあまり普及していないようです。

 当院ではご加持(密教に伝わる伝統的な治療法)で瞬時に喘息を改善させた3例を経験しましたので報告します。ちなみに薬剤を使わず「瞬時」に改善させることは現医学では不可能です。

症例1  T.S.さん 80歳 女性

慢性関節リウマチを約10年前から発症し通院中の患者です。両膝痛、肩が動かない(後ろの髪の毛をさわれない)、両手関節痛、両肘痛、両足関節痛があります。それとは別に約20年前から喘息症状があり、深呼吸ができません(深呼吸すると咳が出てそれが引き金になり喘息症状が出る)。当院の翠蓮先生がご加持を行ったところ、即座に肩が動くようになり、深呼吸ができるようになりました。それ以来深呼吸をしても咳が出なくなったと報告を受けています。ご加持を行うことでリウマチによる関節痛も即座に改善させました。

症例2 T.E.さん 52歳 女性

 当サイトで紹介した慢性好中球減少症の症例と同一人物です。当院で翠蓮先生が1時間のご加持を行ったところ、喘息の回数が半分に減少しました。

症例3 翠蓮先生ご自身

 約2か月前より喘息発作が起こるようになりました。発作時に咳が出現し気管支がヒューヒュー鳴ります。自分で自分自身にご加持をすると咳が治まるということを経験します。また、N寺(師匠のお寺)に行くと全く咳が出なくなります。この喘息発作は1日に数十回起こりましたが、現在、喘息と呼べるような発作(気管支がヒューヒュー鳴る)は起こらなくなりました。

考察 上記3つの喘息はアレルゲンが原因であるアトピー型喘息であるかどうかは不明です。しかし、ご加持がアトピー型であるにせよそれ以外にせよ、おそらく全てのタイプの喘息治療にご加持は有効であり、かつ即効性があると推測します。ステロイドなどの薬剤は即効性がありますが、免疫異常を改善させることはほとんどなく、減感作療法はアトピー型でありアレルゲンが全て特定されるのであれば効果がありますが、そうでない場合には治療法がありません。そうした現状の中、ご加持は即効性と改善の両立ができる優れた治療法であると言えます。

 喘息は体内の免疫システムの異常が根本原因ですが、免疫システム自身を改善させることは現在の医学ではなかなか難しい現状があります。しかし、ご加持は免疫のシステム異常を正常化させる力を持つ治療法として注目すべきです。

「脳梗塞は治る」を広めよう

はじめに

脳梗塞はとても軽度なものを含めると100%全員が患う病気です。MRIにも映らないようなごく小さな脳梗塞は毎日のように私たちに起こっています。認知症も「小さな脳梗塞が脳全体に増えていく」ことで発症します。そして脳梗塞は若くして起これば人生に大きなハンディを背負わせます。それはあまりにも残酷です。 

現医学では脳梗塞が完成してしまうとそれを治す方法がありません。今年、私たちは上頚神経節ブロックご加持という治療法で16歳の少女の脳梗塞を見事に完治させた実績を作りました(詳細はこちら)。脳梗塞は克服できる可能性がある! 私たちはそのことを一人でも多くの方々に広めずにはいられません。

一人の少女の人生が救われました

 2018年1月、一人の少女(Mさん)の左眼に異変が起こりました。左眼の瞼が開かず、眼が全く動かず、焦点も合わず、物が二重に見えます。16歳の少女の容貌が醜くなりました。S医大で精密検査の結果、中脳梗塞と診断されますが治療法がないためそのまま退院となりました。Mさんはバスケットボールのプレーヤーでしたが左眼でボールを見ることができないため遠近感がわからなくなり、キャッチボールさえできなくなりました。16歳の夢が崩れていきます。Mさんの母は必死の思いでネット検索をし、私たちのサイトの「脳梗塞後遺症を治す」の記事を見つけ、そして来院しました。

当院で上頚神経節ブロック+ご加持の治療を約3か月間行い、左眼が完全に動くようになり、眼瞼下垂も完治し容貌も元に戻りました。

発症8か月目で再発確認のための検査MRIを撮り、9ヵ月めのS医大の検診の画像診断では、、、

「完全に梗塞巣が消えてなくなっています。眼の動きもMRI画像上も完治です。こんなことは医学的にはありえません。奇蹟です。本当に信じられません。」

とお母さんは担当医から言われました。お母さんはあらためのその娘への治療の凄さを再確認し、すぐに翠蓮先生に

「すごすぎです!本当に娘は幸せものです。本当にありがとうございます。」

と御礼の連絡をしたのです。翠蓮先生いわく、お母さんは

「回復だけでなく娘は病気になる前の元気で明るい子に戻りました。自分自身の世界観もすごい体験で変ってしまいました」

と言っていたそうです。

赤で囲った脳梗塞部分が完全に消失しました。

Mさんは春から軽音楽部に入部しバンドを組み、今はドラマーとして活躍しています。コンクールで優勝したそうです。一人の少女の人生が救われました。

計り知れない恩恵

脳梗塞は他人事ではありません。高齢になり記憶力や計算力が低下する、運動神経が鈍る、歌が下手になる、などは微小な脳梗塞が少しずつ増えて行くせいです。脳梗塞を治せるという実績はこのような脳の老化を防ぐこと、壊れた脳を蘇らせることができることを意味し、その恩恵は計り知れません。私たちはここで簡単に「脳梗塞を治した」と述べましたが、「脳梗塞を治す」という医療技術は医学史上類を見ないほどの偉業であり、現在の医学が全く追いつけないレベルの技術です。

 この技術を利用すれば高齢になっても脳を蘇らせることができるため、90歳で医学部合格、100歳でゴルフトーナメント優勝などということも夢ではありません。まさに現在の超高齢化社会が望む夢の医療技術です。「脳梗塞を治す」とはそれほど世間を驚かせるほどの大ニュースです。若くして脳梗塞になった少女の人生を救うだけでなく、全人類を救える技術です。

再現性をクリア

 問題は今回起こった奇蹟を「誰にでも起こせますか?」という再現性にあります。他の脳梗塞患者にも同様の治療効果を発揮できるなら、まぎれもなく私たちの実績は医学史上の偉業となります。私たちはすでに医学が見放した嗅覚消失、突発性難聴、認知症などを改善させた実績やエビデンスがあり、多くの方々の脳神経の障害を奇蹟的に回復させています。

 今回のように脳梗塞を完治させた例はそのたくさんある奇蹟的実績のうちのたったの1例です。今後、同様の患者様が来院するたびに実績が増えて行くでしょう。

人間の可能性を広げる

 私たちの治療は脳を再生させることに成功しています。しかし「病気を治す」ことだけが利用価値ではありません。私たちの治療は一時的に脳の活動性を高めることができます。例えば、コンテストに優勝する、オリンピックの個人種目で記録を作る、試験に合格するなどの目的を達成するために力を発揮します。脳をよみがえらせる治療技術は人間の能力を向上させることに応用が効きます。計り知れない利用価値があり、これを知る者と知らない者の間の成績に差が出てしまいます。0.1秒、0.1ポイントを競う決勝戦などで圧倒的な力を発揮してくれるでしょう。

心が痛い実情

 Mさんのお母さんは担当医に質問しました。

「私たちのように十代で脳梗塞になるって珍しいことなんでしょうか?」

すると担当医は即座に答えました。

「いいえ、珍しくないですよ。今でも10代の子が脳梗塞で入院していますよ。」

と平然と言います。

 お母さんはふとこんな考えが脳裏に浮かびました。

「今入院している10代の子も、N医院で治療すれば救える可能性がある。このままここに入院していれば、その子の人生は悲惨なものになる。救ってあげたい。でもどうせ信じてもらえない。その前に、その子の名前や部屋番号を担当医に聞きだすことは無理にちがいない。担当医にN医院のことを教えても本人に伝えてくれるはずがない。」

 全くその通りです。

ご加持の知識を広めよう

 私は上頚神経節ブロックの開発者です。このブロックで脳梗塞をある程度改善させることができます。認知症にも効果があります。医学的には偉大な発明であると私は自負しています。しかし、上頚神経節ブロックには脳梗塞を改善させる力はあっても、完治させる力はありません。完治させるには脳神経細胞を完全に再生させる必要があり、それは現医学では不可能です。したがって、完治させることができたのはご加持の力です。

 ご加持は弘法大師様(空海)が日本に伝えた真言密教の医療技術です。1200年以上の歴史のある格式の高い治療法です。ご加持を行うには霊能力が必要ですので一般の人には伝授できません。ですが1200年前から現在に至るまで霊能者の間で脈々と受け継がれています。

 これを世間に広めることには宗教的な、社会的な種々の問題があります。問題があるからこそ1200年もの間、密教のご加持が表舞台に立たなかったのです。

 しかし、私たちの考えは単純です。宗教も政治も関係なく「目の前で溺れている人がいれば手を差し伸ばすのは当たり前」という考え方です。これは読者の方々にも同じことが言えます。真言密教や神仏の存在を信じることができないとしても、目の前に困っている人がいるのなら、治す方法が一つでもあるのなら、救いの情報を差し伸べてあげてほしいのです。この情報をシェアすることで誰かの人生を救えるかもしれないのですから。

誇大広告はしません

 私たちは中脳に生じたMRIではっきりわかる5×13mmの脳梗塞巣を完治させました。眼機能は完全に回復し、画像的にも機能的にも全く元通りにするという奇蹟を起こしました。医学的にはありえない偉業です。しかし私たちが全ての脳梗塞を治せるわけではありません。患者が10代で回復能力が高かったこと、発症してからそれほど日数が経過していないこと(約2週間)、脳梗塞巣が比較的小さなものであったこと、患者も家族も私たちの指示に熱心に従ったことなどが完治した条件としてあげられます。私たちは「脳梗塞を何でも治せる」魔法使いではありません。高齢で発症から長く経過している場合は一筋縄ではいかないことが予想されます。過度な期待はしないでください。

人生観が変わる

 Mさんは複雑な気持ちです。実はMさん、バンドメンバーの友達に10代で脳梗塞で亡くなった人がいるそうです。Mさんは考えます。自分は奇蹟的に助かったけれど普通は助からない。N医院と出会わなければ、そしてご加持治療に出会わなければ私の人生も悲惨なものになっていた。

Mさんは人生観が変わったと言います。それはご加持という真言密教の医療技術を通して「神仏の力で奇蹟が起こること」を体験したからです。Mさんは神仏の存在など考えたこともありませんでした。今でもうっすらとしか信じることができません。しかし現医学では完治するはずがない脳梗塞が完治することを経験してしまうと、科学では解明できない力がこの世に存在しているかもしれないと思わざるを得ません。それがまさに神仏の世界であり、人生の見方が変わってしまいます。つまり目に見えないものを見る・感じる・恩恵を受けるという人生観です。

ご加持の情報が広がらない理由はまさにそこにあります。人は人生観を変えられることをもっとも嫌うからです。それはまるで自分のプライドが傷つけられているように感じることでしょう。

しかし、再度言います。私たちの力を必要としている人がいます。その方々にどうか伝わりますように。

手を差し伸ばした結果

 私たちはこの1年間、難病の方たちに手を差し伸ばし続けました。このサイトにご加持の治療実績を次々と掲載し、奇跡の治療成績を披露しました。その結果は無残です。このサイトに訪れる人の数が半分になりました。

これは「ご加持を広めようとする善意」が、世間一般的には「嘘を広めようとする悪意」と誤解されていると推測します。

私たちは決して真言密教を広めて布教活動をしようとしているわけではありません。この1年間、私たちは患者様をお寺に案内し護摩焚きや二座式供養をお勧めしましたが、それは病気を治すためです。患者様に信者になるように勧誘することは全くありません。私たちは純粋に治すための行為をしているだけです。その治療法の一つにご加持や護摩焚き、二座式供養など、真言密教に伝わる伝統的な施術を行っているだけです。神仏の世界を信じることを強制することはありません。

どうか口コミをお願いします

 私たちは単に病気を治すのではなく、人の人生を救おうとしています。現医学では治らない病気を治し、奇蹟をたくさん起こしています。そして人類の夢をかなえようとしています。しかし奇蹟的な治療は常識からかけ離れ過ぎていて日本と言う国では広めることがとても難しいと考えます。ご加持はマスコミに注目されるには不向きな治療法ですがそれでもこの治療法を待ち望んでいる方がいます。救える人生があります。どうか人助けと思って口コミで広めていただけないでしょうか。

 私たちは16歳の少女を救うことができた記念として、まずは「脳梗塞を救う」ことからキャンペーンしていこうと思います。どうかあなたのシェアをお願いします。

索引ご加持治療ご加持統計密医学
奥様は巫女野良医師記治療成績’17
日常損傷病ステロイド上頚神経Bブロック脊椎学
医学の功罪難治性疼痛ALS治療画像診断学生体力学
疼痛学善良な医学手術へ警鐘アクセス

アトピー性皮膚炎を治す術(免疫治療1)

はじめに

現医学では、アトピーや喘息などの症状を改善させる薬があっても、病気を治す方法は開発されていません。それどころか、免疫が関わる病気のほぼ全てにおいて根本的に治す方法がありません。しかし、私たちは密教で古くから伝わるご加持(プラスの気のエネルギーを手をかざして注入していく方法)を用いて、アトピー性皮膚炎、喘息、顆粒球減少症などの免疫学的な病気を改善させることに成功しています。ご加持は免疫学的な病気の全てを根本的に治す力がある期待の治療です。よって現代の全ての治療法の中で、ご加持は免疫系統を改善させることのできる唯一の治療法と言えます。ここではそれらの治療実績を報告します。

症例 39M

主訴 アトピー性皮膚炎、うつ(食欲不振・意欲減退・脳のパフォーマンス低下)

現病歴 幼少時からアトピー性皮膚炎に悩む。医学・漢方・鍼灸・レイキ・気功・食事療法などあらゆる治療を受けたが改善が認められなかった。最後の望みをかけて当院に来院。

結果 うつ病の症状は上頚神経節ブロックで著しく改善した。しかしアトピー性皮膚炎は上頚神経節ブロックでは全く改善なし。私たちはNov.2017からご加持を開始。ちなみに彼はもともと明らかに粗悪な霊障はないとの診断だった。ただ、アトピー性皮膚炎は重症のままだったのである。アトピー性皮膚炎の症状の重症度を測定する血液検査TARCは5266pg/ml→1516pg/ml(基準値<450,Jly2017-Feb2018)と著明に改善した。

治療前後の写真比較

症状の詳細データ

記載方法はVisual analog scaling

黄色塗りの領域がGokajiで改善した数値(VAS)です。青塗りの領域がSCGBで改善した数値です。SCGBは精神科的、脳神経内科的な領域で著効することがわかります。Gokajiは免疫学的な領域で著効していることがわかります。

併用治療

ステロイド外用薬、プロトピック外用薬はGokaji開始前と比べて使用回数が半減しました。

考察

Gokaji治療により肌の見た目が美しくなめらかになり、TARCは5266pg/ml→1516pg/mlとなり、外用薬の使用回数が半減しました。Gokajiが彼の免疫動態に影響を与えたことは間違いないと思われます。Gokajiが免疫動態を改善させるという事実は全てのアレルギー疾患(喘息・花粉症・蕁麻疹・SLE・シェーグレンなど)に効果があることを推測させます。新たな医学時代の幕開けです。

その後の経過

上のグラフはさらに治療を重ね、上頚神経節ブロックを58回行うまでの症状経過です。ご加持を開始したことと、N寺での護摩焚きへの参加で黄色のラインが段階的に低下していきました。つまりアトピー性皮膚炎が改善していきます。しかし、「物事が楽しめない」「精神的な落ち込み」「脳のパフォーマンスの悪さ」「思ったことが言語化できない」という症状はなかなか改善しませんでした。ところが4回目・5回目の護摩焚きの後から「思ったことが言語化できない」という症状が改善し始め、アトピー性皮膚炎のさらなる改善も見られました。そして特別ご加持(1時間かけて行う念入りのご加持)を開始すると全ての症状が著しく改善し始めました。

考察2

これはご加持の治療効果が高いことの証明であり、念入りにご加持をするのとしないのとでは改善にはっきりとした差があることを示します。ここでは非常に重要な事実を述べます。

 この患者は来院当初、「アトピー性皮膚炎を治すことが目的」ではありませんでした。食欲がなく、やる気もわかず、言葉も出にくい、頭が回らない、という症状をどうにかしてほしいという訴えで、私の上頚神経節ブロックを受けに来られたのです。そして上頚神経節ブロックで奇蹟的にそれらの症状が劇的に改善しました。そこへ翠蓮先生がサービスでクイックご加持をしてさしあげました。するとそこからアトピーが改善するという「考えても見なかった奇蹟」が起こります。これに驚いた患者は翠蓮先生の言葉を信じて、N寺に護摩の火を浴びに行きます。するとさらにアトピーが軽減することを体験しました。しかも、ご加持を受けた後は体が軽くなることを理解し、ついにクイックご加持ではなく、念入りに行う1時間加持を受けることを決意します。さらに翠蓮先生の指示に従い、先祖供養も行うことにしました。すると、上頚神経節ブロックではある程度までしか改善しなかった精神症状がさらに改善していきました。

 患者にとっては精神状態こそが仕事ができるかどうか、社会人として生きることができるかどうかの要です。だからご加持・護摩焚き・先祖供養という一連の行動で、精神がここまで改善したことは、人生が開花する喜びでした。アトピー性皮膚炎も、精神状態も、翠蓮先生と出会わなければ、改善することはありませんでした。これは上頚神経節ブロック単独の治療と翠蓮先生の治療との併用は、大きな成果を出すということの証明になっています。

 翠蓮先生の治療は現在の科学では解明できないものですが、解明できなければ人を救えないわけではないのです。治してほしい人にとって、その原理を解明することが必要でしょうか? 解明されていないから信じないということは本当に正しい考え方なのでしょうか? 今一度皆さまの心に手を当てて考える機会にしていただければと思います。

 しっかりした1時間加持は当然ながらしっかりした料金がかかります。それでも翠蓮先生を信じ、何度も何度も安くないお金をかけて治療しました。だからこそこの結果を生みます。私たちの治療を信じない方にはとてもできる行いではありません。よって私たちは私たちを信じない方を劇的に治すことは不可能です。

 上頚神経節ブロックは大変優れた治療法です。しかし限界があります。ご加持、護摩焚き、供養などの密教の行いはその限界を越えます。そして、このような奇蹟的な回復は、この患者が初めてではなく、私の医院では毎日のように起こります。それを信じない現代日本人の心の貧しさを残念に思っています。

この論文を作成するにあたって、協力してくれた本症例の患者様に感謝の意を示します。

医学が見放した突発性難聴を劇的に治す(2例報告)

赤のラインは前医で治療後のオージオグラム。青のラインは当院で治療後のオージオグラム。数字は250Hz,500Hz,1kHz,2kHz,4kHzの平均聴力。

Case1.11years old female彼女は発症翌日に大学病院に入院。1週間ステロイド点滴治療を受けるがほとんど回復しなかった例。

Case2.17years old male 彼は発症4日目から大学病院へ入院。1週間ステロイド点滴治療を受けるがほとんど回復しなかった例。

治療法 上頚神経節ブロック(SCGB) 2-3回/週+ご加持

結果:大学病院で入院して加療したが、ほとんど治らなかった重度かつ難治性の突発性難聴(SSHL)を劇的に改善させた。

考察 今回の報告は大学病院で改善しなかった重度・難治性症例の治療報告である。これらは軽症例ではない。私はこれまで難治性のSSLHを専門に上頚神経節ブロックで治療を行ってきた。私は難治性SSLHを上頚神経節ブロック単独で回復させる実績を数多く持つが、ここまで劇的な改善は期待できない。

なぜならば上頚神経節ブロック単独治療では、かつて60db以上の回復を私は経験したことがなかったからである。よって60db以上の回復にご加持が寄与していると結論付ける。

突発性難聴の治療には鼓室内注射、高圧酸素療法、星状神経節ブロック、鍼灸などがある。しかし、それらの治療では、大学病院で治らないような難治性の高い疾患を60db以上回復させることは難しいと私は思う。難治性SSHLをこれほどまでに劇的に回復させることができるという事実を私たちは隠すべきではない。

突発性難聴の長期再生治療

突発性難聴の長期再生治療

 突発性難聴は「1/3が自然治癒。2/3が全く治らないか後遺症となる。」と言われる難病です。現医学では有効な治療法がないと言われており、一般的にはステロイド薬でしか治療が行われていません。治療はたいてい発症後約1か月で打ち切りとなります。多くの耳鼻科医たちは1か月以上の治療は無駄であると考えています。

私たちは突発性難聴の治療で、現医学の常識を覆す長期治療成果をあげています。私たちは上頚神経節ブロックと量子波ヒーリングの併用療法によって、5か月以上聴力が改善し続けた奇蹟の4例を報告します。

Case1.発症から11か月経過。現在も治療中。中・低音域が改善を続けている。

Case2.発症から5か月で治療を中断。中音域が上昇し続けた。

Case3.発症から5か月で治療を中断。患者は全く聞こえない状態から再生した。

Case4.発症から9.5か月で終了。8khz以外は完治に近い。

備考:case4は担当医に「聴力が上がり続けることはあり得ないので、あなたは嘘をついているか、または精神異常(ヒステリー)だ」と言われた。

難聴の再生医療について

このような長期の聴力改善は事実上、再生医療です。聴神経、有毛細胞、内耳核の神経細胞などが再生しなければ、長期間改善し続けることはあり得ないからです。上頚神経節ブロックか、量子波ヒーリングどちらかに再生を促す力があると思われます。そこで、私たちは上頚神経節ブロック単独治療群とヒーリング併用治療群の長期改善効果を比較しました。その結果ヒーリング併用群で有意(p=0.0076,<0.01)に長期改善(2か月以上)が認められました。


SCGB単独群ヒーリング併用群
改善が停滞109
長期改善16

長期=2か月以上

詳細文献はこちら(日本語)

結論:量子波ヒーリングには神経細胞を再生させる効果がある。

追記:これは医学の常識を覆す発表です。1例報告ではありません。よって「私は信じない」と言って耳鼻科医たちが安易に否定するべきではない報告であると私は思います。

治らない突発性難聴を治す2017

治らない突発性難聴を治す2017

対象:2017年 突発性難聴(SSHL)で初診で来院した患者120例 

全例が前医(耳鼻咽喉科)で診断をされステロイドによる治療を受けていた

発症から1週間内に来院24例(20.0%)、1週間以上経過後来院96例(80.0%)、発症-初診日数は平均29.2日と発症からの日数が長い例が多い ほぼ全例118例(98.3%)が「前医で治療しても改善が乏しかった」という理由で当院受診

除外:120例のうち治療を自分勝手に中断した22例(1回中断17例、2回中断5例)を除外した98例で治療成績を検討

治療法:上頚神経節ブロック 2%lidocaine 1cc 超音波診断装置下に行う

治療成績

  • Cure:9例、Excellent:19例、Fair:39例、Good:6例
  • 無効25例(うち、改善感4例、一部改善9例)完全な無効は12例

Cure:全域20db以内

Excellent:(500Hz+1k×2+2k×2+4k)/6が20db以上改善

Fair: (500Hz+1k×2+2k×2+4k)/6が10db以上改善

Good: (500Hz+1k×2+2k×2+4k)/6が5db以上改善

考察

私の元へは98.3%が前医での治療効果がない、または効果が少ない方々が来ます。つまり当院の患者は現代医学では難治であることがほぼ確定しているSSHLの方々に限定されます。上記の治療成績は単なるSSHLの治療成績ではなく「病院が見放した難治性のSSHL」の治療成績です。難治性の疾患限定で、98例中73例を改善させた治療成績は現代医学の治療水準をはるかに超えています。

無効症例を有効にするご加持治療

2017年10月よりSSHLの治療には翠蓮先生によるご加持を加えることを開始しました。そしてご加持を行っていない群と行った群の治療成績を比較したところ有効数と無効数の比較ではご加持群で有意に有効数が多い(p=0.0076)という結果でした。詳細はこちら

SSHLは治療が手遅れになると上頚神経節ブロックを用いても改善しません。しかし、上頚神経節ブロックとご加持を併用することで無効例でさえ有効例にできることが判明しました。「何をやっても治らない」というSSHLではご加持を併用することを強く勧めます。

神の手を持つ医師の見分け方

神の手とは

 神の手とは現医学では治せない、または治すのが極めて難しい病気を改善させる技術のことを言います。よって神の手を持つ医師とは「医学書には掲載されていない技能、または文章に書き起こすことのできない精細な技を持つ医師」と定義できます。

 例を挙げると、ほとんど出血させることなく腫瘍を切除できる技能。拡大鏡を覗きながら直径1ミリ以下の神経を縫い合わせる技能などです。そういう技能を得るための方法は医学書には掲載されていませんし、たやすく弟子に継承もできません。

 また、投薬を例に挙げると、医学書的に「この病気には使うことを禁忌とされている薬」を少量用いて劇的に改善させる。手術でしか治せないと医学書に掲載されている病態に対して生活指導で治す。なども神の手の技能です。

 神の手とは「医学を超えた治療ができる手」のことを意味します。そして「神の手を持つ医師」は一人の例外もなく「医学書を超えた独自の技能」を持ちます。文章で伝えることのできる技術、教えればできる技術は神の手の技能ではありません。同じ手術を行っても、神の手を持つ医師はその仕上がりの良さは格段に高く、「神の手を持たない医師」には理解を超えたところにコツがあります。

医学では治らない病気がある

 アメリカ合衆国の国民の過半数は「医学では治せない病気がある」と理解しているそうです。日本ではそう理解している国民は極めて少ないでしょう。医学で治らない病気は医学書通りに治療しても治りません。そういう病気を治すには当然ですが「医学の枠から外れなければならない」のです。

 米国の医師の中で「患者の病気を治すためには医学書には書かれていない治療をしなければならない」と考えている医師は一体何割いるでしょう。統計学的には過半数の医師がそう考えているはずです。しかし、実際に医学書にかかれていない治療を行う医師は過半数いるでしょうか? 絶対にいません。理由は「医学書にかかれていない治療を行って病態が悪化した場合、患者から訴えられれば敗訴する」ことが確実だからです。

 では実際に医学書にかかれていない治療を行う医師は何割いるでしょうか? おそらく1%未満でしょう。すなわち「医師の過半数は医学では治らないことを知っていながら、自分の良心を偽りながら仕事をしている」という大変罪深い状態にあるということになります。

 医師になりたての若者であれば、がむしゃらに医学を学ぶのはよいでしょう。しかし10年以上医師をしているのに「医学で治らない病気は医学を超えた治療が必要」ということを理解しようとしないのなら医師の良心に問題があります。それは健全な精神ではなく、地位や名誉や稼ぎ、生活の安定のために心を売ってしまったことを意味するからです。

 企業戦士が売り上げを上げるために、卑劣な詐欺まがいの営業をするのはまだ理解できます。しかし、人の人生を、命を、預かる医師という職についている者が、医学の傘に隠れて良心を捨てることはとても悲しいことです。そうした医師は晩年になればいずれ自分の犯してきた罪を後悔することになるでしょう。残りの半数の医師は「医学が全て」と考えているでしょうから、自分の良心に傷めつけられることはありません。また、日本の医師も「医学が全て」と考えている者が大多数でしょうから、良心に責められる医師の数は米国よりも少ないでしょう。それはそれで幸せなことです。

難治性疾患専門医

私はすでに医師3年目で「医学では治せない疾患がある」「医学書は嘘が多い」ことを認め、他の医師が治せない患者を熱心に診ようとし始めました。大学病院でいろいろと治療をしてもらっても全く治りませんと言われた患者が来院すると目をらんらんと輝かせました。そしてあらゆる「医学書に書いてない治療」「医学書に禁忌と書かれてある治療」について研究しました。もちろん大学を離れます。大学病院でそんなことが許されるはずがありません。医学を超えた治療の研究は医学界に泥を塗る行為ですので「野に下らなければならない」という法則があります。つまり、神の手は大学では決して身につくことはなく、野の病院でしか構築できないという必然です。ですから、大学病院で温室栽培のようにして育った医師に神の手を持つ者は存在しません。大学病院にも優秀な医師はいますが、それは一度、野に下り、腕を磨き、それが認められて大学に再度呼び戻された医師場合に限られます。。

 医学では治らない病気になった場合、野で修行を積んだ医師を探さなければなかなか改善しません。

 しかし、日本国民の大多数が「医学では治せないものなどない」と考えていますので医師選びに「野に下る医師」を頭に浮かべる人はほとんどいません。

良心に忠実な医師を探す

 大学病院には優秀な医師が多いと言えます。それは医学書に忠実なのでいち早く新しい治療を取り入れることができるからです。医学で治る病気にかかった場合は大学病院に行くことは得策です。しかし大学病院で見捨てられた病気を治すには「神の手」を持つ医師を探さなければなりません。自分の良心を信じ、巨大な国家権力と戦う勇気をもち、人々を救ってきた実績のある医師を。

良心のある医師の見分け方

 良心のある医師は必ず研究をしています。医学を超えた治療をするわけですから、そこに間違いがあれば致命的です。無責任に「患者に自分の治療を試してみる」などということをしません。だから常に研究をしています。

 良心のある医師が必ず言う言葉があります。「私を信じてください。」です。この言葉が極めて重い言葉であるということを患者たちは知らないようです。「信じてください」と発言して治療し、症状が悪化した場合、訴えられると敗訴する確率が高くなります。医師の世界では絶対に言ってはならない言葉の一つが「私を信じてください」です。医師がこのセリフを言うには覚悟と自己犠牲が必要です。よって良心を持ってこれを言える医師は医学書にはない独自の研究成果と実績を持っていることの証となります。

 一方、神の手を持たない医師は「私を信じなさい」とは口が裂けても言わず、「医学を信じなさい」「論文データによると・・・」「統計学的には・・・」「どこどこの教授が・・・」「○○大学の治験で・・・」というように自分の背後にある大きな威厳を前面に押し出してきます。それは本当の意味で患者を改善させる自信がなく、自分の良心に従うのではなく、権威にすがって自分を誤魔化してきたことの証となります。

医師の世界は一般の世界と逆

 一般の世界では「私を信じなさい」というセリフを言う者を信じてはいけないという常識があります。人を騙す者がよく使うセリフと思われているからです。しかし、医師の世界では治療法を説明する際に「私を信じてください」と発言しないようにと私たちは教育を受けます。信じろとは言わず、治療・検査・手術の承諾書を書かせて責任を患者に押し付けるのが医療界の常識です。理由は医療過誤があまりにも多いからなのです。

 ミス・失敗・悪化・術死などはつきものですので「私を信じなさい」と言えば、その過失責任を問われます。ですから医師の世界では「私を信じなさい」と言えるようになるには何十年も修業を積み、過失が過去も未来も一切ないといえるレベルまで達にしなければ無理なのです。いいえ、そのようなレベルに達しても「言ってはいけないセリフ」です。 

ですから医師が言う「私を信じなさい」はとても信じる価値が高いセリフであり、神の手を持つ者証といえるでしょう。これは一般的な概念とは逆です。患者が神の手を持つ医師を探したいのであれば、地位や名誉だけを選考基準にしていると出会えなくなります。「私を信じなさい」というセリフを言える医師を探すのも一つの方法です。

腰部神経根ブロック(手術を勧められたらまず行うべき治療)

 腰部神経根ブロックは腰痛・坐骨神経痛・下肢のしびれ・麻痺・間欠性跛行などに最も効果がある最終兵器です。効果の大きさではこの注射の右に出るものはなく、保険点数で1500点(¥15000-)もかかる大掛かりな(レントゲン透視を使う)ブロック注射です。脊椎の固定術を行うと、硬膜外ブロックができなくなり、どこの整形外科に行ってもブロックをしてもらえなくなりますが、神経根ブロックだけは固定手術後も行うことができます。よって、私は脊椎固定術後に神経痛が悪化した患者を全国から集め、本ブロックで生活水準を向上させるということを長年行ってきました。

 ところが神経根ブロックには多くのリスクがあり、よほど症状が重い時以外はしてはいけないブロック注射です。私はそれらのリスクをカットする技術を日々考案し、そして神経根ブロックが最大に効果を発揮するような薬剤の使い方を行い、合併症を作らず、改善させる実績を重ねてきました(技術の詳細は企業秘密です)。

 そうした技術を持たない医師の神経根ブロックを受けることはかなり危険です。

その理由を述べます。

  • 神経根ブロックは25G以上の太い針を直接神経に刺す手技ですから100%神経を損傷します。神経は再生能力が高いため大事に至らない場合がほとんどですが、神経を損傷するという事実は避けられません。刺し方が悪いと後遺症が出る可能性を秘めています。
  • 神経に刺した上で造影剤を流します。造影剤は体に対して安全性が確立されていない薬品です。レントゲンに移る液体ですからとても比重が高い異物です。それを神経鞘内に入れるわけですから、神経組織を多少なりとも炎症させます。後遺症になることは少ないと思われますが、一時的に症状を悪化させる危険性を秘めています。
  • 神経根に針を刺すと、非常に重要な根動脈を損傷させるリスクがあります。万一根動脈に塞栓を起こすと、神経麻痺の後遺症が起こる可能性があります。
  • ケナコルトという薬剤を神経根ブロックに用いることは禁じられていますが、これはケナコルトが固形であり、根動脈を刺して注入、動脈塞栓を起こして下肢麻痺という後遺症を起こした例があるからです。
  • 注射の痛みが尋常ではなく、場合によっては気絶するほどです。神経に針を刺して造影剤を入れるのですから当然でしょう。

これらのリスクを一つでも回避できない医師に神経根ブロックを任せることは私は賛成しません。すなわち神経根ブロックは「医師免許がある者ならだれが行ってもよい注射」では決してないと思います。

これらのリスクを避けるための唯一の方法は「神経根を刺さずに行う手技」です。私は医師3年目に神経根ブロックの担当を任せられ、その際に年間約200例を行い、以降神経根ブロック手技の改善に努めました。そしてすぐに「神経根ブロックは神経に直接刺さずに行っても効果が変わらないどころか、成績がよい。」ことを発見します。つまり、医師3年目から現在に至るまで「神経根に直接針を刺さないで注射する方法」を研究してきたわけです。局麻薬を使用しながら針を進め、そして神経を直接刺しませんのでほぼ痛みはありません。さらに神経を損傷しない。根動脈を損傷しない。造影剤を神経鞘内に入れない。ので合併症もありません。また、問題となるケナコルトですが、根動脈を刺すことがありませんので使用可能となります。ただし、ケナコルトの使用法は厳格でなければなりません。ケナコルトには副作用が多いからです。私は同時にケナコルトの厳格な使用法も研究を進め、現在の使用ガイドラインを築くに至りましたが、脊椎外科の中には「神経根ブロックでケナコルトを乱用している医師がいる」ことを知っています。

最近になり、私と同じ手技で神経根ブロックを行う医師が出現し始め、私の手技は「抵抗消失法」と呼ばれることを知りました。これは神経根の少し手前で注射薬の流入圧が低くなるポイントがあり、その地点で注射をするという方法です(いわゆる寸止め)。

この方法は解剖学的知識があることが重要で、さらに針の抵抗感覚が鍛えられていなければできません。よって誰にでもできる手技ではありません。私はすでに25年前から抵抗消失法を開発してきたわけです。

通常、神経根ブロックは3回までしかしません。それはこの手技が神経根を傷つける可能性が高いことの証拠でもあります。3回以上連続は危険が高いということです。しかしながら抵抗消失法では何度行っても神経は損傷しません。よって私は難治性の腰椎疾患に根気よくこれをおこなって治療することができ、結果、あらゆる難治腰痛疾患に対応できるようになりました。

神経根ブロックは脊椎術後の失敗例にも効果があるほどに強力な治療法です。しかし、これほど重大なリスクがあるためブロックは軽々しく受けることをお勧めしません。

本当は「腰の手術をした方がよい」と言われた場合、その前に、必ず一度は神経根ブロックを受けるべきなのです。なぜなら、手術の必要がないほどに改善することがあるからです。その割合は私の医院に来たほぼ全員です。最近3年半で手術に至った症例はゼロです。しかも私の医院は全国から「どうやっても治らない」という強者だけがあつまる医院です。ただし、効果がなかった者がゼロではありません。固定手術後に症状が悪化した60代の男性1例だけは数十回の治療の上、治療継続をあきらめました。この男性は「変形が強すぎて再手術は無理」と宣言されています。

神経根ブロックは最強です。しかしリスクを考えると抵抗消失法以外は受けるべきではないと私は考えます。過激な文章で申し訳ありませんが、少しでも患者を救いたい一心です。そうすれば手術を受けなくても一生過ごせる例はかなり増えると思います。

精神医学が敗北を認める日

要約 突然の口蓋・喉の奥・舌根のひきつれ、ふるえ、めまい、吐き気、呼吸困難、不安が出現した27歳の女性は脳神経外科、精神科に7か月間通院しましたが全く改善しませんでした。当院に来院し、当院の僧侶がご加持治療をしたところ瞬時に息苦しさが改善。その後、患者の家系の亡くなった方々の死因を調べると、叔父が農薬自殺、その息子が首つり自殺、実父が精神障害、叔母が精神障害を元に他界という状態でした。そこで2日後、翠蓮先生は師匠のお寺で自殺した従兄の特殊な供養を行ってもらいました。すると供養した夜からほとんどの症状が著明に改善しました。この奇蹟ともいえる治療を行った翠蓮先生(僧侶)は2日間喉から胃にかけて不快を訴えて苦しみ、まさに自殺者の霊がこの症状の原因であると推定しました。このように症状の改善と神仏の力を用いた治療との関係性が極めて明瞭に示された例は稀です。本症例をオカルトとして放置することは科学的に見ても正当ではありません。精神医学が「西洋医学では治せない霊障というものがある」ということを認める日はやがて訪れるでしょう。

症例 27歳 女性

主訴 軟口蓋のてんかん発作(口蓋・喉の奥・舌根のひきつれ)、ふるえ、めまい、吐き気、呼吸困難、両耳補充現象(音がうるさい)、睡眠障害

現病歴 2018年1月、誘因なく突然両耳に破裂音が出現、同時に音がとてもうるさく聞こえ(補充現象)、口蓋、咽頭がひきつれを起こした。その後上記全身症状発現。精神科受診し「適応障害・パニック障害」と診断される。しかし、精神科の治療では症状の改善が全くないため鍼灸・整体に通い、めまい・ふるえ・動悸が改善。それ以外の症状は全く改善しないまま7か月経過。担当医には「治らない」と言われ当院8/15初診。

診断名 不明

適応障害・パニック障害という診断名は主症状である口蓋ミオクローヌスにつけられた病名ではなく、続発するふるえ・めまい・吐き気・不安などにつけられた病名なので実際は診断名ではない。

画像診断 頚部MRI:ストレートネックではあるが明らかな狭窄所見なし

現症 現症は当院の翠蓮(僧侶)の霊能力で検査。

・患者に近寄ると頭重感→憑依霊のサイン

・さらに喉の奥と舌根、胸部から胃の噴門まで強い痛みを感知→組織損傷、または憑依霊からの攻撃を推測 以上より霊障であると確定(翠蓮先生の霊能力検査による)

治療

・除霊 遺恨の強い霊体1体(翠蓮先生による)

・ご加持 後頭部を中心に両手を使って手から出るエネルギーを注ぐ

・カウンセリング(霊障の原因を調べる) 母方の叔父が農薬で服毒自殺、その息子が首つり自殺、実の父と母方の叔母が精神疾患で死去 従兄の首つり自殺は偶然にも彼女と同じ27歳の時 精神疾患が多いことから彼女の家系に強い怨恨があることを推測。

これらにより私たちは一連の病気の原因を「自殺者による霊障」と診断 翠蓮先生がのどから胃にかけて強い痛みを感じたのは服毒自殺・首つり自殺者の霊体から症状を自分の体にコピー、または攻撃されたものと判断。

 これを患者に告げた際に翠蓮先生の上半身に非常に強いぞわぞわ感が起こる→ご霊体からの「肯定」の合図または憑依しようとしているサイン。

・医学的な治療 脳の血流増加目的に上頚交感神経節ブロックを行う。

治療経過

 ご加持直後から上記症状(息苦しさ)が半減。8/17に亡くなった従兄の特別な供養を翠蓮先生の師匠のお寺で行うとその夜から口蓋・喉の奥・舌根のひきつれが著明に改善。

考察

7か月間全く改善しなかった症状がご加持と供養でのみ著明に改善し、しかも改善とご加持、改善と供養の時間的な関係性が一致していることより、一連の症状は霊が憑依していることによる障害(霊障)と断定できました。ただし、叔父の供養をしていないためまだ全快には至らないと思われました。

副作用

 翠蓮先生はこのご加持の後、2日間咳が止まらず、のどから食道にかけてひりひりする状態が続きました。これは霊体からの攻撃、または霊体の苦しみのコピーを意味し、霊体の訴えが強いことを表します(これまで除霊で2日も症状が残ることはなかった)。

因果・因縁

翠蓮先生は「ありえないほど安いお布施」で一連の治療を行いました。それは患者が治療費を出し渋る様子が際立っていたからです。「高いお布施を請求すれば彼女はご加持や供養を拒否し、この病気から救ってあげられない」と考えた末の安いお布施でした。人生を変えることのできる大偉業に対しどれくらいの恩や謝意を感じているかが問題となります。なぜ問題になるのかというと、謝意が大きいほど翠蓮先生の今後のアドバイスに従うことを意味し、謝意が小さければ、従わないことが多いからです。霊障は極めて根深く、一般の方が自分の考えで供養してどうにかなるものではありません。現実に「霊の怨恨によって一族全体に災いが起こっている」可能性があり、自分たちの考えでどうにかなるレベルではないでしょう。

 彼女からは、「もう一度従兄の供養をやってみたい。」との希望をいただいていますが、翠蓮先生は「叔父の供養もするべき」と進言しています。現時点で供養のお布施を節約しようなどという考えは非常に危険なのですが(しかもとても安い供養料金なのです)、どうも彼女にはしっかり信じてもらえていないようです。これほど劇的な改善を目の当たりにしても、依然として人を信じることができない方々を私は残念に思います。その姿勢こそが因縁を招いているのだと思います。

 

おわりに

 すでに亡くなり成仏できていない霊を供養して成仏道へと向かわせることは「一般的な僧侶」には不可能なことです。霊能力を持つ選ばれし僧侶が特別な供養を行わなければできません。翠蓮先生のご加持も特別な能力であり、今回の一連の治療は日本中を探しても「そうそうお目にかかれることではない奇特な治療」だったのです。それほど価値の高い治療が「猫に小判」であったと私は感じています。私たちは猫にさしあげる小判を無尽蔵に持っているほど大金持ちではないことを付け加えておきます。霊障は枝葉を摘んでもすぐに生えてきます。根っこから治していく必要があります。それをしようとしない方は猫です。大変貴重な小判の使い道がわかりません。

ブロック注射の痛さと医師の技術格差

ブロック注射は痛い・怖いは本当か

 私の医院(ペインクリニック整形外科)を訪れる患者が「ブロック注射は痛いんでしょう?」という質問をよくされます。私はいつもこう答えます。

「気絶するほど痛い。二度とやりたくないほど痛い。というのはほぼ真実ですね。」と。「ですが、私のブロック注射を痛いと言った人はいまだかつて一人もいませんよ。」と、これまたおおげさではない真実を伝えます。私が痛くないブロック注射を行うことができる理由は以下の5つのポイントがあります。

ブロック注射が痛いか痛くないかは5つのポイント

  • 運 末梢神経の痛覚受容体に針が触れるか触れないかで痛みの強さが変わります。運がよい場合、太い針で手荒に指しても、受容体を運よく刺激しないことで「ほとんど痛くない」時があります。ですから、医師の技術に関係なく「ブロックが痛くない時」があります。技術の高い医師はこの痛覚受容体を刺激しない技術を持っていると言い換えることができます。
  • 針の太さ 針が太いほど痛覚受容体を刺激する確率が上がりますので細い針を使用するほど痛くないのは当然です。しかしながら安全上の理由(細くて長いと折れてしまう)で60mm以上の長さでもっとも細い針は25Gと決められています。それでも25G針を使う医師は稀です。その理由は、硬膜外ブロックなどでは「抵抗消失法」を用いて注射抵抗が消失したところで液を入れるという方法をとりますが、細い針では抵抗の消失感がわからないという欠点があるからです。細い針で抵抗消失感を得るには洗練された感覚が必要です。よって細い針を使用できる医師はそれだけで高い技術力の証明となります。
  • 局所麻酔 針を刺す前に局所麻酔をすると痛みがやわらぐのですが、実は局所麻酔は技術的にとても難しい注射です。的確な場所に必要最小限の麻酔薬をばらまいて行かなければならず、その感覚は医師が「患者の痛みを我が事のように考えながら治療をしていく」ことでしか得ることができません。一般的な医師は患者の痛みの訴えに「わざと反応しないように」していく傾向にあるため局所麻酔の技術が向上しにくいという現状があります。また、局麻はゆっくり時間をかけないと効いてきません。つまり痛みのない注射をするためには時間的なコストを多大にかけなければならず、それをするとコストパフォーマンスが落ちるという理由でできないことがほとんどです。また、強い痛みを感じる骨膜まで局麻薬を浸透させるにはかなり深く刺さなければなりません。そうしたいくつもある難題を超えて行かなければ局麻の技術は向上しないのでこれを行える医師がほとんどいないという現状があります。
  • 立体感覚 狙った場所(見えない深い場所)に寸分狂わず確実に針を刺して行ける技術は解剖学を熟知し、立体構造を頭に描ける技術が必要です。刺し直しが多いほど痛いブロックになり、出血、組織損傷、感染のリスクを高めます。そこで重要なことはX線で見た2Dの映像を自分の頭で3D(立体)へと変換できる能力であり、この能力が高ければ痛みもミスも少なくできます。しかし、実際のところ脊椎は短縮・変形・ねじれが加わるとX線で見た映像と3Dにしたときの差が大きくなり立体構造を頭の中で描くことが至難の技となります。2D→3D変換技術はそれを教える教科書がないため経験で身につけて行くしか方法がありません。しかし医師は医療現場ではそうした「難しい患者へのブロック」を避ける傾向があるため経験を積む機会を自ら放棄することが多いと言えます。実際、高度変形脊椎へのブロック注射は禁忌とされており、教科書的には「難しい患者にはブロックをしないこと」が決まりになっています。
  • 抵抗認識法 ブロックの常識として骨に針を当て、当たった地点を目安にして目標箇所を推測するという方法をとるように習います。しかし、実際は骨膜に痛覚の受容体があるためこの方法では痛みが強く出ます。これを避けるため最初から目標箇所に照準を定めて刺入する方法があるのですが、この場合、針先が今どこにあるのかを認識するためには注射器の抵抗を感じ取りながら「抵抗で針の位置を知る」という極めて鋭い注射感覚を必要とします。これを抵抗認識法と言います。針先の位置を注射器の抵抗で知るためには特に洗練された技術を要します。一般的な医師が持ちえない高等技術です。

さて、2018年6月に施行された医療法により、クリニックや病院が自分の技術をインターネット上で宣伝することを禁じられることになりました。私は上記のような高い技術を持ちますが、「高い」という言葉を使うことが「優位性を示す」「根拠がない」という理由で違法になります。もちろん「痛くない注射ができます」と記載することも不可能です。この現状においては、もはやインターネット検索で「腕の良い医師」を見つけることは難しいでしょう。

今後の医療不信

 今後、「全国民の医学不信時代」が訪れます。それは西洋医学では治せない病気があまりにも多いことがインターネットを通じて拡散しているからです。医学は科学的に見てまだまだ遅れていると言わざるを得ません。しかし、それが明るみに出ることは国や教授や医師の威信をつぶしてしまうため、国は最後のあがきとしてインターネットの言論統制を行わざるを得ない状況になりました。

 今回はそうした言論統制を皮肉る目的で、わざと自分自身の「痛くない注射の技術」を披露させていただきました。医師の技術には大きな格差があることの一例を示した形です。医師の技術は等しいなどという「国の誇大広告」を信じるべきではないと思います。

 尚このサイトは個人の研究サイトであり、私の経営するクリニックとは関係がなく、クリニック名は一切掲載されていません。あしからず。

脳梗塞後遺症を迅速に奇蹟的に改善させた例

要約

中脳梗塞により左側動眼神経麻痺、開眼不可、右手巧緻性低下、平衡感覚の低下が出現し、後遺症必至と言われる状態の患者(15歳女性)を上頚神経節ブロックとご加持の協同治療により、約2か月の短期で回復させたという異例の治療成績を発表する。


症例 15歳 女性

主訴

左目が開かない、左眼球が動かない、右手巧緻性低下、平衡感覚の低下

現病歴

高校受験を控えた中3の1月28日、上記症状が突然出現。S医大病院MRIで中脳梗塞と診断され入院。特に基礎疾患もなく治療の手段もないため2/8に退院。わずかに左眼球が動くがほとんど瞼が開かず改善なし。困り果て、最後の望みの綱として当院を2/13に初診。


画像診断

赤い矢印の部分(中脳被蓋正中やや左)に拡散強調画像で異常高信号、T2強調でやや高信号。椎骨動脈・穿通枝の脳梗塞と診断された。


現症

自力で左目を開けることができず、強制的に開けると左眼球が外転、かつやや下方を向き、上転不可能。両手の巧緻性が低いが主に右の巧緻性障害のほうが強い。


霊能者による診断

当院では僧侶(霊能力者)による気の流れを診断する。それによると、来院時、患者に近づいたとたん僧侶A先生は手にビリビリとしびれ感と右手のふるえが出現。A先生の後頭部から首筋にかけて強い痛みが出現。同時に悪寒と息苦しさが起こり、「霊障」の存在を確認した。早速本人を加持しても体が温まりにくさを感じる。同時に一緒に来院していた母親も加持。


治療

両側上頚神経節ブロック(2%リドカイン1㏄×2)、僧侶A先生によるやわらかく温かい気による頭頂部、後頭部、側頭部、顔面から左目あたりの側頭部、背骨、両下肢などの全身の加持、さらに僧侶A先生の師匠のお寺で護摩の火にあたってもらう(1度のみ)。ブロック毎、加持治療も平行して行う。また、来院5回めに僧侶A先生の診断により左側頭部、左目より頭頂部あたりにピンポイントに鈍く丸い異物感を感知し、長く加持をする。


治療経過

治療9回目の3/25には巧緻性障害や平衡感覚異常が全治となる。

治療13回目の4/18には自力で普通に開眼ができるようになり左眼球の動きが大きく改善(ただしまだ複視は少し残っている)。

治療16回目(通院5か月)で全ての症状がほぼ完治

発症9か月、S医大の検査(MRIや眼の機能検査など)で完治を言い渡され、担当医に「こんなケースは医学ではあり得ない」と言われる。


考察

治療成績

著者は上頚神経節ブロックで脳梗塞後遺症を改善させた経験がある。しかし、本症例のように治療2か月強でこれほどまで奇蹟的に改善させたのは初めての経験である。脳梗塞後遺症がこれほど短期に全治に近い状態になることがあり得ないことは一般的な意見として既知である。著者は現代医学では治らないとされる難治性疾患を専門に治療する医師であるが、上頚神経節ブロック単独ではこれほどの著効を経験したことがない。よって、今回の奇蹟的な治療成績の背景にはご加持という超自然的な能力の関与が大であることを認めざるを得ない。と、同時に、ご加持と上頚神経節ブロックの治療効果は、この1例に限ったことではなく、現在進行形で多数の偉大な業績を残している。

様々な脳梗塞治療について

脳梗塞と言っても症状は多彩である。片麻痺や言語障害が出現すれば一般的に「脳梗塞」と認められるが、MRIでは検出できない3ミリ以下の梗塞であれば脳梗塞と言う診断は下されず、正体不明の奇病または精神疾患として処理される。つまり微小脳梗塞は現代医学では全く手の施しようがない。今回の症例でも「そのまま退院」となっている。MRIでは映ることのない微小脳梗塞はラクナー脳梗塞とも呼ばれるが、これも脳のあちこちに散在することによって初めて認識される。症状としてはかすみ目、ふらつき、視野狭窄、嗅覚障害、味覚障害、突発性難聴、うなだれ首、パーキンソン病類似、ALS類似、自律神経失調症、うつ、強迫神経症などの精神疾患などがある。が、西洋医学ではこれらが脳梗塞として認識されることはない。当院では上頚神経節ブロックを開発してい以来、これらの微小脳梗塞が原因と思われる様々な症状を既存の医学では全否定されるレベルの治療成績で改善させてきた。

上頚神経節ブロックは頸部の交感神経をブロックして脳や延髄への栄養動脈を開かせて血流を増加させる治療である。脳梗塞に効果があるのは当たり前である。当たり前であるが世界中どこを探しても脳梗塞治療に上頚神経節ブロックなどの頚部交感神経節ブロックを治療法として用いている施設はないことが興味深い。このホームページ上でうなだれ首、症候性パーキンソン、ALS、難聴、などの治療成績を発表してきたが、それらは恐らく微小脳梗塞を治療しているにすぎず、これらの治療成績は「脳梗塞治療成績」であると私は推測している。

ご加持による脳梗塞治療

数日前の出来事であるが、当院のマンションオーナーであるSさんが右目外側の視野狭窄が出現し、眼科では異常なしと言われ困り果てて当院のご加持を受けた。ご加持の最中に視野狭窄は改善されたが、翌日脳のMRIで小さな脳梗塞が指摘された。再びわずかな視野狭窄とふらつきが出現したのでご加持を行い再び軽快させまたが、このようにご加持は脳梗塞の症状を改善させることができることが判明している。16歳女性の本症例ではご加持とブロックを併用したため、どちらの治療がどの程度寄与しているのかが不明だが、症状の改善スピードと改善の幅から考えると、ご加持の成果が加わっていることが推測される。ご加持は誰もが受けることのできる治療ではないが、注目を浴びるべき治療である。

信じないでは済まされない認知症治療

私は認知症を上頚神経節ブロックで劇的に改善させている実績を持ち、かつ、脳梗塞をも改善させている実績をもち、治るはずのない嗅覚障害や聴力障害を改善させ、数々の「脳への血流障害が原因とされる症状」を改善させてきた。が、それを信じる者が少なく、大部分の人が治せるチャンスを失っている。認知症や脳梗塞は老々介護の問題であり、私たちの生活を不幸に陥れ、大きな社会問題と化している。その社会問題を解決する手段があるというのに、「信じない」という行為で救われるチャンスを失っていることに大変悔しい思いをしている。認知症・脳梗塞の介護の問題はどの家庭にも起こる普通の・必須の問題である。国の損失も大きいというのにこの解決策をつぶしてしまうことはもったいないことだと思う。認知症は症状が進んでからでは治療の協力を得られないので手遅れとなる。どうか、症状が進行する前に私たちに相談されることを祈っている。


奇蹟的な改善を見せた両側進行性感音性難聴

当院では突発性難聴の患者が約半数を占めている。その中でも両側の難聴が進む例があり、大学病院では両側進行性感音性難聴と診断されている。両側進行性の場合、改善することはないとされているため、改善することで大学のメンツがつぶされてしまうことは言うまでもない。当院では治療開始ご4か月、5か月と経過していても、さらに聴力が改善し続けている例を経験している。ご加持+上頚神経節ブロックでそのような奇蹟が起こっていると推測される。ここからは笑い話であるが、聴力が何か月も上がり続けている例を見て、耳鼻科医に「あなたは精神異常だ」と言われたそうだ。理論上、聴力が上がり続けることはあり得ないので、聞こえているのに聞こえないと思い込むことで聴力が低下していた。と結論付けたそうだ。これが大学病院の医学である。


最後に、ご加持自体を信じないのは自由である。だが、最低限私たちは患者たちを惑わそうとしてこうした論文を書いているのではないということは理解していただきたい。どうにもならない症状に苦しむ患者をなんとしてでも救って差し上げたいというそれだけの気持ちである。

突発性難聴の神経細胞再生(ご加持併用療法)

はじめに

当院では上頚神経節ブロックを用いて突発性難聴の治療においてこの数年で比類なき治療成績を挙げた(2016年成績2017年成績参)。しかしながら上頚神経節ブロックにも限界があり、完全に死滅した神経細胞を短期間で再生させることは無理である。よって治療は一定期間の後、必ず改善効果が頭落ちとなり、後遺症となる。


ところが、2017年10月中旬より密教のご加持を上頚神経節ブロックと併用し、難聴治療を開始したところ症状固定の時期を超えて回復するという奇蹟を経験した。これはまさに神経細胞の再生が起こっているとしか考えようがない。これまでの上頚神経節ブロック単独治療ではこのように改善し続ける例は1例もなかったことから、症状固定時期を超えて改善し続けるのは「ご加持による神経細胞再生が起こっている」と結論付けた。ここにその実例を挙げる。

※正確には1例ありました。こちらの論文に対比させたものが掲載。


症例1 21歳男性

10/13発症の右耳突発性難聴。外来通院・大学病院での精査・鍼灸治療などを行うが全く改善が見られないため12/2に当院初診。すでに発症から1.5か月経過しており一般的には症状固定の時期であった。


治療月間 12月 1月 2月 3月
治療頻度・割合 3.75日に1回 6日に1回 5日に1回 5日に1回

結果

12月から1月にかけて順調な改善が見られた。しかし1月から2月にかけては高音域が改善するが低音域は悪化するというシーソー現象が起こる。しかし2月から3月にかけては治療3か月目から4か月目というゴールデンアワーを大幅に過ぎた(発症から6か月)時期であるにもかかわらず全体的な改善を認めた。


症例2 44歳 女性

10/15に左耳突発性難聴発症。入院治療の甲斐なく11/1時点で全域スケールアウトで全く何も聞こえない状態で退院。10/20に某大学病院に転院し高圧酸素療法、鼓室内注射などを受けるが改善しない。10/30に当院初診。ご加持と上頚神経節ブロックによる治療を開始。


治療月間 10月 11月 12月 1月 2月 3月
治療頻度・割合 1日1回 2.5日に1回 7.5日に1回 10日に1回 10日に1回 0回

結果

10月・11月は数日に1回という高頻度で治療を行い、ようやく11/10に8KHzがスケールアウトを脱出。その後は仕事復帰したため治療頻度が減り、7~10日に1回という少ない頻度で治療。それでも少しずつではあるが徐々に中音域が改善する。しかしながら2月から3月にかけて治療回数は減り、3/9の時点で改善傾向は頭落ちとなった。


症例3 58歳 男性

9/6発症の左突発性難聴。9/6に発症の左耳突発性難聴。9/8から9/15まで入院加療。全域スケールアウトで全く何も聞こえない状態であったが、入院治療を行いわずかに改善。9/26当院初診。


治療月間 9月 10月 11月 12月 1月 2月
治療頻度・割合 2日1回 4日に1回 7日に1回 7日に1回 10日に1回 15日に1回

結果

発症から3か月経過の時点(治療開始1.5か月)で12/7の状態まで回復。その後も聴力は回復を続け4か月の時点(治療開始2.5か月)が1/18。低・高音の低下はあるものの、それを補う以上に中音が著しく改善している。


考察

これまでも突発性難聴が症状固定した状態から治療を開始し、上頚神経節ブロックで改善させたという実績はある。しかしながら、治療が1か月を超えると頭落ちとなりそれ以上の改善が認められない例がほとんどであった。2か月以上の治療で今回のように改善し続けるのは極めて珍しい。


ただし、治療効果が頭落ちになる理由は時期的な理由だけではない。改善させるためには1か月に5回以上の治療頻度が当然と思われるが(5回でも少ないくらいである)、5回以上の頻度で来院し続けたのは症例1だけであり、症例2・症例3は高頻度で来院したのは約1か月である。


1か月に5回以上の来院頻度を守った症例1は治療を行った3.5カ月間、聴力が改善し続けた。逆に言うと、症例2で改善が頭落ちになったのは「十分な治療回数を確保しなかった」ためと思われた。


もしこの推測が正しければ「十分な治療回数を確保し続ければ、聴力が改善し続ける」可能性がある。こうした聴力改善の可能性はこれまでの耳鼻科学会の常識を完全に覆すものであり大変衝撃的な命題である。


上頚神経節ブロック単独の治療では治療が1か月を経過すると効果が必ず頭落ちとなっていた。頭落ちの原因は「仮死細胞を改善させることはできても壊死細胞を再生させることができない」ことが理由であると推測する。おそらく上頚神経節ブロックは仮死状態の神経細胞を正常な状態に戻す力が極めて高い。しかしながら壊死した神経細胞を再生させることは不可能である。ブロック治療により全ての仮死細胞が正常化させたとしても、壊死した細胞はそのままなので後遺症をもたらす。だからどんなに優れた治療を行ったとしても改善効果は約1か月で必ず頭落ちとなる。一度頭落ちとなるとその後に上頚神経節ブロックを続けたとしても今以上改善することはない。


ところがご加持治療を併用すると、治療の頭落ちの時期を超えても1次関数的に改善し続ける例が出現し始めた。これはまさに「細胞再生」が起っていると考えざるを得ない。すなわち、ご加持には神経細胞を再生させる効力があり、しかも再生スピードも既存の医学理論を超えている可能性がある。


この現象は今後の医学治療の概念を大きく変える可能性がある。壊死した細胞を再生させることが可能であれば、脊髄損傷や脳梗塞後の片麻痺、認知症、失明、味覚・嗅覚障害などにも応用が利く。神経細胞が死滅し、半身不随になっている障害者にも希望を与えられるかもしれない。


ご加持治療の壁

今回のご加持の研究も、「ご加持単独」で行っていないためその効果は上頚神経節ブロックとオーバーラップし、どこまでがご加持の効力なのかを判定できない。さらに、長期経過の患者では治療回数が減少し、社会復帰を行っているため外界からの悪影響がマイナス要因として増加。この二つの悪い影響のため1次関数的に右肩上がりになるのは理論上無理に近い。本来ならばこの手の研究は長期間、同じ条件(治療頻度が同じ、社会環境が同じ)であって初めて効果判定ができるものである。どんなに素晴らしい治療を行ったところで、悪影響分の効果低下があるため右肩上がりに改善を望むことはできない。


今回の3症例では、こうしたハンディがある中でご加持治療併用で1次関数的に長期改善が継続していることを考えてほしい。少しずつしか改善していないが、「少しずつ改善することが奇蹟」であることがわかるだろう。


また、ご加持治療の欠点として受け手(患者)側の感受性がある。感受性が低い場合は効果も低くなる可能性がある。感受性を高めるためには、阻害している原因をつきとめる必要があるが、それがスピリチュアルな問題である場合、根が深すぎて対処できないこともある。


ご加持は、特殊な波動治療であると思われるが治療原理は全く謎である。謎だから認めないというのであれば「勝手にしなさい」である。


まとめ

突発難聴の治療に際し、上頚神経節ブロック単独治療ではなし得ることのない「数か月以上も聴力が改善し続ける」という奇蹟的な改善例をご加持との併用療法で経験した。ご加持が壊死した神経細胞が再生させている可能性を推測した。ご加持は突発性難聴だけではなく、あらゆる難病を改善させるきっかけを作ることのできる治療法であると思われた。


ご加持とは

①諸仏がその不思議な力で衆生(しゆじよう)を守ること。加護。

②密教で,仏の大悲の力と衆生の信心が相応ずること。すなわち仏の力が行者に加えられ,行者がそれを信心によって感得し,両者が一体化すること。

③神仏の加護を祈ること。また,その儀式。初め,密教の修法をいったがやがて民間信仰と混合した病気・災難の除去などの現世利益を願う祈禱をもいうようになった。

三省堂 大辞林より

2017年、年間治療成績(主に新患)

私の診療所では現代医学では治らないとされている症例を治療し改善させています。したがって各疾患別の治療成績は現医学において世界的に見ても全てがトップクラスです。が、たとえその成績を示したところでとても信用していただけないでしょう。また、私の診療所には現代医学では診断がつけられない難病奇病の方が全国から来院されます。診断名がつけられない場合、治療実績を示したところで、それが比類なき成績であっても医学的には無視されるという現状があります。ですが私たちは治療成績を公開する責任がありますので2017年の年間治療成績を公表します。各自、偏見を持って見ないことをお勧めします。


2017年来院数/症例数 人数:新患数401名469症例

症例別治療成績

ここでは私の診療所においてメジャーな症例について治療成績を公開します。成績には完治・全治・著効・改善・やや改善・無効、という評価の表現をしています。科学者として、できるだけ公正な判断で治療効果を評価しましたが、多くは厳正な学会が指定している評価基準を用いていません。この点においてエビデンスとして不十分という意見がありますが、これだけ多種多様な難病のエビデンスにおいて確固たるものを出せば、西洋医学のメンツは保てません。よって不十分のままでよいかと存じます。


また、私は各学会の無機質な評価基準がエビデンスとして十分と考えていません。学会に通用するもの以外はエビデンスとして認めないことの方が医学の進歩を妨げていると考えています。勝手ながら多くは私の主観的な判断基準を用いて判定していますので参考値としてご覧ください。あくまでこの治療成績は難病になった患者様に最後のチャンスを与えるために作ったものとお考え下さい。商業目的でも、自己顕示欲を満たすためでもございません。ただ、一人の医師が1年間にこれだけ多種な難病症例を、これだけ高い治療成績を出すことはたやすいことではないことだけはご理解ください。



ブロックの安全性

上記の疾患は全て各種注射(ブロック)で治療を行っています。年間で約1万回の注射を行い、血腫・感染・神経学的後遺症、脊髄穿刺後頭痛など完全に0件。施術後注射部の違和感・疼痛というような、当然起きる後遺症と呼べないレベルの些細な反応さえ年間2-3件。医療過誤ではありませんが、硬膜外ブロック後に脊髄麻酔となった例が1例のみ。

安全性の実績は比類なきレベルと言えます。おそらく他の施設が追従できないクラスです。


2018年の治療概要

昨年末より医療秘書Aによりご加持治療を併用しています。ご加持とは真言密教に伝わる治療であり、ブロック単独で治療するよりも、早い効果発現、長く持続する、奇跡的に改善、細胞の再生促進が期待できます。私たちはすでに実績を上げることに興味がないレベルにまで治療レベルを向上させており、信じない方々に理解していただくための理論展開もこれ以上は行う必要がないと感じています。ご縁のある方を治療していく方針です。2018年はここに示した治療成績をさらに超える治療成績を収めることが予想されています。

重症ジストニアを腱引きとSCGBのコラボ治療で改善させた例

2017年治療成績


これは2017年9月3日、伝統カンファレンス療法2017 で発表したものです。



25歳男性、ある日突然何のきっかけもなく呼吸困難と呂律障害が起こります。その4か月後、首が前方に著しく屈曲した状態になりました。近くの内科にかかりますが原因不明で診断名がつきません。両親は現代医学では有効な治療法がないと感じ、「うなだれ首」とインターネットで検索し、私にアプローチしてきました。


この写真は最近(初診から1年経過)撮影したものです。このように首は伸展位をとれるようになりましたが、初診時は屈曲拘縮していました。四肢の動きは歯車様で、リラックスしていてこのような肢位をとります。


当院は原因不明の下垂首を上頚神経節ブロックで改善させている実績40例以上ありますが、本症例は全身の筋拘縮が強いため神経ブロックだけで治療することが不十分であると考え、当初から腱引き師の小口先生と治療を協力する体勢をとることにしました。上記は腱引き師の視点からの所見です。

 


私の所見では、大脳基底核に起こった何らかの障害によるジストニアと診断。さらに障害領域は延髄にまで拡大しており、呼吸時の横隔膜と肋間筋の動きまで拘縮し、症状が進行すれば呼吸不全で死に至る危険が高いと判断しました。治療法としては大脳基底核・延髄への血流促進の目的で頚部交感(上頚)神経節ブロック(以下SCGBと言う)を行いました。


 

治療経過です。黄色が初診からの経過日数、(2)カッコ内の数字はSCGBの累計治療回数、赤字のK数字は腱引きの累計治療回数を表します。初回の治療後から頸椎の屈曲拘縮が緩和され、2回には口が開き、頸椎伸展位が可能となるなど、治療成果が上がっている様子がうかがえます。口が開く・声が出る・呼吸が楽になるなどは、明らかに腱引き施術直後に改善していたため、その効果の高さがうかがえます。


通院2日目後、母親と当院、医療秘書(医療コンシェルジュ)とのやりとり

コンシェルジュ:「ブロック後の様子を気になるときは随時ご報告いただき、会話を重ねてご通院のモチベーションを下げないように試みます。いつでも遠慮なくご連絡ください」

母親:「ありがとうございます。今まで冷たい事が多かった息子の手が今日はとても暖かいのに驚きました。昨日の夜、今までより口が開くようになったと本人が教えてくれました。口が開かず何でも小さく切らないと食べられない状態でしたのでとてもうれしい一歩です。今朝は頭が少し上がっているように感じました。まだ治療2回目ですが少しずつでも変化が見られて驚いています。」


 

コンシェルジュ:「患者ご本人さまの苦しみと寛解の葛藤が多くなっていますね。ですが、奇跡に近いご回復力ですから、必ずもっと良くなると思います!すくなくとも、私や院長や小口先生はそう信じています。患者さまがあきらめないかぎり、私たちは絶対にあきらめません」

母親:「本当にありがとうございます。頻繁に通えず申し訳ありません。イライラが止められず物に当たったり呼吸が乱れて強張ったりしています。ブロックと腱引きの後とても楽になったようで帰りは機嫌良く帰りましたが、それも長くは続かず夜にはまた苦しそうでした。首のサポーターもしない日が続いています。」

症例患者は他覚的に明らかに改善していましたが、両親には改善された治療成果と平行してまだまだ続く体の硬直や呼吸しずらさでメンタル的に限界を感じており、不平を訴えていました。完治への期待が大きすぎたためと思われます。両親は我々の治療力を信じきることができず、年末にかけて治療回数が2週間に1回へとペースダウンし、さらに大学病院(精神科)に精査目的で入院させてしまいました。その間に症状が悪化し、初診時近くにまで症状が戻ってしまいました。大学病院の医療というブランドに依存し過ぎている国民の心の弱さが浮き彫りとなりました。


その後、コンシェルジュ交えて患者と両親を説得し、腱引きとSCGBを再開させ、通院頻度を増加させたところ、症状は改善していきます。

さらに、ブロックと腱引きとの治療成果を見続けていたコンシェルジュからの提案により下半身の拘縮を軽減させることを期待し、2度、腰部硬膜外ブロックを行ったところ、その後の腱引きで眼球が動く、言葉がなめらかに出るなど、今までには認められなかった症状の改善が見られました。

その後は週に1~2回の治療を続け、歩行能力や姿勢は改善されました。しかし、言葉が出にくい、呼吸が苦しいという症状は少し悪化しました。理由はわかりません。


ジストニアは現医学では治療法がありません。しかし、腱引きとSCGBで改善することが示されました。SCGBで患部の動脈血流量を増加させ、腱引きが静脈・リンパ灌流を促したころが最大の改善要因と考えます。


 

うなだれ首(下垂首)ではしばしば胸鎖乳突筋の拘縮が認められます。胸鎖乳突筋が強く拘縮している側の静脈は怒張します(この超音波像は本症例のものではありません)。頸椎周囲の筋群をマッサージし、静脈灌流を促すことはジストニアの治療に極めて有効であると思われます。下垂首の症例は改善すればこの静脈の怒張が改善します。


これが上頚神経節ブロックの手技です。上頚神経節の1横指下方からアプローチし、動脈に沿って薬液を上向させます。以前は直接上頚神経節を狙っていましたが、やや下方からアプローチし、薬液を上向させたほうが効果が高いため、最近ではこのようなアプローチ法をとっています。


SCGBは星状神経節ブロックと類似した手技です。最上部の頚部交感神経節を狙います。


上頚神経節ブロックは現在も改良に改良を重ねていますが、これまでの星状神経節ブロックよりも頭蓋内の血流増加の効果が高いと思われます。


当院で行っている突発性難聴に対するSCGBの治療成績です。青ラインは当院に来る前の治療成績(ステロイド点滴、鼓室内注射、星状神経節ブロック、高気圧酸素など、あらゆる治療を行った結果)。一方赤ラインがSCGBの治療成績です。SCGBがいかに突発性難聴の治療に高い効果を発揮できるかがわかります。


SCGBは認知症治療に絶大な効果があります。頭蓋内の血流量を向上させることができますので脳血管性の認知症には効果があるのは当然です。症例は77歳女性で2016年9月からSCGBを行っていましたが、一旦22点から19点まで低下します。2017年6月からSCGBの手技を改良し、より確実に正確に上頚神経節に薬液が達するようにしたところ、2か月間でいっきに24点まで回復した例です。


SCGBは動脈血流量を劇的に向上させますが、腱引きは静脈・リンパ灌流を促すことができる手技であることが証明されています。これを証明しているのが以下のBrain CTです。


これは45歳脳出血の症例です。外科的にはアプローチが不可能と言われ、点滴で経過観察するしかありませんでした。小口先生はこの症例に腱引きを行い、右のCTのように出血層と脳浮腫を完全に消失させました。これが腱引きで静脈・リンパ灌流を改善させた実績です。現医学の発想からは考えも及ばない手技です。


SCGBと腱引きがコラボレーションを行うことでこれまでノーマンズランドであった頭蓋内の様々な疾患を改善させることができる可能性があります。動脈血流と静脈灌流を促す方法は最強タッグと言っても過言ではないでしょう。


医療コンシェルジュの重要性

腱引きとSCGBのコラボレーションは、医療コンシェルジュの存在なしでは実現不可能でした。当院の医療秘書(医療コンシェルジュ)は小口先生のスケジュール管理を行い、当院に招き、そしてSCGBと腱引きをその日のうちに同時に行えるように手配します。西洋医学と代替医療は、多くは犬猿の仲であり、互いに相手をののしりあうことが多いと言えます。

今回のように極めて難治性の重症疾患を改善させたとしても、その手柄がどちらにあるのか不明ですから公式発表しても互いのメリットがあまりないという状況にあります。そうした思惑が飛び交う中、優秀な治療師同志をコラボレーションさせて治療を統合していくには、どうしても医療秘書(医療コンシェルジュ)という第3者の橋渡しが必要です。

医療秘書(医療コンシェルジュ)はあらゆる医療に精通している必要があり、かつ患者やその家族の心のケアをするカウンセリングや治療内容を説明・説得させる技術も必要となります。

難病に挑むにはこうした医療秘書(医療コンシェルジュ)の存在が必要であり、コンシェルジュの育成も行わなければ、コラボレーション治療はそうたやすくないと思われます。

認知症治療に光明(上頚神経節ブロック治療実績)

2017年治療成績

はじめに

認知症の根本的な原因は脳への血流不足(血管障害)です。よって、脳の血流を回復させることができるのであれば、認知症という病気は制覇できると言えるでしょう。また、ごく最近の研究で脳には神経芽細胞が大人にでも存在しており、脳神経細胞は再生することがわかってきました。つまり、血行を改善させることができれば、一度壊死した脳神経細胞でさえ再生の可能性があり、理論上は進行した認知症も改善させることができると言えるでしょう。

今回私は脳の動脈を拡張させることができる頚部交感神経節ブロックを認知症患者に行い、MMSE(ミニメンタルステート検査)で19点を24点まで回復させた例を経験しましたので報告します。超高齢化社会における世界中の困難の一つである認知症に対し、病初期に頚部交感神経節ブロックで治療を開始すれば抑止できる可能性があり大変期待されるところです。


症例 77歳女性

現病歴

数年前から徐々に道に迷いやすい、同じ言動を繰り返すなど認知症と思われる症状が出現。2015.11.9 息子が心配し77歳の母親を連れて私の外来を初診。

既往歴

網膜色素変性症 視神経乳頭浮腫あり、1年に3~4回ケナコルト注射を行っている

症状は目がかすんで見えにくい

現症

朝ごはんは覚えている 100-7=93 OK 生年月日OK 新しい場所は迷いやすい 3分前の同じことを言ったり聞いたり


治療

2週間に1回の上頚神経節ブロック(以下SCGB)を開始する。

当初、1%リドカイン2㏄をC2/3の高さの上頚神経節(頸動脈と頸静脈の間に存在する)をめがけてブラインドで左右両側にブロックする。


経過

治療後に視野が広がり、かすみ目が改善される 認知症は進まず2016.9の段階でMMSE22点

同様に2週間に1回のSCGBを行うが2017.3 MMSE 19点となり認知症が-3点分進行


症状の悪化の具体例

②「結婚させなきゃ」という話を1日に30回ぐらい言うようになった

③「妹から電話がかかってきた」という作り話

④「わたしのせいで・・・」と号泣するようになった


半年で-3点となったことに動揺しネットを検索

「MMSEでは23点が認知症かどうかの基準だが、アルツハイマーは治療しないと1年間に 3点下がる。例えば、20点の方は3年間で11点になる。10点は尿失禁が始まる平均値なので尿失禁が始まる可能性がある。早期に発見してアリセプトを投与すると、最初の2年間は1点程度しか下がらない。」鳥羽研二 独立行政法人国立長寿医療研究センター病院長 の内容を読み非常に動揺し、担当医に相談してアリセプト服用を開始する。 2017.5.末 よりアリセプト服用開始。


SCGB治療強化

2017.6より 1%→2%キシロカイン(薬液濃度を倍)にし、超音波診断装置を用い精密に頚部交感神経節を狙うことを開始。

上頚神経節ブロックを精密に行うと反回神経麻痺→嗄声・呼吸困難・むせるなどが起こるため、高齢者に対してはこの副作用を抑えるために敢えて神経節を直接狙わない。しかし、認知症が進行したため、副作用には目をつぶり、精密に直接的に狙うことを開始した。毎回反回神経麻痺が出現するため、ブロック後は必ずむせるようになったが、辛抱してもらう。


SCGB治療強化の結果

・日時(各1点):時間の見当識を評価

今年は何年ですか。

いまの季節は何ですか。

今日は何曜日ですか。

今日は何月ですか。

今日は何日ですか。


・現在地(各1点):場所の見当識を評価

ここは何県ですか。

ここは何市ですか。

ここは何病院ですか。

ここは何階ですか。

ここは何地方ですか。


の質問を息子さんが3月から毎朝患者にこれらを出題。2017.5月末までは1問もできない状態だったが、5月末にアリセプトを開始1週間後くらいに「今年は何年ですか。」の質問のみ「平成29年」と答えられるようになる。


2017.6末 治験の誘い

物忘れ外来の先生より「アデュカヌマブ」という新薬の治験の誘いあり。しかし、治験を受けるにはMMSEで24点以上を獲得しなければならない。


強化した上頚神経節ブロック注射を開始数回後から、「今は何月ですか。」の問いに、以前は「11月」などと大きくはずれていたのに、「5月…じゃなかった6月!」と正確に答えられるようになる。

2017.8月初旬にはさらに「今は梅雨」「東京都」「〇〇市」「〇〇病院」「2階」「関東地方」とすらすら答えられるようになる。

また同じ話は1日30回→1回に減り、作話をしなくなり、感情失禁は週に1回に減る。


2017.8.23 治療は大成功

アルツハイマー型認知症の治験(治験薬:アデュカヌマブ)のための1次検査が行われ

(MMSE)30点満点中24点以上必要という条件を見事にクリア、その後の別の2種類の知能検査もクリア。短期記憶MMSE19点→24点以上に数か月で改善し、感情失禁などその他の症状も劇的に改善した。


既往に網膜色素変性症があり、視神経乳頭浮腫があり、眼科で定期的にケナコルトの眼内注射を受けている(軽症ではない)。症状は視野がぼやけて見える。進行すると視野が狭くなり、視力を失うこともあるという難病であるが、上頚神経節ブロックをすると直ちに視野がクリアになる(これは治療当初から)。そして強化したブロックを開始して以来、視力は落ちるどころか向上した。視野の狭さを訴えることもなくなり、現時点ではブロックをしていない時でさえ視野がクリアになった。眼科の定期検診では「不思議なことに乳頭浮腫が改善しています」と言われ、眼内注射は中止となった。


考察

2017.3にMMSE19点が2017.8.23.には24点と認知症の症状が劇的に改善しました。この改善の要因として5月末からのアリセプトの開始が考えられますが、アリセプト単独でここまでの劇的な改善はあり得ないため、6月から行った上頚神経節ブロックの強化がこの改善に大きく寄与していると思われます。さらに、視野狭窄や視神経乳頭浮腫も治療が不要なまでに改善していることから、これがアリセプトの効果ではないことは明らかであり、この二つから、上頚神経節ブロックが大きく寄与していると思われます。


このように、SCGBは認知症に劇的な効果があるものの、強化前のブロックでは進行を抑止できなかったことから、「極めて精密に的確に狙うことができなければその効果は発揮されにくい」と思われます。つまり、認知症に効果を発揮させようと思えばSCGBは技術的に難しく施術には訓練を要するでしょう。


さらに、通常は頚部交感神経節ブロックを両側に行うことは禁忌とされるため、このリスクを避けるため、安全のガイドラインを死守必要があり、また、相手は高齢者で合併症も多いことから「医師ならば誰もがたやすく行える」ものではありません。今後私は後輩たちを指導しながら、この技術を広めていきたいと思っています。


奇蹟的な回復の裏に心のフォロー

2017.5月には患者と介護者伴に精神的に非常に落ち込んでおり、認知症の進行に対して深刻に悩んでいました。いわゆる「心の病」も認知症の進行を早めてしまうと思われ、患者・介護者ともに心のケアが必要です。

このため、当院では秘書が心のケアを担当し、ご通院中もカウンセリングしながらより良いご回復への道を指南しつつ、患者さまだけでなく介護者にも加持祈禱を行っていただく(息子さんのご希望もあり8/13にまずは息子さんから本格的ご加持実施)フォローをさせていただきました。心を支えることが回復にどこまで寄与しているのかはわかりませんが、私たちは本当の意味での心のケアも考えながら治療成績を高めていく所存です。非科学的ではありますが、心のケアも治療には重要であると思います。

突発性難聴治療の最先端

2017年治療成績


突発性難聴は現代西洋医学が「原因不明」「エビデンスのある確立した治療法なし」としっかり「治療技術がない」ことを認めている疾患であることを認めなければなりません。

難聴が人生にどれほどの不幸をもたらすかを想像すれば「確立した治療法がない」と堂々と宣言している西洋医学に全てを賭けることは賢明な判断ではないかもしれません。


そのような現状の中、私は「病院で積極的な治療を行ったにもかかわらず治らなかった」「難治性難聴を治せると宣言している鍼灸治療院でさえ治らなかった」という治療不成功例の難治突発性難聴を上頚神経節ブロックでその7~8割以上を改善させた実績を作りました。現代医学においてもっとも優れた治療法です。


私の元へは「発症してから平均して3週間経過してから来院するという大きなハンディキャップ」を背負って患者が来院します。そのハンディを乗り越えて改善させるのですから、事実、治療成績は群を抜いて世界トップであることは間違いありません。他の治療と併用する必要もなく、上頚神経節ブロック単独で改善させます。

今回、ようやく、その全治療データを明示することができ、かつ迷走している突発性難聴治療についてその謎の多くを解き明かすことができたため、ここに記します。


原因は何なのか? 治る見込みはあるのか? 再発はないのか? 本当に永久にこのままなのか? 今後進行していくのか? どうすれば予防できるのか? なぜ医師によって言うことがバラバラなのか? 誰を信じてよいのか? など様々な疑問が沸きおこるでしょう。それらの疑問に答えるべくA4サイズ75ページに渡って記載しています。

私の言う「治療成績が群を抜いて世界トップ」ということがとても信じられないとおっしゃる方は、ぜひこちらのPDFファイル【 突発性難聴治療の最先端】をお読みください。患者だけでなく耳鼻科医の先生方にしっかり読んでいただけることを望んでいます。


さて、私はすでに突発性難聴の治療に興味を失い、治ることがないと言われる進行性感音難聴、難聴が完成してから長い年月が経過した者の聴力、そして残存した耳鳴りを改善させる治療の研究にシフトしています。研究には長期間を要しますが、過去に難聴をわずらい、治療をあきらめた者を対象に治療を行うことを開始しています。


最後に

蛇足ではありますが・・・上頚神経節ブロックでは脳・脳幹への血流を増やすことで神経細胞をよみがえらせ、改善させることができると推測されます。その効果は難聴だけに限らず、脳や脳神経に由来する病気の全てに有効であるという当然の結果を招きます。突発性難聴の治療はその中のほんの一部に過ぎません。この意味をよく考えていただければ幸いです。

本文はこちら→突発性難聴治療の最先端

また、2018年は、仏力の「加持」とのあらたなコラボ治療を確立。2017年の治療成績をはるかに上回る勢いで実績が生まれています。↓

突発性難聴治療における量子波ヒーリングの驚異的成果(3例)

脊髄くも膜下麻酔時の薬剤神経内注入による馬尾症候群発症の脅威

2017年治療成績

はじめに

脊髄くも膜下麻酔では局所麻酔薬(リドカイン、ブピバカイン、テトラカインなど)の神経毒により馬尾症候群を発症する可能性が1万~5万分の1の確率で起こりうることが言われており(日本麻酔科学会HPより)、その症例報告が散見されるようになっていますが、その原因は医療過誤であるのか、神経毒により偶発的に起こる事故なのかあいまいにされ、かつ、自然治癒する症例と永続する症例を区別することなく、後遺症を残す実数を明示していない現実があります(2017.7.23現在)。


こうした状況の中、脊髄くも膜下麻酔では神経内注入を行ってしまった場合、重大な後遺症を残す馬尾神経障害が必発する可能性があることがささやかれているというのに、その可能性が一般医師や市民に伝えられていません。医療過誤は神経内注入を行わないように情報を拡散させ、医師を教育することで防ぐことができます。しかし、現時点でこの情報は医師たちに共有されておらず、危険な状況にあると思われます。


1)脊髄麻酔で薬量が2割多いと発症する馬尾症候群

馬尾症候群の症状は、直腸膀胱障害、会陰部の知覚障害、下肢の運動・知覚障害などです。脊髄くも膜下麻酔を行った患者に馬尾症候群が発症する可能性があることは1991年Rigler MLらの報告がはじまりで、比較的新しい報告です。


2001年Viannaらの報告では9人の脊髄くも膜下麻酔の症例中6例に馬尾症候群が発症し20年間後遺症が不変のままでした。この原因として薬剤(テトラカイン)の製造ミスと結論付けられており、1アンプル20㎎のはずが24㎎となっていたとのことです。この報告から脊髄くも膜下麻酔では薬剤の濃度や量と神経障害には密接な関連性があり、体質に関わらず、本人の持つ合併症とも関係なく、麻酔薬は許容量を超えると誰にでも後遺症になる重大な神経障害を起こすことがあることが示されました。


この報告で重要なことは薬剤の量と濃度がたったの2割増しというだけで9名中6例に後遺症になるような重大な障害が起こったことです。「局所麻酔薬の神経毒性は可逆性で安全」という神話が崩れました。

問題はたったの2割増しというところにあります。5倍や10倍というのなら理解できますが、2割増しでこのようなことが起こるのであれば、この薬剤はそもそも「障害を残すかどうかのぎりぎりラインで認可されていたことになる」わけであり、薬剤の安全性という意味で問題点があります。


薬量がわずか2割増えただけで、普通の患者に永続的な後遺症を残すという報告がなされているわけですから、もしも患者が小児であったり、合併症を持つ者であったりすれば、正常量であったとしても高確率で障害が起こる可能性があると考えます。小児に1㏄で麻酔するところを、誤って1.2㏄にするだけで重大な神経損傷を残すようであれば事態を重く見る必要があります。


2)脊髄麻酔の体位で起こる一過性の馬尾症候群

1993年にShnider Mらによって脊髄麻酔下に砕石位で手術を受けた4名に「臀部、大腿、ふくらはぎの外側に放散する痛みや異常感覚が麻酔後24時間以内に発症、数日~1週間以内に回復」する症状が報告されました。一過性であることから問題提起されることは少ないでしょう。しかし、体位により発生するということは、馬尾神経が体位により張力を30分以上受けると、麻酔薬の毒性によって神経障害が起こることがあることを念頭に置くことは重要です。これは張力に限らず、神経に血行不良や炎症、脊柱管狭窄による圧迫などがあれば、そこに通常量の麻酔薬を注入すると、その神経毒により発症する可能性があることを意味しています。ただし、一過性であり、臨床的には問題にならないことを強調しておきます。


3)脊髄麻酔中の手技(神経外傷・神経内注入)で起こる馬尾症候群

Auroy Yらの報告によると、

A)脊髄麻酔後に末梢神経障害発生が9例、馬尾症候群発生が3例で合計12例でした。

B)12例中 9例は穿刺中に痛みも感覚異常も認められませんでした(すべて3週間以内に完全に回復)。この 9例のうち5人が5%リドカインを使用。

C)12例中3例は穿刺中に感覚異常を呈しました(ブピバカイン使用)。この3例全てに永続的な神経障害が残りました。

D)脊髄麻酔40460例において麻酔後に34例の神経障害が発生し、その3分の2にあたる21例は穿刺中に感覚異常がありました。3分の1にあたる12例は穿刺中に痛みも感覚異常も認められませんでしたが75%の症例が5%(高濃度)リドカインを使用していました。


脊髄麻酔後の永続的神経障害の発生頻度

Horiocker TTらの1997年の報告によると脊髄麻酔を行った4767例中、穿刺時に異常感覚を生じた例は298例(6.3%)。そのうち6名が永続的な神経障害を伴う神経損傷の発生したとあります。つまり1万人の脊髄麻酔で12人の永続的な神経障害が起こることを述べており決して少なくありません。


永続的な神経障害を起こす例、起こさない例

上の論文をまとめたものが下の表です。

永続的神経症を起こした例 一過性のため回復した症例
原因:薬量1.2倍 Viannaらの報告 原因:砕石位 Shnider Mらの報告
原因:手技的 Auroy Yらの報告 原因:高濃度 Auroy Yらの報告
原因:手技的 Horiocker TTらの報告

薬量1.2倍:製薬会社の製造ミス

砕石位:マホメット体位と呼ばれるイスラム教徒の拝礼の姿勢

手技的:穿刺時または注入時に患者が異常感覚を訴えた

高濃度:5%リドカインが使用された


上記の表から脊髄麻酔時の神経学的合併症には次のような結論が導き出されます。

  1. 通常濃度、通常量の麻酔薬での神経障害の報告は少なく、安全な使用量を超えない範囲の麻酔薬の神経毒では大規模な調査においても永続的な神経障害は起こっていない
  2. 安全量を超えた薬剤でのみ永続的神経障害が発生しているが、通常使われている量での局所麻酔では永続的神経障害の発生がない
  3. 通常の脊髄麻酔(製造ミスを除く)で永続的神経障害が発生しているのは、全例で手技的なミス(馬尾を刺す・馬尾神経内注入)が関与している。
  4. 高濃度の麻酔薬を使わず、通常使用の麻酔薬で穿刺時の異常感覚もないにもかかわらず永続的神経障害が発生する確率は、恐らくありえないレベルの低さであり、そういう例は患者の身体的な特殊な事情があると思われる。それは麻酔薬の神経毒性に依存しているのではなく、肥満・糖尿などの既往に依存していると思われる。

局所麻酔薬の神経毒性で永続的神経障害発生はほぼあり得ない

海外の大規模な脊髄くも膜下麻酔の合併症調査の結果、上記1~4の結論が導き出されます。つまり、「局麻剤が通常量で使用され、患者に特記すべき持病やアレルギーがなく、通常の体位で、ミスなく脊髄麻酔が行われた」場合において、永続的な神経障害が発生したという報告は私の調べた範囲では存在していません。


「局麻薬の神経毒性が原因で永続的神経障害が発生する」=「通常量、健全な患者、通常体位、正確な脊髄麻酔で行ったにもかかわらず永続的な神経障害が発生した」ということになりますので、そのような症例は私の調べた範囲ではありませんでした。

万一、そのような症例があったとしても、「患者に穿刺時に異常感覚があったにもかかわらずそれを認識できなかった」場合であると推測します。

痛みを誇張して表現する患者の場合、針が皮膚を通過するだけで過剰に反応しますので、穿刺時に異常感覚があったとしても、それを正確に認識することが不可能な場合があると思われるからです。


海外の文献を分析しますと、永続的な神経障害発生の背景にはほぼ必ず脊髄麻酔時に神経に針を刺す、または針を刺した上で薬剤を注入するという医療過誤が発生しており、神経毒が主原因となって永続的な神経障害が起こることはほぼあり得ないと思われます。この見解は私の個人意見ではないという証拠を以下に挙げます。


麻酔科医たちの率直な見解

「麻酔科トラブルシューティングAtoZ:高崎眞弓ら著」では「なお、穿刺ではなく局所麻薬の注入の際に痛みを訴えた例では、神経組織内への注入を生じた可能性が高い。直ちに注入をやめ、穿刺針を抜去する。残念ながらほぼ確実に神経障害を生じる」p.538。


「麻酔科医のための周術期危機管理と合併症への対応:横山正尚ら」では「穿刺時の放散痛のみでは一過性で神経損傷は軽いが、その後に麻酔薬注入で痛みが出た場合は(神経内注入を意味する)長期にわたり神経障害となる可能性が高い」p.238。

というように私と同じ見解を示す麻酔科の教授たちが少なくないと思われます。


麻酔科学会の見解

麻酔科学会が公表している脊髄くも膜下麻酔の合併症は以下のようです。

馬尾症候群・一過性神経症状(神経根刺激)

脊髄は腰椎上部までで、それより下の脊柱の中は馬尾といい、細い神経が縦に走っています。脊髄くも膜下麻酔は馬尾の部分に麻酔薬をいれるので、通常、太い脊髄は傷害を受けません。しかし、1万人から5万人に1人程度の頻度で、下半身の知覚異常、運動障害、膀胱直腸障害など(馬尾症候群)を生じることがあります。脚の痛みや知覚異常は、通常、24~72時間以内に回復します。(一過性神経症状)が、中には症状が長期間持続する場合もあります。


通常は回復。中には○○の場合もあります」という書き方は○○が起こり得る確率がマレな場合に使う表現です。マレとは統計学的には5%以下に起こることを意味します。よって仮に5%として計算すると、日本麻酔科学会の見解では「脊髄麻酔後に一過性神経障害の起こる頻度は1万~5万分の1、長期神経障害が起こる頻度は20万~100万分の1」と発表していることになります。以下の表に海外文献のデータと日本麻酔科学会の見解の相違をまとめておきます。

日本麻酔科学会 海外の文献 最大格差
後遺症の表現 長期間 永続的
一過性の頻度 1万~5万分の1 1万分の8 40倍
一過性の期間 3日以内 3週間以内 7倍
永続的障害の頻度 20万~100万分の1 1.3万分の1、1万分の12 1200倍
針刺し外傷の頻度 記載なし 6%
神経内注入の頻度 記載なし 8000分の1

医療過誤の実態を暴露することは社会に混乱を巻き起こすおそれがありますので、興味ある者が上記の数字を心にとめておけばよいでしょう。しかしながら外科医は最低でも脊髄麻酔では公表されている合併症の数字は氷山の一角であり、実際は馬尾神経内注入を行うとほぼ確実に永続的な神経障害が起こることを知っておかなければ、医師が告訴される側に立ってしまいます。こうした実態は一部の麻酔科医のみが知る「落とし穴」です。Horiocker TTらの報告によると、こうした医療過誤が起こる確率は8000分の1という高い確率です。知らなかったでは済まされません。外科医は脊髄麻酔に不慣れであることが多いと思われますので我が身の危険と知り、十分に注意しなければなりません。


医療過誤がもみ消される実態

脊髄麻酔の際に患者が異常感覚を訴えた場合、一過性の神経障害が起こる確率は低くなく、神経内注入をしてしまうとほぼ確実に永続的な神経障害を残してしまう可能性があることを全ての医師の共有知識として普及させなければなりません。


医療過誤であれば保険会社から慰謝料が支払われますので被害者が少しは救われます。医師のふところも痛みません。しかしながら、PMDA(医薬品医療機器総合機構)によって「薬害」と認定されてしまいますと、一連の事故は医療過誤ではないとされ、被害者は十数万円の見舞金しかもらえず、訴訟を起こすことさえも封じられてしまいます。


これは事実上、医療過誤のもみ消しとなり、被害者の恨みは一生、脊髄麻酔を行った医師や医師をかばった病院に対して向けられ続けます。恨み続けられる医師も恨み続ける患者も共に不幸な人生を送ります。それよりも医療過誤であることを認めて謝罪し、被害者と和解したほうが医師と被害者の両者ともに幸せになれる道であることを断言します。


脊髄麻酔後の後遺症として足に力が入らないという状況が一生続けば、どれほど悔しいことか少し想像してみてください。走れない、重いものは持てない、スポーツはできない、山にも登れない・・・そういう人生にされた場合、慰謝料はいくらが妥当かを少しだけ考えてみてください。PMDAによって十数万円という金額をはじき出された場合、おそらく恨みは一生消えません。あまりにも残酷な話です。PMDAによる薬害認定は被害者の人生を引き裂きます。加害者の医師は胸をなでおろすと思いますが、真実はそうではないと思います。一生恨まれ続けていることによる因果は巡ってくると思います(科学的ではありませんが)。


PMDAの誤認定

可能であればPMDAにこれまで認定した脊髄麻酔後の神経障害の件数を公表していただければとてもありがたい話です。Auroy Yらの報告によると、後遺症が残った場合、その全例で穿刺時に異常感覚が生じており、「薬剤の神経毒ではなく医療過誤によって起こった」ことが言われています。脊髄麻酔時に真に薬剤の神経毒のみの理由で後遺症が出現した例は一例も報告されていない現状を考えますと、これまでPMDAが認定してきた全ての症例が誤認定である可能性も否定できません。その誤認定の数だけ、医師と被害者の人生を引き裂いてきたと思われ、その遺恨を考えますと一刻も早い対処をお願いしたいところです。


世界レベルの隠ぺいであり誰も悪くありません

海外では脊髄麻酔時の重大な合併症の調査が行われ、その実態が報告されて20年近く経ちますが、薬害ではなく人為的に後遺症が発生することは未だに伏せられたままであると感じます。一部の麻酔科の教授たちは、しっかりと著書の中で神経内注入を行うとほぼ確実に後遺症が出ることを伝えていますが、その事実はPMDAさえ認識していないことから、広まっていないことがわかります。


彼らの著書を読んだ麻酔科医のみが手技ミスで永続的な神経障害が出ることを知るのみであり、脊髄麻酔を行うことがある外科医たちにこの事実は周知されていません。

医療過誤は率先して公表する者がいないせいです。さらに言うと、海外の勇気ある麻酔科医が全力を尽くして医療過誤を報告したにもかかわらず、20年間も「原因をあいまい」にされ続けています。


これは世界レベルの消極的な隠ぺいです。よって、厚生労働省にもPMDAにも麻酔科学会にも施術した医師にもその責任がありません。責任は世界に存在するからです。ただただ、隠ぺいを続ければ被害者は毎年一定数ずつ増えていくだけです。どうか、麻酔科の先生方! 勇気をもって真実を公表し、日本での正しい実態調査を行っていただきたいと願っています。なぜなら、脊髄麻酔は多くの人が一生のうちに一度は経験することがある麻酔だからです。8000分の1に起こるのであれば大変なことです。ことの重大さを理解していただければありがたいです。


脊髄麻酔中の注射手技による馬尾神経障害が「薬剤神経毒が原因」と誤判断された一例

症例 49歳女性

既往歴

H8年に帝王切開。H26年に子宮頸がんの手術で脊髄麻酔(0.5%マーカイン使用)を受けるが異常なし H28年2月 全麻下に縦隔腫瘍・の手術を受ける(持続硬膜外麻酔併用)

現病歴

以前から左膝外側に痛みがあり、整形外科で左膝外側円盤状半月板を指摘されており手術目的でH28年6月入院となる。入院翌日、膝関節鏡目的に脊髄くも膜下麻酔を受ける。その際L2/3より23Gルンバール針を用い0.5%マーカイン高比重液2.2㏄を受けたが、その際、以下のような現象が起こった。


ルンバール針が進み脊髄に達したと思われた時に激痛が刺入部に出現。その数秒後に体が反射的に勝手によじれて飛び上ってしまう衝撃があり、痛みが腰部仙骨部全体に瞬間的に走った。その後痛みは消え3分間左側臥位になり、その後仰臥位に体位を変えて手術を開始。手術は特に問題なく39分で終了。しかし手術翌日左下肢(足関節・足趾関節)がほとんど動かない、また異常感覚に気づく。


現症

左足関節:伸展・屈曲 MMT3~4 左足趾関節:伸展・屈曲 MMT3~4

左L5,S1-5領域の異常知覚 左下肢荷重時に疼痛 長時間歩行不可 膀胱直腸障害として突然の尿意と失禁

腰MRI:L4/5正中にprotrusion typeのヘルニアのみ 他の所見なし

腓骨神経・脛骨神経の神経伝導速度に左右差なし


診断名:以上より医原性馬尾症候群と診断され 身体障害者4級に相応

PMDAに麻酔薬の神経毒性による馬尾症候群と認定され約12万円が振り込まれる予定


消極的な隠ぺいが明らかにされる経緯

今回の私の脊髄麻酔後の合併症の調査は上記の被害者からの投稿がきっかけです。私は神経ブロックを日常に行う医師であり、合併症の実態を独自に調べなければ「わが身が危ない」と考えたために積極的に調査を始めました。


世界レベルで隠ぺいされているものには、隠ぺいされる理由があり、それが明るみになれば西洋医学の信頼性自体を失墜させるがゆえに明るみにされません。しかしながら、実態を知らなければ、明日は私が加害者になっています。そして被害者は莫大な遺恨を生みます。


今回の論文は被害者の方が必死に集めた資料を分析したものであり、被害者の悔しさがいかに莫大であるかがわかります。その悔しさ・恨みが結局私を動かしたと言えます。


麻酔科のハンドブックには本症例のような脊髄麻酔の合併症のことが書かれ、「神経内注入を絶対にしてはいけない」と警告されていますが、それを認識している麻酔科医が多くないことが伺えます。例えば「かけだし麻酔女医の忘備録http://masuiii.com/archives/833」では、なぜ学会のホームページに載せていないのでしょうかと疑問をなげかけています。


また麻酔科専門医試験の口頭試問に「脊髄くも膜下麻酔で手術後の神経障害の考えられる原因を列挙してください。」という質問がありますが、その原因として神経内注入としっかり回答できる麻酔医は多くないと思われます。


このような状況をできるだけ早く打開しなければ被害者は増える一方です。それよりも、このような合併症を医師が知らされていないことに恐怖を覚えてしまいます。私は患者になりたくない・・・脊髄麻酔を受けたくない・・・正直にそう思います。麻酔をする医師がそれを知らないことは恐ろしすぎます。知らなければどんな名医であっても偶発的に合併症を一定確率で起こしてしまう可能性があるからです。


脊髄くも膜下麻酔時の対麻痺、その他の原因

ついでではありますが、脊髄麻酔時に脊髄の栄養血管を損傷し対麻痺を発生させるリスクがあることも赤石ら(日臨麻会誌Vol.71008,2011)により報告されています。馬尾を栄養する大根動脈がL3~5レベルで脊髄に入ってくる例が0.5%の確率で日本人に存在し、脊髄麻酔時にこれを損傷すると対麻痺が起こることがあるという報告です。これも医療過誤の一種であるがゆえになかなか周知されない運命にあると思われます。


神経根ブロックでの神経障害例

神経根ブロックでは神経内注入が原則です。脊髄麻酔時の神経内注入では「ほぼ確実に神経障害を残す」と言われるわけですから、神経根ブロックを行えば、「毎回被害者が出現してしまう・・・」という恐怖と不安がよぎります。

以下に上記Auroy Yの報告を掲載します。

脊髄麻酔(40640例) 末梢神経ブロック(21278例)
神経損傷 24(5.9) 4(1.9)
神経根障害 19(4.7) 4(1.9)
馬尾症候群 5(1.2) 0
対麻痺 0 0

( )内の数字は10000人あたりの発生数

このデータは一過性のものと永続性のものが混同されており、臨床上問題になる永続性神経損傷の実数が不明ですが、一応の合併症の目安になります。


仮にHoriocker TTの報告にあるように6%に馬尾への針刺しが起こるとします。すると脊髄麻酔40640例中244例に針刺し事故が起こっていると推定されます。神経障害の起こる脊髄麻酔のうち3分の2が異常感覚を伴うという報告より上記脊髄麻酔後の神経損傷48例のうち32例が異常感覚があると推定します。


この二つより、脊髄麻酔では244分の32という確率(およそ8分の1)で「針を刺す・または注入する」という行為で神経障害が発生すると推定されます。ただし、そのほとんどが一過性で問題にはならず、しかしながら、そこで薬剤を注入すれば100%に近い確率で永続的な神経障害が起こると考えられています。末梢神経ブロックでの神経障害発生頻度が1万分の3.8であることと比較すると、神経内注入で障害が起こる確率は

脊髄麻酔:末梢神経麻酔=100%:0.04%となり、発生確率は2500倍の差となります。

同じ神経内注入であるにもかかわらず2500倍もの発生率の差が出る理由は神経周膜の強さによると思われます。脊髄内の馬尾は丈夫な神経周膜が存在しないため、注入圧、刺入の外傷などに脆弱。対して末梢神経では神経周膜が頑強であるため神経内注入を行っても神経障害が発生しにくいと思われます。


この考察をさらに発展させると次のような推測が成り立ちます。

「脊髄麻酔後に神経障害が起こる原因として、局麻薬の神経毒性が問題になることはほとんどなく、実際は刺入外傷や注入圧外傷という物理的な要因が主である」

局麻薬の毒性で神経障害が出るとするのであれば、脊髄麻酔と末梢神経麻酔の比較において、2500倍もの発生頻度の差が出ることは考えられないからです。


この考察を真摯にとらえれば、現在PMDAが認定している局麻薬の神経毒性による神経障害のほとんどは見直しが必要という結論に至ります。実際は刺入の外傷や注入圧による損傷で発生している可能性(医療過誤が原因)が高いとなるでしょう。


当サイトに投稿された神経障害の例

Auroy Yらの報告では末梢神経ブロックで馬尾症候群の発生は0でしたが、おそらく真実は0ではないと思われる例です。


例1

「L5神経根ブロックによる、施行前には無かった臀部の強い違和感やだるさが続いています。また、便意がなく便秘が続いています。さらにEDと思われる勃起障害も有るように思われます。ブロック直後から、このような状態で大変不安に思っております。主治医や他の整形外科医もあり得ないとの見解です。」


例2

「神経根ブロック注射後それまでに無かった左足に痺れが少し残りかれこれ一年以上が経ちますがいっこうに直りません。特に指先足裏がピリピリピリする感じです。何回も刺して探したせいか神経根ブロック注射した時の刺した部分もずっと違和感が残っている状況です。あぐらをかくと左足がすぐに痺れる状況です。病院で見てもらいましたが薬とか、痩せるとか、でまったく改善されません。一生このままなのでしょうか?」


例3

母が神経根ブロック注射を打ったのですが痛みが増して眠れなくなりました。 多少痛みを和らげる方法はないでしょうか?


例4

腰部の神経根ブロックなのですが「痺れや頭痛が良くなるといいね」と会話しながら診察台で、お腹の下に座布団を敷きブロック注射を始めました。針を刺すまでは、普通に会話をしていたのですが薬液が入ってきたのか? 胃が熱くなり激痛に それが下がるような感じで腸辺りが激痛に。そのあと両脇腹が激痛に。先生は「足に来んね」って言ってましたので 足にビビッと少し来た時に「来ました」と返事をしたら注射が終わりました。 直ぐに起き上がりましたが、座っているのもダメなぐらいの腹痛 そのあと横に寝て直ぐに嘔吐してしまい看護婦さんが、血圧を計ったり 採血したりしながら お腹を押さえ転がり右に左になり4日間点滴していました。


例5

神経根ブロック後、足のモモ内側斜め上が縦に物凄く痛く一向に治りません。ここは以前から痛みがあり、1年前から感じ無くなつていたのですが2回目ブロック後、特に体を動かした後に酷くなるようになりました。


おわりに

麻酔が安全であるという神話は崩れています。よって手術は安全であるという盲信も正しくはありません。リスクに遭わないためには可能な限り手術を避ける、ブロックを避ける必要があります。西洋医学では「何でもかんでも手術で治す」という傾向にありますので「麻酔は危険」という主張は反社会的に扱われがちです。手術は今や国家を支える産業化しており「麻酔が決して安全ではない事実」は隠ぺいされる傾向にあります。各自が真実を見る目を持たなければ、医療過誤に遭遇するリスクが高まります。どうかご注意ください。そして私のようなブロックを多用する医師たちへの忠告として、安全に関するデータは他人の報告を信用せず、自分の体でリスクを察知する感性を磨いていただきたいと思います。落とし穴はそこらじゅうにあり私でさえ穴に落ちる可能性があります。ブロックをする際にはいくら注意してもし過ぎることはないと肝に銘じておきましょう。神経ブロックで被害に遭われた方々の投稿をお待ちしております。

厚生労働省の個別指導に暗雲

2017年治療成績

個別指導とは

厚生労働省により医療保険制度の健全な運営のため、国民のみなさまに対する良質な保険診療等の提供が行われるよう、保険診療の質的向上及び適正化のために保険医療機関等への指導・監査等の行政指導を行うことです。


個別指導に怒り

個別指導の中身は終止、「カルテに記載が不十分な場合、診療報酬詐欺になります」というものでした。犯罪者扱いです。記載不十分とは薬一つ出すにも、「患者の主訴を書く(いつ、何が、どのように、どれくらい、どうしたか)」「客観的に訴えを数値やテストで示す」「その症状に何の薬を出すか理由を考えて書く」「その薬をどの量でどのくらいの期間行うかなどの計画を立てる」「その薬がどのように効果を出しているか評価する」「患者に質疑応答を求めて、これでよいかの承諾を得る」などのことを一つでも抜けていると不十分だそうです。


十分か不十分かが指導の争点であり、不十分であれば「外来管理加算520円を請求することは不適切である」という言い分のようでした。カルテ記載が不十分であれば、520円を返金してもらいますと言われました。

患者が理解力のない高齢者の場合、主訴でさえ聞きだすことは簡単なことではありません。自分が病気と関係あるだろうと妄想していることを次々としゃべりだすからです。その中から、真に病気と関係あるものを探り出し、多すぎる情報を切り捨てていくだけで5分かかります。真に適切に外来で患者の話を聞きだし、上記のようなカルテを作り上げるには最低でも10分は必要になります。

カルテには患者のしゃべったことを全部書くことはありません。できるかぎり要約しますが、ようやくし過ぎたものは不十分と判断されます。内容は自分だけにわかればよいのではなく、他の医師が見てもわかるようにかかなければなりません。


それがよりよい医療であるという理想はわかります。ですが、カルテ記載のために5分10分を奪われた場合、1日に何人の患者しか診れなくなるでしょう? 私のように処置が中心の医師であれば、15人が限界です。一人に30分の時間がかかるからです。そのような理想を医師に強制させようとする姿勢自体はすばらしいことかもしれませんが、それをたったの520円で行いなさいというのは、私から見れば診療の破壊行為です。


私は今回の個別指導で決意しました。外来管理加算を今後は絶対に請求しないと。国が認める十分なカルテ記載をするためには5分以上の手間が必要で、私の人件費からすれば数千円かかります。これを520円で行いなさいと言われれば、毎回2000円以上の赤字を出すことになり経営ができません。


私は今まで通り、自分のスタイルでカルテに簡略化した内容しか書きません。520円をもらうために患者を診療する貴重な時間を奪われたくありません。それは患者にとって大きなマイナスなのです。これには異論のある医師が大勢いるでしょうから、これはあくまで私の立場です。私は極めて珍しい、「処置がメイン」の医師ですから。


早さを追求させることになる行政

私はブロック注射をメインに行っている医師です。いつも同じ症状でルーチンの患者に対してブロックの必要性を詳しく記載しようとすれば数分を奪われ、ブロックに割く時間を奪われます。これを挽回するために素早くブロックを行わなければならなくなりますが、「素早さ」を追求すると、ブロックでは患者が命を落とすこともあるほど危険になります。そして実際にブロックでは危険なことが毎日起こっています。

お役人はカルテを書かないと医療訴訟で敗訴すると脅すのですが、現場では逆のことが起こっています。カルテを記載してもリスクは減りませんし、ブロックでは1分でも時間短縮をしようとすることで莫大な命の危険にさらされます。

実際には、カルテ記載で自分を守ろうと必死になっている医師の方が医療ミスを侵します。医師の勘を磨き育て、一瞬で全ての情報をつかみとれる医師が治療を成功させます。それは瞬間芸でありカルテには記載できないほどの莫大な情報を一瞬でつかみとっていきます。


私は断言しますが・・・カルテが不十分であろうとなかろうと、訴訟を起こす患者は少しでも気に入らないものがあれば訴訟しますし、事故を起こす医師は患者の背景全体を見通せない医師です。カルテ記載で全てがうまく行くなどという考えは間違っています。お役人が言うには「カルテは訴訟の時に負けないための証拠」と何度も何度も言われました。証拠づくりに時間を割いて、医療事故で勝訴するよりも、私は治療に時間を割いて安全を死守して訴訟をおこされないようにする方を選んでいます。


ですが、私でさえ、「問題がある」と思った患者の場合はカルテ記載を充実させます。つまり、カルテ記載には寒暖をつけています。それが時間の有効な使い方です。問題がない患者にも、ルーチンの患者にもカルテを充実させる必要はなく、それは無駄です。決まって薬を出す患者にも、全てにおいてカルテを充実させなければお金を払わないと断言しているのがお役人です。その極めて大きな無駄が患者の貴重な治療時間を奪っているのだと思います。本来回されるべき安全確保の時間を奪っています。


激怒した膝注射の話

私のクリニックでは膝の注射をすることは赤字を生みます(1本800円にしかならない)ので、現在、膝の治療を放棄しようかどうか悩んでいるところです。膝の注射をすればするほど経営が傾くからです。しかも、私の膝注射は一度の治療で全治となる患者が多く、注射をすると通院患者が減ります。何もよいところがありません。奉仕活動と考えるようにしています。

奉仕活動では医業が成り立ちませんので、多くの整形外科では薬・湿布、リハビリの3点治療で患者を治さず延々と通わせます。私はそれがいやなので、膝患者は赤字を出してでも注射で素早く治してできるだけ通院させない方向にしています。


赤字を出してでも初回から注射を行い、患者を素早く全治へと導くということを行っているのですが・・・個別指導でこんあことを言われました。


「初回から注射をする医者なんていませんよ。まずは鎮痛薬で様子を見るでしょう? もしも初回から注射をするのだったら、初回から注射をしなければならない理由を書かないなら、注射の診療報酬を認めませんよ」と・・・激怒しました。


薬を出す処方箋料は680円、これに対し、注射をするというリスキーで責任を取らなければならない匠の技が800円。ほとんど値段が変わらないというほど極めて安い値段設定をしておいて・・・その値段設定に激怒しているというのに、さらにその安い報酬を覚悟して、ボランティアで患者が切望する注射を初回から行ってさしあげているというのに・・・「初回から値段の高い治療をするなら、その理由を書かないと報酬を認めない」とそう来たのです。私は耳を疑いました。「えっつ?値段の高い治療????」。それは一桁違うんではないでしょうか? 注射料金が8000円という設定なら、そういうセリフの意味が理解できますが、処方箋料が680円という中で、注射がたったの800円ですよ。「えーーーーっ???」。


初回から注射をすることが国の税金の無駄遣いというような逆の認識を持っているお役人たち。そして800円という治療費を「高い治療」と思っているその極めてずれた意識にあきれます。

こんな言い方をされたのでは、「患者に二度と注射をしない」「膝患者は最初からお断り」となるに決まっているではないですか。


「初回から膝の注射をするなら、膝の可動域、他覚所見、痛みの原因と理由、注射でなければならない理由などを明記しなさい」と来ました。800円でそれをするなら、私は、治療を拒否する方を選びます。

私のところに来院する患者は、そもそもここはペインクリニックですから、薬をもらうために来院しているわけではないのです。膝が痛い患者がペインクリニック来るのは、いろんな治療で治らないからであり、その患者に「初回から注射をするなら、その理由を書かないと報酬は払わない」と言ってくる指導員の話は真に受けるべきなのでしょうか? カルテを書かなければお金を払わないと述べて正当化していますが、真意は医師に面倒な作業をさせて、報酬を請求させることをやめさせていこうとしているわけです。私は見事にそれに乗ります。治療もしたくありませんし、報酬もいりません。その方が黒字になります。

もしも、患者がスポーツの選手だったら、初回から薬だけで様子を見ますか?私は相手が誰であれ、初回から全力で治療しますが、全力治療をするならその理由を書かなければいけないのですか? あなたが患者だったらどうなんですか?

 


他人事ではないんですよ

医師への個別指導は国民にとって他人事ではないということを知るべきです。こんな医療現場を考えない個別指導がなされていた場合、被害者は医師ではなく国民です。そもそも800円という注射の報酬では、人に針を刺すことの責任をとれる値段ではありません。しかも、それをするにはカルテに注射でなければならない理由を書け・・・と来れば、誰も注射をしなくなります。まさに薬とリハビリだけの治療となり、それで痛みがとれない患者は手術です。みなさん、本当にそれが望みですか? それが国への希望ですか?


ばね指は270円

ばね指の治療費は270円とさらに安い値段設定です。実はばね指への注射は極めて痛く、一つ間違えれば神経や血管を損傷することもあり、簡単な注射ではありませんが、それがたったの270円。これは明らかに値段設定が一桁違うと思いますが、こんなありえない診療報酬設定にもかかわらず、「初回から注射をするならその理由を書かないと報酬を認めない」などと発する役人の声が、いかに恥ずかしい叫びなのでしょう。こんな治療を医者の誰がするんですか? 親切にも初回からばね指の注射をしてさしあげて、そして指導員にこんなことを言われるわけです。

当然ながらばね指の注射をする医師はどんどん減っていきます。それは患者を、治りもしないリハビリや、リスクの高い手術へ向かわせることになるわけで、他人事ではないのですよ。


私たちは知りませんと捨て台詞

さて、鎮痛薬のロキソニンを処方した日のカルテ記載に私はこう書きました。「歩行ができないほどの腰痛、坐骨神経痛が出現。患者は硬膜外ブロックを切望するが、前回のブロックから1週間以内の来院のため、ブロックができない。よって鎮痛薬を処方する」と。


これを「薬を出す根拠として不十分です。外来管理加算520円をたったこれだけのカルテ記載で請求することは正しくありません」と。

「えっ? この方は歩けない程痛がっていたのを、あなたたちが「1週間以内のブロックはお金を出さない」と診療報酬を支払ってくれないから、やむを得ず薬を出したのですよ。それのどこが不十分なんですか???」

「支払いの有無はまた部署が違いますのでここではわかりません」と・・・

まあいい、ここで言っても無駄だとわかりました。外来管理加算520円というたったそれだけの金額で、ここまで医師の治療姿勢を型にはめようとする意図はよくわかりました。ならば私は外来加算を今後一切請求しません。請求しなければ指導の対象にならないというのも笑える話です。


指導時間2時間10分

気づくと私以外の全員が帰宅し、ホールには私たちしかいませんでした。私のクリニックは最初から目をつけられていたことがはっきりわかりました。通常は50分以内だそうです。なぜ私のような医師が日本では存在しないのか?の理由が行政にあるということを理解していただければ幸いです。

ただ、最後に指導員が私に対して激励してくれたのが印象的でした。なぜ激励?? 何を激励?? それは彼らのやっていることがおかしいことに指導員もうすうす感じているからではないでしょうか?


日本の医療は世界最高

日本の医療は比較的安値で世界最高の医療を提供しています。コストパフォーマンスは最高です。それはお役人がこのようにして医師を管理しているからです。たった520円で医師がお役人に逆らわなくなるのです。笑ってしまいました。「あなたたちはたったの520円でここまで医師をバカにできるのか!」すごい国です。たったの520円を捨てることもできない医師たちの国です。しかし、その反面、お役人のいいなりになっている医師たちに怖さも感じます。国が間違った方向に舵をとれば、それを正す医師はいないことを意味しているからです。どちらにしても、私は日本の医療行政を変えようとは思っていません。全てを自費ですれば何の問題も起こらないからです。

よって残念なことに私の治療はお金持ちしか受けられなくなるということです。それ以上でも以下でもありません。ただそれだけです。

お役人が悪いわけではなく、保険医療が破綻していることを意味しています。医師は医療従事者ではなく、全てカルテ書きの事務員です。全ての国民が事務作業で治るのなら、そんな幸せなことはありません。どうぞやってください。

膝関節骨壊死が治りました(患者様からの投稿)

2017年治療成績

はじめに

私はすでに「膝関節骨壊死」で「手術をするしか方法がない」と言われている患者を手術することなく全治に導くということで数十人の実績を持っています。しかし、実績を示したところで医師たちは信じません。別にそれはかまわないでしょう。しかし、患者たちが信じないことは愚かなことです。何が愚かか? 「手術すれば快適で痛みもない」ということを盲信し、自分の膝に人工関節を入れサイボーグ化することに恐怖を感じさえしないところです。私は本来手術しなくても全治にできる膝を手術して治すことはとても幸せな道とは思えません。もちろんこの意見にご反対の方はどうぞ手術にお進みください。しかしながら手術せずとも救える膝なのに「手術しか方法がない」という話を疑わない方が大多数を占めることに悲しみを感じます。

ここでは、私の治療に感謝の意を表してくださった患者様がその謝意として膝を全治とさせた経過を詳しく投稿してくださったので、掲載させていただくことにしました。文末にMRI画像を掲載しています。どのように治癒したのかをご確認ください。


2017年3月17日付けでコメントを記載しました「なかむら」です。
このたび、F先生による治療が終了(治癒)しましたので、その経過等をここに報告することといたしました(一部、2017年3月17日付けの記載内容と重複します)。


2016年8月17日:
内視鏡下半月板部分切除術をしました。
以後、中々痛みが引かない状態が続きましたが、リハビリを継続しました。
2017年1月27日:
階段を昇ったときに、ガクンと沈み込むような衝撃を膝に受けました。すると、膝の曲げ伸ばし時にひっかかりが生じる(ときとして、ひっかかりのために膝を伸ばせない)ようになり、かつ、膝を伸ばすと「パキッ」という音がするようになりました。
2017年2月9日:
半月板手術した病院とは別の病院でMRIをとり、骨壊死と診断されました。骨切り術(1か月の入院)と、その後、約数か月のリハビリ、そして、約1~2年後に内部に埋め込んだ金属の支持部材を除去する手術をすることを勧められました。なお、手術をしても痛みがとれるという保障はできないが、骨壊死部分が強く当たらないようになるので、痛みがとれる可能性が高いとの説明を受けました。ちなみに、私本人は、変形性膝関節症という自覚はありません。
2017年4月 4日:F先生による初診で、MRIの結果、上記と同様、骨壊死と診断されました。下面にはくぼみがありました。ロフストランド杖による免荷を開始しました。ケナコルト1回目注射。
2017年4月11日:ケナコルト2回目注射。
2017年4月18日:ケナコルト3回目注射。
2017年4月25日:ケナコルト4回目注射。
2017年5月 9日:ケナコルト5回目注射。
2017年5月23日:ケナコルト6回目注射。
2017年6月 6日:MRIの結果、ほぼ完治(治癒)しており、今後の治療は不要と診断されました。下面のくぼみもほとんどなくなったと診断されました。

・初診から完治までの経緯

F先生に診察していただくことを決意し、3月下旬に、T字杖を購入し、初診前に、自ら免荷を試みました。F先生の過去の記事より、初診時に松葉杖による免荷を指示されると想定していました。いきなり松葉杖はハードルが高いと判断し、とりあえずT字杖で歩く練習をしました。
購入したT字杖は、アルミ製で全体がブラック塗装され、3分割されるものであり、3分割される部分が環状にアルミ色となっているもので、杖としてはかなりオシャレなものです。杖のつき方は、ネットで調べ、勉強しました。人生初めての杖でした。痛めているのは右足ですが、この場合、杖は右手に持つものだと今まで思っておりましたが、反対側の左手に持ち、右足が地面に着地する直前に左手で持った杖を地面に付くことにより、右足着地時にかかる負荷を軽減することや、T字杖の免荷率は約20%程度であることを勉強しました。杖のつき方は、約30分程度の歩行練習で、できるようになりました。
初診時、F先生から、ロフストランド杖を渡されました。松葉杖と思っていましたので、想定外で、それまでの練習により、すぐに簡単につくことができました。

・徹底的な免荷

F先生が記載している事項から推察すると、骨壊死における治癒条件としてケナコルトは必要条件ではなく、あくまでも骨壊死の治癒の必要条件は免荷であり、それを前提としつつ、ケナコルト注射は、骨壊死の治癒確率をより高めるものであること、及び/又は、治癒までの期間を短縮するためのものであること、と理解しました。
そこで、徹底的に免荷をしようと思いました。
私は自宅で文章を作成する仕事としており、自席からトイレまではかなり近く、メジャーで測定をした結果、約7メートルでした。
ここで、自席からトイレに行くときであっても、免荷すべきと考えました。自席からトイレまではわずか7メートルですが、往復ではその2倍の14メートルとなります。1日あたり約10時間程度仕事をしていますが、その間、トイレに行く回数は約7回程度です。そうすると、1日あたり、トイレのために要する移動距離は、「14メートル×7回=98メートル」となり、1日あたり約100メートルとなります。よって、1か月あたり、トイレのためだけに約3キロメートル歩くことになります。3キロメールの移動距離を、免荷すべきか否かを考えれば、当然、免荷すべきと思いました。
また、歯磨きですが、それまでは、洗面室で立って行っていましたが、今回、椅子を購入し、着席して歯磨きをすることにしました。歯磨きを、1日朝晩2回、1回あたり約3分とすると、1日あたり6分、1か月で約3時間となります。3時間、立っているのと座っているのとで、どちらが膝によいかを考えれば、当然、後者だと判断しました。同様に、シャンプー後のブロー等も、必ず座って行うようにしました。
また、私は、トイレは大小かかわらず常に座るようにしていますが、今回、骨壊死になってみて、便座からの立ち上がり時に、かなり膝に負担がかかることがわかりました。一般の机と椅子ですと、膝の曲げ角度は約90度程度ですのでさほど負荷はないですが、便座のような低いものに座ると、膝の曲げ角度(膝内側を中心とする内角)は90度未満となり、このような鋭角状態から立ち上がるときは、かなり膝に負荷がかかります。このため、便座からの立ち上がり時にも、必ず補助棒を握って立ち上がるようにしました。

・膝の回復過程

3月22日:初診前の最初の免荷の翌日ですが、1日だけで、膝の痛みが体感できる程度に減りました。免荷の威力を改めて知りました。
4月5日(ケナコルト1回目の翌日):膝裏のむくみが減った感じがしました。
4月7日:痛みをほとんど感じなくなりました。
4月8日:膝内側に、少しチクチクとした痛みがありました。
4月10日:膝内側に少し痛みがありました。膝の屈伸時に、それまであった皿の裏側のギーギー感が減った感じがしました。
4月12日:膝の屈伸時のひっかかりが減った感じがしました。また、膝の屈伸時の音が少なくなった気がしました。しかし、ときどき、膝内側にピリピリ感がありました。また、皿の裏側のギーギー感はさらに減った感じがしました。
4月21日:たまに、膝内側にピリピリ感がありました。
4月22日:膝内側に、わずかな鈍痛がありました。痛んでいる部分以外も痛むような気がしました。皿の上、膝の裏、膝の下などに、痛みというより、皮膚がピリピリする軽度の神経痛のような感じがありました。
この頃、右足が細くなったことが、目視でわかるようになりました。しかし、右足が細くなったことは、憂慮すべきことではなく、むしろ、しっかりと免荷ができている証拠であると受け止めました(筋力低下は完治後に1年程度かければ元に戻ると思っております)。
5月3日:皿の裏側のギーギー感がかなり減りました。
5月11日:膝内側のチクチク感が大幅に減りました。
5月23日:膝の内側後部の筋の軽い張りのような違和感はありますが、現時点で、痛みは全くなくなりました。
5月26日:都内某所まで出張し(当然免荷)、その後、膝内側の筋に少し張りがありました。
以上の経過をたどり、F先生による初診から約2か月、免荷と、6回のケナコルト注射とで、骨壊死がほぼ治癒しました。私個人としては、奇跡的といいますか、ミラクルというような感じなのですが、F先生からすれば、それは「当然」のことなのでしょう。
今回、F先生の指導下で治療をして本当によかったです。手術や入院を回避することができ、本当にうれしいです。
F先生、A秘書様、ありがとうございました。

最後に

実績とは何か?について述べておきます。

今回のように生活指導と治療を厳格に行えば、「手術しか方法がない」という疾患を「手術しないで全治」にさせることができます。しかし、「手術しないで全治にできます」というセリフは私の実績を元にした理論であり、現代医学では不可能とされることを可能にしているわけですから、この理論は極めて高価な理論です。

患者は私の指導の通りに治療を行うだけなのですが、その治療法は私が医師として何年も何年も極めて熱心に治療に向き合わなければ編み出すことのできなかった治療法であり、それが証拠に私以外のどんな医師も実行していない治療法です。いわば秘法・奇跡的な治療法ですが、それは私の実績にのみ裏打ちされています。

この裏技を編み出すには想像を超えた苦労話が幾重にも重なっており(だからこそ他の医師にできないのですが)、私はその秘技を患者に対して特別な料金を徴収せずに行っています。実績とは、それを重ねるためには労力にして何百万円ものコストがかかっています。しかし、その貴重な実績を「信じない」という姿勢のみで無にすることができます。

まさに「信じた者のみ救われる」のですが、ここで一言だけみなさまに忠告しておきます。私の実績をあまりコケにされないほうが皆様の幸せのために重要だということです。実績はそれを達成した人間の地位や名誉・名声・マスコミ力のみで信用度が決まります。だから皆様は何度も騙されるわけです。地位や名誉のない人間の言うことであっても、その人間のこれまでやってきたことをしっかり調査すれば、信用できることがわかるものです。その調査を行う労力を惜しむ人には「信じてよい実績かどうか?」がわからないでしょう。

どうか皆様、地獄を見ないためにも、自分の労力で自分の責任で他人を信用する癖をつけてください。それができれば、自分の力で世の中に落ちている貴重な情報を入手できる可能性が高まります。このサイトには人類を幸せに導くことができる何千億円に相当する情報があります。しかし、そんな高価な情報を「信じない」というだけで無にしてしまっています。それがどれほどもったいないことか・・・私にはどうでもよいことですが。

私はまだ開業して2年2か月ですが、開業初日より黒字であり、開業以来毎日もうこれ以上患者を診ることができないという飽和状態にあります。自分を過度に宣伝し、患者を集める必要はありません。自分の能力を誇張し、他の医師たちと張り合う必要もありません。収入も十分に得ています。ですから、これらの文章は世間に自分を認めてもらいたいという一心で行っているわけではありません。

非常に高価で貴重な情報が目の前にあるにもかかわらず、それを信じないために不幸になる難治性の患者たちに一つの救いとして掲載させていただいています。疑うことは自由ですが、その前に一度ざっとこのホームページに目を通すことをお勧めします。。

上頚神経節ブロックの治療成績(突発性難聴治療例)

2017年治療成績

はじめに

上頚神経節ブロック(SCGB)は脳・脳幹などの血流を改善することにより、これまで治らないとされていた頭蓋内で生じる様々な疾患に対して非常に効果のある治療法です。その実際の効果を数字で可視化するために、一つの例として突発性難聴の治療成績を発表します。突発性難聴の治療効果はデシベルという数字ではじき出せるからです。


突発性難聴とは

原因不明・治療法が確立されていない突然発症する難聴で年間5万人が発病すると言われる疾患です。しかもその3分の2は難聴が元に戻りません。医師の間では「幸いその3分の1は治ります。しかし同じく3分の1は多少は回復するものの治癒には至らず、残りの3分の1は全く回復しません。」とささやかれる難病です。

突発性難聴をしっかり学びたい方はこちら→突発性難聴治療の最先端PDF


初診時の突発性難聴の重症度

突発性難聴の重症度分類

  • Grade1 初診時聴力レベルが40db未満  Grade2 初診時聴力レベルが40db以上60db未満
  • Grade3 初診時聴力レベルが60db以上90db未満  Grade4 初診時聴力レベルが90db以上

当院にはG4の症例(重症度の高い症例)が大学病院より多く来院する傾向があります。


名古屋大学病院369例の重症度別治療成績

初診時重症度別不変の割合(大学病院369例)

※不変の定義は5分法(0.25,0.5,1,2,4kHz平均)が10db未満の回復または悪化をいう

治療成績の定義

治癒 5分法で聴力レベルが20db以内に戻ったもの、健側聴力が安定と考えられれば、患側がそれと同程度まで改善したとき
著明回復 5分法で30db以上改善したとき
回復 5分法で10~30db改善したとき
不変 5分法で10db未満の回復のとき

(厚生労働省急性高度感音難聴研究班)

上のグラフは重症度に無関係に「不変(治療無効)の難治症例」の割合が一定に存在していることを表します。つまり、「何を行っても治らない患者」の割合、現代医学で治療が及ばない難治性症例が突発性難聴には一定確率で存在していることを意味します。


当院に来院する患者の前医での治療成績

当院では前医での治療が無効であった難治症例が76%と大多数を占めます。大学病院では治療が無効であった難治症例は28%であり、当院には現代医学でも治らない難治症例が大学病院と比較して圧倒的に多く集まっていることがわかります。


当院の患者がこれまでに受けてきた治療(重複可)

当院の患者たちは前医でしっかりした最先端の治療を受けてきていることを示しています。


前医の治療法と転帰

このグラフは現代医学の治療に関して「何をどう行おうとも治らない」難治症例が当院の大多数を占めることを意味しています。

DIV:ステロイド点滴 SGB:星状神経節ブロック


発症から当院初診までの日数

発症から当院初診までの日数(全体とDIV)

発症から当院初診までの日数は全体平均19.4±15.3(1δ)日。突発性難聴の治療をする上で「遅すぎる来院」であり、当院の治療は大きなハンディキャップを背負っています。


上頚神経節ブロック(SCGB)の治療成績

SCGB治療前後の回復の程度(厚生労働省の判定基準による)

現代医学の様々な治療を行っても改善しない「不変難治例」49例が18例に減り、回復は10から25例に、著明回復は5から17例に、治癒は0から4例に増えています。これは治療開始時期が約3週間遅れであるというハンディキャップを背負った上での治療成績です。


SCGBと様々な治療群との成績比較

どの治療法と比較してもSCGBは圧倒的な治療成績を出しています。


SCGBの守備範囲

SCGBはすでに症候性パーキンソン病(首下垂症候群)、ALS症例、ALS様症例、三叉神経痛、脳梗塞後遺症、不安神経症、うつ病など、難聴以外の分野で成果をあげています。しかし、これらの疾患ではエビデンスを示すことが難しいため、今回は突発性難聴という「治療成果を数字で示すことができる」疾患でSCGBの治療効果を示しました。

現代医学でも治らない難聴が治るということは、すなわち、治らないとされていた頭蓋内の様々な疾患を治すことができるという証でもあります。SCGBの作用箇所は内耳にだけ特異的なはずはなく、頭蓋内のすべての個所に効果があるからです。

脳・脳幹という頭蓋内の疾患に対して圧倒的な治療効果を出しているSCGB治療は、今までその成果を証明することが難しいという背景がありました。そこで今回は突発性難聴治療という「結果が数字で出る疾患」でSCGBの効果・威力をまとめました。


SCGBはこれまで「治らない」とされていた難病を想像以上に改善させる可能性が高い治療法です。ここでは圧倒的な治療力を数字で示しましたが、このような証拠を示しても信じない人はいるでしょう。

追伸:このデータは2015年10月29日から2017年3月13日まで(約18か月)のデータです。この18か月の間、SCGBは技術的な進歩を遂げ、最近の治療成績はこの18か月間の治療成績のさらに上を行きます。


また、2018年は、仏力の「加持」とのあらたなコラボ治療を確立。2017年の治療成績をはるかに上回る勢いで実績が生まれています。ぜひご覧ください。↓

突発性難聴治療における量子波ヒーリングの驚異的成果(3例)

まことに迷惑な患者の話2

2017年治療成績

敬意のない患者は本当にお断りです

私はこのセリフをすでに何十回もこのホームページをお読みの方に申しておりますが、なぜそこまで「敬意」にこだわるのか? それがわかるエピソードを掲載します。昨日起こったお話です。

 

帰りがけに一言

30代の妊婦の方が帰りがけの会計の際に「あんなにバカていねいなのはおかしくないですか?」と受付に苦情を述べて帰られました。受付の采配で次の予約はとらせることなく返しましたが・・・

私の診療に性的な不快感を示したと判断します。つまり、私が治療行為を装い自分の性欲を満たすために身体に必要以上に触ったりしたということでしょう。敬意があればこういう無礼な判断はしません。どこまで低次元な人間として私が見られているのでしょうか?

 

治療背景

この女性の主症状は耳鳴り・うつ・自律神経失調・首まわりの不快感です。これらの症状を治す方法は現医学にはないことはみなさまもご承知でしょう。妊娠7か月ですのでお腹の赤ちゃんは安定期を迎えていますので使用量に注意すれば薬剤も使えないことはない時期です。

初診時は上頚神経節ブロックを行い、そして上記の症状が軽減したとのことでした。その後治療回数を重ねるうちに「腰が痛い」「手首が痛い」と治療要求が増えて行きました。

私の治療技術が高いことがわかると、多くの患者はこのように治療箇所を増やしてエスカレートさせていきます。特に30~50代女性に「治療要求増加」の傾向があります。

およそ2週に1回の通院ですが、電車で30分くらいの通院圏内の患者なので私に敬意がないことはだいたいわかっていました。感謝の言葉をいただいたことがこれまで一度もなかったからです。

「耳鳴り・うつ・自律神経失調・首まわりの不快感」などという不定愁訴を治せる医師などいないというのに、その価値を全く理解していないと思います。

 

先週の治療

先週私は上頚神経節ブロックではなく、腰痛に対して腰部硬膜外ブロックを行い、そして左手首痛(おそらくTFCC)の治療のために手関節内注射(ケナコルト入り)を行いました。この二つの注射は「本来は妊婦に行うべき治療」ではありません。腰部硬膜外ブロックはミスをして脊髄注射となれば、妊婦の場合は麻酔薬が脳まで到達しやすく(妊娠中は腹圧が高いからです)、血圧が急激に下がって意識を消失したり命に関わることになりやすいからです。私の場合はミスを万に一つも侵さないため「極めて慎重に行えば可能」となるのですが、普通の医師は怖がってやりません。また、手首の注射に使うケナコルトは性ホルモンに関係し、安定期とはいえども赤ちゃんの成長にわずかに影響しかねないため使いたくない薬剤です。

治療を要求されたときに、断ろうかと思いましたが、妊婦の辛さがわかりますので、なんとかしてあげたいという気持ちでこの二つの注射を極めて慎重に行いました。その重責を金銭に換算すれば診療費は10倍とっても割りに合いませんが、私はこの「感謝の意も示さない患者」に対し、普通の診療費でリスクに責任を負う形で治療をしました。

帰りがけに私は「妊娠していると全ての治療行為が危険になるし、治療すればするほど赤ちゃんにも影響してしまう」ことを述べ、「普通ならばこのくらいの苦しみは我慢しなければなりません。普通のお母さんたちはみんな赤ちゃんのために我慢するものですよ。」とお説教しました。半分は怒りです。謝意を示さないことに怒りではなく、赤ちゃんのために体の不調をがまんできないという精神の弱さに怒っているのです。

 

昨日の治療

昨日来院したときは「腰の痛みは収まった」といいます。「で、どこが調子悪いんですか?」と私はこの妊婦に尋ねました。

ただでさえ妊婦というだけで当院には極めて迷惑な存在です。妊婦にブロック注射を平気で行う医師などいません。説教したにもかかわらず、また来院しているものですから「どこを治してもらいたいのか?」たずねるしかありません。

すると「首回りと手首です」と言います。

この返答は普通のようで普通ではありません。前回、「治療は赤ちゃんのためによくない」ことを述べた患者です。ですから、本日ブロック治療を受けたいのであれば、「赤ちゃんや自分の身の危険を侵してまで治療をしてほしい理由」を言わなければならないのですから。こんな誠意のない返答が許されるわけがありません。

まるで私があなたの治療をしたがっていて、患者が来院することを喜んでいると思っているようです。そうでなければこれほどぶっきらぼうな返答になりません。

さて、これほど誠意のない返答をされると、医師としてはどんな気分になると思いますか? 怒り? 違います。恐怖です。

もしも治療にわずかの落ち度でもあろうものなら、この妊婦に訴えられる可能性が高いということを肌で感じるからです。わずかな落ち度とは、注射を刺した箇所が少し青くなる、シールを貼った箇所がかぶれる、注射後に新たな痛みが出る、などのことを言います。

これらは普通に「注射をすればやむを得ないこと」と認識しますが、この妊婦は訴えたり周囲に暴言を吐いたりして評判を落とすなどのことを起こす可能性が高い、と私は推測してしまうわけです。それは恐怖なのです。

 

なぜミスを侵さないか?

私は極めてミスを侵さない医師です。その理由は「患者と精神リンク」ができるからなのです。患者の立場に立って考えるということがさらに発展し、患者のわずかな表情や緊張の度合いで感情を読むという芸当ができるからです。私が注射をするとき、そのセンサーをピリピリと周囲に張り巡らせ、そして患者の容態を自分のことのようにモニタリングできるがゆえに大きなミスを起こさないのです。

当然ながら患者の悪意・邪気も商売上手に取るように見えてしまうため、そのような患者に注射を打つときは恐怖のために精神が破裂しそうに緊張します。

そうした緊張がさらに私の治療技術を向上させてくれます。

そして、今回の上頚神経節ブロックの最中に、妊婦の血圧が急激に上がったのを左手が察知しました。超音波プローベを持つ左手が脈の強さを感じ取ったからです。この場合、患者が恐怖心を抱いていることがすぐに私に伝わります。そして、その原因はブロック注射が上頚神経節内にしっかり入ったことであることを理解しています。しかしながら、その反応が急激である場合に患者は変化に恐怖心を抱き血圧を上昇させます。私の治療技術を信じていない者に多い反応です。

リスクの高い妊婦にそうした血圧の激しい変動を感じた場合、私は治療の手を止めるしかありません。

 

性的に気持ち悪いと思われる

このような血圧の急な上昇を察知した場合、薬液を入れるのを止め、ゆっくり血圧が正常化するのを待ってから入れるしかありません。そういうことができるので私のブロック注射は極めて安全性が高い(ミスを侵さない)のです。

その際に妊婦に「何かありましたか? 血圧が上がってドキドキしているのがわかります。何も言わなくてもわかりますから。そういう異変を察知できる技術を持っていますので安心してください」と述べたのですが、この「何も言わなくてもわかる」というのがこの妊婦を気持ち悪がらせたのだと推測します。心の中にリンクされたからでしょう。他人に自分の心の中に入られることは性的に気持ち悪いのだと思います。

おいおい待ちなさい! 心をリンクしておかなければ危険をいち早く察知できないのです。その技術があるがゆえに妊婦であるのにブロックができているのです。この技術がどれほど高価で希少かかみなさんにわかりますか?

ただし妊婦の悪意も邪気もわかるわけです。心を読まれれば素性の悪い患者は困るでしょう。しかし私に敬意があればこのような不快感を持つことはなかったはずです。

 

ガングリオンに執着

次に妊婦の左手の関節内に注射をしました。手関節の注射は難易度が極めて高く、それ自体を行う医師は探しても見当たらない程希少です。もちろん、この妊婦はそれほど希少価値がある注射であることは認識していないでしょう。

ただ注射をすればよいというのではなく、痛みを与えずに、ミスなく行うこと、それを100%近く毎回成功するまでに技術を高めることが「極めて難しい」と言えます。

ところが、今回は関節面を探すのに手間取り、3分くらい手首を探りました。その3分間、彼女の手首を執拗に触らざるを得ませんでした。彼女にしてみれば「先週はさっと注射したのに、今週はしつこく触る」ことに対して私が性的な欲求を満たすために触りまくったと思ったのだと推測します。

そして、関節内注射後に尺骨と橈骨の間に隆起が少しぽこっと出てしまいました。おそらく小さなガングリオンが存在し、それが内圧によって表面に押し出されたのだと推測しました。

「以前から手首にぽこっとしたものがありましたか?」とたずねると「そういえば以前から少し膨らんでいました」というので「それはおそらくガングリオンですね」と述べました。

すると極めて不安そうな顔をしたので「いやいやガングリオンとは悪いものではなく、誰にでも関節近辺にできるものなんですよ」とフォローしました。

しかし、不安な顔はますます強くなったため秘書が「私にもありますよ」とフォローしたのですが、不安が私への不信に変わってきたのを読み取れたため、秘書はさらに「ガングリオンはできやすい体質の人とかいますね」と必死になってフォローしていました。

私はもうすでにこんな患者とはかかわりを持ちたくないので一挙に無口になりその場を離れました。

 

帰りがけに

この妊婦は帰りがけに秘書に愚痴をこぼしたわけです。

「あんなにバカていねいなのはおかしくないですか?」です。

 

どうですか? みなさん。妊婦にはバカていねいにやらなければ母子ともども極めて危険だというのに、その危険を侵してまで誠心誠意、安い治療費(本当は10倍の料金でなければ割りに合いません)で治療をする希少な医師に対して、このセリフを放って帰るわけです。恩を仇で返すです。

当然ながら秘書も大怒りです。が、「院長はあなたさまが妊婦さまなので相当神経を使っているんですよ」と言い、次回の診察予約をとらせずに帰しました。つまり暫定的な出入り禁止です。妊婦は出入り禁止にされたとは思っていないでしょう。

 

私は明らかに普通の医師とは違います。普通の医師が「危険すぎるのでやりたくない治療」を創意工夫・経験・神経集中・技術力を駆使して安全に行う「あり得ない医師」です。「ありえないくらいバカていねい」なのは私のあまりにも普通な姿勢です。リスクが高いことに飛び込まなければならないからです。その献身的な姿勢をセクハラだと感じるわけです。私はこの怒りをどこに向ければよいでしょう?

 

当然ながら敬意がない患者は最初から診ないようにすうしかありません。そしてますます「敬意があるかないか?」の審査を厳しくするしかなくなってきます。敬意のない患者は一体どれだけ私の心を傷つけていけばよいのでしょう?

 

終わりに

これは全て私の空想です。実際にこの女性患者が性的な嫌悪感を抱いたかどうかはわかりません。私はメンタリストで普通の人間よりも心を深く読む癖があります。難易度の高い治療を毎日行うがゆえに身についた特殊技術です。ですが、私の考え過ぎの部分もあるかもしれません。

最後に、敬意さえあれば何の問題も起こりません。

まことに迷惑な患者の家族のお話

2017年治療成績

先日起こった事件をご紹介します

脳梗塞で視力を失いかけている高齢者の方が突発性難聴になられて左右ともに全く聞こえない状態となりました(片方の耳は30年前に失聴)。これは人生を揺るがす一大事ですので早速、初診時(発症2日目)に上頚神経節ブロックを行いました。


初診時にすでにこの患者の娘が私への不信感を顔に表し、不機嫌な顔をしているのが読み取れました。おそらくその理由は私の診療所のホームページに「私は世界で初めて上頚神経節ブロックを開発し(完成させ)ました」という文章に不信感を持ったからであろうと推測します。


「世界で初めて?」「そんな医者がこんなところに潜んでいるわけがないだろう?」「このハッタリ野郎」と思っていたからであろうことが予測されました。

もしかすると、世界には私と同じようなこと(上頚神経節ブロックもどき)をしている医師がいるかもしれませんが・・・もしもその手技が、本当に的確であれば、奇跡的な治療効果を発揮するため無名ではいられません。現時点で上頚神経節ブロックの効能・効果が世界で無名であるということは、そのブロックのマネごとが行われていたとしても臨床的に適切ではない(完成されていない)証拠となります。


不信感をあらわにした娘さんは私にぶっきらぼうに質問を投げかけてきました。


「抗凝固剤を使っているが大丈夫か?」「これほど酷い難聴の方が他にいるのか?」「治せるのか?」という質問です。私に敬意のある質問の仕方ではなく、「質問に答えてみろ!」というような私を審査する口調でした。


十分に私のことを予習していない方たちだなあと思いつつも、私は


「出血のリスクは高いと思います。ただし、私のところでは特注の極めて細い針を使っているのまず大丈夫だと思います。」

「グレード4の方ですよね。グレード4とは全く音が聞き取れないレベルの方をいいます。そういう患者様は私のところでは全体の38%を占めますので、普通です。」とグラフを見せて説明しました。

「治るか?という質問に対しては、他の病院で何をやっても効果なかったという方49例中31例を改善させることができます。」「逆に言うと49例中18例は治せないということです」と、これもまたグラフを見せながら説明しました。

と、しっかりした数字で回答しました。後になってわかりましたが、質問に即座にあまりにも堂々と回答したことが娘さんをさらに怒らせたようです。


この患者は血液の抗凝固剤を服薬中ですのでブロックには通常の方の何倍もリスクが高く、よって何倍も神経をすりへらすことになり治療には重い責任を負います。通常は治療を断られるのが普通であり、実際に他医で星状神経節ブロックを断られたそうです。それでも見えない・聞こえないとなると、この方の人生が終わってしまうと考え、私には極めて不利ですが、リスクを承知で責任を負う形でブロックを行いました。その態度はおそらく、この患者の家族には伝わることなく、逆に「無謀な医師」と映っていたのだと思います。恩や善意がネガティブにとられていたのでしょう。


翌日の来院で「聞こえが改善していない」とのご返答を奥様からいただきました。実際はふらつきが改善されていて、歩行が安定していたことが観察されましたが、おそらく家族はそのことに気づいていません。


そして奥様は「今日の検査結果で耳鼻科に入院になるかもしれません」と言いました。つまり当院にはもう来ないかもしれないと告げました。


私は患者の住所をちらっと見ました。すると自動車で20分くらいのTというところに住んでいるということがわかったので


「Tの方ですね。ならば私のことを信じなくても仕方ないですね。治療を選択する権利は私にはありませんから。しょうがないですね。非常に残念ですががんばってください」と述べました。

私の診療所には北海道や九州から飛行機で通院する方が普通におられ、そして新幹線通院患者は大勢おられます。そのように遠方から来られる方は、私への敬意を持ち、信頼して治療に来られますが、近くに住んでいる方は「敬意もくそもない」ことが多いというはっきりした傾向があります。

近いから私のところに来たという患者とは信頼関係が結べないことが多いといえます。


本当は引き留めようかと思ったのですが、奥様が私への不信感を顔面いっぱいに出していたので「しょうがない」とあきらめました。私は不信感を出されるような言動は一切していません。


これほどの難病に、合併症に、びくともせず、堂々と患者に立ち向かって即座に治療を行ったこと、グラフを見せて回答したことが逆に相手の気に障ったわけです。家族たちは私を審査するつもりで来院していたのだと推測します。が、堂々過ぎるところがその審査に不合格という烙印を押したのだと思います。おそらく「誇大妄想医師」という烙印を押したのに違いありません。


さらに家族たちは、1度目の治療で効果がなかったので、「やっぱり、この医師は誇大妄想のキ〇ガイ」と判断したのだと思います。


こういう場合は「ご縁がなかった」とあきらめることにしています。私はこのようにプライドを傷つけられることは常に容赦してきましたが、そうではなく患者の人生が家族の判断によって、踏みにじられることが極めて悔しい次第です。


私は昔であれば通常、こういう患者の家族とは大声で格闘していたものですが、最近では口論もせず、極めてあっさりさよならを言います。が、おそらく、私が悔しがっている表情をしたので、その表情を奥様が読み取り、気分を害されたのだと思います。なぜなら悔しがる=「あなたたちの選択は間違っている」と私が主張することと同じ意味だからでしょう。その後に抗議のメールをいただきました。大変びっくりしました。


原文をそのまま掲載することは著作権侵害になるため、箇条書きにします。


メールタイトル:びっくりしました

 

  • 困ってる人に最低な言葉を放ったとの訴え。
  • 信用は時間をかけて築いていくものとの訴え。
  • 医者に人を傷つける権利はないとの訴え。
  • 今までのどんな医者の中でも最低という評価。
  • 人を傷つけて偉そうな態度を取るのは医者失格とのこと。
  • 予約入れるほど混んでない「人気と信用のないクリニック」との評価。
  • ホームページ掲示板には都合の悪いものは載せないと主張。
  • どんなに素晴らしい技術か知りませんという評価。
  • そちらにお世話になるくらいなら家族が支えて生きていきますとのこと。
  • 人の気持ちを何とも思わないとの評価。
  • 医者というか人として終わっているという評価。

このメールは患者の娘さんからのものです。人を傷つけるといますが「人」とは誰のことを意味しているのでしょう? 私からすれば人とは患者ですが、娘さんからすれば「自分」のことなのでしょうか? 私は上記の会話で人を傷つけた覚えは全くありません。私は患者本人を助けるためには患者の家族と最後まで戦う医師です。ですが今回は本人が私の会話を理解することができない(聞こえない・見えない)ので戦わずにあっさりさあきらめました。娘さんはあくまで私を審査したかっただけだと推測します。


私は人の心を読むことがでるメンタリストですのでこういうメールをいただきますと、その理由が手に取るようにわかってしまいます。その娘さんの家族背景や奥様との接し方、普段の日常生活でかかえているであろうストレスなども推測できてしまうのです。


そのくらいの洞察力で患者と接しているからこそ、これだけリスクある治療をしても安全にここまでやってこられているということを誰も理解していないでしょうし、理解されたいとも思っていません。この患者では出血のリスクがあるにもかかわらず、即座に臆せずブロックを決行しましたが、それは私が無謀だからではなく、安全確保に莫大な精神力を注いでいるからです。ですがこの家族には即座に決断=安全をないがしろにする無謀な医師、と判断したと推測します。


これだけリスクある患者ばかりを相手にし、難易度の高い治療ばかりしていれば、普通は必ず大きな事故に出会います。そしてそれがトラウマになって二度とブロックをしたくないという心境になるのです。それが起こっていないことがすでに私が無謀ではない証拠になっています。慢心や過信では事故が必ず起こりますから。


話をもとに戻します。


おそらく耳鼻科入院に舵をとったのは娘さんであり、その責任の重さがゆえに、「最悪の選択をした」との態度を私にとられたことに対して尋常ではない私への憎悪が芽生えたと推測します。ただし私は「最悪の選択をした」とは口が裂けても言っていません。私の堂々とした態度や口調がそのように言っているような雰囲気をかもしだしたのでしょう。


耳鼻科医でもない私が西洋医学や大学病院に治療を任せることを「間違った選択」と思っていることは当然ながら相手に伝わっていると思います。それが「偉そう」という言葉に集約されています。そして「人として終わっている」というセリフから、私が「誇大妄想のキ〇ガイ」と思われていることがうかがわれます。


ですが、私は常に「偉そう」にしないように努めています。偉そうとは、権威の仮面をかぶって権威者を装うことですが、実力もないのに実力を装うと、それが原因で患者を危険な目にあわせてしまい、医師人生も患者人生も崩壊します。


ですから私は常に自分を過小評価することに徹し、世界トップレベルの治療法を数えきれないほど開発しても、このようにおとなしく、患者に小ばかにされようとも黙々と治療をしているわけです。私は常に「偉そう」にしている教授たちを批判的に見つめ、他人の実績をあてにせず、自分で実績を作った治療法だけを信じて治療を行ってきましたので、全ての行いは実際に数字ではじき出した科学的なものです。教授の言葉よりも医学書よりも臨床現場での実績や科学(数字)のみを信じるその態度が偉そうに見えていることはわかっています。これは逆に言うと教授たちの出した治療成功のデータの嘘を暴き、自らそのデータを塗り替えることに等しいからです。偉いのではなく反社会的です。


そして今回は家族とバトルしても無駄だと分かっていたので静かに終わらせました。ですが、結果は逆に出ています。静かに終わらせたことが「さらなる偉そうな態度」に映ったのでしょう。よって「私たちの選択が間違っていたとしても、そちらにお世話になるくらいなら家族が支えて生きていきます」という言葉を言わせたのだと思います。


しかし、「選択が間違いなら支えて生きていく」とはいうものの、患者の人生は地獄に落ちます。生活を支えることなど患者にとっては関係のないことで、患者は死ぬまでの間、音のない世界、ほとんど見えない世界という地獄を生きなければなりません。私ならばその地獄から救えたかもしれませんが、耳鼻科医にはそれはほぼ不可能であることを、私は既に数字で出しています(その論文がこちらです)。もし、患者と私が直接会話できれば、私はこの患者を説得させることができました。しかし、患者本人ではない者に「音のない地獄や弱視の苦しみ」は理解できません。問題はそこにあるのです。


地獄を生きるのは患者本人です。その地獄がどれほどひどい地獄なのかを、わかっていれば私のような医師につばをかけるようなことは、たとえ私に怒りを感じたとしてもしないはずです。人の痛みがわからないことが、患者を地獄に落とし、場合によっては自殺に追い込むことがあります。それを、こうも簡単に自分のプライドが傷つけられたという理由で、人の人生を選んでしまうのか・・・。


どちらかと言えば、家族の罪というよりも、患者が地獄に落ちることをわかっていながらそれを救わなかった私に罪があるのかもしれません。非常に悔しい思いをしました。が、私に敬意のない患者を救うことはできません。敬意どころではなく審査されているわけですから。


さて、私にはこうした「難治性の患者を救うことができる」という自信、そして「耳鼻科に入院することで患者の人生は終わるだろう(音のない世界になってしまう)」と推測することが、傲慢、ハッタリ、自信過剰、医学を冒涜している、とこの娘さんが考えていることは普通にわかります。だからこそ私は「Tに住んでいる人だから仕方ないねえ」と申し上げたのです。近所に住んでいる方々は私がどれほど研究をし続け、患者側に立って必死に治療法をあみだしているか? その治療実績を知りません。よって敬意も何もありません。


私の自信は誇大妄想から来ているのではなく、治療実績のデータ分析から来ているもので、確固たるエビデンスがあります。エビデンスを持って治療予測をすることは傲慢でも誇大妄想でも「人を傷つけること」でもありません。


ではそのエビデンスの一部をご紹介します。まだ公表していないエビデンスです。


私の診療所に来院した1.5年間の突発性難聴の患者72例は、グレード4(ほとんど何も聞こえない)の患者が全体の40%を占め、大学病院や総合(専門)病院・鍼灸で治療が効果なしだった患者が約8割(77%)を占めます。当院の初診日は平均で発症後15.2日。つまり医学が見放した患者で、かつ手遅れの患者ばかりが来院します。そうした悪条件の中で次のグラフのように改善させています。


SCGB治療前後の回復の程度(厚生労働省の判定基準による)

SCGBは上頚神経節ブロックのことです。


現代の医療の全てを尽くしても効果なしだった49例のうち31例を回復に導くという恐らく世界トップの成績を残しています。しかも聴力データは数字できっちり出ますのでごまかすことができませんしケチをつけることがなかなか困難です。青が私の治療を受ける前の治療成績で、赤が私の治療(SCGB)を受けた後の治療成績です。厚生労働省の基準に従って判定した結果です。


現在は治療予後の研究論文を進行形で書いています(近いうちに公開します)。その論文から導き出した予測では上記の患者は大学病院や専門病院ではほぼ救えないことがわかっています。予測の理由はのちに公開します。失聴を避けるための最大の可能性として上頚神経節ブロックがあったのに・・・と思っています。だから「私を信じられないのなら仕方ないですね。」という言葉になったわけです。


娘さんが私を信じられないのではなく、私を信じるために(私を調べるために)日常損傷病学のホームページを隅々まで読む労力をかけていないと思われます。私を調べる手間を省くというそれだけのことが患者から私の治療を受ける選択肢を奪うことにつながります。そういう惨事を私にはどうすることもできませんし、これを惨事と呼ぶことが傲慢であるというのなら、私を上回る治療成績をきちんと数字で出すことのできる医師を世界中を回って探してみてください。そうすれば私が「世界初、世界トップレベル」などと言っている理由が少しはわかると思います。


私は、こういう(世界初、世界トップなどの)セリフを言うほど信用が落ちることをよく知っています。メンタリストですから。ですが、私を理解しようとする者が読めば、真実が見えるように工夫してあります。


私はそれを患者に対するハードルとして考えており、ハードルを乗り越えられた患者のみ診療するようにしています。


つまり、世界トップ、世界初などという言葉のみを取り出して、「何を誇大妄想してるんだこのキ〇ガイ医者」と思う人は、ホームページをしっかり読んでいない証拠とみなして診療しない、というようなハードルを患者たちに課しているわけです。


考えてみてください。前医で高圧酸素・ステロイド点滴・星状神経節ブロック・鼓室内注射・針灸などあらゆる治療を行って、改善しなかった患者が8割という状況を2割にまで減らすことができるのです(データは近々に論文で公表します)。その私が、救えるかもしれない患者を目の前からさらっていく患者の家族に対し、どれほど悔しい思いをするかわかりますか? 患者の痛みがわかる医師にとって、こういう状況は極めてつらいものです。「びっくりしました」は私のセリフです。


もし、入院させて聴力が回復した場合(ほとんどはそうなりませんが)、家族は私たちの選択は正しかったと思うかもしれません。しかし、私は80%の確率でそれ以上に改善してさしあげることができます。それは自信過剰ではなく、研究データがそう主張しているのみです。そして残酷なことですが、研究データでは耳鼻科に入院した場合、まず失聴は避けられないと出ています。それは私の治療で1度目に症状の変化が認められない場合、何をやっても聴力が回復しにくいというデータがあるからです。ただし、「症状の変化」は出ているのに本人がそれを感じ取っていない場合が多々あります。そういうことを加味した予後判断は、データ以上の観察力が必要ですので、数字ではなかなか表せません。


私を信じてほしいなどという言葉は空虚です。信じる者は何も言わなくても私のこれまでの実績や医師としての態度で自ら信じ、信じない者には「信じてもらえないなら仕方ないですねえ」という言葉を言ったがために、たったその一言で「今までのどんな医者の中でも最低でした。」と言われてしまいます。これが現実です。愚かな患者は私を審査しに来院します。1か月くらい前にも内科医(妻が難聴で受診、の同伴)が私を審査しにやってきました。その内科医は「そんなに優秀な治療成績があるのにどうしてこんなにはやってないのですか?」と言い放って帰っていきました。はやっていないというよりも、患者の通院を極力制限しているのですが、それを言っても無駄です。この失礼極まりない言葉を面と向かっていうのですから、彼は最初から私を侮辱するために来院したことがわかります。


この内科医には治療成績をグラフで見せたのですが、最初から「私をなじって妻に治療をあきらめさせる」ために来院したため、グラフなど見ていませんでした。説明したところで馬耳東風です。審査しようとしている人間に対してグラフを見せても信じるわけがありません。すでに来院時から「私を否定するために来院しました」と内科医の顔に書いてありました。こんな無礼な患者に怒っている暇はありません。次の重症患者が待合室に待っているからです。


お願いです。どうか私に敬意を払ってください。それを傲慢と呼ぶ方は最初から私にアクセスなさらないでください。


私も人間ですから、傷つけられれば、今後は診療費をうなぎ上りに上げていき、信用や敬意をお金で頂戴するということを実行しなければならなくなります。そして今後は治療するしないを事前に私が判断し、治療を許可制にするしかありません。治療する前にIDを発行し、IDがない方は診療いたしません。


権威や知名度しか信用できない方は決して私にアクセスしないでください。私は人の心を読むスペシャリストです。信じているフリはすぐに見破ります。そしてすぐさま出入り禁止にさせていただきます。今後は治療する前に、会話する前に診療所に来た瞬間から追い出します。もうすでにその方針に舵をとっています。私は再度いいますが人の心を読めるメンタリストです。かなり短時間で相手の深層心理まで読んでしまいます。だから短時間で追い出します。


これまではわからずやの患者を説得にかかりましたが、今後はそんな無駄な時間を使いたくありません。私の治療は極めて特殊、希少かつリスクの高いものばかり、かつサードオピニオンであり、厚生労働省の定める治療ガイドラインからはずれているものです。私の指示に従えない場合は、極めてリスクが高くなります。ですから、従えない方を門前払いすることは診療拒否にならないことを申し上げておきます。


「予約入れるほど混んでません」、「どうしてこんなにはやっていないんだ?」というお言葉を、私を審査しに来られた患者が良く言うのですが・・・それは勘違いです。もうこれ以上は診られないという限界に達しています。ですから、激しく患者の来院を制限しています。当院は近所にお住いの方が3分の1しかおりません。3分の2は全国から来られます。近所に住む人が3分の1であるというのは「はやっていないから」ではなく、極めて厳しい通院制限をかけているからです。優先順位の高い遠方からの患者を診療するために、近所の患者の来院を制限しています。


この患者の場合、午後に予約が入っているにもかかわらず、予約時間を守らず午前に来院しました。通常ならばその時点でアウトです。帰っていただいています。しかし、この患者の優先順位が高いと判断したため、医療秘書が便宜をはかってさしあげ午前に割り込ませたのですが、すると、「予約するほど混んでいない」と言われてしまいました。秘書も悔しい思いをしたと思います。


私の治療時間は有限であり、誰かが割り込むと他の誰かの診療時間を短縮させるしかありません。しかし、難病で重症な方が多く来院されるため、診療時間を短縮させることができないのです。よって、予約時間を守らない方は、その時点で診療を拒否させていただくという厳しい処置をとっています。キャンセルが出た場合は診療しますが。


当院では予約時間を守らない患者がいろんな問題を起こすことはすでに統計学的に数字で出ています。だから、やむ無き事情がないかぎり、遅刻者は「私に敬意がない」と判断し、診療を制限します。


こうやって少しでも来院患者数を減らす努力をし続けております。敬意のない方は本当に来院なさらないでください。他の重症の難病の患者様に多大な迷惑がかかります。ここはショッピングセンターではなく、一人の患者の迷惑行為が他の大勢の重症患者たちの命を危険に追い込みます。0.1㎜間違えば重大な事故につながるようなブロックをやっていますのでご理解ください。


また、誓っていいますが、「ホームページの、掲示板も都合の悪いものは載せない。」ということはありません。悪口雑言、反対意見、お叱りこそが重要な情報であるということを私はよく知っています。よってこの苦情メールを掲載させていただきました。


再度、私に敬意を払えない、信じられない方のご来院は固く固くお断り申し上げます。患者様と私の互いが時間と労力の無駄になることを防ぐためです。そのため、掲示板に掲載した時点で、敬意がないと判断できる場合、診療をご案内することをしません。


私もなるべく事前に、不信感が強い患者様を来院させないように厳しく吟味していきたいと思います。本当は週に数回診療したほうがよい患者を先送りにして通院回数を減らしています。そこに今回のような患者が割り込んでしまうわけです。つまり今回のような患者(家族)が重症な方たちの治療のチャンスを奪っています。近所にお住いの方には診療回数が少ないことへの苦情を何度もいただいております。ですから、私に敬意を払えない方は絶対に来院しないでください。他の重症患者たちの大切な診療のチャンスをどうか奪わないでください。

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2017年治療成績

ミラーニューロンと多重人格

前回のブログで、人間には大なり小なりミラーニューロンというものが存在し、他人の感情や行動を「自分のことのように感じ取る」力があることを述べました。ミラーニューロンが極めて発達した人では、おそらく催眠術や暗示に極めてかかりやすく、他人の人格を自分に宿してしまうことや他人の病気を自分に宿してしまうことがあり得ることを述べました。


怒っている人の前にいると自分も怒りに満ちたり、悲しい人の横にいると自分も涙したりするなんてことは普通の人間に普通にできることですが、ミラーニューロンが著しく発達している人であれば他人の雰囲気が自分に感染してしまい、自分を失って他人の思考で行動を起こしてしまうことがあっても不思議なことではありません(多重人格という)。ミラーニューロンはもともと「相手の気持ちや感情を我がことのように感じ取る」ための神経細胞であると言われているわけですから、この機能が強く働けば、一時的に「他人になりきってしまう」ことがあっても不思議ではないという考え方です。


このように人は他人の思考や感情を自分に移植させることができる生き物です。一流スポーツ選手の試合を目の前で見た後に、自分がいつもの何倍もそのスポーツがうまくなっていることを体験したことがあるでしょう。こういう例はミラーニューロンのなせるわざであると思います。ところがよいことばかりではなく、人は病気や体調不良も移植してしまう可能性があります。


もしも、他人の「病に侵された気」「邪悪な気」を移植してしまいそれが原因で病気になった場合、医学では原因不明の奇妙な症状が出る可能性を考えます。そうした「悪い気」の感染で起こる病気が存在することをここでは考え、その対策を考えます。つまり、ミラーニューロンが無意識のうちに肉体に及ぼす障害を考えます。それを「霊障」と呼ぶ人もいます。感染した気(霊障)を取り除けば病気が治り始めるかもしれません。


私は霊を信じない

私は霊を信じない不信心者です。しかし、人間からは現在の物理学で未発見の「波動エネルギー」が出ていると信じています。そう考えるきっかけは「脳の血流量」にあります。脳には全身に流出する血流量の20%が流れ、全消費カロリーの2割を脳が消費する計算になります。消費しすぎだと思いませんか?


20%の消費ということは、脳で体全体の熱の20%を作っている計算になるわけですが、実際には18%くらいの熱しか作っていないのではないかと考えています。残りの2%は波動エネルギーとして外部に放射しているという仮説を唱えます。現在の物理学ではこの波動を発見できていません(一部、波動に言及している物理学者もいるらしいですが)。


この波動エネルギーは放射能のように、物体に衝突すると吸収され、何十年、何百年とその波動を吸収された箇所から微量に放出し続けるという仮説を打ち立てます。ミラーニューロンが著しく発達した人間は、この波動エネルギーを読み取ることができると推測します。


例えば、江戸時代にとある日本刀で殺された人がいたとします。殺された人は死ぬ直前に強い恨みの思念波動を出します。出した波動はその日本刀に衝突すると吸収されます。するとその日本刀から強い恨みの波動が何百年も発せられ続けると仮定します。その刀を持った者は恨みの波動を受けてしまい、殺された人間の思念が移植されて病気になってしまうことがあるかもしれません。


たとえば、死んでしまった人の生前の波動エネルギーがその人の愛用していたものや溺愛していた我が子に吸収され、その波動が人や物から何十年と発され続けることがあると仮定します。ミラーニューロンが発達した人はその波動を自分の意識体の中に取り込むことができるため、死んだ人の感情や行動を再現してしまうことがあると考えます。つまり、自分の意識が一時的に死者の思念に乗っ取られることがあると考えます。死者の霊を降ろすとはこうした現象のことを言うのではないかと推測します。憑依とも言いますが、憑依はミラーニューロンが発達している人には普通に起こることであり、実際に世界各地で憑依が起こっていると思います。ミラーニューロンが発達した人間とおつきあいのない方には信じられないことだとは思いますが、おつきあいのある方は私の話が架空ではないことを認識していると思います。


乗っ取られるのは死者に限らず、生きている人間の思念にも乗っ取られます。催眠術などもその一つであり、また呪術がそうであり、わら人形もそうでしょう。私は、死者が生きていた頃に残した波動エネルギーこそが霊の正体であるという仮説を唱えます。ただし、この仮説には宗教家や教祖・霊能者と呼ばれる人たちは賛成しないと思います。彼らの唱えている世界観・価値観を崩すからです。


思念波動は感染する

「オカルト映画、貞子」ではありませんが、強い思念エネルギー(波動)は物体に吸収されて長年その物体から波動を発し続けると仮定します。その波動が邪悪な思念であれば、ミラーニューロンが発達した人ではその邪悪さを脳で感じ取り、その邪悪に意識を乗っ取られることがあると思います。「貞子」はその媒体がビデオテープという映像に仕立てたフィクションです。が、もしも波動を録音することができて、それを発する装置が開発されれば、人々を波動で催眠術にかけることができます。催眠術で病気にさせることも、死に至らしめることも可能かもしれません。


ミラーニューロンはもともと「他人の感情を我が身のごとく感じるための神経細胞」ですから、他人の波動を自分に感染させてしまうことはあり得ることです。感染させると自分ではない自分が現れてしまいます。言い方を変えると肉体を他人の意識によって操られるわけです。


しかも、波動エネルギーは何百年も消えないものであるとすれば、何百年も前に死んでしまった人の意志を再現できても何の不思議もありません。これが霊降ろし、口寄せ、であり、これがができる人間は、探せば実はそこらじゅうに存在するはずです。しかし、それを口にすると精神異常者と思われるため、隠しているので身近にはなかなかいないと思われています。潜在的な口寄せ能力者は、おそらく全国に何万人と存在し、世界では数百万人規模で存在すると思われます。


死者の思念が邪悪であれば、その思念を受けて病気になる者もいれば、死者の思念が希望に満ちていれば、幸福や繁栄をもたらすこともあるでしょう。宗教家たちはそれを先祖の霊であると述べているのでしょう。先祖を供養すれば繁栄をもたらすのは、先祖の思念エネルギー(有用な知恵や習わし、考え方、愛情)を糧として自分に同化させるためではないでしょうか。


死者には生きている者を動かす力はありません。しかし、思念エネルギーに感受性が極めて高い人では死者の思念に支配され、操作されることがあるでしょう。よって死者の思念が時間を超えて未来の人を動かすことができる可能性を示唆します。


そして、死者の思念に乗り移られた人がさらにその思念を増強できる力を持っていたとしたら、死者の思念はさらに他の人に感染し、感染が拡大していきます。もしもその思念が邪悪なものであれば、人は人を憎み、殺し合いをやめないでしょう。殺された人々の恨みや怒りの思念が蓄積すれば負のスパイラルが渦巻いて誰にも止められなくなる可能性があります。中東の国々ではテロや戦争が耐えませんが、それは邪悪な波動エネルギーが負のスパイラルを巻き起こしているせいなのかもしれません。


 チャクラとミラーニューロン

おそらく、波動は神経細胞から発せられるものでしょう。神経細胞が興奮する際に波動エネルギーを出す。したがって波動は苦痛、快楽、激しい感情、緊張や興奮などがきっかけとなって外部に発せられるでしょう。よって最大に発せられるのは神経の密集地帯である頭頂部や前頭部、延髄部、そして指先などからということになります。


チャクラと呼んでいるものは神経細胞が発するエネルギーと一致するのではないでしょうか。そしてミラーニューロンが発達している者は、当然ながら感受性・喜怒哀楽が激しく、緊張や興奮とともに神経細胞から波動が強く発せられるでしょう。


このチャクラは当然ながら自分の意志で発することができますから、チャクラで人を操作する催眠術、今ここにいない人の残留チャクラを感じ取ってその周囲の状況を見通す透視術、チャクラの流れを感じ取って未来を予測する予言、相手の心を読んでしまうテレパシー、死者のチャクラを再現する口寄せ、などが可能であると思われます。


「そんなことができるわけがない」と考える人にはイルカやコウモリを観察してみてください。彼らは超音波を発してその波動を読み取り、周囲の状況を把握する能力を持っています。波動を読める人間がいてもおかしくないと思いませんか?


思念エネルギーは共鳴を起こす

多くの人が同時に同じ思念を抱けば、その波動エネルギーは共鳴し干渉し、より強力な波動を作るでしょう。例えば人々が願かけにやってくる神社・教会などでは強力な波動が生まれやすく、その波動が石像や彫刻したものに吸収されると、その像からは何百年間も強い波動が発せられ続けると仮定します。その波動はそこにやってくる信者たちに再び感染しますから、信者たちにも異変が起こるでしょう。強い波動を受けた信者は、その像の思念にのっとられることもありえますから、その場合は「私の体に神が降臨した」「神のお告げを聞いた」という体験を起こすでしょう。


人々の持つミラーニューロンには、もともと感染力がありますから、「神が宿る」という体験は、ある意味嘘ではないと思われます。宿ったときには、ミラーニューロンが過去の能力者たちの能力をコピーできますから一時的に強力な能力(チャクラ)を使えるようになっても不思議ではありません。しかし、それはパワースポットでのみ得られる力ですから、いつでもどこでも発揮できるものではないでしょう。ただし自己修練を積めば任意の場所、任意の時間に能力を出せるようになるかもしれません。一般の人も訓練次第ではチャクラを使えるようになると思います。


ミラーニューロンのコピー能力は個々で限界がありますから、誰にでもできるわけではありません。遺伝子的に感度のよいミラーニューロンを多数持って生まれた「選ばれし者」にしか能力を発揮できないと思います。


能力者にとって、過去の能力者たちの思念波動を吸収した偶像は、力を得るために重要な鍵となりますから、その偶像は代々大切に保管されるのが当然となります。


パワースポットと呼ばれる土地土地には、そうした強い思念エネルギーを発する場所があり、そのパワースポットを巡礼することでミラーニューロンに思念波動をコピーさせることができるようになるでしょう。よって能力者は自分の能力を高めるためにパワースポットをめぐるのが定石となります。


これらは私の仮説ですが、科学が進歩すれば、今言ったような波動を全て測定器で計測できるようになり、波動を映像化することもできるようになると思います。まじめにこの手の波動を研究している物理学者もいるそうです。


思念波動の利用法

死者の思念波動(ここでは仮にチャクラという)を読み取れる人間は霊能者と呼ばれます。普通の人間も修行をすれば、おそらく死者のチャクラを読み取れるようになると思います。修行をしなくてもミラーニューロンが遺伝的に著しく発達した者はチャクラを読み取り、発することができるでしょう。チャクラが発せられると精密電化製品が狂わせることがしばしばあります。これは実際にチャクラを発することができる人間と暮らしていれば嘘ではないことがわかります。が、そういう人間は10万人に1人くらいしかいませんから、体験できる人は少ないでしょう。ポルターガイストと西洋では呼ばれていますが、体験したことがある人は、実際は非常に大勢いると思われます。


このように述べると、自称霊能者たちは不快感を示すと思います。霊能者は神に選ばれた人間であり、極めて希少価値の高い存在であると周囲に思わせたいでしょうから。しかし、そう思わせようと画策することは「支配欲のゆがんだ形での表れである」と思います。


物理学が発達すれば、チャクラは測定でき、映像化することも可能であり、そうなれば死者の意志や姿を映像化することもできるかもしれません。チャクラをたどることで警察は殺人犯を容易に見つけ出すこともできるようになると思います。さらに、言葉を用いなくてもチャクラ同士で会話する器械も作ることができると思います。そして、恐ろしいことに、強力なチャクラ発生装置を用いて、民衆に集団催眠術をかけ、人の意志を支配するような軍事利用もあり得ると考えます。教祖はチャクラ発生装置そのものですから、すでに信者たちは集団催眠にかかっているといえるかもしれません。


人間のようにスポーツ、学校、会社、軍隊などで組織的に行動を行う動物には遺伝子の中に「集団行動」をしようとする群衆心理が組み込まれているはずであると考えます。個の人間が団体の力になれば強力なパワーを生み出し、そのおかげで人間は食物連鎖の頂点に立つことができているわけですから当然でしょう。個をひとまとめにする道具として波動の存在あると考えます。よって波動を強く出せる人はリーダーシップを発揮するのだという仮説を唱えます。


人間の文明は発達しすぎたために、音や視覚からの情報が人を支配するようになり波動を操れる人、ミラーニューロンが発達した人が減ってきたのかもしれません。しかし、退化した能力もきっかけ次第で目覚めることがあると思います。


霊と呼ぶことが話を複雑にする

話が複雑怪奇になる原因として、さまざまな思念波動を「霊」と呼ぶことにあります。波動を「霊」という人智を超えた意志としてしまうことで、人を怖がらせ、従わせることができてしまいます。つまり「霊」を出すことで人を支配できます。この支配力や説得力欲しさに霊能者と呼ばれる者たちは「霊の存在」を断言する傾向にあります。


霊能者たちは、その天性がゆえに、様々なオカルト体験をしますが、それを「霊のせいだ」「神が降臨した」などと断言することは不誠実です。推論を述べるのは自由ですが、断言はよろしくありません。教祖と呼ばれる人々、高僧と呼ばれる人々、超能力者と呼ばれる人々、そのほとんどが「断言」します。判明していないことを断言することは不誠実ではないでしょうか?


このような人間の歴史から見てみると、波動は支配の道具であり、能力者が神や霊の存在を断言することは支配欲の表れだと述べてよいでしょう。よって私は「断言」する人間は教祖と呼ばれていようが、高僧と言われようが、利己的な欲望に満ちていると考えます。だから、私は個人的に教祖や高僧と呼ばれる人たちを好きではありません。ただし、支配は人々の平和を維持するために役立つことを否定はしません。


思念波動が次元を超えられる可能性

次元論を述べる必要があるのは波動を宗教と結び付けてほしくないからです。教祖などの能力者は未来に起こることを予言することができますが、それは波動が時間と空間軸を飛び越えられるからではないか?という物理学的な考察があります。


一般の人でも親しい人が死ぬ瞬間を察知したり、デジャヴのような予知ができることがあります。これは波動が時間・空間軸を通過できると仮定すれば説明がつきます。ただし、よほど強い波動でなければ時空の壁を超えることは不可能であると思います。仮説の域を出ませんが、一応、現在の仮定物理学で予知や「虫の知らせ」などを説明できる可能性について触れました。


思念波動で相手を呪う

思念波動は人を支配し操作できるエネルギーであると仮定すると、この波動は自分の都合の悪い人間を呪うために用いられるのはとても当たり前なことです。そして私のように彼らの核心部分をつく科学者は邪魔者ですので彼らに呪いをかけられるかもしれません。思念はエネルギーですから悪用も可能と考えます。


実際のところ、思念エネルギーを破壊的な目的で用いることは世界じゅうで行われていることであり、一般人であっても極めて強い恨みを持つと波動が出せると推測します。そうした邪悪な思念をかけられたために難病になった人々がいると私は推測します。いわゆる生霊です。生霊は念じた相手にとりつくのならまだいいのですが、それは罪のない不特定多数に感染することがあると思われます。未熟な一般人の呪いは1点集中などできるはずもないからです。これは波動の公害です。彼らに言わせれば下級霊、動物霊に分類されるかもしれません(呼び名はどうでもいい)。こっくりさんなどの呪術の遊びは、波動で人を操る遊びと言えるかもしれません。私は「邪悪な波動の公害で難病になっている人々」を救ってあげたいと思っています。


思念波動で人を死に至らしめる

邪悪な思念波動で相手を呪い殺すという暗殺方法は太古の昔からあります。日本でも戦国時代、敵国の武将を呪い殺そうとして呪術が利用された逸話はいろいろとあります。現在も世界各地で人を呪い殺す手法は受け継がれています。やり方が異なりますが「思念エネルギー」を高めるための呪術道具がいろいろとあるものです。木魚、仏像、相撲の土俵から藁人形まで様々です。


呪いで人を殺してしまうことは証拠も残りませんから法律的には無罪ですが殺人であることにわずかの違いもありません。「人を禱らば穴二つ」です。


人は恐怖に支配される

人が神をおそれ、天罰をおそれ、先祖・仏を敬い・・・などをするのは、恨みというものに莫大な負のエネルギーが存在し、それが実際に肉体を蝕むからではないでしょうか。そのオカルトチックな恐怖では人を支配します。


千年以上前からキリスト教徒とイスラム教徒はいがみあい、そして戦争をし続けているのは、人という生き物がいかに思念エネルギーによって支配されやすいか?を物語っているのではないでしょうか。


チャクラを操れる人間はたやすく教祖になることが可能であり、信者は教祖に対し全財産でも寄付します。教祖はその莫大なお金でさらに人々を支配する環境を整え、威厳を示し、信者のチャクラをひとまとめにして自分がその思念エネルギーを吸収して能力を高めようとするものです。


一方、国家は宗教で民衆を操り、軍事力に取り込んで国を守ろうとします。そのため権力者はときに教祖と手を組みます。そして植民地支配のために宗教を用います。


能力者の多くは、自分のことを「無欲」と言い、「支配ではなく人を幸福に導く」と言い、「自分は人間の格が高い」と言いますが、果たしてそうでしょうか? 人間が現世を生きていて無欲でいられるはずもなく、そして修行して能力を高めていると慢心もするものです。そもそも彼らが権力と結びつくことが無欲ではない証拠となっています。


私は人を支配することを否定しません。なぜなら、支配がなければ人は殺し合いを行う獰猛な生き物だからです。戦国時代は徳川家康が全国を平定したことで殺し合いの時代に終止符を打ちました。人々同士の殺し合いをやめさせるためには支配が必要であることは、小学生でも知っていることです。ですが支配は無欲では決してできないものです。教祖が信者を支配している時点で無欲からかけはなれています。ですから、自分のことを無欲と言う能力者たちを私は不誠実であると思うわけです。


教祖ほど権力のある人間はいない

私は自分磨きを常に行い、医療技術を高めて人々を助けようと日々努力し、奉仕活動も行い、世に貢献していると思いますが、どれほど努力して世界の医療界のトップに立ったとしても、「おまえの守護霊は不浄だ。おまえは邪悪に満ちている。」と教祖に一言言われるだけで、「人間をやめて生まれ直せ」と言われるくらいにコケにされてしまいます。


努力して築き上げた財産も地位も名誉も、教祖様の前では意味のないものにされてしまいます。このように思念エネルギーを使える教祖という存在はどんなに強大な権力を持つ者でさえも自分の支配下に置くことができます。


徳川家康も天海上人(日光東照宮に祀られている)には敬服していました。


国王も神の前(教皇の前)では裸の人間にされてしまいます。ならば、思念エネルギーを操ることができる能力者は、世界を牛耳ることもたやすいということが理解できるでしょう。その強大な権力を、能力者たちはいやでも感じます。周囲の者があがめたてまつるので自然に思念エネルギーの恩恵に酔ってしまう運命にあります。


ここで私は「霊能者と呼ばれる者は、その権力に酔いしれない自信があるのか?」といいたいのです。人間である限り、生きている限り、その慢心から逃れることはできないでしょう。能力者は慢心するがゆえに、邪悪な思念にも知らず知らずに侵されていくものです。しかし、教祖様に邪悪な思念が入り込んでいても、それを正せる者はいないため、邪悪であることを教祖自ら気づくことができません。オウム真理教がそうであったように、暴走する例は世界中で見られます。


日本では真言宗の教祖、空海が能力者として言い伝えられていますが、彼は人を支配する欲を制するために密教として山奥にこもったことは歴史の教科書で学びます。


科学は邪悪

科学の多くは邪悪な思念(兵器開発・教授になるためなど)から生まれます。明治維新・富国強兵からわかるように、科学こそが軍事力であり国力であり、人を支配する力になります。戦争を起こすと科学は急速に発達します。戦時中は科学のパワーにより人の命が大量に奪われます。人を殺す力として著しく発達する科学。その科学の恩恵を受けて、平和な時期にだけ人々は科学を幸福に利用できます。そして人間の歴史を見ると、戦争していない時代なんて存在しないほどに人々は殺し合っています。宗教家が科学を嫌うのは当然ともいえるでしょう。宗教家たちが創り上げる神や仏の世界を科学的に分析することは邪悪と言われても仕方ありません。


私はその邪悪エネルギーが強いがゆえに、他の医師が治せない難治性疾患を治せるようになりました。


ですから、宗教家は私の邪悪な思念を感じ取り、近寄りたくないと思います。彼らに言わせれば魂のレベルが低い人間です。しかし、彼らと違うところは「私は自分が邪悪であること」を認めているところです。彼らのように「支配欲が強いのに無欲なフリ」をしません。


邪悪な能力者

他人のミラーニューロンを操作することができる能力者は世界各地に存在します。能力者の多くは「霊能者」と呼ばれます。彼らは常に特別扱いされる運命にあります。気の毒なことに能力者が魔女狩りと称して処刑され迫害された時代もありました。


当然のことですが、科学が進歩していない国ほど霊能者は特別扱いされます。科学が発達している国では、それを科学分析し客観的に利用しようという方向に進みます。このように科学の発展は霊能者を特別扱いしない方向に進めます。逆に科学が発展していなければいないほど能力者は神のごとく崇め奉られるという法則があります。


日本はその中間地点にあるでしょう。私は科学者ですので、能力者たちを特別扱いするのではなく、客観的に有効利用しようと考えています。


さて、能力者は民衆に崇められるため、自分が邪悪に感染していることに気づきにくいことは前に述べました。そして悲惨な事件が起こります。


アフリカのマラウイという国では霊能者によってエイズ感染を広めたことが社会的な問題となり、霊能者が逮捕されたことが世界にニュース配信(2016年1月)されました。


なぜエイズを広めてしまったのでしょう?


世界各地で霊能者は「悪霊払い」の役割を果たしていることは共通しています。アフリカでは疫病が常に猛威をふるっており、それらが悪霊のせいであると思われ、能力者たちは「悪霊払いの役割」を自然と果たします。中でも初夜権と言って少女たちの処女を霊能者に奪ってもらうことで悪霊を払えると信じている部族がアフリカのマラウイ国に存在しています。


マラウイの霊能者(45歳男性)は部族の女性たちからお金を受け取り百人以上と性行為を行い(処女性も大勢いる)、エイズ感染を広めてしまいました。逮捕された能力者は「自分がエイズに感染していること」を認識していたため逮捕されましたが、たったの2年の禁固刑だったという話です。エイズは10年、20年後に猛威をふるいますので霊能者と性行為をした少女たちや、その少女たちの彼氏、夫たちは将来、エイズに命を奪われることが予測されます。その後のエイズの広がりはあまりにも莫大すぎて予想ができません。国が亡びることもあると思います。この霊能者の罪は計り知れません。


女性たちはエイズなどの死に至る病気から開放されたいがために、「悪霊払い」と称して能力者にお金を支払って処女を奪ってもらうという行為に至るわけですが、その行為でエイズを故意に広めてしまうのですから、この男は「悪魔に魂をのっとられていた」と言ってもよいのではないでしょうか。それでも少女たちからは誰一人、被害届が提出されなかったそうです。


霊能者はおそらくミラーニューロンが発達しており、霊能者自身も邪悪に極めて感染しやすいはずです。しかし、人々に崇め奉られると、邪悪に染まっている自分の心を制御する人がいなくなるため、簡単に暴走してしまうものだという例を挙げました。


そのような邪悪に染まった人こそ私のことを「邪悪な科学者」と呼ぶだろうと推測できます。真に神に選ばれし能力者であれば、能力者自身にも大きな邪悪が潜んでいることを認識できるはずだと私は確信しています。


「私には邪悪が潜んでいない」と豪語する能力者がいれば、その者こそ邪悪に染まっていると思います。


守護霊に守られなさい

宗教家・教祖・高僧たちは、仏を敬い、仏を守護霊にすることができるそうです。しかし私は霊の存在を否定します。霊とよんでいるものは神経細胞から発せられる波動エネルギー(チャクラ)であると考えているからです。


慈愛に満ちたチャクラを身につければ、彼らは「霊格が上がる」と言いますが、国民全員が慈愛に満ちたチャクラを身につけて霊格を上げることには大反対です。それでは国が滅びるからです。彼らが嫌う邪悪な科学こそが国を発展させるのですから。


邪悪な思念で兵器を作り、人を支配し、高い税金をしぼりとって国に砦を作るからこそ、人は他国から侵略されずに生きて行けます。国民全員が霊格を上げてしまい、信心深く生きていると、その国家はたやすく他国の人間に侵略されます。


宗教が自治体を収めていると言われるチベットでは民が大変信心深く、巡礼を行い霊格が高いと思われます。しかしその自治行為は中国への反政府行動、テロとみなされ、その結果チベットの民は中国本土の軍人たちによって人口の数十パーセント以上が殺されています。僧侶も数え切れないほど殺されています。命を奪われることになっても信仰心を守り抜き、教祖の命令には従っても、中国共産党に真っ向逆らうからです。宗教は国家に逆らうほどの信念を国民に与えますが、その信念・信心深さのために、国民が地獄に落ちる様を歴史が我々に教えてくれます。


日本でも加賀の一向一揆が有名であり、織田信長に一向宗の教徒が徹底的に殺されています。近年ではオウム真理教が暴走しました。


教祖のアドバイスどおりに信心深くなり、教祖に従うがゆえに政府に反抗し、そして結局命を奪われる様は「守護霊に本当に守られているのか?」と疑問を持たねばなりません。逆に言うと、宗教家や高僧たちは、彼らが邪悪とする国家や科学に守られているからこそ布教できるのだということを頭から切り離し過ぎていると思います。それは愚かであり、決して「意味のある殉死」ではないと思います。


科学は彼らから言わせれば邪悪ですが、邪悪が存在しなければ彼らが存在し得ないことを理解できないようでは人を導く資格がないと思います。邪悪な科学があるからこそ、敵国から侵略されていないのです。


人間界には悪役と慈愛に満ちた人間のどちらも必要です。表は裏がなければ存在できないということに気づかなければ賢者ではありません。


先祖を供養し、神に祈り、慈愛に満ちた幸せな生活を送るためには、実はその下に大きな犠牲が払われていることを知らなければなりません。その犠牲の元に、自分だけが守護霊に守られてぬくぬくと平和な生活をすることに罪悪感を持たなければなりません。 供養をすれば、祈祷をすれば、波動の力で成功が手に入るかもしれませんが、その影で「波動の力によって成功を奪われてしまう人間」がいることを忘れてはなりません。


不信心者と教祖が手を組む

私がこのようなオカルトに言及する理由は、難治性の患者の中には思念エネルギーによって病気になっている人がいることを理解しようとしているからです。


思念エネルギーによる体調不良を彼らは霊障と呼ぶそうです。どう呼んでもかまいません。彼らと医師が手を組まなければ、治せない病気もあるだろうと考えます。だから科学とオカルトが手を結ばなければなりません。


しかし、彼らと手を結ぶのであれば、患者を支配しようとする欲深な教祖から守ってあげなければなりません。


おそらく、科学者と教祖はお互いを「悪」と考えており、油と水の関係にあります。ですがアメリカ合衆国では能力者が科学と手を結び、犯罪捜査などに役立てている様を見ると、日本もそれに追従すべきと私は考えます。それができないような日本であれば、それは開発途上国と同じです。手を結べば救える命が格段に増えると思います。


さて、私と手を結ぶことができる器のある教祖・高僧がいるでしょうか?という難問があります。


彼らにとって大切なのは信者であり、彼らは信者以外を治そうとはしてくれません。それはそうでしょう、信じる者は救われるですから。信じない者を救っている暇はないでしょう。


教祖や高僧の弱点

思念エネルギーを利用できる人間は実は諸刃の剣です。能力者こそ邪念に感染しやすい体質を持つという最大の弱点があります。彼らは修行により邪念に満ちた波動を追い出したり、拒絶したりする技術を得ようとします。それがなければ邪悪な波動に自分の体を乗っ取られるからです。しかし、彼らも気づかないのは、人々にその能力を称えられているうちに、支配欲という邪悪にのっとられてしまうことです。のっとられて慢心すると、その力で政府に反抗し、自分が国家の主になるべきだという妄想を抱くものです。


邪悪な者、どん感な者は波動の恩恵を得られ難いですが、邪悪な波動にも感染しにくいという利点を持ちます。よって鈍感な者はマイナスの思念から守られています。しかし教祖や高僧は邪悪な波動に極めて感染してしまいやすく、いつのまにか自分が邪悪になります。宗教法人を作って財をたらふく貯める教祖はすでに邪悪に支配されています。財を蓄えることが邪悪であることさえに気づかないのですから。


そんな彼らと医学が手を結ぶことを夢見ている私は愚かでしょうか?


波動医学研究

日本には医学では考えられない奇妙で奇蹟的な治療ができる治療師が散在します。気功治療、心霊治療、超能力治療などがそれにあたります。が、実は全て同じ原理の治療法なのではないかと推測します。それは思念波動です。神経細胞から発せられるエネルギーが治療に役立っているのではないかと推測します。


これまで述べたように、思念波動は誰からも出るものですが、治療を行ったり、任意に出したりするレベルに高めるには、遺伝的な持って生まれた才能がなければならず、選ばれし者にしか使えないものであると思います。


ここで重要なことは、「自分が思念波動を用いて治療している」ことに気づいていない治療師が世界に大勢いるということです。


例えば「神の手」と呼ばれるほどの治療技術を持つ外科医です。その外科医が手術を行うと、治療成績が桁違いに高くなり、他の外科医ではどんなに修行をしても同じ治療成績にはならないというような場合です。神の手の外科医からは思念波動が出ていて、その波動が手術の治療成績を高めていることがあるでしょう。しかし本人もそのことに気づいておらず、また気づいていたとしてもそのことを隠さなければなりません。オカルトだと思われれば不信の目を向けられ地位も名誉も著しく落ちるからです。


骨電位の変化を用いて脊髄や延髄などの中枢の疾患を治すことのできる優秀な治療師がいますが、その方は皮膚の表面を触っていると、「電位の切れ目(変化)がわかる」と言います。この能力こそがミラーニューロンが発達している証であり、波動使いであると私は推測していますが、本人は真剣に「骨電位の変化が中枢を刺激して治す」と理論づけています。科学的には信じ難い理論ですが、治療師が自分の治療力を世に宣伝する場合、既存の科学理論を用いて治療原理を説明しなければならないことになるため、このような「仮説的な科学理論」を展開せざるを得なくなります。私から見れば、既存の科学理論を用いて説明することにこそ不信が生まれると思います。


彼は自分の治療を広めようと努力はしているものの、皮膚表面から「電位の変化」を見分けられる人にしか伝授できないため、弟子を多くとろうにも無理という壁につきあたっています。


また、日本では指圧・マッサージでいろんな難病を治せる特別なあんま師がいますが、彼らも思念波動で治療しているのであると推測します。当然ながら彼らも「自分が波動使い」であることに気づいていません。


基本的に波動は人間ならば誰にでも出せるものであり、しかしながら、任意に強い波動を出せる人間はごく限られているというだけのことだと思います。


物理的にこの不可思議な波動エネルギーが解明されるまで、彼らは自分のことを波動使いであることを表には出さないと思います。


唯一、自分が波動使いであることを表に出したがるのは「支配欲に憑依された教祖」であると思います。なぜなら、科学で証明されていない特殊な力があることを表に出せば、一般的に不信がられ、一歩間違えば精神病院に強制入院させられるからです。実際に強制入院させられた話を聞き受けます。そうしたリスクを冒してまでも能力があることを表に出すには、ネガティブなものが根底にあると私は判断します。私がそうであるように。


波動を使える治療師は一歩間違えば精神異常者として扱われ、社会的に地位が失墜する恐れがあります。そして私自身もこのような論文を書くことで信用性を失う可能性があることをよく認識しています。


波動診断学

ミラーニューロンが発達している治療師は「悪いところがわかる」という言い方をしばしばします。また「手が勝手に動く」という言い方もします。優秀な治療師は現代医学の全てを尽くしても診断できなかった病因を見つけ出すことができるようです。それは神の力ではなく、ミラーニューロンの力であると思います。


波動を利用できる治療師は「極めて治療箇所が的確」であると思われます。そして、頭が痛いのに足の裏を治療したり、下痢しているのに頚髄を治療したりして見事に奇跡的な改善をさせます。


それらはマッサージの力というよりも、病因箇所を見つけ出す診断力の秀逸さです。我々医学者は彼らを見習って、真の診断学を志す必要があります。


私は能力者ではありませんが、「真実の探求者」であるために、病因箇所を見つけ出すまであきらめないという精神力を鍛えました。そのおかげで難病・奇病を治療できるわけです。つまり、能力がなくても、能力者の診断学を盗むことができれば、同様に奇跡的な医学治療ができるというわけです。ただし、それをするには医師のプライドが許さないでしょう。私のように自分のプライドを串刺しできる医師にしか、彼らと同じ芸当は難しいでしょう。


私のオカルト体験

オカルトと医学が手を結ぶチャンスが今ここにあります。それは一人の女性がきっかけになっています。私の医療秘書(医療コンセルジュ)が能力者だからです。


彼女といると不思議な出来事がおきます。彼女が車を運転すると、急にワイパーが激しく動きだしたり、車のナビが狂って突如目的地から離れた経路を指示したり、電燈がついたり消えたり、車の窓・トランク・サンルーフが全部同時に開いたり、スマートフォンの画面がいきなりスクロールしたり・・・と、電気製品がしばしば誤作動を起こします。あまりにも誤作動が多いのですべて偶然では片づけられません。やはり彼女から未知の波動が出ていると推測するしかありません。


そして彼女は「霊降ろし」ができます・・・、霊が彼女に降りるのか?と、科学では解説できないような現象を次々に起こします。今年の3月のお彼岸に訳あって30年ぶりに母の供養を一緒にしてもらったのですが、彼女が彼女ではないどうやら母に似た人のしゃべりかたや声、私にしかしなかった呼び方で私を呼んだり、母が好きだった歌を歌ったり、スポーツの仕草をしたりその場でだだをこねるような暴れかたをしたり号泣したりなど、ほんとに科学では解明できないような現象を私の前で起こします。まるで他人の意志が憑依したかのようです。


私は霊を信じていませんので、憑依したものを霊とは呼ばず、それを未知の思念波動と呼んでいます。霊降ろし=未知の波動の感染です。感染はいつも起こるのではなく彼女の周囲で霊的なオカルト話をする、霊力のある人がそばに寄るなどをきっかけとして起こります。すると彼女のチャンネルが開き(思念波動にチューニングが合い)、まるで周囲の霊が彼女の体をのっとるかのようになります。その間、彼女の意識は半分は保たれています。しかし、自分の意識が保てない人もいると思われ、その場合は二重人格として精神病送りになります。


これらの現象は去年、私の診療所に女性の僧侶(真言密教)が来院し、彼女の体を触ったことがきっかけで起こるようになりました。女性の僧侶は強い能力者であると周囲に認められており、その力でいろんな人を救ったり、成功に導いたりしてきたそうです。


このような奇怪な現象を目の前で見せられ、私は波動というものの存在をまじめに考えるようになったわけです。今の科学では全く説明がつかないものです。


僧侶はこのような怪奇現象を日々経験し、除霊のような祈祷を仕事にしているそうです。私には理解ができませんが目の前で起こっている現象であることは否定できません。医療秘書(コンセルジュ)として勤務している彼女にこのようなオカルト現象が起こったことが、医学とオカルトが協力しあえるチャンスになっています。彼女は巫女であると彼女の周囲の能力者たちは口をそろえて言いますが私の理解を超えています。


病気の何割が思念エネルギーによる霊障か?

まず、ブロック注射を1本打てば完治するような病気の原因として、霊障はほぼないか、あってもごくわずかでしょう。現医学のあらゆる治療を行っても全く改善しない病気の中に霊障があるかもしれません。


精神科に入院となる患者の中には、霊障の人がそれなりに高い比率で存在しているかもしれません。そして、以下の法則が成り立つと思います。


○難治性の病気にかかった人は負の思念エネルギーにとりつかれやすい

○負の思念エネルギーで霊障が出た人は、それ以外の普通の病気になりやすい


霊能者(自称他称を問わず)と呼ばれる人が負の思念エネルギーを除去(お払い)できる能力があることを私は認めます。


しかしながら難治性の病気のほとんどが霊障であるというのは「言い過ぎ」です。もしも「難治性の病気のほとんどに霊障がかかわっている」と断言する霊能者がいたとすれば、それは慢心であり支配欲が言わせているセリフだと思います。


私は霊障が存在することを認めますが、それはわずかであると判断します。もしも、彼らの言うように、この世の病気のほとんどが霊障であれば、世界に医者の数よりも霊能者の数の方が増えなければ理屈に合いません。医学は霊を研究する方向にも必ず進みます。そうならないのは、ほとんどの人々が霊能者の手によらなくても、医者の手で健康になることができるからです。


この世に霊障がごまんとあると仮定すると、それらを治すには先祖供養をしたり、高い壷を購入したり、教祖の指導通りに行動したり、入信しなければなりません。それでは霊能者が支配する国家となります。政治家は霊能者の助言で戦争を起こしたり撤退したり、他国との貿易や商売さえ従わなければならなくなるでしょう。それはまさに宗教国家であり、霊能者に支配される軟弱国家になってしまいます。


つまり「霊障がほとんどである」と宣言する発言内容には霊能者たちの支配欲がてんこもりに詰まっているということです。強い支配欲は極めて邪悪な思念であり、それはまさに霊能者が邪悪思念に感染している証拠であると思います。だから私は「この世の病気には霊障がごまんとある。ほとんどが霊障である。」と断言する霊能者の協力を仰ぎたくありません。患者を入信させて彼らの支配欲の中に突っ込ませることになるからです。

重要なことは思念エネルギーによる病気が全体の何割を占めるのか?です。そして、現在霊障で苦しむ人も、全部が霊障ではなく、一部は一般的な病気であること、また、現在、一般的な病気に苦しんでいる人にも、わずかながら霊障が入っている可能性があるでしょう。それらを医師と能力者が協力し合って治していければ最高です。


私と能力者が手を結ぶことを予言する

訓練された極めて優秀な能力者は、おそらくごちゃまぜになった思念エネルギーをひもとく能力があると私は推測します。思念は誰もが抱くものです。そして強い波動だけがその場に残り続けるでしょう。ならば過去に発せられた思念や今発せられた思念まで、思念は過去と現在がミックスされ、さらにそこら中にいろんな人の思念が存在していると考えます。しかしながら波動はラジオの周波数と同じ原理で、いろんな電波がある中、チューニングで任意の周波数帯を選別できるように、能力者は自分の意識の中に入れ込む波動のチューニングができると推測します。


このチューニングの訓練を行うことにより、過去から未来への波動の流れを感じ取ることができたり、予言や易を的確に行うことができたりするものと推測します。さらにオカルト話になりますが、思念波動が次元を超えることができる場合、未来の波動が現代に届くことがあり得るかもしれません。予言はそうした未来の波動とチューニングを合わせることによって可能になるのかもしれません。


予言や易は政治家や時の権力者にとっては貴重な宝、情報となるため、いつの時代も能力者と権力者は蜜月の関係となります。つまり、能力者は権力欲から切り離せない宿命もまた背負っています。


権力者から庇護された能力者が私のような医師と手を組んでくれないとは思いますが、本当の能力者であれば私と手を組むことが繁栄をもたらすことを予言できるかもしれません。


能力者・医師の限界

私が難治性の症状を専門に治療する極めて特殊な医師であることはみなさんもよくご存じでしょう。能力者もまた、現代医学で治らないとされる病気を治す力があることも私は認識しているつもりです。悪性腫瘍でさえ治せることもあると聞き受けます。


しかしながら、神でさえ死んだ人間を生き返らせることは不可能です。よってどんなに超能力があったとしても、絶対に治せない病気があることは認めなければならないところです。そして能力者の治療は一般的に医師の治療よりも効果時間が短いという短所があることも認めなければなりません。


能力者は奇跡的に病気を治せるかもしれませんが、私は科学的に奇跡的な治療成果を挙げています。その私でも治せない病気があります。つまり、互いに「治せない分野」があり、私と手を組めばお互いの限界を超えて今まで以上に難治性患者を改善させられる可能性があります。その可能性に向けて歩み寄っていただければ大変うれしいです。


真に悟りを開いた者であれば、私のような医師と手を組むことに意味があることを理解してくれるだろうと勝手に考えています。


波動を語ることの影響

思念波動の存在を語ることは社会的にかなりリスキーです。その理由は科学者から学会からは除外されて地位・名誉が傷つけられること。宗教界から、教祖から、「神や霊を否定する邪悪な者」と呼ばれて最悪の場合呪術で呪われる場合もあることなどが挙げられます。つまり、科学者と能力者のどちらからも反発を受けることが必至だからです。どちらから見ても都合の悪い存在であり、オカルトを信じたくない民衆からも嫌悪感を抱かれます。


さらにリスキーなのはスポンサーが撤退してしまうことです。


思念波動は民衆を動かすことのできるエネルギーであることは前述した通りです。神や霊、宇宙の意志とも通じています。それを仮説であったとしてもその仕組みに言及することは、「民衆を動かそう」としている者たちには都合が悪いものです。民衆を動かそうとする者は世の中でスポンサーとして随所に影響力を持ちます。よって生かすも殺すも彼らの手中にあります。


私の意見をひねりつぶすなどたやすいことです。そして私が他者と協力して治療法を広めようとしたときに、スポンサー協力を得られなくなります。


思念波動について言及することは、たとえ仮説や推測であってもリスキーです。


そのリスクに私がなぜ飛び込むのか?については、「私は真実の探求者であるから」としかいいようがありません。


真実を探求することで、現在のつたない医学技術でも多くの難治性疾患を奇跡的に治せるようになりました。その探求行動を続けているだけのことです。


来年私は何をしているでしょう?

私は整形外科医として整形外科医が治せない疾患をことごとく治してきました。膝の骨壊死、変形性股関節症、腰部脊柱管狭窄症、へバーデン結節、手根管症候群などなど、手術以外では治らないとされているものも注射で果敢に治してきました。専門としては脊椎でしたが、治療箇所は徐々に「誰も手をつけない胸椎・頸椎、そして延髄」へと上がっていきました。今では脳幹治療の専門となり、難聴治療を主体とし、ALSのような症状やうなだれ首、パーキンソニズム、症候性三叉神経痛、そして精神疾患までブロック治療をするようになりました。


1年先、いや1か月先に私が何の治療を専門としているのか?私にも全く読めません。


今年最大のトピックスは医療秘書が特殊能力に目覚め、そして一般に「霊障」と呼ばれるような不思議な症状に関わらざるを得なくなったことです。真実は「霊」などないと思っていますが、人は波動を介して病気になったり、健康になったりしている可能性にぶち当たりました。それをオカルトと考えるのではなく、「一体難治性の病気の何割にネガティブな波動によるものがあるのだろう?」と考え始めました。その先に何があるのか? これまた全く読めませんが、難治の方々を助けられる可能性があるのなら、私はどこまでも変化していくつもりです。

ミラーニューロンと難治性慢性疾患と密接な関係

2017年治療成績

脳の誤作動

現医学で解明できない難治性疾患は、日常的なものから命を奪うものまで様々な程度で存在し、医学者たちが想像している何十倍もその罹患数は多いでしょう。それは下痢や腹痛から麻痺やしびれ、慢性頭痛、耳鳴りやめまい倦怠感まで医学で解明できないものばかりが堂々と存在しています。


医学書の診断基準にあてはまらない奇妙で特異的な症状は「脳の誤作動」「心因性」と診断されます。そう判断した患者は精神科へと回し薬物治療を受けさせることが医学書のガイドラインで決められています。しかし、実際は「脳の誤作動」と言われた患者の多くは精神科には行かず病院にもかからないようになり、ただ耐える方が圧倒的に多いと思われます。このようにして治療をあきらめた方はマレではなく、莫大な数にのぼると思われます。つまり、現代医学で解明できない症状を持つという人は実はあまりにも大勢存在していて、そのことを医師も知らないというのが現状です。私のように、現代医学で治らない症状を治すことを専門とする医師にしか不可解な患者がどれほど多いか?ということを認識することが不可能だからです。


これらの患者を見捨てるわけには行きません。真実が脳の誤作動であるというのなら「脳の誤作動を解除する方法」を模索し、その根本治療を見つけなければなりません。


精神科薬で「脳の誤作動が解除される」ことがあることは私も医学者として認識しています。しかし精神科薬の使用では単に解除させるだけでは済まず、性格、モチベーション、嗜好、行動パターンまで変えてしまい「人の尊厳の根源部分」を変えてしまう恐れがあります。また、長期服用で禁断症状やとりかえしのつかない副作用が出現することもあり、安易に使用するべきものではないと私は考えています。


ところが、近年は精神科医だけではなく、整形外科医やペイン科の医師が、精神科薬の副作用を認識せずに軽い気持ちで処方するようになってきています。その理由はガイドラインができあがり、ベルトコンベアー式に「慢性疼痛に精神科薬を使いなさい」というマニュアルが近年作られてしまったからです。そうしたガイドラインが作られてしまったことを非常に残念に思っています。ここでは脳の誤作動を薬剤を使わずに改善させる方法がないか?について考察します。


上頚神経節ブロックで脳の誤作動解除

上頚神経節ブロックでうつ状態が著しく改善させることができることを私はこの2年間の臨床データで確認しています。神経症も同様に軽減できます。上頚神経節ブロックは脳の血流を増加させる手技ですから、脳神経の異常には脳の血流障害が関与していることが推測されます。自律神経核(迷走神経核)は外界の刺激や感情の変化に応じて肉体を自動制御する装置ですが、ここの誤作動では外界の変化をもろに受けて体内にあらゆる不具合を起こします。いわゆる自律神経失調症です。これも脳の誤作動の一種と考えられ、治療の中心は精神科で行われています。上頚神経節ブロックでは自律神経(迷走神経)核の不調さえも改善できますので、脳の誤作動には脳幹の血行不良も関与していると推測されます。よって自律神経失調症は精神科薬でごまかすのではなく、上頚神経節ブロックで根本的に治療するべきでしょう。しかし、血行不良だけが原因ではないとも感じます。上頚神経節ブロックが効きにくい人もいるからです。


上頚神経節ブロックが効きにくい場合、免疫・代謝・脳幹-頸髄の形態学的異常など様々な問題が原因として複雑にからんでいると思われます。真に難治性疾患を治療するには「様々な問題全てにアプローチしていく姿勢」が必要になります。その様々な問題を解決するための秘策として、今回はミラーニューロンについて考察します。


ミラーニューロンは模倣・共感能力に関与

ミラーニューロンは他人がしていることを見て、我がことのように感じる共感(エンパシー)能力を司っていると考えられています。霊長類や鳥類などで発達しており、自閉症児ではミラーニューロンが障害されていて発達障害などと関係していると言われています。ミラーニューロンがヒトの脳に存在するという確証は得られていませんが、しかし、機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)による脳イメージング研究によって、ヒトの下前頭回と上頭頂葉が、被験者が実際に行動する時と他者の行動を観察する時の両方で活動を示すことが分かっています。したがって、この領域にミラーニューロンが存在し、ヒトにおけるミラーニューロンシステムを構成していると考えられています(ウィキペディアより)。


私はこのミラーニューロンが脳の誤作動を発動させるかなり重大な鍵になっている可能性について考え、ミラーニューロンが身体の活動に悪影響をもたらすケースとその治療法について述べたいと思います(全ては空想の域を脱しませんのであしからず)。


ミラーニューロンは一種のテレパシー

私たちは何もしゃべらなくても相手の心の動きを読むことができます。顔の表情や態度、雰囲気で相手の感情がどういう状況にあるかを判断できます。テレパシーは誰もが持っているということです。それはミラーニューロンのなせるわざかもしれません。ミラーニューロンの数や鋭敏さは遺伝子により決まっていますが、突然変異により極めて少ない者や極めて多く過剰に鋭敏な者が存在します。極めて少ない者は他人の行動や感情に影響されにくく、発達障害が起こりやすいと言われています。ではミラーニューロンが過多の人はどうなるでしょう。


相手の行動や表情に共感するだけではなく、視力や聴力以外に肌で感じる感覚や気配でいろんなことを読み取れる可能性があります。普通の行動と少し変わった行動をしている人を見ただけで悪意を感じることもできるでしょう。その能力がさらに発展すれば写真や残留物で犯罪捜査ができるかもしれません。それはサイキックと呼ばれるかもしれませんが、医学的には「ミラーニューロンが過敏状態にある」だけなのかもしれません。

このミラーニューロン過多がサイキッカーとして多くの人に役立つ場合があるかもしれませんが、一般的には多すぎるミラーニューロンはその人の健康を害する方に向かわせることが多いと思われます。それはミラーニューロンが少なすぎる人が発達障害に陥りやすいことの正反対であり、多すぎることも障害になると考えるのは当然です。平均を著しく超えた個体は生きるのに不利であることが多いのは進化生物学の定説です。ただ、医学は「少ないと自閉症になる」ということを考えても、多すぎるとどうなるかに論述する学者は私を除いて一人もいないのが現実です。


ミラーニューロンによる反射現象

他人が流血しているのを見て失神する人、恐怖映画を最後まで見ていられない人、他人の吐いた汚物を見て自分も吐いてしまう人、写真や絵に反応して実体験しているかごとくに感じてしまう、などはミラーニューロンの共感作用が自分の体に病的な反射を起こしてしまう例と言えるでしょう。そういう人はおそらく悪意を持っている人をみただけで鳥肌が立ち、吐き気や頭痛が起こるでしょう。


催眠術にかかりやすい人もミラーニューロン過多と言えるかもしれません。おそらくミラーニューロンが少ない(鈍い)人は催眠術にはかからないと思います。逆にミラーニューロン過多の人は一般の人にも催眠術をかけられてしまうと思います。例えば「鉄棒のさかあがりができないなんて、へたくそ!」とののしられれば、そこから一生さかあがりができなくなるというような催眠術のかかり方をする可能性があります。ジンクスも催眠術の一つです。できないという催眠がかかってしまっています。


催眠術にかけられて起こっている不具合であれば、催眠術により不具合を解消できる可能性が高まります。よってミラーニューロンにより脳の誤作動が起こっている人には催眠療法は極めて有効性の高い治療になると推測します。


また、ミラーニューロンはトラウマを容易に作ることが想像できます。例えば、バナナを食べた時に酷い下痢になってしまった人は、ミラーニューロンがバナナを見た時に脳にネガティブな感情を起こし、その感情が自律神経を不安定にさせ、再び下痢を起こさせるというものです。バナナがトラウマになります。

そう考えると、電車に乗ると恐怖感や焦燥感が起こるという神経症もまた一種のミラーニューロンの反射と言えるかもしれません。一度起こった嫌な体験を、電車に乗るたびにミラーニューロンが毎回呼び戻してしまうという仕組みです。


ミラーニューロンと自律神経

ミラーニューロンは自律神経(交感神経・副交感神経)と連動しているでしょう。だから外界の刺激の変化で失神したり、下痢腹痛が起こったり、めまいや吐き気・呼吸困難が起こるわけです。


さて、それが慢性病にどう関係があるのかを考えましょう。自律神経の動きは皆さんが考えている以上に人体に影響を与えます。その影響は細胞死を招くレベルなのです。


例えば、血管平滑筋は交感神経の興奮によって血管が収縮しますが、長時間血管平滑筋が収縮を起こしたままでいると、その血管に支配されている細胞は虚血となり壊死します。例えばそれが心臓を栄養する冠動脈に起こると心筋梗塞が起こり死に至ることもあります。脳底動脈に起これば脳梗塞が起こります。このように自律神経(交感神経)の過興奮は皆さんが考えているよりもずっと人体に脅威となります。そして細胞死、臓器不全を起こす原因となります。下痢や腹痛では済まない場合が多々あるということです。


自律神経を動かすミラーニューロン、そしてミラーニューロンを動かすことができる外界の刺激。つまり外界の刺激の与え方で人を病気にさせることができるということを認識しておいた方がよいでしょう。例えばそれを意図的に心臓の冠動脈に起こすことが出来れば殺人さえも理論上可能です。ワラ人形で人を呪い殺すという儀式が今でも密かに行われており、呪いグッズまで売られています。五寸釘を人形の心臓部分に刺すのは、ミラーニューロンによる反応を冠動脈に集中させるためかもしれません(単なるオカルト話です)。ただし、呪われたとしても、不具合は誰にでも起こることではありません。ミラーニューロンが過多な人だけが呪いにかかりやすいだけですので普通の人はご安心ください。ですが過多の人はそれを認識して生きて行かないと危険です。


ミラーニューロンが過多な人は外界の刺激から自分を守る手段を講じなければ他人によって病気を操作されてしまうこともあるでしょう。つまり悪意を持った者に暗示をかけられてしまうと病気を作られてしまう可能性があるということです。だから人から恨まれないように注意して生きなければならないでしょう。


ただし、今述べたことが仮に事実であったとしても、1万人中9999人にはそういうことは起こらない話です。ならばミラーニューロンが関与した病気があったとしても、それはオカルトとして葬り去られる運命にあります。私はその1万人に1人の特異体質の人を救う研究をしているわけですから、このようなオカルト話さえまともに考察しているのです。


ミラーニューロン過多はキ○ガイと紙一重

外界の刺激(人の念も含む)に反応し、体が勝手に作動してしまうのがミラーニューロン過多の特徴と思われます。現代社会にはポルノやファッション、ぜいたく品など欲望を強烈に刺激するものがあまりにもあふれていますので、ミラーニューロン過多の人にとっては極めて生きにくい社会となっています。性的に強く興奮させられてしまうと、自らを制御できずに、浮気・フェティッシュ・同性愛などインモラルな方に向かいやすいことも理解できます。パチンコや競馬などにもたやすく「やみつき」の状態になり抜け出せなくなったり、その結果犯罪に手をそめるようになったり・・・と普通の人よりも波乱万丈な人生を送ることが運命づけられます。

その結果脳が破綻して統合失調症になりやすいことも推測されます。そして今回のテーマである慢性疾患を作ることもあるでしょう。精神科に通う人の中にはそうしたミラーニューロン過多の人が多いような気がします。

ただし、ミラーニューロン過多は極めて豊かな感性であるので、それを芸術方面やカウンセラーなどに活かすことができれば世界トップの脳力を発揮できる可能性があります。相手の雰囲気だけで家族背景や生活の裏側までわかってしまう能力ですから、それを活かせば有名な占い師になれるでしょう。

自分を制御できない程のミラーニューロンですが、制御できれば霊能者・神と自分を呼び、商売に役立てることも可能です。ですが、ミラーニューロンの力を霊能と呼ぶことに私は全く同意できません。それが真に霊の力であることを誰にも証明できないからです。何でも察知できる能力は、外界の刺激にたやすく影響される悪しき能力でもあり諸刃の剣です。

ミラーニューロン過多の人々は一度や二度は「この世に生を受けたことに恨みや憎しみ」を持つはずです。人と関わることで普通の人の何倍も精神疲労し、そして傷つくからです。その恨みを一般の人達に晴らさないでいただきたい。霊能と呼び、霊感詐欺商法を行い、財を築くことに用いていただきたくないと思っています。その因果が巡り、最後に自分が滅ぼされるおそれがあります。なぜなら霊能者自身が他人からの恨みの念に弱いと思われるからです。


エルム街の悪夢やエクソシストは現実?

瞑想の達人・ヨガの達人は空想だけで自律神経を動かすことができます。空想だけで性的に興奮させ射精することもできます。通常は自律神経は意識的に動かせないのですが、彼らは強い感情・強い空想で意図的に自律神経を動かすことができます。当然ながら、ミラーニューロンが過敏な人であれば訓練などしなくても、生まれつき自律神経を制御できてしまうでしょう。そして他人にも自律神経を操られます。本来、意志によって操られてはいけないのが自律神経のはずなのですが。


「腕が痛い」と自己暗示をかければ、その暗示だけで腕の血管平滑筋が収縮をし続け、そして1か月後には腕が壊死して腐り落ちるということもおそらく彼らには可能です。暗示で病変を局所に作ることは可能だと思われ、夢で腕を切り落とされるシーンを見ただけで、腕にあざができてしまうということもあるでしょう。


しかし、それらは昔から西洋では悪魔のせいであると言われ、そしてエクソシストが呼ばれることが多々あったと思います。呪いと言えばよいのか催眠・自己暗示と言えばよいのかわかりませんが、ミラーニューロンを意図的に操ることが出来る能力があれば、相手に病気を起こすことさえ理論上可能です。日本では霊障などといいます。


ミラーニューロンの相手を操る能力

ミラーニューロンは相手に起こっていることを共感するだけの神経細胞でしょうか? 相手を共感させることにも利用されていると私は考えます。どのような態度をとり、どのような表情をし、どのようにいたわれば相手を自分の思い通りに動かすことができるのか?を教えてくれるのもミラーニューロンの役割であると思います。


「あの人のそばにいるだけで心が安らぐ」「あの人のそばにいるだけで不快な気分になる」「好きにさせられる」などはミラーニューロンに発信作用があるからではないかと考えます。それは波動エネルギーとも特殊な脳波とも言われるものかもしれませんが、ミラーニューロンは相手の感情を操作するためにある種のエネルギー(脳波)を出すのかもしれません。それは「気」と呼ばれるものかもしれませんが、呼び方はどうでもよいことです。どう読んだとしても科学で解明できていないものです。


何度も言いますが、凡人では波動エネルギーは退化しており、人を操る能力にまでは至らないでしょう。しかし1万人に1人クラスのミラーニューロン過多の人は相手を操る波動を出せる可能性があり、訓練や修行によりその波動を強めたり、一点に集中させたりできるかもしれません。その能力があれば、ミラーニューロンによって生じている悪しき自律神経の異常を改善させることができるかもしれないと考えたわけです。もちろん、その能力を持ってすれば相手に不治の病を作ってしまうことも可能かもしれません。


逆に言うと、ミラーニューロンの脳力者はまた自分自身も相手からの悪意を受けて容易に健康を害される可能性があり、外界の刺激から自分を守らなければならない宿命があります。それを知らずに能力を使って治療してあげようと努力をすれば、相手の悪意を受けて自分の健康が障害される可能性があります。


私はオカルト信者ではありません、科学者です

現代の科学は、証明できないことをオカルトであると捨て置くことが決まりになっています。しかし、現医学で言う「脳の誤作動」も全く根拠のない診断であり、非科学の極みです。つまり現代の科学でさえ、わからないものに対しては勝手に決めつけるわけですから、私がミラーニューロンと自律神経の関係を述べることも、現代の科学理論それほどかけはなれていないと思いませんか?


さて、そのような迷走する科学の中、実際にサイキック治療をされている方が日本の至る所におられます。少なくありません。そして彼らは実際に現医学では治らなかった慢性病を治すきっかけを作ることができているようです。できているという事実を科学的に分析することが私の役割でもあるため、このサイキック系を避けて通れませんでした。避けることは難治性疾患の治療から逃げていることになるからです。


心霊と呼ぶべきではない

私はミラーニューロンについて述べてきましたが、敢えて心霊治療という言い方はしませんでした。実際に五感が常識を超えて鋭く、いろんなものを透視し、予言し、言い当てる者が各地にいることは否定しません。しかし、それを心霊と言うことで誤解が生じると思います。ミラーニューロン過多であれば、人の醜さを10倍にして受け入れてしまい、自分の醜さも10倍になって返ってきます。それらの因縁が毎日少しずつたまって行けば、それが理解しがたい症状を発するでしょう(西洋医学ではヒステリーとも呼ぶ)。それはもともと自分が創り出しているものであり、いわば自分自身の業でもあるわけです。自分自身の業を霊の仕業にしてしまえば、本当の意味で解決できません。


霊のせいにすることはおもいやり

下級霊が憑依したなどの言い方をして霊障を述べる方がいます。現医学で治らないものは霊障であると述べる人もいます。しかし、その言い方は「おもいやり」かもしれません。西洋医学的な考え方では、霊障はヒステリーと言われ、心の葛藤を身体に表現しているだけであると結論付けられています。つまり、心の葛藤を昇華できない腹いせに、自分の体に障害を作るというものです。西洋医学的に考えると、霊障を作り出しているのは自分の怨霊(自分自身)であるという結論になります。


障害を下級霊のせいであると述べてあげることは、その人の尊厳を守ることにつながりますが、真実は自分が創り出しているものであるなら、結局悪いのは自分自身であるということを認めなければならなくなり、本人にとってはたいへん厳しいものとなります。


心の葛藤が真の原因であるなら、その原因は子供の頃のトラウマや夫婦間、恋愛、社会など複雑な問題を解決できない自分自身にあるということになるので、それを認めることは極めて難しいでしょう。下級霊のせいにした方が、その人の葛藤をごまかしてさしあげることができますし、精神的に楽であると思います。


下級霊のせいにするならお祓いという他人任せの治療で済みますし、自分の怨霊であるなら心の葛藤を自ら昇華させていかなければなりません。お祓いのほうがはるかに楽で霊のせいにできるわけですから、誰もが前者を選びたくなるでしょう。しかし、それは根本治療ではないため再発を繰り返す可能性があります。


能力者は修業が必要

ミラーニューロンを操る力がある者は現世ではサイキッカーとして崇められるか、精神異常者として病院送りにされるかの両極端にあります。


持って生まれた共感能力が高すぎるため、感情の起伏も激しく、さらに自分の意志で制御できなくなるからです。つまり、能力者の多くは「元々は精神疾患の患者」であった経験があると思います。いやな思いを多数経験し、その苦悩も一般人の10倍感じることでしょう。


そうした能力者たちは現実世界で成功して心の葛藤を昇華させるか、修行により能力を制御できるようになるか?のどちらかを選択しなければならないでしょう。しかしながらどちらもかなり困難なので現実的には能力者は社会から外れてしまい、精神科に頼ることが多くなることでしょう。


おこがましい話ですが、修行をすれば、その能力を次元の高い完成した能力にできるかもしれません。完成した能力となれば、その能力は他人がひれ伏すものとなるでしょう。


しかし、もし能力を高めることに成功すれば、使用には厳重な注意が必要です。他人の人生をたやすく変えることができる力であり、他人の作った財を集める力でもあるからです。他人の財を吸い取って自分の利をなすことが容易にできるだけに、それが本当に相手の幸福につながることなのか?を公正に考えることのできる人格が問われます。欲がある者が他人を操ると、それは自分の利益のために動くことになり、結局他人の人生を陥れ、恨みを買い、その恨みが巡り巡って最後に自分が呪いを受けて因縁を背負うことになるからです。


因縁を防ぐためには能力者は自分の欲を捨てることができるまで修行を毎日欠かさず行う必要があり、それを行っていないサイキッカーは危険な存在に成り得ます。欲を捨て去ることは並大抵の修業では無理であり、多くのサイキッカーは自分の助言で他人を不幸に陥れかねません。それゆえ、慢性の難病にかかっている患者はたやすく心霊治療などを受けるべきではないと考えます。


2017年高僧との治療を提案

私の患者の中に真言密教の高僧の方がおられました。その方は波動エネルギーを操る能力があるようです。これまで様々な心霊治療を行ってきた治療実績があるそうです。それが真に心霊であるのかどうかは私には理解不能ですが、心霊と言って差し上げる方が患者の尊厳を守ることができることだけは真実です。ならば私も患者の尊厳を守るために心霊という言葉を借りることに一旦同意しておきます。


前述した修行僧の先生は患者を私利私欲に導くことはあり得ないでしょう。そこで、「ぜひお力を貸していただけないか?」と私の方から提案させていただきました。ミラーニューロンによる脳の誤作動を解除させ、著しく改善するという可能性にかけてみたいのです。

特にミラーニューロン過多の人に起こる不可解な難治性疾患は修行僧の先生のお力で軽減できるのではないかと考えています。おそらく相手のミラーニューロンを動かすことのできる能力があるのではないかと・・・ミラーニューロンのスイッチイングをする能力・・・

ミラーニューロン過多に心当たりがあるかたは申し出てください。救えるかもしれません。

2016年治療報告

2017年治療成績はこちら

はじめに

西洋医学で治らないとされている疾患・症状を診療することを専門としている私の診療スタイルは一般の方々にとって信じられないものであり、不透明なところが多いと思われます。「他の医師たちが治せないものを治す」ということに不信感をお持ちであることもよく理解できます。そこで、私の治療内容を少しでもクリアにするために、治療内容を公開します。信じる信じないは各自の判断にゆだねますが、少しでも難治性の症状にお悩みの方に光が差しますようにとここに投稿しておきます。2016/12-12から12/17 までの5営業日に治療を受けたのべ130名の来院患者の実態調査です。調査期間は短いですが、データをまとめる時間的な余裕がないためでありご容赦下さい。


最後の砦として機能する診療所

私の診療所には大学病院や全国的に評判の高い専門病院でさえ改善しなかった患者が集まります。中でも、ペインクリニック、鍼灸、カイロプラクティック、奇蹟的な治療技術を持つ治療師、サイキッカーなどに治療をしてもらっても治らないという超難治性の患者が集まります。ここでは治療成績を公表していません(成績は一定期間の治療経過後に出すものですから、現在治療中の患者では出せません。また、評価・調査に莫大な時間がかかりますので省略せざるをえません。後日疾患別に治療成績を少しずつアップしていきますのでご容赦ください)。

 

上記の表の中で勤務医時代から私がひきついでいる患者も少数存在します。私の診療所は予約が厳密であり、しきいを極めて高くしてあります。それでも私にくらいついて治療を継続していることから、他の医師たちには治せない状態であることが推測されると思います。つまり、上記の患者たちはほぼ99%難治性の患者であり現医学で手に負えない方たちばかりであることがわかります。


通院距離

当診療所は都内某所にありますが、おおむね2km以内の徒歩圏内から来院される患者が28人(21.5%)しかおりません。来年からはさらに近所にお住まいの患者が来院できなくなります。その理由は「治療にかける情熱の差」にあります。不治の病をなんとか治し、この世の地獄から抜け出したいという患者を優先的に診療するために近所に住んでいる患者に対してしきいを高くしているからです。

新幹線や旅客機で来院する方の数と近所から来院する方の数がほぼ同数であることから、私が近所にお住まいの患者に対していかにしきいを高くしているかがわかると思います。簡単には次回診察の予約をとらせませんし、軽症の方はすぐに治してしまい来院させません。


治療症例

私は整形外科医として20年間勤務しましたが、開業はペインクリニックです。ブロック注射でしか治療しない医師ですから、ペインクリニックの方が妥当です。しかし、上記のように治療疾患名に「科の垣根」は存在しません。神経内科・耳鼻科・脳外科・精神科・整形外科などあらゆる科の難治性疾患を診療しています。


なかでも症候性パーキンソンや筋萎縮性側索硬化症(ALS)、などは現医学では「打つ手なし」であり、これらに対してブロック治療を行い治療成果を出しているのはおそらく私の診療所だけではないでしょうか?

特徴的なのは突発性難聴です。現在、私の診療所でもっとも多い治療となりました。他の専門病院でステロイド・高圧酸素・鼓膜内ステロイド注射・星状神経節ブロックなどを行っても改善しなかった患者が、手遅れとなった時期に私の診療所に来院します。そこからさらに改善させるのですから「最後の砦」にふさわしいと自負しています。


突発性難聴が症状固定してしまってからでもある程度改善させることができるということは、他の神経(視神経・迷走(自律)神経・三叉神経)や脳でさえも治せる可能性があることが容易に推測できると思います。よって、視力低下や視野狭窄、かすみ目、原因不明の頭痛、症候性三叉神経痛、そして認知症、脳梗塞後遺症などにも効果があることはすぐに推測できるでしょう。また、スポーツ選手やアーティストにブロックすれば、脳が活性化し、身体能力が向上し、一流の成績を残せることも容易に予想できます。今後はトップアスリートの能力開発に私の治療技術を応用していこうと考えています。


難治性=特異体質

なぜ現代医学を結集しても治らないのか? なぜ医学書に掲載されていない症状が出るのか? 診断さえつけられないのか? その理由はマイナーであるからです。1万人に一人しか持っていない極まった体質を持っているからです。難治である理由は、それらを治すまでに知識が普及していないからです。

実際に難治治療に携わっている治療師は皆、そのことを知っており、西洋医学で治らないものが霊能者のお払いで治ってしまうことがあることも知っています(信じていなくてもそういう事実があることを知っています)。私は心霊を信じていませんが、私たちの知識を超えたところで病気が起こっていることがしばしばあることは理解しています。私はそれらを特異体質と呼んでいるに過ぎません。


ただし、特異体質は極めて危険な体質であることを理解するべきです。普通の人ならばかすり傷しかつかない程度の障害で寝たきりの重病になる可能性のある体質だからです。

私はブロック注射を専門にしていますが、その注射1本で2日後に「激烈な全身痛と倦怠感で動けなくなった」というような極めてリアクションの高い人を専門に治療しています。注射ミスをしておらず、丁寧に繊細に正しく行った注射で大きなリバウンドが出ます。もしもこうした特異体質の患者にミス注射をしてしまうと、とりかえしのつかない合併症を起こすおそれもあるでしょう。だから私の方もたった1本の注射に命がけなのです。

上記の表は私の治療は朝から晩まで命がけの注射を行い、それを日課にしているということをあらわしたものです。


他の医師が私のような治療ができない理由は、特異体質の患者ばかりを集めると、医師の命がない!からです。私の診療はナイフの上を綱渡しているようなものであり、年々危険度が増していきます。現在のような危険な患者ばかりを診療できるようになったのは、昔からの少しずつの積み重ねがあるからであり、繊細な治療技術の修業を毎日積み重ねてきたからであり、決して無謀だからできるのではありません。

私の行う治療を他の医師が真似れば、おそらく患者に多くの合併症を作ってしまうと思われます。そしてその医師もただではおれないでしょう。


腱引きとのコラボレーション

2016年の下半期は腱引き師の先生方とコラボレーション治療を行いました。腱引き創始者の先生も難治性の患者の治療に以前から携わっていました。そして、腱引きとブロックをその日のうちに両方同時に行うことで治療効果を大きくできないか? 模索しました。

結果はやはりブロック単独で治療するよりもコラボ治療を行うほうが治療効果が高く持続時間も長いことが判明しました。特にALSの治療、うなだれ首の治療に効果を感じています。2017年はさらに連携を密にしていきたいと思っています。ただし、治療にコストがかかることは言うまでもありません。患者の皆様はなんとか工面してください。


2017年CBPカイロとのコラボレーション

CBPとはChiropractic Bio Physicsの略で生体物理学に基づいたカイロプラクティックです。ちょっとしたマニュピュレーションではなく、2年近くかけて脊椎の軸を矯正していく極めて理論的なカイロプラクティックです。

私は難治性の方々の根底に脊椎の異常があることが多いと判断しており、カイロプラクティックとのコラボレーションは必要不可欠と考えていました。ようやく2017年から実施できます。すでにALS様症状の患者の数名はコラボ治療を開始しています。


2017年脳の誤作動への挑戦

脳の誤作動とは、脊髄から脳へ信号が伝わる際に、正しい回路で脳に伝わらないために、あり得ない痛みやあり得ない異常感覚、苦しみを味わってしまうものの総称です。例えば、他人の吐いた汚物を見ただけで自分も吐き気が起こるというのも脳の誤作動の一つです。それらに生まれ持った特異体質が加わると、逆戻りのできない症状が起こり難治となる場合があると思われます。

私は、この特異体質の部分を改善させるためにブロックを行っているわけですが、脳のスイッチングの誤作動は、ブロックでは治せません。例えば恐怖症をブロックで治すことは難しいでしょう。


脳のスイッチングには精神が関与していると思われますが、世の中にはそうしたスイッチングを正しく書き換えることができる能力を持った者がいるかもしれません。

その能力は現代科学では解明でない波動エネルギーのようなものかもしれません。実際にサイキックのような能力で難治性の病を治してしまえる治療師がいます。私は、それらを信じる信じないという話しをするのではなく、その者たちの治療成果を調査し公表することが重要であると思っています。まあ、すでに私も多くの奇蹟的治療実績を西洋医学で残していますから、サイキックに勝る治療成績と言えるでしょう。しかし、波動に感受性の高い患者であれば、私のブロックよりも効果的に症状が回復する可能性があります。そういう方々にきちんとした治療師を紹介できる状態を作っておきたいと思っています。


安全なブロックへの挑戦

わずかなミスも絶対に許されないという緊迫状態の中で毎日毎日繰り返しブロックを行っています。特異体質の患者に些細なミスをしただけでも症状が悪化することがあるからです。しかも、最悪なことには、重症な患者にはブロックの効きを強くしなければならず、際どいところに際どい量の薬液を注入しなければなりません。極めてリスクの高い患者に際どい注射をするという命がけの行為を毎日繰り返すことで、ますます安全保持能力が高くなってまいりました。

痛くない、ミスしない、高い命中率、そして合併症なし、の4拍子そろったブロックがさらに日々進化をとげています。

この進化のおかげで、オリンピック選手やプロのアーティスト、要人など、絶対にミスを侵してはならない人々にもブロックができるようになりました。しかも、痛みを治すのではなく能力開発のためのブロックです。この分野は今後広がりそうな気配がします。


2016年の終わりに

今年はますますの難治性、重症患者が集中するようになり、一人当たりの治療時間が延びてしまい、精神をすり減らし健康を損ないそうになりました。年末に予約数を半分に制限し、患者数を大幅に削減しました。おかげで収入も激減。

そのうえ精神疲労と時間のなさのためブログも2ヶ月間更新できない状態となりました。そこで年末は休診日を作り、資料作りし、こうしてブログを更新しています。来年もごひいきによろしくお願い申し上げます。

上頚神経節ブロックと屈辱の1年半

2017年治療成績

近況報告

開業して1年半、全国そして海外からも難治性疾患を治療するために現医学では治らない症状を改善させるために私の元へ患者が訪れるようになりました。そのため私には予想を上回る治療負荷がかかり毎日疲れ果てて死んだように眠る毎日となりました。これを読む方々はそんな私に対し「私の医療技術や論文をどこまで信じたらよいのか?」迷われていると思います。治療実績を出せばよいのですが、日々の命を削るような激務のためデータをまとめる暇さえない状況です。データの公表は必ず行いますが、今回は論文ではなく私の個人的な意見や近況報告をここに書き記すことにしました。ブログが炎上するかもしれませんが今後の治療方針を明確にするために、愚痴をこぼすことにします。

上頚神経節ブロックの治療実績をまとめることができました。こちらです。

※今後はこのデータよりも治療成績が上がって行きます。技術が進歩しているからです。あくまで2017年3月現在のデータです。


開業して1年半

開業したのは2015年4月であり、まだ開業して1年半しか経っていません。私はそれまで非常勤専門の整形外科医でしたので3か所のクリニックを日替わりで勤務していました。その3か所のうちの1箇所である東京の某地区に開業したのは、その地区に住む患者とのつきあいが5年以上になるからでした。


私のような反社会性・反体制を覚悟して治療法を編み出す医師は当然ながら長くいると病院のお荷物になることが多く、勤務先は転々としなければならない宿命があります。しかし偶然にもこの地区には5年以上いることができたため「私の治療で命をつないでいる患者」がいました。その地区の病院勤務を4月で辞めなければならなくなったので、急遽、その地区に開業することにしたわけです。スタッフの迅速な対応のおかげもあり、なんと、2か月という短い期間でクリニックを作ってしまいました。おそらく、0から作った新規クリニック開業としては2か月日本記録だと思います。この地区の重症患者を切れ目なく治療を続けるために全力で仕上げました。


私が開発した唯一無二の上頚神経節ブロック

私の元へ患者が全国や海外から患者が来院するのは、私が上頚神経節ブロックの開発者であり、まだそれをほとんど誰にも伝授していないからです(奈良県に1名、伝授した医師がいます)。このブロックは星状神経節ブロックのさらに上位の交感神経節を狙った「脳幹や脳」に絶大な治療効果を発揮する世界最強クラスの注射です(実績はいずれ必ず公表します)。よって希少価値が極めて高いと言えます。開業当時は1日に数名くらいにしかこのブロックを行っていませんでしたが、現在では外来患者の7割がこのブロックを受けるために来院します。気の毒にも、九州や北海道の方も、このブロックを受けに来るためだけに東京に1~2週間滞在します。どれほど効果が強力か?は「滞在する」ことから推測してください。効果がなければ早めに切り上げますから。


売り上げが激減の危機

開業当初、上頚神経節ブロックを星状神経節ブロックとして保険適用していました。ほぼ同じ頚部交感神経節ブロックですので違法性はありません。

しかし問題がありました。星状神経節ブロックは左右のどちらか一方にしますが、私の上頚神経節ブロックは左右両方にすることです。両方にする場合は片方よりもリスクが高く、それを回避するために注射手技で時間が倍以上かかり、しかも精神をすりへらします。にもかかわらず料金を片方分しかいただかないわけですから、時間当たりの収益は半分から3分の1くらいにまで落ち込みます。これが1日に数名だったら売り上げにあまり影響しませんが、全体の外来患者の7割が行う状況になれば売り上げが半分になってしまいます。


世界で私しかできない極めて効果が高いブロック注射なのに・・・そのブロックを正当な料金の半分以下で提供し、そして売り上げが右肩下がりに低下し続けるさまはまさに「屈辱」でした。外来が混雑すればするほど売り上げが下がりました。1日に数名だったブロック治療が、1日に数十名となってしまった理由は、「料金が安く、安全、痛みがほとんどなく、奇蹟的な効果」が得られるからです。宣伝しなくても利用者は広がっていきます。そして私は精神疲労と売り上げ低下の屈辱のためイライラするようになりました。


患者を連れ戻す家族

九州から一大決心して単独来院した女性の夫が治療の翌日妻を連れて帰りました。夫は私に「どうしてあなたは有名ではないのですか? 本当に効果のある治療なら世界中に知れ渡るはずでしょう? 妻の難聴は医学的に治ることはないと大学病院で言われました。それを8~9割の確率で改善させることができるという話を信じられるわけがありません。」と言い捨てて妻を連れて帰りました。このような屈辱を受けることはしばしばあります。ですから、来院する前に「家族と闘ってください」と私はいつも言います。「家族を説得できなければ治療をうけることができません。」と述べています。


ですが、考えてみてください。私の治療が世間に認められれば、もちろん私は世界的に有名なるでしょう。なぜなら現医学では治らないと宣言されたものを治すのですから。しかし、それは現西洋医学が自分たちが築き上げた医学理論を叩き壊されることを認めることであり権威が失墜します。しかも、東洋医学で治すのではなく西洋医学で治してしまうわけですから完敗です。私の治療が認められることは医学秩序を乱すことであり望ましいことではないでしょう。それを自覚しているからこそ、私は自分の名前を出さずにこのようなHPを作っているわけです。名前を出せば私だけでなく出身大学にも圧力がかかり迷惑をかけることになります。ですからあくまでひっそりとサイトを運営しています。前にも述べましたが、私は反体制ですが体性を覆そうとは思っていません。反体制なのは患者を救うためにやむを得ずそうしているだけです。体性に逆らわなければ救えません。


縁がないとあきらめる

「縁がなかったねえ」が私の診療所の口癖です。私のクリニックに来院された患者がよく言いますが、「治る治らないじゃなく、ここの治療を受けるしかないんだよねえ。」と。私の元へ来られる患者は、すでに大学病院で無効、漢方薬で無効、鍼灸で無効、カイロプラクティクで無効、他の怪しい治療を受けても無効という方が最後の砦として来られます。難治オブザ難治、難治の中の難治という方が来られ、そこから実際に私が治療して改善させるわけですから「ここの治療を受けるしかない」ことを理解されます。


しかし、難治の中の難治が来院するおかげで、治療成績はさすがに低下します。突発性難聴の改善率は90%以上でしたが、最近では80%代まで落ち込んできました。さすがに、短期間では治せない、または通常の仕組みではない病気にぶち当たると治せない場合もあります。ですが、他に世界のどこに、私以上に治せる施設があるというのでしょう?


私は常に言います。私以上に改善率の高い施設があるのなら紹介します。自分で見つけたならいつでも移ってください、と。私は常に「ブロックをやりたいわけではありません。これしかないからブロックを行っています。ブロックをしなくてもよい日が来ることを常に待ち望んでいます」と述べています。それでも移っていく人がほとんどいないことから、私の治療力が評価されていることがわかります。


私のところへ来院された突発性難聴の患者の多くは、現西洋医学で最新の治療を受け、その治療に怒りを覚えています。「もう治らない、あきらめてください」とあっさり言われたと言って怒っています。それを治すわけですから間違いなく医学の権威を失墜させています。ですが、権威がどうあれ、治る可能性があるのなら、治療をするしかありません。


しかし、初診で予約をとった後に考え直して来院予定をキャンセルされる患者が後を絶ちません。おそらく家族や同僚、医師などに「怪しいからやめておいたほうがいい」と言われるのだと思います。「ここしかないのにねえ」と思いながらも最後には「縁がなかったねえ、残念だけど仕方ないねえ」で終わります。ちなみに私の診療所は患者がキャパシティオーバーですので、来院がキャンセルされると私は心から喜んでいます。縁がなかった患者には悪いのですが、私の体力が限界です。予約を一手に管理している医療秘書もいつも連日疲労困憊しながらも、優秀な見極めでなんとか予約患者のために治療時間を確保して患者を救っているので、私たち診療所にとっては屈辱を受けるほうが体力の温存にはよいのです。


難治を治せる=軽症は一発

現代医学が見放した疾患は無限にあります。まずは老い、アスリートの抱える故障、変形、慢性の痛み、しびれ、冷え、自律神経失調などなど。これらの難治性疾患は西洋医学では治せなくても、東洋医学で治せる場合があります。一流の(1回の施術で2万円クラス)施術師なら、かなりの改善率があります。が、私の元へは一流の施術師が治せなかった「さらなる難治」の方が来られます。ただし、病気の種類によっては私の治療よりも効果の高い施術ああると思います。相性がありますから。


難治を治せるということの意味を、多くの方が理解されていないことに屈辱を受けます。それは「難治が治せるなら普通の症状はたった1回の治療で完治に近い状態へ導くことができる」という意味だと言うことをほとんどの方に理解されていないからです。では、難治の中の難治を治せるというのはどういう意味でしょう? これは手術しか方法がない、何年通院しても治らなかったというクラスの症状もたった1回の治療で完治に近い状態に導ける可能性がそこそこあるという意味です。


私のサイトの人気コンテンツの一つに「捻挫後に長引く腫れへの対処法」がありますが、これを読んで来院される方の腫れを、ほとんど全員、1回の治療で完治させています。1年以上通院して治らない腫れと痛みを1回で治してしまうそのお値段はいくらにすればよいのか悩みます。通常、保険診療では関節内注射は800円ですが、私の注射を800円で提供することは「極めて屈辱的」です。なぜなら、実際は私の注射を1本受けるために飛行機で往復される方がしばしばおられ、その方たちはすでに交通費で3~5万円をつかっているからです。高額な交通費をかけるほどの価値がある治療を800円で行うことはどれほどの屈辱かわかりますでしょうか?


 予約のズルは許せない

私の診療所は開業当初より完全予約制です。しかし、急な痛みには予約外で診療しなければなりません。予約枠は一人15分。健全経営のためには15分で7000円前後を稼ぐ必要があります。しかし、ばね指270円、膝注射800円、肩注射800円・・・というような患者がこの15分枠を予約すると我がクリニックは倒産します。よって、本来はこれらの疾患を受け付けないことが経営にとっては必要なことです(ペインクリニックを標榜しています)。


ところが私は受け付けてしまいます。理由は・・・私以外の医師にはたやすく治せないからです。私がこれらの患者を拒否すれば、患者たちは行き場をなくし、最後に手術へと追い込まれることがわかりきっているため、受付けています。

(※2017年1月より予約料金を徴収することにしました。)


ですが、上記の疾患で予約されてしまうとマジで倒産しますのでこれらの疾患は予約なしでフリーで受け付けます。私が治療してしまうのです。屈辱的な料金で!受付は大変です。


私の地区に住んでいる近隣の患者たちは私が全国レベルの治療力を持つことを知りません。また、予約制をとっているクリニックも近隣にはゼロです。よって、予約をして診察を受けるという「しきいの高さ」に近隣の住民は不満を感じている者が多いというありさまです。


北海道や九州から飛行機に乗って来院される方がざらにおられるということも知りませんので予約に対していい加減なのです。私の地区の患者は平気で当日ドタキャンし、予約をとらずに「痛いからどうしても診てほしい」と言って毎回割り込み、膝や肩の疾患で予約いらずの来院をしているにもかかわらず、「今日は別のところを診てほしい」といって割り込んでくる患者がいます。スタッフへの精神的負担もかなりのものになります。


私は極めて高い治療技術を、屈辱的な治療費で治療し、しかもほぼ1発で治すというようなことをしていますので、毎日理不尽という名の屈辱を受けながら診療しています。その屈辱に耐えるため「しきいを高くする」ことだけには全力を尽くしています。できる限り予約を入れさせない、できる限り1回で治す、できる限り治療間隔を開ける、そしてずるい割り込みは絶対にさせないということに全力を尽くすのです。これが屈辱に耐えるための最後の砦です。とにかく来院させないことです。


私のブロックが効果が高い理由は、狙ったところを外さない、外した場合は成功するまで何度もトライする、そしてリスクを極めて低くするために時間をかける、診断力が高い、というところにあります。それを死守するためには、一人15分という枠を死守する必要があり、予約がそのライフラインとなります。私の地区に住む患者はその予約をたやすくふみにじる傾向があるので、スタッフにも敬意を払わずにルールを守らない患者には雷を落とし、場合によっては出入り禁止にします。私は患者に嫌われることなど全く気にしません。他の患者の命を守るために時間厳守は当然のことでありこれを乱す患者は叱りつけます。


屈辱的料金に甘える患者たち

私の治療技術は当然ながら長年かけて自ら開発してきたものです。つまり、勤務医時代から技術磨きを積んできたということです。勤務医時代から難しい関節内へ注射し、上頚神経節ブロックを行い、高齢者の変形脊椎に果敢にブロックを行ってきました。1日に1回しか計上できない神経ブロックなのに2か所に治療することもありましたし、週に1回しか計上できないブロックを2回行うこともありました。


計上できないということは、それは「無料奉仕」になることを意味します。つまり、勤務医だったころの私の患者は、私の無料奉仕によって助けられたという人が大勢存在していました。もちろん、それは今よりもさらに屈辱的でした。無料奉仕ですから。


私は昔から「治らない疾患を治す」という芸当を行っていましたので、極めて高い技術をタダで提供したことが何度もあります。皆さまには理解できないかもしれませんが、現医学を超えた高い技術を無料で提供することは「プライドがへし折れてしまう作業」であり、たやすくできることではありません。私は自分のプライドを折ることを修業と考え生きてきましたからできましたが、同僚の医師たちは「絶対にやらない」ことです。医師はプライドこそが命の職業だからです。


私の地区にはその無料奉仕の恩恵を受けていた患者がいるわけで、その患者が継続して今の診療所に通院しています。そのような患者は「週に1回しかブロックしてくれない」ことや「1日に2回ブロックをしてくれないこと」や「本来は自費診療になること」に対して極めて強い不満を持つようになります。


勤務医時代に行っていたサービスが、実は無料奉仕だったということに感謝の意もなく、その無料奉仕に支えられて生きてきたというのに、不満を抱くわけです。これがどれほどの甘えであるか? 恩を仇で返す不満であるか?ということをわからない患者を診療し続けることは極めて屈辱的です。


不信を抱く患者は救えない

私の診療所はコンビニエンスストアではありません。難治を治すには医師だけの力では不十分であり、患者の努力も不可欠になります。つまり患者の生活指導をしなければなりません。思い出してみてください。中学校時代の生活指導の教師がどれほど怖かったか? 生徒の生活を指導するには、その教師は鬼になり嫌われ役を演じなければなりません。卒業式にはお礼参りに怯えなければなりません。その役を買って出るのが生活指導の教師です。


私の診療所ではその生活指導の役を私が演じなければなりません。難治性の患者は生活指導しなければ治らないからです。もちろん、一発で治るような患者には生活指導する必要はありません。また、私を信じている患者は丁寧な口調で生活指導が進みます。しかし、私を信じていない患者に生活指導するとどうなると思いますか? 患者が言うことを聞かないので口論になるわけです。患者は15分しか持ち時間がありません。ブロックに時間をかけたい私にとって、口論という「治療費をいただけない診療」に時間を費やすことがどれだけ屈辱的かわかりますでしょうか? しかも信じていないことがありありとわかる患者に無駄な生活指導をし、嫌われ役を買って出ることの無意味さ・・・


つい先日私は患者から「何ですか?その言い方は?怒鳴らないでください!」と言われました。私はこのように言う患者には毎回決まったセリフで対応します。「ここはコンビニエンスストアじゃないんだ。我々が先生と呼ばれる理由は、あなたたちが生徒であり、ここに指導してもらいに来ているからなんだ。生徒が先生に怒られているときに「怒鳴るな!」と反論する奴がどこにいる? ここはあなたのような患者が来るところではない。帰りなさい。」と追い返しました。


このように、不信感をぶつけてくる患者は私にも救いようがありません。ここへ来院したのは「勝手に治してくれる」医師を探しに来たわけで、「自分が指導される」ことは考えていないようです。この患者はプライドを私にへし折られて帰りましたが、後日、予約もとっていないのに来院し、外来で患者の前で文句を言って帰って行きました。


私を信じていない患者に、私しかできない特別な治療を施すことへの理不尽さをいつも感じています。私の治療法は他の病院の治療と同じものは一つとしてありません。保険診療としてお決まりの治療をしているわけではなく、自分の身を切って創意工夫で治療をしています。私以外の施設で治るものであれば、そこで治していただいて構いませんので、私のところへは来ないでいただきたいのです。


トップアスリートが来院しない(2016年現在)

難治性を治すということはアスリートの能力を上げることもできることを意味します。アスリートは常に限界まで肉体を酷使しますから、一度はトップに立てたとしても、それを維持することは不可能に近いと言えます。その不可能を可能にするためには、アスリートの痛みという難治性の症状を治す特殊技術が必要です。


一般の方は変形や体質によって難治性となりますが、アスリートは酷使することで難治性となります。原因は異なっても同じ難治性ですから、私はトップアスリートの治療技術にも自信があります。


以前、トップアスリートがマネージャー2名、トレーナー1名をつれて診療に来ましたが、本人は私の治療を受けたいと意思表示しているにもかかわらず、マネージャーに拒絶されて来院をやめた経緯があります。マネージャーには「トップアスリートに気軽に針を刺さないでください」と私は叱られました。どれだけ私がなめられているか?想像してみてください。その方はALS様の症状で筋委縮がありましたが、私のようなどこの馬の骨ともわからない医師に、トップアスリートを触られたくない、と本気でそう言って怒って帰りました。まあ、私の治療を拒絶するのは自由です。縁がなかっただけです。屈辱的というよりもあっけにとられてしまいました。


私に言わせれば、トップアスリートは真贋を見抜く眼力が必要だと思います。名前だけの有名治療師にかかれば、それ以上の改善はのぞめず、引退するしかなくなります。よって治療師を選ぶことは命がけでするべきであり、他人任せにしてはいけません。にもかかわらず、自分の肉体を他人任せにし過ぎています。自分でしっかり調べられなければ、私にたどりつくことは無理だと思います。


現時点でプロのアスリートを2名、定期的に治療していますが、たったの2名です。しかも、その2名も自分で私を見つけたのではなく、現在の治療師に来院を命じられて私の元へ来ただけです。


手術をたやすく受けてしまうアスリートも多いと聞きます。健康管理で誰にかかるか?はアスリートの生命線なので自ら真贋を見極める眼力で選ぶべきだと思います。もちろん、それが私でなければならないわけではありません。私は難治を治せる。それ以上でもそれ以下でもありません。


上頚神経節ブロックに隠れてしまう他の技術

私は世界で初めて上頚神経節ブロックを開発しましたが、今では想定外の7割の患者がこのブロックを求めて来院します。7割は多すぎます。


私の特殊技術は、神経根ブロック、椎間関節ブロック、仙腸関節ブロック、へバーデン結節への注射、顎関節症の注射、股関節内注射、手根管内注射などなどがあり、高い治療効果を発揮します。さらに、捻じれた背骨、高度に変形した背骨にも正確に硬膜外ブロックができる技術など、多くの悩める患者たちに活かしたい技術がたくさんあります。


しかしながら、上頚神経節ブロックを希望する患者が増えすぎてしまったために、上記の注射を行うべき患者が追い出される傾向があります。そしてこれらの技術を評価されなくなる危機に瀕しています。優れた技術があるのに、それを眠らせてしまうことも屈辱的です。


表には出られない仕組み

私の技術は患者には「絶好の救いの手」ですが、同業者にとっては「いかさま師」として葬り去りたいものです。同業者とは大学、厚生労働省、製薬会社、学会などです。よって社会秩序を乱さないためには、私は表には出ないほうがよいでしょう。それは屈辱ではなく、理屈として認識しています。


ただし、問題があります。インターネットの医学的広告に対して規制されることが決定しているからです。美容外科で誇張表現や虚偽が多く掲載されていることを理由に、インターネットの医学系論文に圧力をかける方針で国が検討しています。まあ、真の狙いは美容業界ではなく、まさに私のようなやからが今後出てくることを防ぎたいのではないか?と勘ぐっています。リリカ・トラムセットの禁断症状に警告!の記事などは、国も製薬会社も表に出してほしくない記事ですから・・・。それらを規制する法律が欲しいのだと思います。今の法律では文章を削除させることもできませんから。


言論の自由を奪われることは中国や北朝鮮では当たり前ですが、日本もそうなるのでしょうか? まあ、私は国家体制に逆らうつもりはありませんので、削除要請があればすぐにでも削除します。それは屈辱というよりも真実の隠ぺいですが、国や教授が「信用性が低い」と感じたものは「虚偽や誇張」と勝手に認定することができますので、彼らが「都合が悪い」と感じた論文は何でも削除対象になると思います。特に西洋医学に否定的な内容は、削除対象でしょう。日本は民主主義国家のように見えますが、医療はバリバリの共産主義ですので言論統制は屈辱的であっても受けるしかありません。


もし、そうなったとして、このサイトの論文の何割が削除対象になるのでしょうか? もともと医学論文には信憑性が少ないことは一つ前のブログに書いた通りです。すなわち、いいがかりをつければ、ここに掲載されている全論文が削除対象になるということです。医療は共産主義。そこから抜け出すことはこの日本という国では難しいかもしれません。

医学論文に嘘が多い理由~過活動性膀胱の治療法から

2017年治療成績

H2016.8.6.のライフハッカー日本版の記事

「尿は無菌は嘘だった!:研究結果」を例にあげ、「医学理論は科学理論でありエビデンスもあり」のはずにもかかわらず論文に嘘が多い理由について考察します。以下に記事の全文を記載します。


尿には、尿素、水分、ナトリウム、カリウムやその他の化学成分が含まれています。無人島やジャングルなどを舞台にしたサバイバル番組を見過ぎた人だけでなく、医師までもがこれまでずっと、尿は無菌だと考えてきました。ところが、尿は体外に排出された時点で無菌状態ではないことがわかったのです。


米国微生物学会の学術誌『Journal of Clinical Microbiology』で発表された研究によると、健康な女性と、過活動膀胱(膀胱が過敏になり自分の意思に関係なく収縮する)を患っている女性の両方から尿サンプルを集めて検査した結果、健康な女性であっても、膀胱と尿に生きた細菌が存在することが確認できたそうです。これまでは、尿サンプルから細菌が検出された場合、医師は何らかの尿路感染症だと判断していました。しかし、「尿は無菌である」という見方が誤りであることが研究で証明されたのはこれが初めてではありません。


尿は無菌という通説が生まれたのは、検査室で実施される通常の検査環境であれば、健康な人間の尿サンプルから「臨床的に有意な」数の細菌コロニーは検出されないだろうという考え方があったからです。細菌が検出されたとしても、皮膚や、滅菌されていないものと接触したせいだとみなされていました。


同じ研究チームがさらに研究を行ない、その結果を米国微生物学会に報告しています。この追跡研究では、84人の女性から尿サンプルを採取し、一般的な検査手法と、より有用なEQUC(Expanded Quantitative Urine Culture)と呼ばれる手法で培養しました。その結果、サンプルの70%以上に細菌が含まれていたのです。ところが、見つかった細菌の90%は、一般的な検査手法であらかじめ「陰性」とされていたもので、従来の手法には限界があることが示されました。


こうした結果からさらに明らかになったのは、過活動膀胱を患う女性の膀胱内に存在する細菌は、健康な女性の膀胱内にある細菌とは異なっており、種類も多様であったことです。


研究チームは、膀胱に存在する細菌は消化器官で見つかる菌とかなり似た働きを持っており、正常な菌バランスの変化が過活動膀胱の発症の背後にあるのではないかとの仮説を立てています。これにより、尿路感染症や失禁といった膀胱疾患の予防や治療に対する医療関係者や研究者の取り組み方が変わると、泌尿器学学会誌『European Urology』に掲載された論文で研究チームの1人が述べています。

Stephanie Lee(原文/訳:遠藤康子/ガリレオ)


この記事の「嘘」が疑わしい部分は赤字にしてあります。


医学論文の多くは1、データ 2、統計学的な事象の関連性 3、因果関係の推測 4、治療への応用 という4部構成になっています。


上記の論文の場合1、健康な女性の尿の検査結果 過活動性膀胱の尿の検査結果、2、健康な女性の70%から細菌が検出された。過活動性膀胱の患者の尿からは菌腫が異なりかつ豊富であった。


という科学的な実験データと結果が示されました。ここまでのエビデンスは全く問題ありません。ところが3の因果関係となると、ここから先は全く非科学的な著者の空想になります。


因果関係は統計学では述べられない

統計学では関連性を述べることができます。関連性は「科学的に裏付けられている」と述べても問題ありません。しかし、因果関係は述べることができません。わかりやすく言うと、AとBは関連があることは間違いないが、「Aの原因がB」だと述べてはいけない、というのが統計学の規則なのです。


例えば、A「雨の日が多い」とB「カビが生えやすい」という事象で、「AとBは関連がある」は科学的に正しいことです。しかし、「カビが原因で雨の日が多くなる」と述べると笑い話になります。カビが雨を降らせる背景となっていると述べる科学者はこの世に一人もいないでしょう。


 

同様に川の流れの真ん中で採取した水に潜む細菌と、川の淀みで採取した水に潜む細菌とでは菌腫も菌の数も異なっていたという実験結果があったとします。この実験結果から「細菌が川の流れをせき止め、細菌が淀みを作った」と考える者はこの世に一人もいないでしょう。


しかし、上記の過活動性膀胱での考察では「正常な菌バランスの変化が過活動膀胱の発症の背後にある」と延べ、細菌が過活動性膀胱の原因であると考察しています。この考察はあまりにも飛躍しすぎていませんか? 川のよどみの例では「細菌が淀みを作る」のではなく「淀んでいるから細菌の菌腫や量が変化する」のだということは一般の人が考えてもわかることです。それを「細菌が過活動性膀胱の原因」とするには、あまりにも奇抜すぎて理解に苦しみます。もちろん、この考察に科学的な根拠はゼロであり、一研究者の無謀な妄想です。しかしながら、この考察を述べる前に、壮大な実験データがあり、まるでその実験データから考察を導き出したかのような言い回しになっています。これが詐欺的なのです。


問題はその後です。医学論文では、この後に治療への応用がなされます。この論文を元にです。つまり過活動性膀胱を治療するために、広域抗生剤を用いると言うおろかな治療法へと駒を進めることがわかりきっています。なぜなら、細菌が過活動性膀胱の原因だと仮説をたてているからです。


当然ながらその治療はよい結果を残しません。しかし、データ改ざんを少し行えば、「抗性剤を用いると過活動性膀胱が改善する」というデータが捏造できてしまいます。そして間違った治療が世界に流布します。これを名のある教授が発表すると、全て真実として医学書に掲載されてしまいます。


詐欺的な考察の中にも真実が潜んでいる場合がありますが、こうした論文を読んだ者は、「細菌が過活動性膀胱を起こすことが科学的に証明された」と勘違いするでしょう。


医学論文のほとんどはこのような詐欺的な作りとなっていますので、結局、その真偽は誰にもわかりません。ただただ、権威者が述べた論文は真実として世の中に流布し、名もない研究者が述べた論文は無視されるという法則があるのみです。


過活動性膀胱の原因を探る

私は過活動性膀胱の95%以上を、硬膜外ブロックで完治、または改善させています。泌尿器科の医師たちはそういう経験がありませんから、上記のような論文を書くに至っています。実際に数多くの過活動性膀胱を治している医師から見れば、上記の論文は笑い話であり詐欺的に見えてしまいます。


別に私はここで自分の治療力を述べたいのではなく、医学論文はこのようにして科学の化けの皮をかぶって仮説を立て、仮説が真実化されるのだという仕組みを知ってほしいために例を挙げたにすぎません。


 

正義の投稿

つい最近、私のブログに以下のような投稿がありました。


「悪徳医療撲滅さんより 素人相手に嘘ばかり書くのはどうかな。詐欺商法ですよ。 臨床症状だけでエビデンスのない理論です。」

との書込がありました。


彼の書込は間違いではありません。私の論文は「臨床症状だけでエビデンスのない理論です。」はとても正しいものです。しかし、「他の世界の教授たちが書く論文にエビデンスがある」と考えていることは間違いであることを知らなければなりません。どこまで行っても、因果関係にエビデンスはないのです。統計学からは因果関係を導くことはできないという大原則を無視し、その結果、一般大衆は「教授の論文にはエビデンスがある」と思わされています。


この真実を正しく受け入れない限り、誤診、悪化、無駄、な治療が改善されていきません。特に難病治療にはエビデンスが全くありませんので、エビデンスがないから治療しないでは、患者を救うことはできません。お願いですから医学を妄信的に信じすぎないでください。信じすぎた結果、バカを見るのは国民なのですから。

 

日本の医療に対する苦情

はじめに

医療はサービス業の一つであり、当然ながら患者の希望に沿う形で治療方針が決められていくべきですが、日本の医療は事実上「患者の希望で治療を行うことを禁止する」という方針で保険医療が進められています。ご存知でしたか?

私は開業して初めて知りました。それまで普通に勤務医をしていましたが、まさか「患者の希望は禁止」が保険医療の大原則であるなんて教えられずに20年以上医師を行っていたわけです。

この原則のおかげで余計な検査や頻回の治療など「お金のかかる治療」を制止することができるので「医療費がかなり削減できる」という国にとっては最高のメリットがあります。しかし、一方で医療が「患者本位」とならないために、検査を拒否することで病気を見逃し、治る可能性のある治療を途中でやめ、重大な医療事故を招くという弊害が起こっています。ここでは「患者の希望で診療を進めることを禁じている日本の医療行政」の実態を学び、その是非について考えます。


「治療に患者の希望はNG」に驚くばかり

私は難治性疾患を専門に治療を行い、数々の「治らない症状」を治してきましたが、それは私が望んでそういう医師になったのではなく、患者の希望をかなえようと必死に最善を尽くして医業に励んだ結果、他の医師が治せない症状を治せるようになりました。つまり日本の医療行政に逆行し「患者の希望中心」で診療を進めたおかげで「他の医師が治せない症状」を治せるようになりました。皮肉にも、医療行政に逆らって診療をしてきたおかげで医師として卓越した技術を身につけることができたわけです。

その私にとって「治療に患者の希望はNG」であるという保険医療の大原則を聞いた時は正直言って動揺しました。というより、他の保険医たちがこの大原則に違和感を持たずに診療を普通に行っている姿に危機感を覚えました。これは普通じゃない…

具体例を挙げます。治療を行う際、検査を行う際、その理由をカルテに記載しますが、それが「患者の希望」で行われることが許されていないのです。例えば、カルテに「先週のブロック注射が非常に効果的で、痛みが平均して半分以下になった。患者は継続して治療を希望。引き続きブロックを行う。」と書くとダメなのです。患者の希望で治療を行った旨をカルテや症状詳記に記載すると、その診療費を保険側が支払い拒否することがあります。また、個別指導を受ける場合があります。あくまで「患者の主観ではなく、医師から見た客観的な理由を記載した上で検査や治療を行いなさい」ということです。


一見もっとものように聞こえますがそうではありません。客観的=ガイドラインに示されている通りの方針、を意味しますから、例えば、患者の症状が診断基準を満たさない場合、非典型的で二つの病気が重なった症状などでは十分な検査や治療を開始することができなくなります。つまり、主観的には重い症状であったとしても、客観的な目に見える症状があまりないようでは治療や検査を受けられません。

また、治療間隔(治療頻度)を決める上で「患者の希望を無視する」ことは治療成績や医の倫理に大きなダメージを与えます。

患者は自分の主観で「治療をどのくらいの頻度で行えば適切であるか?」を考えます。そこには社会が介在し、会社を休める日数、注射がどのくらい効いているか? 手技が痛いのでやりたくない、危ない目に遭ったから可能な限り受けたくない、しかし本当に治るなら回数を増やしたい…などの思惑があります。これらの主観は医学的ではなく、客観的でもなく、厚生労働省は「無視しなさい」と医師に指導しているものです。しかし、実際は治療回数に患者の希望を取り入れることは「生活レベルを向上させるため」にもっとも重要で、治療成績に最も関わり、さらにリスク回避にも関わります。よって患者の希望主体にしてはいけないとしてしまうと、治療成績が大きく低下します。そして私は「患者の希望を主体として治療方針を決めているからこそ治療成績が極めて高い」ということを常に実証してきました。


患者の主体で医療を進めると、腕のいい医師では患者が多くの治療回数を希望し、ミスが多く痛い治療しかできない医師では患者の来院回数が減ります。よって腕のいい医師ほど厚生労働省のガイドラインに逆らわなければならない状況になり、腕の悪い医師はガイドラインに忠実に従い、医師の裁量で「毎週×5回連続治療を続けなければなりません」と患者に強制的に来院させようとするでしょう。基本的に治療回数は医師が決めるものというのが厚生労働省のガイドラインですから。よって、腕の悪い医師は「この治療があまり効果がない」ことをうすうす感じていたとしても、「5回連続治療に来なさい」と患者に命令し、お金儲けをするという医の倫理に反したことを平然と行います。つまり、腕の悪い医師にとっては「患者の希望禁止」は有利に働きます。厚生労働省のガイドラインが多くの医師に支持されていて、これに反感を持つ医師が少ないということはすなわち、腕の悪い医師が多いということに直結します。


私はこうした「患者の希望を禁じた日本の医療」に激しい違和感を覚えました。自分が「腕のいい医師」だからです(自画自賛で恐縮です)。多分、腕の悪い医師は違和感を覚えないと思います。

サービス業でありながら患者の希望を通すことがNGというあからさまな医療緊縮行政を推進するというなら「そうした指導を行っていること」を国は国民に伝える義務があるのではないでしょうか。

もちろん、なぜ患者の希望を通してはいけないか?の理由はわかります。患者の希望を通すと国の総医療費が膨らむからです。


患者の希望をNGにすると医療費の支出を抑えられる

痛みが強い患者は「できるだけ多く通院して多くの治療」を希望します。しかし、その希望をかなえるためには「患者が希望するから!」という理由をカルテに書くことはできません。例えば、毎週のブロック注射を行って患者を救うためには、カルテに「なぜ毎週連続で治療することを計画したのか?」について理論整然と記載しなければならないのです。真の理由は「患者が痛み・苦しみ・治療間隔を開けると苦痛で生活できないから」なのですが、「だから患者の希望を通し、毎週治療した」というのであれば、保険側がその治療費の支払いを拒否してよいことになっているわけです。


支払い拒否を免れるためには、まず治療計画を立て、痛みという患者の主観ではなく、生活水準の点数化などを行い、重症度を診断し、その診断から導いた治療回数を設定し、その予定通りに治療を行いなさいということになります。とても面倒、かつ融通の利かない、かつ患者の感情を無視した治療計画が正当とされています。


開業医としては、面倒な治療計画を立てるよりも「治療を減らして支払い拒否を免れる」方向に進めるものです。よって厚生労働省側は出費を抑えることができます。開業医に精神的なストレスをかけることで患者に濃厚治療をさせないことが可能です。腕の悪い医師であればこのような苦労は無用です。患者が来院したがらないのですから、最小限の治療で済み、保険の審査から目をつけられることがないからです。

 


病名がつかない症状は治療も検査も禁止

現代には病名をつけることができない症状が無数にあることは私が何度も述べてきたことです。その理由は「複数の病気が重なる」ためです。医学書に記載されている症状は、ほとんど全てが単一の病気の症状や診断基準であり、二つの病気が重なれば、診断基準をみたさなくなるというからくりがあります。つまり、複数の病気が重なると病名がつかなくなることが日常茶飯事にあります。

しかし、「病名がつかないものに検査も治療もしてはいけない」のが日本の医療の規律です。患者が検査を希望しても「患者の希望で検査を行うことはNG」としているため十分な検査や治療をしてもらえないことがあります。よって私のところへ来院するALS予備群の患者たちは病名もつけてもらえず、検査も門前払いされています。まさに医療費が削減できているわけです。

国側はあいまいな病名のままたくさんの検査をすることは、最も医療費を消費するので嫌っており、そうした国の方針に逆らう医師はいません。あいまいな病気ほど多くの検査を必要とし、それでも結果が出ないこともしばしばあるからです。日本の医師は極めてお上に従順です。この従順さは諸外国から見ると異常です。

さらに、あいまいな病気を一まとめにしてしまうのが精神科です。診断が付けられない不思議な症状を訴える患者は「精神がおかしい」としてうつ病、ヒステリーなどの精神病名をつけることが通例です。この通例により医療費の支出がどれほど抑えられていることでしょう。精神病がつけば検査や治療に大金をかけずに済みます。よって、先ほど述べたように、複数の病気が重なる場合は、精神病名がつけられ、検査や治療を医師側が打ち切ることができます。


厚生労働省のすばらしき業績

日本は世界一の長寿国であることは既知ですが、医療の業績を「平均余命」とするならば、日本は世界一の医療水準を誇っていることになります。ところが医療費の対GDP比は2014年に世界23位(グローバルノートによる)であり、少ないお金で世界一の医療水準を生み出していると言えます。つまり、医療経済効率が極めて高いと言えます。

この現象を医者側から見ると、日本の医師は他の諸外国の医師よりも処遇が悪く、少ない賃金で最大の仕事をする、つまり、お金にならない仕事でも引き受けることを意味しています。

そして学会・大学教授を筆頭とする超封建制度があり、日本の医師は上司に対して奴隷のように従順です。したがって厚生労働省の理不尽極まりない命令にも従い、反抗しません。まるで軍隊です。この体制こそが「日本の医師が少ない賃金で精一杯働く」理由となっています。

軍隊の筆頭が厚生労働省であり、以下に大学教授・・・となりますから、日本の医師は言わば「官僚の犬」です。よって「患者の希望はNG」「厚生労働省のガイドラインに忠実」となるのは当然のことといえます。


目の前に大企業の社長や会長、有名人がいたとしても、その患者の希望は通さず、厚生労働省の言うがままに動くあたりは、まさに忠義の犬です。凛々しくもあります。

患者が地位の高い人でも、大金持ちでも、総理大臣でも、その意見や希望は断固通さないというあたりは見事な共産主義であり美学です。そのおかげで日本の医療費はこれほど低コストに抑えられています。患者の希望で「この検査を入れてほしい、○○を診てほしい」などの要望は無視し、医師が必要と認めた教科書どおりの診療しかしてはいけません。医師が必要と認めた検査、つまり国が教授が学会が必要と認めた検査のみ行ってよいことになっています。医療費の削減は世界一といってよいほどわが国の低コスト医療は見事なものです。それは厚生労働省の業績と言ってもよいでしょう。


高齢化から見た日本の医療費

2015年の日本の高齢(65歳以上)人口は26.4%と世界一であり、しかも2位のイタリアを大きく(4%)引き離しての独走1位です。高齢者ほど医療費がかかるのは世界共通ですから、本来、普通に医療費をかければ、日本の医療費の対GDP比は「単独1位」で当たり前のはずですが、実際は世界23位です。これが意味するものは、日本の医療費のかけ方は世界有数の医療費削減国家であることがわかります。

どこでどのように削減しているのか?はいろんな要因があり、一概に言及することはできませんが、やはり、大衆が罹患する病気の保険点数の設定を低くし、大衆病こそ患者の希望通りに治療を受けさせない、という国の姿勢が大きな要因になっていると思います。しかし、それでも医療水準が高いのは、癌治療や心臓病治療などの分野で医師たちががんばっているためであり、結局、一定の賃金で一定以上の働きをしている医師たちが「泥をかぶっている」と思います。

さて、そうしたかわいそうな日本の医師たちにエールを送りたい気持ちはあるのですが、今後100年間は医療費の増大を防ぐことは不可能です。それは高齢者の人口が増え続けることがわかっているからです。


以下に日本の未来における人口ピラミッド予想図をあげます。

人口

人口問題研究所の予想図によると、2060年には65歳以上の高齢者の人口が現在の25%が40%にまで増えます。一方、生産年齢の人口は現在の57%から47%にまで減ってしまいます。これが意味することは、医療費を消費する人口が大幅に増え、税金を納める側の人口が大幅に減ることです。つまり、医療財政が崩壊する可能性が高いと言えます。

この現実をつきつけられると、「患者の希望をかなえる医療を推進しろ!」とはとても言えません。できるだけ医療費を削減するために、医師の数を減らし、保険点数をどんどん低下させ、新しい医療技術を認可せず、検査は最小限にとどめ、「できるだけ患者の希望を通すな!」ということになります。


切り捨てられる患者

未来の高齢化社会を考えると、重症患者切り捨ては正当です。99%の患者を救うために1%の重症患者をやむを得ず切り捨てます。

では、どういう患者が日本の医療に切り捨てられるでしょう(美容を除く)? 例を挙げると、高齢で起こる病気(難聴、歩行困難、更年期症、認知症、変形など)、慢性的で治りにくい病気(治りにくい痛み、後遺症、しびれなど)、診断名が付けにくい病気(複数の病気が重なった場合、症状があっても診断基準を満たさない)、原因がわかっていない病気(線維筋痛症 慢性疲労症候群など)、手のかかる患者(重症の患者、治療箇所が多い患者など)、治らないとされているもの(難聴、めまい、味覚嗅覚異常、自律神経失調症、神経内科的病気)の大部分。

これらに該当する患者は切り捨てられます。無治療というわけではありませんが、値段の安い治療しか認可されていませんので、お金のかかる治療をしてはいけないという意味で切り捨てられます。

切り捨ての典型例は「同じ薬を定期的に処方」が延々繰り返される、精神科を案内される、検査を入れてもらえない・・・などです。


患者の希望を取り入れた医療

私は医者になりたての頃から「患者の希望を叶える医療」を心がけてきました。それは今から思うと、まさに国家や教授、学会への反逆医療でした。

例えば「膝が痛い」という患者には患者の希望する回数の注射を行いました。2日で痛みがぶり返すのなら、1日おきに週3回の注射をしました。

また、保険が通らない薬は、使っても「使っていないこと」にしてお金を請求しませんでした。請求しないことも不正の一つです(これらは過去の話です)。とにかく、患者の希望を叶えるという「やってはいけない医療」に全力をかけて生きてきました。しかし、その恩恵は極めて高く、治せない症状を治すことができる技術が身につきました。


患者の心理は高性能診断機器

私たち医師は「患者の心を無視する」ように教育されます。ガイドラインに忠実であることを要求されます。そして知らず知らずに患者の心が極めて高性能な診断機器であることを忘れるようになります。

例えば、とても痛い注射をして、患者の症状を少しだけ除去できたとしましょう。患者は症状が改善した喜びよりも、痛い注射におびえ、「次に同じ注射をしたくない」と思います。この感情は極めて高性能な計算機(脳)によって、「治療が成功しているようで成功していない」ことを意味しています。プラスとマイナスの差し引きがマイナスになっているからです。副作用も同じです。注射で膝の痛みは軽快したが、薬剤で蕁麻疹が出て、注射をしたくなくなった。というのも、結果的に治療は不成功です。


しかし、膝に注射して蕁麻疹が出たが、それは二日で消え去り、その後2週間、膝が全く痛くなかった。という場合、患者はたとえ蕁麻疹が出ても、喜んで次の注射を受けに来ます。つまり治療成功です。成功か失敗かを決めるのは患者の感情です。しかし、感情は高性能な計算機である脳がはじき出しているものですから、その信憑性が極めて高いと言えます。

足の痺れが治らないという患者に硬膜外ブロックを行い、「わずかにしびれが軽くなった」という場合、治療を続けるかどうか?悩みます。ですが、患者に「治療を続けたいですか?」とたずね、「是非続けたい」と言う場合、たとえ効果が少ししかなくても治療を続けることが正解です。通院の労力、ブロックのリスク、かかる費用、そして症状の改善度・・・これらの総和がプラスだからこそ患者は治療を望むのですから。医師の一存で治療の継続を決めるよりも、患者の希望を叶えるほうが正しい結果を招くことが多いのです。その理由は患者の人生は患者にしかわからないものであり、患者の判断には極めて多くの計り知れない要素が判断材料に含まれているからです。


もちろん、患者の希望をかなえたことで、悪い結果となることもあります。しかし、全患者の統計をとれば、患者の希望を叶えるほうが正しい結果となることの方が圧倒的に高いはずです。なぜなら人間の脳は究極の未来予測計算機だからです。それを信じるか信じないか?が医師の器量なのです。器量のない医師は患者の言葉を信じません。常に医学書を信じます。そして多くの薬害を作るわけです。私はそうした薬害、手術害の尻拭い専門医です。毎日が他の医者たちが犯した医害の尻拭い業務を行っています。それができるのは患者の希望という高性能診断機器をおおむね信じているからです。


患者の希望が誤っている場合

患者の希望や感情が正しくないこともあります。患者は自分の病気の長期予測ができないからです。医師は治療して1年後の患者、10年後の患者、20年後の患者を同時に診察することにより、病気の未来の姿を知ることができます。しかし、患者は自分の症状の未来の姿を予測できませんので、患者が希望する治療や検査が無意味となる場合があります。よって、患者の希望や感情に任せて診療を進めると、無意味な治療や検査に大金をかけることになり無駄となることがあります。そうした医療費の無駄遣いをなくす上で「患者の希望をかなえないこと」は国政にとっては有益です。


面倒くさい患者の希望

患者の希望が本当に間違っているかどうかを判断できるのは、「患者の希望を叶える治療をやったことがある医師」だけです。ここが重要です。

予期せぬ副作用やリスク、失敗に遭遇するのは、多くの場合患者の希望(感情)を無視した場合です。なぜなら患者は本人しか知らない特異体質を持っている場合があり、そこから来る不安を無視して行う医療ではリスクが極端に高くなります。患者が不安を感じている治療を無理に行わないことが医療事故を防ぐ上で極めて重要です。患者の漠然とした感情(不安や期待感)を治療に活かす医師は、そうした1000分の1にしか起きないリスクを回避することができます。しかし、それは「患者のたわごと」につきあうことを意味しますので、医師にとっては極めて面倒なことです。中にはオカルト現象までしゃべりだす患者もいますのでつきあうのは大変です。


特異体質を持っている患者の場合、過去にちょっとした治療で予期せぬからだの不具合を起こした経験を多く持っています。だから患者は病院にかかる時は何科にかかるときでも不安をかかえています。よかれと思って行った治療が裏目に出ることが多いからです。しかし、医師の前でそれを説明したところで理解を示してもらえないことを患者は知っているので口に出すことは少ないでしょう。患者は「何か起こった場合にデリケートに対応してほしい」という気持ちがあるのですが、医師にとっては一人だけ特別扱いはできませんので無視することになります(特別扱いすると人件費が数倍かかりますが、治療費は同じなので赤字になります)。


しかし、リスク回避の真髄は患者の特異体質に医師がどれだけ対応できるかにかかっており、それらは医学書には載っていないため、医師の経験値が頼りです。それを無視した代償は重大な医療事故として返ってきます。「患者の希望NG」とする日本の医療では、こうした重大な事故をなかなか回避できません。

同様に、患者が抱く不安が間違っている可能性がありますが、その判断ができるのもまた「患者の希望を叶える治療をやったことがある医師」だけです。面倒なことをやった医師だけが得る経験値です。偉い教授先生たちはそうした経験値がおそらくゼロです。


必要にあわせる医療は別次元の医療

どんなに変形した骨格を持っている患者でも、ほとんど「家の中だけで過ごす患者」の場合、手術の必要はありません。逆に変形もないのに、肘が痛くて試合ができないプロゴルファーの場合、手術が必要なことさえあります。このように「治療が必要か必要でないか?」は患者の社会背景によって変化します。これらを全く無視することを指導しているのが日本の医療です。

必要な治療回数は肉体労働をしている人とデスクワークをしている人とでは全くことなります。肉体労働をしている人の腰痛・膝痛を「仕事ができるレベル」で治療するためには、ほぼ毎週の注射が必要です。またデスクワークの患者では月に1回で十分に生活が送れます。よって肉体労働者は「毎週注射をしてほしい」「仕事が続く限り半永久的に治療をしてほしい」と希望します。当然ながら現在の日本の医療ではこうした患者の希望を叶えることは禁止されています。


さて、患者の必要にあわせて治療をするということは、その患者の幸福を考えて治療することを意味しますが、そのために医師は全力でリスクを回避しなければなりません。治ればよいというものではなく、合併症を作らずに、リスクを極めて小さく・・・を実践すれば、患者の必要度が増すからです。つまり、患者の希望を叶える治療は「その治療のリスクによって治療回数が変化する」ことが必然となります。リスクが小さくできるなら、患者の希望が増し、リスクが大きいなら患者は治療を希望しなくなります。ならば、患者の必要にあわせる医療は、医師の腕に大きく影響されます。腕が良い医師ほど患者から多数回の治療を要求され、それに呼応する毎に医師の実力が上がります。それは患者の社会生活の程度に応じて治療の質や量を変える医療ですので、いろんな患者の社会生活まで理解できるようになり、患者の治療要求を満たすことができるようになります。これが医師の究極のあるべき姿です。そして残念なことに「あるべき姿」が国家レベルで禁止されています。なにせ「患者の希望はNG」ですから。


患者の希望を無視する医療は医学の発展を妨げる

患者の幸せのために医療が進歩することを国家は禁止しています。では、何のために医療は進歩するのでしょう? 多くは医学部の教授が自分の業績をあげるために医療が進歩します。もちろんそれはよいでしょう。進歩することには変わりないのですから。

国は国民の幸せを考えるのではなく、国民の寿命という数字を考えます。つまり生活の質を向上させるための医療を認めていません。

さて、私はそうした現代医療の体制に真っ向逆らって生きてきました。その結果をご覧ください。大学病院で治らない数々の難病を改善させることができます。しかもほぼ全ての科に渡る疾患です。もちろん、手術などのダイナミックなことはできません。しかし、患者の生活の質をあげるための医療としては極めて優秀です。

名もない一人の小さな医師が、現医療体制に逆らって治療してきただけでこれほどの偉業ができるようになるわけですから、現医療体制がどれほど医療の進歩・発展を妨げているのか?が理解できるでしょう。

しかし、そうでもしなければ医療財政が崩壊するので、やむを得ず国家レベルで「患者本位の医療を禁止している」という現状を知らなければなりません。


患者の希望を無視すると重大事故(死亡例)が多発する

今年8月2日に「群馬大病院で同じ男性医師の手術を受けた患者が相次いで死亡した問題で、群馬大は2日、東京都内で会見し、執刀した男性医師や元上司の教授ら計9人の処分を発表。」とありました。こうした死亡例の原因を調査した木村孟元東工大学長)の最終提言には「死亡事例が繰り返された背景として、医師の3分の2が群馬大出身者で占められ、先輩や恩師に発言しにくい風土と、県内唯一の大学病院として地域医療の頂点にある独特なヒエラルキーを指摘。当該診療科で、医師が真の意味での患者本位の医療を提供する視点を備えられなかった。」としました。


患者本位の医療を提供しないことは重大な医療事故につながることを述べていますが・・・これには苦言を言わざるを得ません。「患者本位を国家が禁止」しているからです。患者の希望による検査、患者の希望による治療、を保険制度側は断固禁止しています。国家が禁止しているせいで患者本位の視点に立てないというのに、死亡例が続くと「患者本意の治療ができていないからだ」という報告で終わらせてしまうところに、この国の危うさを感じます。この群馬大学医学部の問題は、大学側の問題と言う小さなものではなく、国家レベルの低コスト医療が根本にあることを国の責任として考えるべき問題です。教授を含め9人の処分とありますが、それはこの9人が見せしめにされて、小さな事件にされてしまっただけのことであり、実際は「患者の希望を通さない医療を指導している」国家の責任とも言えるのです。国民の皆様にはどうかこのことを強く心に留めていただきたいと思います。国を動かせるのは国民の1票、世論だけだからです。


インターネット時代の患者の希望は無視できない

現代の患者たちはインターネットを通じて最先端の医療、最先端の代替医療があることを簡単に調べることができます。その情報は医師の知識を上回ります。つまり、患者の知恵が医者の知恵を上回ることがあります。よって、患者が提案する治療や検査を行うことで新たな病気が発見されたり、奇蹟的な改善を見せる治療を開発できたり、極めて効果の高い医療を行うことができることが多々あることを私は臨床現場で経験しています。

そして、患者が危険と感じた治療を無理に勧めないことでリスク回避できることも経験します(時には無理に勧めることもあります)。よって患者の希望を取り入れることを禁じた厚生労働省の方針は、明らかに時代と逆行していると思います(医療費緊縮財政ですのでやむを得ませんが)。

そして実際に各種医学学会は効果的な治療を見つけられず、私のような名もない医者が治療法を次々と開発するに至っています。私は単に「患者の意向に沿う治療」をしているだけのことです。それだけで、新たな治療法を次々と見つけることができます。そうであるならば、行政がいかに医学の進歩を妨げているか?考えさせられてしまいます。財政が苦しいことは承知しています。しかし、せめて患者の意向が反映される医療にならないものか?と考えてしまいます。

私の声が国家に届くことはないかもしれませんが、国民の一人ひとりの声は届くかもしれません。患者本位の医療が国家レベルで推奨されるように願っています。

 

薬物依存(耐性)者の慢性疼痛治療ガイドライン

2017年治療成績

はじめに

慢性の難治性疼痛をお持ちの方は医療機関から多量の鎮痛薬や精神科薬を処方されているケースがあります。リリカ、トラムセット、デパス、リボトリール、サインバルタ、リフレックス、ソラナックス、コンスタン・・・など、神経のシナプスに作用する薬剤は「必ず耐性を作る」ことが知られており、耐性が出来てしまった結果、人体にとっては極めて危険な薬剤となる場合があります。これらの薬剤は最初のうちは効果を発揮しますが、やがて必ず神経シナプスが耐性を持つように変化を起こし、多かれ少なかれ薬が効かなくなります。

薬が効かないからと言って、服薬を中止したとしても、耐性を持った(変性した)シナプスがすぐに元通りにはならないため、その後に予測不能な様々な苦痛をともなう症状がおしよせてくることがあります。いわゆる禁断症状です。

禁断症状は薬剤耐性が出来あがってしまった人全員に必ず起こる現象ですが、多くの医師たちはそのことを知らないため上記のような薬剤を気軽に処方してしまうという罪深いことが無意識に・楽観的に普通に行われています。

こうした患者たちに疼痛を改善させる治療(ブロック注射・マッサージ・鍼灸など)を行うと、極めて強いリバウンドが生じ、逆に苦痛が倍化することがしばしばあります。その苦痛は患者たちがとても耐えることのできないレベルのものであり、治療はほとんど失敗に終わり、治療を試みた勇敢な医師(治療師)が恨まれ、訴訟を起こされるという悲しい出来事が世界中で起こっています。

現在、上記の薬剤を処方されている患者は全国に何十万人と存在し、治療後のリバウンドで治療が困難になるケースが増えてきています。ここではそうした薬物依存の難治性疼痛者たちを「どうすれば治療できるのか?」について考察すると共に、薬物依存・禁断症状から離脱する方法を考察します。おそらく現在の医学の中でも解決策のない最難題です。奇蹟的にさまざまな病気を治療できる驚異的な治療師でさえ「治せない」課題です。

実際は「難治性疼痛治療」に限らず、自律神経失調治療、更年期症状治療、不眠症治療、神経内科的病気の治療など、様々な慢性疾患でこの問題が起こっていますので、他人事ではないことを認識ください。


薬剤耐性が起こる原理

詳しくは英国のニューカッスル大学神経科学研究所ヘザー・アシュトン教授が著した 『アシュトンマニュアル』には、ベンゾジアゼピンの作用、副作用、離脱症状、減薬法などをまとめたものがありますので、こちらを参考にしてください。


ここでは薬剤耐性とは何か?を簡単に述べます。神経は電気信号を次の神経に伝える時に、神経と神経の隙間(シナプス)にホルモンを分泌し、そのホルモンが次の神経のスイッチをONにます。薬剤はそのホルモンの量を増やしたり、ホルモンに成り代わったり、スイッチを塞いだりして電気信号を増減させます。電気信号の増減=薬効 です。しかし、人間の体は外部からの薬剤に対して「抵抗しよう」とする力が常に働いており、例えばホルモンを増やす薬剤をのみつづけると、神経のシナプスではそのホルモンのスイッチ部分を減らすことで抵抗します。スイッチが減れば、薬剤でホルモンが多く分泌させても電気信号が伝わりにくくなります。これが薬剤耐性です。そして神経系は「薬物を飲み続けている状態で普通になる」よう変化します。ここで薬物の使用を中止するとホルモン不足と同じ状態になり、様々な禁断症状が出ます。


例えば、脳の興奮を抑える薬を使っていると、これをやめたときに「脳が常に興奮している状態」となり、眠れない、不安になる、幻聴や幻覚を見るなどの症状が現れます。


薬剤耐性+物理的血流障害で最悪の病態

アシュトン博士でさえ知り得ない話をしなければなりません。それは「物理的な血行不良などで禁断症状が低下している」状態です。わかりやすく言うと「神経自体が死にかかっていると電気信号が伝わらないので禁断症状がやわらぐ」という状態があるということです。

例えば、正座をしていると足が形容しがたい嫌な感覚になります。しかし、さらに長時間正座をしていると、嫌な感覚という苦痛が軽減します。これは神経が仮死状態になるために「苦痛」を伝える電気信号さえも、伝わらなくなるからです。

原則的に「苦痛を伝える神経自体が仮死状態になれば、楽になることがある」ということを頭に入れておいてください。

では、薬剤耐性が出来あがっている場合に、神経の仮死状態が合併している、とどうなるかを考えてみてください。例えば、痛み信号を遮断する薬剤に対する耐性が出来あがっている場合です。


神経のシナプスでは恒常性を保つように変化しており、痛み信号を「増幅させよう」とする状態になっています。いかし、その神経が血行不良で仮死状態になっているため、電気信号があまり伝わらず、痛みもあまり感じない状態で過ごすことができます。

この状態の患者に治療を行い、「神経の血行を再開」させてあげると・・・増幅した痛み信号が一挙に大量に流れ始めます。当然ながら患者は今まで感じたことのないほどの激しい痛みを感じるようになります。つまり、治療することで痛みが倍化します。

このように薬剤耐性に物理的な障害が加わっている場合、適切な治療をすればするほど痛みがさらに激化するという信じがたい症状が出ます。

患者は「治療のせいで痛みが倍化した」と捉えるため、治療した医師に激しい怒りと不信感を覚え、最悪の場合は訴訟を起こします。よって、薬剤耐性+物理的な障害、が考えられる時は「適切な治療を行ってはならない」とするしかなく、事実上、「治療法なし」となります。


こういうケースをマレであると考えてはいけません。実際に正座をした後に、立ち上がると、足がジンジンして激しい苦痛をともなうということを「誰もが経験」していることです。血流が再開すると「想像を絶する苦痛」が来ることは誰にでもあることでありマレではありません。

また、例えば、地震で瓦礫の下敷きになって、足がはさまってしまった人を救出する際にも同様なことが起こります。血行不良のために滞っていた体内の毒素が急に全身に回るためにショックを起こして死に至ることがあります。血行不良を改善することは根本治療なのですが、血行を再開したとたんに、体にとって不利な物質、不利な電気信号までもが流れ始めるために想像を超えた苦痛を襲うことがしばしばあります。

現医学では、この薬剤耐性+物理的障害 を治す方法はなく、絶望的と言ってよいでしょう。薬剤耐性だけでも治療が困難だと言うのに、物理的な障害が加わっていると、治すも地獄、治さないのも地獄です。


漢方薬でも薬剤耐性がある

重要なことは「漢方薬では薬剤耐性が起こらない」と考えている人々が医師を含めて非常に多いことです。基本的には漢方薬にはいろんな薬効の薬が混ざっているので「薬剤耐性は西洋医学の薬剤に比べれば起こりにくい」というだけのことであり「起らない」わけではありません。西洋医学の薬剤は一つの成分が精製されて濃縮されているため、薬剤耐性が起こりやすいのですが、漢方薬でも起こります。

薬剤耐性ができているかできていないかを調べる方法はとても簡単です。服薬した薬剤が効くか効かないか?で誰でもすぐに判断できます。「最初は効いていたが、最近は効きにくい」と感じれば、そこには薬剤耐性が必ず生じています。


注意しなければならないことは、下痢止め、腹痛止め、頻尿治療、認知症治療などに用いられている抗コリン薬もまた、シナプスに作用するものであり、自律神経系に必ず耐性を作ります。当然ながら様々な禁断症状が起こるのですが、自律神経が耐性を作っても、痛みなどの直接的な害がないので認識できないところに問題があります。私の経験上、自律神経の異常こそ難治性で厄介であり人々の生活レベルを低下させます。そういうことを知らずに抗コリン薬などを処方し続ける医師と飲み続ける患者がいることに危機感があります。

自律神経系の異常は内分泌、外分泌の異常を起こし、慢性の消化器疾患を作ります。


薬を多くのんでいるほど予想不可

アシュトン博士によると、ジアゼパム系と抗うつ系の同時服薬の場合、量を減らすのならまずジアゼパム系から行う方が良いと述べています。抗うつ系の薬剤の方が禁断症状が強いからです。セロトニンやノルアドレナリンの取り込み阻害薬などの薬剤(サインバルタ・リフレックスなど)の場合、禁断症状はさらに強いと思われ、文頭に挙げたような薬剤を複数のんでいる方の場合は薬剤の減量には慎重に根気強く徐々に行わなければなりません。

基本的に禁断症状が弱いものから減らしていくことが原則です。また、短期作用の薬剤は、長期作用の薬剤に置き換えてからの減量がよいと述べています。多くの薬剤を飲んでいる人ほど、禁断症状が重篤になりやすいでしょう。

薬剤の減量は医師の指導の下に行いましょうと述べていますが、指導できる医師がほとんどいないのでこの注意書きはほぼ無意味です。


強い禁断症状は特異体質

文頭に挙げた薬剤を飲めば「誰にでも強い禁断症状が懸念される」わけではなく、特異体質が加わってこそ強い禁断症状が出現します。2000年の初頭から薬剤による禁断症状に警鐘が鳴らされているにもかかわらず、放置されてきた理由は「誰にでも起こることではない」からです。特異体質を持つ少数派に起こり、大多数には大きな影響がないため、大を活かし、小を殺すことで世界が回っています。

強い禁断症状を起こす者の大部分に自律神経失調が合併しており、延髄の機能がうまく働いていない人が多いと推測します。延髄には脳神経核があることはもちろんですが、錐体路という運動神経が通っており、ここの障害では筋委縮や慢性疲労なども起こります。


延髄の機能障害は主に延髄が尾側に強く引っ張られることで生じていると私は推測しており、脊椎の形態異常がある方が圧倒的に多い印象を受けています。特異体質の多くはこのような脊椎の遺伝的な形態異常がベースにあると推測しています。さらに、免疫の過敏性により強い炎症反応が加わると致命的な病態に発展することがあり、ALSなどもその一つではないかと考えています。

特異体質を持つ者が安易に神経のシナプスに作用する薬剤を飲み始めると、医師が想像し得ない激しい禁断症状を生み出す可能性が高まります。しかし、特異体質を持つ者はそれほど多くないため無視され、「精神異常」と烙印を押され、精神科で薬漬けにされる羽目になります。私の元へはそうした患者が数多く訪れます。


いきなり断薬すると危険

アシュトン博士はジアゼパムに対する警告を発していますが、実は私の元へはさらに深刻な患者が訪れます。それは脳神経内科的な疾患ALS,小脳脊髄変性症、脊髄性筋委縮症、慢性疲労症候群などをメインの症状とする難治性疾患に薬物依存が重なっている重篤な例です。純然たる精神疾患ではなく、様々な難解な症状を持つ患者が訪れます。

そうした合併症のある患者がいきなり断薬すると「メインの症状が激しく進行(悪化)」します。そして警告しなければならない薬剤はジアゼパムにとどまらず、リリカ、トラムセット、サインバルタ、リボトリール、睡眠薬などなど多岐に渡ります。


脳神経内科的な合併症を持つ患者が現在飲んでいる神経シナプスに作用する系の薬剤をいきなり中止すると、筋委縮、筋痙攣、脱力、痛み、しびれ、呼吸困難、水が飲み込めないなどの症状が急激に悪化してしまい、場合によっては寝たきりになることがあります。

どんなことが起こるのか?の詳細を知りたい方は「下山日記」を読んでみるのもよいでしょう。体に起こる不快な諸症状を避けるために服薬していた薬剤が、自分の体を「元に戻せないほど」悪化させ、そこに禁断症状が加わると不可逆な悪化のサイクルを回してしまうことがあることを頭の隅に入れておきましょう。誰にでもおこることではありませんが、あなたに起こらないとも限りません。


かなり深刻な疼痛治療の薬害

疼痛治療の投薬ガイドラインには1、ロキソニンなどのNASAIDS 2、リリカ 3、トラムセット、4、サインバルタなどのSNRI、5、リボトリールなどのジアゼパム系 と薬剤を重ねて行く方法が一般的です。オプションとして睡眠薬(ジアゼパム系)、抗うつ薬なども追加されます。


しかし、考えなければならないことは、このように薬剤をたくさん重ねることを医師に勧められた時点で「あなたの疼痛は現医学では治らないレベル」であり、半ば根本的な治療をあきらめられている状態であるということです。そしてこのような処方を行う医師の考え方に「脳の誤作動」という思考に占領されていることを考えなければなりません。つまり「存在しない痛みを脳が勝手に作っている」と思われており、精神異常者として扱われているということをしっかり見つめなければなりません。

その上で、これらの薬剤をたくさん服薬しも、すぐに効果が薄れてきます。「すぐに効果が薄れる」=「薬剤耐性ができた」ことを意味し、すでに薬物依存ができています。この状態で薬を減量しようとすれば、禁断症状に苦しむことになります。


慢性疼痛+多くの薬剤でも痛みが全く改善しない場合

上記のような薬剤を重ねて服薬しているにも関わらず、痛みがほとんど改善しない場合、すでに薬物離脱が起こっていると考えます(byアシュトン博士)。つまり薬剤耐性が強化されていることにより「薬剤が効かない」ようにシナプスが変性を起こしてしまっているということです。薬物を服用しているのに「効かない」状況になっていますので、これは相対的に「肉体が薬物から離脱している」と考えます。服用しているのに離脱しているわけで、薬をのんでいるにもかかわらず禁断症状が出ている状態と考えます。禁断症状を回避するためには薬剤を増やす以外に方法がなく、このためリリカやトラムセットを最高量まで上げて行こうとする医師が大勢います。これがどれほど危険な状態か理解できるでしょうか? 多くの医師たちは禁断症状について知りませんので、自分の力で医師の処方から逃れなければなりません。が、痛みが強いために医師が言うままに増量してしまう患者がほとんどです。再度いいますが、増量は危険です。


痛み信号をシナプスレベルで遮断する系の薬剤は「痛みを感じやすい方向にシナプスが変性」しますので薬剤離脱時に耐え難い痛みに襲われることがあるからです。

この「痛みを感じやすいシナプス」が作られてしまっている患者の場合、疼痛治療が極めて困難になります。実際にどれくらい治療困難であるかを、いかに症例報告します。


CRPS(複合性局所疼痛症候群)の47歳女性の症例報告

2年前に採血をしたことがきっかけで痛みとしびれが出現し、それが両上肢・両下肢に拡大。今年に入り近医でリボトリールを処方されるが軽快せず痛みが増す。約1か月服薬した後、リボトリールをバッサリ中断。しかしその禁断症状として「物が飲み込めない、全身の筋肉の線維束攣縮、頻脈」などが出現。その後漢方薬を試すが、漢方薬でも症状が悪化。痛みやしびれが増強したため私に治療を相談。


私はこれに対し。「CRPS、断薬などの治療ではほぼ必ずブロックによる「耐え難い症状」がでます。断薬の際に出たような症状がさらに1.5倍になる程度の辛い症状です。ブロックが「寝た子を起こす」と思われます。それに耐えるために、私は連日のブロックをおすすめしているのですが、そのためには私の診療所の近くにお住まいがあることが治療の条件になります。リバウンドが起こらないように、ブロック間隔を縮め、リバウンドの症状をブロックで取り去っていくという治療です。断薬治療は、ハードルが高く、中途半端な気持ちでは治すまで至らないでしょう。」と返しました。「診療所の近くに」というのは徒歩またはタクシーで毎日来院していただける距離です。なぜならリバウンドが強い場合歩くことさえつらくなるからです。


上記の患者は「断薬治療は、ハードルが高く、中途半端な気持ちでは治すまで至らない」という私の言葉を甘く考え来院。しっかりした治療の準備(連日来院する準備)も行いませんでした。これに対し、まずはブロックの反応をテストするために上頚神経節ブロック(1%キシロカイン2㏄を左右の神経節近傍に注射)を行う。リバウンドが起こることを当然ながら説明し、そのリバウンドを払しょくするためにも連日の治療を指示。しかし、患者は2週間後に来院。患者に問診すると「ブロック当日は少し症状が軽くなりましたが、翌日から全ての症状が悪化し、動くことも出来なかった。想像以上の苦痛だった。」とのこと。再度同じように上頚神経節ブロックを行う。ブロック直後に左の上肢にしびれが出現(これはキシロカインが腕神経叢に一部浸潤したことを意味し、しばしばブロック後に起こるもの。上頚神経節ブロックは腕神経叢よりもかなり上に刺入するため、直接刺すことは解剖学的にあり得ない。)。ブロック後も症状が軽快することはなく、ブロック3時間後から強い右下肢痛、左上肢のしびれ、右上肢の痛みが出現し、それが数日後も継続しているという報告を受ける。そして、たった2回のブロック治療で治療失敗が明瞭となる。


上記症例の薬剤耐性の考察

薬剤耐性のメカニズムは臨界点にあると思われます。それは痛や痺れなどの苦痛な知覚信号を過敏に伝えるシナプス変性と、その神経の仮死度によるスイッチングにあるという理論です。わかりやすく言うと、正座して足の感覚が無くなった後に、立って血流が再開する時にピリピリが強くなるという現症です。神経を仮死状態にするか、元気な状態にするか、のスイッチングの役割を血流が行っているという理論です。血流が悪いままであれば、足に強いピリピリは起こりません。しかし、ある一定量の血流となると、神経は仮死状態から目覚め過敏なピリピリ信号を脳に送ります。そのある一定の血流が臨界点となっています。


臨界点付近の血流量が「もっとも痛み信号を脳に伝える」ことになります。そして臨界点以上の血流では他の深部知覚神経が優位に(元気に)なり、これが痛み信号を伝えるシナプスに抑制をかけ、痛みはやわらぎます(ゲートコントロール理論)。血流量が極めて低い場合は、痛みを伝えるシナプスが休止状態となるため、耐え難い痛みにはなりにくいのですが、血流量が丁度臨界点にある場合は耐え難い痛みとなります。


まとめると、

  1. 神経への血流供給が少ない場合、神経は仮死状態となり痛み信号は伝わりにくい。ただし、シナプスでは痛み信号が過敏に伝わる状況になっている(薬剤耐性のため)ので「それなりに痛い状況」となる。
  2. 神経への血流供給量が臨界点の場合、痛みを伝える神経は元気になり、痛みを抑制する深部知覚神経は休止状態のままとなる。よって薬剤耐性で痛み信号が過剰となった神経だけが元気を取り戻し、これが耐え難い痛みを発生させる。
  3. 神経への血流供給が十分の場合、痛みを伝える神経は元気になるが、同時に深部知覚神経も元気を取り戻すため、これが痛みを伝える神経に抑制的に働く。よって痛み信号は抑制される。しかし、痛み信号は過敏状態なので抑制は不十分であり「そこそこの痛み」が起こる。つまり、中途半端な血流増加は強い痛みを招くという結果になります。この状態を真に治療するためには「常に十分な血流が起こる」ようにブロックを行い続けなければなりません。よって連日のブロックを行わなければ耐え難い痛みを乗り越えることができず、結果的に治療が失敗に終わると思われます。

リバウンドの原理

ブロック数日後に「以前より強い症状」が数日起こり、そしてその後は症状が軽くなり、さらに4~5日経過すると再び症状が重くなるという症状の波を多くの患者が経験します。

これを説明できるのが上記の臨界点の血流量です。苦痛な症状を伝える神経が血流不足で仮死状態に陥ると、一旦症状が軽くなります。よってリバウンドはもともと「神経の仮死状態」が起こっている場合に発症するということになります。リバウンドが起こること自体が軽い病態ではないことを意味します。

そこへブロックを行うことで血流を十分に上げてやると、苦痛を伝える神経が元気になりますが、同時にこれを抑制する深部知覚神経も元気になるため、結果的に苦痛は軽快します。しかし、血流増加はいつまでも続かず、数日以内に臨界点に戻ります。この際に深部知覚神経だけが血流不足になります(深部知覚神経は血流不足に弱いからです)。そこで痛みが倍化するのですが、血流は臨界点以下にはなりません。それがブロックの治療効果です(ただし重症な人は再び臨界点以下まで血流が低下する)。痛みは強いですが、血流は足りているため、なんとか自然治癒力で血流量が徐々に向上します。これによりリバウンドの数日後に症状が軽快します。しかし、日常生活により再び血流量を悪化させ、臨界点付近にまで血流量が低下してきます。そこで再びブロックを行い、血流量を向上させて治癒へと導きます。


薬剤耐性が出来あがっている場合の治療経過

薬剤耐性が出来あがっている場合は苦痛を伝える神経が仮死状態であっても、「苦痛信号が過敏に伝わる状態」ですから比較的強い苦痛が発生し続けます。そこへ中途半端な治療を行うと悲惨な状況になります。血流量が臨界点よりも低い状態にあったものを、臨界点へと引き上げるため、苦痛を伝える神経のみが元気を取り戻すからです。薬剤耐性で過敏になっているだけに、その苦痛は地獄の猛火のレベルでしょう。よって、生半可な代替医療、生半可な漢方薬、生半可な鍼灸治療など、どの全ての治療も全て裏目に出ます。もっとも苦痛を感じる臨界点の血流量になるからです(深部知覚神経が元気にならないほどの半端な血流量だからです)。


症状を改善させるためには臨界点を越えるレベルまで血流量を上げなければなりませんが、それには強力なブロックが必要でありリスクも高まります。


最悪なことには、臨界点を越える血流量を得る結果となったとしても、薬剤耐性の出来上がったシナプスでは苦痛信号を多く伝えます。つまり、深部知覚神経が元気になっても、抑制が効きません。よって症状は「少ししか改善しない」ことになります。本当は治療が成功しているにもかかわらず、本人は「効いてない」と錯覚します。

そして血流がピークから少しでも落ちてくると、深部知覚神経が元気をなくしはじめ、苦痛信号の抑制が働かなくなります。つまり、わずかの血流量不足でさえ苦痛を訴えるようになります。ですから、ブロックの効果時間が短いのです。苦痛を伝える神経は、血流増加で元気を取り戻していますので、今度は今までよりも強い苦痛が出現します。これを防ぐには血流が24時間低下しないように連日ブロックをすることです。

この現象のおかげで患者は症状が悪化ととらえます。


 ブロック直後から症状が悪化する理由

症状が悪化する場合、それは血流量が臨界点付近を行ったり来たりしているということを意味すると推測します。ブロックにはその手技により効くときと効かない時の差があり、たまたま効かないブロックを行ってしまうと、臨界点を大きく超えることが出来ず、宝物戦を描くように臨界点にまで血流が戻ってきてしまいます。さらに、ブロック注射が運悪く血流量が臨界点付近をキープするように働いてしまった場合、症状は悪化した状態をキープすることになります。それでも、真実をいうと、血流量は今までよりも改善しているわけです。しかし、患者は間違いなくブロックが私の症状を悪化させたと言うでしょう。


薬剤耐性のある患者の難治疼痛治療は無理に近い

薬剤耐性は普通の方であればそれほど大きな問題にならないでしょう。確かに耐性があると痛みを増幅させますが、深部知覚神経が元気であれば、痛みに抑制的に働くからです。よって耐えられる痛みで治まりがつきます。

しかし、薬剤耐性+物理的な血行障害 が加わり、神経細胞が仮死状態になっている「慢性の疼痛患者」ではほとんどの治療が裏目に出てしまいます。治療により「寝た子を起こす」ことになるからです。おもしろいことに、治療が的を射ているほど症状は悪化するというパラドックスが起こります。

このパラドックスのせいでほとんどの治療は失敗に終わることがほぼ確定的です。薬剤耐性+物理的な血行障害 の場合、地上のあらゆる治療が不成功に終わると言っても過言ではありません。

物理的な血行障害は、痛み神経だけに限ったことではなく、運動神経に起こればALSのような症状になり、自律神経に起これば精神疾患のような症状になります。そうした症状に薬剤耐性が加わることで「誰も治せない最悪の病気」に変貌します。


誰も治せない最悪の病気を治す

悪魔の病気に対する治療法の一つは、自分が誰であるかわからないレベルになるまで薬で抑制させ、それにより行動範囲を究極に狭め、安静にせざるをえない状況で長期間滞在し、神経の仮死状態を自然治癒させていく方法です。抑制系が働けば、薬剤耐性は単なる薬剤耐性になりますから離脱できるようになるでしょう。一部の精神病院では実際にそうしています。

それに対し私は「連日ブロックする」ことで血流量を上げ続け、深部知覚神経を元気にさせ、その後に悪物を減量していくという方法を提案します。

連日の治療のためには私の診療所付近に宿泊し、とまりがけで治療する必要があります。そして現在1例の成功例もありません。私がこのように忠告をしても、その忠告に従った患者がかつて一人もいません(重症以外の人はほとんど治していますが)。

よって薬剤耐性+物理的な血行障害 の難治性疼痛患者の治療実績はゼロであり、私の忠告に従えば、症状が改善するのか?は未知です。未知であるから厳しい忠告には従えないということであれば、私の診療を受けに来る必要はありませんので、来院されないでください。


薬剤耐性の怖さを知ってください

薬剤耐性は、普通の方では重篤な症状にはなりません。せいぜい職場をクビにされる程度で済みます。しかし、薬剤耐性+神経への物理的な血行障害 が加わっている場合は「誰にも治せない悪魔の病気(CRPS)」に変貌します。悪魔の病気へと進行する方はマレでありそう多くはありません。そこには特異体質がほぼ必ず存在しており、症状が進行する方は偶然になったわけではなく、なるべきしてなっています。そういう体質を理解することなく、仕事を続け、薬に逃げて病気を進行させた結果です。

残念なことに、そういう体に進行する前にこの文章と巡り合える方は皆無でしょう。そして出会えた方も私の厳しい忠告に従う方はこれまで1名もいませんでした。よって、私は本症例の患者をまだ1名さえも治せていません。


最後に朗報

最近では真言密教のご加持でリバウンドもほぼなく、奇跡的に軽快させるという実績があります。当院の医療秘書Aが霊能力に目覚め、真言密教の阿闍梨先生の元でその効力を高め、実際に医療応用が可能となったからです。医療秘書Aはその阿闍梨先生の弟子となり得度を受け、当院で僧侶として治療に当たっています。これは最高の朗報です。

ある程度、密教のご加持で症状を軽快させてから、ブロック注射ができるようになりました。ただし、治療には信心が必要になります。疑う方はご縁がありません。

朝寝坊症候群 ~朝寝坊は病気です~

2017年治療成績

はじめに

社会人になってからも朝寝坊を繰り返してしまい、解雇される方々が少なからずおられますが、それは寝る⇔起きる、のスイッチングが不良であるという病気であることを知らない方がほとんどだと思います。寝ているときは副交感神経が優位になり、起きているときは交感神経が優位になりますが、寝る⇔起きる の切り替わる時には 交感⇔副交感の交代現象が起こります。朝寝坊はこの「交感⇔副交感の交代」のスイッチが入りにくいという自律神経失調症の一部であるという認識が必要と思われます。そして自律神経失調症は延髄にある迷走神経核の血流を増加させることで治療が可能であると思われ、以下に述べる上頚神経節ブロックで改善させる方法を紹介します。

 

交感⇔副交感のリズム

交感神経と副交感神経は互いに拮抗する作用があり、例えば戦闘体勢のときは交感神経が優位になり副交感神経が抑制され、例えば睡眠状態では副交感神経が優位になり交感神経が抑えられます。人は眠りに突くときに健康体の場合、「必ず足が温かくなる」という現象が起こりますが、この現象はまさに「入眠時に交感神経が抑制されて足先の血管が拡張するために起こる」ものです。お母さんは赤ん坊が入眠したかどうかを「赤ちゃんの足の温度」で察知しますが、まさにこれが交感⇔副交感のスイッチングが起こっていることを肌で感じることができる現象です。

 

不眠症と朝寝坊の関連

全員がではありませんが不眠症と朝なかなか起きられないことの間には優位な相関関係があると思われます。朝、なかなか起きられない人100人に不眠症があるかどうかを質問すれば、おそらく7~8割以上がYesと答えるのではないかと思います(データを蓄積中です)。その逆は少々減ると思います。また、不眠症の方に「夜、寝るときに手足が熱くなる間隔がありますか?」と質問すれば、多くはNoと答えると思います。

寝る⇔起きる の交代現象は眠る際にも起こることであり、不眠症の方は眠る際に交感⇔副交感のスイッチングが起こりにくいと思われます。

実例としては「夜型人間(深夜になってから頭が回転し始める)」「目覚まし時計と30分以上格闘する」「遅刻経験が何度もある」「午前中は調子が出ない」「午前中に血圧を測ると異常に低い」などです。

 

病的な朝寝坊

社会人になってから、何度も何度も朝遅刻するのは「精神が弱い」わけではなく病気です。おそらく自律神経失調症の一部です。遅刻が原因で会社を解雇された方はほぼ間違いなく「朝寝坊症候群」です。おそらくきちんと治療すれば治ります。

重要なことは本人の意志にかかわりなく「朝起きることができない」ことです。午前中にどんな重要な案件があっても「起きることができない」のです。

この朝寝坊症候群に該当する方は、遅刻することが怖いので、試験日・面接日などの重要な日の前日は徹夜をし、とにかく「睡眠をとらないように徹夜」します。心当たりがある方は朝寝坊症候群です。

 

朝寝坊に社会的なサポートゼロ

現医学レベルではこの病気は治す方法もなく、病名も理解されていませんから社会的なサポートを受けることが全く不可能です。この病気の方は職場を追われ生活保護を受ける方も多く、生活保護者の中に多く潜伏していると思われます。

一刻も早く社会がこの病気の存在を認識してあげる必要があります。しかし、社会に認識させるには症例を集め、治療実績を示さねばなりませんので今回こちらへの公表とさせていただきました。前途多難ですがご協力ください。

 

朝寝坊症候群の治療法

現在、有効性が確認されているのは上頚神経節ブロックです。左右両側の頸部交感神経節にキシロカインなどの表面麻酔剤を用いて神経節ブロックを行う方法です。これにより交感神経を一時的にブロックし、延髄の血管を拡張させ血流を増加させ、自律神経核への血行動態を改善させる方法です。

上頚神経節ブロックが不眠症に有効であることはすでに私の実績より明らかですが、不眠症患者にブロック後「寝起きについて」聞き取り調査をしたところ、目覚めもよいことがわかりました。

最近になり「朝が起きることができない」という36歳の男性患者に同ブロックを行ったところ、ブロック翌朝は比較的しっかり朝起きができるという効果を確認しました。

ただし、効果として「持続性があるか?」については重症度と比例すると思われ、重症であればあるほど持続効果が少ないと思われました。しかし、重ねて治療すれば累積効果が見込めると考えますので重症の方の場合は根気よく治療を受けることをお勧めします。

 

朝起きられない人を社会から救いましょう

朝起きられないという「朝寝坊症候群」は自律神経失調症の一部である可能性を考えます。そしてこれは病気であり、本人の意思が弱いから朝起きられないのではないという認識を持つべきです。こうした傾向は学生の頃からあると思われ、学業にも大きなハンディを背負います。よって学生の方でも、上記に該当すると思われる方はぜひご相談ください。

難治性疾患治療ガイドライン

2017年治療成績

はじめに

難治性とは・・・現医学であらゆる治療を行っても治りにくい疾患の総称であり、人類にはだかる最大の難治性疾患は老化です。よって、生まれてきた生き物は年齢と共に100%が難治性疾患を抱え、そこから逃れられた人は過去に一人もいません。そして、この事実は千年後も1万年後もおそらく変わることがありません。つまり、医学がどれほど発展しようとも、「治らない病気」はその時代時代に必ず存在し未来においても克服できないことがわかっています。

医学がどれほど発展してもその時代に治せないものが存在し、その疾患を治そうとすることは常に極めて厳しい挑戦となります。

すなわち、難治性疾患になってしまった患者とそれを治そうとする治療師は共に「前代未聞の道なき道」を歩むことになります。

「難治性疾患治療ガイドライン」とは、「道なき道を歩むための」ガイドラインですから、極めて矛盾したタイトルです。その矛盾を申し上げなければならない理由は、「道がないほど険しい道であること」、「前例がない」のを知らずに安易に考えている方が患者と治療師共に非常に多いからです。安易に考えている人が険しい道を歩いていけるはずもなく、治療師も患者もほとんどが治療半ばで脱落していきます。そうした悲惨を避けるためのガイドラインが必要です。

数週間かけて文章を作成したため、重複した内容が多く見られます。お許しください。


全ての代替医療が難治性疾患と対峙する

ちょっとした健康器具やサプリメントも含めて、全ての代替医療は必ず難治性疾患と対峙します。アンチエイジング関連の商品も全て「老化」という難治性疾患としっかり向き合っています。それこそ、商品開発をしている会社員も営業も難治性疾患と向き合っているわけで、それは「前代未聞の険しい道」を歩もうとしていることなのに、それに気づいていない人があまりにも多いことに驚かされてしまいます。


水素のあわ、グルコサミンから心霊療法まで・・・実は全ての利用者と治療従事者が「現代医学では治らない」とされている疾患に立ち向かっています。しかし、それらの使用者が「道のない険しい道」を歩んでいるという意識が全くなく、製造者も無責任に宣伝広告だけすれば売れる!という考え方でビジネスにはげんでいることは嘆かわしいことです。

そしてお金・暇・体力を浪費する者、そして副作用で生涯苦しむものなど被害者の山が世界中に築かれています。


被害者の山と、それを利用して大もうけした者の両者共に、難治性疾患を軽んじています。誇大広告や嘘は次第に暴露され、そして商品は売れなくなり、そしてまた新たな商品が開発され、爆発的にヒットし、そして効果があまりないことが知れ渡り、売れなくなり・・・を永遠に繰り返すのも人間社会の性とも呼べるでしょう。「懲りないやつら」です。


しかし、真に難治性の疾患を治療しようとするなら、患者も治療師も命がけで必死にならなければ難しいということを知っている人はいったいどれくらいいるのでしょうか? 難治性疾患治療は常に「未体験ゾーン」となるわけで、その予測がつかないリスクに命を張って挑戦しているのだという自覚が必要です。


難治性疾患の種類

難治といってもその程度には段階があります。一つの悪化点が連鎖して悪循環を起こし、重い症状を次々と作っていく連鎖型難治と、細胞が壊死などを起こし、機能が破壊されて再建が不可能となった破壊型難治があります。破壊型難治の最終形は死であり、神様でさえ死人を生き返らせることは不可能です。連鎖型の難治はどこかで連鎖を断ち切ることで治癒することが可能であり、ただし、その連鎖が複雑なために治すことが難しいだけのことです。


そして連鎖型と破壊型の混合したものがありますが、混合の場合は、連鎖を断ち切ることである一定の治療効果を得ることができますが、それ以上治療を続けても無効となります。破壊されたものは連鎖を断ち切っても改善に向かわないからです。


一般に、「奇蹟と呼ばれる治療」はほとんどが連鎖型の難治性疾患であり、破壊型ではありません。どこかの連鎖を断ち切れば改善しますが、その「どこか?」がどこにあるか?が不明であるため難治となります。

治療者も患者も「自分はどちらのタイプの難治性疾患を治そうとしているのか?」を見極めない限り、両者共に不幸な結果が待ち構えています。


破壊されている血管、破壊されている神経、破壊されているシステム(中枢感作)、破壊されている骨格、破壊されている遺伝子などを瞬時に治す技術はありません。

よって破壊型の難治性疾患をどうにかして治療するためには、細胞新生が起こるまで根気よく「細胞新生の環境を整え続ける治療」をしなければならず、しかも治療期間さえ不明で何年かかるかわかりませんので、患者も治療者も治療途中でギブアップすることになります。


難治性疾患には医学理論が通じない

現代医学で治らない疾患・症状はその医学理論にほぼ必ず誤りがあると推測します。その誤りは「理論を唱えた教授が死去するまで修正されない」「その教授の弟子の教授が主張を続けると次の世代も修正されない」という密かな政治があります。


政治による無理な医学理論は年々少しずつ修正はされるものの当分の間は「無理のある理論」で進みます。現時点で治せない病気(高血圧・うつ病・自律神経失調症など)は医学理論に誤りがあるはずですが、どこが誤りなのか?さえも現時点ではわかりません。


さて、医学の誤りでもっとも被害が多いのは精神科であると思います。それは精神疾患の原因を「心にある」とする考え方です。心というまだ解明されていないものに原因をこじつけることに私は極めて違和感を覚えますし、「あなたの精神がおかしいから不可思議な痛みが出るのだ」と言われて納得できない患者は世界中にごまんといると思われます。


なぜ精神医学が患者を完治させることができない医学に成り下がっているのか?を考えたとき、それは「現代精神医学理論に大きな誤りがあるため」というところに行き着いてしまいます。


精神医学を例にあげましたが、「医学理論が間違っている(未熟である)おかげで治せない疾患」は日常には無数に存在します。そして、現代医学理論に疑問を感じた治療師だけが、その理論に反抗して独自の治療を研究・創造し、密かに治療を成功させます。


本態性、原発性、特発性、突発性と名の付く病名は現医学で「原因不明」とされているものの名称であり、あらゆる病名の前にこのワードがつきます。もっとも多いのは本態性高血圧です。しかしその真実は「原因不明」ではなく「医学理論自体が誤り」であると思われます。その証拠に、代替医療者がこれらの原因不明、治療法なしの病気をことごとく治してしまえるからです。ただし、治してもその論文や証拠は無視されます。


私も同様に、「原因不明」の疾患を治すことを専門としている医師ですが、独自の理論に沿って治療すれば治っていきます。ですから、現代医学理論の方が誤りであることを実証しているわけですが、そうした論文は社会秩序を乱すため、無視されるのが通例です。


もっとも被害の多い医学の誤りは精神科疾患であるといいましたが、最も人口の多い誤りは本態性高血圧です。

たとえば私は、上頚神経節ブロックを用いて、比較的若い年代の本態性高血圧を完治させています。私独自の理論では、自律神経失調症による高血圧が多いと思われます。


また、突発性難聴も上頚神経節ブロックで次々と改善させていますので、それらは突発性(原因不明)ではなく、内耳神経の血流障害性難聴であると確信しています。

と・・・、これらはほんの一部ですが、現代医学理論が誤っている(未熟である)と思われる例です。つまり、難治性疾患の多くは「医学理論が間違っている(未熟である)ために難治性になっている」疾患が少なくないということを認識しておかなければなりません。


よって、難治性の疾患を治すためには「現代医学理論を超えた型破りな発想」が必要となります。しかし、万人が絶対的に信頼している西洋医学理論にケチをつけるにはかなり勇気が必要です。


型破りな発想のお値段

以前のブログで述べましたが、医学部の教授でさえ、たまに「型破りな発想」をする先生がおられます。というより、既成概念を超えた型破りな発想は、日本では教授にしか許されていません。日本では教授になったら「型破りな発想をしてもよい」とする慣習があり、教授はその型破りな発想を「リスクも判明していないうちに治療してもある程度許される」ことになっています。このおかげで医療が進歩します。


ところが、私も含め代替医療者は「現代医学理論を打ち破る型破りな発想」を患者に行って後遺症を作ってしまったら自分の人生が台無しです。よって、新たな治療を試す場合は、患者と極めて密な信頼関係を作り、無料奉仕を行い、まずは自分や身内にためし、注意深く少しずつ新来関係のある患者に試していき、データをとって技術を改良して行き、それによって起こる合併症を熱心に研究し、合併症を起こさずに何千人と試すことで安全確実にしていくという途方もない長く険しい道程を経由しなければなりません。そのため安定確実な治療成績が出せるようになるまでに、金銭的に数千万円に値する労力がかかります。


それは現医学部の教授たちの顔に泥を塗る新技術ですから、万一事故でも起こせば、二度と社会に出られないほどに叩きのめされることになります。このように難治性疾患に対する新治療開発には精神的にも金銭的にも大きなコストがかかります。コストをかけない、研究もしない、大胆さだけがとりえという治療師もいますが、そういう方は被害者を出してしまい長続きしません。


難治性疾患の治療技術は、実際大変高価な技術です。例えば「たかがちょっと治療しただけでどうして数万円もかかるの?」と思うかもしれませんが、難治疾患の治療で1回数万円なら、それは極めて安い値段であるという意識を持たなければなりません。治すことは普通ではなく特別です。しかも、難治性の患者は特異体質を持っていることが多く、リスクが一般人の何百倍も高くなります。それを一般の方と同じ値段で治療することは不可能です。私は「同じ値段」で治療していますが、それは「本当は請求金額の10倍はコストがかかっているところを9割引して提供している」のと同じ意味になります。


難治性疾患治療にお金がたくさんかかることは当たり前ですが、その意識を患者側が持っていないことに危うさを感じます。「保険治療に毛が生えた程度の治療」としか考えず、美容室に髪を切りに行くくらいに安易に足を運ぶからです。治療にかかる代金を軽んじておられる方は、治療にも甘い精神で挑む傾向があり結果的に治せません。難治性疾患治療は決して安易ではありません。


難治性疾患の治療は国が「治せない」と認めている疾患であり、それを治すことは治療師の義務ではなく挑戦であるということ。挑戦とはある意味くじ引きに等しく、治らなかったからといって抗議する筋合いのものではありません。

よって、お金がない方は難治性疾患の治療にそもそも挑戦してはいけません。挑戦すれば周囲の者に大きな迷惑をかけてしまいます。


難治性疾患の治療を受ける患者側に、「治療には大金と大きな労力がかかる」という意識がないとトラブルになります。治療費が高いのは当たり前であり、安い値段で難治性疾患を治療しようと考えていると治療師にも家族にも社会にもあきれられることになります。「難治」の意味を軽く考えてはいけません。


なぜ治らないのかを考える

難治の病気になった人は「なぜそうなったか?」を考えない人がほとんどです。その真実を追求すると、遺伝子に原因があることを認めざるを得なくなります。例えば、私の診療所には症候性ALS(筋委縮性側索硬化症様の症状があるが確定診断がつかない患者)が多く来院しますが、その患者たちは脊椎が曲がっている、捻れているというほぼ共通した特徴があります。そのために脊髄が下方にひっぱられやすいという物理的な弱点があり、この弱点が難治性の症状を発生させていると私は考えています。


難治性疾患になる方は、そのほとんどが事故で起こるわけではなく、日常生活をしているうちに突如起こります。この事実はもともと親から受け継いだ肉体が、現代人の日常生活に適合しにくいことを意味します。


「日常生活で起きる」症状は「些細なことで起きる」「一触即発」であることを意味し、当然ながら治療中に発症することが十分に考えられます。それほどデリケートな肉体であるという意味です。この事実を治療師側から見ると「極めてリスクだらけの肉体」となり、医師が手を出したくない患者であることが理解できると思います。


そういう患者を専門にデリケートな治療しかしないのであれば問題は生じません。しかし、頸部硬膜外ブロックなどのリスクの高い治療をするとなると、その治療費はいったいいくらに設定するべきか? 考えてみてください。


医師の誰もがやりたくない、大金を積まれてもやりたくない、リスクだらけの患者に危険な治療を行うのです。おそらく、正規の料金の10倍を積んでも、医師は治療してくれません。それほど難治性疾患の治療には大金がかかっているということを認識しなければなりません。


難治性疾患はデリケートな肉体を両親から受け継いだ場合に起こると考えていいでしょう。まず、「自分に原因がある」ことを認めない限り、難治性の地獄から這い上がれません。


薬剤の使用がさらなる難治性を作る

難治性疾患の多くは、その原因が「現医学では手の届かないところ」に存在します。それは脳幹や大脳です。脳幹は人間の生命維持に関わる司令塔であり、内臓の動きから血流調整、血圧調整、五感の全て、睡眠のリズム、免疫力などを感情の動きと連動させて自動調整しているところです。


人間を含め、全ての陸棲せきつい動物は前屈すると脳幹が引っ張られるという構造的弱点を持ちます。もしも脊椎構造に遺伝的な異常があると「常に脳幹が引っ張られ続ける」ために脳幹の慢性的な血流不足が発生します。特に自律神経核の血流低下が起こると、神経細胞は「緊急事態」の警報を鳴らすために交感神経を興奮させ、人間を不眠にさせ、強い不安感が起こりやすいように自ら変性するでしょう。


この世で「難治性の難病奇病」と言われる症状のほとんどに「脳幹の血流不足」が関わっていると私は推測しています。その理由は、脳幹の血流量を上げる治療(上頚神経節ブロック)を行うと、多くの難病奇病が改善することを毎日経験しているからです。


人々は脳幹の血流不足で起こっている神経過敏による不安感をとりのぞくために安易に抗不安薬を服用しますが、それが取り返しのつかない悲劇を生むことがまれではなくしばしばあります。


先日、私への投稿でベンゾジアゼピン(デパス)の常用量離脱作用で、筋肉減少と頭鳴で苦しんでおられた方が立ち上げた人生の変転・下山日記 http://blog.goo.ne.jp/lifeischangeable

を読んでみてくださいとあったので斜め読みさせていただきました。


脊椎に遺伝的な不適合要素がある場合、普通の生活しかしていないのに脳幹の慢性的な血流不足を招きます。症状はたいてい共通しており、夜眠れない、朝起きられない、不安感が強い、イライラしておとなしくしていられない、血圧や脈が上がりやすいなどです。


それらを薬(精神薬の全てが原因になりえます)にたよって症状を抑えて(体の悲鳴を無視して)社会生活を送ると、脳幹のニューロンは「薬剤耐性がつくように」変性します。わかりやすく言うと、抗不安薬を飲み続けていると、脳が異常興奮しやすいようにニューロンが変性するということです。


上記の下山日記の筆者は「薬が原因かもしれない」と思い、断薬を決意しますが、今度は「断薬による禁断症状」が起こります。長年の使用が原因で脳が激しい興奮状態になり、ニューロンの酸素消費量を激増させます。もともと患者の脳幹は慢性の血流不足に陥っています。つまりデリケートな肉体です。そこに酸素消費量増加が加わると、ニューロンは極度の酸素不足に陥り壊死が始まります。酸素の少ない密閉した箱の中で暴れまわるようなものです。すぐに窒息して死に至ります。


脳幹や大脳のニューロンが壊死すると多発性硬化症やALS、脊髄性筋萎縮症、パーキンソン病などと同じような症状が現れます。しかし医者を受診しても「異常なし」と言われ精神異常者扱いされて放置されます。


ブログの筆者は「デパスの禁断症状でALS(ニューロン変性)が発症した」と考え、医師を恨み、国を恨み、西洋医学そのものを恨み、その恨み節を書き続けていましたが、これが不幸なパターンです。


本人は薬のせいでニューロンが破壊されたと妄想します。確かにデパスはニューロンの変性を招きますが、壊死の直接的な原因は慢性的な脳幹の血流不足であり、血流不足の原因は遺伝子、つまり本人にあります。この不幸な出来事の根本原因は「自分の遺伝子の不適合さを認識していなかった」にもかかわらず、薬でごまかして普通の人と同じ生活を送っていたことにあります。


難治性疾患を治療する際に、服薬している薬剤は極めて大きなリスクとなります。経口薬を止めさせてもリスク、続けさせてもリスクです。治療師と患者の間に不信感や逆恨みを作るのも薬剤が原因となることがしばしばあります。


もしも、この患者を救えるとすれば、それは脳幹の血流量を増やしてあげることです。しかし、血流量を増やすことでさらなる脳の興奮が起こったら、この患者はその症状に耐えて治療を続けてくれるでしょうか?


難治性疾患の患者の多くが精神科薬漬けにされていますので治療を行う前に薬剤使用の歴史をしっかり訊いておかなければなりません。基本的に薬漬けになっている難治性疾患者は極めて救いがたいです。そのことを治療師は最低限知っておかなければなりません。


日本の難治性疾患治療費は非常識に安い

難治性の患者たちは西洋医学で治らない、そして自分の体がリスクだらけのために、日常茶飯事に治療後に合併症を起こし、それを自分のせいではなく医師のせいだと妄想を膨らませます。よって彼らは極めて医師不信に陥っています。


彼らは難治性疾患を治療しようとする治療師に対してもその不信感をぶつけ、「どんなリスクがあるのか?」「治療期間はどのくらいか?」「実際あなたは私を治せるのか?」「リスクを起こさない自信はあるのか?」「お金はいくらかかるのか?」などの質問攻撃をしてきます。


これがどれほど失礼か?を知りたければ、同じ言葉を大学病院の教授に浴びせてみればわかります。おそらく出入り禁止にされます。

あなたが大学病院で教授に「お金がいくらかかるのか?」と質問することがなぜ失礼に当たるのかを知らない患者は不幸です。その理由は治療費が諸外国と比較して日本は「あり得ないくらいに安いから」です。大学の教授も、新米医者も、治療費は同じです。ですから大学の教授は「その技量と比較すると極めて安い治療費」で患者を治療しているに等しいわけで、その教授に「お金がいくらかかるか?」を質問することは極めて失礼にあたります。教授に診てもらっていて、かつ安い治療費であり、その恩恵を得ているということを認識できていない身のほど知らずだと思われるでしょう。


同様に日本の代替医療師たちも「難治性疾患を治す」という特殊な技術を持っているにもかかわらず、請求する金額は「てもみん」のマッサージに毛が生えたくらいの治療費しか請求しません。アメリカでは有名な治療師は1回100万円を請求することもあり、それに比べると日本の有名な治療師の請求額は非常識なくらいに安いといえます。

難治性疾患の患者は「みのほど知らず」ではいけません。自分が難治性で治療に手間隙がかかることを自覚しなければなりません。


治療の予定はつかないのが難治性の宿命

難治性疾患の患者は医療不信に陥っており、それを自分のせいであるということを気づかずに不満を抱えています。よってその難治性疾患を治そうとする治療師に対しても不信感をぶつけ、治療計画をききたがります。


しかし、難治性疾患は、その患者の遺伝子的な特殊性のために難治になっていますから、前例どおりにならないことがほとんどとなります。当然ながら治療計画が立てられません。というよりも、治療計画が存在するのなら、それは西洋医学の医師に任せても治ります。治療の反応を見ながら手を換え、品を換え、頻度を換え、期間を換えるからこそ難治性疾患に対応できるわけです。つまり、難治性疾患の治療に計画を立ててはいけないのです。計画を立てれば、計画通りに行かない時点で治療が終わります。


それは治療師が治療を終わりにするのではなく、「計画通りに行かないのは治療師の技量不足である」と患者が勝手に決めつけ、患者自らが勝手に治療を中止します。つまり、治療計画を立ててほしいと要求する患者は「治療が成功する確率が低い」のです。


難治性疾患の治療には前例がありません。100人の患者がいれば100通りの異なる治療をしなければ難治性疾患は治りません。だから計画を立てるとほとんどが終了へと収束します。私は常に難治性の患者を前に「やって見なければわかりません」というのですが、この言葉に身をゆだねて私に全てを任せる器量のない患者は治療を拒否するようにしています。


難治性疾患治療に道はない、あなたの後に道ができる

普通の医者が治せない疾患・症状は「難治」です。難治の疾患には治療予定というものが存在しません。いつ、何を、どうするのか?は毎回、患者と治療師が決めていきます。その理由は個人個人で大きく異なる治療リスクがあり、可能な限りそのリスクを回避しつつも、効果が最大になるように莫大な治療労力をかけ、常にありとあらゆる方法を試していかなければならないからです。使う薬の量も回数も患者毎に異なります。それらを決める要素は治療効果です。前回の治療の結果を受けて次の治療内容を決めていきます。この柔軟性こそが難治を治すことができる唯一の方法です。


時代が進めば、難治であった疾患も治せるようになります。しかし、時代が何万年と進もうとも、その時代に治せない疾患が必ず存在し、そういう疾患を治すためには、柔軟に治療方針を変えながら試すということを繰り返さなければなりません。だから、どこまで行っても難治性疾患の治療には道がなく、あなたを治療してはじめて1本の道ができるのみです。


その1本の道は他の似たような症状の患者に通用するかと言えば通用しません。その理由は単一の原因でその症状が出ているわけではないからです。


治りにくい理由の一つは、原因が幾重にも重なっているからでありそのバリエーションの通りは無数にあり、一人の患者を治療して、無数のバリエーションのうちのたった一つが判明するのみです。似たような症状があったとしても全く同じ症状はありません。


なぜ普通の医者が治せないのか?を考えれば、原因が重なり、無数のバリエーションがあるからだということが理解できると思います。


難治性疾患治療には莫大な根気が必要

難治性疾患が治りにくい理由の一つに壊死があります。前述した破壊型難治です。破壊されて壊死している場合、新たに細胞が新生する以外に治る道はありませんが(移植を除く)、そもそも細胞が壊死する=栄養動脈などの破損、が存在し、そこは細胞が新生できる環境ではありません。細胞が新生する環境を作るには24時間よい環境状態にし、その状態を長期間継続しなければなりません。つまり、破壊型難治を治すには環境を整えるという治療法しか存在しません(移植をするにしても環境が整わない限り移植した組織も壊死します)。


しかし、そのような治療には莫大な手間隙がかかり、生活指導も徹底しなければならず、さらに「治る保証がない」ので、あくまで「先の見えないトンネルを延々と突き進む」治療となるわけです。


この環境を整える治療に見切り発車することは患者・治療師共に大変な勇気がいります。治る保証がない場所を突き進むので、症状が改善しなかった場合に「かかったコストが莫大であればあるほど患者に恨まれてしまう」「長期間、この患者を優遇しなければならないために採算が合わない」「患者を励ますのも自分を励ますのもたいへん」だからです。


破壊された細胞を再生させる治療の代表は脳梗塞後遺症でしょう。脳梗塞後遺症ではほとんどの患者が例外なく、医師が推測した最悪な状況よりも5年後にはずっと改善しています。言語能力、歩行能力などがほぼ必ず医師の予想を上回るものです。医師は脳細胞が再生されるとは考えていないからです。しかし脳には神経芽細胞が存在し、再生する可能性があることが数年前に示唆されています。


自然回復でさえ、医師の予想を上回るわけですから、積極的に根気よく治療を行えば、自然回復よりもさらに改善する確率が高くなるでしょう。


しかし、そこには「治る保証」がないだけに治療を継続するには勇気と根気が必要です。しかしながら、現在の保険制度は「治る保証がある」治療だけが適用とされるので、このような「治る保証のない治療」は病院やクリニックではできない現状があります。


例えば改善するために結果的に数百回の治療を必要とした患者がいたとします。この患者は何の保証もないのに根気強く数百回の治療を続けたわけで、自分の判断を信じ、医師についていくことを決めた勇気があります。医師は治る保証もないが「患者が熱心であるから最後までつきあう」と決めたからこそ数百回の治療につきあいました。ここには医師と患者に大きな絆が存在します。


絆を築くためには医師と患者の両者共に強い魂を持っていなければなりません。どちらか片方にだけに存在するものであれば、完走することはできません。破壊型の難治疾患の治療には医師と患者の絆が不可欠です。つまり、性格上、社会成熟度上、治療をしてよい患者としてはいけない患者に別れるということを意味します。絆を結べないと思った患者には「治療を拒否」しなければなりません。保険診療ではないのですから。


難治の理由をつきとめる

なぜ難治なのか?には様々な理由があります。理由を知れば治せるものと治せないものがあることがわかります。そして治せるとしても、治療師だけの力では無理で、患者の献身的かつ積極的な協力が必要であることもわかります。


  1. 患者が繰り返し自ら損傷させる(スポーツ・仕事・環境などが原因)
  2. 先天的に問題がある(骨格・アレルギー体質など)
  3. 変性・壊死・欠損・梗塞・悪性腫瘍・加齢など不可逆的なダメージ
  4. 多くの疾患が重なる
  5. 中枢感作による神経伝達システムの異常
  6. ノーマンズランド(治療の手が届かない、脳・延髄・免疫)
  7. 治療が的外れ(医学理論の過ち)
  8. 体内に入れたものによる症状

難治の患者の場合、上記の理由が一つではなく何重にもなっていると考えなければなりません。これは前述の連鎖型と破壊型の病態分類とは異なり、難治の原因を追究したものです。そして、一人の患者がこれら全ての原因を背負っていることが稀ではありません。


1~5は患者側に原因があり、6~8は医師(治療師)側に原因があります。6~8はすぐに理解できますが、1~5を理解することは、千年後も1万年後の未来も「極めて困難」です。難治になる理由はほぼ必ず患者の遺伝子にその原因が存在しています。今まで何ともなかった肉体が、急に難治性の疾病に侵され始めたとしても、その原因は先天的なものと関連があります。例えば脊椎の長さが正常な人より数%長いというだけで、脊椎の変形・椎間板ヘルニア・側彎などが起こりやすく、成長痛が発症しやすい、ちょっとしたむち打ちが重症化しやすい、自律神経失調症や難聴になりやすいなどの現症が起こりやすくなります。


5の中枢感作は医師も代替医療師も認識できないほどに複雑ですので後で別途解説します。

難治であるには必ず理由が多重に存在することを患者も治療師も認識しなければ互いに不幸になります。そして、治療には答えもガイドラインもなく、ただただ患者と治療師に互いの熱意が必要になります。


中枢感作(薬剤耐性)が難治性疾患を難解にさせる

「中枢感作とは?」の定義は世界的に誤解されていますが、私の定義としては「神経のシナプス(またはニューロン)に通常とは異なる神経伝達回路が出来あがっている状態」とします。


中枢感作の症状の代表はアロディニア(異痛症)と呼ばれるもので、触られた感覚が痛みに変換されて「痛みとして」脳に伝わるものです。このようなアロディニアはめったに経験しないことですのでだれもが「私には中枢感作は関係ない」と思うでしょう。しかし中枢感作はシナプスに作用する薬を常用している方なら誰もが経験しています。(下痢止めのための抗コリン薬など、意図せずシナプスに効いてしまう薬を飲んでいる場合もあります)。


例えば、睡眠薬を毎日のんでいると睡眠薬の効きが悪くなります。これは人が睡眠薬に対抗するためにシナプスでのGABAの受容体(抑制系の受容体)を減らす方向に変化を起こすためです。このためシナプスからGABAが分泌されても「それが作用しにくくなるシステム」が出来あがります。一般的にはこれを薬剤耐性といいますが、実はこれがまさに中枢感作です。


GABAは不安を抑制するために重要なホルモンですが、それが効かなくなるシステムができあがってしまうと、睡眠薬を中断した際に、「脳が激しい興奮状態」となり、「耐え難い不安」に襲われることになります。これがいわゆる禁断症状です(前述しました)。


同様に、リリカやトラムセットなど、シナプスに作用する鎮痛薬は、常用すると「痛みや不安を抑えるホルモンが効かなくなる」という中枢感作を起こします。よってこれらの薬剤には禁断症状が現れます。シナプスに結果的に「痛みを抑制するホルモンが効き難くなる」というシステムが構築されてしまいます。「システム」=「中枢感作」です。


薬剤を常用すると中枢感作が起こることを現医学で理解している医師はほとんどおらず、それを強く主張し続けている医師の発言も「表には出ない」世界情勢があります。


この中枢感作は難治性疾患の治療を妨げるものとして圧倒的なパワーがあります。なぜなら、肉体を正常化させる治療(血行をよくするなど)を行うと中枢感作で新たに作られた悪循環システムがきちんと作動し始め、「ほぼ必ず症状が悪化」するからです。つまり、「薬剤で抑えていた症状の全て倍返しされる」という現症が必ず起こります。しかも最悪なことに、治療が正しいものであればあるほど症状倍化が正しく発症すると予想されます。


よって中枢感作があると、「治療をするほどに症状が悪化」という矛盾を起こし、患者は当然のごとく治療師を逆恨みします。

このように中枢感作の存在は治療を妨害する最大の壁となりたちはだかります。このことを治療する側もされる側も知りようがありません。現医学の枠外だからです。実際に難治性疾患を専門に治療している者にしか知りようがありません。難治性疾患には治療法がありませんので、難治性疾患を治療する者も原則として存在しません。だから中枢感作によって症状が悪化する現象も、誰にも知られることがありません。なぜならば、まず、その難治性疾患に「治療が効果あり」とならなければ「悪化現症」も起こらないからです。「難治性なのに治療効果を出せる者」が希少であるがゆえに、この現象を知る者もわずかです。


中枢感作は下痢止めの抗コリン薬でも起こり得ますし、降圧薬でも起こり得えると思われます。睡眠薬やリリカ、トラムセットだけの話ではありません。


私の症例研究から得た情報では、薬剤による中枢感作システムが正常化するためには最低でも数か月、長い場合は半年を要すると思われます。本気で難治性疾患を治すにはこの長い月日を「禁断症状と闘わなければならない」わけであり、その期間は症状が倍化することになります。患者だけでなく治療師にさえ、症状倍化と闘い続けることは不可能に近いと思われます。


このように中枢感作による難治が重なっている患者の場合、治療自体が地獄となるため治療が極めて困難です。中枢感作による難治をどう治療するか?は今後の課題ですが、禁断症状をブロックで抑えながらの治療しかないように思えます。なぜなら、ブロックが唯一「ほとんど耐性を作らない薬剤」だからです。ただし、禁断症状を抑えるには多数回ブロックをきわどい分量で行い続けなければなりません。そのリスク回避に必要な精神力は莫大ですのでそれを行う医師がいません(私でさえできないかもしれないと思う程です)。この治療を行うための技術力と精神力を金銭に換算すれば半年で数千万円クラスであると思います(おおげさではありません。技術力の極めて高い医師は1日に100万円くらいは稼げますので、たかが数十日分のお値段です)。つまり、「中枢感作の治療は大金がかかる」と言えます。このことを認識していない患者が治療師に「恩を仇で返す」ことになります。


難治性疾患の治療に挑むのであれば、必ず中枢感作の存在を覚えておいてください。また、中枢感作に特異体質など遺伝的なものが加われば、さらに複雑な病態になることはいうまでもありません。


難治性疾患患者の肉体はリスクの宝庫

難治性疾患患者の場合、特異体質と特異システム、恒常性の低下の3つのリスクが治療の壁として巨大に存在します。特異体質=特異免疫システム のことです。金属・ポリエチレン・防腐剤などに免疫が過敏に反応してしまう体質のことで、例えば鍼の金属部に反応、薬剤の容器のポリエチレンに反応、薬剤中のわずかな防腐剤に反応するなどにより予期せぬ炎症を引き起こしてしまうパターンです。


一般には予期することが不可能で、治療師のほとんどが意識していません。意識していないだけに原因を特定することが不可能で、治療を続けているうちは悪化を止めることが出来ず患者を不幸のどん底に落としていきます。


これに対処する唯一の方法は「特異体質の患者には治療しない」ことです。難治性疾患の患者の場合、免疫系の特異体質を持っている確率は一般人の何千倍も高いと考えるべきで、リスクの宝庫です。


もう一度言いますが、「特異体質の患者には治療しない」ことが最善であり、これが難治性疾患の患者を治療することの最大の壁になっています。スティーブン・ジョンソン症候群がさの代表ですが、ちょっとしたスティーブン・ジョンソン症候群もどきの患者は少なくないと認識しておくべきです。


特異体質の患者を治療する際には、治療師も患者も、このことは最初に認識しておかなければならないことです。そして特異体質の患者を治療するには、外界から体内に入れる物質のあらゆるものに警戒しなければなりません。


ただし、薬剤の禁断症状によるリバウンド(症状の悪化)と、この特異体質による症状の悪化を区別する方法はありません。唯一異なる点は前者では治療を継続することが望ましく、後者では治療を中断することが望ましいことです。ほとんどの患者は症状が悪化した際には「治療を中断する」はずです。ですから、リバウンドで起こる悪化、特異体質で起こる悪化のどちらが起こっても結局は治療を中断することになります。


この当然な原理により、薬剤の禁断症状を持つ患者を治療することは不可能となります。よって、治療後にリバウンドが起こる患者を真に救済するためには、「神がかったレベルの治療師の勘」が必要であり、さらに、治療師と患者が強い信頼関係が結ばれている必要があり(教祖と信者の信頼関係)、事実上それは不可能ですので結局治療は中止となります。これがまさに難治性疾患治療の限界です。限界を知らなければ治療師も患者も不幸です。


特異システムとは前にも述べた中枢感作システムのことです。神経のシナプスに作用する薬剤を慢性的に使用していると、シナプスではその薬剤に耐性変化が起こります。変化=システムが変わる、ことを意味し、一般の人に使用すれば改善する治療で、症状が悪化するということが起こります。薬剤により起こる中枢感作だけではなく、シナプスへの慢性の血行不良でもシナプスの変性(変化)が起こります。どちらにしても中枢感作は難治性疾患の主原因であり治療の大きな壁です。


まずは中枢感作=特異システム、を改修しなければどんな治療も裏目に出やすいでしょう。中枢感作は治療リスクそのものです。


恒常性の低下=自律神経失調 です。自律神経は体温が下がればそれを上げ、血圧が下がればそれを上げ、ご飯を食べれば腸を動かし内分泌を促し、睡眠のリズムで休息をとらせ・・・と、外界の刺激から身を守るために「意識とは無関係に勝手に動く」システムです。この自律神経が壊れている場合、血圧が下がっても上がらない、ご飯を食べても腸が動かない、睡眠が出来ない、など様々な悪しき症状が出現し、最後には血流調整能が壊れて重要臓器に血液が流れなくなり組織の壊死を招きます。実際に、異型狭心症や古典的片頭痛などは血流調整能の不調で起こります。


外界からの刺激に過剰反応してしまうのは自律能が低下しているせいです。よって治療という外界の刺激にも過剰反応し「治療による悪化」が起こりやすくなります。


難治性疾患患者の多くが自律能低下を起こしており、その患者に治療を施すことは極めて危険な行為です。治療が火に油を注ぐことになりやすいと言えます。自律能低下の患者を扱うには一般の患者の何十倍もの神経を使わなければなりません。よって治療師は疲弊し、長くその職務に就いていることが難しいでしょう。患者にはそうした治療師をいたわり、ねぎらう必要がありますが、そうした患者は皆無に等しく、これがお互いを不幸にしています。


このように、難治性疾患はリスクの山です。よって頭がいかれている治療師しか、難治性疾患の治療に足を踏み入れません。頭がいかれた治療師がこの世に何人くらいいるでしょうか? それを考えれば難治治療の治療師がどれほど希少価値かということがわかるはずです。その価値をわからない患者が多すぎるため治療師は結局生き残れません。希少価値の治療師を殺していくのも、「価値のわからない患者たち」なのです。何度も言います「難治性疾患治療では治療師も患者も不幸になります」と。


話しは変わりますが、普通の保険医にとって難治性の患者は経営を悪化させる存在ですので積極的な治療を避けなければなりません。それをサポートするのがリリカやトラムセットなどの「究極の痛み止め」です。これらの薬剤がどれほど保険医たちの役に立っているかを想像したことがあるでしょうか? 患者に薬害があるとうすうす気づいていても、これらの薬剤を処方する理由は、難治性の患者につきまとわれたくないからです。それほど難治性の患者は保険医たちにとって実害をこうむらせる存在になっています。そのことを自覚していない患者は不幸です。なぜリリカやトラムセットを処方されているのか? それは日本の医療費が難治性疾患に対応できないほど安いからです。逆に言うと、難治性の患者は治療に大金がかかるというのが真実なのです。国としては、そのお金を税金でまかないたくないわけで、全て自費でやっていただきたいはずです。


また、患者のリスクが高いことを知らずに安易に治療を開始する治療師は何度でもトラブルに巻き込まれます。患者のリスクを察知できない治療師は、基本的に「難治性疾患を治すセンスがない」と言えますので、普通と違う症状を持つ患者には手をださないことを強くお勧めします。


基本的に高齢者は難治+リスクの宝庫です。よって高齢者の治療を行う場合は、全く割に合わない奉仕活動になること、リスクの責任を取らなければならない可能性があることを念頭に置き、安易に「お金儲け」として高齢患者を呼び込まないことを強く勧めます。


難治性疾患治療はジョーカーです。誰もが避けるものです。その世界に足を踏み入れている治療師には偉大な敬意を払いなさい! 敬意がない難治性患者の治療はどうせ成功しません。したがって「敬意を払いなさい」ではなく、敬意がなければ治療は成り立たないというのが真実です。


治療方針が間逆

難治性疾患治療は「毎回が発明」となります。前例も医学理論も届かないところにあるからこそ難治なのですから、これは当たり前のことです。しかし、医学は「発明で治療をしてはいけない学問」です。極めて保守的です。保守の原則は95%または99%の患者が治る治療法の集大成が医学の基礎となっているからです。つまり統計学に基づくのが現西洋医学であり、残りの5%が悪化しても無視するのが医学という学問です。現在の医学治療で悪化した残りの1%または5%未満の患者が難治性であり、それらの患者を治療するには現在の医学理論と真逆の治療をしなければならないのも当たり前の事実です。


つまり、医学をかたくなに信じている権威者(教授や知名度の高い医師)の治療方針と、難治性疾患を治そうとする医師の治療方針では、その治療法が真逆になります。もう一度言いますが、真逆になることが当然なのです。


もしも医学界の重鎮が提言する治療の真逆の治療をして、患者を悪化させた場合、その医師は社会的に抹殺され、さらに医師免許に傷がつくおそれがあります。このことを考えたことのある患者はいるでしょうか? いや、いないと思いますが、だからこそ難治性疾患を診ようとする医師がこの世に存在できないのです。難治性疾患にかかっている患者は全身全霊でその医師をサポートしなければなりません。サポートのやり方はいろいろあるでしょうが、治療師の業績になれるよう努力し、治療成果を逐一報告し、時に意見や忠告もし、他の人にも同様の治療ができるように資料を提供しなければなりません。それは極めて当たり前のことだと言うことを患者は知らなければなりません。


医師免許を持っていると、逆にクリエイティブな治療をすることが難しいということを理解しましょう。だからこそ、医師免許を持っていない代替医療師たちが治療をしてくれています。唯一、私のように医学界を覆すくらいの根性で努力している無謀な者だけが医師免許を持ちながら難治性疾患の治療法を創造できるのだということを知っておいてください。


そして常々、私は難治性疾患治療に従事することを辞めたいと思っています。あまりにも精神が疲弊するからです。患者たちがそれを許してくれないので続けているだけです。


患者は迷いに迷う

迷うなとは言いません。難治性疾患の治療師に身をゆだねて治療を続ければよいか? 知名度の高い権威のある医師の言う意見に追従するべきか? 迷って当然です。そして、治療師は患者の迷いこそが最大の治療妨害となっていることを認識しなければなりません。


迷う患者を信じさせるには、数回以内に症状改善の結果を出すことです。だから治療師は焦ってしまい、危険な治療に足を踏み入れ、そして病気の地雷を踏んで患者の恨みを買いつつ撃沈します。


地雷の代表格は先ほど述べた特異体質と特異システムです。最悪なことに、特異システムは他の医師が処方した薬剤によって作られることが多々あることです。まさに治療方針が真逆とはこのことです。


ただし、難治性疾患の患者は勇気を持たなければなりません。既存の知識では治らないことが判明している時点で、既存の医師の意見を参考にしてはいられないということに気づかなければなりません。


新しい治療が成功するとは限りませんが、挑戦しなければ前に進みません。前に進まない場合に、現状を受け入れる選択もあるということを忘れてはいけません。既存の治療に頼っていれば、ますます悪化していくことがあります。進むかとどまるか、拒否するか? いずれを選択するにも勇気と責任が必要です。


難治疾患は患者負担が莫大

難治性疾患を治療できる治療師はいつの時代も千年後の未来も、常に全国に少人数しか存在しません。これは難治であるがゆえの宿命です。そして難治を治せる治療師は「世の表舞台には出ない」という法則があります。


有名人の難治疾患を治療することで一躍脚光を浴びる治療師もおられますが、それは宝くじで1等が当たる確率よりも低いことです。日本では田中角栄の顔面神経麻痺をブロックで治癒させた若杉先生が有名です。


このように「難治性疾患を治せる者が少ない」という事実を裏返せば、難治性疾患を治すためには遠方からはるばる特別な技術を持つ治療師の元へ通院しなければならないことも必然です。そして特別な治療師は毎日何十人という難治性疾患の患者を治療していますので、「私は苦しいから特別扱いして診てほしい」というわがままが通用しないことも必然となります。ならば、入院施設を用意してほしいと思うかもしれませんが、再度言いますが、難治性疾患の治療師は表には出られません。表立って入院施設を持つことは経済的にも社会的にも許されていません。なぜなら、医学(国が世界が)が認めていない治療法だからです。


難治がゆえに、治療費が桁違いに高くなり、治療回数も長くなり、通院距離も遠くなり、その上リスクにとびこまなければならないという必然があります。この必然を乗り越えられる方だけが治療に成功をおさめることができます(保証はありませんが)。


つまり、患者負担が莫大です。よって病気をあきらめるのではなく、治そうとするならば、最初から強い(折れない)精神力が必要になります。折れない精神力を持ち、リスクが起こったら全て自己責任にできる方でなければ難治性疾患を治す機会を逃します。


すでに患者は難治性疾患に精神を侵され、治療師を信じきる心を失っています。しかし、不信の目を治療師に向けた時点で治療は終了です。不信感=治療終了の合図、となることを知らなければなりません。つまり、治療を終了させるのは常に患者側です。だから難治性疾患は治療が難しいと言えます。


詐欺師が潜む難治治療

難治性疾患の患者は常に「迷いの中」を生きています。目の前の治療師を信じていいのか? この治療法であっているのか? の迷いです。選択肢を誤れば悪化し、さらなる地獄へ落ちてゆく恐怖にさいなまれています。また、難治性疾患の治療師には詐欺師も潜んでいるため騙されて大金を奪われることも普通です。治療師によっては「アドバイスが真逆である」ことが多々あります。誰を信じていいのか迷います。


患者は唯一、自分の苦痛を少しでも和らげることができる治療法だけを選ぼうとするため、根本治療ではなく、姑息治療を選んでしまう傾向にあります。よって詐欺にあいやすくなります。大切なことは「自分の責任において選んだ治療師を信じ切る」ことであり、「信じた自分を信じる」ことです。


難治性疾患の患者は「治せるという保証」を求めます。「誰も治せないから難治」であるというのに、治る保証という「ないものねだり」をしてきます。しかもないものねだりをする患者はたいてい治療師の指示に従いません。そもそもこういう方は難治治療に不向きですので治療をあきらめて自然治癒を目指す以外に道はありません。


難治性疾患を治療する治療師は、「あらゆる治療を試す」ということを行います。治療に王道も答えもないことを知っているからです。つまり、一流の難治性疾患治療師は常にあらゆる治療法を組み合わせてバリエーションを変えます。これを別の言い方にすると「一流の治療師は治療法を迷うことに迷いがない」となります。一流の治療師は「迷い道に深く入り込むことに迷いがない」のです。


勇気をもって、堂々と自ら迷い道に入り込むことではじめて難治性疾患の治療の糸口を見つけます。その迷い道には地雷や落とし穴だらけです。いつ自分にも危害が及ぶかわかりません。その危害を回避しながら迷いの森へと迷いなく入り込んでいきます。


そして患者は迷いの森を進もうとする勇気ある治療師に不信の目を向けます。確立された治療法がないのに「治療を試そう」とする治療師に不信の目を向けます。まるで「私の体で実験しないでください」とでも言いたげです。この時点で治療は終了です。


難治性疾患に確立された治療法がないのは当然であり、「治療を試さないで」と言った時点で「ないものねだり」になっていることが患者にはわかっていません。


そうではなく、この「訴訟天国」と呼ばれる時代に「治療を試してくれる」医師は皆無だというのに、患者の幸福のためだけを思って「治療を試そう」としてくれている治療師に不信感を示してどうするのでしょう? 難治性=確立された治療法がない ということを患者はなぜ理解できないのでしょうか? 残念ながら、迷いの森で治療師についていくことができなければ治療は終了です。そこまでかけた労力は全て水の泡です。患者も苦痛ですが、治療師の方も苦痛です。本気で患者を治そうとする治療師は、必ず代金以上の奉仕活動をしていますから、その奉仕活動分の大金がすべて水の泡になります。


ネガティブキャンペーンという治療妨害

不信感の強い患者は「治療成果を口にしない」という特徴があります。難治性疾患の治療師にとっては「治療成果」こそが次に打つ手を考える治療指針となります。しかし、ネガティブな患者は治療によって「改善したこと」を一切しゃべりません。まるで与党に反論する野党のキャンペーンです。


例えば、「治療後に食欲が多少出ました」ということは口に出さず、「現在も便秘が続いています」という「自分の体に起こっている今現在の悪い部分」のことしか言いません。「体に一瞬でも起こったいるよいこと」は治療の成果である可能性がありますが、ネガティブな患者はそれを成果だとは認めようとしないものです。よって次回の治療方針が立てられず、結果的に「治療をしているのに悪化しかしていない」という印象になります。


こうなると、実際には治療が成功しているにもかかわらず、治療師は「失敗に終わった」と考えるようになり、一つ一つ治療の手を中断して行くことになります。そして最後に打つ手がなくなると治療が終わりです。


満足の行く治療成果が得られていなければ、「治療成功」とは考えないネガティブな患者の場合、それは治療妨害となることを知っておかなければなりません。答えのない迷いの森に入っていく治療師に、出口の糸口となるヒントを差し出さない患者は、治療師を「迷いの罠」にかけてしまいます。これが恩を仇で返すことになっているということを認識しておいてください。


難治性疾患の治療に挑む患者は、「常に自分の体に起こった変化を客観的に治療師に伝える義務」があります。「私は医者じゃないからわからない」と言って何もしゃべらない患者がいますが、そんな患者は、難治性疾患を治してもらう資格がありません。治療師を迷いの罠にはめたくないのであれば、全身全霊で自分の体の変化をチェックし、治療との因果関係(特に少しでも改善した症状)を正しく言えるようにしておかなければなりません。


人のからだは同じではない

難治性疾患をわずらってしまう理由の最大は体質です。免疫系が過敏である、動脈が細いなどの遺伝的な体質が根本にあります。現代西洋医学では「全ての人間が同じ構造をもつことを原則としているため、特異体質を持つ人は存在しないことになっています。


しかし実際は抗生物質を服用しただけで、体中の皮膚が壊死を起こし、失明するスティーブンジョンソン症候群などの特異体質を持つ方が存在し、そうした特異体質の軽度なものを持つ者の数は決して少なくありません。


難治性疾患はそうした特異体質を持つ人が、些細なきっかけで発症させますから、現代医学では理解不能となります。そして、このようなデリケートすぎる体質をもつ人の場合、普通に行う普通の治療で症状が悪化することがあります。治療とからだの何かが反応するためです。


このようなデリケートな体質が存在し、難治性疾患の患者の場合は「例外なくデリケートな体質」であるからこそ、治療師は次元を超えた幅広い知識(医学を超えた知識)を持つ必要があります。そして、治療の技術も卓越していなければなりません。


技術がいくら卓越していても難治性疾患の治療は無理で、超高度な万物を見通す見識眼が必要です。そうでなければ、地雷を踏み、落とし穴にはまります。


難治性疾患治療では、特異体質を持つ患者のみが集まります。それらを全て「頭がおかしい」とする現代医学に立ち向かうための勉強と研究も必要です。人のからだは同じではないからです。


私はおそらく難治性疾患を専門に治す医師として非常に多くの勉強と研究を重ねています。そして現医学の次元を超えた幅広い知識とデリケートな治療を行っていますが、それでも私の言葉を信じない患者が大勢来られます。悲しいことです。


患者は「全てを説明してほしい」わけですが、次元を超えた医学理論であるだけに、説明したところで理解できるはずもありません。「あなたには理解できないと思います」と真実を患者に述べると、患者は激怒し不信感を持ちます。患者はみな自分が特異体質の持ち主であることを知らないのか、それとも知らないフリをしているのか、治療で症状が悪化すれば、それを全て治療師のせいにし、自分には全く責任がないような顔をされます。


難治性疾患の治療では、かくも理解してもらえないところで、患者に不信感をつきつけられながら、命を張って治療を行わなければならず、非常に理不尽な毎日を過ごしています。

おそらく、医学がどれほど進歩しても難治性疾患に挑む治療師は、こうした理不尽と戦うことになります。


特異体質と難治性疾患

人のからだは同じではないという意見を前回述べましたが、真実は「95%(99%)は同じ範疇に入る」中で「5%(1%)以下の人間に特異体質がある」と考えてよいでしょう。統計学的な考え方ですが・・・。

難治性疾患を治そうとする治療師は、この5%(1%)未満の特異体質を理解しようとする者です。


そうした特異体質を本人がわかっていない、医学書にも載っていない、インターネットを探しても見つけられない、という中で理解しようとする治療師は極めて貴重な存在です。


別に特異体質を理解しなくても治療はできますが、治療の際に症状が悪化することを想定できないことになります。そして一度手痛い失敗を経験すれば「特異体質の患者には近寄りたくない」と思うはずです。


しかし、真に難治性疾患を治そうとするなら、特異体質を理解しなければ、患者をデリケートに治療することができません。知らなければ治療がガサツになるでしょう。


私は、おそらく難治性疾患の患者より、患者の体質について深く理解しています。しかし、患者は「私が特異体質を理解していること」を決して信じません。それはこれまでにさんざん多くの医師がガサツに治療して失敗してきているからです。私も同類と思われています。


そこで私は最初からデリケートに治療を始めるために、遠距離の通院はご遠慮願い、近くに宿泊しながらの治療を計画するのですが、そのアドバイスに従うこともなく、患者の都合で来院します。そしてブロックしてリバウンドがきつくてドロップアウトです。


もちろん、宿泊で通院するにはかなりハードルが高いことはわかります。まず1回治療を受けてから考える・・・としたいのはわかります。しかし、特異体質による症状悪化は、連続の治療でしか防げないことがあり、私に張り付いていないと対応しきれません。しかし、毎回単発治療で来院されるため、リバウンドがきつくて中止になります。つまり、特異システムが出来あがってしまっている患者の場合、「治療を試す」だけでも1週間の滞在が必要なのです。患者はそんな私のアドバイスを簡単に無視します。


結局、患者は私のことを「そこらじゅうにいる普通の医師」と同じくらいにしか信用しておらず、そのために私のアドバイスどおりに動くことはなく、治療を中止せざるを得なくなります。おそらく、私ほど特異体質を理解している医師はいないと思っていますが、患者は理解してくれません。非常に残念です。


難治性疾患を治療するには、特異体質であることを前提に、極めてデリケートな治療が必要です。例えば、ブロック注射をする際に、枕の高さを念入りに調整するなどのデリケートさです。なぜならば、少し悪い姿勢を5分も続ければ、特異体質の人は呼吸困難の発作を起こすからです。


逆に言うと、そういうデリケートさがなければ難治性疾患を治療する資格はありません。しかし、患者側はそのデリケートささえも信じることはなく、自分の意のままに医師を動かそうと考えるようです。


ここにこのように書くのは、難治性疾患をなめておられるのは患者本人であるということを強調したいからです。難治を治すには極めて険しい断崖絶壁を登るようなものであるという真実から逃げてばかりの患者に、「自分の体から逃げるな!」との最終通告です。


特異体質=頭がおかしい

特異体質をお持ちの方々はこれだけは絶対に覚えておいてください。特異の意味はその疾患人口の1%未満にしか存在しないと言う意味です。これは統計学です。西洋医学は統計学を悪用し(本当はやってはいけないのですが)1%未満にしか起こり得ないこと=「あり得ない」 と断言してしまうことがまかり通ってしまっています。つまり、特異体質による特異な症状は「あり得ない」ことであり、「あり得ないことが起こる理由」は「あなたの頭がおかしい」からであると結論付けてよいことになっています。よって、特異体質を持つ方は、「一度心療内科にかかってください」と言われます。まさに統計学の悪用であり、この悪用のおかげで医師たちは「やっかいごとにまきこまれることなく日常業務ができる」わけです。

特異体質の患者には治療法が確立されていませんので、医師にとっては避けるべきやっかいごとであり、避けなければ日常業務が成り立ちません。よって特異体質=頭がおかしい、とすることは社会的に認められるというシステムがあります。まずはシステムを理解しなければなりません。医学に対して怒りを抱く前に、システムがなければ社会は動かないことを知らなければなりません。あなたがたは大人なのですから。

その中で、特異体質の患者に大胆な治療をしようとすることは医師にとって命がけになることも理解しなければなりません。特異体質を理解する医師がこの世に存在すること自体が極めて稀なことであると理解しなければ「ないものねだり」をすることになります。特異体質に対し、命がけで治療しようとしている医師に対して敬意を十分に払わなければなりません。敬意がない特異体質患者を治療すれば、その医師は命がけではなく命とりになります。


患者の意見は最重要

ここでは個人的な意見を述べます。難治性疾患と毎日24時間闘っている患者は、自分の体の異変について誰よりも知っています。そして人間の勘はどんな精密機械よりも優秀であり、たまに誤動作はするものの「患者の勘」に従うことが特異体質の治療に有効であることが多いと感じます。そこで私はできるだけ患者の勘におつきあいすることにしています。治療に患者の意見をとりいれるのです。

難治性疾患治療は道なき道ですから、患者の意見に完全にそって治療することも必要です。しかし、患者の意見に沿うことは厚生労働省の治療指針に逆らうことを意味していることを知ってください。学会、教授、先輩医師、行政、国に逆らうことを意味し、医師にとっては精神的負担が莫大です。よって、医師が患者の意見をとりいれた治療をする場合は、その精神的コストも考えると、実際にかかった費用の10倍以上の費用がかかっていると考えてください。その金額を請求することはありませんが、そのくらい大変な厄介事に引きずり込んでいます。このことは絶対に忘れてはいけません。真実だからです。

そして最終的に私のような「患者の特異体質を理解する特殊な医師」の意見と、患者の意見が割れることがあります。その理由は私の治療に従うことが苦痛を伴う場合です。どちらが正しいかは神様しか知り得ません。だからその時は私の意見を無視していただいてもかまいません。


難治性疾患は永遠です

医学が進歩して、今の時代に難治であるものも千年後には普通に治せるようになっています。その千年後にも「難治の疾患」が必ず存在し、それらを治すには患者・治療師、共に莫大な労力がかかります。それは未来永劫変わりません。


難治性疾患の治療師は極めて希少な存在です。そして患者はその治療師に全身全霊をもって敬意を示してしかるべきです。「難治とは何か?なぜ治り難いのか?」を考えた時に、「それは現医学で治療法が確立されていない症状が出ているからだ」と素直に認めなければなりません。


患者のみではなく治療師も認めなければならない事実です。治療師が「この症状への治療法は現医学で確立されていない」ことを知れば、「マニュアル通りの治療で治るはずがない」ことを悟ることができるからです。逆に言うと、難治の疾患にマニュアルを適用させる治療師ほど愚か者はいません。そしてその愚か者が一般の医者たちです。基本的に厚生労働省はマニュアル以外の治療を認めていませんので無理もありません。


医師たちがマニュアル通りに治療しても治らない患者は「頭がおかしい」としてしまう愚かさから抜け出すことは、多分、未来においても無理でしょう。なぜなら、この愚かさから抜け出せるのは、いつの時代も、既成概念にとらわれず真実を見ようとした希少な治療師だけだからです。


難治性疾患を治せるのは常に一握りの存在です。そして、その一握りの治療師に出会った幸運な患者も、治療師に不信感を向けて治療を自ら終わらせてしまいます。難治性とは何か?を各自がもう少しまじめに考えるべきではないでしょうか? 真実から目をそらさず、まじめに考えてください。治療師にすべて丸投げですまないのが難治性疾患です。特異体質や恒常性の低下が起こっている者は自分の体に責任を持たなければなりません。他人に治療を依頼する前に、自分の体質と向き合ってください。そして、それらを理解できる希少な治療師を探す義務があり、お金も労力もかかることを覚悟する必要があります。


私は難治性疾患にたずさわろうとする治療師を一人でも多く世に輩出するために、このような文章を書いています。


最後に

全ての治療をあきらめ、自然に任せることは最善の難治性疾患の治療になりうることも忘れないでください。

難病治療・筋膜リリース・腱引き・その威力

2017年治療成績

はじめに

線維筋痛症学会ではトリガーポイント注射に続き、筋膜リリースという治療法を編み出し、そこに多くの難治性疼痛を治せる可能性を見出しおおいに沸き立っています。線維筋痛症学会は正統派の医学会からは離れ(診療科がない)、独自の理論展開をするある意味亜流の学会です。が、その分柔軟性は高く、あらゆる科の個性派の医師たちが痛みを取り除くための意見を交わします。現医学では解明されていない疼痛領域の治療法研究ですので科学的に検証することは難しいのですが、彼らなりに科学理論を追究し、そしてなかなか治らない疼痛症状を治す実績もあります(テレビで紹介されている)。


ここでは最近話題となっている筋膜リリースという治療法に着目し、なぜ筋膜(筋溝間)に生食を注射しただけで様々な不可解な症状を改善させることができるのか?について考えます。


一方、筋膜リリースは線維筋痛症学会の医師らによって最近にわかに注目を浴びてきた治療法ですが、実はその概念はすでに日本では江戸時代以前からありました。「腱引き」という日本古来の伝統療法です。ここでは、筋膜リリースでなぜ治るのか? を考えるとともに、いろんな難病奇病が代替医療者たちの手で改善できる原理を考えます。そして最後に「腱引き」について紹介します。難病奇病に悩んでいる方はぜひ最後までお読みください。


代替医療の威力

代替医療が西洋医学で治せない疾患・症状を治してしまえるという事実は普通に生きていたのではわかりません。正直な話、私も知りませんでした。代替医療の治療師たちは捻挫で腫れた足首を10分ほどの施術で歩けるようにしたり、寝違えで首が動かない患者の首を動けるようにしたり、五十肩で腕が挙がらない患者を即効で挙がるようにできたり、など西洋医学では奇蹟と呼べるような治療を日常的に普通に行っています。また、さらに上を行く技術として難聴治療、精神病治療、自律神経失調症の治療など、西洋医学では薬でごまかすしかない病気を根本的に治す技術もあります。


そうした事実を知らないのはむしろ西洋医学の医師であり、また健康に生きている人たちも一生知ることがありません。

実際に奇蹟的な治療の威力に驚かされるのは、自分が西洋医学ではなかなか治らない病気にかかり、何軒も何年も病院を渡り歩いても全く改善せず、そして代替医療で10分ほど治療してその症状がすっかり治ってしまった時です。


筋膜リリースは医師が行う代替医療

筋膜リリースは痛みを改善できる驚きの治療法の一つです(痛みが改善できる理由が未解明)。全てを治せるものではありませんが、医師が行う画期的な疼痛治療としてテレビなどで紹介され注目されています。筋溝間に生理食塩水を入れてスペースを作るだけの治療ですが、これが著効して驚くべき治療効果が発揮される例が報告されています。


医師が行う筋膜リリースであっても保険では認められていない治療法ですから、ある意味これも代替医療の一つです。筋膜リリースを行う医師の多くは、「ほとんど無料か安い治療費」で提供するしかありませんのでボランティア活動になっています。筋膜リリースには超音波を用い行いますが、機材の使用料も含めて高額な技術料金がかかっているにもかかわらずその料金を請求できません。こうした「ほとんど無料」の治療は残念ながら日本中に広がることはまずありません。無料であれば経営が成り立たないからです。よって、医師にとっては趣味の一環で治すという屈辱的なポジションにあり、どこでも受診できるという気軽な治療にはならないでしょう。にもかかわらず行われる理由は、今まで整形外科医が治せなかった病気を瞬間芸で治してしまうことのできる優越感を得られるからだといえます。


真に広がる医療は、必ず対価が発生するものであり、そういう意味では筋膜リリースは治療として普及しにくい現実があります。


私は以前からいろんな種類のブロック注射を駆使し、瞬間芸で患者たちを治すという芸当を行ってきましたが、それに見合う正当な料金を患者に請求することができませんでした。よって私のブロックもまた代替医療の一種です。西洋医学者が行う治療であっても、厚生労働省が認めていない治療は代替医療です。私のブロックが私にしかできない理由は、まさに「お金にならない」ところにあります。


代替医療、その痛み治療の原理

鍼灸、スポーツトレーナーの運動療法、理学療法、カイロプラクティク、筋膜リリース、指圧、ホメオパシーなど、そのどれもが「なぜ治るのか?」の原理はほとんど推測の域を脱しません。しかし、解明されていない→治っても信憑性がない→治療法が広がらない、という悪循環だけは避けなければなりません。代替医療が西洋医学で治せない痛みを次々と治せるからです。治せるものは普及させなければ患者が不幸になります。以下に、なぜ代替医療が西洋医学で治せない様々な病気を治せるのかの原理について推論します。


治療原理1 バランス理論

筋肉が収縮し骨を引っ張り関節が動き、屈曲伸展回転などの運動をしますが、その際に屈筋と伸筋が調和して動きのバランスをとります。どちらかが強く効きすぎたり、効かなかったりすると関節に加わる力がアンバランスとなり、関節の一部に強い力が加わる、腱鞘内で炎症が起こる、筋溝間で神経血管が圧迫を受けるなどの不具合が生じるでしょう。


この屈筋・伸筋のバランスを改善させるために、運動でアプローチ(トレーナー・理学療法)・筋のマッサージ指圧でアプローチ(腱引き・指圧)・姿勢でアプローチ(カイロプラクティク)、などがあります。


例えば屈筋優位なら伸筋を刺激し、伸筋が優位なら屈筋を刺激し、アンバランスさを調整する方法が考えられます。例えば伸筋を十分に効かせた状態で屈筋を使う動作をさせ無理のない動きをさせることによって局所の循環を改善させます。

そしてバランスを整えるだけで症状が劇的に改善することが多々あります。


バランスを整える手技は各代替医療のやり方で相違がありますが、痛みのある場所とことなる部位を刺激したり、遠隔部位の筋肉を効かしたりすることになるため、なかなか理解しにくいかもしれません。例えば首の周囲のバランスを整えるには接地点である足元から治療をしなければなりません。かつ、筋肉のバランスを考えるには経験と診断能力が必要なので誰にでもできる治療ではありません。一流の、理学療法士、スポーツトレーナー、指圧師、カイロプラクター、腱引き師などによってのみできることです。


ただしバランスが整って局所の悪循環が改善されるのは永久ではありません。持続時間は患者の体質や生活態度により変わると思われ、この時間をどれだけ長くもたせることができるか?が代替医療師たちの腕の見せ所です。


治療理論2 脊椎バランス理論

不可思議な痛み、不可思議な内臓の不調、自律神経失調症、難病中の難病のALS、突発性難聴、眼瞼下垂・・・など原因不明な病気の原因のほとんどは脊椎由来と言っても過言ではありません。しかし、脊椎由来で内臓や自律神経、果ては脳にまで障害を起こすということを認識しているのはそれらを治すことを経験している達人の治療師のみです。


一般に「神の手」を持つとされている超越した治療師たちは必ず最後には脊椎のバランス異常を見抜く眼力を持ちます。つまり真実に知識が到達するという意味です。現在の西洋医学では数百年かかるである知識の到達点に、達人たちは到達します。


私は「脊髄・脊椎不適合症候群」という診断名で脊椎由来の病気の原因推定でおそらく真実と呼べる領域にたどり着いたと思っています。たどり着いたとしても、その不適合をどうやれば治せるか?に悩み、私なりに西洋医学でブロック注射でその病態を改善する手法を編み出しています。


「脊髄・脊椎の不適合」とは陸棲脊椎動物の進化上の弱点を意味します。脊椎を前屈させる動作は必ず脊髄を引き伸ばしてしまうという弱点です。人間においてはストレートネック、ストレートバックなどが起こると、脊髄が脊椎によって引き伸ばされて緊張がかかり、脊髄が脳や脳幹を下に引っ張る形になります。また、ねじれや側彎があると、ある特定の姿勢で脊髄が強く尾側にひっぱられる可能性があります。普通に立っているだけでも脊髄や脳幹が損傷を受ける人もいると思われます。


代替医療の達人たちは、実際に目の前にある脊椎と脊髄のアンバランスさを見て触って感じ、そして物理的に脊椎軸を矯正してアンバランスさを取り除き、脊髄に強い緊張がかからないようにできる(永遠ではないが)と思われます。


彼らは先ほど述べた伸筋と屈筋のアンバランスさ改善の応用で、姿勢筋のアンバランスさを調整することで脊髄・脊椎不適合を改善させるのであろうと推測しています。


優秀なカイロプラクターはこの「脊髄・脊椎不適合の原理」を認識していると思われ、さまざまな難病を「脊椎の軸を正常化させること」で治すことを可能にしていると思われます。


「腱引き」においても脊椎の軸を正常化させる手技が存在し、実際に多くの難治性疾患患者を改善させている実績があるようです。しかしながら、どんな一流の施術の達人でも親から受け継いだ「遺伝的な骨格」を変えることはできません。ですから、せっかく施術の際に脊椎の軸が改善しても、すぐに元に戻ってしまうことは否定できません。施術者たちはどんなに逆立ちしても人の遺伝子を変えることは不可能だからです。ですが、脊椎軸が悪い人には悪い人なりの防止策があります。一流の施術者たちはそれを患者に教えます。


治療理論3 スイッチング理論

痛み信号は実際に電気信号が脳の痛みを感じるエリアに到達することで「痛み」として感じます。しかし、人間の知覚は全てが脳に伝えられるわけではなく、知覚信号が脳に届くまでに神経節で取捨選択(スイッチング)されると思われます。有名なゲートコントロール理論もその考え方の一つです。スイッチングの詳細は不明ですが信号には優劣があり、太い神経線維の電気信号が通ると、細い神経線維の電気信号が遮断されると考えられています。これを利用すれば、太い神経線維の位置覚・深部知覚(圧覚)を刺激すれば、細い神経線維の痛覚を遮断できるとなり、これがマッサージや指圧により「痛みが改善する原理」と考えられています。


トリガーポイント注射や鍼灸で痛みが軽快する理由は、このゲートコントロール理論が関係していると推測されます(真実は誰にもわかりませんが)。

理論上、スイッチングでブロックされるのは痛覚だけではなく、交感(副交感?)神経の信号もブロックされる可能性があり、ある1箇所を刺激すればある内臓へ行く血管を拡張させることも理論上可能でしょう。よって一点を指圧すると内臓の不調や自律神経失調症などを改善させることもできると思われます。


どこを刺激すればどのような効果が現れるのか?は古くから鍼灸や指圧の治療師が研究に研究を重ねてきました。例えばそれを経絡(けいらく)と呼ぶのであろうと推測します。鍼灸師や指圧師が経絡を突いて様々な難病を治すことができるのは、このスイッチングの原理(神経作用の連動や抑制・刺激)と思われます。


ただし、「どこを突けば何が改善されるのか?」は個人差があり、そして病気の種類や病気の重なり具合によって多種多様です。治療には極めて多くの情報処理が必要になるため、勉強してもたやすく身に付きません。よって治療師の経験と熱意が治療成績の差を生みます。そして最終的に1回100万円の治療と1回3000円の治療の値段格差が生まれますが、100万円の治療師の脳には莫大な診療データが存在するはずです。よって達人級の治療師の技術は師匠から弟子へと受け継ぐことが難しいと言えます。


奇蹟的な難病治療の治療師は世の中にわずかに存在しますが、彼らが死ねばその技術はそこで終わります。それを繰り返すからこそ代替医療は発展しにくいという負の宿命があります。まことに残念なことです。


そうさせないためには達人級の治療師たちが集まり、情報を集め、共通のいいまわしで文書に残さなければなりません。しかし、そこに達人たちのメリットがなく、共通のいいまわしの際にプライドが傷つくなどのマイナスがあるので実現が困難です。医学書に掲載されていない効果や原理を現在の医学用語を用いて表すことに、達人級の治療師たちの大きな抵抗があるからです。


つぼを押すだけで胃炎や便秘、自律神経失調症から内臓機能異常まで、経口薬では治らないような病状を治癒させることができる達人の技がありますが、これらの妙技はスイッチングの原理を利用している可能性があります。


鍼灸・指圧・腱引きなどがこうしたスイッチング治療に対応していると思われます。トリガーポイント注射も西洋医学では理解できないような抜群の副産物的な治療効果を発揮することがありますが、これもスイッチング治療である可能性があります。


スイッチング治療は、病状と関連したポイントを見つけ出せる能力に全てがかかっているわけで、単に「痛いところを刺激する」だけでは治せません。


治療理論4 内圧減圧

筋や腱が腫れたり、いつもと違う位置に移動してしまったりすると筋膜同士に摩擦がおこり、局所に浮腫を作り、これがさらに筋腱の位置関係を悪化させます。筋と筋の間には神経や血管、リンパ管が通っていて、これらに強い圧力がかかるようになります。圧力が慢性化すると癒着が起こり、24時間持続する症状が出ることも考えられます。


また、普段通る神経の道筋を逸脱することで神経に強い緊張がかかり、圧迫とは異なる原理で神経の根元部分が損傷(引き抜き損傷のようなもの)することもあるでしょう。


神経が圧迫・損傷した場合の痛みは現医学でも解明されておらず、広範囲な痛みやしびれを伴う場合、冷えを感じる場合、圧がかかっている場所とは全く異なる場所に腫れができる場合など複雑怪奇です(複雑怪奇であることを知らない医師は意外にも多い)。こうして受傷部位とは異なる遠隔地に痛みや腫れが出る場合が少なからずありますが、病院に行くと「精神がおかしい」と言われてしまいます。それほど現医学では治すこと、原因を予測することが難しい症状です。逆に言うと、原因を見つける能力こそが治療技術そのものとなります。達人の治療師と普通の治療師との違いがそこにあります。


こうした症状を治療するには、内圧上昇の原因となっている箇所の、さらに原因となっている筋・腱に対し1、正しい位置関係に筋腱を戻す。2、筋溝間の癒着を解消し神経や血管に圧がかかりにくくなるようにする。3、浮腫を除去する。などを行わなければなりません。


  •  1、正しい位置関係に筋腱を戻すには局所を指圧で矯正するテクニック、そして全身の骨格バランスを矯正するテクニックなどが必要と思われます。カイロプラクティクや腱引き、指圧が得意とする分野です。
  •  2、筋溝間の癒着を解消(はがす)は筋膜リリースの概念ですが、この手技は1の「正しい位置関係に筋腱を戻す」という効果もあると思われます。筋溝の癒着がはがれると、血管や神経の自由度が増し、「動作時の痛みが軽減する」可能性があります。寝違えや捻挫に効果が高いと思われます。
  • また、胸郭出口症候群や梨状筋症候群のように筋肉が神経を絞扼するようなパターンにも筋膜リリースは有効でしょう。腱引きはこうした「筋膜リリース」の癒着はがしと同様なことを「指で腱を引く」ことで達成させると思われます。血管が圧迫を受けている病態の場合、筋溝間のリリースは血行改善の効果が強力に得られるでしょう。カイロプラクティックの一部の手技でも筋膜リリースと同様なことが可能と思われます。ただし、筋膜リリースで全てが治るわけではなく、真に「筋溝間に原因があった場合にのみ」効果が得られます。筋膜リリースで症状が悪化した方も私の元へ治療に来られていますので、筋膜リリースが万能というイメージ(マスコミが作り上げたイメージ)は捨てたほうがよいでしょう。
  • 3、浮腫を除去することは治療には極めて重要です。リンパマッサージが代替医療の中では浮腫軽減手技の代表ですが、腱引きでは静脈やリンパの走行にそって指圧で浮腫を改善させる技術を行っておりかなり優秀です。なぜなら、静脈やリンパの走行を研究しているからです。彼らはやみくもにマッサージしているわけではなく、体液の帰る道筋を考えながらマッサージしています。鍼灸でも針刺激で浮腫を軽減させる技術があります。しかし鍼を打つことでなぜ浮腫が軽減するかの原理は不明です。西洋医学には浮腫を改善させる治療法はステロイド注射くらいしかありません。

 


治療理論5 血行改善

体内で起こる不具合にはほとんどが炎症→浮腫→血行障害→免疫障害→壊死細胞の蓄積、という病態が起こっていると思われ、血行を改善させることはどんな病気(難病)にも極めて有効な手段です。しかし、血行不良が「どこ?」にあるかで病態は全く違ったものになります。


  • 1、抹消で起こっている血行障害=炎症、浮腫
  • 2、大動脈から分岐した固有動脈レベルから抹消動脈レベルの血行障害=紋扼性→しびれや知覚異常。筋肉・腱・骨に至るまで全体的に萎縮し表現できない鈍い痛みや冷感を伴う。内臓や内分泌系の固有動脈では正体不明の機能不全が起こる。
  • 3、交感神経の異常で動脈が収縮してしまい、2と同様な状況になるRSD(反射性交感神経性筋萎縮症、最近では慢性複合性疼痛障害CRPSと呼ばれる)。
  • 4、神経根の血流障害で起こる様々な症状。特に反射や軸索輸送が原因?で起こる末梢神経の末端の炎症や浮腫(このことを認識できる医師はほとんどいない)。
  • 5、脊髄から脳幹、視床の血行障害ではあらゆる不可解な知覚異常、疼痛、不快感、運動異常、内臓の機能破綻(現医学では解明されていない)。脊髄・脊椎不適合由来の脳幹の血流障害。
  • 6、自律神経核の血行障害では全ての臓器の自律能が機能不全を起こし万病の元となる(5の一部の病態)。それだけではなく感情の動きで血圧・脈拍が上がる、汗が出る、顔がほてる、気分不快になるなどが起こり、不安神経症、強迫神経症などの精神障害の根本原因になる。

血行障害はほとんど「全ての病気の原因」となっていますから真に障害されている血行を改善させることができれば「どんなに難治性の病気であっても治る」可能性があります。よって西洋医学で治らない病気を代替医療で治す場合は血行障害を「どう治すか?」にかかわってきます。


しかしながら、どこに真の原因となる血行障害があるのか?は誰にもわかりません(細動脈レベルの血行障害は検査では調べられない)。よって治療者は血行障害の「真の原因となる部位」を推測できる能力が極めて重要となります。血行障害を改善させることの技術よりも、血行障害がどこかにあるかもしれないと推測する考察力のほうがはるかに上の能力です。そして先生方が「どれほど難治性の疾患を治せるか?」はこの「血行障害箇所をつきとめる」能力の高さに依存します。


例えば、精神科で見られる多くの精神症状が、真に精神の異常ではなく、脳幹や脳の血行不良であることをつきとめ、実際に多くの精神疾患を完治させている代替医療の先生方もおられます。

医学書には記載されていないような難解な原因をつきとめる能力が達人の能力です。


筋膜リリースでは筋溝間にある血管(動静脈)の血行不良を改善させることによりさまざまな治療効果を生み出すでしょう。しかし、「どこの筋膜をリリースすればどの症状に効果があるのか?」は未知数であり、筋膜をリリースする技術よりも、「どこをリリースすれば何に効くのか?」を考察する能力の方が圧倒的に治療力に左右します。ですから筋膜リリースはその手技が的確であるかよりも、どこをリリースするか?を考える頭脳力の方が重要であり、術者の頭脳力によって治療成績が大きく変わります。


特にどうすれば内臓や内分泌腺、中枢神経(脊髄・脳幹・脳)への血流増加を促すことができるか?が難治性疾患治療の鍵となります。この分野の研究は西洋医学ではゼロに等しいので代替医療の方が格段に進歩していると言えます。西洋医学では証拠が示すことのできない研究は業績として認められないという慣習があるため日常の難病治療の分野では進歩しないという事情があります。


代替医療では実際に難治性疾患を治療した実績を元に治療理論が開発されていますが、治療実績は経験でしかないため、達人の技(達人の治療データ)が多くの人に伝えることが困難です。ですから難病は一部の優れた治療師にしか治せないものとなります。


代替医療では西洋医学ではできないようなあらゆる箇所の循環不全を取り除くことができます。ここではそのうちの特殊な手法を紹介します。

  •  1、特殊な手技で静脈・リンパ系をマッサージし、心臓へと体液を返すことで結果的に動脈血流量を改善させる方法。この方法はどこの静脈・リンパ系に着手すればどこの動脈血流量が増えるのかを考察することが難しい。

 

  • 2、筋肉を収縮させ、適切な運動を行うことで動脈血流量を増やす(筋ポンプ作用)。この方法は伸筋と屈筋のバランスが重要ですので姿勢や関節の位置、動かす強さなどのコントロールが極めて難しく、治療師の技術に大差が出てしまいます。

 

  • 3、ダイレクトに固有動脈、その周囲を刺激する(腱引きなどにそうした技術があります)。固有動脈は体表には存在しませんので、体の最も深い部分を刺激しなければなりません。西洋医学ではそんなことは無理だと最初から手をつけようともしませんが、代替医療には様々な奥義が存在します。透析患者の腎機能を回復させるなどの奇蹟的な治療も不可能ではないそうです。

 

  • 4、理論上、血管の収縮を支配している交感神経を効かなくさせることで強制的にその神経が支配する血管の血流量を改善させることができます。が、この技術は代替医療よりもペインクリニックの医師の方が優秀かもしれません。

 

  • 5、姿勢を矯正し「脳・脊髄への血行」を改善させる技術があります。脳や中枢神経由来の難病を治せる可能性がここにあります。一流の治療師は必ずこの域に達していると思われます。

 


人間の病気の全てに血行障害が関わっていることは誰もが知っている常識です。血行を改善させることが出来ればあらゆる難病を治せる可能性があります。しかし、大動脈やそこから分岐する固有動脈の血行改善をリスクなく行うことはとても難しい技術です。今のところ西洋医学では選択的な交感神経節ブロックや硬膜外ブロックがそれにあたります。が、さすがにブロックリスクがつきまといます。達人クラスの代替医療者は、それを低いリスクで行える人もいるようです。


治療理論6 免疫系

全ての病気に血行不良が関わっているという常識とともに、全ての病気に免疫系が関わっているという常識も存在します。しかし、免疫系は医学が「もっとも研究が遅れている分野」ですから誰もその真実を知りません。真実が見えていない場所では西洋医学は発展しようがなく、現在ある治療は「免疫を抑制する」という方法にほぼ限定されます。先進医療として自己白血球を利用したものがありますがまだまだ実用レベルではありません。


免疫系は達人クラスの代替医療者でさえ「なかなか手をつけられない」領域です。難病を治した際には必ず免疫系にも治療が影響しているはずですが、免疫は目に見えませんので情報を得ることができません。よってどこをどう刺激すれば免疫系が活性化、正常化するのか?を知ることは困難です。ただただ、達人クラスの治療師が行ってきた自分の頭の中にある治療ガイドラインの中に「免疫系を改善させることができる手技」が含まれていると思われます。


古くからある免疫抑制の代表はクーリングであり、湿布もその一つです。また、リンパ灌流や浮腫軽減指圧なども免疫系改善と密接な関係があるはずです。


西洋医学では「免疫抑制」に関しては代替医療のはるか上の技術があります。最近はレミケードという極めて効果の高い免疫抑制の薬剤が開発されました。免疫抑制はステロイドがその代表であり、50年前は「ステロイドは何にでも効く奇蹟の薬」として乱用されました。しかし、免疫抑制は過剰になると細胞の死骸の山(膠原線維化)を作り、大きな傷跡を残します。よってその使い方が極めて難しく、現在でも免疫抑制を正しく使えている医学者はほぼ皆無に等しいと言えます(免疫システムが解明されていないことによる)。


しかしながら免疫抑制薬を微妙なさじ加減で使用できる医師が誕生すれば、様々な難病に対処できるでしょう。免疫抑制の分野では代替医療者は治療力が西洋医学者に劣るため、自己免疫系が大きく関わっている病気の場合、代替医療者の技術では治りにくいかもしれません。よってこの分野では医師に一任することが望ましいこともあります。ただし、内臓系や中枢系の疾患の免疫抑制系を使う医師は数少ないため一任するにも適格な医師がいません。一部、突発性難聴の治療では、中枢系疾患に大量のステロイドを使用するという耳鼻科医の現状がありますが、それは正しいとは言えません。免疫抑制系はうまく使えば難治性疾患治療の最後の切り札になりえますが、この分野の研究が進んでないだけに治療は困難を極めます。研究が進むことを節に願います。


正体不明の免疫系の疾患の場合(クローン病や潰瘍性大腸炎、アトピーなど)、免疫抑制剤の使用が正しくないことがあります。例えば円形脱毛症は金属アレルギーなどで攻撃性が増した免疫により毛母細胞が壊されることが原因のものがあります。この場合、免疫が悪いのではなく、原因は金属です。というように根本原因が免疫ではなく他にあることを考察しなければ、これらの病気を完治させることは不可能です。


免疫異常の原因が他にある場合、その原因を見つけることのできる能力は代替医療者の方が西洋医学者よりも優れていることがあります。


さらに、免疫を活性化させる治療法は西洋医学にはありませんが、代替医療の達人は指圧やつぼ刺激、リンパマッサージ、鍼刺激などで活性化させる技術を持つ者が存在します。その原理は不明ですが免疫を活性化させることができるとなると癌治療にも期待が持てる可能性もあります。


ちなみに私はクローン病や潰瘍性大腸炎は、腸を支配する自律神経の異常が大きく関わっていると推測しており、自律神経を治療することで免疫系を改善させることができると思っています。免疫が悪いのではなく根本原因が自律神経にあると考えています。


同様に代替医療者が自律神経を整える技術を持っていれば、クローン病や潰瘍性大腸炎を施術で改善させることが可能と思われます。しかし、問題は技術ではなく、「潰瘍性大腸炎の原因が自律神経にある」という考察ができるかできないか?であり、難病への探究心があるかないかに依存しているところです。代替医療者があてずっぽで治せるほど甘くはありません。


治療理論7 中枢感作システム

ここでは中枢感作とは広義に「通常とは異なる神経回路の流れが出来あがってしまっている状態」と定義します。例えば「触るという知覚情報が痛いという電気信号に誤って変換・増幅される」システムのことを中枢感作と呼ぶことにします。

脳はCPU、脊髄はLSI、神経根はIC回路と言われるほどに人体には神経とよばれる電線と、それを切り替える無数のスイッチがあります。全ての電気信号が脳に運ばれているわけではなく、常に信号が自動的に取捨選択されて脳に伝わります。そして電気信号のパルスの量が、ある時は増幅され、ある時は減弱されて伝わります。しかしながら、CPU,LSI,IC回路は時に壊れ、修復され、そして時に暴走し、フリーズも起こします。そうして起こる錯誤的な電気信号回路が構築された状態を中枢感作と呼ぶことにします。


中枢感作は一般的には「痛み」のことしか言われていませんが、動作、音、光、臭い、尿意、便意、排卵、内分泌などあらゆる命令系統に誤作動が必ず存在します。よって手を水でぬらすと尿意が起こるという人も実際に存在します。立って歩くと下痢になる人もいます。残念なことですが、それらの原因が中枢感作にあるという思考回路が現医学には一部のキワモノ研究を除けばほぼ皆無です。


よって中枢感作が由来する不可解な難治性の病気は「脳の誤作動」と言われキ○ガイ扱いすることが現医学での定義となっています。つまり中枢感作を現医学者には治せないわけであり、中枢感作による難病を治すには今のところ代替医療者の手を借りる以外に方法がありません。


中枢感作による電気回路の誤作動はその原因が脊髄(神経根も含む)から脳に至るどこかにあります。しかし、どこにあるのか?を調べる手段が現医学にはありません(MRIでは中枢感作システムの場所をつきとめることは絶対不可能)。そして仮に場所を推測できたとしても、システムを「どうやれば元通りに改修できるのか?」が未知です。そして改修させる正しい方法を行ったとしても、逆に一定期間、異常信号が増幅される結果を招くこともあり、悪化させたと誤認されることが多々あるでしょう。さらに改修にどのくらいの期間を要するのかが全く見えませんので患者は治る前に不信感を抱いてしまう運命にあります。


このように中枢感作は治療することが極めて難しいものです。その際たる理由が、原因箇所が不明であることです。

達人クラスの代替医療者でさえ、中枢感作を改善させることは至難の技です。しかしながら、中枢感作を治療するのも「基本は血流改善と免疫改善」であることは間違いないでしょう。どんな手技を行うにしても、感作が起こっている場所の血流改善や浮腫軽減、改修(免疫)システム増強ができれば、いつかきっと感作システムが改修されると思われます。


中枢感作システムを改修させる手段として、感作の原因箇所の血流増加を促すという方法を私は行っています。感作の場所は脳に近い部位にあることが多いと思われますので、脳幹や脳の血流を増加させるために上頚神経節ブロックを行っています。


達人クラスの優れた代替医療者では「中枢感作」の存在をおそらく感性で認識していると思われます。その感性で施術(中枢神経を改善させる目的で行う施術)するイメージがある治療師には改善させることができる可能性があります。しかし、中枢感作はあらゆる治療にもっとも抵抗性が高いと思われ、これを治すことは至難の業であることは確かです。


治療理論8 痙攣

血管平滑筋が痙攣を起こすことにより血管が急激に収縮して血流が途絶える病態があります。古典的片頭痛、異型狭心症などがその代表ですが、不可解な急性腹症や突然の体調不良などに血管平滑筋の痙攣が関与しているものが意外と多く存在していると思われます。発作のように突然起こり、そして再び何もなかったかのように治る不可解な症状は血管攣縮が原因かもしれません。


血管攣縮は寝不足が続いたり、精神的な緊張が続いたときに起こると思われますが、その発生機序は全く不明です。

私は上述した古典的片頭痛の持病がありますが、症状が出たときには即座に頸部交感神経節ブロックを自分に行うことで瞬間的にこれを治します。よって、交感神経をブロックすることで血管攣縮は治癒できます。同様に代替医療者の中には血管攣縮を止めることができる達人が存在すると思われます。そして病気を治療する際に、知らず知らずに血管攣縮を止めることによって治していることもあるでしょう。


ただし、血管攣縮の存在を認識することは非常に難しいですが、病態として「難解な症状」の中にこれに起因しているものが必ずあるはずです。知ることができないだけです。


治療理論9 骨壊死への治療

治らない関節痛の最大の原因が骨壊死であることをほとんどの治療者が認識していないと思います。わかりやすく言えば変形のことです。関節が変形する際にはミクロ的には必ず骨髄に壊死が起こっています。壊死した箇所は骨梁が消失するため骨皮質がしなったり陥没したりします。その変化を骨膜が感じ取り痛みを発生させます。つまり骨壊死=骨折の痛みを意味します。関節が変形する際に必ずミクロ的な壊死が起こります。


壊死した関節に重力をかけることをやめないと、壊死はドミノ倒しのように関節全体に広がり強烈な痛みを発することになります。

骨壊死の存在を認識しながら治療にあたっている治療師が医師を含めてこの世に何%くらい存在するのか? 極めて低い%であると思われます。


基本的に骨壊死にはほとんどの治療が無効で、唯一治す方法は重力をかけないで血行をよくする方法しかありません。この原則を知らなければ、達人級の代替医療師にも治療は不可能です。

医師も知らない、そして達人級の代替医療師も知らない事実として骨壊死があることを覚えておきましょう。なぜなら、関節の変形を起こす人は何千万人と存在するわけで少ない数ではないからです。骨壊死だけは運動で治すという法則があてはまりません。


骨壊死の治療の原則は免苛ですが、実は他にも方法があります。壊死周囲の組織は浮腫が存在し、血行不良もあり、浮腫のおかげで安静時もある1点に圧力がかかってしまうからです。よって免苛を行う前に浮腫軽減の治療を行えば、壊死が早期に治ります。浮腫軽減を得意とする代替医療師は存在しますので、デリケートに扱えば、治療が可能であるという結論になります。

私は浮腫に対してはステロイド注射で改善させ、さらに生活指導を行うことで治癒に向かわせています。


治療理論10 心理治療

呼吸法、ヒーリング、アロマセラピー、催眠治療などで交感神経の過敏状態を抜け出すことは理論上可能であると思われます。交感神経とは「感情と交わる」という意味であり、感情が神経を動かして様々な作用をもたらすと同時に体に起こった反応(刺激)を知覚して感情が極めて不快になるなどが起こります。つまり交感神経や副交感神経などの自律神経は感情と連動することが宿命です。


感情と自律神経を切り離すことができれば、自律神経と感情の間の悪循環を絶つことができます。

睡眠薬や精神安定剤はそれを薬剤で行うものですが、理論上は薬剤を使わなくとも精神の使い方でこれを自ら絶つことができます。なぜなら、そもそも睡眠が感情を肉体から切り離す作業になっていて、私たちはそれを毎日自然に行っているからです。


カウンセラーでも心霊療法でもサイキックでも、何を使おうと精神を切り離すことができれば苦痛から逃れることが理論上可能です。

これらの療法は、単に苦痛を和らげるのではなく、悪循環を絶つことで実際に体全体を好転させることができると思われます。


また、精神力で自律神経を動かすことも人間はたやすくできます。恐怖を想像して心拍数を上げるなんてことは誰にでもできることでしょう。よって理論上、精神の力で自律神経を動かすことは可能であることがわかります。

ただし、私たちは交感神経を興奮させることはたやすくできるのですが、普通では精神力で交感神経を抑制させることができません。


多くの難病は交感神経の異常興奮で起こることが多いため、これを精神力で抑えることは極めて困難です。そこでヒーリングや催眠、心霊などの達人が感情と交感神経を切り離す作業を行ってくれるわけです。それが一歩進めば、精神コントロール下に外界から内臓の動きを高めるなどということも不可能ではないと思われます。

ただし、問題点は効果時間が短いことです。感情はころころ変化しますので薬物ほどは効果時間が長くなりません。

催眠術などでは実際に脳内から眠りを促す自前のホルモンが分泌されますので薬物投与と似たような状態になります。自前のホルモンは副作用が少ないので安心です。


残念なことは、こうした治療を超能力であると宣言している方々がおられることです。たしかに、普通の人には不可能な治療法ですから、超能力と言ってもよいかもしれませんが、治る原理は科学的であるのにオカルトであると誤解されてしまいます。おかげで信憑性が低くなりがちです。ですが、患者にとっては「治るものなら何でもいい」わけで、超能力であろうとなかろうとどちらでもよいことです。


治療理論11 反復繰り返しの治療

日本の病院では反復の繰り返し治療を認めていません。たとえば、しびれにはブロック治療が無効といわれていますが、それは1回のブロックでは治らないという意味であり、毎日連続で1ヶ月間行えばしびれが治るかもしれません。しかし、そのような治療を厚生労働省が認めていないので「しにれにはブロックが無効」と言われます。


自律神経系やその他の難病は毎日連日治療して初めて効果が出る場合がありますから、そういった「根気のいる治療」の場合は医学書的には無効!と言われます。

例えば突発性難聴の治療では星状神経節ブロックを1~2週間連日でブロックを行うことがありますが、これには保険が利きませんから、ブロック自体は西洋医学であっても、その治療方法は代替医療です。


保険(厚生労働省)はお金のかかる繰り返しの治療は「効果が多少ある」くらいでは認めません。また、効果をしぶしぶ認めたとしても、「治療費自体を赤字がでるくらいに安く設定する」という「診療つぶし」をします。赤字が出るなら基本的にクリニックでは治療できませんので、安く設定=「診療つぶし」になるわけです。


よって「お金のかかる繰り返し治療」は代替医療者にしかできません。当然ながらお金がかかりますが、それこそが厚生労働省の目論見。お金のかかる治療は「自分で受けなさい」というスタンスです。

逆に言うと反復繰り返し治療は日本では「代替医療者の専売特許」です。西洋医学で治せない難治性の症状も、治療を繰り返すことで軽快させることができることは、私もこのHP上で何度も説明しています。


連日の繰り返し治療が難病に効く原理は単純です。難病の原因の多くが日常生活にあるため、治療をたまにするくらいでは悪化の力の方が強く、改善させられません。悪化の力よりも強い力で治療するためには繰り返し手をかけるしかありません。それができるのは保険外の代替医療しかないわけです。


治療理論12 じゅうたん爆撃治療

代替医療が西洋医学よりも難治性疾患に対して効果が高くなる理由の一つに、代替医療では「1箇所ではなく多数箇所へ施術をする」ことがあげられます。西洋医学は保険診療ですので診断名と一致した箇所に一つの治療しかできません。その1箇所が見当違いの治療であれば効果なし=難治性、となります。これが西洋医学の限界です。


しかし次のような例を考えましょう。

私の外来には難治性(全てのブロック注射が無効)の「両足のしびれと痛み」の患者がしばしば来院します。西洋医学では心因性と判断されます。全てのブロックは腰部を中心に硬膜外ブロック、神経根ブロック、トリガーポイント注射などが行われますがしびれが一切軽快しません。私はこのような患者には頚・胸部に硬膜外ブロックを行います。そしてはじめて症状を軽快させます。つまり、両足のしびれの原因が頚髄や胸髄にあることが予想されます。西洋医学では足のしびれの原因が頚・胸部にあるとは考えないでしょうから「原因不明」となります。


ところが代替医療では脊椎の全身バランスを調整する治療を行うため、当然ながら頸胸部にも治療が届きます。両足がしびれるのに上半身にも治療をするのは代替医療くらいなものですが、その治療のおかげで両足のしびれが軽快することがあります。

これが代替医療の威力です。原因として考えられそうな箇所全てに治療をして症状を改善させます。この「じゅうたん爆撃法」であれば、原因箇所が特定されなくても治療箇所に手が届く可能性があります。


治療理論13 生活指導

私は常々生活指導が治療の中でもっとも困難なものであると認識しています。治療師の力が及ばず、患者が自力で行わなければならないからです。難病に対する生活指導は、その難病の原因が予測できていないと正しいものとはなりません。したがって、最低でも上述した14項目を正しく理解し、なぜ難病が起こっているのかの概要を把握していなければなりません。経験も知識も技術も精神も兼ね備えた治療師にのみできるのが生活指導です。西洋医学の大学教授がテレビなどでしばしば生活指導を解説しているのをみかけますが、その程度のレベルでは難病を治すことはできません。まさに、「治した経験のある治療師」の生活指導以外を信じるべきではありません。中でも難病治療の経験のない西洋医学者の生活指導ほど的外れなものはないでしょう。


そして、生活指導は患者に負担をかけ、たやすく治らない場合は患者に恨まれることがあり、さらに、生活指導を患者が守れば治って来院しなくなるわけで、治療師にとってメリットはほぼありません。よって生活指導を行う治療師は「悪役」を買って出る精神が必要であり、そうした精神があることが超一流かつ精神が高みに上っていることの証となります。


余談ですが、私が患者に「腱引き」を紹介すると、患者たちは全員が「日常生活での注意点、自分で治すワンポイント治療法」を教わってきます。まさに生活指導です。私にはできない生活指導ですので極めて重宝します。患者に変わって感謝の意を示します。


13の難治性疾患治療論

これら13の理論は一般的な病院・クリニックの診療では全て行えません。治療手技も保険で認められていません。すなわちこれらは代替医療でしか受けられないものです。

医師であろうとなかろうと、治療を行う上で最低でもこれらの13の治療法を考えていないと難治性の症状を改善させることは難しいでしょう。一流の治療師はこれらの理論を無意識にも意識的にも研究してきたはずです。よって一流の治療師は医師であろうとなかろうと、手技は異なっても、到達する理論(思考)が同じになります。


筋膜リリースは世界の広さを知らない

筋膜リリースを積極的に患者に行おうとする医師は、善良で研究熱心で患者思いの先生方がほとんどだと思います。なぜなら、現時点で筋膜リリースは保険で認められていない治療法であり基本的に赤字の(無料奉仕の)施術だからです。赤字になっても治療しようとする医師は「極めて善良かつ研究熱心」でしょう。


筋膜リリースを行う医師たちは「これまで経験したことがないような奇蹟的な治療効果」に極めて大きな優越感を持ち治療に当たっていると思います。その優越感こそが彼らの赤字奉仕を支えていると言えるでしょう。

しかし世界は広く、既に筋膜リリースのような手法は日本では古来から存在し、代替医療者たちはすでにそれ以上の治療効果を平然と発揮しています。彼らはその事実を知らないだけです。まさに井の中の蛙大海を知らずです。


医学部の教授たちが全く知らないところで、西洋医学で治らないものを代替医療者たちはとっくの昔に治しています。しかも驚くべき治療効果です。筋膜リリースなど取るに足らない技術であると断言できるほどに他の代替医療者の技術力は筋膜リリースのはるか上を行っています。


ただし、筋膜リリースをしようとする医師は初めて日常の難病を治療するという大海原に航海しはじめたと言えます。大海原に出て初めて、世の中には「自分たちよりも優れた技で患者を瞬時に治せる人たちがいる」ことを知ることになります。

そしてぜひライバル心を燃やしてください。自分は医師だから!と特権にしがみついている場合ではありません。筋膜リリースは保険外ですから同じ代替医療です。つまり同じ舞台にいます。医師には医師にしかできない治療法で彼らに追いつけ追い越せです。


腱引きの治療力

腱引き以外にも代替医療でいろんな難病治療に携わっている方がおられると思います。その方々の技術知りませんのでご紹介できませんが、ここでは腱引きの治療力について触れておきます。


腱引きの手技は前述した治療理論のほぼ全てを網羅しています。北斗の拳の「トキ」のように秘孔を突いて細胞の再生能力を活性化させるようなことも行います(形容のしかたがおかしいかもしれませんが)。西洋医学が腱引きに劣っていると思わされるほどに種々の日常の難病治療の実績を挙げています。


例えば「全盲の人の目を見えるようにする」「透析患者の腎機能を回復させる」「うつ病・不安神経症を根本的に治す」「耳鳴り・難聴を治す」「薬物中毒の断薬治療」「頭痛・三叉神経痛を治す」など西洋医学ではできない治療を行っています。(普通に五十肩や捻挫などの治療ももちろん行っています)。西洋医学完敗です。


鍼灸師・柔整師は免許を持っていますが、腱引きには免許がありません。そして免許がなくても免許を持つ者以上に活躍しています。

全国各地に腱引きの流派を受け継ぐ先生方がおられます。詳しくはこちらをごらんください。

また、腱引きはマイナーとはいえ、治療師たちを育成し、再現性を持たせています。再現性とは師匠が弟子に伝えた治療方法を弟子の誰が行っても同様な治療効果を得られるという意味です。再現性は医学の中でかなり信用度の高い治療効果のエビデンスとなります。そしてエビデンスの高さが認められ、医学部の教授クラスが認めている医療技術であると言うことを付け加えておきます。


彼らは知名度の極めて高い一流の医師でさえ治せないような難治性の患者を次々と治しています。その効果の高さは過去の治療実績から、患者から直接、聞いています。全く脱帽のレベルです。


難病を治そうとする志は一つに通ずる

漢方・ホメオパシー・食餌療法・腱引き・カイロプラクティク・鍼灸など数々の代替医療が存在します。しかし、その治療理論はたいてい前述した14の理論の範囲内に入ると思われます。ただし、全ての代替医療は西洋医学とは異なる独自の治療理論を持っているため、非科学的な言い回しが多く、理論が油と水のように相容れないこともあります。


しかし、真に日常の難病を治そうと考える者の思考回路は必ず「真実・実績」という点で一つに通ずるものです。

西洋医学では例えばアトピーやリウマチなどで「治すこと」は考えず「抑えること」だけに研究を進めました。一方、代替医療では「抑えること」は考えず「治すこと」または「共に暮らすこと」に研究を進めました。


西洋医学、代替医療は共に相手をののしりあってきました。しかし、真に患者を救うためには「目指すところがばらばら」のはずがありません。互いに得意・不得意分野があり、自分たちの治療技術だけでは「絶対にできないこと」があることを素直に認め、協力し合うべきだと思います。

協力すれば「限界を超えた治療」ができるようになります。治療力で全ての医学技術を圧倒する最高峰の治療が実現します。


たった一つの治療が完治させる

20年以上治らなかった腰痛が、マットレスと枕を変えただけで完治するということを私たちは経験します。そこには筋膜リリースもブロック注射も腱引きも針灸も何も存在しません。悪循環を作っている原因を取り除けば、体が勝手に患部を治療してくれます。


病気を作っている原因は決して一つであるとは限りませんから、一人の治療師の意見だけでは治せないものもたくさんあります。特に病態生理がわかっていない難病ならなおさらでしょう。


にもかかわらず、難治性の患者が治った場合、それを治療師一人のおかげであると勘違いされる先生方が多いと思われます。そして自分の治療の範囲で治そうとするでしょう。しかしそれでは決して達人の領域には到達しません。


達人は自分の治療法の限界を知ることができます。これまでの人生で少しずつ限界を破ってきたとは思いますが、それでも自分の限界を正しく知る者が治療師としての一流です。


ヒトが人生をかけて、何百年も伝承して築き上げた特殊な治療の達人になるには、やはり一生かかります。そして全ての代替医療で達人になることは無理です。だから各分野の達人は自分の限界を知り、そして他の分野の達人と協力すれば、「もしかすると自分が治せなくて壁に突き当たっている患者を治せるかもしれない」と考えるほうが妥当であると思います。


たった一つの治療が完治させることがありますが、そのたった一つが何であるか?を見つけ出すには、多くの達人たちを経由しなければならないことが多々あります。それを「患者の自由行動と精神」だけに任せておいてはいけません。誰かが一つにまとめなければ患者はドクターショッピングに疲れ果て、治療をあきらめることになるでしょう。


治療の達人者はそのたった一つを見極める達人であると言えます。たった一つはひとつしかないわけで、医者であってもなかろうとも、治せた人はそのたった一つを発見できたことを意味します。だから治療の達人たちが集まれば、本来は治療論の意見が分かれることがありません。言い回しや、アプローチ法が異なるだけで、やっていることはみな同じだからです。


私と腱引きと代替医療

私は独自に開発したブロック注射でさまざまな難治性疾患を改善させています。一般的には整形外科医が治せなかった患者をペイン科医がブロックを用いて治しますが、私はさらに、他のペイン科の医師たちが治せなかった患者を対象に診療をしています。よって私のブロックの治療力は客観的にかなり高いものであると推測されます。


しかしながら、私の治療は基本的に週に1回であり、その程度の治療では治り難い患者もたくさんいます。そこで患者たちには「腱引き」を紹介し、腱引き治療師の先生に治療してもらいます。すると患者から驚きの声が返ってきます。「施術をしてもらうと、ブロックをした時と全く同じ効果が得られて痛みが消えました。本当に驚きました。」という声です。そしてさらに、「今まで感じたことのないほど、体が軽くなり、今まで感じたことのない四肢の温かみを感じました」という患者もいました。つまり、私の治療単独で得られる効果以上の効果を得られているようです。


それでは私のブロックが不要かというとそうではなく、私が中枢からアプローチし、施術者が末梢からアプローチすることで相乗効果をもたらしていると思われます。役割分担です。互いにできないことを引き受けていますので驚異的な治療効果をもたらします。


逆に「腱引き」単独では治り難い患者には私がブロックをします。するとその後の「腱引き」治療が極めて大きな効果を発揮するようになる。というような現象も起こっています。つまり、互いに「いきづまった患者」を交換治療し、超えられなかった治療の壁を越えるのです。最後の砦的治療のさらに後方に砦を作ったようなものです。


最後の砦的治療を行っている治療師の先生方が集まって意見を交換すれば、さらに治療の厚みが増すことはもはや確定的と述べておきます。


日常の難病にお悩みの方へ

西洋医学と他の代替医療が協力し合ってカリキュラムを組んで治療にあたれば、かなり重症な難病を治せる可能性が高くなるでしょう。あきらめていたものが治せる可能性がありますので望みを捨てないでください。ただし、西洋医学が治せない難病を治すには必ずお金がかかります。私の治療ではあまりお金がかかりませんが、それは私が負担しているからであるということを忘れないでください。つまり、難治性疾患の治療には、お金がかかるか、治療する先生に迷惑をかけるかのどちらかです。


ですから治療する先生には最大の敬意を払ってください。くれぐれも猜疑心で治療を受けるということのないようにお願いします。

しかし、中には商売根性丸出しの治療師もいると思われますので、お人よしすぎるのもよくありません。商売根性ありありの治療師さんとは私は協力しません。


全ての治療はリスクの低いものから行うのが原則

私のブロック注射は他の西洋医学者のブロック注射と比較して治療成績が明らかに高いと思われます。しかもリスク回避する技術も高く他の西洋医学の医師のブロックと比較してカジュアルに受けることができるレベルにまで手技を完成させています。


膝の痛み、足の捻挫、骨折後の腫れ、五十肩、テニス肘など、整形外科的な疾患も驚愕の治療効果を普通に発揮しています。「驚愕の治療効果」とは使用前使用後で瞬間的に患者に魔法がかかったかのように治ってしまう瞬間技です。まるで「治療芸」です。当然、私にも他の代替医療者と同等以上の(かなり高確率の)「治療芸」ができます。


しかし、常に思うことは、「注射をしなくても他の代替医療で治せるものであれば、代替医療にまずかかるべきである」ということです。注射はリスクと重い責任がつきまといます。ならば、まずはリスクの少ない代替医療から受けることが手順であると思います。


もちろん、西洋医学の治療で治る病状であれば、普通のお医者さんにかかればよいことです。普通のお医者さんや接骨院で治らなかった場合に、まず代替医療の達人に治療を受け、それでもだめな場合に私の注射を受ければよいと思われます。

そして実際に私の元へ来られる患者の多くは、上記のような経路をたどっています。様々な代替医療を行った結果、無効であった方々が私の元へ来院されます。私の役目はそれでよいと考えています。そして私が治療を行っても改善が少ない方には代替医療として「腱引き」を紹介させていただいています。同時治療をすれば今以上に改善が得られる可能性が高まるからです。


今後、さらに他の代替医療からの協力者が現れれば、疾患別に得意不得意を考えていろんな先生と協力治療をしようと思っています。

幸いなことに腱引きは師匠が全国に弟子を作り、「お住まいの近くで受けられる」状況を作ってくださっています。だから私のところへ相談にこられた患者をまずは近くにすむ治療師に治療してもらうように紹介することができます。


近くの治療師の治療で治らなければお弟子さんは師匠に患者を送り、それでもだめなら私がブロックを行い、そして再び治療師の元へお帰りいただきます。すると、治療師単独で治療をするよりも、私のブロックを受けてからの方が、治療効果が格段に上がると思われます。このような連携は、「私の方が代替医療者よりも治療技術が上である」といいたいわけではありません。リスクがある治療は後回しにすべきであるとの観点です。


トップ会談を行う必要性

何をどうやっても治らない地獄の淵に住む患者たちを救うためにはそれぞれの代替治療のトップ会談で患者の症例検討会を行い、治療方針の意見交換を行うべきだと思います。意見や考え方の食い違いはあるかもしれませんが、難治性患者の情報を共有することで、そして奇跡的に治療成果が上がった患者の治療法を共有することで西洋医学をはるかに超えた別世界の治療技術が誕生すると確信します。


西洋医学が「精神異常」として見捨ててきた患者たちの本当の診断名をつけられるようにもなるでしょう。そして原因が今以上にクリアになり新たな治療方針を立てられるようになるでしょう。おそらく新たな病名が無数に作られていくと思います。


難治性疾患に携わる者は究極の考え方は一つだと思います。「だれも治せないから自分が治すしかなかった」というのが真実であると思います。そうして治してきた者たちのトップ同士が集まれば、今まで見えなかった治療法のヒントが得られます。そしてさらに高みに昇り、去年治せなかった患者を今年は治せるようになっていきます。


「自分がトップである」という自覚のある治療師の先生はぜひご一報ください。トップの中のトップを決めるなどという愚かなことはありません。役割分担すれば救える患者が増えるというだけのことです。


西洋医学は偉大な学問

捻挫一つ十分に治すことができないのが西洋医学です。それは代替医療師の方々からバカにされても仕方ないことです。最近は開業した整形外科医たちが、「代替医療師の方が整形外科医よりも治す技術が高い」ということをうすうす知り始めています。

しかし、そうであってもこれだけは忘れてはなりません。西洋医学の学術力は我々が想像する以上に高く、そして「文は武よりも強し」と言われている世界では武力よりも医学の方がある意味強大であり、西洋医学は国家権力に匹敵するということ。そしてその医学の利権に企業がよりそい、巨大ビジネスとなって国の経済をまわすほどになっているということ。


西洋医学が日常の難病に対して研究が遅れている理由は単に「彼らが本気を出していない。大衆医療に国が予算をかけたくない。」というだけであることを代替医療者は知っておくべきでしょう。もしも彼らが本気を出して国が予算を出せば現在代替医療が行っている分野の病気は西洋医学でもなんなく治せるようになってしまいます。それが証拠に西洋医学者の私でさえ、ブロック注射一つで様々な難治性の病気を治せるのですから。


日本の政府が日常の病気に「医師が積極的に治療をしないように画策」していることを国民は知らないようですが、実は毎年の診療報酬改訂で政府は開業医たちに明確な圧力をかけています。難治性の日常の病気に治療コストをたくさんかけると国の財政が破産するからです。例えば関節内注射が800円、腱鞘内注射が270円。これほど安い値段では代替医療者が行う治療よりも質が悪化するのは当然です。


もしも国が日常の疾患に予算を割り当て、関節内注射8000円という値段設定にしたとすると、西洋医学者たちは一致団結して膝を注射で保存的に治療する方法を編み出してしまいます。そのパワーは圧倒的であり、とても代替医療者たちが太刀打ちできないレベルです。ただし、日本国の保険制度はすでに崩壊しているので関節内注射に8000円の報酬を出すことは絶対にありません。だから日本では日常の難治性疾患は政府によって見捨てられているという条件下において、「西洋医学が代替医療者に劣る」のです。


つまり、国家レベルで日常の疾患に「お金を出さないこと」を決めているおかげで代替医療者たちが繁盛し、そして西洋医学者たちの保存的治療が発展しないというからくりがあることを知らなければなりません。それこそが国の目論見です。

「井の中の蛙大海を知らず」なのは西洋医学者だけではなく、代替医療者たちも西洋医学の政治力の強さを知りません。代替医療など潰す気であればたやすく潰してしまえる力があります。


国家レベルの戦略として、日常レベルの疾患は保険を用いない代替医療者に任せ、医療費を削減したいという意図があります。その政策のおかげで代替医療者が生計を立てていられます。


もしも政府が混合治療を認めるようになると、開業医たちが競い合って「お金をかけてでも治す保存療法」を医師各自が開発するようになるため、代替医療者たちの仕事がおおいに食いつぶされるようになります。そして西洋医学者の治療力が現在よりも格段に上がります。それでも、医者が束になってかかってきても、西洋医学と代替医療がコラボレーションした治療力には及びません。それぞれの得意技を結集させるのですから。


協力と役割分担

それぞれの代替医療には、それぞれにしかできない固有の技術があります。固有の技術は患者の体質にマッチすれば効果が抜群ですが、マッチしなければ効果は少ないでしょう。ならば、患者の体質を考察した上で効果のある治療法だけを「いいとこどり」する治療を協力し合って提供し合えば難治性患者の治癒率は飛躍的に向上するでしょう。その“コンセルジュ的役割”ができる研究員たちを育てれば、患者はコンセルジュに相談し、コンセルジュが患者を代替医療者に割り振ってくれることでしょう。当院ではすでに医療秘書(事務長、医療クラーク/コンシェルジュ)が重要な役割を果たし稼働中です。こうなると難治性疾患に悩む患者の数は激減させることができるでしょう。それは新しい医療の幕開けです。その第一歩を踏み出すためにこうして発表させていただきました。真に難治性患者を治す心意気のある先生方は、ぜひご連絡ください。

西洋医学は井の中の蛙 ~代替医療のすごさ~

2017年治療成績

現代西洋医学の流れ

オランダ、西ドイツ、アメリカ合衆国と引き継がれてきた西洋医学は現代では医療の中心であることは誰もが認めるところです。西洋医学はもっとも科学的であり「人の命を救う医学」の最先端です。その功績のおかげで人が死ななくなり、現在の超高齢化社会を作ってしまいました。先進国は例外なく全てで超高齢化が起こっており、この事実こそが西洋医学が人類にもっとも貢献した医学であることを証明しています。どんな代替医療にも「人口構成を作り変えるほどの力」はありません。そういう意味で西洋医学は間違いなく全ての医の学問中の不動の王座にあります。


現在、医学の不動の王座の実績を先導するのはアメリカ合衆国であり、我々日本もその支配力の傘下で医療を行っています。つまり、わが国の医学は今や「米国医学」となっており、米国から医学を輸入し、服従している形になっています。そして今や米国の医学理論に疑問を持つ者が日本にはほとんどいないという状況です。


西洋医学は救命医学

脳・心臓・悪性新生物など、人の命を救うために発展したのが西洋医学です。しかし、その反面「人の命を救うこと」以外には常に無関心と言えるかもしれません。医自体が権威であり、医師であれば人をたやすく支配できます。王も大統領も医師の命令に従います。そうした権力に魅入られてしまうのも医師の宿命であり、人の命を救って自己を顕示する方向に学問が進んでしまうのは医学の宿命なのかもしれません。そして西洋医学は実際に国家権力の象徴になり、政治的にも国民の票集めの道具となり、国を安定させるために不可欠な存在となりました。しかし、そこには王座のおごりがあります。


世界中どこでも西洋医学者(医師)たちは学問の成績トップの者がその職務に就き、医師免許という特別の資格を与えられて法律的に、経済的に、身分的に保護されてきたからです。彼らは人の命を救うことができる反面、人間の日常生活における苦痛を治して行くことに無関心でした。肩がこる、汗をかきやすい、姿勢が悪い、目がかすむ・・・など不定愁訴を人生を捧げて研究した医師は皆無に等しいと言えます。


私が提唱している「日常損傷病学」はまさにその日常生活における不定愁訴を治療することに特化した医学であり、これまでの西洋医学の「欠落した部分」を補うためのものです。そして西洋医学がもっとも関心を示さなかったのが「老化」であり、老化して不具合の起こる病気のほとんどを治すことができません。西洋医学は超高齢化社会を自ら生み出したにもかかわらず、「老化による不具合」を治療できないという最大の弱点をさらけだしてしまったわけです。


代替医療は日常難病で発揮されている

鍼灸、接骨、カイロ、指圧、漢方、その他様々な代替医療は当然ながら「西洋医学が関心を示さなかった病気」を専門に発展することになります。それらは日常に起こりうる病態で西洋医学が治せない難病ですから日常難病と呼べます。肩こり、腰痛などが代表ですが、それは一部に過ぎず、西洋医学で治す方法が確立していない分野の疾患のほとんどを網羅しています。例えば突発性難聴、自律神経失調症、生理不順、うつ、過敏性腸症、パーキンソン病など、西洋医学では対症療法しかない疾患を治癒に近い状態にまで改善させることがあります(もちろん治癒率は高いとは言えませんが、全く治せないと宣言している西洋医学よりはましです)。しかし、その実績を公表したところで信じる者はほとんどいませんので「裏の事実」としてまたは「きわもの」として扱われます。最悪にも、日常難病を治すテクニックがある者が、自分をサイキックであると主張し、宗教的に人を扇動しようとすることに精力を傾けることがあります。それを否定はしませんが、これがせっかく優れた代替医療が国家から無視される原因を作っていることに遺憾の意を示します。


詐欺の温床になる代替医療

代替医療は一部の分野で、西洋医学が及びもしない治療法の研究を行い西洋医学よりも高い治療実績を残しています。が、心霊や超能力と混同されることもしばしばあります。それは現代の科学で解明することができない治療原理だからです。そしてお金儲けや支配のために施術者自らが超能力者であると主張する者までいます。さらに、わらをもつかむ患者は詐欺に遭うこともまれではありません。実際に何百万円も治療にかけてしまう者が世界中に大勢います。


真に代替医療を研究し、難病を救おうとする施術者もいますが、「ほんもの」がどこにいるのかは一般人には見分けることができません。


もし、仮に本物がいたとしたらどのような状況になるか考えて見てください。全国から難病患者が殺到してしまい、本物自ら施術することが不可能となります。ですから、名の知れ渡った本物に施術してもらうことは極めて難しく、名の知れていない場合は成功確率が低く、どちらにしても難病を治療してもらうことは難しいでしょう。もしもあなたが真の施術者であり、難病を救う技術を身につけたとすれば何をするでしょう? 一人で救うには患者の数があまりにも多く、ならば弟子を作っていこうとするでしょう。よって、真の施術者であれば門下の弟子が多いはずです。そうした事実を頼りに代替医療の達人を探すことをお勧めします。


代替医療の長所

代替医療はとにかく「治してなんぼ!」のものです。保険が効かないので施術料金が高く、治せなければ倒産してしまいますから「どんな手を使ってでも絶対に治す」という崖っぷちに存在します。そこには西洋医学のような王座のおごりはなく、必死になって治療法をあみだそうとする姿勢があります。しかも、代替医療には「西洋医学で治らなかった者たちが来院する」という当たり前の特徴があります。なぜなら患者はまず安くて信用のある西洋医学にかかり、それでも治らなかった場合にのみ必死になって他の治療法を探そうと考えるからです。


そして当然のことながら代替医療には西洋医学では解明できない難病を持つ者が集まります。さらに当然のことながら、そういった難病奇病を治せない場合は倒産します。よって代替医療の施術者には常に「難病奇病を治さなければならない」という極めて重い圧力がかかっています。この圧力を、研究に研究を重ねて生き抜いた者のみが商売繁盛となるという法則があります。これが代替医療のすごさなのです。常に「西洋医学が解明できていない病気の分野で西洋医学よりも発展してしまう宿命」にあるのが代替医療です。とても当たり前のことです。


しかし、その事実は医師たちからバカにされ非難されることもまた当然であり、それは常に国家からは認められない存在になってしまうことも当然であり世界中でマイナーな存在となります。


蜂の針で治す、血液を抜いて治す、気功で治す、悪霊払いで治す…などなどその方法は多岐に渡りますが、どんな奇妙な療法も西洋医学よりもすぐれた技術が必ずどこかにあります。なぜならそれが彼らが存在する意味だからです。奇妙な療法をバカにしたい気持ちは私にもありますがバカにして無視するのは医師のおごりです。我々が治せないものを実際に治すことを尊重し、「なぜ治るのか?」を真剣に研究して西洋医学に取り入れて行くのが真の医学の姿でしょう。


代替医療施術者との対峙

私は医師であり西洋医学者です。西洋医学では治らない・治せない・不可解である病態にさえ診断名をつけてしまうという愚かなことをしなければならないという負の宿命を負います。この宿命のせいで、治らない患者を全て精神異常とし、精神病の病名をつけることがお決まりです。そうやって治せない患者が自分の元に来院することを拒絶して精神科送りにしたという過ちがあります。このことに強烈な違和感をおぼえたのがこうした日常難病を研究するきっかけとなりました。


これまで精神科送りにしていた患者たちの病気を、一つ一つ紐解いていくことを開始し、その積み重ねで数々の日常難病を治せるようになりました。もともと私は脊椎を研究していましたがそのうち脊髄、延髄、脳と研究が進み、現在の難病研究に至っています。治療の中心はブロック注射であり、今では内科的な糖尿・高血圧・胃潰瘍から、透析患者や不妊治療患者までブロックで治せるレベルにまで理論構築が進みました。


するとようやく見えてきたのが、西洋医学者の中にもペインクリニックの名医が、やはり私と同じような治療ができること。そして代替医療の施術者が同じように数々の難病を治療した実績を持っていることを初めて知りました。


そのきっかけは患者が教えてくれるからです。私の元へ来院する患者は、既に代替医療にもひと財産をつぎこみ、それでも治らなかった者たちが集まってきます。そうした彼らに話しをきくうちに代替医療者たちの能力のすごさを知るようになったわけです。


私が他の西洋医学者と異なるところは、既に自分で難病治療の理論を構築できているので、代替医療者たちが同じように難病を治せる話をきいてもそれを素直に受け入れられるところです。治す原理を知っているので彼らが治せることを不思議とは思わないですむのです。そして私が難病を治すずっと以前から代替医療者がすでに様々な「西洋医学では治せない」病気を改善させることができることを知りました。それはあまりにも大きなカルチャーショックでした。井の中の蛙大海を知らずとはこのことです。


体験しなければ理解できない

私の治療もそうですが、代替医療は他人の話をきいただけでは理解できません。例えば代替医療の施術者が自分のサイトで患者の五十肩を治している映像を流したとしても、その患者がこれまでどんな治療を受けても治らなかったこと、どのくらい痛みが強いのか? どれほど生活に困っているのか?はその映像からはわかりません。五十肩は整形外科でも治せる疾患ですから、「五十肩の治り難さ」がわからない状況では、治している映像を見てもそのすごさがわかりません。患者本人だけが「これまでどんな治療を行っても治らなかったものが数分の治療で完治した」ことのすごさを理解できます。


また、施術後、数日から1週間後に効果がやっと現れる場合が多々ありますが、この場合、患者は「施術のおかげで治った」とは思いません。これまで十年近く治らなかった病気が自然に治った!と誤解します。当然ながら施術者に感謝の気持ちもありませんし結局施術は効かなかったと判断するでしょう。


このような誤解、曲解、理解不能などが重なり、代替医療の施術者は高い能力を発揮しているにもかかわらずうかばれない宿命を背負っています。


代替医療の施術者たちは「これまで何をやっても治らなかった日常難病」を治したという偉業を行っても感謝さえされないという理不尽さを背負っています。


その理不尽さは施術者たちにとって極めて強い精神ストレスです。私は数々の西洋医学者たちが治せない病気を治していますが、患者は謝意も敬意もない方ばかりであり、時には患者の無礼な振る舞いに激怒することもあります。だから施術者たちの気持ちがわかります。偉業を行っても感謝されない理不尽さに押しつぶされてしまいます。


そこで一流の施術者たちに共通の概念があります。それは患者に感謝されることを期待するな!というものです。ただただ目の前の病気を治すことに集中し、自分磨きに集中しろ!と言い聞かせます。患者に感謝されたいと決して思うな!と常に言い聞かせます。それでも私は器量の小さない人間です。患者の無礼や私に向ける不信感に怒りを感じずにはいられません。愚痴を書いてしまいました。


代替医療体験の実例

私の診療所の医療秘書(事務長、医療クラーク/コンシェルジュ)であるAはつい先日下腿の外側を軽くぶつけてしまいました。しかし、その1時間後に痛みが足首にまで広がり、足首の痛みと腫れで歩行困難になってしまいました。


現医学では下腿の外側を軽くぶつけただけで、そことは全く違う場所の足首が腫れて痛みだすという現症は解明不能です。なぜ足首なのか? わかるはずがありません。私は難病治療者ですから、この原理をある程度理解しており「もともと神経が中枢過敏の状況にあるから逆行性に神経末端に炎症が起こっている」と解説し、その原因を取り除くために腰部硬膜外ブロックを行いました。ぶつけた箇所でもなく、足首でもなく、治療を腰部に行うわけです。西洋医学者から言わせればきちがいじみた治療です。が、その治療は成功し、痛みの7割が消失し、腫れもすみやかに引きます。しかし3割は残っていました。やはり、根本原因は神経過敏にあることは正解だったようです。


その翌日、「腱引きという古武術医療の施術者」の先生と食事をした際にAに1分程度施術してもらったところ、残りの3割の痛みがその場で完治しました。


私はAの病態が西洋医学では治らない病態であることを知っており、それを腰部硬膜外ブロックという奇天烈かつリスクのある治療法で7割改善させたわけですから、Aの痛みが難治性であることをよく知っています。それを1分で完治させるのをこの目で見てしまったわけですから敗北感が沸き起こります。腱引きの先生いわく長母指伸筋に原因があるとのこと。


真実を言えば原因は複数あります。神経過敏はもちろんその一つですが、それを誘発させているもの(圧迫?炎症?)があり、それも原因になっています。完治したということは原因が取り除かれたことを意味します。ならばその先生の診断は極めて的確だったということです。西洋医学には全くない診断概念です。


この時はじめて私は「原因がいくつもあるのなら、その全てを改善させない限り完治はない!」と悟りました。そして私の治療がどれほど正しく適確であったとしても、もう一つの原因を取り除かなければ完治はなく、それは私の技術だけでは無理であることを悟ったのです。難病治療にたずさわらなければ決して見えてこなかった全く新たな世界です。


難病治療に役割分担

西洋医学は日常難病と老化の分野の研究が極めて遅れています。その分野では代替医療は間違いなく西洋医学の先を行っています。例えば認知症は脳血管の萎縮、脳の血流低下から来ますが、認知症を姿勢矯正で脳の血流を増やすことで根本治療するという発想は西洋医学にはありません。


姿勢や筋肉のバランス理論は西洋医学には全くない概念であり、前述したような神経過敏+筋腱による神経圧迫?のような病態の場合、西洋医学単独では完治が無理です。


日常難病や老化を根本的に改善させるには役割分担が不可欠であり、西洋医学と代替医療が提携しなければなりません。そのことに初めて気づきました。難病治療が結んだ縁で気づかせられました。


西洋医学の限界を感じている医師は世界中に数えきれないほど多く存在します。そして、そういった医師の中には代替医療の凄さを知り、代替医療を取り入れようとする者もいることを知っています。医師も代替医療の先生の弟子入りする時代ですから。


しかしながら、役割分担して手を組むということはこれまで不可能でした。その理由は、代替医療は西洋医学が見放した分野の病気」を治療しており、手を組むにも治療分野が重ならないからです。油と水の関係です。交わっていません。


唯一、代替医療と西洋医学が交わっている分野はペインクリニックだけです。ためしに「星状神経節ブロック 効果」とネット検索すればわかります。このブロックが過去に様々な得体の知れない難病治療に利用されていたことがわかります。つまり西洋医学の中でペインクリニック科だけが代替医療との交点があります。ペインと代替医療が提携すれば、難病の治療成績が向上すると確信しています。


西洋医学と代替医療は犬猿の仲

西洋医学の不備を突いて隙間産業のように発展してきた代替医療と、常に学問や政治の王者でありつつ、他の医療を一切認めない西洋医学はまさに犬猿の仲であり油と水です。医療という一つの目的を持ちながら油と水であることに遺憾の意を表します。


私は常に患者に言い聞かせています。心霊治療であろうが、超能力であろうが、治るのであれば何でも受けてください」と。「治ることが正義であり手段は問いません。どんな治療を併用してもかまいません」と言っています。まあ、湯水のごとく大金を払っている患者には「やめたほうがいい」とアドバイスすることもありますが。


代替医療と西洋医学は互いに相手をののしり合うことが宿命です。患者にとっては迷惑な話ですが、国の制度がそうさせてしまう造りになっているからです。


私が代替医療と提携するためには、最低限、相手を尊重できる方であり、難病治療のためなら何でもする!という気構えのある方でなければなりません。


おそらく、西洋医学と代替医療が手を組めば、日常難病の分野では現存する最強最高の医療を提供できると確信します。しかし、表舞台には立てません。西洋医学は今や国家安定のための道具であり、国民を安心させて暴動が起きないようにするための重要な手段になっているからです。その西洋医学の威信を汚すことは我々には許されていません。ですから裏舞台の最高医療として活躍することになるでしょう。


これは代替医療を行っている方々へのお誘いでもあります。それぞれが難病治療の得意分野をここに持ち出し合って我々と手を組むことを勧めています。拒否した代替医療の先生たちはマイナーの中のマイナーへと転落するリスクを背負うでしょう。


それぞれが「自分が一番!」と思わずに、一番の分野とそうでない分野を正しく理解し、苦手な治療は相手に預け、患者を共有して総合的に治療を行う組織づくりを目指します。日常損傷病学は、その音頭をとることをここに宣言します。


こういう書き方をすると代替医療の偉い先生方は著しくプライドを傷つけられると思いますが、難病治療にプライドなど必要ありません。患者を救うためにはプライドを捨てられるという先生方のみ私にアクセスください。患者の地獄を救ってあげてください。


ブロック治療の限界

私はこれまでブロック注射の技術を日々高めてまいりました。極めてリスクの高い頸部硬膜外ブロックでさえ安全に行う技術を磨いています。そして痛くなく、できるかぎりリスクを遠ざけ、安全かつ気軽に行えるまで技術が高まりました。よって、マッサージに行くくらいの気軽さでブロックを受けていただくことができます。


しかし、その反面、私には極めて重い責任がかかります。少しのミスも許されない、合併症の一つも起こすことはできないという責任です。その責任を負いつつの治療となるため、1本のブロック注射に「気絶するほどの緊張感」を持って治療を行っています。それを1日に100本近く行うわけで、私は肉体と精神が壊れる寸前です。


ブロックをカジュアル化するにはあまりにも医師に負担がかかりすぎます。やはり、ブロックはどこまで行っても「危険なもの」です。それをカジュアル化することは医師の誰にでもできることではありません。ブロック以外で治せるものは「ブロック以外で治さなければならない」というのが医の倫理と思います。


私がブロックを行うのであれば、「ブロックでしか治すことができない病態」に特化すべきです。代替医療の技術力の凄さを知った今、日常難病を治すには役割分担をしなければならないと感じます。


代替医療の先生も井の中の蛙

まるでサイキックのように代替医療で難病を治せる先生がいることを私は理解しています。しかし私の元へはサイキックのような治療を行っても治らなかったという「さらに上の強者の患者」が訪れます。代替医療の先生方は医師の中にも私のようなキワモノがいることをご存知でないでしょう。サイキックに近い技術をお持ちの先生ならなおさら私のような医師がいることを信じられないと思います。井の中の蛙はお互い様です。


私はサイキックの先生とは違い、安い治療費で、かつ少ない回数で治してしまいます。だからこそ多くの民に必要とされます。手を組めばさらに多くの民を救えます。お金儲けにしか興味がない先生にとっては我々の存在は目の上のたんこぶになるかもしれません。


代替医療の限界

中には代替医療で「癌を治せる」という先生もおられると思います。しかし、たとえ治せたとしても、成功率は高くありません。サイキックの先生は成功率を正しく評価・公表しないことに不誠実さがあります。たった一人の癌患者を救っても、そこにおびれとせびれがくっついて、誇大に宣伝するところに不誠実さを感じます。治せる可能性があることは否定しません。


ただ、難病を治せたとしてもそこには多大な労力がかかりすぎます。代替医療で多大な労力をかけると患者の財産がたやすく奪われるほどにお金がかかります。代替医療の先生方は常に「患者にお金を遣わせすぎないこと」に留意すべきであり、自分で治せると思っても、もっと早く安く治療できる手段として、私のような医師に患者を紹介するという手段をとるべきです。私のような医師は全国にほとんどいませんので、私は今後、弟子を育て、難病治療のできる医師を送り出していく義務が生じます。


痛みを取り除けるスペシャリストも多いと思いますが、基本的に骨壊死による痛みは小手先の施術では治せません。よって治り難い患者がいた場合は遠慮なく私に紹介してください。なんとかします。代替医療の先生方は自分の限界を知ることを恥だと思わないでください。西洋医学と代替医療、お互いに得意・不得意分野があるのですから。そして私はこうして西洋医学の恥をさらけだしています。


代替医療のリスクは軽視できない

西洋医学では常に死亡事故が起こっています。しかし国に認められている医師免許を持っていると法律的に保護されます。西洋医学、特にブロックはリスクが高く事故が多いものです。そのため患者はペインクリニックには第1選択として来院しません。それでよいと思います。ペインクリニックの医師はそれほど多くなく、第1選択で来院されるとクリニックがすぐにパンクします。私はブロックのリスクを低くするために日々修行しましたが、多くのペイン科の医師はそういう修行にはあまり関心を示しません。その理由はブロックの手技料金が安すぎるためです。値段が安いと治療に時間を多く割くことができません。短時間でブロックをしなければならず、リスクを低くさせようとすれば手技に時間がかかり赤字経営となるからです。私は赤字を考えずにリスク軽減重視ですが、そういう医師はほとんどいません。よって「ブロックは危険なもの」という概念は正しいものであり、それよりも代替医療の方が安全という概念も間違っていません。基本的に代替医療で治せる日常難病は代替医療で治すべきです。


ただし、代替医療で合併症を作ることが先生方が考えている以上に多いと思われます。マッサージや整体、リハビリは安全という概念はもうすこし考え直すべきです。


例えば人の関節は年々変形しますが、変形とは顕微鏡レベルでは局所に骨折や骨壊死が起こっています。痛みを改善させようとして施術すると、壊死部分が落ち込んで小さな骨折を起こします。小さな骨折はレントゲンでは映りませんが、痛みは強烈で治るのに1~2か月要します。こういった病態には免荷での運動が必要であり、そういうことを知らない施術者が合併症を作ってしまいます。代替医療は安全という考え方はそもそも間違いであり、病状によってリスクが高い場合があることを研究し勉強しなければなりません。私と手を組めば、予期せず合併症を作ってしまった患者をフォローすることもできます。訴訟になるリスクも回避できるようになります。


患者を救いたい気持ちが強い施術者ほどリスクにも飛び込みますから、そういう先生こそ私のような医師と手を組む必要があると思います。


不要な手術を避けるすべ

今も世界じゅうで「やってはいけない手術」「やる必要のない手術」が毎日行われています。それは西洋医学の保存療法では治らない→手術、という安易な考え方があるからです。それは間違いであることを密かに世間に知らしめていきましょう。もちろん、表舞台には立ちません。西洋医学の教授たちの顔に泥を塗ることは避け、国家の威信の象徴である西洋医学を尊重しつつ、裏舞台で日常難病の患者を救ってさしあげましょう。このブログがその幕開けです。

超慢性療法で手術を回避する~人体の驚異的適応力~

2017年治療成績

人体適応力のすごさ

 症例1)1枚の脳のMRI写真

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このMRIは86歳男性が転倒時に撮影したものです。血腫が左脳の大部分を圧迫しており、側脳室もつぶれています。普通に考えれば生きているのも信じられないような状態です。しかし、この男性は“無症状”なのです。行動、言葉、記憶力、判断力・・・全て正常で何の障害もありません。これを診察した医師はあわてて緊急入院させ、手術をしようとしたのですが、本人に症状が全くないことから、結局「過去の出血」で、手術の必要はないと判断しました。


このMRIは血腫の形成が極めて緩慢であれば脳神経細胞は血腫に圧迫されても、狭いところでも生きられるように適応することを意味しています。これが人間の適応力のすごさです。人の細胞は極めて長期間、時間をかければ、極めて悪い環境にも適応するということです。


症例2)ほぼ症状のない脊柱管狭窄症

次のMRIは私のサイトにも掲載してある高度な狭窄があっても症状が出ない症例です。

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黄色に塗った部分が狭窄した脊柱管、正常の約20分の1の断面積


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矢状断MRIでは脊柱管が途切れているように見えるほど狭い


この高度な狭窄所見の男性は78歳。腰痛・下肢痛がなく、症状は軽度の痺れ感、1年前から100mの間欠性歩行の出現ありという症状。つまり100m以内の生活であれば不自由がありません。もちろん、間欠性跛行は不自由でしょうが、今のこところ手術の必要も治療の必要もありません。これほどの狭窄があれば尿意や便意の消失などが起こってもおかしくありませんが、直腸膀胱症状の所見はありません。


これほど高度な狭窄があっても、それがゆっくりした時間をかけてなったものであれば、症状が出にくいという例であると思われます。馬尾神経がこの細い空間に適応した例です。


症例3)変形していても痛くない膝

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この写真は82歳女性。10年前から膝痛で整形外科に通い、月に1~2回の注射を受けています。左右共に末期の変形関節です。しかし、痛みの訴えはあまり強くなく、歩行には支障をきたしません。この写真を見ると「変形が進行すると歩けなくなる」と患者を脅して手術に無理矢理持ち込もうとする整形外科医の話を信じてよいものか?と疑いたくなります。

答えが見えてきます。「ゆっくりした時間をかけての変形であれば、人の関節は適応し、それほど強い痛みを感じることなく一生を送ることができる」というのが真実であると推測されます。


症例4)変形していても痛くない股関節

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この写真は58歳女性の右の股関節。3年前から軽い鈍痛があり、整形外科で消炎鎮痛剤をたまに処方してもらって対処していました。骨頭は変形し球形をしておらず、関節裂隙がほとんどないほど軟骨が摩耗し、さらに関節面が凸凹しています。それでもほとんど痛みなく生活ができています。他の整形外科医には「いずれ変形が進行して歩けなくなるのだから手術しなさい」と言われていますが、それは真実でしょうか? 関節が壊れても、その壊れる速度が極めて緩慢であれば、人間の体は適応し、痛みがほとんどない状態で一生を送ることができると思われます。


4例の共通点

手術を受けなくても十分に生活が遅れていること。画像上は極めて酷い進行状況であるのに、症状がほとんど出現していないこと。最後の1例を除き、「一生手術は必要ない」ことです(最後の1例はまだ58歳なので将来が未定)。

そして、おそらく「画像上の変化は数年から10年の月日をかけてゆっくり緩慢に進行して行った」と思われる点です。


医学の常識を覆す新理論

私たちは現在ある症状を軽快させるために薬剤、注射、手術、リハビリなどを必死に行っています。しかし、器質的な変化が非常にゆっくりになるのであれば、無理に治療しなくても人体の細胞が自然に適応してくれるという理論を学ばなければなりません。この理論は癌治療でも同様です。脳の大半を埋めるような脳腫瘍でさえ、その腫瘍の大きさが非常にゆっくりとしか成長しない場合、人間の脳は何の障害もなく適応すると思われます。切除することだけが治療ではないということです。


癌の進行を抑えることができるのなら、それだけでまっとうな人生を何の障害もなく送れる可能性があると言うことです。

関節の変形もそうです。変形の速度を遅らせることができるのなら、手術をしなくてもほとんど痛みのない関節を一生維持できるでしょう。その人体の適応力を信じれば、これまでの医学からは考えもしなかった全く新しい治療法が見つかります。それは超慢性療法です。治すのではなく進行速度を遅らせる新治療です。


痛み症状が強いのに画像に変化がない

痛くて仕方ないのに、病院に行ってレントゲンを撮影すると「異常ありませんねえ」と言われて薬だけ処方されるパターンがあまりにも多いことに私は現医学の無力さを常々感じています。症状が強いのに画像に変化が出ない理由を正しく説明できる医者はいますか? 答えはノーです。


医学書に「画像の変化が出ない理由」が書かれていませんし、そんなことを研究する医師もいません。しかし、私は常識としてその理由を知っています。


「画像は常に過去の傷跡を見ているのであって、現在の病状を見ているのではない」というのが真の理由です。画像上の変化は、骨が崩壊、血管が破れる、靭帯が切れるなどのはっきりした変化がない限り現れません。人間の体は、組織の崩壊→炎症反応→死細胞の除去→細胞新生と変化しますが、これが通常通り行われている場合は画像には何も映りません。炎症反応が強くて症状が莫大であっても画像には出ません。何か特別大きな破壊か、細胞適応などを起こさない限り目に見える変化はありません。細胞適応が起こるには時間がかかりますから、今現在は変化なしです。よって昨日今日出現した症状では画像上「異常なし」は当たり前のことです。時間が経たなければ異常は見えてきません。


多くの人はここを勘違いされています。症状が強いのだから画像診断で何も出ないのはおかしいと考えていることが間違いです。折れる、切れる、破れる、腫れる、貯まる以外で、現在進行中の炎症を映し出せる医学技術は、現代の科学では皆無であることを認めなければなりません。数ミリ程度の大きさの病変を映し出す技術もありません。


逆に患者の立場では、これだけ症状が強いのだから何か見落としていると考えたいところですが、それも違います。見落とすも何も、急性期には変化が現れないのですから。


急に膝を痛がる患者の写真は正常

今まで膝痛などなかった人が、急な膝痛で病院に行き、「画像上異常なしです」と言われると怒りだす患者がいます。今の痛みが3か月間続けば、画像に変化が必ず現れるでしょう。しかし、1日に0.1mmずつ破壊されているのなら、今日は0.1mmの変化しかないわけですからそれは画像上認識できるはずがありません。だから正常に映ります。


しかしながら、重要なことは「細胞レベルでは極めて急な変化が起きている」ということです。局所では毛細血管が壊れ、細胞が死に、炎症反応が起こり、補体が終結し、浮腫が発生し、PHが低下し、熱も発生する・・・という大嵐が起きています。それはミクロで起こっていることなので目に見えません。若干腫れていることがわかる程度です。炎症の範囲が小さければ、血液データにも異常が出ません。こうした事実を常識として知っておかないから臨床現場でトラブルや言い争い、不信感が起こります。


人の体は急激な力により壊れる

人に発生する様々な症状は、全て急激な物理学的、化学的な変化によって起こります。Ph、重力、温度、圧力などの急激な変化です。非常にゆっくりとした変化であれば、変化幅が広くても症状は起こりません(起こりにくい)。ゆっくりとした変化であれば、細胞やホルモンなどが適応するからです。


難病は一つの変化ではなく、いくつもの変化が何重にも積み重なっておりなす変化であり、そのスピードは想像以上に速いと言えます。非常に緩慢に進行して行っているように見えるパーキンソン病などでさえ、ミクロの細胞レベルでは物理的な急激な変化が起こっています。全体的な進行は遅いのですが、細胞が新陳代謝するよりも速い速度で細胞の壊死が起こっており、新陳代謝が間に合わないほど急激な変化が起こっています。


人間は死んだ細胞を排除して新しい細胞に置き換える力を持っており、体に不具合が出る時は、そうした新陳代謝の速度よりも速い速度で細胞の壊死が起こっているという考え方が必要です。その細胞壊死を起こすほどの急激な変化の速度を落とす治療という新たな概念を提唱します。治すのではなく変化の速度を緩める医療です。


ステロイド療法が代表的超慢性療法

ステロイドホルモンは局所に起こっているphの変化、圧の変化、貪食細胞集積、などの抑制を行い、物理的・化学的変化を緩慢にさせます。これがステロイドホルモンが万能薬のように言われる理由です。しかし、同時に新陳代謝まで抑えてしまうので、これが裏目に出ると細胞の新生が起こりにくくなり、死細胞のゴミを増やしてしまうと思われます。これがステロイドを長期大量に使用してはいけない理由の一つです。


さて、私たちはステロイド以外でもう少し建設的に変化の速度を落とさせる治療法を考えなければなりません。その骨子が生活指導です。


本格的な生活指導が健康を変える

例えば、症例3の膝痛の場合、関節面には重力がかかり、この重力の急激な変化が関節を破壊して行きます。

ではどうすれば急激な重力変化を除去できるでしょうか? それは足の裏に適切にフィットするクッションを敷くことで除去できます。階段を降りる時は手すりを使って後ろ向きに降りていただきます。立つときは必ず何かをつかんで立っていただきます。そうした指導を行うだけで症例3の女性は一生手術をすることなく、自分の膝で天寿をまっとうできるようになります。


それでも転倒などで予期せぬ急激な変化を膝に起こしてしまうときがあります。その時にはステロイドなどの薬剤を用いて局所の急激な壊死の進行を抑えてしまう。


こうした生活指導+医療で超慢性療法に導くことができます。これが一生涯手術を回避する方法であり、これまでの外科中心の医療を猛反省する新医療です。


超慢性療法成功の指標は痛み

私はこれまで一般的な医師が行わない方法で「全力で痛みを取り除く」治療を実践してきました。この治療のおかげで私が治療している患者はほぼ全員が手術を回避しています。脊椎や関節の疾患を持つ患者が1日に40人来院する外来ですが、その中で実際に手術を受けさせた患者は1年間に1名程度です。手術回避率は99%以上です。


この実例が示す真実は「正しく治療と生活指導を行えば手術は必要ない」ということです。どんなに関節が変形していても、その進行度にはほぼ無関係です。人の体は変形が激しくても長期間かければその変形に適応するからです。


ただし、変形の速度が速ければ適応できません。変形の速度は個人差があり、重労働をする方は速く、軽作業では遅くなります。よって治療や生活指導は患者別に流動的に行っています。その指標となるのは痛みであり、痛みこそが変化の速度を表していると推測しています。このことを示した論文が「膝の痛みと経年変化の関係について」です。


これは「痛みとは何か?」という究極の医学課題の答えでもあります。痛みというものがこの世に存在しているわけではなく、あくまで痛みは電気信号です。その電気信号はまさに「急激な変化のスピードメーター」であるというのが答えであると思われます。痛みは環境の急な変化を表し、痛みを取り除く=変化の速度を遅らせる、ことであるという新理論です。


すなわち、私のように痛みを徹底的に取り除く治療を行っていれば、ほとんどの人が手術を回避できてしまいます。ただし、この新理論は医学の権威を失墜させます。そして医療費の消費を大幅に減らします。つまり医者の収入も威信も激減します。よって世界が認めたがらないことでしょう。しかし皮肉なことに、現役時代にバリバリ手術していた医師が、開業して保存療法を主体に治療をし始めるようになると、とたんに私と同じような超慢性療法に興味を持ち始めるようになることです。手術と超慢性療法、どちらが優れているのか?真実は各自考えてください。


リハビリや生活指導の問題点

私はこれまでの医学概念にない破壊スピードの要因について述べています。変形速度=細胞壊死速度-細胞新生速度 という公式が定義です。そもそも治療とは細胞新生速度を高めるか、細胞壊死速度を低下させるかして、変形速度を低下させること言えます。生きているだけで全ての器官は変形していき、変形速度をマイナスにすることはなかなか難しいことです。マイナスとは若返りを意味します。しかし、変形速度が低下すれば、人体細胞は適応し始め、変形のままでも恒常性を保つことができるようになります。


これまでのリハビリにはこうした速度の概念が欠如しているため、「何でもかんでも鍛えればよい」という誤った方向にしばしば進みます。リハビリをすることにより、変形速度を速めてしまうことが多々あるからです。筋肉を鍛え、可動域を広げてあげることは、一つの適応です。ですが適応させようとして変形を生み出してしまうようでは本末転倒です。現在のリハビリや生活指導には細胞新生速度を高める、細胞壊死速度を低下させるという治療の原点的な考え方がないため良い方向にも悪い方向にも向かいます。細胞新生速度を高めるにはどんなリハビリがよいか? 細胞壊死速度を低下させるにはどんなリハビリがよいか?ということを理論的に考えていかない限り、現代のリハビリ学に未来がないでしょう。


当然ながら生活指導も同じことであり、「とにかく歩きなさい」という全く理論を無視した生活指導が蔓延していることを悲しく思います。


実際にどうすればよいか?

超慢性療法では生活指導がその骨子になります。例えば私は崩壊の激しい膝関節痛に対し、1ヶ月の松葉杖歩行(免苛)を指示します。「歩きなさい!」などという指導はもってのほかです。細胞を壊死させるのは日常生活が原因ですから、できるだけ細胞を壊させない生活をさせます。そのために補助として健康グッズ、寝具、椅子などのアドバイスもします。そしてこれらの研究開発も行わなければなりません。


ただし、生活指導については実際にどんな姿勢が体勢が、仕事が、体を壊していくのか?何をどのように気をつければよいのか?は全く一言では述べることができません。私は生活指導がこの世に現存するどんな治療法よりも一番難しいことをよく知っています。そして生活指導の専門書を執筆する計画もあります。が、簡単ではないことだけは先に述べておきます。


また、世の中にはすでに超慢性療法的な治療法に気づいておられる頭のいい医師もおられます。そういう頭のよい方は既に世の中を騒がせるような本を執筆され、ベストセラーにもなっています。しかし、書籍の中でいかに核心をついたことを述べていようとも、本は所詮流行りものであり、後世の人々に残ることはありません。世に残し、後世に知恵を残していくためには学会を組織し、学問の形態をとって残していかなければなりません。日常損傷病学はまさにそのために名づけたものです。


超慢性療法の破壊力

超慢性療法は超高齢化社会を支え、かつ国の経済を支えることのできる将来性のある治療論であり、医療費を抑えることができます。よって本療法は医学産業を質素倹約へと導き、それらを生業として生きる者たちの生活を壊します。よって様々な妨害工作を受けます。実は妨害工作は既に発動しています。それは厚生労働省が発動するものです。


超慢性療法には関節内注射や腱鞘内注射、滑液包内注射などが不可欠ですが、それらの保険点数があり得ないほどに安く設定されるという妨害工作です。あり得ないほどに安い場合、医師はその治療をすると赤字経営に追い込まれるため、そうした治療をすることができなくなります。腱鞘内注射は今年4月に270円というあり得ないほど安い値段にされてしまい、事実上、厚生労働省が腱鞘内注射を禁止したのと同じことになりました。関節内注射も800円と破格値であり、注射をすればするほど人件費赤字になります。よって、医師は注射をしなくなり、変わりに薬とシップと温熱療法のみとしますから、多くの患者がその痛みに耐えられなくなり、手術を選択するしかないようになってしまっています。


すでに超慢性療法は一昔前から妨害工作を受けていることがわかります。外科医にとっては手術に向かわせることは極めて有利ですが、それは彼ら(外科医)の威信と給与アップに対して有利なのであって、国民にとっては極めて不利な話です。


官僚は教授たちと手を結び、教授たちの都合のよいように医学制度を改革させています。別にそれを恨んでいるわけではありません。変革には痛みを伴うといいたいだけです。真に国民の健康が推進されると、困ってしまう権威者が多いのです。特に外科系が困るのです。


超慢性療法を支える代替医療

鍼灸・整体・マッサージ、特殊な温熱療法などは西洋医学よりも「痛みを取り除く」ことに関して上を行きます。もちろん西洋医学のみで痛みが除去できる方はそれでよいのですが、整形外科に通っても全く効果がない人々は、実際には代替医療にかなりの割合で流れて行っています。整形外科医が少ないのでそういったことを彼ら(医師)は気づいていませんが、20年後には医師過剰時代が訪れますので、そのときになって彼らはようやく気づくと思われます。


前にも述べたように、超慢性医療の指標は痛みであり、痛みを取り除くことができていれば、人の体は変化に適応し、痛くない体へと変化します。方法は問いません。よって、実際は超慢性医療を、既に代替医療の方々が実行しています。整形外科医が治せない痛みを、彼らが治してしまっています。しかし、代替医療のことを整形外科医があざわらい、馬鹿にし「俺たちの方が断然優れている」と思い込み、実際には負けていることを知ろうとしていません。当然ながら整形外科医はマスコミでは圧倒的に有利ですので、代替医療が表に出られないように否定し続けます。まあ、それは世の流れなので仕方ありません。強いものが勝ちます。しかし、いつまで強い者でいられるのか疑問です。


私が「代替医療が整形外科よりも優れている」ことを知るきっかけとなったのは、このHPを作ったことです。世の中の「治らないものたち」を診察するようになり、そういう人々がいろんな治療を受けてどうなっているか?を患者の口から聞くようになったからです。明らかに整形外科で処方する薬とシップよりも効果が高い。しかもそれは整形外科の分野だけでなく、内科の分野でも同じことが言えるのです。


なぜ彼らが医師よりも超慢性療法に長けているかというと、彼らは患者から100%の治療費をいただくからです。治せない=倒産、を意味するからです。いわば背水の陣で患者を治そうとするため真実を追究しなければなりません。そのがけっぷちの姿勢が医師たちよりも優れているため、代替医療が西洋医学よりも進歩するのです。西洋医学かぶれの方々はそのことを知らないようです。なぜなら、代替医療は常に西洋医学から批判の対象とされ「西洋医学よりも治せる」という事実が表に出ないように叩かれているからです。


私の提唱する超慢性医療は西洋医学ですが、当然ながらその破壊力のために、表に出られないように妨害される運命にあります。のきなみ、保険点数をあり得ないレベルまで引き下げられるという妨害を受けていると行ってよいでしょう。開業医もまた、大学の教授たち、大病院の経営者たちにとっては気に入らない存在です。よって、大学病院では行わない雑多な治療はどんどん保険点数が引き下げられる運命にあります。開業医も厚生労働省から妨害を受けるのですから、超慢性医療は前途多難です。

自分を信じることができますか?

2017年治療成績

人は力を信じる

あなたは何を信じて病院に行きますか? たとえば難聴をわずらえば「耳鼻科に行けば難聴を治してくれる」ことを信じて耳鼻科に行きます。しかし「耳鼻科医が難聴を全て治せる」とは彼らは宣言していません。実際のところ、耳鼻科医は「感音性難聴は治せない」と宣言しており、それでも私たちが難聴になった時に耳鼻科に行く理由は、耳鼻科医は「耳のことなら何でも治せる」という妄想を私たちが抱いているからであることがわかります。ではなぜ医者が病気を何でも治せるという妄想を私たちが抱いてしまうのか?を考えましょう。


それはマスコミが医学の力を誇大に宣伝しているからです。医療の最先端では難病奇病が即座に治るという「現代医学の力」をマスコミがテレビ・新聞・雑誌・広告などに垂れ流し、視聴率を稼いでいるからです。


医療費は国家予算の数割を占める金食い虫です。日本はその金食い虫を、財政赤字がどれほど膨らもうともとにかく「国民全員」に配ろうとしています。しかも、特に、お金を全く稼ぐことのできない生活保護者や高齢者に湯水のごとく配ります。そんなことをして一体国がどんな得をするのでしょう? それは国民の不満を鎮められることでしょう。国家の安定には、何よりも医療を充実させること!が最重要です。だから金食い虫を放置してでも大金を賭けて医療を(西洋医学を)国民全員に配ります。全員に!です。


そうやって国家安定を計るためには、医学が「何でも治せる」という誇大妄想が必要です。「耳鼻科で治せない突発性難聴が鍼灸師に治せる」ということが知れ渡ってはなりません。とにかく西洋医学が全ての治療の中で最高であることを国民に信じさせなければ国家は安定しません。


このような国家成立の大前提の中でマスコミは動いています。特に日本のテレビ局は放送権を国からの許可で得ている(特権な)ので、国の意向に極めて従順です。よって「西洋医学で何でも治せる」という誇大妄想を放送することに罪悪感がありません。


ここで最初の問いかけに戻ります。私たちは一体何を信じて医者に行くのでしょう? それは国が作り上げた「西洋医学は何でも治せる」という誇大広告を信じて医者に行っているわけです。そしてそのお金(治療費)を国が支援しています。国が支援している西洋医学こそが世界最高でなければ国の威信が低下します。だから誇大に宣伝せざるを得ません。すなわち私たちは国家権力を信じて医者にかかるという行動をとっています。それは力です。国民を手なずけるための力です。つまり私たちが信じているのは力なのです。


力を生み出すもの

力を生み出す根源となっているのは誤った形で悪用されている統計学です。ここでは詳細を述べませんが統計学の誤用についてはこのHP内でも述べています。西洋医学は統計学をベースに発展してきましたが、その統計学が誤用されているためにありもしない因果関係をでっちあげることができてしまいます。統計学には「人を信じさせるマジック」が存在し、そのマジックを利用して教授と呼ばれる権威者たちが自分の考えた医学理論が「真実であるかのように」見せかけます。


統計学はどこまで行っても「因果関係を述べてはいけない学問」なのですが、教授たちは自分の権威を利用して因果関係があること主張し、反論を権力でねじふせます。そして科学雑誌に掲載させてその理論が真実であるかのように見せかけます。そうした「権威づけ」のせいで国民は正しくない理論を真実であると受け入れます。わかりやすく言えば「国民が信じているのは権威」なのです。権威が力を生み出し、その力で国民をねじふせています。


権威はショービジネス

権威を作るためにルールがあります。日本医学界では東京(難関国立)大学を卒業し、研究論文を書き、教授になり、官僚と手を組み・・・という権威づけの流れがありますが、論文で常に示さなければならないのがエビデンス(証拠)になります。よって証拠は捏造されることが日常茶飯事になります。そして証拠は目に見える形でなければならないので、派手でなければなりません。逆に言うと派手に見える証拠が生み出せるショーをプロデュースできなければ世界に名を残せません。人間の体の中で証拠を作り上げることのできる病気を研究しなければ権威や名誉を手に入れることができません。よって、派手な外科手術、注目の再生医療、薬の開発などがどんどん研究され、証拠を示すことのできない病気は研究されないままになります。


よって自律神経失調症、耳鳴り、かすみ目、感音性難聴、うつ、慢性疲労、神経性胃炎、下痢、腹痛、頭痛など、私たちが日常で経験する病気はどの病院に行っても治すことができません。これらは研究したところで証拠をのこすことができないので、論文として成立せず、よって権威が欲しい人々は誰も研究しません。


私たちは権威者(教授たち)のショーを見て手を叩いて喜び、そしてその権威を信じて医者にかかるわけですが、治せるのはショーのお題目にある派手な病気だけであり、日常に経験している不定愁訴的な病気は全く治せません。また、患者はショービジネスの材料、実験台にされ、手術の必要もないのに手術を勧められることになります。


そうしたショービジネスを先導する役割が国家(厚生労働省)にあり、大学教授が官僚と手を組んで国民を管理しているのが先進国のスタイルです。

患者はショービジネスの題材にされているのか?本当に必要な治療を受けているのか?を個人個人が考えた方がよいでしょう。


インターネットは無法地帯

西洋医学は派手な病気の分野では発達していますが、ショーにならない地味な病気の分野では劣ります。国民は「この事実に気づく者」と「この事実に一生気づかない者」に二分されます。前者の「気づく者」は現代医療(西洋医学)に不信感を持ち、インターネットを利用して自ら情報を収集しようとするでしょう。しかし、そこには商売の罠が何重にも仕掛けられています。インターネットには発言の規制がほぼありませんので医療従事者が自分の商売のために患者を引き込もうとして「都合のいい結果」しかネット上に公開しません。ネット上の理論の真偽は本当のところ誰にもわかりません。これはネット上に嘘が多いという意味ではありません。真実も書かれていますが、それを証明するものがこの世にはないという意味です。

ネット上の理論が真か偽か?は各自が自分の頭で考えるしかなく、自分の決断に責任が持てない者はそれができません。


占い師に頼みましょう

例えば、私のHP上に書かれている論文が真実か偽物か?を私は敢えて述べていません。私が医者であることも嘘かもしれません。なにせプロフィールが掲載されていません。自分のことを野良医者であると言い、反社会性のあるサイコパスであるとも言い、むしろ、人々が不信感を抱く材料をふんだんにちらばらせています。


それはあなたがたに「考えること」を教えるためです。普通の人は考えることをせず、評判、権威、有名度で自分がかかる病院・医者を選びます。だから、逆にそれらを一切ここに掲載していないのです。私を信じるか信じないか?を自分の頭で考えなさい! そして自分の責任において私に頼るかどうかを決めなさい!という意味を込めています。


こうなると、責任がとれない人は占い師に相談しに行くしかありません。私は生年月日を公表していませんので、このサイトを見つけた日で占ってもらうしかないでしょう(笑)。


このサイトの信用性を考える

このサイトが商売目的で作られているのか? このサイトの治療実績が本物か? どこまで著者の理論を信じてよいか? のヒントを莫大にちらばらせています。嘘か本当か、信用してよいか悪いか?の判断は、実はそこにかかるコストで判断することができます。


たとえばK氏とBの不倫騒動は売名行為に自らネタをマスコミにばらしたのか? 誰かにばらされたのか?を考えるとき、売名で上がる予想売上と売名で下がる被害額の差で真偽を推測できます。売名で年収が1億上がったとしても、汚名で被害額が100億円であれば、これは自らネタバレさせたものではないと推測できます。


というように、人間は自ら損失に飛び込む自殺行為を理由なくできないという本能を持ちますから、コスト計算で真偽をかなりの確率で見分けることができます。


例えば、私が商売根性でこのサイトを立ち上げたとすれば・・・まず、これだけの研究と労力にどの程度の製作費がかかるか? 制作年数が何年かかるか? 医者ではない者にこの研究ができるか? どれほど強い意志が必要か? 何のためにそんな強い意志を持つ必要があるのか? が見えてくるはずです。莫大なコストがかかります。そのコストをたかが「患者を自分のところに少し多く呼んで商売を繁盛させたい」というような目的でこのサイトを立ち上げているのかどうか?が自ずとわかるでしょう。


これほど莫大な研究と情報量を一人の人間が公表しているとなると、その目的は個人レベルではないことを推測出来て当然ではないでしょうか? この世界に何かをやり残そうとする志がなければ、こんなことはできないと思いませんか? これだけ莫大な情報量です。私利私欲のためにこの情報を流すにしてはコストの掛け過ぎです。コストの方が利益をはるかに上回ります。


データを改竄し、自分に有利な情報のみを載せ、信憑性がないと考える人もいるでしょう。しかし、もしもそれがばれた場合の損失を考えてみてください。信憑性のないことを一つでも出せば、全ての理論の信憑性が失われます。これだけの莫大なコストをかけているのに、たやすくデータを改竄し、信憑性を失墜させることができるでしょうか? そのリスクとベネフィットを考えてみてください。データ改竄はあまりにもリスクの方が大きいでしょう。そういったことを、これを読む一人一人に考えてほしいという願いがあります。


私は人の心を読めます

このサイトには私が「真実のみを追究してきた」ことがわかる証拠がいたるところに存在します。医学書に疑問を持ち、権威者に一切媚びず、真実だけを見ようとした証拠です。


真実を読むことを人生の課題としてきた私は、その特技を活かし、以前、人の心を読むことを仕事にしていた時期がありました。ですから患者の心の動きが、視線やしゃべり方、態度で瞬時に理解できます。さらに、治療法を説明し、治療を受ける決断をするまでの言葉の間合いで、この患者が何を考えているのか?がすぐにわかりました。患者が私に不信感を少しでも抱いていれば、それは手に取るようにわかります。真実を追究する=人の嘘を見破る、ことを意味しますので不信感を隠そうとしても私の前では無駄です。


さらに私は徹底的なエコノミストでした。治療では一切の無駄を省きます。というより、省きたいのです。不信感を持つ患者には、まず、私を信じさせるパフォーマンスから入らなければなりません。そのパフォーマンスは「無駄の極地」であるため、私にもっとも精神的ストレスがかかります。患者を信じさせるために「効かないとわかっている治療」から始めなければなりません。


例えば、頸椎が原因で足がしびれていると推測した患者がいたとします。この患者は「腰椎が悪いから足がしびれている」と自分では思っています。その患者の頸椎にリスクあるブロックをしようとすれば必ず拒否されます。よって効かないとわかっている腰椎へのブロックから開始しなければなりません。


また、この患者は「最低でも10回以上治療しないと効果が出ない」と推測できた場合、効果の出ない治療を9回近くしなければならないわけで、私に不信感を抱いている患者にはとてもできません。よって、長引くことが予想される治療の場合、不信感のある患者には治療を拒否せざるを得ません。


もしも私に治療を受けたい方がおられるのであれば、私が人の心を読む専門家であることをどうか知っておいてください。無駄なことはしたくないからです。


人の心を読み、人の痛みを感じることができるからこそ、リスクあるブロック注射を安全にできるということをどうか知っておいてください。ほとんどの医者にはない能力です。


治療実績は着実に上がっています

このサイトを立ち上げてたったの数年ですが、全国から難病症例が集まり、治療実績はここに掲載してあるものよりも何倍も多く経験しています。残念ながら、あまりにも治療が忙しく、精神が疲弊してしまうせいで、実績をまとめて公表するパワーが残っていません。病気の種類があまりにも多く、一つ一つ発表するためには論文を何十と書かなければならないからです。よって一般的な方々が求めるエビデンスをここに掲載することが、どうしても遅れがちになります。ただ、そうしている間にも優秀な人材が病気になり社会からドロップアウトしていきます。そうならないためには、自分の頭で考え、自分の意志で責任で私に治療を受けに来なければなりません。特にうつ病で退職となる方々がいかに多いことか・・・。そうした人々を根本治療できることを示しても、信用されていないこともわかっています。だから再度言います。自分の頭で信憑性を考え、私の元へ来院ください。もたもたしていたら会社をクビになります。


私の診療所は飽和しています

私が1日に治療できる患者の数の限界は40名程度です。現在、飽和しており、これ以上の患者の受け入れは困難な状況です。とにかく治すことで患者を来させなくし、新しい患者を受け入れられる余地を作っています。診療費も安い料金しかいただいておりません。税金対策のため、儲けを出すことを制限しています。


つまり、商売繁盛のために、患者を集客するためにこのような文章を書いているのではないということを理解していただきたいです。他の医師にかかっても治らない方の人生を、少しでも健全にするために、難治性の方に門戸を開いています。どうか、自分の頭で考えてください。最後に信じるのは自分自身です。あなたは自分を信じることができますか?


私の煩悩

私が出世に興味がないか?と言われれば、ノーと言えば嘘になります。マスコミにさわがれたいか? ノーです。私は自分の精神世界の中で十分な成功と出世に達しています。地位も名誉もありませんが、自分の中では確固たる地位も名誉も得ています。だから出世にはあまり興味がありません。必要とあれば学会を作り、弟子も作り、治療技術を伝えますが、それは多くの困った人に良い治療を受けさせてあげるためです。私だけでは1日に40人しか助けてあげられないからです。


お金が欲しいか? ノーではありませんがすでに十分です。お金で人を動かすことを美徳と感じていません。

ただし、毎日毎日理不尽さを感じています。私の技術が正当な価格として評価されていないことにです。お金が欲しいわけではありませんがプライドはかなり傷つきます。毎日毎日プライドを踏みにじられて生きています。これが私にはもっともつらく、乗り越えられない私の弱さです。


患者に利用されていると感じることもあります。患者の無意識下の真の顔が見えてしまうからです。患者のネガティブな感情に毎日悩んでいるのは私自身であり困難を抱えています。誰かが抱えなければならないジョーカーであるので私が抱えています。そしてジョーカーからしか真に人々を救うカードが生まれてこないでしょう。


あなた方が治療を受けようとしている人間は、このような医師です。あとは自分の頭で考えてください。私はこれほど莫大なコストをかけて信用性を示しているのですから。

私のことをナルシスト、天狗、妄想者・・・どのように思うのも自由です。ただし、私は不信感を持つ者には治療することができません。信用できないのはあなたが自分の頭で考えようとしていないからです。


家族を説得する

最後に、あなたが自分の頭で考え、私を信じることはできたとしても、家族に私を信じさせることは極めて難しいはずです。家族は国家が推進する西洋医学で「何でも治せる」と信じており、「西洋医学で治らないのは心の問題である」という西洋医学側の主張を信じているからです。つまり治らないのは「頭がおかしい」と判断され、それを治せるという私もまた「頭がおかしい」と思われるでしょう。その場合は私のサイトの文章をたくさんプリントアウトし、家族に読んでもらうことをお勧めします。Good luck!

リリカ・トラムセットの禁断症状に警告!

2017年治療成績

はじめに

リリカやトラムセットは他の消炎鎮痛薬とは作用機序が全く異なり、抹消に効くのではなく、脳や脊髄などの中枢に作用する薬剤です。よって、普通の鎮痛薬とは全く異なる「禁断症状」が出ます。しかし、禁断症状の詳細は医師でさえほとんど知らされてない状態です。そうとは知らず医師は痛みを抑えるために気軽にこれらの薬剤を処方し、患者も「今の痛みから逃げたい」一心で服薬を安易に開始し、それをやめようとした際に禁断症状が出現し日常生活が送れなくなる方が続出しています。

製薬会社は禁断症状を詳しく調査し、これを公示することを避けたいということは営利目的として理解できないわけではなく、処方する医師の側も罪悪感のため、敢えて自分の処方した薬剤の禁断症状調査をしようとしたくないと思われます。しかし、これらの薬剤は1「痛み止めとしてあまりにも広く安易に使用されている」2、「禁断症状が2か月近く続き、決して短くない」3、「製薬会社の言うように徐々に減らしても禁断症状の出現を抑えられない」4、「禁断症状が社会適応を奪うほど強い」状況では臭いものにふたをしている場合ではないでしょう。


具体的な禁断症状

58歳 男性の場合 トラムセット服薬12時間後に全身がだるくなり極めて強い疲労感に襲われる。リリカ服薬24時間後に思考能力低下、せん妄状態、視野半分の不明瞭、手の震え、呂律悪化が出現する。これらの症状は薬を再度服薬した瞬間に消失する。だるさは「耐え難い」レベルであり、自動車の運転は不可能と感じる。よって彼の仕事(運転)を続けるには、服薬を続けるしかなかった。


53歳 女性の場合 トラムセット服薬12時間後に強い疲労感のため体が動かなくなり歩行困難になる。また、しびれが強くなる(持病の増強)。リリカ服薬12時間後に集中力が切れてせん妄状態になる。記銘力低下が顕著になる。再度服薬すればこれらの症状は消失する。禁断症状は極めて強く、仕事を継続するためには薬を飲み続けるしかなかった。


これらの症状はいわゆる「副作用」ではなく「禁断症状」です。禁断症状を抑えるには再び薬を服用する以外に方法がありません。よって薬をやめようと思っても「やめると社会に適応できなくなり職を失う」ためにやめることができません。

両者ともに、同時併用の薬剤はなし。初期の頃はセレコックス、ムコスタの併用がありました。


禁断症状出現時期

58歳男性の場合、リリカ150mgを1日2回服薬するようになって半年後に禁断症状が出現。トラムセットは常用としておらず、痛みの強い時に最大で1日に2錠服薬していました。トラムセット服薬12時間後の疲労感の出現は、同様に半年経過後です。しかし、トラムセットを常用していないために、彼の場合はトラムセットの禁断症状は12時間で消失します(禁断症状が長くは続かない)。よって「トラムセットはいつでもやめることができる


53歳女性の場合、禁断症状の出現時期はリリカを増量して服薬するようになって半年を経過した頃からです。最初の1か月はリリカ75mgを1日2回、その後リリカ150mgを1日2回に増量。その約5か月後からトラムセット1錠を1日3回を併用するようになる。ですから禁断症状発現までの必要服薬期間は半年以上とあいあまいに述べておきます。どちらの薬がどのように影響しているかわかりにくいためです。彼女の場合は「トラムセットの禁断症状の方が肉体にとって非常に辛い」と述べています。その理由は、彼女は半年前からリリカを50mgを1日2回(これまでの3分の1量)に減らしていますが、その際の禁断症状は、トラムセットの禁断症状ほどつらくはなかったからだと言います。


詳しく他の患者を調査すれば、禁断症状発現までの期間と服薬量の関係を判明させることができますが、ここでは症例数が少ないのでわかりません。よっておおよそですが、禁断症状発現までの期間は暫定的に半年と推定しておきます。逆に言えば、半年以内に服薬を中止すれば、禁断症状は発現しにくいかもしれません。

また、両者ともにリリカを1日に300mg服薬を半年以上継続しています。よってリリカは1日に300mg以下であれば長期投与でも禁断症状が成立しにくいと言えるかもしれません。この時点で暫定的にリリカ300mg/日以上服薬している方は禁断症状出現のリスクが高いと述べておきます。トラムセットは1日に2錠から3錠が臨界点と推測します。


離脱までの困難な道のり

禁断症状の出現は逆に言うと薬物中毒(ジャンキー)状態と言えます。服薬を止めようと決心し薬断ちを行うと、12時間後に疲労感、せん妄・不安感・イライラなどが発症し、日常生活を行うことが困難な状態になります。よって薬断ちは簡単ではありません。

■58歳男性の薬断ち

禁断症状が出始めて数か月後、それを禁断症状とは認識できず、脳外科にかかり精密検査を受けるが「全く異常なし」と診断される。1年前からせん妄や手のふるえはリリカの禁断症状であると気づき、リリカ75mgを1日1回(眠前)に減量することを試みる。しかし、正午を過ぎたあたりからせん妄・手の震え・集中力低下・呂律悪化が現れる。この禁断症状に耐えながら薬を減らすことを決意。だが、禁断症状の出現は減量してから2か月間近く消失しなかった。つまり彼は禁断症状と2か月間闘ったことを意味する。現在リリカ75mg1日1回では禁断症状が出現しない状況(離脱)となった。

トラムセットの禁断症状(疲労感)は服薬する度にあったが、常用していなかったため12時間程度我慢すれば症状が消失する。よって薬を断つことは「いつでも可能」の状態だったため、問題にはならなかった。今もトラムセットを週に1回程度服薬しているが、禁断症状継続時間が12時間と短いためなんとか仕事に支障はないとのこと。

■55歳女性の薬断ち

彼女の場合、長期間トラムセットを1錠1日3回服薬していたため、トラムセットの薬断ちは困難だった。断つとだるさで体が動かなくなるため仕事を継続することができない。1日3錠を1日に2錠にまでは減らすことができたが、1錠にすると必ず禁断症状が出現した。薬剤師にこのこと相談し、製薬会社に問い合わせたところ「稀にだるくなることがありますが・・・」との回答で、まともに取り合ってもらえなかった。

よってまずはトラムセットの減量はあきらめ、リリカの減量を試みる。禁断症状はせん妄と眠気、集中力低下。半年前からリリカ300mg/日を100mg/日に減らし始める。この頃から私は彼女に上頚神経節を行い、この禁断症状を軽減させることに努めた。上頚神経節ブロックを行うと頭がクリアになり4~5日は楽でいられるため本ブロックを行いながら減量を成功させることができた。禁断症状が出なくなるまで1か月半を要した。

トラムセットの離脱は容易ではなかった。服薬をやめると「体が動かなくなる」ためである。当然社会人としての適応ができなくなる。そこで彼女はお正月休みを利用してトラムセット断ちを試みた。1日1錠服薬で禁断症状に耐えた。そのため、正月三が日は犬の散歩にも行けないほど疲労感が強かった。が、これに耐えた。こうした懸命の薬減量への努力を2か月行い、2016年の2月末、ようやく禁断症状が出ない状態になった。


禁断症状との闘いは長く続く

上記2名の禁断症状は「社会人として不適格」のレベルであり決して軽度ではありません。かつ、禁断症状を離脱させるには1.5か月~2か月の闘病生活が必要です。また、離脱時にはこれらの薬剤を服薬するにあたって、原因となった元病気の疼痛などの症状も増強します。よって「抜け出すのは簡単ではない」ことに留意してください。

抜け出すためには「せん妄、強い疲労感」などの症状に1~2か月間耐えなければなりませんので、現在の仕事を解雇されるリスクが高まります。社会人としては極めて厳しい状況に追い込まれることを覚悟しなければなりません。また、禁断症状との闘いを覚悟できない患者はこれらの薬剤に安易に手を出すことはおすすめできません。医師は、患者に「やがて来る禁断症状と1か月以上闘う意志」があるかないかの確認をしてから処方することをお勧めします。また、服薬するのであれば半年以内に限定的に使用することを強く勧めます。あなたが医師であるならば、半年以内に服薬を中止させる計画の元に処方計画を立てることを強く勧めます。


誠意のない注意書き

リリカの注意書きには「急激な投与中止により、不眠、悪心、頭痛、下痢、不安及び多汗症等の症状」が生じうるため、「少なくとも1週間以上かけて徐々に減量すること」と書かれています。しかし、上記の2名の禁断症状は「不眠・悪心・頭痛・下痢・不安・多汗」のいずれでもありません。「せん妄・集中力低下・手の震え・呂律悪化」などであり、製薬会社が正しく禁断症状を把握していないことを推測させます。また、1週間以上かけて徐々に減量すれば大丈夫であるとの誤解を受ける文章です。実際は徐々に減量しようとしても6週間から8週間、禁断症状に苦しみます。医師が減量の方法をアドバイスしても禁断症状を防ぐことができないと思われます。製薬会社は一刻も早く禁断症状の詳細を自ら調査することをお勧めします。


禁断症状を防ぐために精神薬を使う

禁断症状を防ぐために、抗うつ薬、抗不安薬などを用いれば、症状は軽くなるでしょう。しかし今度はそれらの精神科薬の禁断症状に悩まされることになりかねません。最近ではセロトニン・ノルアドレナリンを増強させる系の抗うつ薬が市場に大量に出回っていますが、実はこの薬剤の禁断症状も極めて強く、離脱することは意志が強い患者でもなかなか困難であることがわかっています。

精神科薬は通常ののみ薬と比べると禁断症状が強く、なかなか離脱できないことは、衆知ですので問題ありませんが、「痛みを止める」ことを目的とする鎮痛薬で禁断症状が強く出てしまうことは許容範囲を超えています。なぜならば、痛みを止める方法は、これらの鎮痛薬以外にも様々な方法があるからです。ちなみに、私の全患者(難治性疼痛患者)のうち、リリカ・トラムセットを服薬しているのは上記の2名のみであり、この2名も私が処方したものではなく他の医師が処方しています。つまり、リリカやトラムセット以外に痛みを抑える方法があることを証明しています。

「禁断症状」が出ることを知らされずに服薬を勧められることは避けなければなりません。患者本人がいずれ必ず訪れる(マレではなく、一定量を一定期間以上服薬すればほぼ確実に起こると思われる)禁断症状を知らされずに服薬させられれば、その責任(事故・解雇・年収減の責任)を医師や製薬会社が負わなければならなくリスクが高くなるという意味です。医師はインフォームドコンセントを徹底し、安易にこれらの薬剤を処方しないこと(または使用期間を限定すること)です。そして製薬会社はできるだけ早く、これらの薬剤の禁断症状についての徹底調査を行い、処方する医師や薬剤師らに情報を提供する必要がある思われます。


製薬会社の誇大宣伝に警鐘

リリカ・トラムセット共に売り上げを飛躍的に伸ばしている薬剤ですので、被害者も急増します。リリカは2013→2014年で32.8%増。よって、医師はこれらの薬剤を軽率に処方しないこと。量や期間を限定的に使用すること。処方前に禁断症状のことを患者に伝えておかなければ、禁断症状が強い場合に訴えられて敗訴することもあることをふまえ、インフォームドコンセントを徹底することをお勧めします(禁断症状で自動車死亡事故などが起これば社会問題になります)。ましてや運転手なのどの職業の方へのこれらの薬剤の処方には厳重な注意が必要です。

また、患者は「痛みが止まらないから」といって容易にこれらの薬に頼らないよう注意すべきです。とにかく、量や期間を限定的に使用することを心がけた方がよいでしょう。

製薬会社は自社の売り上げや株価が低下することをおそれ、禁断症状を「めったにおこらないこと」としたいことは企業努力として当然と思われます。しかし、売り上げが減ることを恐れず、正義を貫いて欲しいと思います。もうすでに多くの患者から問い合わせが来ているはずですから、できればそれらを誠意を持って公表したほうがよいと痛感します。

特にリリカはタレントをTV CMに起用し多くの広告費をかけて宣伝している薬剤です。製薬会社が自粛することを強く望みます。禁断症状の認識が一般的になれば、禁断症状中の患者に生じた民事・刑事事件が、その薬剤のせいで不起訴になる可能性もあり、そうした場合に医師・薬剤師・製薬会社の責任が問われる可能性があります。そうならないためにもインフォームドコンセントを行いましょう。


脳の誤作動

今や、テレビなどの健康番組で高視聴率を獲得しようとするがあまり、奇抜かつ極端な医学理論を吹聴する教授陣を出演させ、それをうのみにする国民が極めて増加しています。中でも痛みの原因を「脳の誤作動」とする意見に困っています。

教授をはじめ、名のある先生方は、自分が「治せない痛みを訴える患者」を目の前にすると、それは脳の誤作動(「ない痛み」を勝手に脳で作っている)と考えたい衝動に駆られます。なぜなら「治せない痛み」を訴える患者は、医師のプライドを著しく損なわせるからです。

私はそうした「治せない痛みを訴える患者」を全国から集めて治療をしていますが、その多くをブロック注射で改善させることができます。つまり、脳の誤作動ではないことを次々と証明しています。脳への直接治療以外で治る痛みは「脳の誤作動」ではありません。

ここで問題となるのは、脳の誤作動=精神異常、よって「治らない痛みには抗精神薬を使用する」という傾向に医療界全体がなっていることです。

リリカやトラムセットは中枢に効く薬ですから、「脳の誤作動」的な症状には第一選択薬となっています。しかし、そうした処方が不適切であることは「慢性疼痛患者に対するオピオイド使用に警告」をご覧ください。

確かに、精神的なストレスで痛みの増幅回路が強調されることはわかりますが、それを脳の誤作動と限定するのはあまりにもシンプルな考え方です。痛みの原点は脳ではなく、脊髄にあると予想される場合を私は多く経験していますが、現医学では痛みの原点を特定できる診断技術がないため、脳の誤作動と誤診されるケースが多いと思われます(詳しくは「二次ニューロン性の腰痛の発見」参照)。

さらに現在、サインバルタなどの精神薬が「慢性腰痛」などに適用が認められ、痛みを治すために精神科薬を乱用する時代になってしまいました。

痛みは脳が感じているから脳を叩け!というノリで医学界が動いています。このノリが痛みの原因を正しく治療することの妨げとなっていると感じます。現代は「痛み治療迷走の時代」です。


脳に効く薬は禁断症状が極めて怖い

リリカ・トラムセット共に中枢系神経に効く薬です。サインバルタは「性格を形成するホルモン」であるセロトニンとノルアドレナリンを強める薬です。これら脳や中枢系に効く薬剤には大なり小なり必ず禁断症状がつきまといます。薬が切れた時に「気が狂いそうになるほどのイライラ・不安・あせり・抑うつ」などが現れることもあります。気が狂いそうになる=救急車を呼ぶレベル、です。

10数年前、米国で「性格を穏やかにする薬」として爆発的に売れた「プロザック」という薬剤がありました。シナプスレベルでのセロトニンを増やす薬剤です。現在はこれに改良が加えられ、ノルアドレナリンも同時に増やすようにするなどの工夫がなされ、現在のサインバルタなどの薬剤になりました。そうした性格を変える薬剤が現在「慢性腰痛」に適用が認められる時代になってしまいました。

「痛みのためにイライラ」→「イライラが痛みを増強」というハウリングのサイクルを断つためにこれらの精神科薬は確かに疼痛治療に有効です。しかし、有効であることが「疼痛の原因が脳の誤作動である証拠」にはなりえません。

精神に効く薬剤には禁断症状があり、サインバルタに関しては自殺願望が問題視されています。また、体調が悪い時や、知らずに未知の拮抗薬などをのんでしまった場合に、救急車を呼びたくなるほど強い禁断症状が現れることがあります。そういった危険をかえりみることなく、痛み治療を目的として安易に精神系に効く薬を処方するようになった現代の医学事情を悲しく思います。医者を悩ます痛み=脳の誤作動、とする傲慢な思考がこういう結果を招いていると感じます。


精神薬は医師のプライド治療薬

私は中枢系に効くと言われる疼痛治療薬は、疼痛を治すのではなく、医師のプライドを治すための薬剤であると思っています(皮肉です)。

整形外科医、ペイン科医などは疼痛を治す専門家ですが、それでも「全く治らない」患者が少なくありません。本当に少なくありません。そうした「みじんも効かない」患者は名医たちの評判を落とす、名を汚す、プライドを汚す、医学理論をぶち壊す、存在になります。「治療が全く効かない」理由が、「患者の頭がおかしいからである」と断定できれば、医師のプライド、西洋医学の権威を保つことが可能です。よって彼らはSSRI、他の抗うつ剤などの精神に作用する薬剤を用いて痛みが消失することを極めて喜びます。「薬が効かないのは自分の治療が不適切なのではなく、患者が精神異常だからだ」と逃げることができるからです。彼らは抗うつ薬で疼痛が除去される患者を指差して「やっぱり心因性だ!」と確信を持つようです。私はそうやって彼らが喜んでいる姿を横目でずっと見てきました。

このような現状ですから、「痛みを強く訴える、消えてほしい忌まわしい患者たち」を目の前から追い払うために、これらの治療薬が安易に処方されるという実態を、患者自身が知っておかなければなりません。最近では痛みをブロック注射で治療する専門家であるペインクリニック科の医師でさえ、これらの薬剤に頼るようになってしまっています。彼らはブロックの効かない疼痛を訴える理由が「脳の誤作動」にあると本気で思い込んでおり、それを修正することはここ50年間は不可能だと思います。痛み治療の迷走の時代です。非常に残念です。

中枢に効く系の鎮痛薬は、患者の痛みを治すよりも、医師のプライドを治してくれます。


まとめ

全ての薬剤に副作用がありますが、副作用とは別に「長期間使用していると禁断症状が出現する薬剤」があります。中枢神経系に効く薬の多くは禁断症状を持ちます。禁断症状は製薬会社が無視しようとする傾向があるので一般にその事実は広がりにくいと言えます。また、処方する側の医師にとっても忌まわしい現症であるので「見て見ぬフリ」をしたくなります。よって患者の訴えを聞き流すことも多いと思われます。リリカやトラムセットなどの疼痛治療薬は禁断症状が長く続き、離脱することがかなり困難な薬剤ですのでどうしても服薬したい方はその用量や服薬期間を限定して使用することをお勧めします。製薬会社は禁断症状の実態調査に乗り出し、その結果を世間にも医師や薬剤師にも周知させ、対処法の講習会を行うなど正義を貫くことを切に望みます。

難治性疼痛治療の障害は患者自身

2017年治療成績

はじめに

私は難聴・耳鳴りをはじめ、三叉神経痛・パーキンソニズム・下痢・過活動性膀胱・潰瘍性大腸炎・筋委縮性側索硬化症様症状、その他あらゆる難治性の痛みなど、「他の医師が治せない症状」を専門に治療しています。その方々を治すにあたって患者自身がしっておかなければならないことを解説しておきます。


治療の最大の妨害は患者自身

私は再度言いますが「他の医師が治せない症状」を治す専門医です。どうしてそんなことを専門とできるのか?は治る患者はどんどん治してしまい、治らない患者だけが残るからであることは以前に述べました。

医学の治療ガイドラインは教授たちがしっかり制作し、それを厚生労働省の官僚たちが管理し、お金にものを言わせて全国の開業医たちをガイドラインに従わせるという方式を日本はとっています。

このため、医師の治療技術は全国どこでも誰でも同じレベルになっています。どこかの医師にかかれば「治らない病気が治る」ということがあってはならないことになっています。

私は「他の医師が治せない症状」を治してしまうわけですから、「あってはならないこと」を医師人生の中で貫いてきたことを意味します。

これはすなわち、大学・教授・学会・厚生労働省を敵に回しながら常に戦い続けたことを意味します。そのため職場もかなり転々としています。解雇されることを全く恐れず、「解雇されることは私の名誉である」と言い聞かせて仕事をしてきました。


私の治療技術はそうした強大な圧力に打ち勝つことから生まれているので、なかなか他の医師たちにマネしてもらうわけにはいきません。マネをすれば同じように職場を追われる覚悟をしなければならないからです。そして場合によっては官僚を敵に回し、資金源を打ち切られることもあるでしょう。その恐怖に打ち勝つことから治療技術が生まれています。ですから、このホームページ上に掲載されている内容から、大きな力に屈しないことが読み取れると思います。

さて、そうした我が身を顧みない捨て身の反社会性を持つことで、他の医師が持ちえない治療技術を獲得した私ですが、治療に関し、それよりもさらに強大な敵が待ち受けています。それは患者自身であることを説明しなければなりません。


患者のプライドが傷つきます

難病を治療するには、難病の原因の真実を厳しく追究しなければなりません。真実をです。例えば、アフリカの黒人女性20代後半の方は、見た目年齢が50歳くらいに見えますが、日本人女性は50歳代でもアフリカに行けば20代後半に見られます。その理由は遺伝子にあります。アフリカ人の遺伝子では皮膚の角化が起こりやすく外的刺激に強い(つまり皮膚寿命が長い)。しかし、見た目にはしわが多くなります。日本人はそれよりも角化が起こりにくく、皮膚がなめらかになります(皮膚寿命が短い)。その代りアフリカ人よりも外的刺激に弱いわけです。


このように遺伝子は見た目年齢などにも強く関わり、その土地土地に有利な状況を生み出します。逆に遺伝子がその土地に適応していない場合、不利なことが起こりやすいのです。遺伝子は難病の原因となっていることが多く、いわば難病になることは「生まれた時からほぼわかっている」ことがしばしばあります。つまり「他の人とは違う!」わけです。


患者の遺伝子が「他の人とは違う!」ことを受け入れさせるのは私の仕事ですが・・・そのためには患者のプライドを著しく傷つけなければなりません。なぜならば「他の人と同じように生活し、仕事をし、趣味をすること」を止めさせなければならないからです。その理由が「生まれつき、あなたの体が弱いから」と述べても患者は納得しないでしょう。それが事実であればあるほど、患者は私に怒りを覚えるはずです。患者の遺伝子の短所を見破れば見破るほど患者の逆鱗に触れ、そして私は患者から不信感を抱かれてしまいます。女性が「容姿が悪い」と言われることを毛嫌いするのと同じ理由で、遺伝子的な理由を述べて生活指導を行うことは、患者のプライドを著しく傷つけます。


医師にとってもっとも怖いのは患者

「虎穴入らずんば虎児を得ず」であり、リスクに飛び込まない限り難治性の症状を治すことができません。リスクとは治療により患者に後遺症などを残す危険性と考えがちですが、医師側から見ると少し違います。治療が成功しなかった場合に評判を落とされる、治療により患者が死にかけたときに正念場となる、後遺症を残した時に賠償しなければならない、治療により痛みが強くなった際にその責任をとらなければならない、場合によっては人生が破滅する・・・などのリスクです。


私はブロック注射を専門に行っていますが、難治性の患者を扱う際は、一般の患者たちよりもリスクが何百倍も高く、その何百倍ものリスクに挑戦する自分自身を「キ○ガイ」であるといつもそう思っています。

落ちたら命のない綱渡りに毎日挑戦し続ける自分を「何と愚か者か」と罵倒したくなるほどです。そして命の綱渡りですから、当然、注射の1本1本に自分の命を削るほど精神を遣います。

教授や学会や厚生労働省ににらまれても、人生は破滅しませんが、後遺症を残した患者に一生にらみ続けられれば、金銭的にも精神的にも身が破滅します。注射を1本打つたびに、人生がゆらぐほどの恐怖を覚えます。おそらくこの恐怖は患者には理解できません。患者は自分が遺伝子的にそれほどリスクの高い患者であることを認めていないからです。


患者は「自分がリスクが高い肉体」であることを完全に棚に上げ、そして「飛行機で何時間もかけてここまで来たのだから、治さなければただでは置かないぞ!」という態度で私に接してきます。

「ただでは置かない!」と包丁を突き付けてきたリスクの高い患者ばかりを毎日相手にし、その患者にリスクの高い治療を毎日行い続ける私は「キ○ガイ」にしか見えないと思います。

私の元にまで来院する患者は、すでに有名な大病院を何軒も回り、そして無効であった強者です。私を含めて医師に不信感を莫大にかかえ、少しの不具合も許さない構えです。そうした崖っぷちに私を追い込むのは患者であり、その患者自身が治療の最大の壁となってたちはだかります。


診断力を知りましょう

私は単に「注射が少しうまい」だけの医師です。その私がなぜ「他の医師が治せない症状」を治せるのか?というと、診断力が極めて高いからです。普通の医師は統計学で診断することを教えられます。例えば患者が腹痛を訴えた場合、確率が高い順に、1、便秘、2、胃腸炎、3、潰瘍、4虫垂炎・・・などと確率の高いものから診断名を想像していきます。しかし、私の場合は治療の医学という他の医師とは全く異なる診断方法を用います。 整腸剤で治らない、下剤でも治らない、潰瘍治療薬でも治らない、胃カメラで異常なし、CTで腫瘍なし、採血で異常なし・・・ならば自律神経系の異常で腹痛が起こっているのではないか?と治療が効く・効かないで病気を消去していき、確率が極めて低く、普通では推測しない診断名を想像していくという診断法を用います。その診断ガイドラインは私の頭の中に出来上がっており、他の医師が「決してマネできない」ものとなっています。


なぜマネが出来ないか?それは大学・教授・厚生労働省・病院経営者たちに逆らった想像力を膨らませなければ到達しない診断だからです。普通の医師にこれらの勢力に逆らって生きる精神力はありません。だからマネができません。


診断能力の一例

先日、両足の灼熱感としびれに10年間悩んでいる60代女性を治療しました。整形外科・脳神経外科・神経内科・精神科・婦人科・一般内科・ペインクリニック科などあらゆる科、あらゆる病院で10年間治療しましたが全く、少しも効果が出たことがない方です。特にペインクリニック科には3年間通院し続け、さまざまなブロック注射治療を行い、「一度も効いたことがない」とのことです。さらに精神科では薬漬けにされ、自分がわからなくなるほどに薬をのみ、最近ではそれでも症状が改善しないので「睡眠薬以外の薬剤を止めた」とのこと。

足の灼熱感が強いので自殺を考えるほどつらいそうです。そうした患者が私の外来でソファーに体をうずくまらせ「お願いです、治してください」と訴えてきます。

さて、遠路はるばる来院した患者に治療期限は4日間。この4日で10年間誰も治せなかった症状をどう治療するのか?が私に求められるわけです。他の医師には「脳の誤作動」と言われています。果たしてこの診断がただしいのでしょうか?


治療の医学の診断力

ペインクリニックで様々なブロック注射を受けても症状がまったく改善しなかったという事実をまず、「信じるか信じないか?」を考えなければなりません。私は基本的に私以外の医師を全く信じていません。どんな名医が行った治療でもそれがうまく成功しているとは限らないからです。坐骨神経に対する様々なブロックが「正しく行われていたかどうか?」を保証するものはありません。そこで私は初日、まずは腰部硬膜外ブロックを行います→無効でした。私は自分の腕を信じていますので、ブロックがミスであったとは考えられません。そこで同日、S1の神経根ブロックを追加します→無効。S1の神経根ブロックは不確定要素が多いので、無効であることを完全に信用できませんが、この結果から「坐骨神経は原因から削除する」という診断を下します。


しかしながら、神経の末梢で起こっていることも「もしかしてあるかもしれない」と考え、翌日、足関節内注射と、末梢の脛骨神経にもブロックします。足根管症候群も考慮してです。しかし、これらも一切効きません。3日目は最も脳に近い自律神経をブロックするため上頚神経節ブロックを行いますが、これも無効。そして胸髄に原因がある可能性も考えて胸部硬膜外ブロックを行いましたがこれも無効でした。この間にMRIで胸部・頚部を検査しましたが、異常なしでした。


4日間の期限のうち、ここまでで3日が経過し、患者は「症状が酷くなった」と訴えます。崖っぷちです。ここまでの私の診断では、「腰髄・胸髄には原因箇所がない」「もちろん末梢にも原因がない」「脳の誤作動でもない」(上頚神経節ブロックが全く無効なため)と考えます。そして残ったのは頸髄のみです。この消去法で頸髄に足の灼熱感の原因がありと診断します。ただし、原因があると仮定するならば、原因箇所付近にはほぼ必ず炎症や癒着があり、ブロック注射は極めてミスしやすく危険であることが想像されます。最終日まで頸髄にブロックをしなかったのはそのためです。そして頚部硬膜外ブロックをC6/7に行ったところ、症状が半減し、それが数日たっても改善したままであるとの報告を受けました。これにより、両足の灼熱感・しびれの原因は「おそらく頸髄にある」という診断にまでたどり着きました。当然ながら現医学レベルではこの病態は全く解明できません。


また、現保険制度ではこうした「治療の医学による診断」は認められていません。よってこれらは自費診療になります。

自費診療と言っても、私が医者生命を賭けてこれほどリスクの高い患者に治療するだけの料金はいただけません。おそらく、もらうべき治療費の1割程度しか請求していません。しかし、それでも患者にとっては保険が効かない分、大金だったことでしょう。患者は半分しか症状がとれていないことに不服だったのかはわかりませんが、敬意やお礼の言葉はほとんどなしです。遠路はるばるやってきたんだから当然だろうとでもいいたげです。命を賭けて行う治療さえ、これほど評価されないものです。評価さえされない治療に命を賭けるという愚かなことをやって初めて私のような診断能力が養われます。注射は少しうまいだけの医師ですが、診断能力は他の医師たちよりも桁違いに高いと思います。


桁違いの診断能力は常識外れ

足の灼熱感の治療のために首に極めてリスクの高いブロックをする医者が、どこにいるというのでしょうか?「足のしびれの原因が首」という発想は常識外れです。この常識外れを毎日繰り返すのが私の診療スタイルです。当然ながら常識外れを理解できる患者はいません。「常識がはずれている」と患者から見ても私はそう映ります。なぜなら、私の診断結果に同調する医師は日本にはいませんし、テレビなどのマスコミが吹聴している「診断名」はほとんど嘘ですが、患者はむしろ嘘の方を信じているからです。


私は徹底したブロック技術により、まず失敗しないブロックが出来ますから、「私のブロックで無効であれば、その診断名は間違っている」と判断します。しかし、こうした判断を患者に説明すると「傲慢な天狗医者だ」と私のことを見るようです。「私のブロックは間違いないから」その私のブロックで効かないなら他の病気を考える・・・「間違いない」という発想が「傲慢な天狗医者」であると患者が判断するようです。


私の診断力をバカにしたい先生方は日本中におられると思います。それは受けて立ちます。しかし、患者が私をバカにした場合、私がその患者に大胆な治療を行うことは医者生命が奪われるほど危険なものとなります。

考えてみてください。足がしびれているのに首にリスクの高い注射をするのです。もしもそれで患者が意識不明の重体にでもなった場合、私の医者生命は終わるでしょう。法廷で申し立てたところで、常識外れの診断ですから「過失致死」が認められず、場合によっては殺人罪で起訴される可能性もあるわけです。常識を外れることは医師にとって「法を犯す」ことと意味が類似しています。

そうした身の危険を顧みない治療を「自分を信頼していない患者」に行う私は、気が触れているとしかいいようがないと思います。


私がこれほどの自殺行為を繰り返していると、本当に自殺しなければならない破目になるかもしれません。そこで私はさすがに「私に敬意と信頼を払えない」患者にはリスクある治療をしない方向に進まざるを得ません。

私の診断能力は治療の医学ですから、治療をしない限り診断もつけることができません。だから敬意と信頼のない患者には診断することも不可能になるわけです。私が難病を治療する上で、最大の障壁が「患者の不信感」なのです。不信感は敬意がないことからすぐに見破ることができます。


信頼のない患者に長期の治療は不可能

一度では効果が出ない治療が多々あります。難聴・認知症・自律神経失調症など、脳神経に起因するものです。これらの症状には、脳の血流を上げるために上頚神経節ブロックを行いますが、血流増加の効果はせいぜい半日であり、1週間のほとんどを患者は「血流の悪い状態」で過ごしています。よって治すには繰り返しの治療が必要になります。

しかし、効果は「本人が自分をよく観察」しておかなければわかるものではありません。脳神経系の治療ではなおさらです。いきなり1度の治療で治ると言うようなおとぎばなしを信じている患者は「何度も繰り返し治療する」ことができるわけがありません。


治療を行うと、たまに「とても良く効いてしまう」ことがあり、瞼が垂れる、口が麻痺する、声がかすれる、首が持ち上がらないなどの症状が注射後1時間くらい続くことがあります。医師を信頼していない患者はこうした症状を「一生続く後遺症の可能性がある」と勝手に想像し、自ら治療を中断してしまいます。

さて、こうして治療拒否してきた患者にどう接すればよいのか?私は今でも悩んでいます。


治療に立ちはだかる患者

私は医師人生の中で、常に敵と戦ってきました。学会・教授・厚生労働省・病院経営者たちと。強い力には逆らう精神を常に身につけてきました。「いつ解雇されても構わない、私の邪魔する者は何人たりとも許さない」と自分に言い聞かせ、難病治療に携わってきました。そして患者が私の治療を受ける際に邪魔をする家族とも戦いました。


しかし、問題はもっと身近にあります。治療を邪魔する最大の敵は患者本人なのです。患者は弱者であり立ち向かう存在ではないと考えるかもしれません。しかし、現実はそうではありません。信頼も敬意もない患者は「何かを犠牲に何かを治療する」という考え方がありません。何かを治した時に少しの不具合が起こると、その不具合を徹底的に糾弾してきます。難治性の症状を治すには必ず何かの犠牲がつきまとうのですが、犠牲を払うことは絶対にいやであると考える患者が少なくありません。


すでに私は多くの犠牲を払い、今の治療技術を得ているわけですが、自分はリスクにも犠牲にも飛び込まないが症状だけは治して欲しいと患者は言ってきます。私はすでに患者が払う犠牲を最小限にとどめるための研究と修練を毎日行い、最低でも他の医師たちよりも犠牲が少ない治療を行えます。それさえも理解しない、敬意のない患者が私にとって最大の敵と言えるでしょう。

一般的に患者は弱者ですが、何かあったら許さないという態度で立ち向かってくる患者は弱者ではなく、私の医師人生でもっとも強者であり最大の敵です。学会や厚生労働省よりも鋭い牙で私の首元を襲い掛かってきます。


強い者には最後まで戦いを挑む

私は強い者に刃向う精神力を常に鍛えてきました。そして患者は基本的には弱いのですが、敬意も信頼もない患者はもっとも強いことがわかりました。私は強い患者には絶対に媚びを売りません。患者の身分も地位も関係ありません。私は患者に憎まれ・恨まれ・嫌われることにみじんも臆しません。


医師は先生と呼ばれます。それはたとえ患者が人生の先輩であっても、健康管理は私に長けたところがあるからです。健康管理を行うには甘えを取り去った厳しい忠告も時には必要であり、患者がいやがることでもアドバイスしなければならない場面が何度もあります。その場面で先生が生徒に媚びてどうするのでしょう。


一方で私は患者をおもいっきり甘やかします。私の力のみで治せる症状なら、患者に一切の生活指導を行いません。私におんぶにだっこの人生を歩ませて差し上げます。しかし、難治性の症状を改善するには、私だけの力ではどうにもならない場合があり、その場合は患者に嫌われようとも、徹底的な生活指導を行います。痛いことにもとびこんでいただきます。私は「患者に絶対に媚びない」ことを誓って生きています。理由は何度も言いますが、患者が最大の敵だからです。


最大の敵の面倒を見る理由

私の最大の敵は敬意も信頼もない患者です。しかし、信頼していない患者を説き伏せ、リスクある治療を受けさせることが私の毎日です。リスクの責任は私が負います。よって信頼のない患者にリスクある治療を行うことは、私にとって医師人生を賭けたものとなります。


毎日毎日敬意のない患者にリスクある治療を行うことで、私自身のリスク管理能力が極めて向上します。つまりリスクを起こさなくなります。この能力を他の敬意ある患者に使うために、敬意のない患者を全力で診療しています。これが真に「敵に立ち向かう」という意味です。


敬意のない患者に対し、診断が誤っていると、治せないばかりか、悪化させてしまうこともあります。よって診断さえも油断が出来ないわけですから、診断力もますます研ぎ澄まされていきます。そしてこの能力を後輩医師たちに伝え、日本の老いを微力ながらも救うつもりでいます。

敬意と信頼のない患者は私にとって最大の敵であり最大の教材です。これらの敵に立ち向かうことで多くの善意ある患者を救えます。そのおかげで毎日の精神疲労は極めて高く、長く続けられるかどうかわかりません。しかし、誰かがやらなければならないことだからやっています。


あなたはどちらの患者?

私の元には遠方から医師不信の患者ばかりが訪れます。敬意のない患者、ある患者、どちらでも構いません。しかし、一度の治療でなんとかしてほしいなどと甘えてくる患者は、どちらにしても治療は無理です。無理ならば遠路はるばる来院する必要はありません。


もともと、現在の難治性の症状には、必ず患者の遺伝的な要素が加わっています。生まれながらに劣ったものがあるわけですから、それを治すには何かの犠牲を伴います。そうした犠牲を払いたくないという勇気のない方は、その症状をひきずるしかありません。最後に厳しいことを言いますが、己を知らなければ病気は治せません。治らないのを医師のせいにしようとするのではなく、己のことを考えようとする姿勢が大切です。


私は今後、弟子を作り、全国各地で難病を治せる医師を増やしていくつもりです。遠路はるばる来院するのではなく、その時が来るのを待つことの方が現実的だと思います。しかし、その際も、医師の最大の敵は患者であることを真摯に受け止めておいてください。通常の医師は私のように精神力が強靭に鍛えられてはいないものですから。医師に牙を剥けば、難病への治療は行われないことを認識しておいてください。難病や高齢に治療を挑む医師には敬意が必要です。


私がこうした文章を書く背景には、敬意のない患者が全国から遠路やってくる機会が増えたからです。そこまで労力をかけて来院されるのですから、もう一歩前に進み、難病治療に立ち向かう医師への敬意と信頼を持ち、治療に賭けていただければと思います。そうでなければお金も労力も、私と出会ったことも全てが無駄になってしまいます。

日本の医療の難題1 医療税制と財政赤字

財政赤字は社会保障費による

医療費を含む社会保障費はH27年度には31兆円を超えました。新規国債発行額は37兆円ですから、日本の借金は社会保障費がかかりすぎるためであると言っても過言ではありません。日本はホームレスでさえ最高の医療が受けられる慈愛に満ちた共産主義医療体制です。おかげで天皇陛下も資産家もホームレスも、身分や裕福さによらず同じ治療なのが日本という国です。道徳的に極めてすばらしい国と言えるでしょう。しかしながら、労働者が減り、お金を稼ぐことのできない高齢者や生活保護者が増えると、とたんに日本は借金地獄に陥ります。お金を稼がない人に対しても平等に最高の医療をかける国だからです。医療費を削減できれば、間違いなく日本の赤字は解消されます。


そこで何十年も前から言われてきたのが、混合診療を認めることでした。ある一定ラインまでは保険が支払い、それ以上の治療は自由診療(自費)とすることでした。自由診療を推進すれば国の財政赤字は大幅に減ります。まずは「どれくらい減らすことができるのか?」について以下にシミュレーションします。最初に断っておきますが、このお話は年収5000万円以下の開業に限定して述べています。また、経費を70%未満に抑えている開業医のお話です。一般的にはこれらの条件に一致する開業医が過半数であると思われます。


自由診療が増えた時の国(公)側の収支

保険診療をメインで行っているAクリニックと自由診療を多く取り入れているBクリニックを例に、国(公)側の収支を考えます。


Aクリニックでは

  • 保険診療収入 4800万円
  • 自費診療収入 200万円
  • 実際にかかった経費3000万円

 

Bクリニックでは

  • 保険診療収入 2500万円
  • 自費診療収入 2500万円
  • 実際にかかった経費3000万円

保険収入の約2割が自己負担、8割が保険負担とします。単位:万円

保険報酬 税収 国(公)側の収支
Aクリニック -3440 +580 -2860
Bクリニック -2000 +732 -1268

 

自由診療が4%から50%に増えると国(公)側の支出は半分以下の44%になります。この数字は驚愕的です。全国的に自費診療を推進していけば医療費の国(公)側の支出が半分以下にすることも可能でしょう。財政赤字も解消できるでしょう。自由診療を推進するというだけのことで国がかかえる財政赤字の問題を解決できるわけですから、国としては自由診療を推進したいはずです。しかし、自由診療推進は事実上、阻止する方向に動いています。それには様々な理由がありますが、ここでは一般的に言われている建前の理由を語るのではなく、真の理由を考えていきます(日本医師会などが解説している建前の理由については後ほどのシリーズで解説します)。


自由診療にかかる重税

 

再び上記A,Bのクリニックで、自由診療費に税金がどのくらいかかっているかを見てみます(措置法26条が適用される5000万円以下の年収で計算します)。

  • A 保険4800(経費2880 税500 手取り1420) 自由200(経120 税20 手取り60)
  • B 保険2500(経費1500 税249 手取り751)自由2500(経費1500 666 手取り334)

 


単純な収支の比較

A 税金520 手取り1480

B 税金909 手取り1085

 

  • A,Bともに売り上げも、かかった経費も全く同じであっても、Bは自由診療をメインにしているため税金を389万円多く支払い、手取りで395万円も損になります。

売り上げも経費も同じなのに、Bクリニックではなぜこれほど多くの税金を払わなければならないかというと、Bでは自由診療の経費が実際には1500万円かかっているのに、措置法26条の計算式では経費がたったの740万円としか認められないからです。よって自費診療では「莫大な利益が出ている(利益が1760万円)」とみなされてしまい、年収が1800万円超とされ、所得税で40%もの重税がかけられてしまいました(Aクリニックでは33%)。だからこれほど手取り金額に差がついてしまいました。


売り上げに占める税金の割合比較

A(保険)売り上げ4800 経費2880 手取り1420 500

売り上げ 経費 手取り
A(保険)4800 2880 1420 500
A(自由)200 120 60 20
B(保険)2500 1500 751 249
B(自由)2500 1500 334 666

2016-02-22

 

上記のようにAクリニックでは見事なくらいに自由診療と保険診療の税率が同じになることがわかります。手取り年収:税金=3:1 になるように仕組まれているということです。つまり、国(厚生労働省)はAクリニックのような診療スタイルを予測して税制を施行していると言えます。

ところがBクリニックのように自由診療をメイン(約半分)に経営している場合、税金は極めて(法外な)税率を課せられていることがわかります。手取り年収:税金=1:2 となり、税金が収入の倍という重税です。こんな重税を平気で支払う開業医がいたとすれば、正気の沙汰ではありません。手取り金額の2倍の額を税金として支払っているのですから。自由診療をすればするほど著しく税金が高くなる仕組みがわかります。


自由診療で1万円の売り上げをあげると、1340円しか手元に残らず、8660円が経費と税金です。措置法26条は「自由診療にとって極めて重税を課す税法」であることがわかります。ここで問題になるのはサプリメントなどの物販です。定価1万円のサプリメントを原価6000円で仕入れたとします。良心的な医師は定価の1割5分引きで販売しました。すると、この商品一つを売る毎に150円の赤字が出てしまうところです。もしも7000円で仕入れ、8500円で得ると、なんと赤字が1150円になるのです。サポーターなどの物販も同じです。定価の8割で仕入れ、それを定価で売ると6.6%の赤字です。ご存知でしたか?


Bクリニックでは物販を自由診療で行うと、極めて理不尽なビジネスとなります。ですから、自由診療をメインで行っている診療所では、元値がかかる物販は、売れば売るほど赤字となります。おそらくこのことを、開業医たちは認識していないと思われます。自由診療重税がここまで酷いことをいったい開業医のどなたがご存知でしょうか? 多くの開業医は自由診療をメインにしていないのでこの事実を知らないだけなのです。措置法26条はそういう制度なのです。


この重税は開業医だけでなく患者の財布を直撃します。例えば自費診療として患者が1万円を支払った場合、税金として2660円を支払っています。消費税を計算に入れると30%以上の税金を患者側が負担していることになります。しかもクリニック側では1340円しか利益が上がっていません。もしもクリニック側が自由診療でも「保険診療と同等の利益」を得ようとするならば、自由診療費を保険診療の2倍以上にひきあげなければなりません。


現実問題として、自由診療では保険診療よりも手間をかけなければなりません。つまり必要経費は保険診療経費よりも高くつきます。よって診療費は2倍の設定でも割に合いません。結局、自由診療で保険診療と同額の利益を上げるためには保険診療費の3倍にしてようやく採算ベースに合ってきます。保険診療を3割としても、自由診療では30割であり、患者の支払う金額は10倍となるでしょう。患者に普段の10倍の診療費を支払わせ(高齢者では30倍にもなる)、医師が治療するとなると、「治せなければ患者に酷評される」ことが明らかです。よって自由診療で少しの利益を上げるためには、日本では「評判が落ちて倒産するリスク」を背負わなければなりません。一体、誰が、どこの開業医が酷評されるリスクを背負ってまで積極的に自由診療を行うでしょうか? いいえ行いません。つまり、日本では自由診療が税法上「してはいけないこと」となっているのと同じなのです。


措置法26条を適用しない場合

Bクリニックでは自由診療を多く行っているという理由で、実際には売り上げ・経費がAクリニックと同じであるのに、税制で極めて理不尽な重税をかけられています。そこで措置法を適用しない場合を考えましょう(経費を6割に抑えているのに、措置法26条を用いたほうが不利益になるという時点で、この税法は公正さがありません)。

措置法26条を適用しないとなると、開業医も一般企業と同様の税金を支払います。2000万円の収益に対して税金がかかりますので、所得税が520万円、地方税などが200万円で720万円の税金がかかり手取りが1280万円になります。これでもAクリニックの1420万円とくらべて140万円も手取り年収が減ります。つまり、自由診療をメインで行う=優遇税制を受けられないこと! を意味します。

 


経費節減するほど自由診療が重税になるしくみ

上記のA,Bクリニックのシミュレーションは、経費を6割として計算しています。しかし、クリニック開業6年目以降や15年目以降は減価償却が終了し、経費は人件費以外にほとんどかからなくなります。このタイミングで人件費節減を行えば、小さなクリニックでは経費が5割を切ることも可能になります。そうなると措置法26条の優遇税制がさらに有利に働くようになり、税金がほとんどかからなくなります。こうなると自由診療の重税がますます顕著化します。経費が少ないほど措置法26条で優遇されるわけですから、この状態で自由診療を行うことは「極めて高い税金」を納めることになります。つまり、開業6年目以降に自由診療を行うことは益々「重税がかかっている」ことになっています。


交通事故は20割の理由

交通事故などの第三者行為による病気の治療は全額自費です。一般の方々は知らないと思いますが、交通事故での治療費の請求額は保険診療の料金の20割=2倍です。なぜ2倍も請求されるのか? 疑問に思う方が多いでしょう。その理由は実は「自由診療重税」にあります。さきほどのシミュレーションでは、措置法26条を用いると、Bクリニックでは利益の66.7%が税金でした。例えば、自由診療での診療費1万円の内訳は、経費が6000円、収益が1300円、税金が2700円となります。これが保険診療で稼いだ1万円の場合、内訳は、経費が6000円、収益が2700円、税金が1300円になります。つまり、自由診療では収益が半分になります。これを防ぐために自由診療費を20割(2倍)にし、収益が保険診療と同じになるようにしているのです。自由診療は税金が多くかかっているので請求額が2倍になっているというからくりがあります。ただし、これは措置法26条適用の場合のシミュレーションであり、年商5000万円以上の病院、経費が70%に達しているクリニックではこの計算は意味がありません。


混合診療解禁後の日本

日本の国会では毎年のように「混合診療解禁」の議題が提出され、その法案が却下されるということが繰り返されています。誰がどのような政治的な圧力をかけ、法案を却下させているか?は後ほど述べるとして、心配しなくても、法律で混合診療を解禁にしたところで、日本では自由診療が増えません。その理由は、上記のように自由診療には法外な重税が課せられるからです。法外というのはまさに読んで字の如くであり、おそらく憲法違反なレベルの重税となっています(公正さに欠けています)。しかしその違法性が指摘されない理由は、措置法はそもそも開業医を優遇しているからです。たとえ措置法が自由診療に対しては違法な重税であっても、保険収入に対する税と合算すれば一般企業の税金とほぼ同等となること、「措置法を自由診療に対する「違法性の高い重税」と呼ぶならば、措置法を使わなければよい」、という選択枝を残すことで違法性を回避しているといえます。


しかし、実際は保険を使えば収入が増え、自由診療をすれば収入が減るという仕組みは自由診療に対する違法な抑圧であり、違憲であると私は考えています。

さて、国にとっては自由診療を認めたほうが、財政が助かるというのに、開業医にとっては自由診療をすればするほど重税がかかるという仕組みになっているので自由診療が広まることはまずないと言えます。

自由診療をすればするほど「余分に儲かる」と普通の方は思うかもしれませんが、自由診療は手間と時間がかかること、自由診療をすると保険診療に当てる時間が必ず減ってしまうことを考慮すると、今の税制では混合診療に魅力がありません。よって混合診療を解禁にしたところで自由診療は広まりません。


自由診療重税と税理士

自由診療をすれば重税となるかどうかは、開業医の実際にかかった必要経費の割合と保険診療収入の割合に依存しています。開業医は5年目以降、実際にかかる経費がかなり安くなります。減価償却が5年でほぼ終わるからです(建物の場合は15年償却)。この時期にリストラを行い、人件費を削減すると、措置法26条により極めて大きな利益を得ることができます。しかしながら、同時に自由診療を行うと、これに対する税金は想像を絶する重さとなり、措置法で得た利益を自由診療に対する税金が食いつぶしていく仕組みになっています。つまり、経費節減をすればするほど、自由診療収入が全体に占める割合が高くなればなるほど、税金が高くなります。


おそらく、このことを正しく理解している税理士は少なく、または知っていたとしても開業医に言わない税理士がほとんどであると思われます。そして「自由診療に対して重税が掛けられている」ことを税理士に相談すれば「私たちは全体の収支で税金を考えますから」と回答するでしょう。なぜなら、この違法性の高い重税に対して「答えがない」「答えられない」からです。理不尽極まりない税制であるのに、全体として見ればそれほど高い税金ではないからという理由で無視されます。

しかし、現実は違います。措置法26条を適用するとAクリニックでは手取り年収が1480万円で、Bクリニックでは1085万円です。たった1年で高級新車1台分の差が出るのです。これほどの差が出るというのに税理士の「私たちは全体の収支で税金を考えますから」「その場合は措置法を適用しません」という回答に納得するのはおかしいでしょう。開業医が税制に対しあまりにも無知なのでこのような理不尽がまかり通るのでしょう。


国の財政赤字解消の切り札

日本が社会保障費のふくらみによる財政赤字を解決するためには、自由診療を推進するための国家レベルでの行動を起こさなければなりません。しかし、「混合診療を認める」ことを行ったとしても、現在の税制では自由診療が広まらないことが明らかです。Bクリニックでは自由診療にかかる税金が26.6%であったことを思い出してください。1万円を儲けるために2万円の税金を支払っているわけですから。これがどれほどの重税かわかります。


そこで、今後、自由診療に対する税法を見直すことが必要になります。自由診療に対する必要経費を保険診療に対する経費率よりも高く設定すればよいのです。措置法26条を自由診療に対しても認めればよいのです。こうすることで国の税収入は少し減りますが、保険診療報酬支払い額が激減するため、国の財政は10兆円規模でプラスに傾けることができます。


「混合診療をさせてはいけない」とする共産主義的な意見があることはよく存じていますが、別に「混合診療を認める」必要はありません。現状の法律のままで構いません。措置法26条の枠を自由診療収益にまで拡大するだけで自由診療が広がります。自由診療は現在でも法律で禁止されていません。混合診療は禁止されていますが、その法律は変える必要がありません。税法だけ変えればよいだけのことです。たったそれだけのことで国の財政危機を乗り切れます。なんとスマートでしょう。


なぜ自由診療に優遇税制を敷けないのか?

自由診療に優遇税制を認めるだけで国の財政危機を立て直すことができるのですから、今から50年間だけ、そういう法律を制定すればよいでしょう。今から50年間が「超高齢化社会」に日本が苦しむ期間だからです。なぜそんな簡単なことを国会議員たちができないでいるのか? それには大きな政治的な力が働いているからです。社会保障制度を牛耳る大きな勢力です。次のシリーズではその大きな勢力を語る前に、保険診療が引き起こしている障害について考えることにしましょう。

日本医療の難題2 保険診療の弊害

はじめに

私は特に混合診療推進派ではなく「保険診療の良さも悪さも考えましょう、そして日本の財政を考え、社会保障費の膨らみすぎで将来的にデフォルト(債務放棄・徳政令)に向かわせないようにしましょう」という考えの元に意見を述べています。混合診療の長所・短所が述べられ、日本医師会では「混合診療に反対」の立場をとっていますが、その前に、現在行われている国民皆保険制度(保険診療)が実際にもたらしている弊害(短所)について考えてみましょう。国民の皆様は、医師も含めて混合診療の短所を述べる方は大勢おられますが、保険の短所について言及している方はほとんどおられないと思います(不思議ですね。その理由は後ほど述べます)。


日本の財政では保険制度に十分にお金を支払う能力がすでに欠如しているので、本来は治療をしなければならない患者に対し、「治療を行ってもお金の支払いを拒否する」ということが日本各地で起こっています。まずはその実態をしっかり認識し、すでに一部の科、一部の病気で保険制度が崩壊していることを国民が知るべきだと思います。ここでは整形外科・ペインクリニック科を例に挙げ、保険側で支払い拒否を行っている実態について述べて行きたいと思います。


保険診療の不具合例

 

  • メニューにない:関節内洗浄、手根管内注射、滑液包内注射は料金請求不可
  • 適用が認められていない:自律神経失調症に星状神経節ブロックを行うなど
  • 料金が他の手技に含まれてしまう:透視下で注射、超音波下で注射、関節穿刺
  • 値段が高い手技は回数を限定される:症状詳記を書かないと支払い拒否など
  • 値段が不当に安い手技はほぼ無制限:関節内注射・腱鞘内注射は何箇所でも可
  • 治療間隔が1週間未満:前の治療との間隔が6日であれば月に2回しかしていなくても2回目は支払い拒否される
  • 1日に1箇所:病気が二つ重なっていても1日に2箇所すれば2箇所目は支払い拒否
  • 慢性期の支払い拒否:ブロックなどの比較的高価な手技は治療期間が長引くと支払い拒否される
  • 専門医以外の行う行為:内科医が硬膜外ブロックを行うと支払い拒否
  • 施設許可が下りていないもの:理学療法(クリニックが狭いと許可が下りない)
  • 儲けが高く、患者一人当たりの1ヶ月の平均医療費が高い:厚生局から指導が行われることが法律で定められている
  • 医師をあせらせ医療事故が増える:料金設定を年々引き下げて行くことにより、医師たちは経営を維持するために多数の患者を短時間で治療することを迫られる。これにより最も重要視しなければならない安全性が低下し実際に医療事故が多発している。
  • 不要な検査が増える:不当に安い診療費の穴埋め
  • 診断がついていない病気には支払い拒否

 

以下、それぞれどのような弊害が起こっているのかの具体例を挙げます。


1、メニューにない

例えば、化膿性膝関節炎では関節内の細菌数をできるだけ減らすために、関節内洗浄が必要です。関節内洗浄にはコツがいり、かつ時間がかかります。20ccの注射器で5回ほど洗浄するだけでも数十分かかります(中に滑膜のゴミがたまっているため針先に吸い付いて簡単に洗浄できないからです)。この作業には医師の人件費として1万円前後のコストがかかりますが、関節内洗浄のメニューがないので料金を請求できません。よって、どの施設でも関節内洗浄を行なわないのが一般的です。細菌感染による関節炎は放置すると軟骨や滑膜が破壊され、関節周囲も癒着が進み取り返しのつかない後遺症を残します。患者が激痛で苦しんでいても、抗生剤の点滴のみで放置しなければなりません。理由は保険のメニューに「関節内洗浄」がないからです。見るに見かねた医師が関節内洗浄を行う場合がありますが、それは必ず赤字となる「奉仕活動」でしかありません。


手根管症候群では手根管内にステロイド+局麻薬が非常に有効ですが、これもメニューにありません。五十肩にはどこの施設でも肩峰下滑液包に注射を行いますが、これもメニューにないため「関節内注射」を行ったことにして関節内注射の料金を請求しています。有効な治療であり、頻繁に行う治療であるにもかかわらず、メニューリストにない手技が多く、臨床医は手技料金を請求できずに非常に困っています。


2、適応が認められていない

有効であっても保険側がその有効性を認めないために適応がとれず治療ができないということがごまんとあります。基本的に保険側が支払いを認めるのは「医学的に有効と実証されたものだけ」という立場をとっています。それはもっともです。しかし有効であることは広く理解されていても、数字や画像で立証できない症状があります。


例えば、星状神経節ブロックは200以上の疾患や症状に有効性が認められていますが、保険側は頚肩腕症候群くらいにしか適応を認めていませんので、頚肩腕症候群以外の疾患にこのブロックを行うと支払いを拒否してきます。適応はその病気を担当する専門医(例えばアレルギー性鼻炎なら耳鼻科医)が適応を認めれば保険が認められるようになります。しかしペイン科の医師がアレルギー性鼻炎を治療するために星状神経節ブロックを行い、その治療が有効であっても、耳鼻科医の反発があるおかげで保険適応になりません。世の中にはこうした科間の論争のために保険適応が通らないものが多数あります。本気で治そうとする医師は論争を無視し、保険を無視して患者を治療しようとしますが、その際に保険というものが障害になるわけです。


また、経口薬は値段が安いので適応が認められていますが、注射薬は値段が高いので認めないという薬もあります。腰部脊柱管狭窄症でしばしば用いるパルクスやリプルなどの静脈注射薬です。保険適応が認められていない治療であるのに、患者がその治療を懇願した場合、たいていの開業医はカルテの改竄という「法を犯す処置」をやむを得ずとることが多いようです。例えば、アレルギー性鼻炎に星状神経節ブロックを行う際に「肩こりで治療を受けている」ことにし、傷病名を頚肩腕症候群という虚偽の病名を記載して保険側に請求します。パルクスやリプルも一昔前までは整形外科医が腰部脊柱管狭窄症の患者に「閉塞性動脈硬化症」と嘘の病名を書き、湯水のように使用していました。こういった虚偽報告に対し、保険側は「虚偽の病名の雰囲気があれば支払い拒否をする」という「雰囲気による支払い拒否措置」をとります。虚偽の事実ではなく、疑惑があれば支払いを拒否するという非常に横暴な措置です。


例えば、アレルギー性鼻炎に星状神経節ブロックをする医師は「頚肩腕症候群」という病名をつけて適応させようとするのですが、同時にアレルギー性鼻炎の治療薬であるセレスタミンを処方すると、保険側の審査員に「星状神経節ブロックを鼻炎治療に使っている」と勘ぐられ、そして虚偽の証拠もないままにあっさり支払い拒否をしてきます。


パルクスやリプルに関しては薬価が5000円以上もする薬剤で、仕入れ値も4500円くらいかかります。これをある日突然支払い拒否が行われると、数十万円から数百万円の損害になります。保険側のこうした大胆な(違法ともとれる)支払い拒否を食らった開業医は、その後二度とパルクスやリプルを使用しなくなります。つまり、保険側は開業医に「大きな痛手」を与えて適応外の使用に対して「お仕置き」をするわけです。ところが、この「お仕置き」は適応の通っている閉塞性動脈硬化症の患者に対する使用にまで影響を及ぼします。なぜなら「疑われれば罰される」わけですから、動脈硬化の証拠がなければこの薬剤を使用できないことになります。動脈硬化の検査機器を全ての開業医が設置しているわけではないので、設置していない開業医は本当の閉塞性動脈硬化症の患者にさえ使用をためらうようになります。これが本当の弊害です。


3、料金が他の手技に含まれてしまう

 

股関節や仙腸関節、椎間関節などは触って確認ができないので、ここに注射をするためにはX線で透視しながら行います(最近は超音波で透視します)。例えば股関節にX線透視を使って数十分かけて注射をしたとします。これには医者の人件費1万円と透視機器の使用料金4000円、造影剤3000円、などを合わせると、1万7千円くらいのコストがかかります。さて、この治療に保険側はいったいいくら支払ってくれるでしょうか? 答えは800円+αです。保険側は関節内に注射するという手技代として800円とそれにかかった薬剤の+αを支払いますが、それ以外の透視にかかった費用は800円の中に合算することにしています。 上記の1万7千円は実際にかかっている費用ですので保険側が800円少々しか支払わない場合、この治療で1万5千円以上の赤字となります。


つまり、実際には「透視を使って関節内注射をすること」に保険側は「お金を支払わない」ことを断言しています。これは「国にお金がないから透視による注射を認めない」と言っているようなもので、透視を使用することを禁じているのも同然で、ある意味、基本的人権の尊重を無視した違法性の強い支払い拒否といえます。国側が関節内注射を受ける国民の権利を剥奪しているからです。


臨床現場では股関節や仙腸関節、椎間関節の痛みで苦しんでいる患者は大勢存在しますが、それらの治療には鎮痛薬しか認められていません。つまり適切な治療で治るチャンスを国側に剥奪されていると言えます。これが日本国憲法違反の色彩が濃い「保険側の支払い拒否」の実態です。正当な治療を受ける権利まで剥奪しなければならないほどに保険制度は壊れています。関東○○病院を頂点とするペイン科の医師たちは「透視下に様々なブロック治療」を行うことで名をはせていますが、彼らはおそらく、現在の保険制度に怒り、悩み、苦悩していると思います。


4、値段が高い手技は回数を限定される

例えば頸・胸部硬膜外ブロックは手技料が1回¥15000と高く、これを毎週行うと、何の理由もなく支払い拒否される恐れがあります(全てを支払い拒否されるわけではなく4回分のうち2回を拒否されるなど)。また、このような高い手技の場合「なぜブロックが必要であったのか?」を示す症状詳記を添付しない場合、支払い拒否をされる可能性が高まります。開業医にとっては、1回分でも支払い拒否をされるとかなりの痛手となるので、毎月、強迫観念にかられながら症状詳記を書いて保険審査を通さなければなりません。そうした人件費・労力を強要し、精神的な従圧を与えることで「値段の高いブロックをさせないように医師に圧力をかける」ことが許されています。高いブロックだから支払いを拒否するという姿勢は医の理念に合いません。


5、値段が不当に安い手技はほぼ無制限

関節内注射や腱鞘内注射は不当に安い値段設定にされています。¥800と¥350です。患者を診察室にいれ、話を訊き、診察台に上らせ、ポジションをとり、消毒し、注射をし、止血をし、服を整え、退室の時間までを10分とすると…。医師は1時間に6人の患者に計8つの関節内注射をしたと仮定します。診療費として¥10720を得ますが、開業医では1時間に2万円以上を稼がなければ採算がとれません。つまり1万円以上の赤字になります。腱鞘内注射であればさらに採算が合いません。治療をすればするほど赤字となる料金設定は「不当に安い設定」と言ってよいでしょう。そしてこれらの手技は1日に何箇所行っても支払い拒否されません。それはそうでしょう。こういう安い治療を医師にさせて、患者に奉仕することを保険側が望んでいるからです。関節内注射や腱鞘内注射は、高い技術が必要だというのに、そうした医師の人件費に全く見合っていません。


当然ながらこうした「不当に安すぎる治療」を開業医は「できるだけ行いたくない」と感じるわけですから、治療に消極的になります。保険側の安すぎる値段設定は、医師の治療意欲を大きく損なわせます。どうしてこんなに不当に安い料金設定に、医師たちは怒って厚生労働省を訴えないのでしょうか?


また、実際にある話ですが、「新しい治療」を開発した医師が、5年以上かけて厚生労働省に働きかけ、新治療を保険適応としました。しかし、その料金設定を不当に安くされたために、その医師は怒り、そこから保険診療をやめ、自由診療でのみ新しい治療を行うことにしたという話です。長年労力をかけて保険適応を認めさせたのに、その値段設定が不当に安い場合「保険診療は認めません」と言われたことと同じ意味になります。新しい手技を開発した医師に対し、厚生労働省はその手技を表面上受け入れた振りをし、不当に安い値段設定で「使用不可」にさせてしまうことができるのです。


6、治療間隔が1週間未満

ほぼ毎週ブロック注射を行いながら痛みをコントロールして生活を続けている患者がいます。ブロックをやめると痛みが強くなり、いろんな仕事ができなくなるからです。しかし、次の週の診察日が祝日で休みでしたので患者は祝日の前の日に来院しました。ですが、前回から6日しか経っていないという理由で保険側はブロック注射の治療費の支払い拒否をしてきます。よって、病院側は6日目に来院したこの患者を門前払いしなければなりません。病院側は患者を説得し、祝日の後日(明後日)来院するように患者に言いました。患者はしぶしぶ帰宅し、明後日来院することにし、そしてブロックを受けました。しかし、その後に問題が発生します。来週の治療も1週間以上間隔を開けなければなりませんので1週間後に来院すると、「来院する曜日」がずれてしまうからです。この患者は普段仕事をしており、「違う曜日」には来院できません。したがって次回のブロックは約2週間後に延長し「いつもの曜日」に来院するように調整しなければなりません。つまり保険側が6日しか経っていないと支払いを拒否するという強硬姿勢を貫くせいで、この患者は2週間も治療間隔を伸ばされることになるわけです。この患者は理由あって毎週通院しているわけであり、それが2週間隔にされると、症状が間違いなく悪化します。悪化するおかげで治療がふりだしに戻され、結果的にこの患者は長期間通院することになり、結果的に国の財政を圧迫します。


7、1日に1箇所

坐骨神経痛と頚椎神経根症の二つ同時の症状出で生活が困難になるほど痛みがある人に対し、1日1箇所しかブロック治療ができません。患者には「どっちを先に治したいですか?」と質問し、どちらかの痛みはブロック拒否をしなければなりません。痛みの箇所が3~4箇所の人はさらに悲惨です。1日に1箇所しかブロックができませんので、1箇所の痛みが完治するまで他の箇所の痛みを放置しなければならないからです。もちろん、翌日に来院すれば2箇所目にブロック治療が可能です。しかし、都道府県によって審査基準が異なり、翌日のブロックを支払い拒否する都道府県があります。この理不尽な支払い拒否のため、多数箇所に激しい痛みがある患者は、一つの治療箇所が治るまで、他の箇所の治療をしてもらえません。社会人で仕事をしてれば、通院できる曜日は決まっているので、次の日に違う場所をブロックするなどできません。よって痛みを訴える場所の治療を、開業医側も永久に拒否することになります。この国の保険はなんと理不尽なのでしょう。


8、慢性期の支払い拒否

例えば、しびれです。腰椎椎間板ヘルニアでは坐骨神経痛が起こり、それらには硬膜外ブロック注射が有効であることが認められていますが、整形外科の教科書には「しびれにはブロックが無効である」ことが書かれています。真実は無効ではなく、繰り返し治療をすることで軽快していくのですが、「しびれの治療には硬膜外ブロックを認めない」という立場を保険側はしばしばとります。これを認めると「長く治療を重ねること」を認めることになり費用が膨らでしょう。しびれの治療には繰り返しのブロックが有効ですが、毎週のブロックが1ヶ月以上続くと、2ヶ月目以降、一部の支払いを拒否することがしばしばあります。しびれの治療は毎週連続で行うからこそ治療効果が出るのですが、2週間に1度ではなかなか治りません。このように慢性疾患で根気よく毎週の治療が必要な場合は、「毎週続けて治す」という方法が保険側で認められていませんので結局治せません。国民は保険側に「治せるチャンスを剥奪されている」ことに気づくべきです。


9、専門医以外の行う行為

現在、全ての科で専門医制度を制定し、専門医でなければ治療をしても保険側が支払いを拒否しようとする運動が高まりつつあります。例えば、内科医が腰痛で歩けない状態で困っている患者に「腰部硬膜外ブロック」を行って歩けるように治療してあげます。しかし、内科医はペインクリニック科の専門医ではないのでその診療費を保険側が支払わないという酷い制度です。これは言うなれば各科における「縄張り争いを利用した保険の不当支払い拒否の正当化」と言えます。


日本の医療は各科の教授を頂点に各科の学会に医師を強制的に入会させ、その学会で専門医の資格を与え、そして医師たちを従属させるという支配系図をとります。ところが専門医の資格があってもなくても、開業医は普通に経営ができてしまうので実際には専門医じゃないから儲からない、専門医だから経営に有利になるということがありません。よって専門医資格をちらつかせて医師たちを支配するという構図は、開業すると無視することが可能です。


教授たち、官僚たちにとって、学会という権威を無視できる構図は望ましくないため、専門医でなければ医師が経営できなくさせようという動きが最近になり活発化しています。教授と官僚はT大が派閥を効かせているため、一蓮托生であり、この勢力が手を組み「専門医以外が行う処置では保険側が支払い拒否をする」という方向に制度化しようとしています。保険側と教授たちの利害関係が完全に一致するからです。


私の勤務地であった東京都E区のN病院では実際に次のような事件が起こっていました。神経ブロックの上手な内科医が非常勤で勤務していて、その医師は痛みに悩む多くの患者にブロック注射で治療をしていました。しかし、N病院にはペインクリニック科の専門医がいません。よって保険請求した全てのブロック注射の代金を支払い拒否されたのです。内科医がブロックを行うことは不当行為でもありませんし、法律で禁止されているわけでもありません。しかし、N病院でペインを標榜していないという理由で支払いを拒否してきた保険側は本当に正当なのか?を人道的に考える必要があると思います。


ペイン科の開業医は全国に極めて少なく、地方では内科医や外科医がブロック注射をしなければならない状況が多々あります。そうした状況を考慮せず法律で禁止されているわけでもないブロック手技を支払い拒否とした保険側の横暴を放置しておいてよいのでしょうか? それよりもなぜ、このような横暴を医師たちが許すのか?に問題点があります。このことについては後ほどのシリーズで述べます。


今後、各科は専門医制を強化しようと考えています。そうなると「何でも診てくれる家庭医」が消えて行きます。孤島や僻地での医療は一人の医師が全ての科の手技をしなければなりません。しかしそれが保険ではできなくなる恐れがあります。孤島でなくとも、今までは目の前の家庭医で治療できた病気が、自動車で2時間かけて専門医のクリニックまで行かなければ治療してもらえないという状況になります。日本の医療制度はそうした慈悲のない共産主義医療の方向に進む可能性があります。


10、施設許可が下りていない治療

東京都心部は土地が高く、理学療法ができない開業医がほとんどです。というのも、理学療法の治療費を保険請求するためには「広い敷地がある」ことを条件とし、広い土地がない開業医では理学療法を行ったとしても保険側が支払いを拒否します。真実を言うと、理学療法士と4.5畳の広さもあれば、ほとんどの理学療法を行うことが可能です。しかし、理学療法の治療費は高価なので保険側としては「簡単には理学療法を受けさせない」ようにしなければなりません。ですから、理学療法室が広くないとお金を支払わないという制限を加えています。よって都心では理学療法がほぼ不可能です。土地代を払えるほどに稼ぐことが困難だからです。


理学療法を行う場合はほぼ「駅から離れた不便な場所」の病院でしか行えません。これもまた日本医師会の言う「万人に平等」の医療を行うための弊害です。万人が受けられるのではなく、駅から離れた病院にわざわざ通院できる患者だけが理学療法を受けられるのです。理学療法で例を挙げましたが、保険側はこのような施設基準をいろんな保険請求に細かく設けていて、施設にお金をかけないことには特殊な治療の保険請求ができない工夫をしています。


11、儲けが高く、患者一人当たりの1ヶ月の平均医療費が高い

多く稼いでいる開業医は、その収益の高い順に指導や査察が行われることが法律で決められました。開業医が儲けることは悪とみなすやり方です。確かに一理あります。医療を儲けの道具にすることを防ぐという立派な思想は美しいです。しかし、一人当たりの月額平均保険報酬が高いと指導が行われるというやり方は感心しません。なかなか治らない病気を治そうとする場合、一人当たりの治療費は必ず高くなるからです。薬だけ出しておけば治るような患者ばかりを診療しているクリニックでは問題になりませんが、私のように「治りにくい症状だけを専門に治そうとする」開業医にとっては「患者一人当たりの1ヶ月の平均医療費」が高くなるので指導や監査の対象とされやすいことは理不尽極まりないことです。


12、医師をあせらせ医療事故が増える

腰部硬膜外ブロックを例に挙げます。ペインクリニック科で腰部硬膜外ブロックを採算ベースに乗せるためには、1時間に3~4人以上にブロックを行わなければなりません。ところが、高齢者のブロックでは脊椎が極めて変形しているので、ブロックをしっかり成功させるためには30分以上かかり、失敗した場合に再度行うことを考えると1時間近くかかる場合もあります。これでは利益が出ませんので、通常は以下のようにしています。

  • A:ブロックが不成功でも成功したフリをして早々に切り上げる(なんちゃってブロック)
  • B:乱暴な手技で素早く刺して、安全性を度外視して速さを追及する
  • C:診察を行わず、話も聞かず、ブロックだけを寡黙に行う
  • D:高齢者にはブロックを行わない
  • これらは、実際に行われている話であり、料金設定を安くすることがどれほど医療に弊害があるかということを意味しています。

 


A、ブロックは的確な場所に入らなければ効果がありません。しかし、患者個人個人で入りにくさが様々で、時間をかけて何度もトライしなければ入らないことがしばしばあります。しかし、現在の保険制度の料金設定は、リトライできる値段ではありませんので、「もしかしたら的確に入っていない」と感じた場合でも、入ったフリでそのまま患者を帰してしまいます。いわゆる「なんちゃってブロック」が増えてしまいます。安い料金設定には短い時間しか割り振られていませんので、その時間内に手技を終わらせるためには、不成功のまま患者を帰すしかありません。


B、例えば、仙骨部硬膜外ブロックは手技的にはかなり難しいのですが、料金設定が腰部硬膜外ブロックの半分以下のため「数分で行わなければ採算が合わないブロック」となっています。そこで医師たちは局麻酔を行わず、機械的にズバズバ刺して素早くブロックを行おうとするため、「極めて痛いブロック」となっています。腰部硬膜外ブロックを同じ値段であれば、そこまで無理をしなくても、ゆっくり局所麻酔をしてから行えるものを、半分の料金なので「安全性を度外視されたブロック」にならざるを得ません。


C、ブロック注射を安全に行うには一人20分、どこにどんなブロックをすべきか?診察して治療を考えるのに10分かけるのが安全性を考えたブロックですが、この「10分の診察」を行うことができないほどにブロックの料金設定は低くなっています。ブロックを専門として中には患者を5人も10人もベッドに寝かせておき、医師が次々とベルトコンベア方式でブロックをしている開業医もいます。一つ間違えば医療事故が起こる危険な状態です。こうした医師の「あせり」、「外来が混んできたときの苛立ち」は、医療事故を起こす土台となっていますが、診療報酬が安すぎる設定なので、どうにも止まりません。料金を安く設定すれば、診療時間を短くするしかないというところを厚生労働省側は全く理解していないと思われます。


 

13 不要な検査が増える

診察料金が安すぎるため、患者と話ができません。基本的に再診料は720円ですが、1時間に24000円を稼ぐことを目標に置く開業医の場合、720円では2分以下しか患者と話ができません。診察室に入室し、杖を置いて、ジャケットを脱ぎ、ゆっくり腰掛け、患部を出すだけで2分かかります。その間、話を訊こうとすると患者は動作をやめますので、訊きだすには辛抱強く待たねばなりません。待っている間にタイムアップ。つまり再診料720円=患者と話をしてはいけない!ことを意味します。にもかかわらず、この再診料も支払うことを拒否しようとする保険側の意図があります。それは「少なくとも5分以上」患者を診察することを命じたこともあったからです。つまり、1時間に12人以上を診察するな!とういう命令に等しいわけです。そういう無茶な保険側の支払い拒否の体制では、不要な検査を多く入れ、赤字分を補填しなければ経営が成り立ちません。すなわち、医師が直接診療をしないでも料金が取れるシステムへと依存して行くことになるわけです。現在の保険体制が不要検査システムを推奨していると言えます。米国のペインクリニックではMRIを必須にしていることが問題視されています。日本のペインクリニックでは採血・採尿検査を必須にしている開業医も多数見られます。それはすなわち、手技料金や診察料金の設定があまりに安すぎることの裏返しです。


14 診断がついていないものは支払い拒否

基本的に保険側はグレーゾーンの病気は全て白と扱い、黒と診断されたものだけを治療対象とし、グレーゾーンに治療を行った場合は支払いを拒否するという立場をとっています。膠原病などは診断基準が毎年変化し、国ごとに診断基準が違うことがありますが、保険が「診断基準を満たさないものには治療費の支払いを渋る」傾向があるため、医師はグレーゾーンの病気に対して消極的になるという現状があります。


国民皆保険の理念と矛盾

上記に挙げた説明文は「もうすでに質のよい治療を平等に国民全員に」行うことができないレベルにまで医療の質が低下していることを述べたものです。効果があっても薬を使わせない、手技をさせないというあからさまな制限を加えていることがおわかりいただけたと思います。現在は「質の低い医療を平等に国民全員に」行っているのが現状です。


質が低いと言っても、世界の開発途上国と比較すれば極めて質が高いと言えます。しかしながら、今後約20年間、高齢者の人口は増え続けます。現在と同じ医療の質を維持するためには医療費をさらに上げて行くしかありません。それはできないことなので未来の20年間に置いて医療の質は低下していかざるを得ないのです。「全国民に平等に」を死守するためには質を落とさなければならないことは必須であり、未来の日本ではお金持ちさんも平等に質の低い治療しか受けられません。


平等に質の高い治療を!という理念は、理念として素晴らしいのですが、病気の重症度は決して平等ではありません。難病に指定されている病気にかかれば、それなりに質の高い医療を受けられるでしょう。しかし実際には難病に分類されない痛み・歩行困難・自律神経失調・虚弱などが存在し、それらの症状で重症な方々は「平等医療」のせいで人生を棒に振るほどに苦しい生活を強いられています。重症な方には平等な医療ではなく、濃厚な医療が必要です。重症度を考えずに平等の医療をした場合、重症な方にとっては、質の低い医療しか受けられない日本になってしまいます。平等治療は、重症な患者にとっては弊害となっていることを認識しておかなければなりません。


重症患者は保険では治せません

まず重症の定義からお話しなければなりません。厚生労働省が考えている重症は難病指定の疾患、障害者級のとれる疾患、悪性腫瘍、大きな手術を必要とする疾患などです。この定義では経口薬が効かない急性期の激痛、1箇所ではなく数箇所にわたる激痛、複数の症状が重なっているものなどは重症の定義から外れます。保険では重症と扱われない、実際には重症の患者が医者にかかった場合に「保険診療では治せない」ことになります。


急性期の激痛ではブロックを行ったとしても1日程度しか効かないことがしばしばあり、1週間に2~3回のブロックが必要なことがあります。毎日連続で治療すれば速やかに改善させることが可能であっても、現在の保険ではそのような治療が認められていないので、急性期激痛の重症患者は日本では治すのに長期間かかります。複数個所を治療する場合、保険では1日1箇所、週に1箇所なので「どれか一つの症状」を集中的に治し、他の症状は診療拒否しなければなりません。


薬が効かない激痛は重症ですし、何箇所にも症状がある人も重症です。しかし、厚生労働省はそうした真に重症な患者を重症と定義していません。問題はここにあるわけです。教授たちはいわゆる難病を治して実績を上げることに尽力していますから、難病の病名がつかない患者の激痛を治療したことがありませんし興味もないでしょう。まさにそうした教授の態度と保険制度が完全に一致していると言えます。庶民の重い症状の病気を治そうと必死になっている開業医が苦労することになります。


保険診療が禁じていること

基本的に保険制度(厚生労働省側)は一生に一度や二度しか行わない大手術や、まれな難病にはお金を支払い、腰痛・腹痛・しびれ・睡眠障害・不安神経症・老いから来る症状など誰もが何度も日常的に患う大衆の病気に対しては可能な限り支払いを拒否するという姿勢を貫いてきました。お金を払えないからです。保険制度が禁じていることは大衆病治療の質を高めることであると断言してよいでしょう。よって国民皆平等保険制度は大衆病治療の質を低下させることを目的としていると言っても過言ではありません。


真に重症な患者を治そうとする医師たち

保険医療は指定難病、障害者に該当する病気、悪性腫瘍などには高額で潤沢な診療報酬を提供し、支払い拒否をあまり行いません。つまり大病院や大学病院が専門に診療する病気には厚いといえます。しかし、開業医が主に関わる大衆病の重い症状には薄いと言えます。大衆病を治そうと必死に手を尽くす善良な医師は保険の支払い拒否に何度も遭遇します。その代表がペインクリニック科の医師です。彼らのところに集まる患者は、他の科の保険診療では治らなかった患者たちであり、当然ながら、ペインクリニック科の医師が他の科と同じように保険診療をするのであれば改善するはずがありません。ペイン科の医師は他の科で治らない重症な症状を治そうと努力する医師なので、保険制度の支払い拒否にもっとも頻繁に遭遇し、理不尽な思いをさせられるでしょう。


そうした医師たちに残された治療法は、自費診療による濃厚治療ですが、それも税制で不利になるように仕組まれているため、彼らは金銭面で八方ふさがりにされています。保険診療がすでに崩壊していることは、ペイン科の開業医であればひしひしと感じるでしょう。もちろん、ペイン科だけでなく、「真に重症な患者を治そう」と向上心を燃やす医師は全員が保険診療が崩壊していると感じています。しかし、ガイドラインに沿った典型的な治療しか行わない医師には、保険診療が崩壊していることに気づかないかもしれません。一転、自分が高齢になり、不定愁訴を訴えるようになれば、いやでも保険診療が症状改善に役立たないことを知ることになるでしょう。これほど理不尽な料金設定、支払い拒否をされても厚生労働省に逆らわず、医師たちが従順でいる理由は何なのでしょう? 次回に続きます。


自由診療重税に無頓着な病院

自由診療には重税が課せられており、一般的なクリニックが自由診療を多く行うと収入が減ってしまうことをシリーズ1で述べました。しかしながら、必要経費をふんだんに浪費し、実際にかかる経費を7割以上にしているところでは措置法26条を放棄しているので税による自由診療重税はありません。ですから税金対策として意図的に経費を浪費させている病院では自由診療重税に無頓着です。ただし、こうした病院は税務署から目を付けられる対象になるでしょう。


また、開業医でも保守的な医師はガイドラインどおりに治療することを好みますので、自由診療を行いたいとさえ思わないでしょう。そうした保守的な開業医にとって、「自由診療を行い患者をどんどん治して行く医者」が存在することは「許しがたい」でしょうから自由診療に大反対だと思います。


日本は「全国どの医師にかかっても同じ診療」をもっとうにしていますので、その中で「ここの病院では治せない症状が、あそこの病院では治せる」という差があると、「治せない病院」は評判が落ちてしまい経営が傾きます。よって保守的医師の団体である日本医師会は自由診療=自由競争、となるので自由診療には反対の立場をとるでしょう。つまり、保守派開業医は自由診療には全く興味がなく、革新的な開業医は自由診療に興味を持ち、実際にトライし、そして自由診療重税に頭をかかえます。


日本の医療は進歩しにくい(保険診療の最大の欠点)

自由診療が重税により、実際には自由診療を行うことを妨害されているという現状があります。つまり、診療の自由競争の機会が奪われ、「患者を治そうとする競争」をゼロにしているのが日本の保険診療です。つまり全ての開業医の治療レベルを均等にする(低いレベルに均等に抑える)共産主義医療です。自由競争がない場合、医療の進歩、質の低下は避けることができません。これが保険診療の最大の欠点です。

そして、低いレベル、安い料金設定では「目の前の患者の苦痛を除去できない」ことを悟り、理不尽ながらも自腹を切って、質の高い医療を施そうとする医師のみが苦悩します。腕のよい医師ほど理不尽な経営を強いられる日本の医療に落胆しています。

 

日本医療の難題3 混合診療のデメリットを深く考える

前回は保険診療がすでに崩壊しているありさまについて述べましたが、今回は混合診療、自由診療のデメリットを考えます。


混合診療のデメリット

  • 1、安全性や有効性が十分に確認できていない薬や治療法を利用する人が増える
  • 2、悪質な医療の増加。
  • 3、副作用や医療事故の増加 4、公的保険で取り扱えるまでの手続きが煩雑であることから、自由診療のままでよしとする薬や治療が増える
  • 5、医療格差が生じる 6、公的保険の財源不足を理由に、現在公的保険が使える治療も自由診療に見直されてしまうおそれがある 7、自由診療が増えることで、医療保険の「先進医療特約」等の保険料が値上がりし、長生きする人が増えれば生命保険の保険料全体が値上がりする。同時に介護費の負担も増える

臨床現場での自由診療の真のデメリットを詳しく考える

1、自由診療では安全性や有効性が不十分

自由診療では安全性が確保されていないことが問題になります。ところが実際は保険診療の安全性も確保されていません(引き合いに出すのはおかしいかもしれませんが)。大学病院や教育研修病院では手術やブロック注射などを技術が未熟な医師が行うことが常です。したがって実際は保険診療で数多くの医療事故が起こっています。自由診療の場合、確かに安全性がしっかり証明されていない手技や薬剤が用いられる機会が増えますが、未熟な医師がそれらに携わることはまずなく、経験年数も多く腕の立つ医師のみが自由診療を行います。なぜなら、自自由診療で医療事故が生じた場合、その責任を負うのは実行した医師だからです。自由診療を行う際には、医師は極めて慎重に安全性に対して神経を使うため、未熟な医師が保険診療を行って事故を起こす確率よりも、自由診療の方が低くなります。事故が増えるとは言うものの、自由診療の場合は担当医が命がけでその診療を行い、責任を持つわけですから、緊張感が桁違いなのです。


一方、保険診療の場合は医療事故の責任を国や組織が負っている形になっていますから油断が生じ、実際は医療事故がとても多いのです。また、現在でも、安全性の確保されていない新薬を用い、新しい器械を用い、新しい治療法を行うのは開業医ではなく、大学の教授クラスです。一般の開業医がそうした新薬に真っ先にとびつくことは考えられません。

開業医が保険で認められていない新治療を行って医療訴訟を起こされれば、人生が奈落に落ちてしまうからです。安全性が確保されていない治療薬・治療法を使用できるのは、大きな権力の傘に守られている場合です。自由診療が増えたところで一般開業医が無造作に新薬に手を出すとはとても考えられません。また、手を出す勇気ある医者がいたとしても、それは患者や家族が懇願した場合です。


もともと自由診療にかかりたいとする患者は、保険診療では治らないことを理解した患者です。それでも今の苦痛をどうにかしたいという一心で自由診療に賭けてみるわけで、むやみに自由診療が広がっていくことはありません。また、自由診療のほとんどは、実は安全性や有効性が確保されています。というのも、自由診療で実際に開業医が行うのは、治療回数を増やす場合に、2回目を自由診療で行う。注射の際にX線透視を使う場合に、透視料として自由診療費をいただく。ゆっくり時間をかけて安全に行うために、その分の手数料を多くいただくのを自由診療費で追加する・・・などだからです。全く新しい無謀な治療が自費診療なのではなく、既存の安全性の確保されている治療を少し時間をかけ、最新の診断機器を使ってていねいに行うこと、回数を増やすことなどが自費診療なのです。


2、悪質な医療の増加

自由診療が悪を生むという考え方もわからないでもありません。患者をそそのかして高額な自由診療に導く悪い医者が増える可能性があると言います。しかし、自由診療は実際にはそんなに甘いものではなく、はっきりとした効果を出すことが出来なければ、患者は来院しなくなり、金儲け主義の悪い医者は淘汰されます。それは鍼灸や整体と同じです。彼らは高額な治療費をとりますが、実際に保険診療よりも効果が高いからこそ営業していけるのです。確かに鍼灸や整体での医療事故も散見します。しかし、それでも彼らはきちんと責任をとり継続して経営しています。自由診療は明らかに保険診療よりも3~20倍も高額なので、患者を満足させずにお金をだまし取るような悪質な医者は淘汰され、経営が成り立ちません。よって悪徳医師が増えて行くとはとても思えません。自由診療は「明らかに保険診療よりも効果の高い結果を出せる医師」にしか実行することが不可能だと思います。また、安全面でも同様です。自由診療が解禁になったところで、誰にでもできるものでは決してありません。


3、副作用や医療事故の増加

副作用や医療事故は確かに必ず増えると思います。その理由は、自由診療は保険診療ではなかなか治らない重症な症状を持つ患者のみを対象として行われるからです。医師は保険診療の時よりも「この患者を治してあげなければならない」というプレッシャーを強く持つことが確実です。したがって、安全よりも効果を優先させる傾向になるため「濃度の高い薬剤」「薬剤の分量を増やす」「治療回数を増やす」などの懸命の努力をすると思われます。すると副作用や医療事故が増えることは必須なのです。普通では治らない無理難題の症状にトライするからこそ事故が増加すると考えます。普通に単純比較で事故が増えるとは思いません。


しかしながら今まで保険医療では決して治ることのなかった患者の症状が自由診療では治るという幸運な例が、医療事故で悪化した人の何十倍も何百倍も存在するようになります。治らないとされた難治性の症状も治せる可能性が広がります。そのメリットと差し引いて、「どちらが日本国民にとって有益か?」を考えるべきです。保険診療では1万人に1人でも悪化する人がいれば、その治療を禁止しますが、自由診療では100人中99人が幸福になるのなら、1人の悪化は目をつぶるということもあり得ます。しかし、その責任はそれを行った医師にあり、きちんと責任をとるのであれば法治国家として可であると私は思います。患者側もリスクを承知で自由診療を受けるのですから、そこには契約が成立しています。事故は増えるでしょうが、その責任を個人の医師と患者自らが負うのですから、無造作に事故が増えるとは思えません。


4、自由診療のままでよしとする薬や治療が増える

恐らくこれが自由診療の拡大時の最大のデメリットと思われます。自由診療として広まった治療が保険診療にとりこまれることはないと考えている方が大勢おられますが・・・これは自由診療を開発した医師によって変化します。大学の教授が考え出した治療であれば自由診療のままになっていることはまずないでしょう。なぜなら、教授は実績を築き広くその治療が普遍的であり自分が有名になることを望むからです。自分の開発した診療技術が自由診療のままでいるのは教授らのプライドが許しません。教授のプライドにかけて保険適応をとるでしょう。自由診療のままでよいとするのは、世に貢献するよりも、名を残すよりも、お金が欲しいと考える開業医です。


では少し考えてみてください。名もない開業医ごときが教授たちをしのいで優れた治療法を編み出したとして、その治療法がどれほど世の中に貢献できるでしょう? 恐らく、保険適応が通ったとしても貢献度の低い治療法である確率が圧倒的に高いでしょう。ならば、そのような治療が保険適応となる必要性はありません。また、開業医が考え付いた自由診療では、「もともとエビデンスが得られにくい」ということを忘れてはいけません。エビデンスが得られない治療は、開業医がどう努力しても保険適応にはなりません。唯一、開業医の開発した治療法が保険適応となる方法は、その治療法が一人の開業医だけにとどまらず、多くの開業医に広がり、有用性が自然と判明してきた場合に限られます。つまり、どの道、その治療法が広まるためには自由診療を介さない限り無理なわけですから、自由診療の広がりが保険適応を阻止するという考え方は理屈に合いません。


また、本当に有用な治療法であれば、国民が保険適応を求める声を発しますので、そうすれば官僚はすぐにでも動かざるを得なくなります。心配いりません。友の会の会員が全員で一致団結して署名をとれば、官僚は保険適応へと動かざるを得なくなります。それから…自由診療は新しい治療、新しい薬剤・・・と想像しているようですが、その想像は大半が誤りです。名もない開業医がいきなり新しい治療を試すというような大胆不敵な行動は、身の破滅を招くのでまずしません。そういうことをするのは常に大学の教授クラスです。大学ではすでに先進医療として混合診療が認められているので、それが自由診療の拡大というものではありません。


一般の開業医が行う自由診療とは、現在、保険で認めているブロック注射を、「週に1回のものを2回に増やす」「1日に1箇所と制限されていたものを1日に数か所にブロックする」「透視を用いて注射する」「保険診療では不当に安い値段設定の治療を正当な値段で治療する」「高い技術を高い値段で提供する」などです。加えて言わせてもらえば、「X線透視を用いて注射する」真に大衆に必要とされる手法は、将来的にも保険診療に組み込まれることは絶対にありません。現在だって絶対に認めようとしないのですから。よって開業医レベルには本項目は考えすぎの一つです。


5、医療格差問題

医療格差は現在の保険医療ですでに生じていることは前に述べました。高齢者、無職の人、生活保護者などは、1週間に何度も病院に通えるため、働いて収入を得ている人たちの何倍も質の高い医療を受けられることになっています。現在、保険側は1日に1か所のブロック治療という制限を設けているため、週に1回しか来院できない労働者は1種類のブロックしか受けられないのに対し、週に2回通院できる高齢者は、2か所に2種類のブロックを受けられるという逆医療格差が生じています。さらに、保険の制限は都道府県で異なるため、医療の地域格差が歴然として出ており、現在の医療ではすでに弱者逆優遇・地域格差(東京では受けられる治療が大阪では受けられないなど)の不平等医療が行われています。


自由診療を認めたとしても、これまでの医療を受けられなくなることはありません。それよりも、保険側が不当な支払い拒否をしているために生じている不平等問題を直視するべきです。平等をうたっている保険診療が、実は平然と不平等を生み出しているからです。そして医療が発展する方向へと進める自由診療を、妬み(自由診療ができる腕の立つ医師は教授や学会の権威者に必ず妬まれます)で阻止するべきではないと思います。自由診療が増えても今の医療水準が落ちるわけではないのですから。


6、現在公的保険が使える治療も自由診療に見直される恐れ

自由診療が広がった状態をシミュレーションすると、なんと医療費が現在の半分で済む可能性があります。つまり20兆円規模の国家予算を確保できる可能性があります。こうなれば日本は貧乏ではありません。だから逆です。公的保険治療を自由診療に見直す必要性が激減します。余った財源で先進医療をどんどん保険に取り入れる予算も生まれます。自由診療は、高齢者が蓄財したお金を動かし、経済を活性化させる力があります。高齢者は年金暮らしで貧乏とは限りません。自由診療にお金を支払えるくらいの余力を持っている高齢者は少なくありません。また、重要なことを見落としてはいけません。保険診療は官僚が医師を、医療界を支配するために存在しているということを(後のシリーズで述べます)。


日本の医療は共産主義医療であることを前に述べましたが、医師が官僚に従順でいるのは保険側が医師を完全に養い、逆らうと点数改正で倒産させられるほどの痛手を食らうことがあるからなのです。つまり医師は厚生労働省に首根っこをつかまれています。官僚は常にその力を医師に誇示し、医師は彼らにびくびくしています。そうした官僚の権力を彼らが手放したくはないでしょう。保険診療を減らし、自由診療に移行させていくことは、官僚が自らの権力を縮小させて行くことに等しいのです。


東大出身のエリートたちで作られた巨大な白い巨塔が、その権力を手放していくと・・・本当にそんなことがあり得ると思いますか? 官僚たちは医療が国家予算をどれほど食いつぶそうとも、その権力を逃さないために、国民皆民保険を守り続けてきました。国家の債務を縮小させるために厚生労働省の官僚たちが自らの権力を捨てて保険医療を自由診療へと移行させていくことなどあり得るでしょうか? 真相はその反対ではないでしょうか? 自由診療へと移りそうになってしまっては困るので、保険点数を引き上げ、先進医療を取り入れ、多くの開業医が保険を利用するように画策しようとするのが筋だと思います。そうしなければ白い巨塔が崩れるのですから官僚たちも必死で保険診療を利用する開業医の比率を確保しようとするはずです。自由診療が広がり、財源が豊かになれば、保険点数はプラス改正にし「保険を使う医師」を増やそうと官僚たちが画策するのが筋です。


7、自由診療が増えることで、医療保険の保険料が値上がる

保険料が上がるのは当たり前です。むしろ、日本ではお金があるのによい医療を買うことができないというあまりにも資産家をバカにした医療を行っています。お金があるのに、医療を買えない世界にしていることを正しいとする考え方に私は疑問を感じています。共産主義医療にもメリットがあることはわかりますが、経済は共産主義では発展していかないことは中国でさえ認めていることです。医療は経済ではないとして切り離す姿勢はとても格好がよいのですが、経済を医療で回して財源を確保しなければ、国が債務で倒産するレベルになっています。いつまで共産主義医療にしがみつくつもりでいるのでしょう。


日本は江戸時代から資産家をバカにすることが美学であるとしてきました。士農工商という身分制度も商人(資産家)をバカにするための制度です。武士道から生まれました。しかし、良い医療を受けたいのにそれを全く買えない状態にしていることにも罪悪感を持っていただかなければなりません。資産家の健康を守れない日本にはしたくありません。今のような全員平等で、資産家にさえ質の低い医療しか受けさせない体制には賛成しかねます。資産家も大衆病にかかり、資産家も腰痛・膝痛・神経痛・認知症などに悩みます。そしてこれらを治そうとしても、ホームレスと同じ治療しか受けられません。大衆病に関しては、全員が平等に低いレベルの治療しか受けられないようにされているからです。

 

 

日本医療の難題4 日本医療を立て直す具体策

不当に安い保険診療

「良い医療を平等に万民に」の理念はもうすでに数十年前から崩壊しています。保険点数を不当に引き下げることを続けた結果、医師が「不当に安い治療は放棄する」「料金設定が安すぎるので短時間で大量の患者に処置しようと無理をするために事故が頻繁に起こる」「薄利多売をしなければならないので患者の話を十分に聞く時間がない」「回数が制限されているので重症の患者でも追い返す」「意味がなくても検査を多く入れてマイナス分を埋め合わせする」ということが普通に起こっているからです。この結果、いくらへ段を引き下げても、全体の国の支出が低下することはかつて一度もありませんでした。


また、保険点数の不当引き下げによる医療事故件数はデータには出ません。なぜなら、注射が死ぬほど痛い、乱暴で出血した、全く効かない、話も聞かず同じ注射しかしない、などは事故件数に計上されないからです。患者を追い返すのもデータには出ません。有効な注射治療を行わず薬だけしか出さないというのもデータには出ません。よって良い医療ができなくなったのは保険点数の引き下げのせいであることは一般的には知られていません。


この質の悪い医療でしか「平等に万民に受けさせることができなくなっている」理由は治療を必要とする弱者、高齢者が増え、それに比例し国の負債が年々増えているからです。すでに「良い医療を平等に万民に」は崩壊し、「万民に均一に質の低い医療」を提供せざるを得なくなっています。この影響でお金持ちであっても質の低い医療しか受けられないのが今の日本です。原因は未曾有の超高齢化です。これ以上国家予算にしがみつくことはどのように保険点数を引き下げても無理です。無理なのですからお金のある方から治療費をいただいて国家の負債を縮小させていくしか方法は残されておりません。この人口の超高齢化は今後の数50年間のみの現象です。よってこの50年だけ医療制度を変えればよいでしょう。


しわよせは開業医に

大学病院では高度な医療が受けられ先進医療も別枠でうけることができます。資産家は教授と親しくなることで別枠の高価な治療を受けることができます。大学病院には保険の審査や制限が甘く、混合診療もある程度認められています。よって教授クラスでは保険診療の質が低下していることを認識することはほとんどありません。保険診療の質が低下しているのは、教授が診察しないような不定愁訴系の大衆病に対する治療です。つまり「開業医クラスが行う治療」の質が低下しています。人口比で8割の民の治療の質が低下しているといえるでしょう。教授が診察している2割以下の患者たちの医療の質は低下していません。


自由診療を増やさなければ国が倒産する

開業医が自由診療を積極的に行わなければ、この国の財政は近い将来破綻します。現体制のまま保険点数をどのように調整したところで医療費の抑制は無駄なのですから、なるべく早く自由診療推進の体制をとるべきです。ところが自由診療には必要経費が認められにくいという理不尽な重税制があるために自由診療を行えば行うほど利益が上がらないという仕組みになっています(詳しくはシリーズ1参)。現状では、自由診療は税制によって禁止されているのと同意となります。


逆に言うと、税制を変えるだけで自由診療が一挙に拡大します。高齢化社会が厳しくなるこの50年だけ「自由診療には8割の必要経費を認める」という特例条項を作るだけで、開業医は自由診療を好んで行うようになり、保険診療費が激減します。国が開業医から得られる税収は減りますが、国民に支払わなければならない保険料が激減するので国の利益は莫大になります。自由診療をすれば税金が安い!という餌をまきちらすだけで自由診療は格段に増えます。法律は税法を変えるだけなので国会での議決を通しやすいでしょう。


混合診療を認めず日本医療を立て直す方法

混合診療を行うことは毎年のように国会で議論され、医師会が反対し法律が改正されることがないということをくり返していますが、日本医療を改善するには混合診療を認める必要はありません。あくまで現在の医療体制のまま改善する方法があります。その方法は開業医の優遇税制を自由診療にも拡大するというとても簡単なものです。


自由診療を誰も否定していない

自由診療は現在も多くの病院でなされており、反対も否定もされておらず、また、リスクがあるから現在行われている自由診療を禁止しなければならないという意見も出ておりません。したがって現行のまま、医療系の法律を何も変えることなく自由診療に優遇税制を敷くことには医師ならば誰も反対しないでしょう。自由診療を拡大すれば日本の医療財政は極めて健全になり、景気も回復します。来る高齢化社会で財政難に悩む日本にとっては渡りに船です。


現在、自由診療には重税が課せられています(おそらく違法と言えるレベル)。それは自由診療の必要経費が「ほとんど認められない」からです。日本では保険診療の収入には優遇税制が認められているだけに、自由診療にかかっている人件費の多く保険診療側の経費として計算されます。もしも自由診療で得た利益の80%を必要経費と認めるという措置税法改正を行えば、開業医たちは保険診療よりも自由診療を行いたいという意識変革をするため、保険診療が減り、自由診療が増えます。


保険診療のデメリット

シリーズ2では保険診療のデメリットを申し上げました。ネットで検索してもわかるように保険診療のデメリットについて述べている論文をほとんど見かけません。つまり一般の方々や医療従事者の方々は保険診療にはデメリットがないとでも思っておられるか、水面下に言論統制されているようです。


そこでシリーズ2では、保険診療では保険側がどれほど不当な支払い拒否をしているかについて述べさせていただきました。保険診療はそれ自体が共産主義医療であり、官僚や教授が強い権力を握っていて(中央集権)、彼らの機嫌を損ねるとそのさじ加減で保険点数を改正され、経営がいきなり赤字転落することもあり得ます。それほど、官僚に医療制度の権力が集中していることを述べました。よって保険審査が不当であると感じていても誰も抗議でしない状態であると言えます。中央の権力が強すぎるからです。


この権力集中こそが大きなデメリットであり、臨床現場にいない彼らが教授と結託して不適切な料金設定をしている状況を生みます。そして改正結果に誰もがおとなしく従うのですから、日本の医療が共産主義体制であることがわかります。共産主義体制では苦痛に困った患者の姿を考えることもなく、ただただ数字で制限を行いますから必要な治療さえ受けられないというデメリットが生じます。


カルテ虚偽記載に甘い理由

おもしろいことに、保険診療では容赦ない支払い拒否が行われていますが、その支払い拒否を回避しつつ患者に治療する際に必須となるカルテの虚偽記載については、今のところ監査が極めて甘いと言えます。その理由は、保険の審査が不当に厳しいことを審査している側も認識しているからです。例えば、採血検査などは実際に病気にかかっている人にしか認めないという姿勢ですので、肝機能を調べたいのなら肝炎という虚偽の病名をつけなければなりません。つまり「病気になっている人にしか検査料金を払わない」というのが保険側の不当な制限であることを審査員も認識しています。よってカルテ虚偽記載については甘くせざるを得ません。もし、虚偽記載を罰すると、保険医全員が罰されることになります。ここがミソです。本気になれば厚生省は保険医全員の資格を剥奪することさえできます。保険医は全員がカルテの虚偽記載をかならず行っているからです。どんな開業医でさえ本気で監査されれば必ずボロが出ます。そのことを開業医側も知っています。保険側が不当な支払い拒否をしても誰も抗議しない理由がここにあります。全ての開業医が不当に制限された治療を回避して患者に施すために、カルテに虚偽記載をするという実態があるからです。虚偽を記載しない限り赤字に転落する状況に陥っているのです。特に検査で生計を立てている開業医は検査をする度に虚偽の病名をつけることになります。よって監査側ににらまれればいつでも廃業に追い込まれます。そうした脅迫観念により医療の共産主義が成り立っています。なぜ医師たち全員が官僚のいいなりになっているかのシステムが理解できます。


自由診療に優遇経費を認める新税法が敷かれると

自由診療に重税がかかる(自由診療に経費が認められにくい)ことで自由診療が拡張できないというのが開業医の苦悩ですが、自由診療にも7~8割の経費を領収証がなくても認めるという新たな税法が制定されるとどうなるでしょう。ほぼ間違いなく開業医の反乱が起こります。自由診療を行えば、経営が黒字になり、保険審査の支払い拒否にびくびく怯えなくても済み、かつ治療制限をしなくてすむからです。保険医は大学教授以外、誰もが保険側の審査に怯えていたわけですが、その呪縛から自由になります。なにせ、医師たちがもっとも嫌がることはカルテの虚偽記載であり、これが彼らの良心を咎めていました。自由診療に必要経費が認められるようになれば、カルテに虚偽を記載する必要なく、正々堂々と正義感を貫いて医者をやっていけるのです。虚偽記載を逆手に取られて脅される心配がなくなるのと同時に、そうやって脅しをかけて自分たちを管理下に置いていた厚生労働省への積年の恨みを晴らすことができます。


さて、混合診療を認めることができない真の理由は、これを認めて自由化させてしまうと、積年の恨みが爆発して医師を統制できなくなることにあると思われます。混合治療に反対の立場をとる日本医師会の真意は不明ですが、おもしろいことに、混合診療は禁止という法律を変えることなく、自由診療に優遇税制を敷くというだけで、彼らの白い巨塔を崩すことができるのです。国会議員の方はこのことを認識しておいてください。国のために尽くしたいのなら、優遇税制の改定をすることです。医師を優遇するのですから医師会が反対する理由はありません。医師を優遇する税制改正なので医師会は文句を言わせず、さらに国家財政が健全化するのですから誰が反対できるでしょう? そして国家予算の3分の1を占める医療財源を事実上支配している厚生労働省の官僚たちと、大学教授を頂点とする支配体制をぎゃふんと言わせることができるのですから、国会議員にとってこれほど血がたぎる快感はないと思います。


医師たちが教授に逆らわない理由

医師たちは大学病院に所属すると、教授を筆頭にピラミッド型の主従関係を強制させられます。その理由は大学職員の人事権が教授に与えられているからです。労働基準法は厚生労働省が定めている法律であり、会社の経営者は社員を無闇に解雇することが禁じられていますが、この法律は大学病院でのみ「治外法権」なのです。つまり、医療系大学の職員は教授の一存で常に解雇させられます。教授に絶対服従を強いられているわけで、これが日本医療界の主従関係を構築しています。


教授になるためには東大卒が条件であることが多く、東京大学医学部卒業生は野心さえ持てば教授職につくことがたやすいと言えるでしょう。医学部の白い巨塔の世界は東京大学が作り上げている支配の世界とも言え、また、厚生労働省の高官たちも東大卒で占められており、教授と高官の両者が東大卒という縁で手を組み、医師界の封建システムを構築していると言ってもよいでしょう。


大学病院は地域の病院とも提携しており、若い医師たちを教授の采配で、周囲の関連病院に派遣させることを行っています。つまり教授が周囲の病院に対しても人事権を行使することができます。教授が少しでも機嫌を損ねれば、派遣を中止することができるので周囲の関連病院もまた教授のご機嫌取りをしなければなりません。地方の病院は医師不足に常に悩んでおり、医師がいなくなれば経営が傾きます。よって地方の個人病院もまた教授に主従関係を強制されています。


これは芸能プロダクションと同じような仕組みといえます。芸能プロに逆らった俳優は、他のプロダクションに所属しても、テレビ番組には出られなくなります。それは「あいつを、テレビに出演させたら、うちの人気タレント全員をあなたのテレビ局には出させません」という圧力をかけることができるからです。教授は周囲の関連病院の人事権さえ握っていますから、教授に逆らって辞めた医師は、周囲の病院全てに「就職禁止令」を出すことができます。ですから、教授に逆らうことは「教授の息のかかっていない病院を自ら探さなければならない」ことになるため、なかなか逆らうことができません。医師の世界が白い巨塔と呼ばれる理由は、労働基準法で禁止されているはずの解雇権が教授に与えられているからなのです。


一昔前は「医師の派遣業」が認められていなかったため、教授に逆らって辞めた医師は、再就職先を探すことが非常に困難でした。よって教授の支配力も莫大だったわけですが、さすがに、時代の流れには逆らえず、厚生労働省も「医師の派遣業」を認めるしかありませんでした。医師派遣業解禁となった現在、教授の権力はかなり低下しました。つまり教授に逆らっても自分で再就職先を探せます。白い巨塔が少しずつ崩れてきています。


しかしながら、大学病院に所属している間は、どんな理不尽な命令にも絶対服従をさせられるのが医局員の勤めであることは今も変わりありません。こうした人事権の強権に長い期間服従している医師は、教授に飼いならされてしまい、犬のように動くようになってしまいます。ですから、ミスは隠蔽、汚れ仕事は医局員、データ改ざん、カルテ偽装などが普通に行われるのです。厚生省が労働省と一体化した理由は、まさに労働基準法が関連しているのではないかと勘ぐってしまいます。厚生省の行う医師支配制度が労働省によって崩される恐れがあったからです。逆に言うと、厚生省と労働省を一体化させてまで、医師の封建制度を死守したがっているのかもしれません。


教授が治せないものを開業医が治してはいけない

私は大学病院で治せない症状・疾患を治療することを専門としている医師です。しかし、教授たる者が「あなたの病気は治りません」と宣言した患者を一般開業医が治せてしまうと教授の面子は丸つぶれです。教授は医療の頂点であり、教授が治せないものを他の一版医師が治せることは「あってはならない」ことです。私はその「あってはならない面子をつぶす」ような治療を長年やってきました。学会からも、病院からも、大学からも政治的な圧力を受けない職場を転々として治療法を開発してきました。


自由診療を行っている医師は、実際には大学病院の教授が治せないものまで治せる技術があるからこそ、自費で治療費を患者からもらうことができるわけです。では、自由診療が拡大して行くとして、それが何を意味するか? 大学病院の教授が治せない病気を一般の開業医がどんどん治していき、教授を、医学界を、愚弄することを意味します。


普通では治らないから大学病院に行くというのに、一般開業医がそれらを治してしまえるチャンスが格段に増えて行くことを意味します。それは教授の権威を弱め、医学自体がまだまだ発展途上であることを露見します。そして教授を頂点とする医師の服従制度が崩れることを意味します。また、学会を頂点とする医師の支配力も弱まります。江戸時代の身分制度が明治時代に崩壊したようなものです。自由診療の拡大は、間違いなく、教授を頂点とする封建制度、つまり学会制度さえも破壊する威力があります。


自由診療が国政に与える影響力

H25年の厚生労働省の調査によると、全国の歯科を除いた医療施設は109068施設で、うち、「病院」は 8540施設7.8%、「一般診療所」は100528施設で92.2%です。措置法26条は収入が5000万円以下に適用されるので病院には適用されませんが、一般診療所(92.2%)の大部分に適用されると思われます。よって措置法26条がいかに日本の医療形態に重要な役割をしているかということがわかります。


税法を改正し、措置法26条に50年間の期間限定で自由診療にも適用すれば一気に自由診療が広まります。さらに自由診療を行った方が、保険診療を行うよりも税金が少なくて済むようにすれば保険診療の割合が激減するでしょう。上記のように一般診療所の数は92.2%ですので、自由診療の拡大は、措置法の条項を改正するのみで全国に広がり、国家財政に莫大な黒字をもたらします。自由診療では手に技術を持つ医師が圧倒的に有利となりますから医師たちは新しい技術の習得に奔走するようになるでしょう。


厚生労働省に対する開業医の不満が爆発する

現在、医師には労働基準法が適用されることがなく、不当解雇は教授の特権として認められています。8時間以上勤務に対しても法的な抑止力はゼロです。そして保険点数は厚生労働省によって安値で管理されていて、倒産する開業医も増えてきました。それでも医師たちが厚生労働省官僚たちに逆らわなかったのは、大学病院と学会と官僚を中心とした白い巨塔があり、これに逆らうと不利益を被る仕組み(恐怖)があったからです。


自由診療が優遇されると、厚生労働省の不当な押さえつけに逆らう開業医が激増します。なぜなら、保険側は「保険医資格の剥奪と保険請求の支払い」を盾にして開業医の反乱を防いでいたわけですが、自由診療が優遇されれば、保険医の資格を剥奪されても自由診療のみで自立して営業が可能になるからです。保険側が不当に安い保険点数を制定してきたら、それを無視して自由診療に切り替えればいいわけですから。誰も保険側(国側)に従わなくなります。これはすなわち、学会にも教授にも逆らう医師が増加することを意味し、白い巨塔の崩壊を意味します。


逆に言うと、学会に逆らわなければ自由診療はできません。そもそも自由診療は学会の定める治療方針で治らない患者を治すための診療だからです。学会の定める診療ガイドライン通りに治療するのであれば、自由診療にしたところで治りませんので患者が治療費を支払ってくれないでしょう。つまり、学会推奨の治療をする開業医は「自由診療ができない」医師です。


ほとんどの開業医は国が定める(学会が定める)治療では、患者の症状が改善されないことを認識しています。そして、そういう患者を治してあげようと立ち上がる医師たちは、当然ながら学会にも国にも大学にも逆らって反旗をひるがえすわけです。まさに、医師たちを管理する側(国や学会や教授)がもっとも恐れているのはこうした開業医の反乱なのです。彼らは医師の支配体制が崩壊することをもっとも恐れており、逆に言うと、医師の支配体制を維持するためだけに、巨額の保険料を国が支払い、そして財政赤字を作っているわけです。いったい何のために国がこれほどの財政赤字を抱えなければならないのか? 真意を知ってほしいところです。それは国のお金で医師を管理するためです。患者のお金で医師が動く場合、治療は患者本意になりますが、国のお金で医師が動く場合、医師は患者の意志よりも国の意志を尊重します。よって開業医は国側に逆らわなかったわけです。自由診療が優遇されると、そうした医師の支配体制が崩壊します。


大衆医療が発展する

一生に一度しかかからないような大病や難病は大きな病院や大学病院が受け持ちます。そしてかぜ、腹痛、下痢、自律神経失調、腰痛、筋肉痛、神経痛、腱鞘炎、耳鳴り、難聴、ふらつき、鼻炎、高血圧、糖尿病など、これまで「薬で抑えてきたが、治すことができなかった」大衆の病気に対する治療は一般診療上が中心であり、ここで自由診療で発達します。マッサージや整体なども診療所がどんどん取り入れるはずです。医師も鍼灸を学ぶ人が多くなるかもしれません。税制で有利になるのでどの科の開業医も不定愁訴を治せる治療法をこぞって身につけようとするでしょう。


大衆に対する自由診療が増えた分だけ保険診療が減るので、財政赤字は一挙に改善されるでしょう。自由診療で法外な値段を請求する医師が出現するかもしれないと思うかもしれませんが、そのような医師は自由競争の中では真っ先に淘汰されるので心配要りません。


労働基準法が医師には適用されない

大学病院の医局員は教授の一存でいつでも首にすることができ、失業保険もありません。さらに大学病院の関連病院にも就職させないといういやがらせも可能であり、大学教授のこうした人事権、特権は日本国憲法の定める基本的人権の尊重を超えています。また、医師には労働時間の制限はなく、48時間連続勤務をさせられ、体を壊しても訴える先がありません。医学界では労働基準法の治外法権が認められており、基本的人権の尊重は無視されます。こうした中で医局員は常に首を切られる恐怖政治におびえながら、教授の犬となります。


教授の強権におびえながらも、お金を蓄え、やっと開業したあかつきには、今度は保険制度に束縛されることになります。保険制度の料金改正により、倒産させられる恐怖におびえなければならないからです。医師は大学を離れても保険医という呪縛から逃れることができません。保険医の呪縛から逃れるためには自由診療を行うしかありませんが、自由診療では優遇税制が受けられないという呪縛が待ち受けていて、自由診療に切り替えることがなかなかできません。保険診療と自由診療の混合が認められれば、保険で足らない部分は患者に自費で請求できるため、保険制度がどう変化していこうと自由に対応できるようになります。つまり、混合診療が認められれば、保険側(厚生労働省側)からの不当な支払い拒否の呪縛から逃れることができます。


現在、開業医たちが、保険制度の不当な料金引き下げに誰も抗議しないか?というと、保険制度から逃れることができない税制になっているからなのです。保険診療は報酬が安いが、税制で優遇されている分で充当されていると考えてよいでしょう。この充当が、アメであり、安い報酬がムチとなっていて、アメがほしけりゃムチを黙って受けなさい、というのが今の日本の医療体制となっています。


学会がそこに一枚かんでいて、学会公認の専門医にならなければ、保険で支払い拒否にしようとする動きもあります。保険(厚生労働省)、大学、学会は三位一体となって医師を支配する封建制度を構築しています。この強権に逆らう医師はこれまで一人もいなかったわけです。この強権のおかげで、医師の基本的人権の尊重は無視され、労働基準法も適用されない治外法権的な世界を作っているのが日本の医学界です。


自由診療、混合診療が認められれば、厚生労働省のガイドライン通りに治療しない医師が大勢出現し、学会が定めるガイドラインは形骸化します。保険外治療が増えるということはガイドラインが万人に通用しないことを暴露されるようなものだからです。学会のガイドラインが形骸化することは大学教授が支配する白い巨塔の強権と、厚生労働省の権威が崩れることを意味します。つまり、教授や官僚が医師を犬のように取り扱うことができなくなるわけです。


一般の医師は教授の駒にすぎません。そうした駒から逃れる道が保険外診療であると言えます。混合診療がなぜこれほどかたくなに拒絶されているのか? その理由は「教授・官僚が医師を支配する体制が崩壊する」からであると推測します。私は常に教授・官僚の強権の及ばないところで密かに非常勤を続け、そして自分の診療スタイルを見つけ、自分の治療法を数々発見してまいりました。保険外診療が公式に認められれば、私のような医師がどんどん増えることを意味します。


逆に言えば、教授の強権の及ばない場所で切磋琢磨すると、いろんな病気を治せるようになることを意味しています。すなわち、医師を支配する封建制度が医師の個人個人の研究を阻止し、「教授しか新たな治療を創造できない世界」を作っていることを意味しています。一般の医師に新たな治療法を編み出されることは教授たちや学会は許しません。


自由診療が拡大すれば、封建制度が崩れます。崩さなければ、日本の財政難と超高齢化社会問題を解決できません。この封建制度を死守したがっているのは東大卒の勢力です。東大が日本の医療界を牛耳るシステムがこの国の医療財政を危機に陥れているといえます。もちろん、それが悪いとばかりは言えません。医師を支配することで医師の教育レベルを一定水準以上にたもつことができるでしょう。しかし、その一方で秀でた才能を開花させることを阻み、出る杭が打たれ、自由な治療が阻止され、大衆が困っています。みなさまの力で、どうかこの国を救ってあげてください。

日本医療の難題5 自由診療拡充でできること

措置法26条が改正されると

措置法26条が改正され、自由診療を行った場合に保険診療以上に税制で優遇されるという暫定的な法律が制定されれば、自由診療を行おうとする開業医の割合が必ず増えます。一般的には「医者がボロもうけ・・・」と悪意に考える方が多いと思われますが、自由診療は他のカイロプラクティックや鍼灸と同じであり、「法外な値段で診療すれば患者が来院しなくなる」ので商売の自由競争原理が働きます。医療事故でも法的に守られにくくなりますので、万一のときは全責任をとらなければならず、「猫も杓子も自由診療」というわけにはいきません。医学書に掲載されていない治療法を編み出せる技術を学ぼうとした医師にしかできることではないでしょう。よって無造作に自由診療が増えるわけではありませんので、その点はご安心ください。実際に自由診療が拡充した場合に、どのような治療が行えるのか?についてペインクリニック整形外科的に言及したいと思います。


高齢者のブロック注射が解禁

ペインクリニック科の医師は他の科の医師たちよりも硬膜外ブロックが得意ですが、それでも高齢者の変形した脊椎に確実にブロックをすることは極めて難しいと言えます。中年の患者であれば1分で終わる硬膜外ブロックが、後期高齢者では30分以上かけても入らない、2度トライしたが入らない・・・ということが普通にあります。したがって、現状では数分~十分かけてもなかなか入らないブロックの場合、ブロックが成功していないと感じても「はい、終わりました」と言ってそのまま帰宅させるか、変形の強い高齢者のブロックや、肥満患者のブロックをそもそも行わないかのどちらかになります。つまり、現在のようなブロックの値段設定では「高齢者や肥満者へのブロックは無理なことが多い」のです。


しかしながら、自由診療が拡充すれば、「時間料金制」で診療が可能になります。10分で成功すれば保険診療内でOK、30分かかるなら20分相当の追加料金をいただきます。こうすることで「高齢者や肥満者への難しいブロックを行おう」とする医師の数が増えます。これまでの保険診療では、保険診療の設定が安すぎるため、「高齢者へのブロックは赤字となるため避けなければならない」状態でしたが、自由診療が始まれば、ようやく赤字経営にならずにブロックが難しい人にも行うことが可能になります。このように安すぎる値段設定のために避けられていた治療の全てが解禁されると考えてよいでしょう。超音波透視下の治療も大幅に増え、安全性と確実性が格段に向上します。


治療スピードが格段に上昇する

急性期の激しい神経痛にはどんな治療も「焼け石に水」であり、症状が強いものは週に1回のブロックでは全く効果がありません。ブロックが1日しか効果がないのに、現在の保険制度では1週間待たなければ次のブロック注射を受けることができません。よって、せっかくブロックを行っても、次の週には痛みが完全に戻ってしまい、治療がふり出しに戻ることがありました。自由診療が解禁となれば、痛みが強ければ翌日に再度ブロックを行い、治療の蓄積効果を作ることができます。徹底的にブロックすれば、翌週には痛みを制御できるようになり、治療のスピードを格段に速めることができます。自由診療解禁で治療回数制限が解除されます。治療のスピードを速めることは、資産家やアスリートの方など世の中で活躍されている方であればあるほどその価値は高いものとなります。


複数の病気を同時に治療できる

バカバカしい話ですが、現在の保険診療では、1日に1箇所のブロックしか認められておりません。坐骨神経痛と頚椎神経根症の治療はその日に同時に行えません。通常は1週間開けなければ別の箇所の治療ができません。あまりに理不尽な決まりです。自由診療が解禁になれば、一つを保険で治療し、もう一つを自由診療で行い、その日のうちに2箇所の治療をします。社会人にとって勤務を休むことはたやすくないため、2ヶ所の治療はその日のうちに行うべきです。それが可能になります。


神経根ブロックを低価格で提供

私は透視や造影剤を用いずにブラインドで神経根ブロック注射ができます。しかし、ブラインドで行う神経根ブロックは保険側から支払いを拒否されています。その理由は「ブラインドでは確実性が少ないため、透視下に造影剤を用いて神経根を目で同定しなさい。そうしなければお金は払いませんよ。」といわれるからです。つまり、難易度を高くして、易々と高価な治療をさせないとういう方針です。私のようにブラインドで神経根ブロックを行う医師を出現させないための措置です。ブラインドで行えば、短時間で大勢を治療することができてしまい、保険請求額が膨らみます。よって私はブラインドで神経根ブロックを行っても、料金請求ができない状態でした。ブラインドのよさは、1度に何箇所でも神経根ブロックを行うことができるところです。左右両方にもできます。例えば自由診療解禁になれば、低価格で何箇所にもできる神経根ブロックを提供できます。


保険診療では、「神経根を造影剤で同定せよ」という必須条件があるため、神経根に針を刺し、そこへ造影剤を流すという神経根にとって害になる手技が必須です。この過程は患者にとって極めて痛い手技ですので、一度受けた患者は「二度とやるものか!」とお怒りになる方も大勢おられるほどです。さらに、神経を刺すという手洗い手技であるため、3回までが限度とされています。これに対し、ブラインドで行う神経根ブロックは神経に直接刺さず、近傍に薬液を浸潤させます。手技自体が痛くなく、造影剤の害もなく、安全で何度もできて効果が高くすばらしい手技です。自由診療が解禁になればブラインドの神経根ブロックが全国に拡大します。


痛い治療が痛くなくなる

ばね指の注射は手のひら側から行うと、あまりの激痛のためトラウマになるほどです。私はこれを痛くなくするために手の甲側からゆっくり時間をかけてていねいに注射します。しかしながら、ばね指の注射料金は保険では350円という「医師をバカにした理不尽な値段設定」になっています。手の甲から時間をかけてゆっくり丁寧に治療すれば10分近くかかります(料金的には4~5千円の設定が必要です)。それを350円にしているせいで一般的な開業医の間では「乱暴で数秒で行う激痛を伴う手技」にならざるを得ないのです。350円は立派に法外な値段設定です。おそらく国税局につつかれれば違法性がはっきりするレベルの安い値段設定です。


こうした法外に安い値段設定のものは一旦廃止し、自由診療で徴収すれば適切で安全な治療を行うことができます。保険側の料金設定が安すぎるために、ばね指の治療でトラウマになる患者が全国に何万人もいらっしゃることが不憫です。ばね指は料金が安いために起こる悲劇について述べましたが、一事が万事、全てのブロック注射で同様のことが言えます。ゆっくり丁寧に行えば痛くない手技なのに、速く行うことで危険で痛い、そして不確実な手技になってしまいます。 そういう意味で「時間をかけて痛くないブロック」を希望される患者には自由診療で別料金を加算し、安全・確実・痛くないブロックを時間をかけて行うことができるようになります。どんなに痛い注射も、別料金で特別細い針を用いて局所麻酔を先に行えばよいのですから。


顎・股から指まで様々な関節に注射可能

現在、保険制度では関節は800円均一と、法外に安い値段設定となっています。法外とは・・・前にも述べたように、医師の人件費を大幅に下回る値段設定という意味であり、これは国税局に追及されれば言い逃れができないレベルの安さです。5億円の豪邸を月額5万円で賃貸すれば、国税局から脱税とみなされますが、そのレベルで不当に安いという意味です。開業医が保険制度により、無理やり脱税の幇助をさせられているといえるほどです。国税局から訴えられるレベルに不当に安い厚生労働省の料金設定ですが、訴えられないようにするために厚生労働省は国税局とも一体化し、厚生労働国税省となるかもしれません(笑)。


股関節や椎間関節に関節内注射を行うには、X線(超音波)透視下に行わなければならず、どう考えても15000円以上かかる治療となります。しかし現在の保険制度ではそれを800円で行わなければならないわけですから、それは違法と呼べる安値設定ではないでしょうか?すなわち、難易度の高い関節内注射は「厚生労働省が認めていない」のと同じであり、このおかげで患者に治療が全くできません。保険側がお金を払えないから治療をするな!というのでしたら、我々は自費診療で治してあげるしか方法がありません。こうした「あり得ない治療」を「あり得る」に変えられるのは自由診療以外にありません。


難病を治せる

突発性難聴などは早期に適切なブロックを連日行えば、難聴の程度を低く抑えることができると思われます。しかしながら、連日の治療は保険が許可していません。難病を頻回のブロックで治すという考え方は、厚生労働省が認めるはずもなく、我々は治療に際し、どうしても治してあげたい患者には医師が自腹を切るなどのサービスを行い、完全なる慈悲として治療している現状があります。そうした自腹を切る医師は経営者から嫌われて解雇されることもしばしばあります。こうした理不尽を、自由診療が救ってくれます。そして難病を治療する機会が格段に増え、難病治療が一気に前進すると確信します。


安全性が格段に上がる

腱鞘内注射350円、関節内注射800円、関節穿刺0円、透視下治療0円などという理不尽かつ不当な値段設定は、短時間に大量に患者をさばく以外に経営を黒字にすることができません。そのため、こうした手技では「急いで行う」ことにより消毒にかける時間を短くし、殺菌効果が得られないうちに治療しなければなりません。つまり、料金設定の安さは感染のリスクを高めます。また、素早く注射をしなければならないという精神的プレッシャーは、神経や血管を傷つけてしまうリスクを高めます。さらに薬剤を素早く注射しようとするため、薬の圧力が組織を損傷し重篤な医療事故につながります。料金設定の安さは明らかにリスクを高めますが、自由診療でお金を掛けてゆっくり丁寧に行えば全てのリスクを低下させることができます。厚生労働省はこうした「料金引き下げによる事故の拡大」について軽視しすぎています。


手術件数が大幅に減る

各種注射手技に「お金をかけてもいいから、きっちり治してほしい」という患者が増えれば、腱鞘内注射や関節内注射の質が格段に向上し、余計な手術をしないで済みます。事実、私が担当した患者たちは、ばね指、手根管症候群、デケルバンなどの手術を必要とした者がこれまでたったの一人もいません。つまり、注射で治せるのです。しかし、その料金が350円では開業医は完全な赤字となりますので、これらの疾患を注射で治すことは歓迎されていません。すなわち手術へと駒を進めるのが整形外科医にとっては得策なのです。本当は手術などしなくてよい患者を、きちんとした料金設定であるならば、注射のみで治すことができます。


股関節内注射や膝関節内注射も同様であり、これらが開業医を黒字にさせる料金設定であるならば、開業医は「治すための注射」を進んで行うようになり、そして手術をしなくて済む患者が大勢出現します。この逆もしかりです。なぜ現在の関節内注射や腱鞘内注射が、違法なほどに安い料金設定なのか?の理由を勘ぐってください。安い=保険では禁止している、という事実上の制約です。頭ごなしに禁止はできないので、安い料金設定にすれば、事実上禁止に等しいでしょう。つまり、保険で注射を禁止=手術しか痛みを回避する方法なし・・・これは手術を専門とする整形外科医にとってどれほど都合のよいことでしょうか? 患者に手術を受けさせるために、これほど不当な料金設定にしているといわれてもやむなしです。


腱鞘内注射も関節内注射も、きちんと消毒して安全に行うには、問診も含めて一人15分はかかり、実際には5000~6000円の料金設定でなければ不当料金です。それをなんと!350円なのですから・・・不当かつ違法です。なぜ、保険側が違法な料金設定にしているのか?国民の皆様はよく考えていただきたいです。


余計な検査が大幅に減る

現在、保険側の不当に安い料金設定のおかげで、開業医たちは検査を多く入れることで手技の赤字を補填しています。嘘の病名をたくさんつけて、理由をつけて検査して黒字化経営をしています。こうした不要な検査は保険制度の崩壊を意味していますが、適正な料金で自由診療を行えば、不要な検査をたくさんいれなくても、正々堂々治療のみの料金で患者を診療しようとする医師が増えます。開業医とて良心の呵責があり、検査をたくさん入れることに心を傷めています。心を傷めることはストレスです。しかし経営のために検査を入れるのです。こうした無駄な検査が大幅に減るでしょう。


優秀な医師の診療費が高騰する

自由診療が拡充すれば、患者を速く治せる腕のいい医師の診療費が値上がりします。不当に値上がることはなく、自由競争原理として値が上がるでしょう。なぜならば、腕のよい医師は数回で完治させてしまうので、結局、腕の悪い医師が何十回と通院させて治療するのと比較すると、トータルの医療費が、腕の良い医師の方が安上がりになるからです。つまり、速く安全に治せる医師は診療費が高騰します。

当然ながら医師たちは「患者を可能な限り速くなおせる技術を身につけよう」と切磋琢磨するので、競争原理に基づき、医師の治療能力が大幅に上がっていきます。しかも、大衆病を治せる医師ほどビジネスで成功しますので、特殊な手術手技を身につけるより、多くの民が普通に困っている病気を治そうとするでしょう。これが高齢者の生活水準を上げるようになることはわかりきったことです。


越境通院が増える

近くの治せない医師にかかるより、診療費が高くても速く安全に治せる医師へと患者が移動し始めます。自由診療の治療費により医師の治せる速さを推測できるようになるからです。診療費が高い医師は技術が高いことがわかりますので、料金で医師の腕が一般人に広く見えるようになります。すると、電車や車で遠距離を移動しても「良い医師に治療してもらいたい」患者が増えるので越境通院者が増えます。


保険診療だけを行う=腕が悪い、ことを露見するようにもなります。よって、医師の間には「保険診療を行わないこと」がブランドになるようになるでしょう。しかし、保険診療は不当に安い値段設定ですので、万人受けはよいはずです。安さは人気でもあるので、保険診療がすたれることはないでしょう。


ただし、医師たちは保険診療しかできないこと=腕が悪い、と思われることに恥を感じるようになりますので、腕がないが勉強熱心な医師たちは保険診療への嫌悪感を増大させます。妬みです。保険診療は貧しい人が受けるというイメージも定着するはずです。そして保険診療だけを行う医師は、実際にお金持ちや著名人たちを診療することはほとんどなくなると思われます。こうなると教授といえども自由診療に強い憎悪を覚えるはずです。よって必ず抵抗に遭います。


それでも保険診療は手術を必要とする大きな病気ではしっかりと役割を果たしてくれますので、大勢に影響はありません。しかし、開業医たちは厚生労働省の官僚たちへの不満が増し、彼らの命令に従わない者が増えるでしょう。なぜ厚生労働省が自由診療を拡充させないかの真の理由はここにあると言えます。医療の発展を阻止し、国の財政を陥れようとも、自由診療反対を掲げるのは、医師が厚生労働省に造反する恐れがあるからです。

日本医療の難題6 共産主義医療の崩壊

貧民優遇の日本医療

日本の医療は諸外国と比べて極めて弱者優遇です。ホームレスは地方自治体が治療費の全額を負担し、生活保護者も全額負担。後期高齢者では保険側が9割を負担。小中学生も全額負担の地方自治体が多く、「お金を稼ぐことができない(職を持たない)人」を無料で治療するのが日本の特徴です。この点が世界がうらやむ日本の医療なのですが・・・万一TPPが推進すると、海外の貧しい人も日本に来れば高価な医療を受けられるようになるため、日本財政が窮地に追い込まれます。このことを理解している国民は皆無のようですが・・・


このような日本医療の慈愛に満ちた思想は世界でも評価されておりとてもすばらしいものです。しかしながら、職を持たない人たちは毎日でも通院が可能で、職を持つ人は通院する時間がないことより、実際は「職を持つ人」よりも「職を持たない人」を優遇する医療となっています。すでに日本の保険医療は崩壊しており、たとえば保険側はブロック注射については「1日に1箇所治療かつ週に1回までしか治療を認めない」という方針で運営しています。仮に3箇所に痛みを持つ患者の場合、週に3日通院すれば3箇所を治療可能ですが、週に1日しか来院でない場合、1箇所しか治療をしてもらえないことになります。職を持たない人は週に3日通院することができますが、職がある人は週に1日しか通院できません。このように職を持たない人は職を持つ人の3倍の治療を受けられます。保険側の理不尽な治療制限のために、「職がない人」の方が医療で何倍も優遇される「逆差別医療」が日本の医療の中心となっている現状です。しかも、生活保護など、保護を受けている方への医療費は保険側が全額負担しますので高額な医療を受けてもふところは全く痛みません。


よって開業医側は「生活保護者・障害者にこそ高額な医療を絶え間なく何度も行う」ということを行いたくなります。高額な医療を行えば行うほど患者に喜ばれ、自分も潤うからです。この現象は後期高齢者の1割負担でも同じです。1割しか負担しないので高額な治療をすればするほど患者に喜ばれます。医師側も儲かります。このように日本の共産主義医療は弱者逆差別が行われており、弱者の方が職のある社会人よりも高額な医療をふんだんに受けているという事実があります。そして保険側がこれを阻止するために、不当な料金設定や支払い拒否をすると、その負担は労働者側に回ります。被害を受けるのは常に優良な納税者たちです。これはまさに共産主義医療の弊害と言えます。


金持ちよりも生活保護者

このような共産主義医療体制の日本では資産家のお金持ちよりも、生活保護者や高齢者からの方が診療費を多く稼ぐことができます。「歓迎すべき患者」とは、資産家・有名人ではなく、弱者です。資産家はお金を多く払い、治療を優遇してもらえると考えるかもしれませんがそれはあり得ません。日本では自由診療に重税が課せられるため保険診療を行おうという強い指向があり、保険診療は全て安値均一なので資産家から多く医療費を頂戴することが不可能です。つまり、開業医にとって資産家は「特に病院に有益ではない存在」であり、しかしながら態度は大きく高圧的に接してくるため、医師側にとっては歓迎されない存在です。さらに、資産家は「1回の治療で治せ!」という無理難題を平気で言ってくることが多く、医療界で嫌われ者です。医師もそういう患者には接したくないので治療する機会を減らす傾向にあります。よって資産家は逆に冷遇される医療体制であると言えます。


日本は士農工商という身分制度を敷いていた国であり、商人=資産家、に対しては冷遇することが道徳的に正しいとされている国です。そうした資産家冷遇体制を医療界では推進しています。公的な病院では賄賂や贈答品を絶対に受け取りを拒否します。これが「資産家に便宜を図らないという態度」です。よって日本では資産家は健康面で大変苦労することになるわけです。


共産主義医療の現実

万民が質の高い医療を受けられるのが共産主義医療の利点ですが、それは国家に潤沢な財産がある時にしかできません。現在のように財政赤字が膨らんでいる時点で全国民に平均的な医療を受けさせるには「質の低い医療を均一化させる」しか方法がありません。すでに保険側は「治療は週に1回しか認めない」というような方針を全ての治療で推進しており、資産家が医師の前にどれほどお金を積もうとも、週に1回しか治療を受けさせない状況となっています。つまり、質の高い医療を拒否されるのが日本の共産主義医療です。その中でも回数制限がもっとも重くのしかかる診療拒否です。


共産主義医療の最大のメリットは前のシリーズで述べましたが、医師を厳重に管理できるところにあります。民主主義では治療技術が高い医師ほど民衆の支持を受け、強い権力を得るものですが、共産主義では治療技術が均一化されてしまうために「技術力の高い医師」は出る釘として叩かれてしまいます。すなわち、真の実力者が実力をつけたり、指導者になったりする機会が奪われ、そして官僚・学会・教授(東大・一流国立大卒)がトップに立って医師を指導できるわけです。


共産主義医療では「ことなかれ主義」となりますので、リスクのある治療は禁止していきます。これにより安全性が保たれるというメリットがあります。その反面、治らない病気に対して果敢に挑戦していくことがなくなります。果敢に挑戦した医療にかかる費用を、保険側は支払い拒否するからです。資産家が医師の目の前にお金を積んで「果敢に挑戦する診療をお願いします」と頭を下げたとしても、それを行う医師はいません。日本の医師は官僚・学会・教授に忠実だからです。


資産家は路頭に迷う

資産家は財産がいくらあっても、そのお金を医療に遣うことができません。莫大にお金をかけるのは、せいぜい贅沢な個室料金であり、大学で行う先進医療くらいなものです。先進医療は治療法が確立されていない難病には無力であり、さらに大衆医療にも無力です。よって資産家が治療法の確率されていない難病にかかったり、大衆病に苦しんだりしたときは大病院に入院して贅沢な個室に入っても、有効な治療を受けることができません。ホームレスが受ける治療と同じ治療しか受けることができません。


資産家は医療の世界もお金で何とかなると勘違いしている方が多くおられます。よって、テレビ・雑誌で有名な医師、大学病院の教授などにかかり、賄賂を渡せば何とかなると考えていますが、賄賂を渡したところで治療方針が変わるわけではなく、医師の顔色が変わるだけです。立派な個室に入っている場合、医師は低姿勢になりますが、治療の質が上がることは全くありません。何度も言うように、資産家もホームレスと同じ治療しか受けられません。それは保険側がお金を支払うのであって、資産家自信が支払っている診療費はほんの一部だからです。教授たちが資産家や有名人の患者を好む理由は、彼らの自尊心が満たされるからであり、収入が増えるからではありません。教授たちが資産家に与えることができるのは、ガイドラインでお決まりの治療であり、「権威のある教授にかかった」という安心感のみです。


また、教授たちはお金では動きません。正確に言うと、お金で動こうにも「ガイドライン上の治療しかしない」のが教授です。なぜなら、教授がガイドラインを作っているからです。むしろ教授は官僚側(保険側)であり、ガイドラインに従わない医師に圧力をかけ、自分の示す治療に従わせようとする存在です。そういう医師が自ら保険外治療を推奨するはずがありません。ですから、資産家が賄賂を渡しても、彼らは均一な治療しかしません。特に大衆病は「教授たちが触りもしない病気」ですから、資産家が大衆病にかかれば、お金をかけようとも打つ手がありません。皮肉なことに、資産家であっても有名人であっても、圧倒的に大衆病にかかる確率の方が高いと言えます。大衆病を患った場合、都会の大学病院に行けば治るというのは幻想です。ただし、手術が必要な病気の場合、「大病院指向」は正しいと言えます。それは、難しい手術はチームを組まなければ適切に治すことが難しいからです。しかし、そうした手術でさえ、国民は平等に手術を受ける機会があり、特に資産家を優遇するわけではありません。すばらしい医療の精神です。


共産主義医療を壊す

共産主義医療は「お金がない」ことで崩壊します。高齢者がこれほど増えてしまっているので医師たちにお金を払いきれません。そこで国側は二つの選択に迫られます。さらに「安値均一にする」か、「混合診療を認める」か?です。安値均一にすると医師たちがいずれ反乱し、保険が崩壊します。混合診療を認めても保険が崩壊します。前者は国家財政を傾け、後者は国家安泰にさせます。どちらを選んでも保険は崩壊します。


東大官僚が医師を忠犬のように支配する白い巨塔体制を維持するには、お金がかかりすぎるのです。人口的にはわずかな数である教授や高官ですが、そのわずかな人間が大勢の医師を完全支配するために、共産主義医療は存続させられています。高額な国家予算を浪費して・・・。保険医療は遅かれ早かれ崩壊しますが、高齢化社会はそれよりも早く進みます。その早さに医療を追いつかせなければ、国は債務放棄するしか方法がなくなります。


共産主義医療には、良い点がたくさんあることを理解していますが、私は国が債務放棄する心配に心を傷めています。私は、国民の方々に自分の意見を押し付けようとは思いません。ただただ現実を述べたのみです。各自がお考えになり、行動に移していただければよいと思っています。また、私がここに示した意見は一意見であり、医師全体の総意ではありません。

硬膜外ブロック後の遅発性脊髄麻酔に要注意

2017年治療成績

はじめに

硬膜外ブロック後、30分以上経過し、それまでは麻酔にかかったような兆候が全くなかったにもかかわらず、患者が動き出すといきなり脊髄麻酔がかかってしまって動けなくなり、不幸な場合には循環ショックにより意識消失となる例があります。これは単なる硬膜穿破の話ではなく、硬膜外ブロックが成功しているにもかかわらず、薬剤の拡散経路の癒着などの問題で起こる例であると推測しています。医師側の医療技術が介入できない不慮の脊髄麻酔なのでこういう事例があることを認知しておかなければなりません。遅発性脊髄麻酔の概念は現医学にはなく、急激な麻痺や意識消失が起こったとしてもそれは脊髄麻酔が原因とは推測されず、発作として無視されます。一刻も早く一般知識として遅発性脊髄麻酔があることを知っていただくためにここに提示させていただきます。


遅発性脊髄麻酔の3例

  • 80歳女性 腰部硬膜外ブロック(L3/4より0.5%キシロカイン5cc)後、20分ベッドレストとし、その後会計で10分椅子に腰掛けて待ち、歩行も普通にできていた。タクシーで自宅に帰る途中で下半身麻痺が出現。雨が降っていたがタクシーの運転手が玄関前に患者を抱きかかえておきざりにして行った。約1時間後には自力で歩けるようになった。遅発性脊髄麻酔は、硬膜外ブロック手技40分後に発生したと推測される。

 

  • 76歳女性 胸部硬膜外ブロック(T10/11より 0.5%キシロカイン5cc)後、20分ベッドレストとした。ブロック後20分の時点で麻痺はなく手足ともに動かすことができたので、独力でベッドの上に坐位となる。しかし、坐位になって数分後、服装を整えている最中に識消失30秒、その後意識を取り戻し嘔吐。自発呼吸あるが下肢は麻痺。姿勢を維持することもできないためベッド上で1.5時間仰臥位レスト。独歩帰宅した。

 

  • 66歳女性 腰部硬膜外ブロック(L3/4より0.5%キシロカイン5cc)後、会計を済ませベッドレストを行わずに帰宅。買い物を済ませバスに乗っている最中に下肢の脱力が出現(ブロック後約40分)。あわてて、バスを降りるがバス停にベンチがないため地べたに座る。その後30分経過後足が動くようになったため独歩帰宅。

 


0.5%キシロカインの効果のピーク

当院では0.5%キシロカインを5cc、硬膜外ブロックに使用しています。麻酔効果のピークは20~30分で、その後に徐々に薬剤が拡散して作用が薄れていきます(当院でのデータ)。

このピークタイムは薬剤の種類、濃度や量によって変わります。上記の3例は全例、ピークタイムでは正常に下肢が動いいました。しかしながらピークタイムを過ぎてから突然の麻痺が出現しています。通常ではピークタイムを過ぎるとキシロカインの麻酔作用が切れてきますが、3例はピークタイムの時点でそれぞれ麻痺は起こっていません。よってその後に突然に麻痺が起こるのは、何らかの理由があると考えます。


硬膜穿破との違い

注射針が硬膜を貫き、深く入った場合もその麻酔作用は20分後がピークとなります。ブロック後20分経過した時点で3例とも麻痺が起こらず、足を動かすことができていましたので硬膜穿破は否定的です。また、硬膜外ブロック時に硬膜にピンホールを開けてしまい、そこから徐々にキシロカインが脊髄内に移動したという推測もできます。ちなみに使用した針は25Gカテラン針であり、たとえ硬膜にピンホールを開けてしまっていたとしても、大きな穴ではありません。ですが、3例ともに、ピンホールからキシロカインが徐々に入っていったという効き方ではありません。遅発性にいきなり麻痺が出現しています。


キシロカインの髄内流入の3つのルート

硬膜外腔にとどまっていたキシロカインが脊髄内に流入する方法は3つ考えられます。

  • 1、硬膜にピンホールを開けてしまい、そこから流入
  • 2、硬膜に癒着などの異常があり、そこの脆弱部分に偶然亀裂が発生し流入
  • 3、中枢系リンパ管を介して脊髄内に流入

3の中枢系リンパ管は極最近になってその存在がわかってきました(「科学界に衝撃、医学界に激震、リンパ管組織発見」参)。このリンパ管をキシロカインが逆流して脊髄内に侵入することがあり得るのではないかと考えています。


硬膜外腔に癒着の存在

逆流経路は判明していても、遅発性にいきなり流入するということが起こるためにはキシロカインが嚢胞状にストックされていて(拡散せずに1箇所に溜まっていて)、それが突然髄内へと流入したと考えざるを得ません。

硬膜外腔内でキシロカインが拡散せずに嚢胞状にストックされるためには、硬膜外腔に癒着が存在していることが必要条件と考えます。そして何らかの動作で、ストックされていたキシロカインが上記の経路を伝って脊髄内に流入し、「突然の脊髄麻酔」という不慮の出来事を発生させると思われます。


技術的な介入は不可能

どれほど医師の硬膜外ブロックの技術が上達したとしても、上記のような症例を防ぐことは不可能です。硬膜外腔にキシロカインがストックされることは偶発的な出来事であり、技術で防ぐことができません。

患者が高齢であれば予期せぬ脊髄麻酔の副反応が現れます。もっとも危険なのは急激な血圧低下による循環不全です。遅発性の脊髄麻酔の場合、帰宅中に発生すると道端で倒れてしまうこともあるため、その際には適切な医療措置が受けられないため危険度はさらにアップします。そして、数多くブロックを行っていれば必ず起こることであると思われます。発生率はおそらく0.1%から0.5%の間であると推測し、誰が行ってもどんな施設で行っても発生率をゼロにすることは不可能と思われます。


遅発性脊髄麻酔の予防方法

予防することは不可能ですので、安全対策をとるとすれば二つあります。一つはブロック後、3時間以上ベッド上安静をとること。脊髄麻酔がかかると長くて数時間、下肢に力が入らなくなり、血圧が低下します。急激な血圧低下を防ぐにはベッド上安静を行い、薬剤を拡散させてしまうのが最善です。その安全性の確保には入院させてブロックを行うことが理想的です。

全国的に整形外科では「硬膜外ブロックは入院患者にしか行わない」とする施設がありますが、この方針は本症例のような事故を防ぐための理論として商業利用される可能性を秘めています。つまり、神経痛で歩行困難な患者を目の前にして「入院しなければ治療しない」と断り文句にし、入院させて硬膜外ブロックを行い、入院費を稼ごうとする医療法人に有利に働きます。


 

主に外来でブロックを行う開業医では3時間のベッド占有は経済的な不利益という負担をかけますので臨床現場では実施が難しいでしょう。ならば安全にブロックを行うためには1回の注射量を少なくすることが望ましいと言えます。万一脊髄麻酔になったとしてもショックが起こらないレベルの量にとどめることが安全策として優秀です。

0.5%キシロカインを2~3ccであれば万一の脊髄内ブロックとなったとしても大きな問題にはならないでしょう。つまり、高齢者や心疾患などがある患者に対しては、硬膜外ブロックなどを行う際には、できる限り少ない量でのブロックをこころがけるとよいでしょう。


ブロック後の副反応報告にはカウントされない

このような遅発性の脊髄ブロックはブロック後に時間差で発生するのでブロックによるものとは考えられず、心臓発作や低血糖発作、失神発作と誤認されます。よってブロックの副反応として臨床データに計上されることはありません。しかしながら実際は1%未満の発生率として普通に起こっているかもしれないことを念頭に置くべきです。高齢者のみならず、若い患者にも起こりえます。そして発生を防ぎようがありません。硬膜外ブロックを行う際には遅発性に脊髄麻酔がかかる可能性を認識しておきたいところです。

すでにこの事実が既知であるのでしたら、それは問題ありません。

突発性難聴撲滅へ

2017年治療成績


突発性難聴の上頚神経節ブロックによる2016年度の治療成績を公表します。
詳細はこちらをご覧ください。

突発性難聴についてしっかり勉強したい方はこちら→突発性難聴治療の最先端(PDF)


突発性難聴とは

突発性難聴は突然に原因不明な内耳性の感音性難聴が発症する疾患です。年間に3万5千人が発症する「決してマレではなく身近」な病気です。治療法はステロイド投与・高圧酸素・星状神経節ブロックなどがありますが、治癒率は3割とも言われ、多くは治療も虚しく難聴が完成してしまう「極めて悪質な」病気です。この病気が発症してしまうとできるだけ早期に適切な治療を受けなければ難聴になることを防げないと言われていますが、現医学では「適切な治療法」がほとんどなく、入院治療を受けたとしても7割は何らかの後遺症を残してしまうという現状があります。


難聴が完成してしまうか治癒するか?を決めるものは「治療開始が早いか遅いか?」であるかのように言われていますが、真実はそうではありません。難聴が高度であり、めまいをともなうものは予後が悪いと言われ、治療を早く開始したところで症状が完成することを防ぐことができません。逆に言うと、難聴が軽度でめまいをともなわない「軽い突発性難聴」では自然に治癒することも多々あります。


この事実から逆に考えると、上記のステロイド投与・高圧酸素・星状神経節ブロックなどの治療が、本当に有効なのか?も疑問です。重度の突発性難聴ではどの治療も無効で、軽度であれば自然に治癒することもしばしばあるからです。軽度の突発性難聴の場合、それが軽度だから治癒したのか、治療効果があって治癒したのかは誰にもわかりません。そして重度の突発性難聴では、治療を早期に行ったとしても難聴が完成することが初めからわかっています。ただし、発生の数時間以内に交感神経節ブロックを受け、血管拡張→血流増加をさせることができれば、重症の難聴でも改善させることができると考えています。このことについては後述します。


この事実は突発性難聴には現医学で有効な治療法がないことを露見しています。突発性難聴が重度であった場合、大学病院で入院治療したとしてもほぼ治らないことがわかっているというのに、本人はそれを知らされず、ただ入院治療に専念することを命じられているという理不尽かつ悲惨な状況なのです。


もしも、他に有力な治療法があったとしたら…

実を言うと、突発性難聴の治療としてステロイドや高圧酸素よりももっと有効な新治療があります。それは上頚神経節ブロックというものです(著者が開発した最先端医療技術です)。著者は約2年前から難聴の患者にこのブロックを行い治療データをとりました。そしてようやく治療効果が既存の難聴治療よりも高いと確信が持てるレベルとなったのでこのように公開しています。今は一刻も早く世界の人達に突発性難聴に有効な治療法があることを教えてあげなければならないと考えています。それは「人として」の義務であり、自分の医療技術を誇大広告するためではありません。一刻も早く、新治療を受けさせてあげなければ、患者の一生が台無しになります。難聴が完成してしまうと社会人としては極めて大きなハンディキャップを背負うからです。


しかしながら患者は入院する際に、病院の医師たちから「一刻も早く入院して治療を受けなければ、難聴になってしまう確率が上がります」と脅されています。そのため入院を振り切ってまで私の治療を受けようとする患者はほとんどいないという悲しい現実があります。しかし、真実は「重度の突発性難聴の場合」現医学では有効な治療法がなく、入院してもほとんど改善しません。一刻も早く上頚神経節ブロックを受けさせてあげなければなりません。


突発性難聴の治療例

  •  68歳女性。朝起きたら突然めまいが出現し、同時に右耳がふさがったように感じ音が右耳で全く聞こえなくなった。同日娘に連れられS病院に来院。脳のMRIで梗塞などの異常が認められませんでしたが、突発性難聴の診断で即時入院となりました。入院先ではお決まりの大量ステロイド療法が開始されましたが、それでも症状が全く良くならないことを心配した娘がインターネット検索を行い、私のサイトにたどり着き、上頚神経節ブロックという新治療があることを発見しました。しかし入院しているので私の治療を受けることができません。よって私は娘に「星状神経節ブロックを入院先で毎日行ってもらってください」と指示しました。星状神経節ブロックはステロイド療法よりはまだ治る確率が高い治療だからです(高いと言う明らかな証拠論文はありませんが)。S病院では娘の申し出を快諾し、ステロイド療法に加え、麻酔科医が毎日星状神経節ブロックを行ってくれました。しかしその甲斐なく、数日ブロックを行っても全く改善しませんでした。
  •  娘はついに彼女を入院先から外出させ私の診療所に連れ出すことを決意します。このことがばれると入院先の病院に保険診療上の迷惑がかかるので、隠密に自費診療で治療を受けることになります。患者は難聴よりもめまいが症状としては強く、まともに歩けない状態でした。上頚神経節ブロックを受けて数分後、右耳にかすかに音が聞こえ始めました。患者は初めて「治療効果があった」ことに大喜びし、通院治療をすることを決意します。しかし、そうそう何度も外出することは不可能なため、私は継続して入院先の病院で星状神経節ブロックを受けることをアドバイスしました。もうすでに難聴は完成しており、手遅れ感があったからです。「退院してから治療をしましょう」とアドバイスしました。しかも娘に自動車で送り迎えをさせ、自宅が遠方なので通院が大変です。週に1~2回の治療がやっとでした。結論から言うと、8回の治療で聴力をおよそ半分取り戻し、めまいは「ややふらつく」程度まで回復させ、それで治療を終了しました。根気よく通院すればもう少し改善できますが、通院の労力を考えるとある程度妥協が必要だからです。他にも現在治療中の症例があります。その方のブログはこちらです。

 

上頚神経節ブロックはローリスク・ハイリターン

上頚神経節ブロックの合併症や副作用は5年前から研究しています(こちら)。のべ数千人に行っていますが今のところ後遺症は1例もありません。


突発性難聴治療成績と現状

このHPをご覧の方から治療を希望されるかたが増え、現在10名以上の方がリアルタイムに突発性難聴後に上頚神経節ブロックを受けに通院されています。その実績を示し、今後の治療のあり方について述べます。

  • 難聴発症後2日以内に上頚神経節ブロックを受けた2名

数回の治療(上頚神経節)でほぼ難聴が完治しました。オーディオグラムは測定していませんが即座に治りました。2名とも軽症~中等症であり、重症ではありませんでした。重症ではないことと早期治療が重なれば、即効で治癒すると考えます。入院の必要もステロイド点滴の必要もありません。ただし、この2名は私が突発性難聴の治療を行っていることを知らずに偶然に私に発見された幸運の患者ですから早期治療が出来ました。普通はまず耳鼻科医に行くでしょうから、早期に突発性難聴の患者が私と出会う確率はゼロに近いでしょう。

  • 発症10日以内の他院入院患者で、改善傾向が少しあった2名

両者共に30代男性。入院治療中に私のHPを発見し、退院直後に私へアクセスしてこられました。上頚神経節ブロックを行った直後より音が劇的に大きく聞こえ始め、平均して30db程度かそれ以上の底上げができました。他院に入院中に若干でも音が聞こえる兆しがあった場合、上頚神経節ブロックを受ければ劇的に改善する可能性が高いと考えます。治療開始時期としてはやや遅いと思われますが、他院の治療で多少でも効果がある場合、その時点で上頚神経節ブロックを受ければ改善する可能性が高いと思われます。このように、発症から10日以上経過していても、その時点で多少の改善傾向がある患者の場合、上頚神経節ブロックを行えば劇的に改善するようです。この2名は初回の上頚神経節ブロックを行った2時間以内に、音が大きくはっきり聞こえるようになったという共通した特徴があります。

  • 他院の治療で全く改善しなかった5~6名の患者の場合

これらの患者は他院で様々な治療を(主にステロイド点滴)行い、1週間から2週間以上経過して全く改善しなかったパターンです。難聴が完成してから私のHPにアクセスされた方たちです。初回の上頚神経節ブロックを行った直後も音が聞こえるようになりません。数回の上頚神経節ブロックで、耳鳴りの低下や音割れ現症(自分の声が割れて大きく聞こえる)、閉塞感の解除などを数分程度、短時間経験するようになります。治療回数を重ねると10回程度で少し音が大きく聞こえるようになりますが、回復は10db程度が限界です。10回の治療後は「もしかしたら回復の可能性があるかもしれない」という「夢を追う」治療にならざるを得ず、あきらめない患者にのみ1~2週に1回のブロックを行っています。音がクリアにならないとしても、めまいや耳鳴りには効果が多少があるからです。「夢を追う」とは壊死してしまった聴神経細胞が再生される望みに賭けることを意味します。それでもたとえ10dbでも改善するのであれば治療を受ける価値があると思われます。

  • 全く改善しない2名

突発性難聴後数年以上を経過し、現在片方の耳がほとんど聞こえない状況の2名に「夢を追う」治療を週に1回の頻度で行っています。治療をして1年が経過しましたが、1名は全く変化なし。もう一命は若干音がクリアに聞こえるようになりました。上頚神経節ブロックを行っても、全く反応しないタイプの難聴があるのかもしれません。それでも、長年治療すれば治るかもしれないという可能性を見出すために、患者と私で治療を続けています。

  • 細胞が死んでからでは遅い

上頚神経節ブロックは、仮死状態の細胞を生き返らせる力は十分にあり、現存する治療の中で最高であると確信します。しかしながら、死んでしまった細胞を生き返らせることは無理であり、神経細胞が仮死状態のうちに治療を開始できるか?が回復の鍵であるようです。重症か、軽症か?は仮死、または壊死に陥る細胞の数に依存していると思われます。壊死(仮死)が広範囲であると、どんな治療も効きにくく、当然ながら上頚神経節ブロックも効きにくいでしょう。しかし、それでも、発症数時間以内であれば劇的に改善させることができる可能性が高いと思われます。軽症であればステロイド点滴でも改善の余地はあると思われ、ステロイド点滴が無意味であるとは思いません。しかし、ステロイド点滴のために入院し、上頚神経節ブロックを受けられないのだとすれば、それは問題です。細胞が死ぬ前に、可能な限り早く上頚神経節ブロックを受けていただきたいと切に望みます。仮死状態の細胞しか治せません。死んだ細胞が多ければ、上頚神経節ブロックを何百回行っても簡単には治らないでしょう。

  • 大学病院への信頼と上頚神経節ブロックへの不信

皆様は西洋医学に絶大なる信頼を置き、大学病院は最高の治療機関であることを信じて疑わないでしょう。ですが、突発性難聴はその西洋医学の最高峰の大学病院でさえ、治療法が確立されていないということを知りましょう。治療法が確立されていないのですから信用する以前の問題です。もともと突発性という病名は原因がわかっていないという意味ですので、治療法も確立されていないことが病名からわかります。ですから、突発性難聴に限っては大学病院を信じることは得策ではありません。さらに上頚神経節ブロックは私が開発したブロックであり、私は権威者ではないのでたやすく信じていいか?は判明しないことも存じております。しかし、敢えて言わせてもらえば、「大学病院に入院すれば手遅れになる!」ということです。これまでの実績から、種々の治療よりも上頚神経節ブロックの方が治療効果が高いことは明らかです。神経細胞が壊死する前に可能な限り早く上頚神経節ブロックを受けに来てほしいと願っています。できれば、耳鼻科に行く前に、このブログに遭遇し、私へアクセスしていただければと思います。耳が聞こえなくなることが人の一生においてどれだけ不幸なことか?をお考え下さい。


 

突発性難聴が治る条件

  1. 難聴のレベルが重症(ほとんど何も聞こえない)ではないこと
  2. めまいや耳鳴りなどが伴わない場合
  3. 発症数時間以内に上頚神経節ブロックを受ける(推測)
  4. 難聴が完成する前に上頚神経節ブロックを受ける(推測)、完成までの日数は、早ければ1日、緩慢であれば数週間

上記以外では上頚神経節ブロックを受けた場合でも改善はわずかであると思われます。

高齢者の感音性難聴の治療成績はよい

突発性難聴ではなく、高齢者が自然に悪化していく感音性難聴や耳鳴りの治療は、上頚神経節ブロックが極めて高い治療成績を発揮しています。ゆっくり進行していく難聴は改善させることができます。それほど上頚神経節ブロックが難聴治療に効果が高いという意味です。これは上頚神経節ブロックが他のどんな治療よりも難聴に効果が高いことを証明できる事実です。

再生医療に応用できる上頚神経節ブロック

上頚神経節ブロックは血管を拡張させ、血流を増加させるだけの治療です。数百年後には再生医療が普通にできるようになっていると思われますが、その際に最も重要なのは血流です。再生細胞を移植したところで、血流がなければ移植細胞が死ぬからです。もともと難聴は聴神経細胞への血流不足が主な原因と考えますから、細胞を移植しても、それだけでは改善できません。血流を確保しなければ意味がないのです。再生医療を研究する者たちは名誉ほしさに、自分の研究に没頭していますが、血流を増加させる技術を開発しない限り、再生医療の明日がありません。すなわち、再生医療は細胞培養で完結せず、血流増加の技術を持つ者と提携・協力しなければなりません。しかし、出世欲にかられた科学者は、お手柄を自分のものにしたいがために、他の者と提携したくはありません。よって血流増加の技術が加わることができません。上頚神経節ブロックというすばらしい技術があっても、それが再生医療と提携できないことを非常に残念に思います。人のための研究ではなく、皆、自分のために研究しているのです。難聴も、再生医療と上頚神経節ブロックなどが手をとりあえば、治せる病気となるのですが・・・

 

 


ジョブズの最後のメッセージ

「認められることや富は迫る死を目の前にして色あせていき、何も意味をなさなくなっている。今やっと理解したことがある。人生において十分にやっていけるだけの富を築き上げた後は、富とは関係のない他の事を追い求めた方がよい。もっと大切な何か他のこと。」

  •  富も名声も難病を前にしては何も意味がありません。高齢は最大の難病であり誰にも治すことができません。しかし上頚神経節ブロックは最後の尊厳と希望を与えてくれます。私にとって私の研究開発する医療技術はジョブズの言う「もっと大切な何か他のこと」です。私の治療は世界の多くの方の人生に一筋の光を与えることができるものであると信じています。

 

うつ・神経症など精神疾患を根本的に治療できる期待の新療法

2017年治療成績

はじめに

上頚神経節ブロックが純然たる心の病(精神疾患)を根本的に治すことができることに気づき始めたのは数年前。それは自律神経失調症を本ブロックで治療し、かなりの確率で根本的に治すことができることを臨床的に証明した時期である。自律神経は感情と共に作動し、恐怖を感じると脈拍・呼吸数・血圧・発汗を行わせ、安堵を得るとそれらを低下させる。精神疾患は少しの感情の起伏で自律神経が普通の人の何倍も過剰に反応する病態の一種と考えると、自律神経を治療できる上頚神経節ブロックで精神疾患を根本的に治すことができるはずと考えることは当然の成り行きであった。精神異常者がしばしば訴える、めまい、頭重感、脱力、吐き気、ふらつきなどの症状を私はすでに本ブロックで治療することができる。ならば精神疾患の患者を根本的に治せるのではないか?と考えた。しかしながら、実際に精神疾患の患者に本ブロックを行う機会がなかったため、治療理論は机上の空論であった。今年になりやっと2例目の精神疾患治療成功例を経験したので報告する。そして本格的な精神疾患の治療データを収集するためにここに公開し、治療希望者を募集することにした。本治療の成功例が一定数集まり、エビデンスが得られれば、本治療が普及し精神疾患に苦しむ世界じゅうの人を助けることができると推測する。


上頚神経節ブロックのエビデンス

すでに私の施設に訪れた精神・神経系の患者たちのほとんどは際立った改善を経験している。しかし、その改善の程度を数字で表すことは極めて難しい。よってこれほど効果の高い治療法であるのにその証拠を出せないためなかなか世間には広まらない。幸運なことに、私のクリニックには突発性難聴の患者が多く訪れ、上頚神経節ブロックがどれほど高い効果を出せるのかを数字で出すことができた。突発性難聴は精神疾患ではないが、頭蓋内の不具合を神経細胞レベルで治療できることの証明になる。よって精神疾患を治せることの証拠の代用として突発性難聴の治療成績をご覧いただきたい。治療成績はこちら


 症例 38歳男性

  • [主訴] 動悸、呼吸困難感、立ちくらみ、体が極めて重い、気力喪失、頭がモヤモヤ締め付けられるようにズーンと痛い、吐き気、顔や体が麻痺したような感覚異常、全身痛、微熱が常にある(37℃代)、体のふるえ、不眠、発汗過多、嫌いな人が接近してくるとこれらの症状が出現する
  • [現病歴・既往歴]小5の頃からI型糖尿病、バセドウ病(メルカゾール服薬中)。増殖性網膜症があり今年の1月より生活保護を受けるようになる。しかしその際に相談員であった役所のケースワーカーに強い精神的ストレスを受け、嫌悪感と共にうつ症状・不安神経症の症状が出現し始める。ケースワーカーと接すると頭が朦朧とし体が思う様に動かず、発汗、発熱、吐き気、体の震えなど多岐にわたる症状が出る。それ以来、人ごみや電車内にいると同様な症状が出現するため怖くて外出ができなくなった。また起床時に全身痛と全身のだるさが出現し、1時間以上腰掛けて痛みに耐えている状態となる。H27.5月に診療内科を受診し「うつ病」と診断されセパゾン、ベンザリンの処方を受けている。自殺願望もあった。H27.9.24著者の診療所で治療を受けている姉が彼を説得し来院させた。

 


  • 治療1回目 熱が36度代になったことに本人が驚く。また、最近では経験したことのない心地よい熟睡が数日続いたことに感激した。そんな日は365日のうち1日たりともなかったからだという。気分も軽くなり「燃え尽き症候群がとても軽くなった」という。彼の言う燃え尽き症候群とは全身だるく頭も体も痛く、顔がゆがむほどの苦痛であるが、体を動かすことができないため椅子に座ってただうつむいているしかない状態とのこと。起床時に毎朝1時間ほど生じる。彼はあしたのジョーの最終回と同じと表現する。「燃え尽き症候群」が軽くなるが消失はしていない。彼は上頚神経節ブロックの効果を奇蹟的と表現し、姉と共に非常に喜んだ。
  • 10/8 ブロック2回目 熟睡は数日できるが週の後半は不眠傾向となる。しかし、外出する気力が出現、不安感も軽くなり心が落ち着いてきたと感じるようになる。
  • 10/15 ブロック3回目 頭痛・吐き気・頭のもやもやも軽快したことを実感。
  • 10/22 ブロック4回目 燃え尽き症候群は半分になる。人との会話も平気になった。人の視線が怖くなくなった。人ごみに入ると息苦しくなったがこれも消失。しかし3日前に市役所のケースワーカーと会い、嫌悪感のために会ったとたんに眼が回り動悸がして吐いた。一時的に気分が以前のように極めて不快になったが一時的だった。
  • 11/12 ブロック6回目現在 睡眠は5~6日熟睡ができる 燃え尽きは半分以下になる 息苦しくなるのはほとんどない 外出ができるようになった 耳鳴りが消失した 食欲は出るようになった 車とバイクが好きだが まだ乗る気にはならない 目標としてはアルバイトができるレベルに回復したい。そのために通院する(通院には車で1.5時間かかる・姉が運転)。

もう一人の症例をご紹介します→こちら


精神疾患を根治させる治療法の衝撃度

上記の症例は自己催眠をかける療法でもなく、慣れさせる療法でもなく、カウンセリングでもなく、薬剤で抑える療法でもない。精神疾患を根本から治す根治療法である。もしも、この治療法の有効率が50%を超えてしまったら、精神医学界は騒然とする。なぜなら、過去の治療法の全てが本療法に比べて価値が低いことが証明されてしまい、精神医学を編み出した過去の大家の治療法が根底から見直さなければならなくなるからである。 根本的に治療が可能な精神病をもはや「心のやまい」ということができるのであろうか?という精神医学の定義自体を崩しかねない。


精神疾患を根治させる治療法があるかもしれないというだけで、それは社会を揺さぶる大きな問題となる。特にアメリカ合衆国ではカウンセリングが社会で認められるための半強制的な治療法として確立されており、犯罪者は精神薬をのむことを条件に釈放されるなど、社会全体に精神科医が密接につながっている。そこへ「根治させることのできる治療法」を投げ込むのであるから反発も激しいだろうと予想する。


さて、上頚神経節ブロック星状神経節ブロックよりもはるかに効果が強力である。よって、これまでは星状神経節ブロックで精神疾患が軽快することがあることは密かに言われていたが、今回ばかりは密かではいられない。おそらく有効率が本ブロックの場合、星状神経節ブロックよりも格段に上がるからである。それでももちろん、本ブロックが全ての精神疾患に有効であるとまでは言わない。しかし、もしも平均して50%以上の有効率があった場合、その衝撃は激しい。今後の治療成績の結果に注目してほしい。


上頚神経節ブロックで精神疾患が治る仕組み

著者は自律神経失調症の治療のために本ブロックを開始した。するとその効果はうつ・不安神経症・不眠症などに極めて効果があることがわかった。おそらく統合失調症やチックなどにも効果を発揮すると思うが、今のところ症例が集まっていない。


自律神経核は延髄に存在し、その延髄の血行を増加させると精神症状が軽快する理由は、おそらく、精神疾患の多くは自律神経核の動きと連動していると考える。それは当然であろう。交感神経も副交感神経も「感情と共に動く」神経である。感情の動きを自律神経核が読み取り、それを血圧や脈拍を変える信号へと変換し全身へ送る。その反応が過敏すぎるとわずかな感情の起伏で心臓が高鳴ったり、顔が真っ赤になったり、手足がしびれたりする。心はその変化を読み取りさらに警戒を強めて興奮する。興奮はさらに自律神経をかきまわし、症状がさらに強くなる。このハウリングが様々な身体症状を引き起こす。上頚神経節ブロックはこのようなハウリングを絶ち、身体症状を起こらなくさせることができる。


また、精神異常は「脳に器質的な異常がないもの」と定義されるが、小動脈の損傷や狭窄による微小な血行障害に起因した精神活動の障害は、「器質的な異常」であるにもかかわらず、MRIなどで異常を指摘することができない。指摘することができないものは現医学では「器質的異常がない」といわれ精神異常に分類されてしまう。真実は器質的な異常のある精神疾患は少なくない。それらは精神異常と分類すべきではない。そして100年後・千年後の将来、わずかな器質的な異常も指摘できるMRIが開発されると、ほとんどの精神疾患に器質的異常が指摘されるようになり、もはや純然たる精神疾患はほとんど存在しなくなっていると私は推測する。私は「理屈に合わない症状を心因性」と捨て置く現代医学の稚拙さに常に反発してきた医師である。よってこの手の「心因性の定義」に関しては弁が熱くならざるを得ない。お見苦しい点はおわびする。


 

脳の一部に血行障害が生じて精神異常をきたしている場合は、上頚神経節ブロックで脳の血流を増加させることで血管や神経の細胞が再生されて根本的に治療できる可能性が高い。それは器質的異常が証明することができない現代においても、根治治療だけは可能である。ならば上頚神経節ブロックで根治する精神疾患を、心の病と言ってよいのだろうかという疑問が生まれる。いや、疑問ではなく、言ってはいけない。


根治と再燃

上頚神経節ブロックでの精神異常を改善させることのできる期間は、経口薬と比べれば極めて長い。しかしながら、ブロック自体が遺伝的な細胞の特性(レセプターの数など)を変えるものではないので、「精神疾患が発病しやすい」という遺伝的な特徴までを変えることはできない。つまりブロックで一時的に治癒させることができても、環境が悪ければすぐに再燃するだろう。再燃の度にブロックを行わなければならないわけだからこれを根治とは呼べないという問題点がある。著者は現実的な患者の社会生活を考えると、ブロックによって症状が半分以下になりその効果が2週間以上続くのであれば十分に実用的(根治的)であると考える。


生活保護を受けている精神疾患者が精神科で薬を服用したら働けるようになった。という話をあまり聞いたことがない。つまり薬で精神疾患患者を社会に適応させることは不可能に近いと言っても過言ではない。そういう意味で経口薬治療は治療ではなく、患者を薬の檻の中に閉じ込めているだけであると思う。その点、本治療は脳の血流量を増やすだけの治療。それで根本的に症状が軽くなるのであれば本物の「治療法」である点に注目しなければならない。薬をのんでいても一人で電車に乗って外出することができなかった患者が、ブロック後に1人で外出が出来て人と話せるようになるのだからそれは「かなり効果のある治療」である。しかも上頚神経節ブロックはリスクの少ない治療であるから、メリットは非常に大きい。


また、本治療は経口薬による治療を否定しているものではなく、いつでも併用ができる。問題となるのは見出しの通り、根治と再燃と社会生活である。患者が家に閉じこもっているだけで済むのであれば、5割以下の症状が2週間以上続くとする治療目標はたやすく達成できる。しかし、社会に適応し復職するとなるとハードルはかなり高い。健常人でさえ職務はストレスのかたまりである。精神疾患者は間違いなくストレスに弱い。患者を社会人に戻すにはストレスに対する抵抗性を構築させなければならない。本ブロックはその「抵抗性構築」ができる世界で唯一の治療法であり経口薬とは次元が違うことを強く述べておく。しかし、それでも尚、治療のハードルは高いと推測できる。が、がんばるしかない。


社会適応とブロック

私は独特の「精神疾患観」を持っており、それは精神科学会の考え方とは全く異なる。私は精神疾患がストレス(インプット)→感情→自律神経(アウトプット)→ストレスの回路が自制できないレベルになることが多くの精神疾患の基本原理と考えている。この回路がハウリングを起こして暴走するのが精神疾患と考えている。個人個人でストレスの感じやすさ、感情の動きやすさ、自律神経の過敏さはそれぞれ異なり、遺伝的にそれらが鋭敏な人は精神疾患になりやすいと思われる。そして、この3つのどこかを制御できればハウリングが止まり、人は精神疾患を離脱できると考えている。しかし、患者を社会適応させる上でもっとも影響力が高いのは自律神経ではないかと近年私は考えるようになった。ブロックでかなり症状が改善することが理由である。


精神科ではストレスをカウンセリングで、感情を経口薬で制御しようとするが、自律神経を制御することがほぼ全くできない。これが精神科医が精神疾患患者を治すことができない最大の理由だと推測している。患者を社会適応させるためには自律神経の制御が必須であり、それができてはじめてカウンセリングや経口薬が本領を発揮する。つまり社会適応の鍵は自律神経にあると思われ、そういう意味で精神疾患は「心の病」と言ってよいのか?という根本的な疑問を湧き起こさせる。自律神経が失調してしまう器質的な理由があるわけで、それを治療すれば社会適応ができるようになるのなら、「心の病」ではなく、自律神経失調症の一つの症状として精神疾患が現れているという考え方になる。


私の行う上頚神経節ブロックは、何度も言うが「延髄・脳幹・脳の血流量を増加させる」だけのものである。それが著効するのであれば、原因が「神経系の血流障害」という器質的な異常があるわけで、それを「心の病」と言ってよいのかという問題である。この問題は精神科学会全体に一石を投じる形になるが、上頚神経節ブロックが精神疾患の治療として普及すれば、誰がどう理屈をこねようとも、真実が判明していくことになるだろう。これまでの精神医学では患者を社会復帰させることがほとんどできなかったわけだが、本治療で社会復帰ができるようになれば精神医学の常識は変わらざるを得ない。本治療は患者を社会復帰させる力があると推測する。ただし、社会復帰のハードルは極めて高い。簡単ではないが私は挑戦する。


 

国家の財政赤字解消に貢献する

上頚神経節ブロックは生活保護の3分の1にあたる精神疾患患者を根本的に治療し、社会復帰させるという純然たる目標をかかげた治療である。自殺者数も相当減らすことができると推測している。普及には国政レベルで支援が必要である。病初期に治療が可能であれば、精神疾患へと発展する患者を未然に防ぐことができる。著者のまじめなこの構想をあざけり笑うか真剣に考えるか? 国民の賛同にかかっている。治療に疑問や不信を感じる方は、まず実際に治療を受けるか、病気の人を連れてきて目の前で治療成果を確かめるかして、その効果を体感することをお勧めする。

 


期待の精神疾患 最先端治療 仏力と医学との融合

最後に、2017末から(本下記的には2018年から)実施している真言密教の仏力(ご加持)との併用治療をご紹介する。

不思議なことに当院では仏力(ご加持)により、うつ病や精神疾患の回復(これだけでもすごいが)だけでなく、西洋医学では到底実現できない心のケアまで可能になり、院内が患者の笑顔で溢れるようになってきた。

かつてない素晴らしい実績である。誰もが望んでいた治療がここにある。

悩んでいる人はぜひ治療体験するべきことだろう。↓ ぜひご拝読を。

仏力(ご加持)を用いた難病治療研究

高齢者ふらつき治療完成報告(症候性パーキンソ二ズム)

2017年治療成績

はじめに

動作が全体的に遅くなり転倒しやすくなることが70歳を超えると急に起こりやすくなることをご存知だろうか? 脳の活動低下が原因で起こる日常動作の不安定症状はこれまでの医学では「病気」とは扱われずただただ放置するしかなかった。中には手のふるえや小刻み歩行などを伴い「症候性パーキンソ二ズム」と診断がつく場合もあるが、大部分の高齢者は診断がつかないままただ「動作が遅くなる」だけの症状であることが多い。私の診療所では以前より「小刻み歩行」や「手のふるえ」が現れた患者に対し上頚神経節ブロックを行い、治療法がないとされる「症候性パーキンソ二ズム」の治療を行っていたが、この治療を行うと高齢者の運動能力が格段に上昇し、転倒しにくくなる、足が上がるようになる、全ての動作素早くなるというすばらしい効果があることがわった。本治療は先進国がかかえる超高齢化社会を真正面から救うことのできる非常に有用な方法なので一刻も早く世界中に広めるべきと感じる。


残念なことにみんな治療をあきらめている

高齢になり、計算力・記憶力・運動力・平衡感覚などが低下することを、上頚神経節ブロックで回復させることができるというのに、この文章を高齢者たちが読む機会がないために「みんな治療をあきらめている」ことに非常に残念でならない。

私のクリニックには82歳と84歳の夫婦(建設会社を経営)が現役バリバリで働いているが、それを上頚神経節ブロック(月に1回)で支えている。ブロックの効果が切れてくる頃になると、ふらつきや計算力低下が起こるようになり、ブロックを行うと再び頭脳力が改善し仕事が出来るようになることを体感している。よってこの夫婦は仕事を続けるために上頚神経節ブロックを必須にしている。

上頚神経節ブロックは人生の後半をこれほど充実させる力があるが、それの事実は世間に広まらない。残念というよりも人類の幸福にとって「もったいない話」である。が、私にはそれをどうすることもできないため、上頚神経節ブロックがいかに効果が高いかの証拠を「突発性難聴の治療成績」で代用して示す。「突発性難聴と脳の老化は関係ない」とは思わないでいただきたい。難聴を治せるということは、頭蓋内の神経細胞を治せるということと同じ意味だからだ。

では上頚神経節ブロックの治療実績をご覧ください。


症例1 82歳 女性

3ヶ月前から歩行が小刻みとなり歩幅が確保できず歩きにくいという症状が出現。若干前傾姿勢となってきた。手の振るえ・固縮などはない。誰にも相談できず悩んでいたが思い切って私に相談してきた。即座に上頚神経節ブロック(1%キシロカイン2cc×左右)を行うと、その数分後から小刻み歩行が消失しすたすたと帰宅できた。さらに2週後、「小刻み歩行が再び現れ始めた」というので同ブロックを行う。それ以降全く小刻み歩行が起こらなくなった。

 

症例2 83歳 男性

2年前より手のふるえあり、会計時にお金を取り出すのが困難なレベル。普段もほとんどつねに手がふるえている。本患者は私が2年前から腰部脊柱管狭窄症に起因した坐骨神経痛をブロック治療していた患者だった。この半年で歩行が極めて遅くなったが、これは腰部脊柱管狭窄症によるものではなく脳由来であると判断。「手のふるえも治せますよ」と本人を説得し上頚神経節ブロックを週に1回の頻度で開始。数回の治療後歩行能力が上昇し家から診療所までの距離800mを独歩来院可能となった(それまではバスかタクシー)。手のふるえは会計時の手のふるえ方を観察。やはり数回のブロックで徐々にふるえがおこらなくなった。6回目のブロックで手のふるえはほとんど起こらなくなった。しかし、いまだに歩行時のぎこちなさまでは解消しきれていないため治療を継続中。

 

症例3 80歳女性

1年前より私の外来で腰部脊柱管狭窄症の治療のため隔週で腰部硬膜外ブロックを行っていた患者。半年前から転びやすくなり、1ヶ月に1回は最低でも転倒するようになる。診察日時も間違って来意することが目立ってきた。ここ1ヶ月は転倒することを恐れ、家にとじこもるようになる。本人からではなく、患者の友達から「転んでばかりいるのでどうにかなりませんか?」と相談されたため、本患者を説得し治療を開始することにした。

上頚神経節ブロックを行う初日、診察室に入室する際にきわめてぎこちない歩き方をしており、杖をついていたが転びそうだった。しかし、同ブロックを行った数分後、退室時にはすたすた杖をつかずに歩いて帰った。劇的な変化だった。その後5日間は買い物も散歩もすたすた歩けたと本人から報告を受けたが、6日目には再び足がもつれやすくなったと言う。そこで本ブロックを毎週行うことにした。ブロック後の数日は杖が不要になる。しかし数日から4~5日経過すると症状が再燃する。気温や気圧の変化で悪化もする。よって現在、週二回同ブロックを行い経過観察中である。

 

症例4 81歳男性

1年半前から腰痛・下肢痛で歩行能力が急激に低下した患者。1.5年前から私の外来にかかり、硬膜外・神経根ブロックなどを駆使しようやく歩行ができるというレベルにまで復帰させたが、「痛みが軽くなってきた」というのに「寝返りができない、一人でベッドから起き上がれない」などの不可解な症状があった。明らかな小刻み歩行はなかったが動作が極めて緩慢であり私は「症候性パーキンソ二ズム」ではないかと考え(今から10ヶ月前)上頚神経節ブロックを4回行った。すると歩行能力が上昇し診療時の入退室がスムーズになったのだが、本人は「ブロックしても特に改善したとは思えない」と発言し治療に乗り気ではなかったため中止した。中止後数ヶ月かけて極めて徐々に動作スピードが遅くなることが観察できた(ブロック後の寝返り動作・起き上がり動作で確認)。

そこで再び本人を説得し上頚神経節ブロックを隔週で受けることを命じた。ブロック再開1ヵ月後、寝返りや起き上がりが速やかに自力で行えるようになり、毎日スタスタ散歩ができるようになった。それはあまりにも劇的な変化であり、患者本人も「このブロックのおかげで動作が速くなった」と認識した。

 

症例5 72歳女性

症候性パーキンソ二ズムと診断を受けている72歳の女性。手のふるえと前かがみ姿勢、小刻み歩行があり、これを上頚神経節ブロックで改善させた例。「パーキンソン症のブロックの驚異の効果紹介」を参。

 

その他の症例

動作緩慢・歩行スピード低下・前傾姿勢・うなだれ首などの症状がある高齢者には積極的に上頚神経節ブロックを行い、全例で改善傾向を認めている。他に10数例あり、現在も治療中である。ここでは省略し、症例がまとまれば再び報告する。


 

症候性パーキンソ二ズムに本人は気づかない

手のふるえという明らかに目に見える症状がある場合、本人が自分の体の異変に気づくことはたやすいが、動作が緩慢になる、ころびやすい、ふらつく、という症状では「症候性パーキンソ二ズム」の存在に本人も医師もきづかないものである。今回の私のレポートではなぜ「症候性パーキンソン二ズム」の存在を証明できたかというと、上頚神経節ブロックの前後ではっきり歩き方や動作スピードが変化するからである。本ブロックは延髄・脳幹・大脳・小脳などへの栄養血管を拡張させてあげるだけの治療である。その治療前後で症状がこれほど劇的に変わるのだから、患者には「脳・脳幹・延髄の血行障害による動作異常」が存在していたことが判明する。しかし、動作異常は極めて緩慢に進行していくため「歳のせい」と放置するのが常であり、本人も脳の血管障害であると認識することはない。この劇的な効果のある上頚神経節ブロックは、なるべく早く治療法を世界に拡散させなければならないと感じるが、これまで「誰も治療法を考えてこなかった」領域の病気なので、簡単に広まるとは思えない。まずは本人が自覚する必要があり、そのためにはマスコミによる本症の治療例の通念の拡散が必要である。


 

整形外科医ショックを起こす

整形外科医はロコモティブシンドロームなどをさかんに研究し、高齢者の寝たきりを防ぐ医師としての第一人者になろうと必死であるが、本症例はそうした整形外科医をショックに陥れるほどに驚愕の事実となる。それは運動能力が劣化する理由の第1が、運動器にあるのではなく脳にあることを露見してしまったからである。

この事実は私にとっても衝撃であった。なにせ私は超高齢化社会を本気で救うために、運動器と脊髄の機能を回復させるためのあらゆるブロック術を研究してきた医師だからである。その私が、歩行が困難になる理由が末梢(末梢神経、筋、骨、関節)にあるよりも、中枢(脳・脳幹・延髄)に重点があることを知ってしまったからである。

私は腰部脊柱管狭窄症の患者に対し、積極的に硬膜外ブロックなどで治療し、手術することなく歩行能力を改善させることを主たる仕事としてきた。しかし、実際に治療してみると、腰部硬膜外ブロックを行うよりも、上頚神経節ブロックを行った方が、患者がスタスタ歩ける様を見て、極めて困惑した。今までやってきた研究努力が自らの手で水の泡にされた気分だった。

同様に整形外科医もリハビリテーション科もデイサービスも訪問リハビリステーションも、介護施設も・・・同様のショックを起こす。彼らの努力は無駄ではないが、高齢者の運動能力の役にはあまり立たないことを認めざるを得ないからだ。それほど本ブロックの効果は既存の治療法に比べると格段に症状を改善させる効果が著しい。


 

他人事?それとも自分事?

超高齢化社会が到来し、若者が介護に苦しむ時代となることがわかっている。そうした世情の中、80歳を越えても寝たきりにさせない社会を作るためには本ブロックを世界に拡散させなければならない。

しかし、「本人は気づかない」この手の病気では家族が率先して治療に通わせてあげる必要がある。家族の理解なしでは本治療法は広がらない。そのときに、高齢による動作の緩慢を他人事とするか自分事とするかが個人個人に問われるであろう。そしてこのような有用な治療法を広めるためには、私がいくら自画自賛した論文を述べ立てても無理である。国民全体が治療の普及を欲し、政治的に国に圧力をかけなければならない。一刻も早くそうした国民の力が結集することを望む。ちなみに、私は自分の手柄を誇示するためにこのような論文を書いているわけではない。本気で世界のこと、国のことを考えている。


 

上頚交感神経節ブロックの普及

このHP上では上頚神経節ブロックが延髄・脳幹・脳が由来する諸症状に極めて有効であることを示してきた。著者は6~7年前にこのブロックを編み出し、これまでのべ数千例に治療を行ってきたが目だった副作用はなかった(上頚神経節ブロックの作用・副作用参)。

しかし、私以外の者がこのブロックを行うとなると合併症に一抹の不安がある。普及をさせなければならないが、安全性についてさらに研究する必要がある。そして症候性パーキンソ二ズムの治療としてこのブロックが保険請求が認められるよう動く必要がある。

世界初、三叉神経痛の治療法確立

2017年治療成績

一刻も早く痛みを治したい方へ

とりあえず、非定型的な顔面痛・目の奥・耳の奥・歯の奥の痛みなどには全て三叉神経がなんらかの関与をしています。私のところへは既に「どこへ行っても何を行っても治らない」患者たちが全国から、海外からも集まり、そして上頚神経節ブロックを行い8割以上の症例を改善させています。上頚神経節ブロックを行っても治らない例が2割は存在します。しかし、その2割に対しても、一流の代替治療師と手を組むことで、なんとか軽快させています。
その証拠として上頚神経節ブロックでの治療実績をこちらに挙げます。
治療成績は三叉神経痛のものではなく、突発性難聴の治療成績ですが、頭蓋内で起こる神経の不具合を治療できる可能性として共通しているとお考え下さい。痛みは数値化できないですが、聴力は数値化できますので、難聴の治療例を挙げたわけです。これはトリックや言葉遊びではなく、上頚神経節ブロックが頭蓋内の疾患に効果があることを示したものです。

はじめに

原因がはっきりしない頭痛・項痛・顔面痛・鼻の奥の痛み・目の奥の痛み・耳の奥の痛みで悩んでいる患者は全国に多数います。それらの真の原因は現代医学のレベルでは特定することができないという状況にあります。脳腫瘍や三叉神経が血管ではっきり圧迫されているような状況が判明すれば手術的に治すという方法もありますが、ほとんどの痛みは画像でわかるほど単純ではありません。


また、三叉神経痛が延髄レベルでの中枢感作から発症しているという考え方が現医学にはないため「長く続く痛みは三叉神経痛ではない」「ジリジリした痛みは三叉神経痛ではない」というような言い方がなされ、原因が判明していないというのに「三叉神経痛とはこういうものだ」というような独断定的な診断基準が作られており、それにそぐわないものは「三叉神経痛ではない」とされ、有効な治療がなされていないという印象を受けます。


また群発性痛・特発性三叉神経痛・舌咽神経痛などと痛みの定義を分けることは、原因がクリアに判明せず・各々の治療法が分別して確立されていない現時点において意味をなすのか?疑問です。


ここでは病名を特定して治療法を議論するのではなく、首から上にある痛みのうち、腫瘍など明らかに原因が判明していないものについて「極めて有効に治療することができる上頚神経節ブロック及び頸部硬膜外ブロック」について論じます。タイトルには便宜上「三叉神経痛」という診断名を用いていますが、「原因がはっきりわからない痛み」の治療法について述べます。


三叉神経痛の定義に疑問

三叉神経痛は例えば以下のように言われます。「三叉神経痛の顔の痛みにはかなり特徴があります。痛みは非常に強いものですが、突発的な痛みです。一瞬の走るような痛みで、数秒のものがほとんどで、ながく続いてもせいぜい数十秒です。5分10分と続くような痛み、じりじりとした痛みなどは三叉神経痛ではないことがほとんどです。」Neuroinfo Japanホームページより。


これが不適切であるとする理由は例えば坐骨神経痛を考えてみましょう。坐骨神経痛には種々の痛みがあり、突発的に数秒間つづく針を刺すような痛みがあり、5分10分と続くじりじりとした痛みもあります。どちらも坐骨神経が障害されて起こる痛みであり、「じりじりした痛みは坐骨神経痛ではない」という言い方はしません。痛みの性質は神経の障害システムの違いにより様々であり、痛みの性質で三叉神経が関与しているかいないかを述べることは不適切です。


この不適切な言い方をゴリ押しするならば上記の三叉神経痛の定義は勝手に定義を作って分類し、定義に合わない症状は「不明、心因性」と捨て去ることになります。


正しくは三叉神経の関与している痛みの中には「数分のピリピリした痛み」もあれば、「数時間続くじりじりした痛み」もあるはずです。彼らが「三叉神経痛=ピリピリ」と独断的に分類しただけでありこの定義が「ピリピリした痛みにしか三叉神経痛の治療をしない」という結果を招いています。どうして三叉神経痛だけがそんなに特別な分類をしなくてはならないのでしょう? 坐骨神経痛にはそんな分類は一切なされていないというのに。


ゲスな推測をすると、おそらく、「三叉神経痛のうち中枢ではなく末梢が血管により圧迫されているタイプの神経痛は突発的で短時間ピリピリする」のでしょう。つまり、「手術的に治せるタイプの三叉神経痛=突発的」なのです。ジリジリした痛みは、三叉神経の中枢(二次・三次ニューロン性)の痛みであり、「外科的に治せないからこそ、それを三叉神経痛とは定義しない」という外科医に都合のよい定義作りをしていると勘ぐってしまいます。しかし、本当にそうならば、脳外科学会が言う三叉神経痛の定義は「末梢性三叉神経痛」と限定しなければなりません。


何度も言いますが「痛みに関してはまだまだ現医学では未解明であるということ」を素直に認めなければ医学は間違った方向に動いてしまいます。真実は「三叉神経が関与する痛には種々の痛み方がある」のです。真実がなぜ捻じ曲げられてしまうのか? それは、痛みについて現医学ではほとんど何もわかっていないからなのです。


三叉神経痛は複雑極まりない

三叉神経の末梢の守備範囲は以下のようです。

  • 1)前頭部、顔面、鼻腔および口腔の粘膜、歯、脳硬膜の痛覚・温度覚・触覚と歯、歯根膜、硬口蓋、顎関節、咀嚼筋の固有感覚の情報を伝える一般体性求心性線維。

 

  • 2)咀嚼筋(側頭筋、咬筋、外側翼突筋、内側翼突筋)、顎二腹筋の前腹部分、顎舌骨筋、鼓膜張筋・口蓋帆張筋への特殊内臓性遠心性線維。

上記のように三叉神経は顔の痛みだけでなく、歯や歯茎の痛み、顎関節の痛みをも作ります。咀嚼筋との連動した痛みも可能性としては十分にあり得ます。さらに舌や耳介の神経ともつながりを持ち、連動痛が起こると推測します。よって食べ物を口に入れると痛みを感じたり、噛むと痛い、嫌な音を聞くと顔面が痛くなるなども十分に起こり得ます。これらが三叉神経が関与した痛みが歯科疾患、眼科疾患、耳鼻科疾患と誤診されやすい理由です。

さらに三叉神経の中枢は三叉神経脊髄路となり、第1~3頚神経ともつながりを持ち、頚痛由来の頭痛、顔面痛、歯茎痛などがあることが推測されます。これが整形外科疾患と混同される原因になっています。


三叉神経脊髄路(中枢)に感作があれば、痛みの様式はこれらの神経との連動により無限の種類が起こり得るわけです。そうした中、「三叉神経痛の痛みは突発的で短時間にピリピリ」と限定することがどれほど実情にそぐわないかがわかるでしょう。そして脳外科学会では「突発的で短時間続くピリピリした三叉神経による痛み」しか三叉神経痛と認めない方針でいるわけですから、脳外科医には大部分の「真に三叉神経が関与している痛み」が治せないことになります。


三叉神経痛が星状神経節ブロックで治るという証拠がない?

脳外科学会ではこのように述べられています(こちら)。ですが、三叉神経痛=突発的なピリピリ、と限定しているのは彼らであり、真実は「三叉神経が関与している痛みは複雑極まりない」と思われます。真実から逆算した言い方をすると「三叉神経が関与した痛みの中でも突発的でピリピリした痛みは星状神経節ブロックでは治るという証拠がない」となります。それは正しいでしょう。おそらく、星状神経節ブロックは「中枢由来の三叉神経が関与した痛み」には極めて有効と推測しますが、末梢由来の三叉神経痛には効果が低いと言えるでしょう。脳外科学会では末梢由来の三叉神経に関した痛み=三叉神経痛、と定義しているので、それには星状神経節ブロックが効果ないといういい方であればそれは確かに正しいご意見です。しかし三叉神経痛の定義を適切なものにすればこのご意見は誤りになるでしょう。一刻も早く三叉神経痛の定義を適切なものに変えなければ、定義に沿わない痛みが大部分を占め、それらの痛みは「不明な頭痛」「心因性頭痛」と言われて捨て置かれ、研究が進まない医学のブラック時代が長く続くでしょう。


中枢由来の三叉神経痛は治療法がない?

さて、末梢由来の三叉神経痛、中枢由来の三叉神経痛という言い方は本来用いてはいけません。脳外科学会は末梢由来の三叉神経痛しか三叉神経痛と認めていないわけですから、彼らに言わせればそれ以外の三叉神経痛は三叉神経痛ではないのです。よって中枢由来の三叉神経痛は「得体の知れない痛み」と言うしか方法がなく、今のところ「得体の知れない痛み」は脳外科医には治せません。そして根治的な治療法がありません。


心配いりません。私が開発した治療法は敢えて言う「中枢性三叉神経痛の治療法」であり、本論文はそれらを根本的に治療できることを示したものです。よって世界初の中枢性三叉神経痛の治療法確立と言ってよいでしょう。「世界初」と述べたのは、「脳外科医たちが外科的に治せる神経痛のみを三叉神経痛」と名付けた脳外科学会への皮肉です。


本当は世界初ではなく、すでにペインクリニックの医師たちは星状神経節ブロックで中枢性の三叉神経が関与した痛みを実際に治しています。しかし、不幸なことに、せっかく治した実績があっても、それは「脳外科学会が言う三叉神経痛」ではないので実績にカウントされないという裏の事情があるわけです。よって中枢性三叉神経痛に悩む患者たちは、インターネットを用いてその治療法を探そうにも、絶対にヒットしないというからくりがあります。本当はすでに良心あるペインクリニック科の医師たちが脳外科医以上の実力と実績において密かに「三叉神経が関与した痛み」を治療しています。あくまで密かにです。そうした裏事情を知らない限り、真に三叉神経痛の根治療法を受けることができません。


中枢性三叉神経痛とは?

三叉神経の末梢は眼神経・上顎神経・下顎神経の3本の枝にわかれますが、これらの3つの枝がシナプスを介する前の中枢部のニューロンに生じた感作によって痛みが出ているものと定義します。感作については「感作性疼痛について理解を深める」をお読みください。

基本的には感作が起こっている場所には血行不良や自己免疫による炎症、物理的な張力、それらによる細胞適応(癒着や線維化)が存在すると思われ、血行不良を解除してあげることで局所の悪循環を絶ち、感作が改善されると考えます。感作が改善されると複雑な痛みが起こらなくなり症状が軽快します。


中枢性三叉神経痛に上頚神経節ブロックが極めて有効

私はこれまで他の脳外科で三叉神経痛と診断された者や、三叉神経痛とは診断されてはいないが得体の知れない治らない頭・顔・項・顎の痛みの患者を数々上頚神経節ブロックを用いて治療してきました。そして本ブロックが中枢性三叉神経痛に極めて有効であるという実績を作りました。


上頚神経節ブロックは星状神経節よりもさらに上位にある交感神経節であり、ここをブロックすると上位頸髄・延髄・脳幹・大脳の動脈が開大して血流量が数時間増えます。この数時間、感作部位の修復が進みます。そして血行不良部の悪循環が絶たれ感作部位の感作が解除されていくことで痛み症状が改善していくと推測します。動脈の開大効果は星状神経節ブロックよりもはるかに高く、ペインクリニックの医師たちが私の開発した上頚神経節ブロックを収得すれば、多くの中枢性三叉神経痛の患者を救うことができると思われます。


それでは以下にその治療実績を掲載します。実績を掲載する前に、これまで私は中枢性三叉神経痛と思われる患者を十数名治療しましたが(あまり多くはない)、半数は1度の治療で治癒したためカウントしていません(記録に残していない)。ここでは三叉神経痛で現在治療中の5例のみ紹介します。


症例1 70歳男性

3年前に首を寝違えたことより右の項、右の額、右の頬から顎にかけてズキズキとした激痛が走るようになる。近くの脳外科に行き「三叉神経痛」と診断されテグレトールを処方されるが飲むとふらつくだけで痛みは全く低下しない。神の手と言われ有名な脳外科医F先生を受診するも「手術で治る可能性は半々」と言われ手術を断念する。


治療経過

偶然にも私の外来にかかり上頚神経節ブロック(1%キシロカイン2㏄)を行うと2週間発作が起こらなくなり感激する。しかしブロック後2週間経過すると右の項から顎にかけてズキズキとうずくようになるため私の外来を隔週で受診することを続ける。患者は東北大震災の被災者であったが、福島県に帰郷。その後福島県から東京までの間で三叉神経痛を治療できる医者を探して脳外科とペインクリニック科をいろいろと探したが、治療を受けても痛みが全く軽快しなかった。主治医(脳外科医)には「東京に通うしかない」と説得され、それ以降私の上頚神経節ブロックを隔週で受けることにする。途中、3か月間のブランクがあったが、治療期間およそ2年で痛み発作が起こらなくなった。しかし、万一あの痛みが起こったら…という恐怖心から、症状のない現在も予防的に治療を続けている。


症例2 38歳男性

3か月前から右の項から後頭部・顎・こめかみにかけてズキズキした痛み、目の奥にしめつけられるような痛みがあり、コンサルティング業をやっていたが、仕事が継続できないほどの痛みとなった。ズキズキは数分では止まらず、数時間続く。しめつけられる痛みは持続性で長時間続き、楽になる時がほとんどない。脳外科、ペインクリニック科、針灸、整体など有名なあらゆる病院を何軒もドクターショッピングするが原因不明で治療法なしという状態。私の外来を受診。


治療経過

上頚神経節ブロックによりこめかみの痛みはやや軽快するが、右の項の痛みには全く効果がない。明らかに治療抵抗性であった。そこで上頚神経節ブロック+C3傍神経節ブロックを併用。すると1日は痛みが軽快するという状態になった。しかし全体的な痛みは軽快していくことはなかった。これを週に2回行うようにし、数日効果ありという状態になった。しかしリバウンドが起こりはじめ、翌日に痛みが増強することもあった。

困り果てた私は、頚部硬膜外ブロック(0.5%キシロカイン5cc)をトライ。するとこれまでにないほど痛みが完全消失したという。しかも痛みは5~6日消失する。それ以降、毎週頚部硬膜外ブロックを行い、8回目で症状が完治した。約半年の治療で完治に導いた。


症例3 67歳女性

右目から右額にかけての重い激痛。2年前から出現。耳鼻咽喉科の有名なK病院で副鼻腔炎が原因と診断され手術を受けるが全く軽快しない。担当医に抗議するが「もうやることはない」と拒絶される。


治療経過

私は、痛みの原因が中枢性三叉神経痛と判断、上頚神経節ブロックを行う。しかし1日しか効果がない日が3か月間続く。この影響で本人は「やはり副鼻腔炎から来る痛み」と思い込み、私の治療もあきらめようとした。私は疼痛のグラフを書くことを命じ、上頚神経節ブロックで痛みが緩和されることを気付かせた。すると本人はようやく私が言う「中枢性三叉神経痛の痛み」が原因だと理解し、以降上頚神経節ブロックを週に1~2回定期的に行うようになった。すると痛みの98%が解消。劇的に痛みが改善した。その後は再燃傾向があったがその度にブロックを行い(数週間に1回)、発作の起こる回数どんどん減って行った。現在ブロックを行わなくても再燃時に項を温めることで痛みが消失するようになり、治療をほぼ終了した。


症例4 72歳女性

5年前より左右の下顎の歯茎の痛みあり。歯科医には「それは歯から来ているのではない」と言われ治療をあきらめていた。私の外来を受診し、上頚神経節ブロックを1回行ったが全く効果なし。頚部硬膜外ブロックを勧めるが「治ることをあきらめ」たのか、拒否される。上頚神経節ブロックが全く効果がなかった1例だった。


症例5 33歳男性

半年前から額からこめかみにかけて発作性のズキズキした痛みが起こるようになる。脳外科医にかかり三叉神経痛と診断されるが全く痛みはとれない。私の外来を受診し上頚神経節ブロックを行う。すると発作回数が3分の1に減り、発作時の痛みも2分の1となる。再燃傾向があるため隔週でブロックに通院中。現在も軽快傾向にあるが、再燃傾向もあるため治療をやめられない状態。


 

症例6 67歳女性

10歳ころより両側のこめかみにキーンとした頭痛が数分起こることが1日に数回あった。頭痛薬で様子を見ていた。症状はそのころからかわらず、67歳の現在も同様な症状がある。脳外科にも受診するが異常なしと言われ頭痛薬をもらうだけであった。H27.915.私の外来を受診。上頚神経節ブロック(1%キシロカイン2cc×両側)を隔週で4回行う。すると頭痛発作は2日に1回と劇的に減少、痛みの強さも半減した。ブロックをした当日は極めて深い熟睡ができる。


三叉神経痛には上頚神経節ブロックが極めて有効

上記のように三叉神経痛には上頚神経節ブロックが極めて有効であることが判明しました。ただし、上記の5症例は脳外科学会で三叉神経痛と認められるのは2例のみです。私の推測では症例4以外は中枢性三叉神経痛であると考えます。その理由は、「上頚神経節ブロックは末梢への直接のブロックではない」ことによります。中枢の三叉神経経路において感作があり、本部ロックでその感作が改善されたからこそこれほど劇的な症状改善となったと思われます。


脳外科学会が言うように末梢性の三叉神経痛には上頚神経節ブロック(交感神経節ブロック)には効果が低いと思われますが、5例中4例は著効しています。よって4例は中枢性三叉神経痛と判断します。しかし、1例は全く効果がなく、もしかすると症例4は末梢性三叉神経痛なのかもしれません。


上頚神経節ブロックはすべてに効果があるわけではありませんが、極めて効果が高いことが判明しました。また、私は古典的片頭痛の持病があり、本疾患に上頚神経節ブロックが極めて有効であることも自分の体で証明しています。つまり、本ブロックは原因不明の首から上の痛みに極めて有効であるといえます。


それらを三叉神経痛と言うか言わないかは私には興味がありません。治らない頭痛が治せることをこの記事を通して認識くださればそれで構いません。脳外科医が手術を用いて治せる頭痛のみを三叉神経痛と定義するのであれば、その限定した疾患だけは脳外科医に治療をおまかせします。しかし、三叉神経痛が少しでも疑わしければ、上頚神経節ブロックをまず受けてみるべきでしょう。手術は侵襲的、ならば、まずは上頚神経節ブロックを受けることをお勧めです。本治療法が広まれば、救われる人が大勢います。なにせ三叉神経が関与した痛みは一度味わうと恐怖で生きていられなくなるほど極めて辛い痛みだからです。


三叉神経痛に対する頚部硬膜外ブロックの効果

臨床的に三叉神経の関与した痛みに対し、上頚神経節ブロックと頚部硬膜外ブロックの効果を比較すると、頚部硬膜外ブロックの方が治療力が強いようです。それは患者の症状改善度から見てとれます。症例2がまさにその証拠となりますが、ここに掲載した症例以外でも同様の結果が導かれています。

 しかしながら、頚部硬膜外ブロックは「外来で行う手技」としては極めてリスクのある手技ですので、そのリスクを患者にムンテラした後に「頸部硬膜外ブロックを受けます」と言う患者は皆無に近いと言えます。もし、「ブロックを受ける」と言う患者がいたとすればそれはリスクの説明が不十分であることの証拠でしょう。私の外来の場合、患者たちは「私のブロック技術の高さを私の他のブロックを受けることで確信し、信頼関係が築かれた後に」ようやく患者が「そのブロックを受けてみたい」と言うようになります。信頼関係が築かれるには最低でも数か月必要です。そのくらい頸部硬膜外ブロックによる頭痛の治療は現実にそぐわないものです。不慣れな医師が見よう見まねでできる手技ではありません。


頭痛は脳外科医には治せない

残念ながら頭痛を手術で治すという発想は今世紀のみでしょう。来世紀の医学では「頭痛を外科的に治す」ということが残酷な過去の笑い話になっているはずです。異本的にほとんどの頭痛は外科的には治りません。しかし、その中で、末梢性の三叉神経痛、腫瘍や血腫・出血などによる頭痛のみが外科的に治療できる頭痛ということになります。臨床現場で起こる大部分の頭痛は「手術を必要としない」頭痛ですので、脳外科医にそれらを治すことは不可能です。私の言う「治す」とは根本的に原因箇所を改善させることを言うのであって、頭痛薬でごまかすことを言うのではありません。


真実を言えば、今のところ根本的に頭痛を治す方法は上頚神経節ブロックがもっとも安全かつ有効と思われます。しかし、本ブロックを流通させるためには様々な障害があるでしょう。まず、先に世界で広がらなければ、日本人医師たちは「認めない」でしょう。また、他の医師たちが安全に上頚神経節ブロックができるか?もわかりません。


さらに難治性の頭痛には頸部硬膜外ブロックが極めて有効であるという確信がありますが、これを広く世間一般的に立証することは「頸部硬膜外ブロックのリスク」を考えるとなかなか難しいでしょう。

ただ、これを読む「死ぬほど頭痛に苦しむ人々」に、「ブロックで治せないこともない」ことを知って頂ければ、一筋の光明として役立つと思います。

神経ブロック後の疼痛増悪に厳重注意(SJS体質)

2017年治療成績

はじめに

神経ブロックは主に痛みを遮断する目的でおこなわれます。しかしマレに神経ブロックで痛み・しびれ・まひなどが増強してしまう例があります。それはリバウンドとは違い、後遺症をも引き起こす可能性がある忌まわしき疾患です。症状はブロック後数十分で発現し、それが数日から数か月に渡って治らず、運悪く後遺症となる場合もあります。おそらく注射薬剤に患者の免疫が即時に過剰に反応し局所に急性の炎症を起こしてしまうことが原因だと思われますが、こうした病態はこれまでの臨床医学では全く認識されていませんでした。


普通なら即時の急性炎症は薬剤が拡散するにつれて鎮静化に向かいますが、神経根ブロックでは炎症が神経根に起こり、さらに椎間孔が変形して狭小化している場合、その狭いトンネルの中で起った炎症性の浮腫は神経根の血行不良を招き、炎症が遷延すると思われます。よって痛みが後遺症として残ったり、麻痺が長期間残ったりすると推測しています。


ブロックを行う医師は注射した薬剤が引き金となって後遺症を残すほどの炎症が起こることなど、想像もしませんのでブロック直後に痛みが増強した患者を見ても「あり得ないこと」「心因性のもの」と受け取るものです。しかし、神経ブロック後に疼痛やしびれが増強したとなると医療訴訟に発展する可能性が高く、いちはやく原因を究明しブロックを行う医師たちに注意を喚起しなければなりません。そのためにはこうした稀な症例に新たな病名をつけ、広く知らしめる必要があります。ここでは仮に「薬剤過敏性神経炎」と名付けておきます。


症例1 22歳F

2年前より、頭痛、頸部痛、両上肢帯痛、背部痛に悩まされ整形外科や鍼灸などを受診するが全く改善しない。線維筋痛症と診断されていたがうつ病で心療内科にも通院していた。親にすすめられて私の外来を受診する。左右の第7頚神経根に対して傍神経根ブロック(1%キシロカイン2㏄)を行う(傍神経根ブロックとは直接神経根を刺すことなく、神経根の近傍に薬剤を注入する侵襲性が極めて少ないブロック)。ブロック後数十分で激しい痛みを訴え激怒。その後両親に話しを伺うと「薬剤に過敏性のあるデリケートな体質」であることをきく。その後の経過は不明。


症例2 50歳F

普段から頚痛や後頭部痛があったが、昨日より激しい左頸部痛・左後頭部痛が起こり、首が回らないという状態で私の外来を受診。左第7頚神経根に対して傍神経根ブロック(1%キシロカイン2㏄)を行う。直後からC7エリアに痺れが出現し痛みが治まった。しかし数時間後、麻酔の効果が切れると痛みがC7エリア全体に広がった。痛みは軽快しないまま1週間経過し、後頭部の痛みが徐々に強くなったため私の外来を受診。今度は後頭部の痛みを治療目的で左C3に傍神経根ブロックを行う。しかし痛みは軽快せず、50分後には痛みが倍化し、左耳の奥に痛みが出現した。さらに首が動かせなくなる。その後は頭痛薬を用い入浴などで痛みを20%まで軽快させた。しかし、左耳の奥の痛み(注射によって新たに加わった痛み)はやや残存している。


この症例は別件で坐骨神経痛の治療として腰部硬膜外ブロック(0.5%キシロカイン5cc)を行ったがその際は何事もなかった。話をきくと、鼻炎の薬で強い頭痛が起こった経験、ビタミンEで吐き気や嘔吐が出現した経験、引っ越した後に顔や首に皮膚炎が出現した経験など、過敏体質があることをきく。


ブロック後に痛みが増強した病態生理

注射に用いた薬剤はいずれも1%キシロカイン2㏄のみです。薬剤は神経根付近に注入しますが、直接神経根を刺しません。上記の例はいずれもブロック後に神経根炎が増悪したと思われます。つまりキシロカインという薬剤が神経根の炎症を増幅させたと考えます。注射して数十分から数時間はキシロカインの局所麻酔作用で痛みが軽快しますが、キシロカインの効果が切れると同時に痛みが増悪しました。痛みが増悪した理由として注入した薬剤が局所に炎症反応を引き起こし、神経根の炎症をさらに悪化させたことによると推測しました。2例とも蕁麻疹などの出現はなく、局所的な即時アレルギーが原因と思われました。このような「ブロック注射直後に痛みが増加した」 例は自験例では2例のみであり非常にマレと思われます。2例には薬剤に対する過敏性があり、因果関係があると思われます。


薬剤アレルギーの存在をブロック前に知ることは困難

発症の可能性が事前にわかっていれば、このような疼痛増強を防ぐことができるでしょう。しかしそれはかなり難しいでしょう。症例2では別件で硬膜外ブロックを行っていますが、その際はキシロカインを用いても悪しき反応は全く認められませんでした。反応が認められなかった理由として硬膜外ブロックの際の薬剤の濃度が半分だった、硬膜外スペースという神経根にダイレクトには届かない場所だったためかもしれません。また、薬剤アレルギーとはいうもの、それが浸透圧によるアレルギーなのか? pHによるものか? 特定の塩基に反応したものか? などが不明です。浸透圧やpHによるものだったとしたら、パッチテストなどで陽性になることはありません。また、特定の薬剤によるアレルギーであったとしても、そのアレルギーは濃度や量に依存しているのかいないのか? で性質がかわります。濃度や量が少なければ反応しないタイプであったとすれば、少量使用では症状が出ないでしょう。アレルギー反応は現医学ではほとんど解明されていない段階ですから、既知の知識で考察したり診断したりすると、それらは誤診を生みます。よって症状が起こるかどうかをブロック施行前に把握することはかなり困難でしょう。


薬剤過敏性神経炎と患者の体質

薬剤を注入した部分に強い炎症が起こるという病態は「誰にでも起こる」わけでは決してありません。患者の根底には薬剤に過敏に反応する免疫体質があるはずです(多くは先天的)。しかしながらこの異常免疫体質は現代医学では病名がつくことはありません。SLEやリウマチなどの膠原病患者の一部にこのような免疫異常の方が含まれると思われますが、逆に本体質をもつ方が膠原病の診断をつけられることはほとんどないと思われます。


本症は薬剤による即時アレルギーでありながらIgEが関与しないタイプと思われ、現医学では全く解明されていない免疫反応と言ってよいでしょう。例えばインフルエンザの注射後に注射した部分がパンパンに腫れる方がいますが、そういう人が本疾患の特異体質を潜在的に持っていると思われます。


本症はスティーブン・ジョンソン症候群と同じカテゴリー

薬剤過敏性神経炎はおそらくスティーブン・ジョンソン症候群(以下SJS)とほぼ同じ病態と推測します。神経ブロックではキシロカインなどの局所麻酔薬が引き金となりますが、おそらく全ての薬剤の局所注射が原因となりうると思われます。SJSはその免疫学的な仕組みが全く解明されていませんので使用薬剤の量や濃度に依存するのか? 皮内テストは予防に有効なのか? など全く不明です。


SJSの診断基準

 1) 概念

発熱を伴う口唇、眼結膜、外陰部などの皮膚粘膜移行部における重症の粘膜疹および皮膚の紅斑で、 しばしば 水疱、表皮剥離などの表皮の壊死性障害を認める. 原因の多くは、医薬品である。

2) 主要所見(必須)

① 皮膚粘膜移行部の重篤な粘膜病変(出血性あるいは充血性)がみられること。

② しばしば認められるびらんもしくは水疱は、体表面積の10%未満であること。

③ 発熱。

3) 副所見

④ 疹は非典型的ターゲット状多形紅斑。

⑤ 眼症状は眼表面上皮欠損と偽膜形成のどちらか、あるいは両方を伴う両眼性の急性角結膜炎。

⑥ 病理組織学的に、表皮の壊死性変化を認める。


SJSは皮膚症状・眼症状・呼吸器症状・消化器症状などがありますが、皮膚症状は診断基準の必須項目ですので、皮膚症状が極めて軽い場合はSJSが見逃されてしまいます。SJSの病態生理が解明されていれば、皮膚症状がなかったとしても、「皮膚症状のないSJS」と診断がつけることができますが、現医学水準ではそれができません。よってSJSの診断基準は臨床的には意味がなく、今のところ患者を救済するための制度適用ラインでしかありません。


万一SJSの呼吸器症状や消化器症状がメインのタイプが発症した場合「原因不明の咳」「原因不明の下痢」などと言われるだけです。そして上記の2例も一種のSJSであると推測します。キシロカインが速やかに分解されるために皮膚症状が出る前の状態で終息するSJSであると推測します。この考え方が正しいかどうかは現時点では判明しませんが、このように考えて行くことで免疫学は発展すると思います。


物理刺激によるSJS

またニコルスキー現症のように皮膚をひっかくという物理的刺激が免疫反応の引き金となるパターンもあることから、体内のアレルギーは薬剤だけに反応するのではなく、薬剤の圧力、浸透圧やph、温度などの物理刺激が引き金となるパターンがあると考えます(既知の免疫学では考察できていない)。


浸透圧や薬剤の水圧、phによる刺激で炎症が起こるという反応は、健全な人でも普通に見られることですからこれを病的と定義することはできません。しかし、炎症反応の強さは個々によって異なるわけですから、炎症反応が強く出るタイプの人をSJS体質と定義してもいいでしょう。ですが、SJS体質とノーマル体質の線引きは不可能です。


なぜなら、症状が出るか出ないか?は炎症反応の強さに依存しているわけではなく、肉体のコンディションに依存することが多いからです。たとえば、頸椎の変形が強く、椎間孔が極めて狭窄しているというコンディションの人は、神経根にわずかな炎症が起こっただけで神経根の阻血→運動麻痺という症状が出てしまいます。この場合、SJS体質が症状を起こしたのではなく、椎間孔狭窄というコンディションがもっとも大きな原因となっているからです。


逆に言えばSJS体質の人でさえ、健康コンディションが良い時は何も起こらないのです。ただし、SJS体質の人は明らかに健常人よりは症状が出る確率が高くなります。ここでは薬剤の物理刺激で発症するタイプのSJS体質がある可能性を頭に入れておきます。私は臨床的に神経根ブロックで実際に麻痺が出現した例を経験しており、「神経脆弱状態での神経損傷について」が大変参考になると思います。


SJS体質と歯科医の局所麻酔

歯科医では歯の麻酔でのトラブルが日常茶飯事ですが、歯科医はそうしたトラブルに巻き込まれないためにも以下の文を読んでいただきたいと思います。侵襲的ではない歯の治療で表面麻酔薬を使った際に、顔が著しく変形するほどに歯茎や頬が腫れる方がマレにいます。これらはまさにSJS体質が原因となっていると思われます。おそらく表面麻酔薬に対するSJSです。しかし誰もその存在を知らないために臨床現場でかなりのトラブルをひきおこしていると推測されます。


つまり局所麻酔薬に対する過敏なアレルギー反応なのですが、それが現在認識されているⅠからⅣのどのタイプにも属さない未解明のアレルギー反応であるため、説明がつけられない状態です。局所におこるSJSではアナフィラキシーも起こりませんし、Ⅰ型アレルギーのように蕁麻疹も出ません。よって患者は歯科医の技術が下手であるために顔が腫れあがったと誤解するでしょう。実際の原因は本人のSJS体質にあるわけです。その誤解を解くための論文さえ世界には存在しません。唯一本論文が誤解を解くカギになりますのでどうかご利用、そして研究の材料にしてください。


SJSと帯状疱疹後遺症

SJSが帯状疱疹ウイルスや肝炎ウイルスなどの感染がきっかけで発症するタイプであった場合、患者は悲劇的な運命をたどるでしょう。ウイルスはほぼ一生体内から消えてなくならないからです。恐らくSJSは量依存であり(量に依存しないタイプのものあるかもしれません)、炎症反応とアレルゲンの量が二次関数の関係にあると推測します。なぜなら、ウイルスが増殖すればそれだけで炎症反応が1次関数的に上昇しますが、そこにSJSの過剰免疫反応が加わるわけですから、炎症反応が二次関数的になると思われます。


さて、帯状疱疹ウイルスが原因で生じるSJSの場合、ウイルスは増殖していないにもかかわらずアレルギー反応により局所に炎症が起こり続ける可能性があります。局所のごく小さな炎症ですからCRPは陽性になりません。Bリンパ球でさえ局所の炎症では異常増加しません。よって検査データでは正常なのに局所に炎症が起こり続けることがあると推測します。これが神経根に起これば、非常に不快な痛みが半永久的に起こり続けるでしょう。アロディニアの原因にもなります。炎症は当然ながら浮腫を発生させますから、椎間孔が狭小化している患者では神経根の浮腫により神経根の栄養血管が浮腫の圧力で扁平化し、阻血状態に陥ります。これが神経麻痺の原因になると考えます。


帯状疱疹後遺症による神経痛はSJSの一種である可能性を私は唱えます。そして不幸にも椎間孔の狭窄があると炎症性浮腫に陥った神経根は阻血により運動神経が損傷し麻痺も出現すると考えます。さらに、帯状疱疹ウイルスにアレルギー反応を持つ患者が、局所麻酔薬にもアレルギー反応を示す場合、疼痛治療を行うことで助長することが起こり得るでしょう。


帯状疱疹後神経痛の治療では局所麻酔薬を用いてさかんに疼痛除去を行うことが普通です。痛みが耐え難いものだからです。疼痛を除去するために神経根を目指して局所麻酔剤を入れるのですが、その薬剤がさらに炎症を引き起こすかもしれません。私は実際に、帯状疱疹による神経痛を除去する目的で傍神経根ブロックを1%キシロカインを用いて行ったところ、麻痺が出現した症例を経験しました。その経験が本論文を書くきっかけとなりました。


SJS体質と腱断裂

薬剤注入がきっかけで起こるアレルギー反応から細胞壊死が起こることはマレではありますが存在するでしょう。ばね指など腱鞘炎の治療にしばしばステロイドを用いますが、用いるステロイドによっては局所にSJSが起こり得ると思われます。人間だけでなく動物でも同じで、動物実験でステロイドを腱に注射し、腱を壊死させることを立証している学者もいます。


SJS体質の患者ではステロイドに限らず、種々の薬剤注射で局所に炎症が起こる可能性があり、注意が必要です。まさか医者も患者もSJS体質が腱断裂の原因になっているとは誰も想像しないでしょうから「ステロイドで腱が切れる」という極論が世に回ってしまっていると推測します。ステロイドは体内から分泌されているものですから、ステロイドで腱が壊死するという言い回しは極論であることに気づいてほしいと思います。


もしも、真にSJS体質がある場合、おそらくステロイド注射後に注射部位が腫れて熱を持つという現象が起こるでしょう。腱断裂を注意するにはそうした現象に留意する必要があると思われます。腫れと熱が発症するようなら、それ以上使用しなければ腱断裂にまで発展することはまずないでしょう。


SJS体質の不運と皮肉

今のところSJSを治療する有力な方法はステロイド投薬です。しかし、合成的に作ったステロイドは異物であるためアレルギー反応を起こし、投薬したステロイドでさらなるSJSが起こることを想定しなければなりません。もともとSJS体質の人はどんな薬剤を用いてもアレルギー反応を起こす可能性が高いのですから、ステロイドを投薬してもSJSが起こる確率は普通の人より高いと言えます。SJSの治療薬でSJSを起こすとは何たる皮肉でしょう。


最後に

この論文を読む人は世界で一体何人でしょう。何人の医師がこれを読んでSJSに注意を促すでしょう? 本論文は全て推論であり根拠や証拠に非常に乏しいものです。信じる価値はが高くても、信用度は低いものです。もちろん免疫学が進展し、SJSのアレルギー反応様式が解明されれば、証拠が出せるでしょう。しかし、免疫学は現医学においてもっとも後退している分野です。解明までには数百年を要するのではないでしょうか? しかし、医者にとっても患者にとっても不幸な医療事故を起こさないために、こうして推論のまま文章にしました。真実を見つめる医師によって広まればいいのですが・・・。

 

 

 

耳鳴り治療法完成報告(上頚神経節ブロック)

2017年治療成績

耳鳴り治療の現状

耳鳴り治療は現医学(西洋医学)においては1、補聴器で音を紛らわす、2、慣れさせる、3、ステロイドパルス療法などがあります。1と2は治療ではない姑息的手段。3においては副作用が強すぎる上に治癒率が高くないため、推奨されない治療となっており、現実的には西洋医学では世界的に耳鳴りの「治療法がない」状態です。

一方、東洋医学ではその隙間を突くように鍼灸、マッサージなどで西洋医学では治せない耳鳴りを治す種々の工夫がなされ、治癒実績を作っているようです。それらの実績は不確実ですが、西洋医学では耳鳴り治療は無力に近いため、実際の効果は東洋医学に分があります。よって針灸、マッサージなどでは法外な料金設定にしても経営が成り立っています。そういう状況を作っているのは西洋医学の耳鳴り治療の無力さであり、一刻も早く西洋医学としての耳鳴り治療を完成させる必要がありました。

ようやく私は西洋医学として、上頚神経節ブロックという確実性の高い治療法を完成させることができましたので報告します。本治療法が世間に普及すれば12万人と言われる耳鳴り患者たちをより確実に救うことができるでしょう。


現在患者様のご厚意により上頚神経節ブロックの体験ブログを書いていただいております。参考にしてみてください。


突発性難聴の1例→こちらをクリック


耳鳴りの1例→こちらをクリック


上頚神経節ブロックの治療成績→こちらをクリック


上頚神経節ブロックの耳鳴り治療機序

耳鳴りの原因は「脳の中で回路のように出来た悪循環」などと言われていますが、その原因解明は現代医学においてまだ未解明です。恐らく原因は一つではなく、内耳神経(聴神経)によるものや脳の聴覚野に原因があるもの、その両方など、複雑な病因が絡み合っていると思われます。

根本的な治療としては不具合を起こしている神経細胞への栄養血管を拡張させて血流増加を計り、神経の修復・再生を促すことです。本ブロックは最頭位にある交感神経節をブロックすることで内耳神経や脳(聴覚野)への血流を増加させ、自然治癒能力を高め、異常を改善させる方法であり、姑息的な治療法ではなく根治療法です。


上頚神経節ブロックとは

体にある交感神経節の中で最上位(最頭側)の神経節です。ここを表面麻酔剤でブロックさせることで延髄・脳幹・脳への動脈を開大させ、血流量を上げる治療法です(詳しい手技・副作用は「上頚神経節ブロックの概要」「上頚神経節ブロック手技」を参照ください。本ブロックには副反応や合併症が多少あります。それらは生命にかかわる重篤なものはないものの治療に際しては注意が必要です。その注意点は「上頚神経節ブロックの作用・副作用」に掲載してあります。


上頚神経節ブロックによる耳鳴り治療成績

H27.4~H27.10の半年間で私の診療所で行った耳鳴り治療者数は7名。うち1名は耳鳴りがほとんど治癒せず中止。他6名は満足がいけるほどに著しく改善しており、治療成功率は85.7%でした。以下にその7名の治療経過を報告します。


症例1 79F 2週間前から両耳に高い耳鳴り音が出現。静かなところで気にかかる。1日に数回、1回1分間程度起こる。H27.7.18.に上頚神経節ブロック(以下ブロック)を行い、それ以来耳鳴りはほぼ起こらなくなった。H27.10.17.耳鳴りが再燃したため再度ブロック。耳鳴りが鳴り止む。


症例2 77F 10年前から左>右耳鳴りあり。H27.8.20.ブロック行う。直後から耳鳴りは低下したが数日後に再燃。それ以降毎週1回ブロックを行い7回目で右耳なりはほとんど聞こえなくなる。しかし左耳鳴りが少し残る。今後は左耳鳴りが治るまで治療を継続する予定。


症例3 78F 10ヶ月前より耳鳴り出現。H27.4.14ブロックを行うとその直後から耳鳴りが完全に消失。翌日には少し聞こえるようになるが半分以下になる。1週後には耳鳴りがアップする。週1回治療の6回目にはブロック後耳鳴りがアップした。7回目もブロック後数日耳鳴りアップ。しかしその後は半分以下となり効果が持続。治療の副作用と思われる不整脈(動悸)が出現したためブロックを中止した。中止後は動悸が起こらなくなる。


症例4 50F 30代より右耳鳴り・難聴・めまいがある。耳鳴り治療専門の鍼灸を数軒まわり、難聴治療でもあらゆる治療法を試すが全く改善しない。H27.4.11よりブロック開始。2回目で耳鳴り音の音程が変化する。が、ブロック後に耳閉感が出現する。しかしめまいは1日軽快した。2週に1度のブロックを10回行いオージオグラムで高音域が5dB改善。耳鳴りは少し軽快したのみ。これで一旦治療を終了。


症例5 85M 3年前より 左>右耳鳴り めまい 左耳難聴あり。H27.7.9.よりブロック開始。1回目ブロック後から右耳鳴りはかなり小さくなる。が左耳鳴りは軽快しない。10回目で右耳鳴りはほとんど消失。めまいも8割改善。左耳の聞こえがよくなる。左耳鳴りは少ししか軽快しない。現在治療中。


症例6 55F 20年前から左耳鳴り、めまいあり。H27.6.25.に1回目のブロック、その後1週間完全に耳鳴り消失。2回目ブロック後から耳鳴りはほぼ消失し、月に1回起こる程度となり終了。めまいも月に1回となった。


症例7 74F 半年前より左耳鳴りが出現。徐々に音量がアップしてきた。ブロックをH27.6.2.より開始。4回目で耳鳴りが少し小さくなったのを自覚。8回目で耳鳴りがかなり小さくなり、そのまま持続。よって治療終了。


耳鳴り治療が奏効しない例

私は開業以前に耳鳴り治療が無効だった例を3例経験しました。数十例治療し、数十例の耳鳴りを軽快させた中の無効3例ですから、やはり無効率は10~15%と思われます。ここでは無効例を以下に挙げます。


症例1 56F 10年以上前から「セミが24時間大合唱」という両耳鳴り。週に1回の上頚神経節ブロックで「午前中は耳鳴りがほとんど聞こえない」というレベルにまで軽快させた(ほぼ毎週の治療を1.5年間行った)。しかし、ある日突然、上肢下肢の脱力が出現し、ホットフラッシュ、頭痛、吐き気、めまい、動悸、視力低下(かすみ目)などが起こる。その日を境に耳鳴りが増悪。それ以来、上頚神経節ブロックを何度行っても一切耳鳴りが静まらなくなった。


症例2 41F 4年前から三叉神経痛、自律神経失調症、上下肢の脱力の出現と共に耳鳴り出現。起床時と入浴時に耳鳴りが強くなるという症状を繰り返す。上頚神経節ブロック後に一時的に数時間だが耳鳴りがかなり軽快する。しかし入浴した際に耳鳴りが上昇するということを繰り返し、全体的な耳鳴り低下効果は得られなかった。週に数回の上頚神経節ブロックを数年間継続した例。


症例3 54M 左耳難聴+耳鳴り、頭重感 数年前から耳鳴り。耳鳴り治療で有名なあらゆる病院、鍼灸などをめぐったが一切軽快せず。週1回の上頚神経節ブロックを行うと、その時一瞬耳鳴りが鳴りやむことがあったが結果的に全く無効。それでも上頚神経節ブロックで頭重感が軽快するという恩恵があったため約1年間継続したが、結局全く軽快しないまま治療を中止。


ブロック無効の耳鳴りの特徴

ブロックが効果を発揮しにくい耳鳴りがあることを治療前から認識しておくことは重要です。データが少ないので研究の余地がありますが、現時点で治り難い耳鳴りの特徴をあげておきます(推測)。

  1. 耳鳴りの音量に変化がない
  2. 入浴などで耳鳴りが増大する
  3. ブロック直後に耳鳴りの音量低下がない
  4. これにあてはまる場合、耳鳴り治療が奏効しない可能性が高くなると推測します。あくまで可能性なので実施してみないと判明しませんが、治療前にこのことは医師も患者も認識しておく必要がありそうです。

耳鳴りの作用機序は一つではない

上記3例の「耳鳴り治療無効例」を考察しますと、上頚神経節ブロックで脳幹の血流量を上昇させても「効果が全く出ない耳鳴り」「効果が一時的にしか出ない耳鳴り」「ある日突然効果がなくなる耳鳴り」など、無効例にも異なるパターンがあることがわかります。このような「耳鳴り治療無効例」は私の経験上10~15%に認められました。症例2では入浴という「一般的には血流が上昇する行動」で耳鳴りが上昇しており、この耳鳴りは他の「上頚神経節ブロックで軽快した耳鳴り」とは作用機序が異なると思われます。

作用機序が異なる耳鳴りが存在することは、私のように実際に耳鳴りを軽快させることのできる治療を行って初めて理解できることです。よって耳鳴りを根治させることが不可能な現西洋医学レベルでは、耳鳴りに「異なる作用機序のものがある」ことは知られていないことが露見します。世界の耳鼻咽喉科医師がこのことを認め、真摯に耳鳴り研究に励んでくださることを期待しています。


耳鳴り治療の実用性

私は上頚神経節ブロックで耳鳴りを根本治療できることをここ数年間で証明してきました。ただし、耳鳴りは主観的なものなので客観的に数量化できないので、そんなものは証明にならないと否定していただいても構いません。患者にとって重要なことは症状の軽快であり、患者は数量化に興味などあるはずがありません。私は患者を救うために治療を開発しており、証明して名を上げるために開発しているわけではありません。


さて、上頚神経節ブロックは私が開発し安全性を研究し実用化させましたが、現在、上頚神経節ブロックができる医師はおらず、一般的には「星状神経節ブロック」が耳鳴りは効果があると言われています。ただし、それは頑固な肩こりなどで星状神経節ブロック治療を受けていた患者が「偶然にも耳鳴りが軽快した」場合です。つまり「耳鳴りを治す」という目的で星状神経節ブロックを受けに通院する患者はほとんどいません。その理由は星状神経節ブロックのリスクや恐怖が「耳鳴りが治るかもしれない」という期待値を上回るからです。


私は上頚神経節ブロックという「治る期待値が高い」治療を開発し、それは本ブロックで起こる合併症などのリスクを低くすることができた上で、ようやくこの治療に実用性を与えることができました。つまり星状神経節ブロックではなしえなかった耳鳴り治療を、上頚神経節ブロックの開発で成しえるようになったと言えます。

一方、東洋医学の針灸。マッサージなどは治療の確実性は星状神経節ブロックよりも劣ると思われますが、リスクが極めて少ないため実用性が高かった。それゆえ現在も法外な値段設定で東洋医学で耳鳴り治療が行われているという事実があります。


上頚神経節ブロックが世界に広がれば、耳鳴り治療は西洋医学で「普通に治せる疾患」となります。しかし、そこには問題があります。私は上頚神経節ブロックを安全に行える技術を確立させましたが、他の医師が私の技術を模倣した時に安全にできるかどうか?が問われるからです。しかし、そういうデメリットはあるとしても、上頚神経節ブロックは現存する耳鳴り治療の中でもっとも根治率の高い治療法ですから、耳鼻科医たちは勇気を持って模倣していっていただきたいと願っています。


ただし、耳鳴り治療として上頚神経節ブロックが世に広まるためには次のような難題をクリアしなければなりません。万一、ブロックミスで患者に後遺症を残した場合、その責任を負うリスクと、治療で得られる報酬のバランスにおいて、報酬の方が上にならなければこの治療法は医師の間に普及しないという現実問題です。厚生労働省がこの治療法を認めたとしても、上頚神経節ブロックが安い値段設定にされてしまえば、本ブロックは日本には普及しません。よってどんなに優れた治療法であっても厚生労働省の値段設定次第で治療法が日本に広まらないでしょう。リスクは医師が修行することで減らすことはできますが、リスクをへらして修行しても、報酬が少なくて赤字経営になってしまうようでは、誰が耳鳴り治療を行うというのでしょう。


そうなると耳鳴り治療は西洋医学という「報酬を重視する医学」では発展しないという運命にあります。残された方法として上頚神経節ブロックを自費治療とし、高額な料金設定とすることです。高額とはいうものの、現存する東洋医学の料金設定と同じくらいにすれば無理がないと思います。1回のブロック治療で1万円前後が適正かもしれません。このようなお金の問題とリスクの問題をクリアできて初めて治療法が日本に広まります。


まあ、私は報酬を無視して治療をしてきましたのでこのように耳鳴り治療を完成させることができました。ただし、上述したように、「上頚神経節ブロックでは治せない耳鳴り」があることは確かです。治せない耳鳴りが治せるようになるためには、まず上頚神経節ブロックが普及し、その研究を発展させていくことでしょう。そうなるにはまだ数百年はかかるかもしれません。


他の医師たちが本治療を実用化させるにはもう少し時間がかかりそうですが、興味のある耳鼻科医は私の元へ研修に来られることをおすすめします。まあ、耳鼻咽喉科はそのような研究をしなくても、常に外来は混雑し経済的に潤っているでしょう。よって、私の元へ耳鳴り治療を学びに来る必要性はあまりないかもしれません。さらに耳鳴りや難聴、めまい治療を耳鼻咽喉科医ではない私のところに学びに来ることは、極めて屈辱的と思われます。その屈辱を乗り越えられる先生方がおられることを願います。

原因不明の胃部不快・便秘の治療法(胸部硬膜外ブロック)

2017年治療成績

原因不明の胃部不快の治療法

はじめに

胃カメラをはじめどんな検査を行っても異常が出ない胃部(胃腸)不快感というものが実は日常茶飯事に存在する。患者は未発見の癌があるのではないかと不安になり、消化器科の医師を何軒もめぐることになり、数多くの検査を受けるが、それでも異常はみつからない。そして胃薬を継続的に処方されるのみで経過観察になるという患者が全国に多数存在すると思われる。そうした患者の病因は脊髄(自律神経)にあると推測の下、当診療所では胸部硬膜外ブロックという「極めて特殊な治療」を行っている。するとあまりにも劇的に症状が軽快しその後再発もしない。よって消化器の不調には脊髄由来の病態があると確信する。しかし現医学にはそうした病態に診断名がない状態であるため治療も診断もできない状況にある。そして高齢者の原因不明の食欲不振の原因に脊髄由来のものが多々あると確信する。高齢者の食欲不振の治療法として胸部硬膜外ブロックが普及すれば、経腸栄養などの処置を回避できる可能性が高く、超高齢者医療に大きく貢献できる。この状況を消化器科の医師たちにすこしでも早く知っていただくために本論文を公表するに至る。


症例1 74F

数年前より心窩部痛と胃部不快があり「胃がチクチクする」とのこと。近医で胃カメラを行うも毎回異常なしと言われ、胃酸を抑える内服薬をもらっていた。しかし胃のチクチクは治らない。そこで今回胃の不快な痛みの治療を目的として胸椎3/4の高さより胸部硬膜外ブロック(0.5%キシロカイン5cc)を行う。


治療結果

数年間継続した胃のチクチクが一度の胸部硬膜外ブロック(0.5%キシロカイン5cc)で軽快(完治)した。


症例2 49M

3年前より心窩部のコリのようなものが出現。吐き気が頻繁に起こるようになる。消化器内科医を数箇所周り、胃カメラや超音波、MRIなどを行うが検査では全く異常なし。当院では原因不明の両上下肢脱力の治療目的に(胃部不快を治すことが目的ではなかった)T3/4より胸部硬膜外ブロックを行う。


治療結果

2度の胸部硬膜外ブロックで心窩部のコリがほぼ消失した。


症例3 76F

10年前から頑固な便秘症あり、2週間前より便通が数回しかなく、胃のむかむかで食欲不振となる。近医で胃カメラを行うが「異常なし」と言われH2ブロッカーを処方されるが全く効果がなかった。同時に背部痛があったため、胃のむかむかと背部痛の同時治療目的でT3/4より胸部硬膜外ブロック(0.5%キシロカイン5cc)を行う。


治療結果

ブロックの翌日10年間一度も経験したことがなかった下痢が起こった。そして胃部不快は消失し食欲が戻った。その後、便秘は起こりにくくなった。


考察1:自律神経由来の内臓不調

これまでの医学理論にないシステムとして「自律神経(交感・副交感神経)の不調により消化器の動きが反応鈍化、または過活動となる病態」があると推測する。それはすでに私が過活動性膀胱の患者を仙骨部硬膜外ブロックで多数治癒させてきた実績から逆算し、当然推測可能なことだった。過活動性膀胱の場合、尿意異常の原因はS2,3,4にあると思われ、実際に仙骨部硬膜外ブロックを行うと症状の多くは軽快した。同様に下痢症状が強く外出ができないと悩んでいた87歳の女性の場合、仙骨部硬膜外ブロックで下痢が起こりにくくなるようにすることができた(過敏性腸症のブログ参)。


こうした直腸膀胱の不調治療の実績から考察すると、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、腎臓、膵臓、脾臓、卵巣、子宮など、内臓の機能不全もまた、交感神経や迷走神経由来のものが必ず存在すると推定していた。自律神経由来の内臓の機能不全が全体の何割を占めるのかは全く未知数であるが、少なくとも様々な検査で「異常なし」とされていながら症状が継続する場合はこの自律神経異常が原因なのではないかと推測しても不自然ではない。ただし、直腸・膀胱以外の内臓に分布する迷走神経は脊髄を通らない。そこで、脊髄由来の内臓の不調は交感神経に原因があることを私は予想していた。よって胸髄への治療アプローチは、これまで治せなかった臓器疾患を治すことができる可能性を秘めいている。


考察2:胸部硬膜外ブロックの消化器への効果

胸部のT3/4にブロックをする理由は、この付近で胸椎が後彎となっており、テンションが高い脊髄の場合、この付近で脊柱管の前壁と硬膜の後壁から強い圧力(サンドイッチ)を受けると思われ、胸髄の血行障害が存在すると推測されるからである。脊髄が胸部の脊柱管前壁と硬膜によって圧迫を受ける場合、交感神経だけが障害を受けることはむしろ不自然であり、運動神経や知覚神経も障害されてもおかしくない。それを示唆するかの如く、症例1では両下肢の灼熱感があり、症例2では上肢と下肢の脱力があり、症例3では腰痛と臀部痛が強く、両足底にしびれがあり、全例で胃部不快以外に腰・下肢に何らかの異常を併発していた。交感神経に異常を来すほどの圧迫原因が胸椎にあるとすれば、当然ながらその下位にある神経にも異常を来しても何の不思議もない。しかも、おもしろいことに、彼らの腰・下肢症状には腰部硬膜外ブロックがほとんど無効であった。つまり、腰・下肢の不具合の原因が腰にはなく、胸椎レベルにあると考えられることが大変興味深い(この現象は「2次ニューロン性腰痛」のブログで述べている)。


胸椎の後弯カーブで脊髄が硬膜によって圧迫される仕組みはすでに「脊髄・脊椎不適合症候群」のところで述べているのでそちらを参照してほしい。この仕組みは硬膜が下方に強く引っ張られることで生じる圧迫なので、ヘルニアや脊柱管狭窄などの所見がない。あるのは胸髄の前後径の狭小化である。よってMRIで検査したところで、一見異常は全くないように見える。だからMRI検査でも異常なしと言われてしまい、原因は心因性とされてしまう傾向にある。だが実際には上部消化管を支配する交感神経の不調によって症状が出ていると考えるに至る。


考察3:なぜ胸部硬膜外ブロックで治る?

私は原因不明の上部消化管の不調を胸部硬膜外ブロックで治すことはできるが、「なぜ治るのか?」はわからない。それは現医学では解明されていない。交感神経・副交感神経の単純な役割でさえはっきり判明していない。

例えば、医学書的には交感神経優位であると腸の動きは停滞し、副交感神経が強く働くと腸が動き便通がよくなると言われているが、人は極度の緊張状態で「交感神経が極限に興奮する」状態となると、腸の動きが活発化して下痢をし、脱糞する。尿も漏らす。そうした「私たち人間に普通に起こる現象」でさえ、現医学では説明をつけられない状態である。よって、私ごときに胃部不快や強烈な便秘が「胸部硬膜外ブロックでなぜ治るのか?」が説明できるはずがない。


よって治る理由は推測となるが、「硬膜外ブロックは注射した周囲の高さから出る交感神経の枝をブロックし、注射した一帯の高さの平滑筋を緩め、胸髄の血流を促すことであろう。この現象が血行不良で不調となった胸髄の交感神経の経路を改善させ、治療効果が出る」のではないかと考える。


症例3では10年前からの頑固な便秘が、ブロック後は下痢となった理由が全く分からない。この患者は10年間、一度も下痢した経験がなかった。しかし、ブロック後にトイレに何度も行くほどの強烈な下痢となった。こうした治療は言うなれば奇蹟に近いものであり理由などわかるはずがない。


ただし、「奇蹟」と言ってしまうと誰も信じなくなるので、同様な症例を全国から集め、奇蹟と言わせないだけの治療実績を今後提示すればよいだろう。現時点でこのようなあいまいな論文を書く理由は症例を集めるためである。症例数が集まれば、他の医師たちも「原因究明に動き出さざるを得なくなる。動き出せば医学が進歩する。


終わりに

自律神経由来、脊髄由来の内臓不調があることを広く世間に知らしめなければならない。治療法はほぼ確立しているのだから。よって早急に脊髄由来の内臓不調の診断基準を作っていかなければならない。診断名も定めなければならない。しかし、それを私のような野良医者がやってしまうと反感を持つ医師たちが受け入れなくなる。よってどこかの教授先生にこうした症状の研究を引き継いでもらえると幸いである。私はそれまで、治療実績を重ね「証拠」を今のうちに固めていきたいと思っている。


ただし、証拠づくりを一般の医師たちが行うことは難しい。理由は胸部硬膜外ブロックはリスクがあり、しかも胃腸の不調にブロックを行うことは保険が認めていない。患者が担当医をよほど信頼していなければ、胃が痛いのに「背骨に注射」をさせてくれないだろう。「胸椎に硬膜外ブロックをしましたが効果がありませんでした」という結果となれば患者は納得しない。だからブロックミスすることは許されない状況にある。そうしたプレッシャーに耐えながら行う治療なので普通の医師には不可能と思われる。


また、こうしたブロックが出来るのはペインクリニック科の少ない医師たちのみだが、まず、胃腸の不具合を理由にペインクリニックにかかろうとする患者はいない。だから患者が集まらないのである。つまりこのようなアクロバティックな治療は私のような特殊な医師にしか治療実績を積むことが難しい。だから、もうしばらく私の動向を見守っていただきたい。おそらく数年以内にまとまった資料を提出できるだろう。

 

うなだれ(首が上がらない)症候群

2017年治療成績

はじめに

突然首が上がらなくなる病態があることは知られているが、その原因はおろか、病名さえついていない。症候性パーキンソン病やジストニアの一種であるという考え方もある。しかし、少なくとも私は「首を保持できずうなだれてしまう」という患者をこれまで4名以上診察し、治癒させた経験を持つ。病名もなく無視されるだけの病態だが、私は上頚交感神経節ブロックで改善させることを知る。治療実績から逆に考察し、首がうなだれる病態を考察すること、頚髄~延髄の血行不良に起因した頚部脊柱起立筋の運動障害と考える。こうした病態を「うなだれ症候群」と名づけここに報告する。


2017年6月現在の治療成績(うなだれ首)

現在すでに30例以上の改善実績を持ちます。現在進行形で治療している症例は10例前後です。5回以内のSCGBで完治した症例は10例程度。残念ながら残りの症例は完治には至りませんが、来院時よりは改善し、首をまっすぐにしていられる時間が長くなります。全く効果がなかった症例は2例です。
その2例も、現在の技術レベルで治療を行えば、改善していたかもしれません。それほど上頚神経節ブロックの効果は奇蹟的かつすさまじい威力があります。
上頚神経節ブロックが頭蓋内の脳神経疾患に「どれほどの治療効果があるのか」の証拠を示したものがこちらです。この証拠は「突発性難聴治療例」であり「うなだれ首」の治療実績ではありませんが、頭蓋内の「治らない疾患」をどれくらい治せるのかを示す材料として提示します。


症例1 63歳男性

数十年前から肩こりがひどく、近医のリハビリでマッサージ治療などを受けていた。H25年夏「強くもんでくれ」と頼んだときに「首にグキっと電気が走った」その後数日かけて徐々に首が上がらなくなってしまった。他の整形外科医を受診するも「治療法がない」と言われメチコバールなどを処方される。1ヶ月経過して私の外来を受診。


治療経過

上頚交感神経節ブロック(1%キシロカイン2cc×2左右)を行ったところその場で首が持ち上がるようになる。翌週と翌々週に同様の治療を行い、完全に首を保持できるようになったため治療を終了とした。


症例2 32歳女性

SLEと診断されステロイドなどで治療されていた。ふだんからふらつきがあり、H27年8月風呂場で転倒しT4,5,6に高度な変形を伴う圧迫骨折を受傷。その2週間後より首が持ち上がらなくなる。背骨の痛みがあまりにも強かったが、他医でブロックを拒否されたため、ブロック目的で私の外来を受診。


治療経過

じょう上頚交感神経節ブロック(1%キシロカイン2cc×2左右)を行ったところその場で首が持ち上がるようになる。翌週と翌々週に同様の治療を行い徐々にではあるが首の保持ができるようになってきた。しかし、T4,5,6の圧迫骨折に起因した半身麻痺が出現したため緊急入院を指示し、現在入院加療中。治療の継続は不可能となった。


うなだれ症候群の定義

頚椎の伸筋群の筋力低下により頭を保持できずにうなだれてしまう病態。頚椎の伸筋群だけに筋力低下が起こり、他の全身の筋肉は正常。ミオパチーや重症筋無力症などが否定され、検査データに異常をきたさない。上頚交感神経節ブロックが著効することから上位脊柱起立筋の運動神経の血行障害に由来した麻痺性の疾患であると思われる。

上記2例の場合、「外傷のきっかけ」があるがこれは必須とは思えない。なぜなら高齢者ではうなだれ症候群の症例を散見するからである。症例としては挙げなかったが、他の2例は高齢者で明らかなきっかけがなかった。しかし、上頚交感神経節ブロックですみやかに軽快した。症例数が少なかったのでこれまでレポートしてこなかったが、意外とうなだれ症候群の患者が少なくないと感じたので今回の報告とした。


本症例では頚部の脊柱起立筋の麻痺により、首がうなだれてしまい、頚髄が強後彎となることでさらに頚髄が尾側に引っ張られ、その張力で上位頚髄の血行不良を生じさせ→さらに起立筋が麻痺、という悪循環を起こすことが「なかなか治らない原因」であると思われる。上頚交感神経節ブロックにより血流増加を図るとその場で首が持ち上がるようになることがその証拠になると思われる。

現時点で上頚交感神経節ブロックはおそらく私にしかできないと思われ、本疾患の治療には私を訪ねるしか方法がない。今後、ブロックに興味のある他の医師に上頚交感神経節ブロックを伝えていこうと思っている。


うなだれ症候群を放置すると

うなだれ(頚椎が過屈曲)のまま長期間を経過すると頚髄が過伸張となる状態に長期間曝露することになる。頚髄の過屈曲は陸棲せきつい動物にとって極めて不利であり、脊髄だけではなく延髄や脳幹の血行障害をきたす。私は通常時に脊髄が伸張されて脊髄の血行動態が悪化する病態を脊髄・脊椎不適合症候群と名づけ研究しているが、うなだれ症候群では後天的な脊髄・脊椎不適合症候群を発症せしめる。


脊髄・延髄・脳幹が過伸張されると、これらの血行不良がきっかけとなり神経細胞に炎症が生じ、様々な脳神経症状が現れる。場合によっては運動ニューロンが障害されALSのような症状を発生させ得ると推測する。

脳神経の異常は視力低下・難聴・めまい・ふらつき・呼吸困難・三叉神経痛・嚥下困難・自律神経失調などを発症させ、生きていくのが極めて困難な状態に余儀なくされる。よって可能な限り早期に上頚交感神経節ブロックを行うことが望ましい。


うなだれ症候群に装具は効果なし

うなだれ症候群を防止するためにポリネックなどの装具が望ましいと考えるが、ほとんどが「呼吸が苦しくて装着不可」となる。頭の重みをポリネックで支えると、顎・のど・鎖骨付近に強い圧力がかかりすぎるからである。褥創もできてしまい長時間の装着は難しい。装具の多くは固定を目的としており、支持するには適さない。ハローベストなどが真の適応装具となるが、病名もついていない病態であるので保険適応がなく、万一不具合が生じれば医師の責任を問われるため、現実問題としてハローベストを処方する医師は存在しない。


ジストニアの根本治療に上頚神経節ブロックが極めて有力

うなだれ首に上頚神経節ブロックが極めて有効であることは保証する。これがジストニアの一種であるならば、ジストニアは根治療法が見つかったことになる。著者はまだジストニア患者の治療に携わったことはないが、おそらくジストニアは上頚神経節ブロックでかなり改善できると期待している。


終わりに

世界中の医師の誰もまともにこの病態を考察した者はいない。病名もなく治療法もなかったが、実際は上頚交感神経節ブロックが著効することが判明した。原因究明は今後の課題であるが、まずはこのような病態があることを知っていただきたかった。治せない病態には病名もつけず、そのまま放置するのが医学会の通例であることもおわかりいただけたと思う。

また、近年は当院で新たな治療法を確立、新境地の治療の手ごたえを感じている。

↓↓↓ 下記症例をぜひ参考にしていただきたい。

うなだれ首をご加持で治す症例集(超療9)

注射が効かない膝痛の正体(骨壊死:骨折というべき)

2017年治療成績

はじめに

膝関節に痛みが発生する理由は現医学でも全てが解明されていない。XPでは軟骨が完全に磨耗して消滅し、極度に変形している膝であっても痛みが全くない症例をしばしばみかける。また軟骨は正常で関節もほとんど変形していないのに痛みのために歩けない人もいる。こうした事例は「膝の痛みのシステムが判明していない」ことの確かな証拠となる。そして関節内注射が全く無効な例をしばしばみかける。注射無効例で変形の強い膝は手術を勧められ、変形が少ない膝は痛みが強くても手術をしない方針とされ、患者たちは整形外科医に振り回されている状況がある。このような医療の不適切さを正すため、「痛みの原因」について正しく研究し、症状に合った治療をすることが急務であった。本論文では注射無効の膝痛の正体にせまり、その治療法を示す。


2017/7/8の時点で以下のようなご指摘を受けました。ご意見まことにありがとうございました。

気になった点が2点あり記載します.・現時点では膝骨壊死は「壊死」と名前がついていますが,「骨折」が原因と考えられています.最初は免荷が治療の基本で,症状は一旦改善します.ただ,5年単位でみていくと最終的に手術が必要になることが多いです.

・びまん性に見えるT1でlow, STIRや脂肪抑制T2でhighの所見は壊死の所見ではありません.微小骨折周囲の骨髄浮腫です.壊死はT1 lowの線状陰影の末梢側で,循環がないためSTIRや脂肪抑制T2でlowになります.


著者より

5年単位で見ていくと最終的に手術になる・・・注射に使用する薬剤や生活指導によります。私の外来では5年以上followしていますが、ほとんど手術になることはありません。いずれ手術になることが多いから手術という意見が本当に正しいか?は私の患者たちにその質問を浴びせれば誰も同意しないことからわかるでしょう。

壊死→骨折のご指摘ありがとうございました。これが多くの整形外科医の常識となってくれることを切に望みます。そして、膝痛の症例はほとんどが微小な骨折であることを、研究発表してほしいと思います。そして骨折はヒアルロン酸では痛みが除去できないことを、製薬会社の抵抗を押し切ってぜひ普及させていただきたいと切に思います。

どちらにせよ、整形外科医が膝の痛みを持つ患者に「これは骨折ですから免荷してください」と正しく説明する医師が本当に増えてくれるでしょうか?免荷指示では製薬会社も人工膝メーカーも誰もお金儲けができず、かつ患者に嫌われますから。誰もそれを言わなかったから私が述べているのです。それを5年単位で見れば手術になるケースが多いから手術・・・という意見に賛同できるわけがありません。


症例 64歳女性

10ヶ月前に歩きすぎたことを発端に強い右膝痛が発症。歩行時、階段昇降時に強い痛みを感じる。近くの整形外科を受診しヒアルロン酸の注射・理学療法・消炎鎮痛剤などで治療を受けるが全く効果なし。そのため膝で有名な整形外科を数軒回り治療を受けるがそれでも痛みは軽快しない。さらに整体・鍼灸と保険の効かない治療を受けるが無効。パートの仕事も辞職し、最近では買い物にも出かけられない状態となり、困り果てて当院をH27年5月に受診。


単純XP

H001

両膝ともに変形はほとんどなく、関節の狭小化も認められない。よって、これまでかかった整形外科では異常なしとされてきた。ただし、よく見ると右膝内側上関節面に半円状のくぼみ白のラインがある。


治療経過

2週連続で膝関節内に1%キシロカイン+ケナコルト2.5mgを注射するが全く効果がないという。そこでMRIを行ったところ、大腿骨下端(内顆)全体に広範囲な骨壊死を認めた。その時点から右下肢免荷(松葉杖歩行)を命じ、同時に膝関節内注射を同様に1%キシロカイン+ケナコルト2.5mgを行った。すると膝の痛みは完全に消失した(免荷の状態で)。

免荷1ヶ月後荷重を許可したが、その際、膝の痛みは完治していた。以降歩行時に痛みがない状態となったため治療を終了した。以下に治療前と後のMRIを示す。


治療前後のMRI 全て右膝

H002

上段左T1強調では内果が広範囲に黒くなっており、水分強調(右図)では白くなっており、広範囲な骨壊死と判断できる。

下段は約1.5ヶ月後のMRI。T1で黒く映っていた部分が白くなり、水分強調で白くなっていた部分が黒くなっており、壊死した骨髄が再生されたことを示す。内側関節面に半円形に抜けていた(白い部分)箇所もかなり縮小した。つまり、月のクレーターのようになっていた骨壊死箇所さえも、改善していることがわかる。極めて劇的な変化である。


本症例の問題点

数箇所の整形外科を回ったが、そのどこの整形外科でも「骨壊死」とは言われていなかった。骨壊死の痛みは骨梁が崩れていく痛みであり「骨折の痛み」である。おそらく骨膜が感じている痛みであり、微小な髄内骨折が起こって体重を支えきれなくなり、骨皮質にもひびが入るための痛みと考えられる。それでも歩き続ければ内果は変形し、O脚となる。一度O脚になればますます内側に体重がかかるので変形を阻止することができずに悪化が加速する。こうした仕組みによる痛みだったために膝関節内注射が全く効果を示さなかったと思われる。そして1ヶ月免荷という命令で見事に症状が全快した。問題はそれを指摘できる整形外科医がいないことである。本患者は「膝が痛いのなら歩きなさい、リハビリしなさい」という医者によって悪化へと向かう典型である。整形外科医がそうした患者が日常茶飯事に存在することを知らず、安易に膝関節全置換術などの手術へと誘導する仕組みが現医療界に出来上がってしまっていることが問題であると思われる。適切な指示を出せば手術などしなくてもほぼ全快する。


膝骨壊死(骨折と言うべき)が日常茶飯事に存在する証拠

この症例以降、私は「膝関節内注射(ケナコルト入りのキシロカイン)で痛みの改善が数日以内」という患者3名全員にMRIを指示したところその全員(100%)に広範囲の骨壊死(び漫性骨折というべき?)巣を認めた。以下にMRIを示す。

H003

H004


考察

膝関節内注射が無効だった他の4名にもMRIを行ったところ全員が骨壊死を伴っていた。ここでは「膝関節内注射が無効」「全員が骨壊死(骨折というべき?)」という二つのキーワードについて考察する。「膝関節内注射が無効」というのは「ケナコルト入りのキシロカイン」に限定されることに留意していただきたい。なぜなら、ヒアルロン酸注射が無効な患者はあまりにも大勢存在するからである。すでに私はヒアルロン酸注射が無効である症例をケナコルト入りキシロカインで軽快させることができることをこれまでの臨床研究で証明してきた。おそらく、滑膜由来の膝の痛みはケナコルトに著しく反応し、痛みが激減すると思われる。滑膜の炎症はヒアルロン酸ではなかなか軽快し得ないと推測する。その証拠としてヒアルロン酸の注射では膝関節水腫がほぼ軽減しないことが挙げられる。滑膜が炎症を起こすことで滑液が多く生産され、かつ吸収が追いつかないことで滑液が増える。よって水腫が引かないこと=滑膜炎には効果がないことを意味している。


そして実際にケナコルト入りキシロカイン注射が無効であった4名は全員が「骨壊死」が存在した。臨床的にはたった4名であるが全員であることに注目しなければならない。この相関から得られる推論は「ケナコルト注射が無効=骨壊死(骨折というべき?)の可能性が極めて高い」となる。

さて、骨壊死(骨折というべき?)に対する治療として現医学でもっとも正しい治療法は免荷しかない! 大腿骨頭無腐性壊死の治療は今も昔も変わらず「免荷しかない」のである。それ以上もそれ以下もない。いきなり人工骨頭にするという手はない。にもかかわらず、現整形外科学では免荷治療もしないうちから注射無効の膝痛には手術(関節置換術)を勧めるというシステムとなっている。ケナコルト注射が無効な膝患者に対して免荷を1ヶ月行えば半永久的に痛みが起こりにくい膝へと治癒すると思われる。その理由は文頭でも述べたが、膝の変形が末期の患者でも痛みを伴わない症例が大勢存在するからである。これらの患者は骨梁が安定した状態を保つことができているために骨壊死が起こりにくくなり、そのために半永久的に痛みが起こらないと思われる。つまり、本考察は変形した状態が痛みの原因とするこれまでの理論を覆し、「壊死こそが痛みの主原因」とする新たな考え方となる。


この考え方が世界に広まれば、ヒアルロン酸注射が効果がないこと、人工膝関節置換術が不適切であることを整形外科医が認めなければならない。そうなるととりわけ人工膝関節手術のめっかであるアメリカ合衆国の整形外科医が大反論することが予想される。人工膝の機器を作っているメーカーも倒産に追いやられる。そしてメーカーと医師の癒着もなくなってしまい、整形外科医の利益が損なわれる。それほど本論文が広まることは世界の高齢者医療への影響力が強い事実となっている(だからおそらく広まらない)。

注射が効かない膝痛の患者には松葉杖、または車椅子、または入院して免荷、が本当の治療法となる。MRIを見る限り、免荷治療の効果は絶大であり手術する前にまず免荷を試みるべきであることは医の倫理にかけて正しい。それを整形外科医たちが認めれば世界の先進国の高齢者の医療費は格段に減らすことができ、さらに膝痛の患者も激減する。しかし、整形外科医の仕事は激減し、面子がつぶれる。


さらに、肥満→膝痛→歩いてやせなさい という治療法が間違いであることが判明する。特に内科医は肥満患者・糖尿病患者に歩行を勧めることが一般的である。しかし、歩行は荷重させることなので膝関節の骨壊死を必ず悪化させ、変形を加速させる。そして整形外科医が繁盛するという絵図となる。膝痛を歩いて治すということが間違いであることを認めることは内科医にとっても痛い事実となる。しかし、実際は骨壊死・骨折である。歩いて治すことが間違いであることは小学生にでもわかる。

ただし、問題はケナコルトを使用できる資格のある医師がいないことである。関節内へのステロイド注射は慎重であるべきで、かつ、副作用の研究も相当行い、かつ患者の全身管理も行わなければならない。それだけの大変な作業ができる医師はほとんどいない。よって「注射が無効な膝」かどうかを知ることがそもそも不可能となる。これでは免荷治療をする以前の問題である。


注射が効かない膝痛の種類

「膝痛」には少なくとも3種類存在することはこれまでの私の研究で証明してきた。1.滑膜・軟骨・半月板など軟部組織由来の痛み、2.坐骨神経・大腿神経由来の神経痛により増幅された膝痛、3.骨壊死・骨折による痛み、である。さらにカウザルギー、アロディニアなどさらに中枢の神経系統の異常によってもたらされる痛みも存在する。この中で2と3は膝関節内注射が極めて効きにくい。

ここで問題がある。2と3は治療法が全く異なるところである。2は神経ブロック、3は免荷が治療法となる。2と3はしばしば合併する。よって1ヶ月免荷させたところで2がメインであった際に痛みが改善しないということが起こりうる。


神経ブロックは膝痛の患者に整形外科医はまず絶対に行わない。よって2を認識する方法が整形外科医には存在しない。ならば整形外科医が「注射が無効の膝痛患者」に1ヶ月入院を指示して免荷とさせても、痛みが改善しない患者が現れ、患者と整形外科医がトラブルになる可能性がある。なぜならば入院して免荷と指示すれば、筋力も体力も弱るため、「膝の痛みが改善しなかった」場合に患者にマイナスの悪影響を与えてしまうからだ。そうした厄介ごとに巻き込まれるのは御免なので整形外科医は軽々しく免荷を指示できないという現実がある。

私が免荷を指示できる理由は、神経痛をとりのぞくブロックを自在に行うことができ、かつ、膝注射が絶対に失敗しない実績を持ち、かつ、ケナコルトを安全に使用できる知識があるからであり、そうした治療においても痛みが軽快しない患者だからこそ、自信を持って骨壊死の治療のために免荷1ヶ月という患者にとって拷問のような命令を下すことができるのである。また、「注射無効」の定義を決めておかなければ本治療自体が形骸化する。


骨壊死はMRIで確定診断可能

MRIを用いれば膝の骨壊死の程度がたやすくわかる。そして1ヶ月免荷後に壊死部が治癒しているMRIを患者に見せれば免荷がどれほど効果の高い治療なのかを視覚的に理解していただくことが可能である。よって、注射が無効な膝痛患者と外来で遭遇した場合、真っ先にMRI検査を行うことを勧める。そして壊死している証拠をつきつければ、患者はおそらく免荷治療に応じる。


免荷指導に応じない患者の対処法

私の経験上、70歳以上の高齢者で松葉杖をつくことができる患者はごくわずかである。よって免荷がどうしてもできないという患者にはロフストランド杖を処方している。ロフストランドでは免荷にはならないが、普通の杖をつくよりは壊死が治る効果が期待できる。両膝が痛い方には2本のロフストランドという方法がある。「免荷1ヶ月では脚力が落ちて歩けなくなる」という世間に広まっている嘘を信じきっている方には対処法がない。社会的に仕事を休めないので免荷ができないというのであれば、これも対処法がない。対処法がない場合、ほとんどの場合、近い将来人工膝関節の手術へと追い詰められる。手術となれば強制的に1ヶ月は仕事を休まざるを得ない。結局そのように袋小路に追い込んで逃げられない状況にしてしまわなければ自制できない患者を治すことができない。これが免荷治療の限界である。


変形が高度でも膝の痛みが少ない例

次の写真は82歳、女性。変形は末期だが痛みは少なく2週間に1度のキシロカインの関節内注射で十分に日常生活が行えている例。

上段が9ヶ月前、下段が現在。変形がほとんど進んでいないことを示す。

H005

MRI撮影はしていないが、おそらく骨壊死がほとんど起こっていない例であると思われる。つまり、骨壊死が現在進行形で存在していなければ、「手術しなければならないほどの痛み」は来ない、そして変形もほとんど進まないと考える。

また、私の研究では軟骨ではなく骨が変形する際に痛みが強く出る傾向にあることが判明している「膝の痛みと関節破壊の関係について」を参。結論から言えば「軟骨が磨り減っていくことは膝の痛みと直接の関係はなく、軟骨の弾力性の低下によって骨に衝撃が強くなって骨が破壊されていく時に痛みが起こる」となる。骨破壊は免荷により治癒するので「膝が痛い」ことが手術の必要性を意味していない。ただし、以下のような理由で手術が必要となる。


骨壊死を放置しているとO脚となる

H006

この図は骨壊死が進行してO脚になっている様子を示す(右膝XP)。赤のラインは現在の関節面の水平線。そして黄のラインは過去の予想水平線。骨壊死を放置しておけばこの図のように下腿骨の内側関節面が崩落し傾いてしまうことを示す。崩落が現在進行形のときは痛みが出現するが、この患者は現在、崩落が止まっており、ほとんど痛みを訴えていない(2週間に1度の関節内注射で痛みが制御できている)。しかしながら、このようにO脚変形すると膝関節の内側に集中して体重がかかるようになるため、再び内側の関節面の骨壊死が起こりやすくなる。O脚がこれ以上進めば下腿骨内側の崩落を制御できなくなる。制御するためには日常生活で膝に荷重をかける機会を減らしていただくしか方法がない。機会を減らしたくないという活発な方には手術が必要になる。


この患者が日常生活で荷重の機会を減らしていく予定があるのなら、当然ながら手術は一生必要ない。よって、基本的に手術をするしないの決定権は患者にあり、整形外科医が「この膝は末期ですから手術しなければならない」と半強制的に手術命令を出すことは人権を踏みにじることになり不適切である。しかし、実際はほとんどの医師が半強制的に膝手術の命令を患者に出している現状がある。医療費を減らしていかなければならない日本においては、この現状を変えることが望ましい。


ケナコルトが骨壊死に与える影響

実際にはMRIで中等度の骨壊死が認められる患者にケナコルト入りキシロカインの関節内注射を行うと、ほとんどの患者で膝の痛みは激減する。もちろん、ヒアルロン酸の注射では全く無効である。壊死があり、現在進行形で骨破壊が起こっている患者にケナコルトを使用するとなぜ痛みが制御されるのかの理由はなぞにつつまれている。なぞではあるがケナコルトが軟骨・滑膜の炎症を抑え、浮腫を軽減させ、骨内の血行動態を回復させることは明らかであろう。浮腫の軽減が軟骨のクッション性を安定化させ、骨への衝撃を緩和することに役立っていると考える。


さて、一昔前の医学理論に「ステロイドは血栓を作り骨壊死を起こす」というものがあり、これを信じている医師がほとんどである。血栓はステロイドが糖代謝や脂質代謝に影響を及ぼし、血液粘稠度を高くして起こすという病態であるから、局所に投与されて局所に血栓を起こすという考え方自体が誤りであることを熟知している医師は少ない。また、ステロイドによって大腿骨頭無腐性壊死を起こしやすいことは有名であるが、これは大量投与によりきたす疾患であり、私が使用するような2.5mg程度の話ではない。

現代医学はそうしたステロイドの副作用の実態を知らない医師がステロイドによる骨破壊を吹聴している時代なので、「ケナコルトが骨壊死改善に劇的な効果がある」ということは世に広まりにくいことを私は悟っている。

悟っているということは本治療が簡単には世に広まらないことを悟っているわけであるが、それでは超高齢化社会に経済が追いつかなくなる。困ったものだが真実が広がるまで待たなければならない。よって、本論文の主旨である免荷治療はいまのところ「私にしか行えない膝治療」ということになりそうである。一刻も早く世に広まることを望む。


変形性股関節症も骨壊死が原因

膝関節と同様に股関節や足関節も骨壊死が原因で変形をきたすと思われる(その実態は知られていない)。よってこれらの疾患には手術ではなく、痛みが強い時に免荷することで変形の進行・痛みをとめることができると思われる。そして一度完全に骨壊死が改善した後は強い衝撃を意図的に加えない限り半永久的に軽快状態が続くと推測する。すなわち、手術を要しない。変形性股関節症も膝と同様、末期の変形状態であるにもかかわらずほとんど痛みがない症例を見かける。その理由は骨壊死が起こっていないからであると推定する。

免荷治療で人工股関節や人工膝関節置換術を防ぐことができ、かつ変形も止めることができるだろう。MRIを撮影すれば骨壊死の状況が判明するので診断に苦労することはない。しかし、関節症にMRI検査をすることが一般的ではないため、骨壊死の発見は通常不可能である。しかし、世界の整形外科医たちが骨壊死と免荷治療に目を向けはじめれば、不要な手術件数が激減するだろう。しかし期待はしていない。整形外科医が手術を減らす方向に動くとは思えないからだ。


全ての関節症は骨壊死(骨折というべき?)が基本病態

指関節も顎関節も、椎間関節も、変形の基本は骨壊死と骨梁の破壊と骨皮質の微小なヒビであると思われる。その小さなヒビが蓄積されて変形が起こると推測する。荷重関節以外の関節はむしろ免荷は意味がなく、関節の動かし方の工夫が重要と思われる。そうした指導を行うことができれば、症状が進行する前に変形を抑えることができるだろう。また、骨破壊にケナコルトが劇的な効果を発揮することから、全ての関節症にはケナコルトが極めて有効であると推測される。そして現に私の診療所では次々と「他の医者では治らない関節症の痛み」を治すことができている。生活指導が行き渡れば、無駄な医療費を大幅に削減が可能。よって超高齢化社会を支えることができる。しかし、その影響で医療業界全体が経済的にダウンする。よって生活指導で関節症を治療しようと本腰を挙げる医師・その他の医療従事者は皆無に等しいと思われる。国は動かないので、患者一人ひとりが意識改革をしていくしかないと思われる。

また、話はふりだしに戻るが、ケナコルト(ステロイド)の使用には医者側に多大な精神的な負担をかけるので、それを現在の極めて安い報酬で行う医師はなかなかいないだろう。やはり最後にはお金の問題に回帰し、そして他の医師たちにこれらを期待することは難しいことを知るのである。

また、これだけ衝撃的な事実を証拠写真をつきつけて発表したところで、マスコミから取材依頼さえ来ないことで、マスコミと医療経営者が内部で癒着していることがおぼろげにわかる。いまや健康雑誌のスポンサーは病院だからである。私は世を変えようとまでは思っていない。よって真実は患者が各自学ばなければならない。国民から沸き起こる集団の意志には、マスコミさえも逆らえないのだから。

骨折にはグルコサミンもヒアルロン酸も効果はない。免荷しかないのに、それを指示している医師を私は知らない。そして文頭にあった質問のように、いずれ手術になるのだから手術するという意見が正しいと考えている医師が多いことに同意できない。

便意頻回!過活動性直腸(過敏性腸症IBS)のブロック治療報告

2017年治療成績

はじめに

便は出ませんが便意だけが続くという便意異常症が存在することはほとんど知られていない。私はすでに、尿意が頻回に起こる尿意異常症が仙骨部硬膜外ブロックで完治することを報告しているが、今回は同様に、便意の異常が同ブロックで治すことができることを報告する。


便意異常症の症例は、おそらく全国に多数の潜在患者がいると思われる(当院では治療例が2例)。が、原因も不明であるため、精神異常という診断をつけられ、身体具現性障害の一部であると決めつけられ根本治療が放棄されている現状がある。また慢性の下痢症も原因が脊椎由来のものが多数あると思われる。つまり過敏性腸症はブロックで治る可能性があるということである。そうした便意異常の患者の方々に「ブロックで治す方法」があることをここに報告したいと思う。


症例 60歳女性

2年前、仕事を辞めてから便意が四六時中起こるようになった。我慢していたがいつまでたっても治らないのでH25.11.近医の内科を受診。大腸内視鏡検査を受けるが異常なしと言われた。それでも便意が続くので別の病院を受診し注腸検査受けるが異常なしと言われる。しかし便意は続くため有名な某肛門科を受診。直腸瘤の疑いがあると言われるが、結局異常なし。それでも便意は続き、りきんでも便は出ない。さらに某大腸肛門科を受診し排便機能検査や大腸内視鏡を行ったが異常なしだった。あきらめようとしたが、最後にセカンドオピニオンのため胃腸科病院を受診。そこでも異常なしと言われ、「精神ストレスから来るヒステリーではないか」と言われ、抗うつ剤、緩下剤、漢方薬などを処方されたがその後も便意は24時間続く状態だった。2年間便意をがまんした後、このことを友人に話したところ私の診療所を紹介され来院。


現症

立位・座位で便意をもよおす。しかしトイレに行っても便は出ない。

臥位になると便意は落ち着くため、日中は何度も横になり、便意に耐えていた。


治療

仙骨部硬膜外ブロック 0.5%キシロカイン10ccを週1回×3回行う。その結果便意は半分以下となり、十分にがまんできる程度となった。その後2週間経過しても便意が強くなることはなかった。「本人は現状で満足」というのでこの3回の治療で終了とした。


結果考察

2年間、どんな治療法も治療薬も全く効果がなかった便意以上が3回の仙骨部硬膜外ブロックで半分以上改善し、その状態が継続している。したがってこれらの便意異常は神経因性であることが推定される。


便意をもよおす神経支配

直腸と膀胱の求心性神経支配は上部は下腹(交感)神経T11,12、下部はS2,3,4の副交感神経内を走行する。よってこれらの求心線維に何らかの異常(中枢感作)などがあると便意異常が発生すると推測する。ただし、これらの求心線維の神経細胞体の所在位置は正確には把握できないが下部はL2より頭側、上部はT11,12より頭側にあると思われる。脊椎が原因でこれらの求心線維が障害を受けていると仮定すると、T9付近からS4までのどこかで求心線維のニューロンまたは神経細胞体がストレスを受けていると思われる。しかし、どこでストレスを受けているかの正確な位置は特定することは難しい。


わかっていることは、仙骨部硬膜外ブロックで便意が半分以下になったという事実であり、そこから逆算すれば下位腰椎から仙椎の高さで障害を受けている可能性が高い。また、下腹神経も関与しているとすると、下部胸椎で障害を受けている可能性もある。下部胸椎に硬膜外ブロックを行い、効果の違いを比較研究すれば、実際に障害を受けている高さが判明するかもしれない。


便意異常の治療上の問題点

本症例では患者が5か所の有名な胃腸科・肛門科を受診し、屈辱的な排便機能検査まで行われたにもかかわらず、「全てで異常なし」と言われブロック注射を受けることを一切勧められなかったことが問題である。これらより、一般的には便意異常が脊椎由来であるという発想がないことがわかる。医師がそうした発想を持たないのだから、患者は脊椎にブロックを受けることなど全く思いつくはずがない。


今回は街で私が「難病を何でも治せる」という噂があったために、その噂を聞いて「もしかしたら治るかもしれない」という期待で来院して治療が偶然に成功した。そうした偶然に頼っていたのでは便意異常の患者は救われないだろう。だからいち早く、「便意異常が硬膜外ブロックで改善する可能性がある」ことを世間に認知してもらわなければならない。そのために本論文をブログに掲載した。もう一例を紹介する。


症例 82歳女性

10年前から夜間頻尿(5~6回トイレに起きる)を訴えていた女性を過活動性膀胱の診断で仙骨部硬膜外ブロック(0.5%キシロカイン10cc)を2~3週に1回の割合で5回行った。本治療で夜中にトイレに起きるのが1回となりその状態を維持している。私が何気なくこの患者に「ブロックで便意も治療できる」ことを話ししたらこの女性が以下のようなことを告白した。


「先生、実は私も朝起きると大便がしたくなり、その状態が午前中いっぱい続くんです。そしてトイレにかけこむと下痢なんです。10年前からそんな状態なので旅行にも行けないんです。」と症状を訴えた。「でも先生、この治療(仙骨部硬膜外ブロック)をしてから午前中にお腹がしぶらなくなりました。先週は1週間のうち1日だけ下痢しましたけど、あとは大丈夫でした。」とブロックが下痢(午前中の便意)にも効果があったことを話してくれた。大便のことは恥ずかしくて相談することができなかったらしい。


おそらく、恥ずかしくて医師にも相談できない例が非常に多いと思われる。この症例は便意だけではなく、そこに下痢も伴っていたわけだが、この症例も神経(脊椎)由来の便意異常であると私は断定した。

おそらく、下痢が神経由来であると考える消化器内科(外科)医はほとんどいないと思われる。そして不適切な検査や治療がなされる。もちろん根治はしないだろう。便意異常が脊椎由来の可能性があることを医師たちが広く認識するまでにあと何十年かかるだろう。そして、認識したとしても、患者が脊椎にブロック注射を受けてくれるかどうかの問題がある。


患者にも便意・尿意異常が脊椎由来であるという知識がないため、治療法があることを説明しても、おそらく信じない。また、仙骨硬膜外ブロックは、上手に行わなければ極めて痛い注射となり、患者にトラウマを作ってしまう。便意・尿意というデリケートな問題だけに、痛いブロック注射では患者が治療を拒否する。また、100%の確率で治る保証がないわけだから、なおさら痛いブロックでは誰も治療を受けにこないだろう。


こうしたデリケートな治療で硬膜外ブロックを行う場合、医師は最低でも「痛くないブロック、リスクを回避できる腕」が必要であり、それに該当する技術を持つ医師は全国にそう多くはない。前途多難である。そして潜在的な便意異常患者は想像以上に多い気がする。

神経ブロックで様々な病気が治る理由

2017年治療成績

はじめに

神経ブロックとは表面麻酔剤を用いて神経の電気信号の伝達を阻害するものです。決して痛みを止めるためではなく、痛みを含めた知覚・運動覚などの全ての信号を中断させるものです。神経破壊薬を用いれば、その中断は半永久的となり、ボツリヌス毒素を用いれば数か月から半年になり、キシロカインを用いれば数時間の中断となります。さて、ここで疑問なのは、たとえ数時間の中断であっても、治療効果が半永久的な場合も少なくなく、それで病気が完治することがしばしばあることです。この理由は、神経の伝達を一時的に止めることにより「悪循環を絶つ」ためであると考えられていますが、その詳細は現医学でも解明されていません。そこで、「悪循環を絶つ」とは何を意味するのか? 推論してみます。


実は細胞の一つ一つは他人

まず、そもそも人間のような多細胞生物は「なぜ細胞同士が協力し合うのか?」というところから考えなければなりません。遺伝子DNAが全く同じである双子の兄弟が他人であるのと同じく、体の中の細胞の一つ一つは個人個人であり他人です。その他人が他人のために生きるということの意味を考えなければなりません。

これらの理由は、アリが女王アリのために働くことなどの例をあげ、進化生物学でさかんに研究されている分野です。個々の遺伝子DNAが「本当に他人のために生きる」ということがありうるのか?という問答は昔から世界でなされていました。


個々のDNAが他人のために生きるのではなく「自分のDNAをもっとも増やすように動いているだけ」であることが言われており、それをわかりやすく言い表した書物にリチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」があります。これはベストセラーになった本ですが、極めて乱雑に要約すると、「遺伝子の中にもさらに小さな遺伝子の集団があり、その集団の一つ一つが自分を最大限に増やすことを目的として生きているという理論があります。つまり、遺伝子DNAは全てが利己的であり、他人のために生きるということはないということになります。


ここでは進化生物学的に人間の細胞たちも「他人のために生きるのではない」ことを前提に生きていると仮定します。すると、人間は一見「脳が全ての細胞を支配している」と考えていますが、その考えは間違いであり、脳は全ての細胞の司令塔ではありますが、「司令塔である脳は個々の細胞に必ず利己的に支配されているはずである」という定義が設定されます。つまり、個々の細胞は常に「自分の細胞のDNAを増やすことを目的として「個々に脳に利己的な命令」を出しているはず」と考えられるわけです。


痛みは脳を支配する命令

痛み・悲しみ・苦しみ・飢餓感・欲望・快感・喜びなどは全て脳を支配する命令であることがわかるでしょうか? 私たちは快感があるからこそセックスを行い、そして子孫を増やします。苦痛があるからこそそこから逃亡して命の危険から身を守ることができます。私たちは自分の意志で生きていると勘違いしていますが、実は遺伝子の命令に背くことはほとんどできません。脳は意志を持っていますが、同時に個々の細胞の命令に逆らえない状態になっています。意志はできる限り長く寿命を延ばそうとし、子孫を増やそうとします。


こう断言すると「ではなぜ自殺するのか?」「子供を産めない老後も生きるのか?」「子供を産まない女性がいるのか?」などの疑問が次々と沸き起こります。それらの全てに対してリチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」では進化生物学的な観点からの答えを出していますので興味がある方はご一読ください。ここでは述べません。


さて、進化生物学的な言い方をすると「個々の細胞は自分のDNAを最大限に残そうとして脳を支配している」のですが、その中でもっとも強力な支配が「痛み」なのです。「痛み」にだけはどんなに精神が強い人であっても耐えることができないようにDNAに仕組まれています。そして個々の細胞が「自分に不都合なことを行えば脳に対してペナルティを与える」ための手段(権限)を持っていると考えます。その最大のペナルティが「痛み」です。だからコンクリートの壁を拳でなぐると痛いわけです。


リチャード・ドーキンス流に言えば、「痛み信号は個々の細胞の命令の集大成であり、痛みは常々利己的になりがちである」となることでしょう。つまり、痛み命令は時に利己的に暴走することがあり、司令塔である脳を苦しめ、逆に生命維持に不利に働く場合があるという意味です。利己的であるがゆえに全体的なことはどうでもよいのです。


また、人間という種族で大きな観点で見ると、遺伝子DNAは種という全体でDNAが増えればいいわけで、個人の命が殺されようとおかまいなしに、種が増える方向に動くようにインプットされていると考えます。つまり、人間という集団が増えるためには、個の命は無視され、戦争をしてでも種全体が生き残るように画策するという意味です。全体のDNAを増やすために、個の意志が抹殺されてしまうのもDNAに仕組まれているということになります。まさに神の領域の話しです。


「個の意志は全体の意志(司令塔)に抹殺されることもあれば、個の命令の暴走により司令塔が抹殺されることもある」ということが最も重要です。

これを痛みにおきかえると、「脳の意志により個々の細胞が殺されることもあれば、個々の細胞が痛み信号を脳に送り、脳が機能できなくなって人間自体が死においやられることもある」となります。


個々の細胞は利己的に殺し合っている

人間の細胞のうち、「役に立たなくなった細胞」は寿命が来る前に抹殺されます。そのシステムが自己免疫のシステムです。自己免疫は少しでも傷がついた細胞には「まだ生きられる状態であっても」食い殺すために集まって集団で殺しにかかり、跡形もなく食い尽くします。もちろん、殺される側も黙っているわけでなく、最大の抵抗をします。それが痛みや炎症と考えます。医学的には炎症は自己免疫が起こしていることになっていますが、進化生物学的にはむしろその反対も考えられます。「炎症や浮腫を起こして血管を閉じ、自己免疫が自分たちのところにやってこられなくする」という意味も必ずあるはずだと考えるのが進化生物学的な考え方になります。


現医学は体に起こっている事件を「すべて生き続けることに有利になるように理論構築する」ことで成り立っています。しかし、進化生物学的には体に起こっている事件は「すべて個々の細胞と司令塔とのかけひきで起っている」と考えます。つまり個々の細胞の起こす炎症が、時には脳を打ち負かし、人を死にいたらしめることもあるという推論を私は打ち立てます。医学者は進化生物学に対して無知であるがゆえに、体に起こる現象を「体によいことばかり起こる」と考えてしまい、そして理屈が合わなくなり行き詰ります。そうではなく、利己的な痛み命令は時に脳を殺すと考えるのが真実であると私は考えています。


炎症痛みとそれを抑えるステロイド

体の中には炎症を起こす物質(サイトカインなど)と、炎症を抑える物質(ステロイド)の両者が常に戦い合っていることをご存知でしょうか? 細胞が傷ついた局所では自己免疫と傷ついた細胞との殺し合いの戦争が起こっており、それを抑えるために副腎からステロイドが分泌されます。ステロイドは自己免疫と傷ついた細胞の両者の活動を抑えてしまいます。よって戦争は静まりますが、傷ついた細胞の瓦礫が残ったままとなり、いつまでも傷ついた細胞が掃除されません。よってステロイドには体にとってメリットもデメリットもあります。ステロイドが多く分泌されると戦争(炎症・痛み)は静まりますが、傷ついた細胞の山が残り、そこには血管が入り込めないために新しい細胞が分裂できない状態となり機能しなくなります。一方、戦争を放置しておけば両者の闘いはエスカレートし、熱と痛みが莫大となり、脳が苦しみ動けなくなり、人間自体が苦しむことになります。ですが、傷ついた局所の掃除は進みます。つまり、炎症痛みとステロイドはどちらが優勢でもデメリットが高くなり、ちょうど釣り合ったところで最大の効果が発せられるようになっていると考えます。しかし、適量のバランスはいろんな条件がかさなると崩れます。たとえば高齢による変形、糖尿、高血圧、気温、気圧などの変化でバランスが崩れます。そのときに人体内の戦争のバランスが崩れ、人間の生命維持に不利になることがしばしば起こります。それを適正な戦争バランスにすることが本来の医学のあるべき姿です。


医学の適正バランス論

炎症は悪、消炎は善という考え方が医学にありますが、それが間違っていることに医学者たちが気づくのはあと何百年後でしょう。重要なのは両者のバランスであり、どちらかを勝たせすぎると人間本体にデメリットが多くなります。現医学は炎症と消炎のバランスを保持させることが、もっとも急速に病気を回復に向かわせるという考え方が欠落しています。


過去50年、医学はステロイドという強力な消炎剤を生産できるようになり、それを乱用しました。そのおかげで世界じゅうの人々がステロイドの薬害に苦しみ、そして現在は「ステロイド封印」の時代となりました。こうした極端な事例は医学者たちが「バランスを保つことがもっとも病気を回復させる」ということを知らないために起こっていると私は考えています。私はステロイドについて、臨床的にかなり研究を積んでいますが、「もっとも重要なことはバランスである」ことを突き止めています。しかし、そのバランスは成人病(糖尿・高脂血症など)でたやすく崩れることも発見しました。つまり、個人によってバランスを保つ位置が異なります。だから一言でバランスを保つといっても、それは「誰々にはこの量」というマニュアルがありません。個人個人で適正量が異なるのでそれを考えてステロイドを使用しなければなりません。そういうことはあまりにも煩雑で難しいので普通の医者にはステロイドを使ってほしくない、という極論になってしまうわけです。そして極論が先行しているおかげで、現在は「ステロイド封印の時代」となっています。


神経ブロックは自己免疫に有利

さて、ここではじめて神経ブロックがなぜ病気を早期に回復させることができるのかという理論に移すことができます。細胞が傷つくと、そこには自己免疫と傷ついた細胞との戦争が起こります。それは仮定ではなく、実際に殺し合っています。両者が利己的に殺し合いを行うため、その産物として痛みや炎症の信号が発せられます。痛み信号は同時に血管を収縮させ、自己免疫細胞が局所に到達できにくくさせます。自己免疫細胞は血管透過性を高めて、何としてでも戦地に入り込もうとします。細胞が傷ついた局所ではこうした戦争が行われ、両者の闘いはほぼ互角です。


さて、こうした局所の戦地に神経ブロックを行うと、痛み信号は中断され、そして血管は拡張し、血液が流れ始め自己免疫細胞側が有利になります。つまり、傷ついた細胞が殺され、食い尽くされる方に情勢が傾きます。さらに、副腎からステロイドが分泌され、自己免疫が起こした「血管透過性を上げて浮腫をおこさせてしまう」という「行き過ぎた行い」を制することができます。つまり、自己免疫側が有利な状態のまま、戦争を和平にもちこむことができます。よって私は神経ブロックは自己免疫側を勝たせるための手段だと考えています。


ただし、ブロックにはデメリットもあります。血管を拡張させるので出血が起こりやすくなること、痛みを感じなくさせるために本人が局所を安静にしなくなることです。出血のリスクは止血で低下させ、安静にしないリスクは本人に生活指導を行うことでそれぞれデメリットを減らすことができます。よってこれらを適切に行うことでブロックが病気を早期に治すことができます。これが私の打ち立てた進化生物学的な観点からの神経ブロック治癒理論です。神経ブロックと共に、局所に少量のステロイドを用いると、効果が絶大になる理由もおわかりいただけたと思います。ステロイドで血管透過性の亢進を抑えてあげなければ、局所が浮腫となり、血管が入り込めなくなって修復が遅れるからです。


ただし、問題は、医師の生活指導に患者が従わなかった場合です。痛みを取り除いてしまったがために局所安静を保ちません。そして悪化させます。この場合、責任は患者にあるのですが、現場ではほぼ必ず「あんたのブロック注射で症状が悪化した」と患者に訴えられます。こうした残念な患者の訴えがあるおかげで、医者はブロックすることを毛嫌いします。よって多くの整形外科医は気前よくブロック注射をしません。ペインクリニックでも日常茶飯事に訴訟事件が起こっています。


神経ブロックをするのなら、患者への生活指導を強化しなければなりませんが、安静を保ちなさいと強く言うことは患者と医師との人間関係が悪化します。よって開業医の先生方は収益が減ってしまうのであまり強く患者に生活指導をしません。よって事故が起こります。だからブロックをしない。という悪循環があります。とても悲しいことです。


痛みを伝える神経自体が壊れたら…

最後に軽く要点をつまんで解説します。痛みを伝える神経自体が損傷してしまうと人間はいったいどうなるのか?という話です。神経細胞は人体の中で「最重要組織」となっています。寿命ももっとも長いと言えます。細胞は自分が傷ついたことを痛み信号を送ることで脳に伝えますが、痛み信号を伝える神経細胞が傷ついた場合、どうやってそれを脳に伝えるのでしょう? しかも神経細胞は最重要細胞ですから、傷ついてもらっては困るわけです。だからこそ、神経細胞が傷ついてしまったら、脳に送るペナルティ信号が極めて強烈になることが予想されます。神経細胞の死は生物の生命維持にかかわるからです。


しかし、ペナルティ信号を送る細胞自体が傷ついているので信号が送れません。さあどうしますか?

これがわたし流の中枢感作の理論です。それは、周囲の神経細胞と結託し、温覚、冷覚、触覚、位置覚、振動覚など、あらゆる電気信号を痛覚信号に変換させて脳に送るということをやらかすのです。そのペナルティ信号は絶大であり、痛みに脳が耐えきれなくなります。


なんでもかんでも痛覚になってしまうわけですから、気圧や気温の変化が痛みに変わります。しかも、困ったことに、神経細胞が傷ついている場所は痛みが発生している場所と全く無関係です。よって医者が必死になって「痛い場所」を治療しようとしても、「何をやっても全く無効」となります。首をかしげた医者は最後に「精神異常でしょう」という結論を下します。


中枢感作部位をブロックする

神経細胞の損傷がどこで起こっているかを推測することは極めて困難なことです。なにせ痛みを訴えている場所は「損傷部位とは無関係」だからです。さらに、最悪なことに、神経が傷つくと、その神経の末端にまで炎症を起こすことができるところです。つまり、ぶつけてもいない場所に腫れと痛みを起こすことさえできるわけです。神経損傷はかくも複雑難解です。しかも神経は縦に長いので損傷部位を特定することがほぼできません。


さて、そのような現状の中、私は「二次ニューロン性の腰痛」を発見し、神経が損傷しているであろう場所を治療することに成功しています。例えば、足の裏の痛みの原因が肩甲骨付近の胸椎へのブロックで改善させることを成功させています。現医学の疼痛学の発想を超えた治療です。


それですべてがわかったわけではありません。正確に言うと、その部位にブロックすることでなぜ改善するのか?はわかりません。そしてわかる必要もありません。なぜなら、現代の稚拙な医学で、その理由がわかるほど時代が進んでいないからです。どこまで考察しても推測の域を脱しません。私のような臨床医からすれば、理由はどうあれ治すことに最善を尽くすのみです。お祈りをすれば治るのならそれもありです。


しかしながら私の治療論は進化生物学的な理論からの発想です。間違っていようと正しかろうと、どちらにしても現医学では証明できません。わからないことばかりですが、これが私の神経ブロック理論です。マネしていただく必要もなく、感銘していただく必要もありません。個々がそれぞれ趣味で考えてみてください。

2次ニューロン性腰痛症の発見

2017年治療成績

はじめに

私は「どんな治療薬、どんな神経ブロックを用いても治らない腰痛(疼痛)患者」を真剣に治療することを開始してまだ1年半しか経過していない。あらゆる麻酔科・ペインクリニック科の医師たちの高度なブロック注射に「全く反応しない痛み」を持つ患者たちは、全員が心療内科に送られていた。ここでいう「全く反応しない」とは、100%効果を発揮するであろう神経根ブロックを行ってさえも、全く痛みが変化しないという状況を意味する。つまり、神経を引き抜いたとしても「痛みが変わらない」ことを意味するわけで、そうした患者たちは身体具現性障害、うつ、などの病名をつけられ心療内科に自動的に送られることになる。その影響で本人も自分が精神的におかしいと思い込むようになる。


彼らは脳外科・麻酔科・精神科・内科…とあらゆる科をたらいまわしにされた挙句、最終的に精神科におさまり、大量の経口薬を処方される。私はそうした「現医学が見放した」腰痛患者たちを、「どこかに器質的な痛みの原因がある」と考え、本気で治療しようとして1年半が経過したわけである。


最初はてさぐりで行っていたブロック治療だが、奇蹟は起こった。なんと、あり得ないことに、胸部硬膜外ブロック(T3レベル)で腰痛、足底痛、しびれ、違和感が改善されるのである。つまり末梢神経が関与していない痛みやしびれ、不快感があることが推測されたのだ。


胸椎レベルには腰痛を起こす知覚神経(脊髄視床路)の軸索しか存在せず、神経細胞体は存在しない。よって知覚神経の2次または3次ニューロンの軸索が損傷されることによる幻の痛みがあることを発見したといってもよいだろう。腰痛や足の裏の痛みの原因が、腰よりもはるか上部の胸椎レベルにその原因があることなど、誰が想像するだろう。腰痛や足裏の痛みやしびれを訴える患者に対し、T3付近にブロックをする医師がどこにいるだろう。


しかし、私は脊髄視床路が損傷を受けて幻の(末梢神経が一切関与しない)疼痛を作り出すシステムがあることを臨床的に断定した。推定ではない。断定である。私の断定が医学的に通用するとは思わないが、「治らない疼痛」に悩む多くの患者たちの一筋の光となることを祈り、ここに記載する。他人任せではあるが、誰かが大学で真剣に研究すれば、この病態がすぐに解き明かされると思われる。そのきっかけになればと思っている。本文は「難治性腰痛症BICBの新治療概念」の続編である。


さて、そんなことは「あなたが言わなくてもアメリカの線維筋痛症学会でとっくに研究されている」と言うのであればそう言っていただいてかまわない。重要なことは治せるかどうか?である。治せるのならその理論はとっくに世界の常識となっている。


二次ニューロン性の腰痛の3例

私は3例のほぼ全く同じ症状を持つ患者を経験した。

  1. MRIなどで痛みやしびれに一致する所見がない。
  2. 神経根ブロックや硬膜外ブロックなどのあらゆるブロック注射で全く改善しない
  3. だるく不快な腰痛があり足底に痛みとシビレがあることが多い
  4. 腰ではなく胸部の硬膜外ブロックでのみ症状が改善する

※上に挙げた例はMRIで明らかな異常がない患者を対象としたので3例と少数になったが、MRIで多少の異常がある、腰部硬膜外ブロックが少しは効果があるというような例を合わせると、この1年半で同様な症例を10例以上経験している。


末梢神経が全く関与しない幻痛

本幻痛は幻肢痛とは異なる。足を切断したにもかかわらず、足の痛みを感じるという幻肢痛があるが、これは神経根がひきぬかれているわけではないので、神経根が炎症を起こせば、幻肢痛が出現するのは当然。これは神経根という末梢神経が関与している痛みである。よって幻肢痛は神経根ブロックで完全に消失させることができる。しかし、私が述べる二次ニューロン性の疼痛はシステムが全く異なる。脊髄視床路の主に旧脊髄視床路の軸索が損傷を受け、その損傷部位とは全く異なる遠方に幻の痛みを作りだすシステムである。末梢神経が関与しないわけであるから、胸腰椎移行部から末梢の神経をどれほど的確にブロックしたとしてもその痛みは全く消えない。


的確な神経根ブロックを行っても、全く痛みが軽くならない様子を見て、ブロックを行った医師は「原因は脳にある」と誤診することが確定する。末梢に原因がないのだから原因は中枢にあると考えるのは医師として当然である。しかし、それをいきなり「脳」のせいにするのは科学者ではない。脳と末梢の中間には脊髄視床路(2次・または3次ニューロン)が存在することを全く考えていないからである。


緩やかな脊髄損傷性腰痛

私は長年の研究の末、脊髄・脊椎不適合症候群の概念を確立させた(終糸症候群や平山病と概念が似ている)。その延長上に今回の二次ニューロン性腰痛の存在がある。つまり脊髄が尾側に引っ張られることによる張力と、胸椎の後弯カーブで後方の硬膜に圧挫されることによる物理的なストレスで胸髄のT3~4付近のニューロンが障害されて炎症を起こすことが原因であると考えられる。つまり緩やかな脊髄損傷である。


脊髄の損傷は走行距離が長いニューロンから障害されていくと推測する。つまり足裏や仙骨周囲に至る神経の二次ニューロンほど損傷されやすいと考える。さらに物理的に前索よりも側索や後索が選択的に損傷されやすいと思われる。それは胸椎の後弯から見て、前索はインコース、側索・後索はアウトコースを走行するからである。脊髄損傷であるならば、下肢の脱力や腱反射亢進も起こるはずだと思われるだろうが、まさに私の外来に来る患者はそうした症状も伴っている者が実際に多い(他医には原因は身体具現性障害と言われている)。そして、原因不明の四肢脱力の本格的な治療を行っている国内唯一の施設が私の診療所である。私の元に来院する原因不明の腰痛患者たちは、実際に腰痛以外にも脱力、心窩部痛、下痢、食欲不振、冷えなど様々な症状を訴える。それはまさに脊髄損傷が由来しているように思える。


脊髄視床路損傷について

脊髄視床路は外側(新)と内側(旧)があり、内側はC線維の痛みを伝えると言われる。患者の多くは鋭い痛みよりも鈍い痛みを訴えるが、基本的に幻の痛みであるのでどちらもあり得る。ただし、痛みが鋭いから外側、痛みが鈍いから内側と単純に考えてはいけない。基本的に脊髄視床路が損傷すれば、電気信号が伝わらないわけであるから、損傷=痛みというあまりにも単純すぎる思考をしてはいけない。信号が伝わらない場合は、別の神経を使って痛みを作りだすわけであって、その場合、痛みは鋭い・鈍い、どちらもありうると考える。その細かなシステムについては、未だに解明されていないが、「全てわかっているような顔をする神経生理学者」が、今後、システムを解明してくれることだろう(私は彼らを信じていない。なぜなら彼らは私のような臨床医を信じていないからである)。


脊髄視床路損傷のブロック治療

私は既に脊髄視床路だけではなく、錐体路障害についてもブロック治療を行っている。ALS様の脱力を来す患者に対し、ブロックを行うことで筋力を回復させてきた。同様に脊髄視床路についてもブロックで軽快させることができると信じ、「あらゆるブロックを行っても軽快しない腰痛患者」に対し、果敢に胸部硬膜外ブロックを行い、そして痛みを軽快させてきた。そう言っても学者たちは私の功績を信じないことは知っている。ある神経生理学者には「先生がハンサムだったらそれだけで痛みは治りますからね」と言われ、バカにされた経験があるくらいである。ここまで臨床医がバカ扱いされているわけだから、医学は進歩しない。


ではなぜ硬膜外ブロックで治るのだろう? その理由はストレス部位の血行が回復するからだろうと推測する。硬膜外ブロックにより脊髄動脈とその末梢が拡張し、血流が増加して阻血部分が回復するのだと考えている。よって、実際には硬膜外ブロックよりも胸部交感神経節ブロックのほうが効果が高い可能性もある。しかし、脊髄動脈の流入は個人個人で異なるため硬膜外ブロックの方が確実である。


二次ニューロン性上肢帯痛症

当然ながら、二次ニューロンの損傷による上肢の痛み、しびれが存在する。学会はそれを認めなければならないが、おそらく無理であろう。頸髄の場合、C1~2付近の緩やかな脊髄損傷で発症する。これもまた私の提唱する脊髄・脊椎不適合症候群の一つの派生形である。


二次ニューロン性の上肢帯痛・しびれはあらゆるブロックが効かないはずである。神経根ブロックを行ってさえも全く効果がないであろうから、患者は必ず心因性と断定される。もし、そうした患者にMRIで多少の椎間板の膨隆があれば不幸を招く。頸椎椎間板ヘルニアが原因の痛みやしびれ、と誤診されて手術され、治らないどころか悪化することになるからである。


腰痛・下肢痛に二次ニューロン性の痛みが存在するのなら、上肢痛・しびれにも二次ニューロン性のものが必ず存在する。その存在を認識せずに外科医たちが手術をしている現状は恐ろしい。基本的に二次ニューロン性の上肢痛は「上頚神経節ブロック」が最適であると思われる。しかし、その普及には難がある。私のような臨床医がこうした病態を提言しても、誰も耳を傾けないからである。


二次ニューロン性と感じたらまず治療を受けてみる

二次ニューロンは痛みの発生場所から相当離れている。よって、「足の裏が痛い」と主張する患者の背中に胸部硬膜外ブロックを行うことは、まるでキ○ガイじみている。よって、患者も私を信じないし、患者の家族はなおさら私を信じない。よって治療法を提示できたとしてもそれを受け入れないことが予想される(実際にそういう患者が存在した。患者の兄が整形外科医だったのでなおさら)。だが、まず、受けて見ないことにはわからない。もしも、これまでどんなブロックを行っても全く無効という症状があるのなら、一度は受けてみた方がよいだろう。


二次ニューロン性疼痛は少なくない

実際に、現在、身体具現性障害と診断され、精神科に入退院を繰り返す患者の中に、二次ニューロン性の疼痛患者が相当数存在すると思われる。彼らはあまりの苦痛のために、意識が薄れるほどの経口薬を要求する。それを与えられるのは精神科のみだからである。これらの患者にブロック注射を行うことは、医学界の蜂の巣をつつくことになる。それは、医師たちが今まで大誤診をし続けてきたことを認めることになるからである。世界の医師たちの権威を失墜させるだけの蜂の巣である。よって蜂の巣は誰もつつかない、つつけない。私も敢えて蜂の巣をつつこうと思っていない。だからひっそり、こうしてブログに書き留めるに終わっている。私は二次ニューロン性の痛みがあることを断定したが、他の世界の医師たちがこれを受け入れるにはまだあと50年はかかりそうである。


胸部硬膜外ブロックの治療効果

これまでどんなブロックを行っても軽快しなかった症状が、本ブロックで初めて軽快したという実感があるが、これが半永久的な治療へと実を結ぶかは今後の症例を検討していくしかない。胸髄に破損と炎症が起こっていたとして、本ブロックがその部位の組織再生にどの程度効果を発揮するのかは未知数である。脊髄脊椎不適合という物理的な障害をブロックでは取り除くことができないため、一次的に血液の循環を改善しても、すぐに血行不良に陥ると思われる。どの頻度でブロックを行えば、軽快するのかは、症例ごとの重症度にもよる。今後の研究成果を待つしかない。ただ、二次(上位)ニューロン性の痛みや運動障害(麻痺)に対する治療を行っている施設は、日本ではおそらく私のところ以外にはないと思われる。よって、これに該当すると思われる症状がある方は、ぜひ一度私のところに来院していただきたい。

 

ケナコルト(ステロイド)のリスクと効果

2017年治療成績

はじめに

ケナコルトをはじめとするデポメドロール、リンデロン懸濁液などの固形粉末ステロイドは炎症抑制の持続効果が極めて強く、絶大な効果を発揮することは知られています。しかし一方で副作用(腱断裂、関節破壊など)が懸念され、たやすく使用することのできない使い勝手が難しい薬剤です。その適切な使い方が普及していないために「一線を超えてしまう」ことがしばしば起こり、医療過誤となることも多いようです。ここでは、ケナコルトの適切な使用方法を研究している私が、使ってよい、使ってはいけない、の境界線について述べて行きたいと思います。ケナコルトを基準に話を進めますが、ケナコルト以外のステロイド、そして生物学的製剤などの免疫抑制剤なども同様です。


ステロイドの悪しき作用

最近用いられるようになったレミケードなどの強力な免疫抑制系の薬剤は「肺線維症」の副作用が警戒されます。肺の間質の細胞が膠原繊維に置き換わっていくために肺が固くなり呼吸機能が衰える疾患です。

免疫を抑制すると、死んだ細胞を処理する(免疫)作業が停滞しますので、細胞の死骸が蓄積されていきます。細胞の死骸は処理不可能なためゴミとしてその場に捨て置かれるしかありません。その際に死骸に細胞適応が生じて膠原繊維などになります。よって細胞が大量に急激に壊死する状態に免疫抑制剤を使うと、膠原繊維が体内に蓄積し、これが不可逆な血行阻害の要素となり周囲の壊死を進めるでしょう。

ステロイドが悪者扱いされるのは、このような壊死細胞のゴミ化を助長し、血行阻害がさらに進み、結果的に組織破壊がささらに進む恐れがあるからだと言えます。


ケナコルト(ステロイド)の善と悪の境界

ケナコルト(ステロイド)は適量を使用すれば、ほとんどが絶大なる効果を発揮して「善」となります。しかし、使い方をわきまえなければ「悪」に転じます。その境界がどこにあるかを知っておかなければなりません。

  1. ケナコルト(ステロイド)の善 浮腫軽減→局所の血行増進→死んだ細胞の処理が進む→組織が修復される
  2. ケナコルト(ステロイド)の悪 免疫抑制→死んだ細胞の処理が停滞→死細胞が細胞適応を起こし膠原線維などに置き換わる→無血管野ができる→慢性の機能不全→組織破壊が進展

この二つの善と悪がどちらに転じるかでケナコルト(ステロイド)の影響が変わると考えてよいでしょう。その境界は死んだ細胞の「処理が進むか停滞するか?」にかかっていることがお分かりいただけると思います。ケナコルト(ステロイド)が死細胞の処理にどう影響するか?が全てであり、ここを見極めない限り「ケナコルト(ステロイド)を使用する資格なし」となります。ステロイド使用資格は、運動器から、膠原病、耳鼻科、眼科、婦人科などすべての領域で同様であり、すべての科の医師がこの「ステロイドの善悪」について勉強しておかなければなりません。


ケナコルトの異物作用

ケナコルトは固形であり、その存在自体が組織内では異物となり周囲組織を傷つける存在であり、アレルゲンとなりうる物質であり、そして血行を阻害しかねない存在です(固形だからです)。よって、注入量が多いとそれだけで組織破壊を進めてしまいます。しかも、ケナコルトは解けて吸収されるのに数週間かかりますから、それらの悪しき作用も数週間持続すると考えます。よって第一に、ケナコルトは「可能な限り少量使用」としなければなりません。しかし、少量過ぎると効き目がなくなります。ですから、まずは「効果を発揮する最少量」を研究しなければなりません。最少量の研究結果はこのHP上にも記載しています。が、大雑把に言うと「1回量が数ミリグラム」です。これほどわずかな量で効果が出る理由はDDS(ドラッグデリバリーシステム)です。拡散せずに局所に留まり続けるからです。1箇所に1度に10mg以上となるようでは「多すぎ」ですのでご注意ください。ケナコルト1瓶は40mgまたは50mgですから、これらがいかに多すぎる量なのかがわかります。異物作用で局所に炎症が起こり、皮下にくぼみが出来てしまう例があります。たかが腱鞘内注射でさえ、ケナコルトの量が多いと異物反応が起こり後遺症を残すことを考えておかなければなりません。


患者の日常生活に分かれ目がある

ケナコルトやレミケードなど免疫を抑制する系の薬剤は「悪として働くか? 善として働くか?」は患者にも医師にとっても大変興味のあることですが、この境目は実は患者の日常生活にあるのです。その意味を以下に示します。

免疫抑制系の薬剤は基本的に「組織破壊が極めて激しい部位には使用してはいけない」という原則があります。この原則は知られているようで知られておらず、例えば能書きには「動揺関節には禁忌」と書かれています。動揺関節かそうでないかを判断できる医師はこの世にはいないに等しく、判断基準もなきに等しく、これを正しく理解すると「組織破壊が極めて激しい部位には使用してはいけない」と私は解釈します。

また、「感染箇所には禁忌」と書かれていますが、感染も物理的な破壊も、細胞にとっては破壊という異味では同じです。両者の違いは、感染の場合、細胞の破壊スピードが菌によってことなることと、物理的な破壊よりも感染の場合は二次関数的に破壊が広がる点です。

何が言いたいかと申しますと、緩やかな感染であれば「組織破壊が極めて激しい部位」の定義にはあてはまらないので使ってよいということです。


逆に、一見、動揺関節ではない関節でも、急速に炎症が進む場合は「組織破壊が極めて激しい部位となる」ことです。

組織破壊が極めて激しい部位では細胞がたくさん死にます。死んだ細胞(体内のゴミ)を食して回収する免疫系統をステロイドが抑制してしまい、組織の中に死んだ細胞の山を築いてしまいます。よって組織破壊の激しい部位では、「破壊をやめさせる」ことが治療の第一選択にしなければなりません。この第一選択をしていない状態でステロイド(ケナコルトなど)を使用すると次のようなことが起こります。


組織破壊が激しい部位ではプロスタグランジンなどの疼痛物質が盛んに作られますが、ステロイドはそれを抑制し「痛みを軽くさせて」しまいます。痛みを軽くさせることが患者の行動範囲を広げてしまい、結局組織破壊行為を推し進めてしまうことになります。

ケナコルトを使用すると、その消炎鎮痛作用も極めて強力かつ長期間持続します。よって患者が自ら行う組織破壊行為に歯止めが効かなくなり、結果、ケナコルトが「悪として働く」側に回ります。「痛くないことが害になる」ことの意味を知らなければ、ステロイドを使用するべきではありません。


ケナコルトが善になるか悪になるかの境界は、組織破壊のスピードに極めて依存していると私は考えており、その考えの元にケナコルトを使用した際は患者の日常生活指導を徹底するのです。急激な細胞破壊が起きている場所かそうでないかの見極めが、すべてのステロイド使用者に必要であり、その見極めはきわめて難しく、医学書にも書いておらず、よって見極めができないうちは気軽にステロイドを使用するべきではないと考えます。私はそれらを見極めるために、自らステロイドを研究してきました、では、実際の「善と悪の境界線」見極め方について述べます。


ケナコルト使用ガイドライン

私は、関節も靭帯も滑液包も腱鞘内も、全てケナコルトの使用量は一律にしています。1回1箇所1週毎にケナコルト2.5mgです。この週1回のケナコルト2.5mg投与を痛みが軽快するまで毎週行います。痛みが軽快した時点で隔週~月1回と投与間隔を開けて行きます。多くの患者は1回のケナコルト注射で痛みのほとんどが消失しますので、毎週連続投与になる患者はマレです。連続投与となる患者は自ら高度の破壊行為を行っていることが推定されます。


毎週ケナコルト投与しているにもかかわらず、痛みがとれない患者の場合、自ら行っている組織破壊行為が過剰と判断します。つまり、痛みを組織破壊の基準としています。ケナコルトは非常に強力に炎症を抑えますのでこれを4~8回連続投与で痛みがとれていないことは「極めて異常な破壊を行っている証拠」とします。このとき、ケナコルトが強力に痛みを抑制しているせいで患者が破壊行為を無理なく行えています。


この時、初めて、患者に対して「すべての行動を制限するように」命じます。そしてケナコルトの使用を中止し、わざと痛みを感じさせ、いかに自分の行っている日常生活が関節を破壊させているかを体験させます。この4~8回連続投与が一つの境界線であり、さらにケナコルトを続行すると、おそらく関節破壊は急激に進行します。つまりこの時点がケナコルト(ステロイド)が「悪」に変貌するポイントです。このポイントを無視してケナコルトを使用する世界の整形外科医たちが、患者に後遺症を残すのです。そしてケナコルト(ステロイド)が使用禁止とされてしまいます。


もし、この時点で患者が行動制限を守り、ステロイド抜きの注射で痛みを軽快させた場合、私は再びケナコルトの使用を考えます。それはケナコルト使用が「善」となるエリアに患者が戻ったからです。このような「善か悪かの境界線」は流動的です。疾患によっても異なります。そこで疾患ごとに境界線を研究していかなければなりません。


疾患ごとのケナコルト使用の境界線

アキレス腱治療の境界線:痛みが1ヶ月以内に再燃する時点が境界線、これを半年(6回)以上繰り返すとその後1年以内にアキレス腱断裂となる可能性が極めて高い。1ヶ月以内の再燃を数回以上繰り返す場合、ケナコルトが断裂までの期間を短縮させてしまう。


腱鞘炎治療の境界線:ばね指、ドゥケルバン、各伸筋・屈筋腱炎、腱鞘炎を1週間毎に再燃させることを6回以上繰り返すと断裂の可能性が高まる。ただし、リウマチやその他の膠原病体質があり、腱鞘炎を起こしやすい例ではケナコルトを使用しない状態でも断裂する。また、1週間以内に再燃することを4回以上繰り返す場合は要注意。


肩関節周囲炎:これまで肩関節周囲炎の腱板炎に肩峰下滑液包内へのケナコルト使用の例では毎週使用(1回に2.5mg)でも私の場合は腱板断裂を経験したことがない。腱板は断裂の可能性が低いと思われるが、易損性は高まると推測される。易損性が高まると転倒して肩を打撲した際に断裂の可能性が高まるので、一応、ケナコルトの毎週使用には3か月を限度とすることが望ましい。


変形性膝関節症:1回1関節にケナコルト2.5mgを毎週連続投与で4~8回が境界線。つまり治療を開始して1~2か月で痛みがほとんど軽快していない場合はケナコルトの使用を中止する。日常生活で厳重に安静を保つことを指導し、指導を無視するようなら一切の治療を中止することを辞さない強硬姿勢を患者に示さなければならない。その時点でヒアルロン酸注射に変更し、痛みが強くならない程度に運動量に自制をかけることを患者に約束させる。患者が約束を守り、痛みを軽快させた場合はケナコルトを隔週投与から開始する。


以上が整形外科領域のケナコルト使用ガイドラインです。しかし、実際はステロイドの使用ガイドラインが全ての科に必要であり、それを作成していない現医療体制ではステロイドの使用が「悪」に変わる例を防止することが難しい状態です。以下に、各科で検討していただきたいステロイドの境界線の例を示します。


ステロイドの境界線

ここではステロイドが体の組織にとって「悪」に変わるポイント(境界線)についていくつかの例を挙げて考察します。「悪」に変わるポイント=「ステロイド使用禁忌」を意味しますが、この「禁忌」と変わる点がどこにあるかを認識することは現医学界ではなされておらず、そのため、今も尚、ステロイド(レミケードなども含む)投与が病状を悪化させ、致死的な状態になる事故が水面下にたくさんあると思われます。これからの医学の進歩のためにステロイドをはじめとする免疫抑制系のターニングポイントを研究していく必要があると思われます。私は「組織破壊が極めて激しい場合」にステロイド使用を禁忌とすべきであるという原則を提唱し、おそらく世界で初めて、各科においてそのポイントを研究するガイドラインが必要であることを述べます。


内科系

末期癌

癌が組織の破壊を急激に進展させた場合、ステロイドの使用は悪液質をさらに悪化させると思われます。末期癌では悪液質を改善させるためにステロイド使用が望ましいとされますが、組織破壊が大量となり、悪液質が極めて進行するとステロイド使用で患者の容態が急激に悪化することがあると思われます。このターニングポイントはホスピスを担当する医師の研究で解明されていくでしょう。そして、末期がん患者のステロイドターニングポイントの研究は、ステロイドのターニングポイントは医師たちが想像しているよりも深い場所にあることを教えてくれるでしょう。

 

膠原病

膠原病とその周辺病(潰瘍性大腸炎など)ではステロイドだけではなく、免疫抑制剤の全てのターニングポイントを研究する必要があります。致死的なのは間質性肺炎(肺線維症)です。免疫抑制剤が肺線維症を増加させるポイントがターニングポイントであり、XPを用いて経過を観察するのではなく、その前に手を打つためのガイドラインが必要です。CPRやサイトカインなどを指標として、ターニングポイントの値を知る研究をすることが急務と思われます。

 

腎臓

ネフローゼ、IgA腎症など ステロイドを日常的に治療薬としている科では「組織破壊が急激な場合にステロイドが逆に組織を破壊する要因になる」ことを認識している医師はほとんどいないと思われます。ステロイド治療しても症状が改善されない場合はターニングポイントの可能性があり、ステロイド使用禁忌となる場合があることを研究していかなければなりません。

 

感染症

感染症の場合、ステロイドが禁忌と世界中の医師たちが考えていますが、この誤りをいち早く正さなければなりません。つまり、感染症の場合、ターニングポイントがゼロ地点にあると思われていることが極めて愚かな誤りなのです。

感染症の場合、たとえば、風邪をひいたとき、ステロイドの投与は劇的に症状を改善させ、完治までの期間を何倍にも短縮できます。つまり、感染症にもステロイドのターニングポイントが存在し、そのポイントよりも手前であれば、ステロイド治療は極めて優れた治療法となります。感染症にステロイド禁忌という愚かな定義を一刻も早くなくし、感染症でのターニングポイントを正しく研究する方向に医学が進むことを切に望みます。

肺結核でさえも、ステロイドが特効薬になることを認識しなければ医学は発達しません。なぜなら、たとえ愚かな医師たちが「結核にステロイドは禁忌」と叫んだところで、体内の副腎皮質では結核がアクティブな時はさかんにステロイドが生産されて分泌されているのですから。


耳鼻科系

突発性難聴では耳鼻科では大量のステロイド投与が常識化しています。しかし、ステロイドで治療しても大半は改善しません。ステロイドしか治療方法がないので原因が不明にもかかわらずステロイド投与している現実を直視しましょう。おそらく内耳神経核に関わる神経細胞の何らかの損傷(血行障害、長時間の悪姿勢による物理的な張力ストレスなど)で難聴が生じると思われます。しかし、神経細胞の損傷が急激である場合、ステロイドが神経組織の破壊をさらに進行させる可能性があると思われます。そうしたターニングポイントを研究せずに、ステロイドの大量投与が行われ、さらに改善率が高くない現状では、悪化したとしてもその原因がステロイドの投与にあると思われないところが問題です。

 

眼科系

視野狭窄や視神経炎、原田病などでは、進行を止めるために大量のステロイドを長期間投与することもしばしばあります。失明すると大変なので医師たちは「どんなリスクを侵してでも」ステロイドを大量に投与しようとします。しかし、そうして投与してもよくならなかった症例の中には、ステロイドの大量投与が原因で悪化したものがあることを真摯に認めて研究しなければなりません。ステロイド投与が失明を進展させるポイントが必ずあります。そのポイントを見極める研究をするには「眼科医たちに自分の首を自分で絞める」覚悟がいるでしょう。


ステロイドの真実

私はステロイドが悪に働くか善に働くかの境界が「組織の破壊量(スピード)」にあるとする新しい理論を提言しました。この提言を受け入れるには、医師たちが今まで「そうとは知らずにステロイドを大量に投与してきた罪を認める」作業となるため、極めて困難であると思われます。逆に、感染症では一律、全てにおいてステロイド禁忌という間違った理論が医学界に蔓延しており、「ステロイドを投与すれば助かったはずの人が肺炎でお亡くなりになる」というパターンが全世界に相当な数として実在すると思われます。感染症にステロイドを使用して人の命を救った英断ある内科医もいると思われますが、そうした内科医は必ず異端児扱いされます。整形外科領域では、私はステロイドの使用ガイドラインを真剣に制作することに取り組みましたが、やはり私は異端児です。

さて、ステロイドは使い方により善にも悪にもなり、そのターニングポイントを研究するという重要課題をこれまで先送りにしてきた医学界の罪を問わなければなりません。ステロイド大量投与の罪が問われていた時代は数十年前に終わりましたが、現在、医師たちにはそうしたステロイド使用のトラウマが残り、ステロイドのターニングポイントを研究するということ自体を禁止している状態が続いています。一刻も早く、この状態を医学界全体が抜け出すことを願っています。


追記:レミケードなどの生物学的製剤が各種開発され、免疫抑制系の薬剤が急激に進歩しました。当然ながらこれほど強力に免疫系を抑制できる薬剤は、ステロイド以上にターニングポイントを考えなければなりません。しかし、その研究は全くなされておらず、その被害者は増えて行くでしょう。残念ながら、現在は投与前に副作用を検討するのではなく、投与後に副作用が検討されている時代です。一刻も早くこのような状態を抜け出さなければなりません。

科学界に衝撃、医学界に激震、リンパ管組織発見

2017年治療成績


2015年、バージニア大学医学部で「中枢系リンパ管」という全く新しい組織が人間の体内に存在することが発見されました。まずはその詳細を転載します(GIGAMENより)。


新しい発見

医学・科学は目覚しい進歩をとげ、人々は人間の体について隅々まで研究・調査し、もう知らないことなどないと思われていた。だが2015年、米バージニア大学医学部の研究チームは、まったく新しい人間の体内組織を発見したと発表し、医学・科学界に非常に大きな衝撃を与えている。

新しい循環器、中枢系リンパ管

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実際に見たり触れたりすることはできないが、「中枢系リンパ管」と名づけられたこの新しい循環器は、脳から余分・不要なリンパ液を廃液する役目を担っており、神経疾患や免疫性をより良く知る上で重要な組織だ。米バージニア大学医学部の研究チームを率いるAntoine Louveau氏が、繊細な細胞を傷つけることなくマウスの髄膜(脳を覆う軟膜)をスライドにのせる方法を考案したが、その方法を用いて研究を行っていたところ、同研究チームが中枢系リンパ管を発見した。研究チームは驚いた。なんと人間の脳検体からも同じリンパ管が発見されたのだ。ユニコーンに偶然出くわすことに値するほどの大発見。


これまで、リンパ系組織は脳内には存在しないものとされてきており、今回の大発見は科学界では万に一つもない想定外の大発見であった。この組織自体がこれまでに発見されていなかったことはもちろん、その存在は教本上では「ありえないこと」として取り上げられていたのだ。では、この中枢系リンパ管がこれまで見落とされてきた理由とは?ずばり、中枢系リンパ管は深層部に存在するからである。


脳の内部および外部血管から血液を廃液する硬膜静脈洞内に中枢系リンパ管がある。また、主要血管付近にあるため、それら血管の影に潜んでいたというわけだ。医学・科学界における偉大な発見だということに変わりはないが、さらなる研究と調査が必要だと同研究チームは述べている。ただ、多くの人々を悩ませてきた多発性硬化症や、アルツハイマー病、そして自閉症などといった難解な疾患の数々を理解し学んでいく上で今回の発見=中枢系リンパ管の存在が大きな役割を果たしてくれるのは確かだ。


高齢化が進みアルツハイマー病を患う患者数が増え、また人々が自閉症についての理解を深め早い段階で認識することができるようになってきたことから自閉症患者数も増加しており、患者の家族らはこれらの病気にどのように向き合っていけば良いのか日々悩んでいることだろう。患者のためにも、患者の家族のためにも、今回の歴史を揺るがす大発見が今後またさらなる発見へとつながることを期待したい。

参照元;mental_floss


 

脊髄や末梢神経は未知

この偉大な発見は医学書を大幅に塗り替えるほどの影響力がありますが、世界の医学部の教授たちは自分たちの学説がいろいろと塗り替えられるほどの影響力があることに気づいていないか知らぬ顔をしているようです。なぜならそのことに気づいているのなら、日本の医学界にも激震が走っているはずなのに、皆平静だからです。まるで他人事のようです。この発見では、脳のリンパ系が発見されたのみであり、脊髄や末梢神経のリンパ系は未知のままです。しかし、10年以内にはそれらも判明するでしょう。リンパ系の発見が既知の医学学説に対して大きな影響力がないと思っているのでしょう。しかしそれは違います。


リンパ系は動脈と同列

末梢の細胞をミクロレベルで観察すると動脈から血漿成分が血管外に流れ出て、その液体が酸素や二酸化炭素の受け渡しを行い、ブドウ糖などのエネルギー源の受け渡しを行います。それらの液体がリンパ液となって排水されて静脈に戻るということで生体内の細胞は生き続けることができます。もしもリンパ系が詰まって、狭窄してうっ滞すれば、液体は停滞し、細胞は酸欠に陥り機能しなくなります。そういう意味でリンパ系は細胞の命の源であり、動脈と同列の重要な組織です。


中枢神経系にリンパ系が発見されたということは、脊髄や末梢神経にもリンパ系が発見されるのはもはや秒読み段階でしょう。これまで原因不明とされていた神経疾患が、リンパ系の炎症によるうっ滞が原因で神経細胞が壊死していく原理などが解明される可能性があります。そして既知の理論が間違っている可能性も暴露されていくきっかけとなるでしょう。


ブロック注射の副作用の怖さ

神経系にリンパ管が存在することがわかれば、神経ブロックの怖さ・副作用の怖さが現実味を帯びます。それは神経リンパ管に薬剤が入り、逆流して脊髄液内に薬剤が拡散する恐れです。恐らく、10年以内に髄液の排水経路として新たに中枢リンパ系が発見されるでしょう。その中枢リンパ系にブロックの薬剤が注入されれば、末梢から脊髄内へ薬剤が入り「脊髄麻酔」となってしまうでしょう。これが医療事故につながりやすいことは明白であり、中枢系リンパの発見は、「神経ブロックが危険な治療」であることを暴露することになりそうです。危険なのはブロック自体ではなく、気軽に行うブロックで脊髄麻酔がかかってしまうことを世界中の医師の誰一人として認識していないことが危険なのです。


造影剤で死に至ることを考える

整形外科ではおおよそ4年に1度、脊髄にウログラフィンなどの造影剤を入れてしまい、業務上過失致死となる事件が発生します。ウログラフィンには「脊髄禁」と表示されていますが、薬剤を吸うのは看護師であることが多く、医師も確認せず使用して事故が起こる場合があります。血管造影に用いられるイオパミロンも脊髄禁ですが、血管を造影しようとし、誤って中枢系リンパ管に造影剤を注入してしまうことが考えられます。その場合、造影剤は脊髄に流れてしまい医療事故となります。恐らく、そうして死に至った患者は世界中に少なくないでしょう。しかし、これまでの医学では中枢系リンパなど知られていなかったわけですから、脊髄に流入して痙攣をおこして死亡したとしても、その原因は単なる「アナフィラキシーショック」として扱われていたと思われます。血管造影で死に至った患者の中には、こうしたケースがあったはずであり、この推定的事実を考えると、本当はこのニュースがもっと大騒ぎにならなければならないほどの衝撃的な発見のはずです。なぜなら、血管造影は日常茶飯事に大病院で毎日行われているからです。


星状神経節ブロックで呼吸停止

私の知り合いの整形外科医から聞いた実話です。彼の家系は医者一家で、叔父が麻酔科医で星状神経節ブロックを得意としていました。彼の母は肩こりがひどく、叔父の麻酔科医が星状神経節ブロックをして差し上げました。すると、意識不明、自発呼吸停止のDOAとなり、すぐさま気管支切開をして呼吸を確保して命をとりとめたそうです。現医学では星状神経節ブロックで意識不明・呼吸停止となることを誰も想定していないと思われます。もしかするとその原因は中枢系リンパではないかと推測します。リンパ管に麻酔剤が流入し、脳幹の神経組織を麻痺させたのでしょう。こうした推測は中枢系リンパの発見があってこそできることであり、今までは「原因不明」とされていました。星状神経節ブロック後に意識消失する例はリンパ管を通して髄液内に薬剤が逆流した可能性を考えます。リンパ管に針が刺さることは確率的にはかなり低いので無視される可能性が高いですが、そうしたリスクの可能性を知らないことの方がリスキーです。無知ほど怖いものはありません。


ブロックでは不可解な副反応がしばしば起こる

私の経験上、ほぼ20人に1人に必ず起こる「仙骨部硬膜外ブロック時に耳が遠くなる」という現象があります。もちろん、現医学ではその理由はわかりません。仙骨裂孔付近の硬膜には静脈叢があり、それを指すと薬剤が静脈内に流入する可能性があります。しかし、明らかに静脈を指していないにもかかわらず、上記の現症は起こります。その理由はおそらくリンパ系への流入で麻酔剤(キシロカイン)が全身に回ったためと思われます。


また、私は腰部硬膜外ブロック後1時間の時間差で麻痺が起こることも経験しました。通常、硬膜外ブロックでは1時間程度で表面麻酔剤の効果が切れてきますが、本ケースでは1時間後に突然麻痺が出現して立てなくなりました。1時間後に脊髄麻酔がかかってしまったことは私の中では「摩訶不思議な事件」として心に残りましたが、その理由は硬膜外に注入した薬剤がうまく拡散せず、何らかの動作をきっかけに中枢系リンパに流入したと推測します。その他にも硬膜外ブロック後、時間差で麻痺が起こることを多数経験しており、これまでは謎でしたが、リンパ系の発見でつじつまが合うような気がします。


ブロックで半身不随になる事件

当HPへの投稿で、神経破壊薬を用いた腰部交感神経節ブロック後に半身不随の後遺症が残ったという事件があったことを知りました。施術者は「原因不明」の一点張りだったそうです。しかし、リンパ系が発見されれば、その理由はリンパ管経由で脊髄に神経破壊薬が流入したと推測します。神経破壊薬で脊髄損傷となったと思われます。それはめったに起こらない極めて悲惨な事故ですが、事故に遭った方の口惜しさを考えるとこういう事件を二度とおこしてはならないと思います。リンパ系が発見された現在、この類の事件がリンパ管を経由して起こるのだとすれば、うかつにボツリヌス毒素や神経破壊薬を用いてブロックをしてはいけないことになります。世界で行われている破壊的なブロックは、極めてリスキーなこととして扱われるべきであるかもしれません。リンパ系の発見はそれほど医学界に衝撃を与えるべきことです。


リンパ系から脊髄への逆流→事故を防ぐ

では、どうすれば麻酔薬がリンパ系から脊髄に流入して脊髄麻酔となってしまうことを防ぐことができるでしょうか? はっきり言いますが防ぐことができません。現在、治療後にふらつきやめまい、意識もうろうなどの現症が起こっている中に、リンパ系から脊髄に逆流したのが原因と思われるケースがおそらくかなりの件数あるでしょう。注入薬の全量が流入するわけではないと思われますが、一部が入ったという可能性を考えると、ブロックした人の2~3割にそういう現象が起こっている可能性も考えます。すると、流入を防ぐことは不可能なので、流入しても大丈夫なように安全性を高めた手技にすることが望まれます。そのための心がけをのべます。


ブロックの安全確立のために

  1. 頚部のブロックはトリガーポイント注射であっても慎重に行う
  2. 頚部へのブロックは可能な限り少量にする。具体的には1箇所2cc以下。
  3. 頚部へのブロックは高濃度の薬剤は使わない
  4. 可能な限りゆっくり(5分以上かけて)注入し、患者を観察する
  5. 可能な限り注入圧を低くする(逆流しにくくなる)

 

これらを守らなければ事故にしばしば遭遇するでしょう。よってブロックをする医師は安全確立を義務化する必要があります。しかし、中枢リンパ系が発見されてまだ間もないことから、こうした面倒な作業は麻酔科では敬遠されると思われ、世界各地でブロック事故はまだまだ起こるでしょう。


現実的に安全なブロックは難しい

ブロック手技には高度な技術が必要で、かつ時間がかかります。その上で上記のような安全ガイドラインを守るとなれば、現在の設定されている手技料では採算が合わなくなります。倍の時間をかけて行うことを義務付けるには、手技料金を倍にしなければ採算がとれないということを意味します。医療費で困窮する世界の国々が、そうしたことに賛同するとは思えませんから、上記の安全ガイドラインは無視される運命にあります。

無視されたとしても、事故の件数はどの道以前と同じであり、急上昇することはありません。ただただ、「急いで行うブロック注射は極めてリスキー」であることが判明しただけです。

中枢リンパ系の発見で、私は今後、さらに安全性に気を配りながら手技を行いますが、私と同じような考え方をしてくれる医師が、世間にどれほどいるのか?が疑問です。なにせ、リンパ系の発見がテレビニュースにもなっていないくらいですから。誰か、親切な方が、この意見を広めてくださることを願うのみです。

 

 

 

 

原因不明の「声が出ない(かすれ)病」の治療法

2017年治療成績

はじめに

声帯の炎症や腫瘍などが原因ではない「声のかすれ」「声が出にくい」症状があります。迷走神経の枝である反回神経が麻痺し声帯がきちんと閉じないことが原因と推測されますが、なぜ反回神経が麻痺を起こすのかが不明な例が少なくありません。これらは「突発性反回神経麻痺」といわれ「心因性」「ストレスから来るもの」という間違った診断がなされることが多いようです。自然に治ることもありますが、数年から数十年治らない場合もあります。私はこのような原因不明の声のかすれに対し上頚交感神経節ブロックを用い軽快させることができます。ここでは治療成功例を挙げ、声のかすれの病態を考察したいと思います。


症例1 62歳 男性

主訴:両上肢の激痛、両上下肢の脱力、左手の筋萎縮、嚥下困難、声のかすれ

 現病歴

1年半前から両上肢の痛みと両上下肢の脱力が出現、リリカ、トラムセットなど大量に服薬しても全く無効。「仰臥位になると腕がひきちぎられそうになる」ことからソファーで座りながら眠るということを1年以上続けている。半年前から声がハスキーになり、1週間前から唾を飲み込みにくい、冷たい水がのどを通らない、声がかすれてほとんど出ないという症状が出現したため上頚交感神経節ブロックで治療を開始した。

治療

1%キシロカインを上頚交感神経節に2cc×2(両側)を注射。これを1週間に3回行った。初回以降唾が飲み込めるようになり、3回目で声が出るようになった。


症例2 49歳 女性

主訴:上下肢の脱力、左半身しびれ、首肩背の強い痛み、そして数年前から声がかすれて出にくい

 現病歴

25年前に原因不明の体調不良に襲われ、それ以来首肩背腰の痛み(特に首肩が酷くこっている)、頭の締め付け、慢性疲労、無気力、動悸、立ちくらみ、これらが毎日ある。時々呼吸が浅く苦しくなる。これまで整形外科にかかっても何の効果もなく東洋西洋医学等、良くなると言われるありとあらゆる治療を試すが無効。首の牽引、ウォーターベッドのマッサージ、低周波の電気治療、ボツリヌス注射、整体、針灸などすべてが無効のため現在は心療内科処方の薬を服用。数年前から声がかすれ、しゃべると疲れて声が出なくなるという症状が出現した。どうせ医者には治せないだろうと思い、医師には診察を受けていない。

治療

1%キシロカインを上頚交感神経節に注射。その数分後にはしっかり声が出るようになった(完全ではない)。さらに胸部硬膜外ブロックを行い、上下肢の脱力が回復傾向となる。嗄声はまだ完治していないが、今後治療を重ねる予定。


症例3 73歳 女性

主訴:むせる、のみこみにくい、かすれ声

 現病歴

数年前から声がかすれるようになり、1年3か月前より液体を飲み込む際にむせやすくなった。体調が悪い時は時々食べ物をのみこみにくいという症状がある。今回1ヶ月前よりむせやすい状態が悪化してきたため私に相談。私は上頚交感神経節ブロックをすることを提案した。

 治療

上頚交感神経節ブロックを1度行うことで「むせやすさ」の症状は完全に消失した。かすれ声は「多少声が出しやすくなった」と述べるが一度の治療では少ししか改善していない。


かすれ声の病態生理

上頚交感神経節ブロックは人の交感神経節の中で最も頭側に位置する神経節です。内頸動脈をはじめ椎骨動脈、脳底動脈など脳・脳幹・延髄を栄養する動脈の平滑筋の支配神経である交感神経を麻痺させることにより、栄養動脈を拡張させて血流量を上げることができます。最も頭側の交感神経節であるからして、血管拡張作用は星状神経節ブロックよりも効力が高いであろうことが予想されます。私が上頚交感神経節ブロックを行うことでかすれ声を改善させることができる結果から逆に考察しますと、そもそも突発性のかすれ声の原因は脳幹(特に迷走神経核)の血流障害にあると思われました。ではなぜそもそも脳幹の血流障害が起こるのか?の原因は、私がこのHPで再三再四述べている「脊髄・脊椎不適合症候群」にあると思われます。すなわち、姿勢により脊柱管の全長が長くなり、脊髄の全長がその変化に追い付かず全長以上に引っ張られことにより強く緊張することが原因であると考えます。その結果、脊髄に続く延髄と脳幹が下方に引っ張られ、横断面積が縮小し、動脈の横断面積も縮小して血流障害が起こると推測します。


突発性反回神経麻痺の治療

突発性とはいうものの、上頚交換神経節ブロックで改善するのであるから、もはや突発性というネーミングは正しくないでしょう。突然に発生したかすれ声に上頚交感神経節ブロックが効果的なのですからもはやこの疾患は難治性の原因不明の疾患ではでしょう。脳幹の血流障害に起因していると思われます。


かすれ声治療の今後

声帯に異常のないかすれ声の治療には上頚交感神経節ブロックが第一選択であるべきと思われます。もちろん、このブロックでも治癒しない例が今後現れるかもしれませんが、今のところ私の症例では完治とまではいかないが「やや、効果あり」も含めれば100%効果があります。ブロックの回数と回復までの期間は迷走神経の損傷(虚血性の壊死)の度合いに依存すると思われ、慢性的に長期間経過している症状には、治療を繰り返さなければ効果が得られにくいと予測されます。また、根気よく治療を繰り返せば大抵のかすれ声を治せると考えます。かすれ声の治療は、まだ始めたばかりなので治療成績がまとまれば再び報告します。ひとまず、治療例を増やすために(患者を募集するために)時期尚早でするがこのような未熟な形で掲載させていただきました。


上頚交感神経節ブロックの安全性について

本ブロックは私が開発したブロックです。詳細は「上頚交感神経節ブロック」の項目に記載してあります。安全性に関しては「私が行う場合」に限ってですが後遺症を残すような事例は、開始6年以上経過していますが0です。出血による血腫、感染、刺入部の痛みなども0です。神経損傷もありません。長期(1年以上)毎週の治療でも合併症はありません。


注射後にめまい、むせる、顔面神経の一時的な麻痺、嗄声は時に見られることがありますが数十分以内に回復します。注射後動悸が約1時間続いたという経験が1例ありました。よって心疾患がある場合は注意したほうがよいかもしれません。注射翌日にリバウンドとみられる後頭部痛の例が三叉神経痛の患者にあるなど、多少の副反応が見られましたがどれも大きな症状ではありません。抗血小板、抗凝固系の薬を服用している場合は脳出血などに留意しなければならないと思われますが、出血例は0です。ブロック後の体調不良も0です。私はほぼ毎週、自分の首に上頚交感神経節ブロックを行い、安全性の確認を続けています。


本ブロックでは既製品では最も細い27G針を用い、そして組織を損傷させないように極めてゆっくり安全性を確認しながら針を進め、そして液体の抵抗のないところで圧をかけずに注射しています。よって注射の痛みはほとんどなく、注射後の違和感も出血もほとんどありません。自分の首に注射しながら安全性を日々研究していますので。


星状神経節ブロックと上頚交感神経節ブロックの違い

星状神経節ブロックも上頚交感神経節ブロックも頸部交感神経節ブロックという意味で同じようなものです。しかし上頚神経節ブロックは通常の星状神経節ブロックとは異なり、両サイドに行います。両サイドに行ったことで呼吸困難が起こったなどの事例は0です。星状神経節ブロック後のようなのど周辺の違和感なども起こりません。星状神経節ブロックでは胸部の血流も上昇させますが、上頚交感神経節ブロックでは頭・頸部のみの血流を増加させます。そのため、血流が胸部に盗まれることがない分、頭部の血流増加の効果が高いと思われます。さらに、星状神経節ブロックは左右のどちらかの血流増加を行いますが、上頚交感神経節ブロックでは両側の血流増加が期待できる分、星状神経節ブロックよりも効果が高いと思われます。


今後、かすれ声、声が出ないなどの症状がある方は、ここに投稿していただきますと幸いです。症例が集まれば、本治療法はゆるぎないものとなるのですから。

頭部を切断して別人の体に移植する頭移植手術(脊髄性筋委縮症)

 

はじめに

脊髄性筋委縮症(SMA)は私が主にブロック治療をしているALS様疾患とは病態生理が異なり、その病気の主体が脊髄の前角細胞にあるとされていますがALS同様運動ニューロンの障害が原因です。そして第5染色体に病因遺伝子を持つ劣性遺伝病であり(遺伝子以上がない場合もある)、およそ先天病です。SMAでは遺伝的に神経細胞のアポトーシスを抑制する能力が低いことが考えられています。しかし、基本的に「どんな組織も血流が多ければ修復されやすい(アポトーシスが起こりにくい)という原則が適用されると思いますので、私は脊髄性筋萎縮症でさえ、ブロックにより前脊椎動脈の血流量を増加させてあげれば、前角細胞の壊死することを食い止めることが可能であり、場合によっては進行を停止、または改善させることができると考えています。その矢先に「頭を移植する」というニュースが世界で話題となったので医の倫理や、今後の運動ニューロン障害系の疾患の将来の展望について触れることにしました。


頭の移植ニュースの詳細

頭を切り離して別人の体にくっつけるという頭移植手術プロジェクト、コードネーム「HEAVEN/GEMINI」を現実のものとしようとしているのは、イタリア・トリノにあるアドバンストニューロモデュレーショングループの研究者セルジオ・カナベーロ博士。セルジオ博士は、2013年に発表した研究論文の中で頭移植手術についての概要と実現可能性を説明していました。(出典:コモンポストhttp://commonpost.info/?p=70998)


この頭部移植手術を受けるのは、ロシア人男性ヴァレリー・スピリドノフ氏(30歳)。第5染色体に病因遺伝子を持つ劣性遺伝性疾患である神経原性の筋萎縮症「ウェルドニッヒ・ホフマン病」を患っているスピリドノフ氏は、1歳のころに診断を受けてから全身の筋肉が動かなくなりました。さらに筋肉が骨格を補助しないため、成長とともに骨格が大きく歪んでしまいました。


スピリドノフ氏は、体をほとんど制御することはできず、介護がなければ生活することはできません。通常、ウェルドニッヒ・ホフマン病の患者は20歳まで生きることができず、スピリドノフ氏は常に死と隣り合わせの状態です。そのためスピリドノフ氏は、今後も生き続けるために頭部移植のチャンスに賭けたいといいます。

スピリドノフ氏は、セルジオ博士の頭部移植手術に関する記事を読み、2年前にトリノ大学を経由してセルジオ博士に連絡をしたとのこと。その後は電子メールを介して情報交換を行い、手術の計画を立ててきました。


「怖いかだって?もちろん」と語るスピリドノフ氏。「でも怖いだけじゃなくても興味深いものでもある。私には多くの選択肢がないことを分かってください。私がこの頭部移植手術のチャンスを逃せば、今後の私の運命は悲惨なものとなるでしょう。私の病状は刻一刻と悪化しているんです」と述べました。


セルジオ博士によると、1970年代にアカゲザルを用いた動物実験で世界初の頭移植は成功しているといいます。しかし当時の技術力では、背骨を脊髄を上手くつなぐことができず完全に成功したとは言えませんでした。そしてアカゲザルは、8日間を生き延びたものの合併症によって死んでしまいました。


ところが現代においては、体を低体温状態にする技術を用いて頭を切断して体に血管を縫合する時間を確保し、「シーラント」と呼ばれる特殊な膜融合物質を用いることで、脊髄をつなぎ合わせて頭と体を合体させることができると説明しています。


手術中、体の頭は”眠った状態”となり、頭は12℃~15℃という低温保存されます。また、首の切断にはメスを使います。手術の手順は、まず体と頭が低酸素状態で生存できるように、45分間かけて体温を18℃にまで下げて患者を低体温にします。次に、頭の提供者と体の提供者の首を同時に切断します。このとき、血管などの首の組織を丁寧に切り離し、最後に最小限の損傷となるように慎重に脊髄を切り離します。頭部と体が完全に分離されれば、異なる頭部と体を結合。この際、脊髄には組織の修復を助ける「シーラント」と呼ばれる膜融合物質のポリエチレングリコールが塗られます。そして最後に、接合部分の血管と皮膚と縫合します。


患者は脊髄が繋がるのにかかる3週間~4週間の期間、絶対に体が動かないように固定され、昏睡状態を保ち続けます。この期間、脊髄の接合を促すため電気刺激が与えられ、頭と体の拒絶反応を防ぐために薬物が投与されます。セルジオ博士によると、治療後、患者はリハビリをすることで言葉を話し、1年以内に歩行することができるようになるといいます。


この手術を行えば、体が全く動かせない筋ジストロフィー患者などが自由な体を手に入れられることはもちろん、遺伝子疾患者、ガン患者、治療法が見つかっていない疾患を患う患者など、臓器移植で助からないような容態でも体の交換によって健康を取り戻すことができます。また体を提供するドナーは、脳死状態となっている患者を用いるといいます。セルジオ博士によると、この処置には100人以上の医者が関わり、全ての処置に36時間を超える大手術になるとのこと。治療費は、850万ポンド(約12億5000万円)を要するといいます。


セルジオ博士は、このプロジェクトを実現するためにアメリカ・メリーランド州で行われた神経学と整形外科の学会で計画を発表し、賛同者を募集しました。もちろん、多くの医者から非難の声が上がり、技術的にも倫理的にも大きな論争を巻き起こしました。多くの非難を集めるセルジオ博士ですが「非難する専門家たちは35年間にわたって身体麻痺の治療に失敗し続けてきた」「彼らこそ”危険な科学者”だと確信している」としており、批判の声に全く動じてはいません。


頭部移植だというアイデアだけ聞くと、突拍子もなく非倫理的な手術だと考えてしまいますが、具体的にスピリドノフ氏の状況を知れば頭部移植に否定的な人でも一理あることを認めざるを得ませんね。頭部移植という野心的プロジェクトを「心臓移植や腎臓移植と同じで倫理的なもの」「300通りの失敗を超えて301通り目の挑戦で宇宙空間に飛び出した世界初の宇宙飛行士と同じ」と語るセルジオ博士。単なる移植手術というだけではなく、人間というものの存在の根底とこれからの人間の在り方を見極めるうえでも、今後も頭部移植手術には注目です。


治療は成功している、見ていないだけ

セルジオ博士は「非難する専門家たちは35年間にわたって身体麻痺の治療に失敗し続けてきた」「彼らこそ”危険な科学者”だと確信している」」と述べていますが、私は少なくとも四肢脱力(身体麻痺)の患者たちと関わり、ブロックを行って麻痺を改善させることが出来ています(詳しくは「ALS様症例の1年間の治療成績」をご覧ください)。私に言わせれば「身体麻痺の治療に失敗し続けてきた」という発言は「井の中の蛙」であり、成功者がいたとしても信じないのはセルジオ氏の方でしょうと言いたくなります。自分が12億5000万円もかけて手術をしようと考えている時に、ブロック一つで身体麻痺が治る可能性があることを他の医師が忠告したところで、聞く耳を持つはずがありません。しかし、自分が同じ病気にかかったとしたら、「ブロックで改善する可能性」「ブロックで延命できる可能性」を知ったらどうでしょう?


新たなからだに脳を攻撃される

現代医学はまだまだ発展していません。脳神経細胞が再生することも最近になって言われ始めているくらいです。それほど私たち人間はまだまだ無知です。脊髄性筋委縮症は遺伝子が関与していると言われていますが、明らかな遺伝子異常がない場合もあります。遺伝子異常があったとして、アポトーシス抑制がうまく作動しないとして…それでなぜ「前角細胞だけが壊死していくのか?」も説明できていません。そのくらい無知だということです。無知であるということを知れば、脊髄性筋委縮症3型(軽症型)に第5染色体異常がどの程度関与し、何が原因で軽症となるのか?さえもわかっていないことを認めるべきでしょう。


それほど「何もわかっていない」状況であれば「頭部移植をすれば、前角細胞のアポトーシスの問題が解決する」という思考があまりにも浅はかでしょう。確かに、頭を移植すれば下肢を動かす神経の前角細胞は全て他人の細胞となるので下肢機能はアポトーシスを起こさないでしょう。しかし、例えば首の切断をC5/6で行えば、前角細胞のおよそC1からC7は本人のものとなりますから上肢のアポトーシスは抑制できません。上肢筋を支配する前角細胞のアポトーシスを防ぐには延髄付近で切断しなければならず、それでは脊髄を接合する縫い代が足らなくなるでしょう。


また、拒絶反応を抑えるために免疫抑制剤を投与し続けなければなりませんが、その場合、宿主は肉体の方で、脳が異物とみなされます。その理由は造血する骨髄のほとんどが身体側にあるからです。つまり、生体肝移植などとは明らかに拒絶反応の現れ方は異なり、免疫によって攻撃されるのは、「脳である」という歴然とした事実が立ちはだかります。免疫抑制剤は肝臓や腎臓など、体の一部を移植した際に、大量に投与されますが、その標的は「たかが腎臓、たかが肝臓」です。しかし、頭の移植では、全身の血液が「脳」を攻撃するわけですから、想像を絶する地獄のような苦しみを味わう可能性があります。この手術が成功するかしないかにかかわらず、術後の患者の苦しみは地獄となる可能性を予想します。


急激なアポトーシスの進行

遺伝子に異常があるのであれば、神経細胞のアポトーシスは普通の人よりも過敏であることが予想されます。脊髄性筋委縮症は「前角細胞に特有」とされていますが、アポトーシスになりやすい状況は、前角細胞だけにとどまらず、上位ニューロンも普通の人と比べればアポトーシスをおこしやすいと考えてよいでしょう。そういう体質を持つ患者に、身体を移植すると、血液が頭部の神経細胞を攻撃しやすくなるので、アポトーシスに拍車がかかる可能性があります。つまり、手術が成功したとしても、新たな上位ニューロンのアポトーシスが起こる可能性が高まると考えます。セルジオ博士は頭を移植して自分が歴史に名を残すことしか考えていないでしょう。だから、患者の病的な体質に関しては全く気にも留めていないと思われます。


患者を選出する際に「移植を承諾してくれる患者であれば誰でもよい」わけであって、患者の病的な体質は全く考慮にいれていないと思われます。なぜなら、この患者がわずかに1週間生き延びただけでも、歴史に名を残せるわけであり、この患者が免疫に「脳細胞が攻撃される」ことや「攻撃された際に他の一般の人よりも神経細胞が死滅しやすい」ことなど想像していないと思います。人として幸せを感じて生き延びることなどどうでもよいことであり、ただ単にセルジオ博士にとっては「頭と体を接続して数週間生き延びた」だけでいいわけです。


患者はアカゲザルではない

セルジオ博士はアカゲザルで頭を移植し、1週間生存させたことで一躍有名になったわけですが、アカゲザルは健康な頭と健康な身体の接合です。しかし、脊髄性筋委縮症の患者の場合、健康な身体と遺伝的に不健全な脳(神経細胞)との接合であり、移植された後に脳が障害を起こしやすいということを計算に入れてないと思います。


ナチスドイツを彷彿させる

戦争中は医学が発達すると言われます。捕虜を用いて様々な人体実験が可能だからです。倫理的に許されない手術や実験が平気で行われ、そのおかげでこれまで不明だったブラックボックスが解明されて医学が大きく進歩すると言われます。私たちは「治すために治療」するのであれば、倫理的に問題はないと思われます。しかし、今回の手術は「実験するための手術」と言われても否定できません。それはステップを踏んでいないからです。


「どの血管とどの血管を吻合させるべきか?」「手術の手順の優先順位はどれがベストか?」「人工心肺などを用いるタイミングやどことどこを人工心肺につなげるか?」「低体温でどこまで耐えられるか?」などなど、一つ一つの安全性確認があまりにもない状況で手術をするわけですから、それは治療ではなく「実験」なのです。さらに、患者は遺伝子異常のために、普通の人よりも脳細胞が死にやすいはずです。そうしたことをセルジオ博士は考えておられないでしょう。まさに、彼は実験したくてうずうずしており、その昂揚感でいっぱいで、「患者の幸せ」など考えている様子はないのではないでしょうか。


自殺願望と実験願望

医師は患者が承諾しなければ治療することができません。余命があまりない、からだが動かない、治すための選択肢がないという状況では一か八かのかけを考えるでしょう。しかし患者がこの手術を受けることは、今の医学レベルでは「自殺願望」とみなされ、セルジオ博士にとっては治療ではなく「実験願望」とみなされます。互いに「命を軽んじていること」という意味で共通しています。人の痛みがわかる医師に、このような手術はできません。


治療と呼ぶにはステップを踏まなければなりません。最低限、安全性に関するステップを踏むのが治療なのです。手術自体を非難しているのではなく、現医学水準では安全を確保することが不可能という時代にこの手術をすることに無謀さを感じます。


今ではアメリカ合衆国がアポロで月に着陸したことは、国家戦略的な嘘であったことは衆知のようですが…。もしも本当にあの時代にアポロで月に向かったら、どうなっていたでしょう? まずは月に向かう前に放射能汚染された宇宙帯を通らなければならず、飛行士は大量に被曝しておそらく死亡したでしょう。また、月の引力は地球の6分の1ですが、それでも、月に着陸してしまうと、月の引力からは脱出できない(脱出するほどの燃料を積むことができない)ので地球に帰ることは不可能だったでしょう。それ以前に、着陸の衝撃を耐えるだけの逆噴射できる燃料もなかったでしょう。つまりあのころの科学は月に行けるほどの水準ではなかったのです。


今回の頭の移植手術も同様です。100年後には行えるようになっているかもしれませんが、今はまだ医学の水準が頭の移植手術ができるほどに発展していません。


身体麻痺はブロックで

私はいまだ進行する前の軽症の段階での身体麻痺に対し、ブロック治療でそれなりの成果を挙げています。しかしながら、進行しきって筋電図や髄液検査、MRIなどで異常を認めて確定診断がつくところまでに達した患者の身体麻痺を治せるかどうかはわかりません。できるなら、身体麻痺は進行する前に早期加療を目指すべきだと思います。そして早期加療としてブロックが有効であることを世界に知らせて行かなければならないと痛感しました。

医学で米国より先に進む方法

はじめに

第二次世界大戦前、医学の最先端を行く国はドイツであった。その最先端技術を取り入れるために世界はドイツ語を学んだ。だから医学用語にはいまだにドイツ語が残っており、例えば酸度をあらわすphは「ペーハー」と呼ぶ。第二次世界大戦後、アメリカ合衆国が医学の最先端を行くようになったため医学用語には英語が用いられるようになった。米国の最先端医療技術が日本で実用化されるまでには種々の理由があって10年はかかる。つまり日本は米国より10年以上遅れた医療を展開することになる。しかし、米国には致命的な理由があってどう逆立ちしても日本よりも先に越せない分野がある。つまり日本が米国より医療技術で先に行ける方法がある。ここではその方法について述べる。


日本の医学はT大官僚制

日本の医学制度を牛耳るのはT大であることは衆知だろう。どこの医大も学長はT大卒が多く、学長ではない普通の教授もT大卒の割合が多い。その理由はT大が官僚とのつながりが強いためT大卒の教授ほうが行政を動かす(資金繰りや法制の網の目を抜ける)ことに都合がよいからである。T大の縦のつながり、横のつながりは想像以上に日本に強く根付いており、日本の医療制度を動かすためにはT大卒の教授をトップにしておくほうが都合がよい。そして最大の都市である東京都、公的な病院を牛耳るのもT大である。よって医学部の教授になるためには実績よりもT大卒であることが優先されやすいという実情がある。東京近郊の私立医大もT大卒の教授が多いので教授の選出投票ではT大卒の方が勝ちやすい。まさに「教授を目指すのであればT大」という図式が日本では出来上がっている。日本の医学界で出世したいのであればT大医学部に入学が必要条件であり、入学するためには幼少の頃から勤勉である必要がある。言い換えると医学界での出世はすでに幼少期に決定すると言える。


医学官僚制は資本主義からかけ離れる

日本の保険法制では、資本主義の自由原理が働きにくい。日本では保険制度は共産主義が貫かれており、生活保護受給者でさえ日本で最高の権威のある病院で最高の技術を用いた極めて高価な手術をほぼ無料で受けることができる。大企業の大金持ちと生活保護の患者が全く同じ医療」を受けるのが日本という国の習慣である。これは弱者優先とも言える共産制度であり、生活保護者・高齢者。児童の方がお金を稼ぐ労働者たちよりも手厚い医療を受けることになる。その理由は彼らが「何曜日でも病院に通うことができる」からである。そしてお金は保険がほぼ全額支払うので病院側としては「もっとも金払いのいいお客様」になるからである。医療費が高額になってもそのほぼ全額を保険側が負担するので患者は「お金の浪費感が皆無」となるため、「高額な医療を受ければ受けるほど得」という原理が患者と病院側双方に働くようになる。生活保護者・高齢者・児童は病院と蜜月の関係にある。よって日本ではお金持ちよりもお金を全く生み出せない患者の方が手厚い医療を受けられる状態となっている。これは極めて資本主義からかけ離れており、極めて善意の共産主義(弱者にこそ最高のお金を掛ける)となっており、そこには競争原理が働きにくい状況が発生している。


競争原理とは「よい医療を行うと病院側の利益が上がる」という原理を意味する。資本主義では「素早く完治させることのできる優れた医療技術ほど高価」であることが当然である。しかし共産主義では「治さない治療で延々と通院させる医療技術ほど高価」となる。しかも、混合治療が許されていない現在、金持ちがいくらお金を積んだところで「同じ医療」しか受けることができない。お金を積んで贅沢が許されているのは日本の法制では「差額ベッド代」のみであり、「豪華なホテル級個室で医療が受けられる」というだけのことになっている。肝心な医療技術となるとどんなお金持ちであっても身分が高くても「生活保護受給者」と変わりない内容になる。


「日本という国に生まれたことを感謝しなさい」と私はよく「後期高齢者」に説教している。なぜなら、高額な医療を受けることに「もうしわけない感」さえ持っていない患者が多いからである。自分のふところが痛まないからと言って、湯水のごとく高額な医療を受けようとする彼らの態度に怒りを感じてしまうことがある。


ここに挙げた例はほんの一例にすぎない。日本の医療制度は弱者を利用して国からお金を吸い上げるシステムとなっていると言われても反論ができない。事実、弱者ほど病院にとっては「おいしい患者」となる。その制度を作っているのは官僚でありT大卒者たちである。なぜそうした共産主義の医療制度を彼らが作り上げたのか? その理由をここでは追求しないが、共産主義はそのシステムを牛耳る者が民衆を完全支配できる。支配者側だけが特権を得られるのが共産主義国家の特徴である。こうした特権システムと密接につながりがあると思われる。つまりT大卒が民衆を「健康、つまり命を媒体として」支配でき、官僚(支配者側)が特権階級者となれることを意味する。資本主義ではお金を媒体に競争原理が働くため「安定は崩れ競争が激化」する。そうなるとT大を頂点とした支配体制が崩れてしまう。その辺が関係あるのではないかと私は推測する。


保険制度は治さないほど儲かる

共産主義医療体制の短所として、「患者を治さない、弱者を囲う」ことが医療従事者に最大の利益をもたらすというものがある。それが日本の医療制である。日本の医療制度を悪いとは言っていない。そのおかげでどんなに貧しい人でも最高水準の医療が受けられる。それはそれは慈悲深い国であり神様仏様の国と言っていい。しかし、高齢者の病気はほぼ治らないので、まさに高齢者を手厚く接待することで病院は国からお金をいくらでも頂戴できてしまう。しかも高齢者は職がないので毎日でも病院に通うことができる。まさに高齢者は病院に富をもたらす。超高齢化社会の日本では、弱者である後期高齢者の人口割合があまりにも増えた為、後期高齢者を利用して国からお金を引き出す商売が生まれてしまったのである。官僚たちもそこまで予期できなかった。


さて、単純に考えてほしい。あなたが開業医の立場であったとして…来院した高齢者を初診で1回の治療で完治させてしまったとする。これでは経営が成り立たない。「治さないで何日も通院させる」ことが儲ける方法である。この経済原理が働いているうちは「即効で完治させる治療法を開発しよう」という意志が生まれない。つまり、現在の保険制度では「開業医から新しい治療法が開発される」という状況にならない。これが日本に世界最先端の医療技術が生まれない理由となっている。競争原理が働かないからである。一方アメリカでは国家の保険制度がとっくの昔に破綻しており、代わって民間の保険会社が医療費を支払うシステムになっている。つまり「よい医療を行えば、儲けが増える」という資本主義になっている。お金をかければかけるほど最先端の技術、そして最高の技術を持った医師に即刻診てもらえる。そして最高の治療技術を持った医師は大金を稼ぐことができる。よって医師は「患者を早く治す最先端技術」を身に着けようと切磋琢磨する。だから米国の医療技術は世界の頂点を走ることにつながる。


高い技術が全く評価されない日本

日本の医師は自分の治療技術をどれほど極めても「給料は一緒」という不遇が待ち構えている。そしてさらに、「どれほど高い治療技術を身に着けても出世は不可能」という不遇も待ち構えている。この二つの不遇を医師の立場で言い換えると「高い技術と知恵を身に着けるほど自分の技術の単価が安くなる」→「高い技術と知恵を身に着けるほどプライドが傷つく」ことになる。よって日本の医師が真に高い治療技術を身に着けようと思えば「早期にプライドを捨て去る」という精神修行が必要になる。つまり自己犠牲である。日本人医師の技術力は自己犠牲なしでは高まらないという宿命を帯びている。まさにサムライ日本である。私はサムライの医師たちを知っている。自己犠牲の極地に立つ医師たちを知っている。そしてほとんどのサムライ医師はT大卒ではない。T大卒の医師に「早期にプライドを捨て去る」ということは不可能だからであろう。よって最高の治療技術を持つ医師はほぼ必ずT大卒以外となると思われる。陛下の心臓手術を行った医師のことが記憶に新しい。この法則が正しいかどうかは、実際に世間を見渡せばわかることである。もちろん、T大卒の医師は優秀であることは認識している。しかし、官僚体質が邪魔してしまいサムライが育ちにくいのではないかと分析する。


官僚制度が医師の成長を妨害

私はおそらく注射技術では日本でトップクラスであることを自覚している。それは他の有名な医師たちの治療で治らなかった患者たちを注射1本で次々と改善させていくことで実感しているだけであり、コンクールに出て優勝したからではない。あしからず。さて、トップクラスに昇るのは「それほど苦労がなかった」ことも実感している。私がこのHPに書き溜めた論文の数々は、最近8年間で作成したものである。たった8年で誰の手も借りずにトップクラスに昇ることができるわけだから「それほど苦労がなかった」と言える。スポーツ・芸能界や芸術界と比較すると、極めて少ない労力でここまで来ることができた。


最初に断っておくが自慢話をしているわけではない。私は日本という国で自分の医療技術の自慢をしても「一切得にならない」ことを熟知している。自慢ではなく、事実、自己犠牲を承知で治療技術を研究した結果、あまりにもあっけなくトップにたどりついてしまうことに対して、違和感を抱いた。


なぜなら、医学界は頭脳労働の頂点を極め、勉強に研究に精を出しつくした者たちの集まりであり、それほど頭脳競争が激しい場所で、こんなに簡単にトップに行くのは「何かおかしいのでは?」と感じた。その疑問が今解けたのである。「官僚制度が医師の成長を妨害している」ことに明解に気づいた。


日本の医療は共産制となっている(これは開業して初めて気づいた)。医療技術の全てが保険請求手技の中から選ぶしかないという状況なので、「この病気にはこの治療を何回まで」と決められている。つまり病名が決まれば治療法も回数も決められていて、全国どんな医師が治療しても、その治療法は一律「同じもの」となる。医師が教授であれ日本医師会の会長であれ、一般開業医であれ、「病名と治療法」が明確に決められていて「保険制度が決めている医療行為以外のことを行えば厳罰に処す」という構えになっている。だから新しい医療技術を開発する余地がなく、どんな名医であったとしても決められた治療しかできない国となっている。共産制なので医療技術が均一化されており、「出る杭は打たれる」ことになっている。「出過ぎた杭は厳罰に処す」体制でもある。


つまり医師たちは自分の技能を磨くことを国の法律で禁じられているに等しいわけである。もちろん、保険制度に逆らい、全て自費で行うと言うのであれば医師は法律の枠の外に出られて自由である。しかし、自費診療では患者が来なくなるのでまさに「自殺行為、自己犠牲」の極みである。私の言いたいことがわかっただろうか。私が「自己犠牲を武器」に医療技術を磨いてきたが、それほど苦労なくトップに立てた理由が、他の医師たちは「成長を止められている」からだった。それに今やっと気づくことができた(何と気づくのが遅い!)。


日本は教授天国

日本の保険制度は共産主義であることは前述した。共産主義は民衆、特に貧困層にアメを与えて支持を得て、支配者階級が絶対的支配権を得るために存在することは今では常識となっている。言い換えればT大卒が絶対的支配権を得るために保険医療制度が共産主義のまま維持されていることは有利と考えていいだろう。


さて、医学部の教授はその絶対的支配権の象徴である。一般の企業では絶対に許されていない「医局員を自由にクビにできる権力」「博士号をニンジンにして自分の利益になる研究だけをさせていく権力」の絶対的権力が与えられ、それは労働基準法の法外に置かれている。よって医局員は全員がイエスマンとなる。医師というエリートたちを自分の奴隷のように扱ってよい権限は、男のロマンであろう。おそらく県知事になるよりも快感が大きいのではないだろうか。


そして教授にのみ「新しい治療法開発」の権限が与えられていると言っていい。大学内は治外法権。つまり保険制度が厳格には適用されない。倫理に反しない限りほぼ何をやっても許される場所である。正確には保険制度が適用されていないわけではなく、保険の監査が甘くなるように仕組まれている。大学は保険の監査から逃れられる聖地(安全地帯)である。よっていくらでもごまかせるという意味である。だから新しい治療法を研究し、医局員の力を借りて論文を立派なものに仕上げることができ、それを有名雑誌に発表して名誉を上げて行くことができる。


そして、日本での最大の恩恵は…他の医師たちが去勢されているということ。教授以外の医師たちは自分の意志で保険外の治療を行うことは非常に困難な状況である。だから新しい治療法を開発することはなかなか難しい。大学でのみ新しい治療法が開発される。よって教授は少ない労力(競争力)で日本トップの権威と業績を得ることが出来てしまうという仕組みがある。T大卒であればそうした特権へのレールが敷かれている。そして保険制度を牛耳るのもT大卒である。まさにT大が他の医師の成長を妨害し、T大卒の医師が教授になりやすい母体を作っていると言えるかもしれない。それを強固にしているのが保険の共産主義制度と言えるだろう。


何もそれが悪いと言っているわけではない。そのおかげで日本は慈悲深い国となっていることは素晴らしい美徳である。だがそれは日本に潤沢な国家予算があることで初めて可能なことであることを認めなければならない。日本は莫大な赤字を抱えている状況であり、このままでは保険制度によって国が食われて倒れてしまう。よって保険の共産主義は終焉に近づいていると思われる。


混合診療は妨害される

国は混合診療解禁に向けて動き出している。が、それが阻止される理由は明白である。T大を頂点とした医療の支配体制が崩れるからであろう。混合診療が解禁になれば、お金を持った者がよい医療に高額な治療費を支払うようになる。そうなれば医療技術の高い医師が有利になり、T大卒の医師が有利な世界が消滅する。医師であれば誰もが医療技術の向上を目指して治療法を競って開発する時代となってしまう。治療法開発はこれまで教授の専売特許であったのに、それが民営化されるに等しい。T大卒であれば教授になれた時代が終わる。医療の自由競争が始まる。官僚の解体である。当然ながら混合診療の法案は妨害される。しかしその妨害も財政赤字には勝てないかもしれない。


サムライ医師にしかできないこと

保険制度が根強く息づいている現在において自己犠牲を武器に医療技術を磨くことは「真のサムライ」にしかできない。そう、天皇陛下の心臓手術をされた天野先生のようなお方がサムライであると思う。サムライ医師が全国の各地に少数だが存在することも知っている。彼らは自分の命を削って腕を磨き普通の医師にはできないような高度な技術で患者を治療する。だが、彼らはその「あり得ない程優秀な技術」を持っているにもかかわらず、あまりにも不遇な人生を歩んでいる。命をすり減らしているのに給料は普通の医師と一緒。そして権威も何もない。まさに不遇であるが、彼らは不遇を武器にしている。


こうした不遇を武器に自己犠牲で技術を磨いていくことは米国の医師たちの精神では無理である。米国の医師たちは資本主義に毒されており、不遇。不経済を極めてストレスに感じる国民性を持っている。技術があれば認められる世界に生きていると、技術を磨いても全く評価されないことに耐えることができない。よって日本のサムライ医師は米国の医師には逆立ちしてもできないようなことができる。サムライスピリッツがないと治療できないものがある。その分野では日本が米国を抜いて世界の頂点に立てる。その一つのヒントが信頼である。


日本のサムライ医師は神である

お金儲けを考えず、相手の身分も関係なく、ただ目の前の患者を全身全霊で治療する医師の姿は患者の心を打つ。そこには米国の医師と患者にはあり得ないような信頼関係が生まれる。サムライ医師は自分のことを神とは絶対に思わない(プライドを捨て去っているから)が、逆にその姿勢が「神」である。一方米国ではお金を媒体として医師の治療が存在する。つまりビジネスである。どんなに優れた医師でも「神」ではなく商売人に落ちてしまう。そして医療ミスを起こせば即刻訴訟される。米国医師はお金に関してハイリスクハイリターンである。


ところが日本ではサムライ医師は患者との心の信頼関係を築くことができる。そのため患者は理屈抜きでお金抜きで意志を信頼し、自分の体を実験体として差し出す傾向がある。


例えば「私は認知症をブロック注射で軽くさせる技術を持っていますが、やってみますか?」と患者に問いかけたとする。米国なら「ブロック注射が認知症に効果があるわけないでしょう。エビデンスはあるのですか?」と返答されるところを、日本では「先生が治療して下さるならぜひお願いします」となりやすい。これが信頼関係である。私はそうした信頼関係から、様々な治療法をあみだすことになる。認知症・脳梗塞治療から耳鳴り・ALSの治療まで…難治性のものを軽快させることができるようになったきっかけは信頼関係である。信頼関係がなければそもそも新しい治療を患者は受けてくれない。


米国の医療技術は日本の10年先を走っているが、おそらく私の医療技術は米国の10年先を走っている。それは自己犠牲からしか生まれない治療法があるからである。米国の医師に自己犠牲は難しい。


米国線維筋痛症学会は斬新な発想を次々と提唱し、痛みの原理を解明しようと頑張っているが、私はすでに「解明ではなく治療」に駒を進めている。彼らが治せない線維筋痛症の症状も、一歩進んで治しにかかっている。一歩先に治療の駒を進められるのは患者との信頼があるからである。私も「自分を信頼してくれる患者を責任を持って治療しよう」とするのできちんと研究せざるを得ない。だから米国にはないような調査・研究を米国にさきがけて行える。サムライ国家日本ならではの最先端医療技術が、おそらく全国各地のサムライ医師の元にあると信じている。ただし、それらの技術は共産主義の保険制度、それを支える学会の圧力で表には出ない仕組みになっている。私はそうしたサムライ技術をなんとかして抽出し、発表していきたいと思っている。


サムライ医師が出世できる時代

サムライが不遇である時代をどうにかして打開しなければと思っている。自己犠牲はさすがに悲惨である。寿命も短縮する。それを可能にするのが混合診療解禁であると思われる。そして若い医師たちはたった今からサムライを目指して修行してほしいと願っている。サムライが世界に出る時代を作り、日本が医療界で世界のトップに立つ世の中を見てみたい。私が生きているうちにかなうかどうかはわからないが、サムライ医師にはそのくらいのパワーが秘められていると信じている。

捻挫後に長引く腫れへの対処法(自己免疫性関節炎)

2017年治療成績

外傷後自己免疫性関節炎(新しい病気の概念)

 はじめに

手や足・指などを捻挫した後に腫れや痛みが数ヶ月経過しても引かないということが経験上、全捻挫受傷者の約1割前後に存在すると思われます。加えて捻挫した箇所の周囲にまで腫れが拡大し、腱鞘炎やコンパートメント症候群様のしびれなども出現することがあります。症状が軽快しないどころか、炎症が広がっていく1割前後の捻挫患者では、意外にも見た目には軽度から中等度の腫れや出血の捻挫であり、重症に見えないという特徴があります。よって担当医には「たいしたことがない」と思われ、患者は不安を募らせて他の病院にセカンドオピニオンを訊きにまわるようになり、医者不信になるようです。このような外傷後の炎症の拡大にはおそらく患者の自己免疫に問題があると思われます。つまり自己免疫に過敏性のある例に発症しやすいと推測します。全く新しい概念です。しかしながらリウマチやSLEなどの検査では陽性となることがほとんどなく、採血データでは診断がつきません。そこでこれらの病態を外傷後自己免疫性関節炎と名付けその仕組みを推測し、治療法について述べたいと思います。


外傷後自己免疫性関節炎の概念

捻挫や打撲などの外傷後、外傷部位を中心として関節炎、腱鞘炎、滑膜炎、などを起こし数ヶ月以上腫れや痛みが引かない状態。かつ痛風結節が否定的で明らかな原因がない場合本疾患を考えます。CRP陽性や補体価が上昇することもありますが膠原病に特有な抗体は陰性のことが多い。自己免疫の過敏性の原因として金属アレルギー、シックハウス症候群、病巣感染などの後天的な要素も考えられますが、多くは先天的な自己抗体の過剰反応に起因していると思われます。


診断基準

  • ・捻挫後6週間以上経過しているのに腫れや痛みが全く治まらない
  • ・外傷の箇所の周囲や対側にまで不可解な炎症(滑膜炎など)が広がる
  • ・関節腫脹がある
  • ・コンパートメント症候群を合併することがある
  • ・「透き通るような白い皮膚」の外観がある(自己免疫過敏性により皮膚のターンオーバーが早くなっているため)。
  • ・朝のこわばりの経験がある
  • ・腱鞘炎の既往がある
  • ・痛風や感染症が除外できる
  • ・腫れや出血などの見た目による重症度が軽度から中等度

病態生理

過敏な自己抗体(膠原病体質)があり、外傷をきっかけに自己抗体が活性化され、局所の滑膜・腱鞘などに強い炎症を引き起こすと思われます。過敏な自己抗体は先天的なものと後天的なものがあると思われます。先天的なものを私は膠原病体質と呼びますが、現在の医学水準ではその体質を診断できるツールがありませんので「膠原病」とは診断不可能です。世の中にはこのように「自己免疫の過敏性を持ちながら各種膠原病とは診断されない」膠原病体質の人が膠原病の診断がついた人の何十倍もおられると思われますが、現医学水準ではそれを病気として診断できないことが悔やまれます。異常はあっても診断がつかない過敏な自己抗体を持つ人がたくさん存在することを広く認識していく必要があると思います。おそらく補体価などがわずかに上昇していると思われます。


自己抗体が過敏であると細胞のターンオーバーが全体的に速くなります。そのため目に見える皮膚細胞は「透き通るような白い皮膚」であることが多いでしょう(ターンオーバーが早ければ若い細胞の割合が増えるからです)。よって自己抗体過敏体質の人は肌の見た目年齢が若く、青白い皮膚をしている傾向があります。この特徴により、見た目である程度わかります。


後天的には金属アレルギーやシックハウス症候群、病巣感染など、アレルゲンが原因で自己抗体が過敏になっている場合を考慮します。過敏な自己抗体が捻挫をきっかけに損傷した細胞に過剰な貪食活動を開始すると同様な病態になると思われます。後天的な自己抗体異常ですが、実際の診察室で捻挫後に痛みと腫れが遷延している患者を診て、アレルゲンが原因だと推測する整形外科医は世界を探しても皆無と思われますので、本疾患は決して見つからない(診断されない)と思われ、自己抗体の過敏性を証明することは現医学水準では不可能でしょう。ですが、実際には少なくないと思われます。


自己抗体が過敏であると損傷した組織周囲に過度の炎症反応が起こり、その炎症が関節、または関節周囲に波及します。症状は腱鞘炎、滑膜炎、関節炎、コンパートメント症候群などを複合します。そしてこれらの炎症が摩擦を上昇させ、炎症が引きにくい状態となって慢性化します。また、痛みは交感神経を興奮させ、血管を収縮させるために阻血状態となりやすく、筋・腱・骨組織が萎縮します(必発ではありません)。


外傷後自己免疫性関節炎の治療法

関節内ステロイド注射(ケナコルトなど)が著効し、一度の注射で腫れが速やかに劇的に消退します。基本的には腫れと痛みの強い箇所+関節内注射を行います。ステロイドの軟膏も有効でしょう。本症と診断されない場合でも、捻挫の痛みが遷延する場合、ステロイドの関節内注射は早期回復に極めて有効ですから捻挫後4週経過しても痛みと腫れが引かない場合、8週間待ってから注射治療する必要はなく、4週経過の時点で関節内注射などを行えばよいでしょう。鑑別すべきは感染症、痛風などですが、感染症の場合は熱感と発赤が強く出ますので、それがないようならステロイドを用いてもよいでしょう。


外傷後自己免疫性関節炎の問題点

捻挫などの外傷後に関節周囲が腫れていたとしてもそれを自己免疫の過敏反応であると診断する医師は皆無です。よって本症の発見は常に後手に回ると言えます。つまり腫れている理由がわからないまま長期間放置され、痛み反射が交感神経を刺激して血行不良を起こし、筋萎縮・骨萎縮などをきたします。早期にステロイド(ケナコルト2.5mg~5mgなど)を関節内・腱鞘内注射すれば萎縮せずに済んだものを、放置させて萎縮させることになるのが通常でしょう。そうした被害者を一刻も早くなくしていくことを目的として、本疾患の存在をここに発表しました。そして本症は日常難病を多く診察している私の勘から発見した病態ですから社会的な信憑性が低いことが問題点です。これを読んだ医師たちの投稿を寄せ集めることで科学的な証明となりますので、医師・患者様の投稿をお待ちしております。


捻挫後長期腫脹・疼痛の方々へ

捻挫などの外傷にステロイドを用いて早期に治療するという考え方が現医学にありません。しかし、痛みと腫れが強いままで放置すると関節周囲の組織が萎縮し、回復が大幅に遅れます。よってステロイドを使用できる医師を探し出すことが早期治療の条件となります。本症と類似の病状をお持ちの方はぜひ私にご一報をいただけると幸いです。私に治療させてください。ご連絡お待ちしています。

スポーツ外傷救済のステロイド治療

2017年治療成績

はじめに

スポーツは心・技・体を極めることで一流となることができますが、健康力が最終的に選手生命を握ります。故障との戦いです。そこでプロスポーツ選手の多くは整形外科医と関わり合いを持つことになります。しかし現医学は病気を治すことで発展した学問ですから「普通に生活する分には問題がなく、激しく体を動かす時のみに症状が出る」というものを治すのには適しません。最近では選手がそのことに気づき、整形外科医のアドバイスから離れ、西洋医学以外の治療法を選ぶようになってきています。ここではさらに西洋医学から外れ、西洋医学ではタブーとも言われるステロイド療法を紹介します。ステロイドは「諸刃の剣」的な治療法であり、効果は高いのですが副作用も強く、そのさじ加減が難しいため使い勝手が悪い薬です。しかし、効果のみを発現させ副作用を厳密に管理して抑制していけば、スポーツ選手にとって救世主になります。


スポーツ病理を考える

スポーツなどにより肉体を損傷させる時、組織は摩擦・圧力・牽引力などの物理的な力によって破壊されます。破壊された部分では小さな出血が起こり、炎症メディエーターが分泌されて組織が浮腫を起こします。この浮腫のおかげで周辺組織の圧が高まり出血が止まるという良いことが起こります。しかしながら浮腫のおかげで炎症メディエーターが局所に滞在するということが起こり、痛みがなかなか引かなくなります。


さて、怪我をしてもはじめはそれほど痛みが強くありませんので、我慢をしながら動かすことができます。しかし浮腫を起こした付近は内圧が高くなっていますので少しの動きで強い摩擦が起こります。この摩擦がさらに組織を損傷させ、痛みがさらに強くなり、無理をしていると結果的に動けなくなるところに行きつきます。よって基本的に「動かして治す」という方法は現医学にはありません。動かした方が治ることもありますが、それは後で述べます。


関節の痛みの仕組み

関節内はかなりデリケートな作りになっており、わずかな凸凹でも関節が崩壊していくきっかけとなります。これはおおげさな話ではありません。例えば、自転車のサドルに小粒の石ころを一粒置き、その上にお尻を乗せて運転してみるとその意味がわかります。たかが小さな粒ですが、臀部や坐骨に粒が食い込み、5分として運転を続けられません。もしもそれを我慢して1時間ほど運転すれば、臀部は出血し、当分の間自転車に乗ることができなくなるでしょう。


ここでイイタイコトは、スポーツによる組織の小さな傷は、サドルの上に置いた小さな粒と同じ意味であり、この粒は医学的には「問題にならない」程度のものですが、スポーツ選手には致命傷になるということです。関節内ではわずかな傷がわずかな隆起を生み、それが原因で1点に強い圧力がかかるようになるでしょう。筋や腱でのわずかな傷は1点に強い摩擦を生むでしょう。これが基本的なスポーツ外傷の病理と推測します。軟骨、滑膜、半月板、線維軟骨などが損傷し、そこにわずかな起伏ができれば軟骨と骨の一部に強い圧力がかかるようになります。この圧力が強い痛みの原因となると考えます。したがってスポーツ外傷の治療は「いかに早急に圧力や摩擦をとりのぞくことができるか」に集約されます。筋肉を鍛える前に、小さな粒を除去しなければなりません。


微小な傷が大きな凹凸となる原理

先ほど述べた「サドルの上の粒」では医学的には画像にも何も映らないレベルでしょう。粒の大きさが1ミリ程度であれば、痛みをこらえて自転車を運転し続けることができます。しかし、人の体内では1ミリのままでは終わりません。粒が成長します。それは粒が周囲を傷つけるせいで粒の周囲に出血や炎症性の浮腫、不良な肉芽を作るからです。粒の周囲が腫れると、少しの振動でも少しの摩擦でも強い摩擦力・強い圧力が生じるようになります。こうして雪だるま式に炎症範囲が広がり、微小な傷が組織全体の大きな傷となっていきます。大きな傷はさらにその近隣組織との摩擦を高めますので近隣組織にも炎症を引き起こします。それでも試合中は運動をやめることなどできません。


スポーツ外傷の治療原則

1:早く治すことが最大の目的

整形外科医の多くが理解していないのがこの原則です。選手がスポーツをやめ、長期間かければ誰でもほぼ自然治癒します。手術の必要もありません。時間をかけて治すのなら医学は不要です。つまり、スポーツ医学は早く治すことを目的としています。しかし西洋医学では「早く治す方法」は研究されていません。だからスポーツ選手は西洋医学離れをします。外傷の基本は安静(Rest)、冷却 (Ice)、圧迫(Compression)、拳上(Elevation)ですが、この考え方では早く治すことは不可能です。

2:最優先は腫れを引かせる

外傷は痛みを伴います。そして除痛することが治療の原則のように考えがちです。しかし、最終戦は腫れ・浮腫をひかせることです。痛みは結果であり、全ての原因は腫れにあるからです。スポーツ外傷を治すには全力で腫れを引かせる治療をすることです。後で述べますが、腫れを引かせるための体内の物質は副腎皮質ホルモン(ステロイド)です。よってステロイドを用いた治療が最速でスポーツ選手を治せる手段となります。しかし、ステロイドは副作用が多く使い方が難しいので、その治療法研究に蓋をしてしまっているのが現西洋医学です。蓋をしてはいけません。しっかり研究すべきです。

3:痛みに逆らってはいけない

痛みを除去することに必死になることは極めて愚かなことです。痛みこそが「早く治すための指針」であり、痛みが来ないように運動することが極めて重要だからです。痛みは健康のためのコーチであり先生です。逆らうことは最も愚かであると肝に銘ずるべきです。逆らうのではなく痛みが来ないように動くのです。そういう意味で治療としての「安静」はあまり意味がありません。痛みが来ないのであれば安静にしている必要がないからです。痛みが来ないのなら動かしもよいですし、むしろ動かすことで血行が良くなり早く治ります。痛みは嫌うものではなく、ありがたい治療指針です。

4:痛みの種類を区別すること

痛みが局所の炎症で起こっている場合と、神経系が損傷して痛みが誇張されている場合を区別しなければなりません。整形外科医にはほとんどそれができません。もちろん選手本人もわかりません。画像にも検査にも出ません。痛みが神経系から来ている場合、その痛みは誇張されており、局所を安静にしても意味がほとんどありません。もちろん手術しても治りません。選手や医師が誤解してしまうケースが非常に多いと言えます。肘・膝・肩などの痛みが、脊椎が悪いために誇張されている場合、治すのは肘・膝・肩ではなく脊椎なのですから。神経由来の痛みの場合、局所の皮膚の色や張りに健常側の皮膚とは異なる様子がうかがえます。温度も低下します。そこには交感神経の異常が加わっています。こうした複雑な痛みを区別して治療しない限り、早期に治癒することは不可能です。

5:あせりとリスクは表裏一体

整形外科医は外科医ですからしばしば手術治療を勧めます。最も早く結果と答えが出せるからです。しかし、手術などの侵襲的な治療はリスクに飛び込んでいることになることを自覚しておくべきでしょう。原則1で「早く治すことが最も重要」と述べましたが、あせって治療すると悪化するリスクも考えておかなければならいません。筋トレをして治すという方法がありますが、これもあせり心のあらわれであることを自覚しておいてください。やってはいけないというわけではありませんが、早く結果が出るものはそれなりにリスクがつきものです。そこから目をそらさないでください。


 スポーツ外傷のステロイド治療理論

 

ステロイドと自己免疫のバランス論

ここで重要なことは「ステロイドは怖いものではなく、体から生産されている必要不可欠なホルモン」であるということです。外傷部分では自己免疫の活動が活発過ぎる傾向があり、この「過ぎる」部分をステロイドで抑えてあげると傷がスムーズに治ります。しかし、無闇にステロイドを使用すると正常な免疫活動(壊れた細胞を食する活動)までもが抑えられてしまい組織内に線維化などのゴミがたまるようになり機能が低下します。このバランスを考えたステロイド投与は、治療経験のない医師には難しく、よって「ステロイドは怖い」という誤った概念を作るに至っています。


人の体内では常に外傷が起こっています。物理的に化学的に寿命的に外傷が起こっています。自己免疫は外傷によって壊れた細胞を殺して排除します。排除する際に炎症メディエーターを出現させ、その周囲に浮腫や疼痛過敏を作り出します。排除する量が少なければ私たちはそれを感じることはありませんが、排除量が多い場合は腫れや痛みを感じます。そしてステロイドは副腎で生産され、これらの自己免疫の活動を抑制します。もしもステロイドが副腎で生産されなくなったら、自己免疫は体中で暴走し、様々な炎症と痛みをあちこちに起こします。もちろん組織も不必要に殺されてしまいます。外傷の際には一挙に細胞が壊れますので自己免疫の活動が非常に活発になり過剰な腫れや痛みを出します。当然ながら外傷の際は副腎でステロイドが多量に生産され、過剰な腫れや痛みを抑制にかかります。このように人の体は自己免疫とステロイドのバランスで成り立っています。


出血と血流増加のバランス

スポーツに限らず外傷ではその外傷部分に浮腫が必ず起こります。浮腫は出血を止めるために役立っています。外傷に引き続き浮腫が起こる理由はそもそも止血にあると思われます。しかし、止血は「諸刃の剣」です。血が止まる=血流が激しく減少 を意味し、壊れた組織の修復ができなくなるからです。外傷時のRICE(安静(Rest)、冷却 (Ice)、圧迫(Compression)、拳上(Elevation))はまさに出血を防止するための方法であり、血が止まってからも行えば、それは傷の治療にマイナスになるという新たな考え方が必要です。つまり血が止まっているのにRICEを行うことは傷ついた組織にマイナスにしかならないということです。組織内の出血が止まるまでの間のみRICEをすればよいわけで、出血が止まるまでの時間を考慮することがスポーツ外傷に必要です。外傷後、何時間で内出血がとまるか?です。止血までの時間は傷の大きさ、安静度、気温などで変化しますが「腫れが止まった」時点で止血完了と考えます。腫れが止まった後にRICEをすることは、組織の修復を妨害するでしょう。ここからは血流を増加させる方向に治療することが望ましいわけですが、これまで「腫れには冷やす」と教科書で教わっているだけに、血流増加のために患部を温めるのには勇気がいります。しかし、スポーツ選手をいち早く回復させていくためには、迷信にとらわれず、腫れが止まった直後からすみやかに血流増加に治療方針を転換させる機転が必要です。


腫れを除去することが最優先

さて、ここで一般的に流布している理論の間違いを正さなければなりません。「筋肉を鍛えれば外傷は早く治る」という誤認です。傷を早く治すものは常に血流であり、筋肉の増強ではありません。増強させようとして筋肉を動かすことで局所の血流が増えることで傷が早く治ると考えられます。しかし、傷のある部分を痛みをがまんして動かすことは、出血と腫れを増やすリスクが高く、血流が増えるというメリットがあるとしても、マイナス部分が大きく、そんな賭けに一流選手の生命を賭けさせることには反対です。スポーツトレーナーはリスクとメリットのボーダーラインを認識しているのかもしれません。しかしその認識が誤っていれば選手は故障します。「動かして治す」は「動かすことで損傷させる」ことと「動かすことで血流が増加して修復が進む」のバランスが問題になります。このバランスがマイナスに傾くことは「やってはいけない」こととなります。ステロイドにより腫れを引かせる場合は組織の損傷のリスクがほぼ0で血流改善のみの効果を得られます。これほど優れた腫れ改善治療法は他にありません。


外傷が治ったかどうかを調べるには、どんな計器もテストも無用です。腫れ具合を見ればわかります。具体的には皮膚のしわ。左右を見比べ、皮膚のしわが左右同じであれば腫れが引いています。わずかな腫れも皮膚のしわを比べることで誰にでも判別がつきます。そしてスポーツ選手が故障している箇所の皮膚のしわを観察すれば、必ず腫れていることがわかります。この腫れを除去しない限り血流改善が計れません。腱がきれていても、関節が破けていても、軟骨に凹凸ができていても、それらを修復できるのは常に血流のみです。整形外科ではそれらを物理的に手術的に修復しようとしますが、手術をするしないにかかわらず、最終的に修復するのは血流です。外傷を早く治すためには、血流の増加を最終戦の治療目標に置かなければなりません。


腫れを引かせると「動かして治す療法」がプラスに傾く

先ほど述べましたが、腫れがひどいうちに「動かして治す療法」を行うと、血流増加よりも組織損傷のマイナスの方が大きくなりますからさらに悪化させます。しかしながらステロイド治療により腫れを引かすことができると「動かして治す療法」がメリットの極めて大きい治療法に変化します。腫れが引くので動かした時の組織の摩擦がぐんと減るからです。よって、動かすことで血流増加のメリットが際立つようになります。実はこれがステロイド治療の最大の長所です。動かすことで治りを早めることができるのであれば、スポーツをしながら外傷を治すことができます。したがってスポーツトレーナーがついているプロスポーツ選手はいち早くステロイド治療を行って腫れを引かせるべきであり、試合を休むことなく治すことができます。こうした魔法が使えるのはステロイド治療のみです。


骨・関節の変形を防がなければならない

オスグッド病・ゴルフ肘・テニス肘・ジャンパー膝・野球肘などでは骨や関節が変形していきます。変形は力学的な弱さを招くのでプロスポーツ選手、またはプロをめざす選手にとっては致命傷となります。この変形を防ぐためにはスポーツ整形外科では「安静しかない」と述べております。しかし、安静期間は数か月に及びますから、それはスポーツをやめることに等しいものです。そして骨変形が止まっても、スポーツを再開すると再び変形が始まり…再び休養…を繰り返し、結局スポーツをあきらめることになります。変形を抑止しながらスポーツを続けるにはどうすればよいでしょう。それを考える前に「なぜ変形するのか?」について考察しなければなりません。そこには骨の破壊と形成のバランスが存在します。変形を起こす場合、そこには必ず破壊と形成の過程があります。破壊を進めるのは力学的な圧力とすぐに思いつきますが、実はもっと重要なものがあります。それは血流です。血流が少なくなることが破骨細胞を活性化させると思われます。それが証拠に交感神経の反射で血流不全に陥った骨は破骨細胞が活性化し、骨梁が破壊されていき、X線写真で観察すると骨がスカスカになるからです。破骨細胞を活性化させる原因として血流低下が重要であるなら、血流を増加させることは骨破壊を防ぐことにつながるでしょう。


次に歓迎されない骨形成を抑制しなければなりません。骨が形成される仕組みの詳細は未だ不明ですが、骨や骨膜がストレスを受けると骨形成が促進されますからなるべく「望まないベクトルのストレスを与えないこと」が重要になるでしょう。骨は折れた場所のインコースに多く増生され、アウトコースでは骨吸収が進みデモデリングされることがわかっています。インコースでは物理的な圧力が高まる他、顕微鏡的な出血や局所の炎症も起こり、局所的な血行不良も存在しています。すなわちこの「局所的な血行不良」が望まない骨形成のきっかけとなっていると私は推測しています。ステロイド治療により局所の血行不良を改善させることが出来れば、これらの望まない骨破壊と望まない余計な骨形成を抑止できると考えます。膝・肘などは望まない骨形成の多発地点であり、そうした箇所に早期にステロイド注射を適切に投与すれば関節や骨の変形を抑止できると考えています。


血流増加と免疫抑制のバランス

しかしながら、これもバランスなのです。外傷部分の組織は浮腫により必ず血行不良が起こっています。血行不良もまた新陳代謝を妨害する最大の原因となります。ステロイドにより浮腫を軽減させると、血行不良が改善されて新陳代謝が活発になります。ステロイドによる新陳代謝停滞よりもステロイドによる血行改善による新陳代謝増加作用が上回れば、結論としてステロイドを使う方が組織修復が早くなります。つまり、自己免疫を過剰に抑制せず、浮腫をそこそこ軽減できるバランスの取れたステロイド量を使うことが得策なのです。その量を研究しないからスポーツ整形外科医がステロイドを上手に使えないでいます。私はステロイドを長年研究し、バランスの取れたステロイド使用量のガイドラインを独自に編み出しています。


追記: 水虫が酷くなるとそこから感染を引き起こし蜂窩織炎になって足がぱんぱんになることは多くの医師たちが知っているでしょう。これを白癬二次感染と呼びます。この治療にステロイドを使うか使わないか?で議論を読んでいますが、賢明な皮膚科医はステロイドを用います。その理由は、ぱんぱんになったむくみを除去することが血流改善を促し、結果的にその血流で細菌を退治できるからです。抗生剤の効果も抜群に上がります。一方、白癬にはステロイド使用は「禁忌」とされていることも多くの医師が知っています。ステロイドが免疫を低下させるため、白癬が増殖するという理論です。しかし、臨床現場では後者が正しくない場合が多く、ステロイドで軽快する例が大多数を占めることを現場の皮膚科医は良く知っています。ステロイドで浮腫を軽快させる方が、放置しておくよりも圧倒的に治療効果が高いのです。白癬にステロイド禁忌と言われているため、白癬二次感染にステロイドを用いることは勇気がいります。ですが、大多数の臨床結果としてステロイドを用いた方が圧倒的にすみやかに治ります。


ステロイドによる浮腫改善→血流増加→免疫力増強→新陳代謝を促進、とステロイドによる免疫抑制→死滅細胞の排除の遅れ→新陳代謝阻害、のどちらが勝つのか?について、多くの医師は後者が勝つと信じています。しかし、その根拠のない確信は間違いであることが次のような例から推測されます。


ステロイドの浮腫軽減作用は自己免疫活動を抑制する作用を意味します。免疫は傷ついた組織・細胞を食し新しい細胞に置き換える、つまり新陳代謝の役割を担います。ステロイドはこの新陳代謝を抑制しますので壊れた組織・細胞がその場に多く滞在することになります。壊れた細胞は関節内ではムチンなどに変化(細胞適応)し、邪魔にならないように画策します。しかしそれでも壊れる細胞が増え続け、それを処理できない状態が積み重なると、局所は細胞のゴミ(死骸)であふれかえることになります。


これが新陳代謝を妨害しますから、組織強度が低下し、靭帯損傷・筋断裂・骨軟骨破壊につながるでしょう。ステロイドの最大の効果であり最大の弱点がこの「自己免疫抑制・新陳代謝妨害」にあります。ステロイドを用いると「腱などが断裂する」と言われる理由はこの新陳代謝妨害が深く関わっていると思われます。整形外科医が外傷にステロイドを使用することを極めて嫌がる理由がこの新陳代謝妨害です。そして過剰にステロイドを怖がっているためスポーツ選手の外傷におもいきって使わない傾向があります。ステロイドに対して知識を正しく持たない者はステロイドを怖がる…これは悪いことではなく、良いことだと思います。


DDS(ドラッグデリバリーシステム)理論

通常、多くの整形外科医はDDSを重視しませんので、水溶性ステロイドも固形ステロイドも効果に大差ないと思っていると推測します。しかし、実際は同じステロイドなのに効果は月とスッポンと言えるでしょう。これまでステロイドが腫れに極めて有効であることを述べましたが、それには最大の問題があります。障害を起こしている部分にだけステロイドがある状態にし、全身にはステロイドが拡散しないという離れ技をしなければならないところです。局所の腫れを引かせながら、全身には影響しないステロイド…という条件を満たすには、水溶性のステロイドは不適切です。水溶性ではステロイドが数時間以内に拡散してしまいます。そこで、固形のステロイドの局所注射という方法がとられます。固形ステロイドは局所にとどまり、最高で約3週間、局所に留まった固形体から微量のステロイドが溶け出し、24時間絶えず局所のステロイド濃度を高めます。よって一度注射をするだけで2~3週間連続で治療し続けるのと同じ意味になります。よってDDSの観点からすると固形ステロイドは外傷の治療において「これ以上の効果を示す薬は他にはない!」と断言できるほど秀逸な薬剤となります。


固形(懸濁)ステロイドが引き起こした事件

約5年前、ケナコルトの注射後に関節が腫れて痛みが出るという報告が世界各地から上がりました。実際、私の患者でも10人に1人の割合で関節腫脹と疼痛が起こり、1時期生産中止なりました。明らかな原因をメーカーは発表することなく生産が再開されましたが、それ以降、関節腫脹が発生する件数は千人に1人以下となりました(私の経験上の数値)。ただし、関節腫脹は数日以内に治まり、それ以降は関節の動きが調子よくなることを確認していますので、後遺症は残らないようです。


おそらく原因は固形粒子の大きさの不揃いと推測し、大きな粒子が関節面を傷つけるためではないでしょうか。最近ではめったに関節腫脹を起こす方はいませんが、スポーツマンの関節内に注射する場合は、一応万一に備え、関節腫脹が数日間起こり得る可能性があることを考えておきます。これが固形ステロイドの弱点(短所)です。しかし、5年前のケナコルト事件も、今では忘れている医師が多くなりました。よってケナコルト注射後に関節が腫れても、原因をケナコルトのせいであるとピンとくる医師が少ないと思われます。


 

使用量をわきまえる

ステロイドは体内から分泌されるホルモンであり、「悪者扱い」してはいけません。悪いのは過去の医師たちが「使用量を研究もせずに濫用したために」副作用が出てしまったことであり、使用量をわきまえれば安全であるという認識です。再度申し上げますが、ステロイドは体内で分泌されているものですから副作用うんぬん以前に、人体に必要不可欠な物質であるということを忘れないでいただきたいのです。


ケナコルトの副作用欄には毎年数個の使用注意の病名が新たに追記されていきますが、それらは使用量をわきまえない医師たちが作り出した悪しき記録であることを念頭におかなければなりません。ただし、適切な使用量を研究した論文は世界にほとんどありません。強いて言えば私の論文くらいでしょう(このHPに掲載しています)。よって適切な量がどの程度の量なのか?が他の医師たちに認識されていません。よって、適切な量を研究していない医師にはスポーツマンにケナコルトを使用する資格がないと思われます。よってケナコルトを使用できる医師がほとんどいないという現状です。それでよいと思います。


ちなみに私は1関節の1回量を2.5mgとしています。これは1バイアルの20分の1という少量です。ただし、この使用量でも毎週注射すると副腎機能が低下する場合があり、1回使用量だけを管理すればよいという単純なものではありません。


スポーツマンの関節にケナコルトを使用する短所

  1. ドーピング検査

ケナコルトは副腎皮質ホルモンであり、量にもよりますが、その効果が数週間は続きます。したがって薬物検査の2か月前には使用を中止すべきです。薬物検査がない大会、レベルであれば問題はありません。また、使用の際にはチームドクターに申請書を提出しなければなりません。治療のためとはいえ、チームドクターは使用を許可しないと思われますのでドーピング検査以前の問題となるでしょう。しかし、選手生命がかかっている場合、そうした一般常識に従っていては復帰が難しくなります。ご自身の決断が必要な場合があるでしょう。

ドーピングホットラインによると以下のように回答しています。

「医療記録(カルテ、様式任意)を必ず保存して下さい。 医療機関における糖質コルチコイドの局所注射(局所使用)は禁止されていませんので、TUEは不要です。 競技会のドーピング検査の結果、糖質コルチコイドが検出された場合には、 (1) JADAが、アスリートに使用状況を問い合わせる (2) アスリートは、上記の医療記録をJADAに提出し、局所使用であることを証明する (3) JADAが、検出結果がその医療記録と矛盾しないか確認し、局所注射使用かどうかを判断する (4) JADAが局所注射使用であると確認した場合、アスリートは違反なしと判断される 上記(2)において必要となりますので、アスリートは、病院での医療行為を受けた際には、必ず医療記録を残しておきましょう。」

つまりケナコルトの使用は申告すれば問題ないようです。

 

2、ケナコルトを注射しても痛みが続く場合

ケナコルトは強力に関節内や腱鞘内の腫れを引かせますので摩擦が小さくなり、激しい運動にも関節や靭帯が耐えうるようになります。摩擦が小さくなれば損傷して死んでゆく細胞数も減りますから、死滅細胞を食する免疫系細胞がケナコルトにより抑制されても問題は起こりません。ところが、ケナコルトを注射しても痛みが持続する場合、摩擦が十分に除去しきれていないことを意味しますから、損傷して死滅する細胞が減っていきません。この状況ではケナコルトは悪化のサイクルを回します。すなわち、免疫を抑制する作用のせいで、死滅細胞を食する免疫系がしっかり働いてくれないので、関節内や腱鞘内には死滅細胞のゴミがたまっていきます。そしてこのゴミがさらに細胞内の新陳代謝を妨害するので関節や靭帯は崩壊する方に向かいます。


ケナコルト使用量を知らない医師はこの改善と改悪のボーダーラインを知らないため、治療が改悪の方に傾いていてもケナコルトの使用をやめないために関節壊死や腱断裂にまで至らしめてしまいます。ボーダーラインは「痛み」にヒントがあります。痛みはケナコルト使用量と使用頻度との関係で変化しますから、ボーダーラインを認識するにはそれなりの研究と経験が必要になります(私のHPの中にそのヒントが隠されています。というよりも、隠していませんが…)。

 

3、関節内腫脹

前述したように、ケナコルトの粒子が関節面を傷つけることがごくまれにあります。その際は約24時間、関節を動かさずに待機していれば腫脹が消退し問題ありません。最近は生産者の管理が行き届いているせいか、関節腫脹が起こることがほとんどありません。私の場合2年間で1例のみです。腱鞘内注射では問題がありません。

 

4、社会的問題

ケナコルトを正しく使用できる医師はおそらく皆無に近いのでアスリートが軽率にケナコルト注射を受けにスポーツ整形外科医に通院することをあまりお勧めしません。ましてや、ドーピングの問題もあり、プロスポーツ選手であれば、チームドクターもいるでしょうから、そういう医師に相談すれば必ず否定されます。スポーツドクターのプライドにかけて反対するでしょうから治療の際には自己責任で担当医に内緒にしなければならないでしょう。それは道義的に難しいことかもしれません。ただし、「手術をしなければならないほど悪化」しているのであれば、ケナコルト治療は手術と比較すれば何十倍も安全ですから、軽率に「早く復帰したいから」といって手術を選択されないことです。手術の前にはまず注射を選択すべきでしょう。いきなり手術を勧める方が社会問題だと感じます。


捻挫・肉離れ・骨折の腫れを瞬時に治すステロイド療法

これまでステロイドの注射治療を紹介しましたが、実は注射よりも安全で普通の消炎鎮痛剤の何倍も腫れを軽減させることのできる治療法があります。その方法はステロイド軟こうを捻挫や肉離れを起こしたところに塗るというただそれだけのことです。肉離れや捻挫は、程度にもよりますが、およそ3週間は腫れや痛みが消退しません。しかしながらステロイド軟こうを塗れば、その多くが数日で驚くほど腫れと痛みが消退します。腫れが引くと血行が促進し、修復速度が急激に増しますから、治るまでの期間が大幅に短縮されます。患者たちには「魔法の治療」と呼ばれています(笑)。


経皮的に吸収されるステロイドの副作用は、飲み薬や注射に比べて少なく、ほとんど問題になりません。よって私は腱鞘炎や捻挫、肉離れ、へバーデン結節などにもステロイド軟こうを処方します。1日数回局所にぬるだけで済みます。外傷にステロイド軟こうを処方するのは恐らく私くらいなものですから、ステロイドが外傷にどれほど驚くべき威力で効果を発するか?を知る方はいらっしゃらないと思います。経皮吸収される量は短期間であれば問題視されない量ですので、学童にも使用可能です。使用すれば短期間で腫れが引きますので、ずっと使用する必要もありません。アスリートであれば、秘術として知っておいても損がないかと思われます。


ステロイドで腱が切れやすくなるという情報

この情報はこのHPでも紹介しています。特にケナコルトは腱断裂の危険ありという情報が能書きに記されています。その情報をどこまでしっかり認識するかしないかで、考え方が変わります。私はそうした情報を嘘だと述べているわけではなく、情報がうわべだけの浅い理論なのでもう少し深く病態生理を考察した方がよいと述べるのみです。心配の方は「ステロイドの薬効・薬害」のところをお読みください。ここでは深く述べません。


アスリートがこのHPにたどり着くか?

アスリートがプロとして生きて行くには、必ず通らなければならないのが故障の壁です。全ての選手が自分の身体能力のMaxをかけて技能を競い合うのでわずかな油断で肉体が大きく損傷します。それはナイフの上を歩いているに等しく、集中力を欠いたら即転落です。そうした中、故障した場合、「早く復帰したい」というあせりにおいて、選手はもっとも身近なチームドクターに相談します。チームドクターは「早い・安い・うまい」ですから。よって、選手生命がまだしっかりしているうちは、自ら身の危険を感じて「名医を探そう」とはしないでしょう。そんな暇があるわけありません。よって私のHPにたどり着くこともないでしょう。


ところが、実際にアスリート生命が絶たれ、限界を超えてしまった人はようやく「自らの力で名医を探そう」とHPの検索を開始するでしょう。しかし、その際は手遅れである可能性も高いでしょう。破壊されつくした運動器で私のところに来られても、私は魔法使いではありません。軽症のうちに私のところにやって来られれば、最高のパフォーマンスを出せるのですが…それはおそらく難しいでしょう(社会的に)。


私は注射専門の整形外科医ですが、やはり関節内注射や腱鞘内注射の技術は普通の整形外科医よりもかなり高いと言えるでしょう。注射の技術はケナコルトを使用するかしないか以前の問題です。狙った場所に薬を正確に届け、かつ周囲の組織を損傷させない技術です。この技術が高くなければ、よい効果を発揮しません。よってケナコルトを使う使わない以前に、注射でアスリートを治せる技術は医師によって大差がつきます。

驚愕の星状神経節ブロックの効能・効果

2017年治療成績

 

<はじめに>

星状神経節ブロックがどんな病気に効果があるのか?は案外、医師にも世間の人々にも知られていません。さらに安全性についても不明であり、「得体のしれないブロック」であることに薄気味悪さを覚えるものです。この薄気味悪さは副作用やリスクをしっかり公示しないことにあると思われ、ペインクリニック科の医師でさえ、リスクや副作用についてしっかり認識していると思えず、その結果、本ブロックの信頼性(信用)が極めて低迷していると思われます。そうした悪しき状況、誤解を解かなければ、ブロック治療に未来がないでしょう。ここでは星状神経節ブロックがなぜ一般に普及しないか?について、その原因を探りつつ、本ブロックのリスクについて語ろうと思います。まずは、節操がないほど数多くの効能効果をご覧ください。

星状神経節ブロック療法の適応

(「ペインクリニック診断・治療ガイド」第2版より)

全身 風邪とその予防、自律神経失調症、本能性高・低血圧症、甲状腺機能低亢進・低下症、拒食症、過食症、起立性調節障害、乗り物酔い、立ちくらみ、パニック障害、不眠症、過眠症、脳卒中後痛、脳卒中後片麻痺、関節リウマチ、術後合併症、多発性硬化症、ベーチェット病、シェーグレン症候群、重症筋無力症、痛風、伝染性単核球症、慢性疲労症候群、反射性交感神経性萎縮症、カウザルギー、幻肢痛、断端痛、癌、糖尿病、冷え性、肥満症、低体温症、再生不良性貧血、骨粗鬆症、吃逆、化学物質過敏症
皮膚科 全身多汗症、掌蹠多汗症、乏汗症、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、全身性白癬症、足白癬、爪白癬、皮膚掻痒症、脂漏性皮膚炎、掌蹠膿胞症、帯状疱疹、単純疱疹、天疱疹、ケロイド、脱毛症、凍傷、爪甲剥離症、爪甲軟化症、爪甲縦裂症、爪囲炎、腋臭症、進行性指掌角化症、あかぎれ
頭部 片頭痛、緊張型頭痛、頚性頭痛、群発頭痛、側頭動脈炎、脳血管攣縮、脳血栓、脳梗塞
眼科 網膜血管閉塞症、網膜色素変性症、中心性網膜症、ぶどう膜炎、類嚢胞黄班浮腫、角膜ヘルペス、角膜潰瘍、緑内障、アレルギー性結膜炎、瞳孔緊張症、飛蚊症、眼精疲労、ドライアイ、VDT症候群、屈折異常
耳鼻科 アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎、鼻茸症、慢性副鼻腔炎、急性副鼻腔炎、術後性上顎嚢胞、突発性難聴、浸出性中耳炎、メニエール病、良性発作性頭位眩暈、鼻閉、扁桃炎、耳鳴、咽喉頭異常感症、嗅覚障害、いびき、睡眠時無呼吸症候群
口腔 抜糸後痛、舌痛症、口内炎、舌炎、歯肉炎、口唇炎、歯ぎしり、口内乾燥症
頚肩上肢 上肢血行障害(レイノー病、レイノー症候群、急性動脈閉塞症、バージャー病)、肩手症候群、頚肩腕症候群、椎間板ヘルニア、外傷性頚部症候群、胸郭出口症候群、肩関節周囲炎、乳房切断後症候群、テニス肘、腱鞘炎、頚椎炎、ガングリオン、腕神経ニューロパチー(外傷性、術後)、関節炎、肩こり、ヘベルデン結節痛
循環器 心筋梗塞、狭心症、洞性頻脈、神経循環無力症
呼吸器 慢性気管支炎、肺栓塞、肺水腫、肺気腫、過換気症候群、気管支喘息、自然気胸
消化器 過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、胃炎、肝炎、クローン病、消化性潰瘍、逆流性食道炎、胆道ジスキネジー、便秘、下痢、腹部緊満症、ダンピング症候群、痔核、裂肛
産婦人科 月経異常、月経前緊張症、月経困難症、子宮内膜症、更年期障害、子宮摘出後自律神経失調症、尿失禁、膀胱炎、女性不妊、妊娠悪阻、膣痙
泌尿器科 神経性頻尿、インポテンス、尿失禁、夜尿症、腎盂腎炎、ネフローゼ症候群、IgA腎症、嚢胞腎、遊走腎、前立腺肥大症、前立腺症、男性不妊
腰下肢 腰下肢痛、膝関節痛、肢端紅痛症、肢端紫藍症、鶏眼、下肢静脈瘤、こむら返り、バージャー病、閉塞性動脈硬化症

ご覧のように、ほぼ全ての科、全ての疾患に「効果がある」と書かれています。中には重症筋無力症などの超ド級の難病も含まれており、この効能・効果が真実であるならば、世の中から難病が消えてしまいます。これが真実なら難病をわずらった多くの患者がペインクリニック科に殺到し、そして世界中の他科の医師たちも必死になって星状神経節ブロックを学び、習い、研究することでしょう。しかし、そうした現象は世界に起こっていませんし、星状神経節ブロック自体が世に広まっていません。それはなぜでしょう?


星状神経節ブロックの効能・効果

街行く人に「星状神経節ブロックの効果を知っていますか?」尋ねても、恐らく100%に近い方々が上に挙げた効能・効果を答えられないでしょう。百歩譲って、医師免許を持つ先生方に同じ質問を投げかけたとしても、恐らく100%に近い先生方が10項目以上を言うことができないでしょう。さらに千歩譲って、星状神経節ブロックを毎日行っているペインクリニックの医師に尋ねても、50項目以上を言える医師はまずいないでしょう。さらに1万歩譲って、重症筋無力症・シェーグレン・伝染性単核球症・爪白癬などを治療する目的でペインクリニックに通院している患者は皆無に近いでしょう。そうであるならば、このガイドラインは「西洋医学を愚弄しているのか!」ということになってしまいます。そしてこのガイドラインを自分の病院の治療効果を宣伝するために、ホームページなどに掲載している病院などがあれば、それは歓迎できません。


保険適応のない星状神経節ブロック

例えば、水虫を治療するために「星状神経節ブロック」を行っても、そういう治療は国が認めていませんので保険が使えません。星状神経節ブロックは水虫に保険適応がないからです。上に挙げた効能・効果のほとんどが保険適応になっておらず、科学的に効能・効果が証明されていません。再度申し上げますが、効能・効果が証明されているのであれば、他科の医師も必死になって星状神経節ブロックを身に着けようとします。しかし、そうした傾向は見られません。


他科の医師がペイン科を紹介しない理由

上記の効能・効果が保証されているのであれば、他科の医師はペイン科に紹介状を書き、「星状神経節ブロックをよろしくお願いします」と申し出るでしょう。眼科医は眼精疲労の患者をペイン科に紹介し、神経内科の医師は重症筋無力症の患者をペイン科に紹介し、脳外科は脳梗塞患者をペイン科に紹介し、循環器の医師は心筋梗塞の患者を紹介し…ということが日本に限らず世界中のどこの国においても行われていません。その理由を考えなければなりません。


一つは他の科の医師がペイン科の医師の論文を「信用するに値しない」と考えていることが浮き彫りになります。一つは患者を紹介することが患者にとって幸せではないと考えていると思われます。では何が「幸せでない」ことなのか?それはブロックのリスクです。のど元の奥深くに針を刺し、注射をすることのリスクが高すぎるため、実用性がないと判断されているということです。十二指腸潰瘍の治療で胃切することを軽はずみに勧めないのと同じ原理です。ブロックの効果が数字ではじき出されていないこと、リスクが起こる確率もはっきりしていないことなどから上記の表は信用に値しません。ペイン科がこの表を示して自分の科を宣伝すれば、ペイン科の治療行為が信用されなくなる危険性があります。


リスクも効果もはっきりしていないものを患者に用いる倫理

星状神経節ブロックの使用には倫理的な問題があります。漠然と「治療は1回5cc×2を毎週×30回行います」と言われても、30回も行えばリスクに遭遇する確率がかなり高まります。針先で迷走神経を傷つけたり、薬液の圧や出血の圧力で周辺の神経に炎症を起こしたりなどの可能性が高まってしまうということです。


さらに、30回通院させる労力は患者にかなりの負担になります。注射の痛みも軽視できません。そして30回行えば水虫が治る、心筋梗塞が改善するなどのエビデンスもないわけですから、水虫や心筋梗塞の治療として星状神経節ブロックを行うことは医の倫理に反します。星状神経節ブロックの適応はかなり限定されるものです。よって上記の表は星状神経節ブロックの信頼性やペイン科の威信を失墜させるものとなります。


上頚神経節ブロックのエビデンス発表

星状神経節ブロックではなく、私が行っているそれよりも上位に行うブロックの治療成績(エビデンス)です。ブロックのエビデンスを出すことは実は極めて難しいことです。症状の改善を客観的に数値化することが不可能に近いからです。

幸運にも私のクリニックには突発性難聴の症例が多く訪れ、上頚神経節ブロックが「頭蓋内の神経細胞疾患にどれほど効果があるのか」を聴力(デシベル)という数値で具体的に示すことができました。2年間かけて作った貴重なデータです。こちらをご覧ください。

 


医者に腰痛と肩こりを治せない

私は以前のブログで「医者に腰痛は治せない」と書きました。この意味を要約すると「腰痛や肩こりはブロック注射で治すことができますが、注射の痛さが強烈で、リスクも少なくないことから、軽度の腰痛、日常の肩こりをブロックで治すということは医の倫理的に不可能」と述べました。実際に世間を見渡すと、肩こりや軽い腰痛の人がいきなりペイン科に行ってブロックを希望することは皆無です(一度経験している人はブロックを希望することがあります)。薬でもマッサージでも接骨院でも改善しない痛みをわずらって初めてペイン科にかかることを考えるのが普通です。そして実際にブロックのリスクや副作用は軽視できないのですが、私個人の意見としてペイン科の医師はこれらを軽視する傾向が高いと感じます。リスクや副作用を軽視すれば、腰痛も肩こりもどんどんブロックで治すことが正当化されるでしょう。そしてブロックによる事故の被害者も増えるでしょう。


リスクを低くできなければブロックをしてはいけない

私は注射器を過度に怖がる神経症の患者にも、子宮内膜症に苦しむ小学生(高学年)にも、ブロックを行いますが、それは万に一つも合併症を起こさないという実績があり、強い痛みを感じさせることなくブロックをすることができるという二つの技術を身に着けているからです。つまり安全性を何よりも重視し、ひとりひとりの患者に時間をかけて愛護的にブロックをすることを徹底しているからです。さらに患者の背骨がどんなに強い変形があろうとも、どんなに肥満であろうとも、奇形があっても、必ず狙った箇所に針を到達させることのできる技術を身に着けたからです。1万回ブロックしても1万回合併症を起こさないからこそ症状が軽い人や小学生や高度変形の高齢者、極度の肥満者などにもブロックを勧めることができるようになったわけです。そうでなければ「強い痛みに苦しんでいない患者」に対してブロックを勧めることは医の倫理に反します。


文頭に記した様々な適応病名には「強い痛みを伴わない病気」がたくさんあります。例えば眼精疲労・不眠・高血圧などです。これらの症状を治すためにペイン科を訪ねる患者は皆無ですし、これらの症状を持つ患者をペイン科に紹介する医師も皆無です。ならば、上記の表はペイン科の威信を失墜させます。医師たちがペイン科の医師を信用しなくなります。


認知症・脳梗塞後遺症などの治療にブロックが適応されるか?

私はこのホームページ上に上頚交感神経節ブロックを用いて認知症や脳梗塞後遺症の患者を改善させることが可能であることを執筆しました。しかし、これらの病気は「強い痛みを伴わない疾患」であり、患者が進んでブロック治療を受けることはまずありません。改善には個人差があり、絶対に治るとは限らないからです。このような「痛みを伴わない疾患」でブロックを行うためには、最低でも「痛みを感じさせないブロック注射」の技術を持たなければなりません。そして、治療には数十回~数百回と通院しなければならないこともあるのでリスクや合併症を「何度治療を行っても絶対に起こさない」と言えるほどの腕が必要になります。さらに、毎週同じ場所に注射するので、注射部分に炎症や出血を起こさない特別な技術も必要になります。それらができる技術があって初めて認知症や脳梗塞後遺症患者にブロック治療を勧めることができます。ですから、私がこうした「痛みを伴わない疾患」にブロック治療を開始したのはごく最近です。技術が未熟なうちは、カジュアルにブロックを勧めることはできませんでした。


そうであるなら、上記のような疾患に「星状神経節ブロックが効果がある」と証明するためには、極めて高い技術がある医師のみがデータを収集できます。極めて高い技術がある医師は極めて少ないですから、結局きちんとしたデータ収集ができません。ですから、上記の適応表はきちんとしたデータではない可能性が高いのです。


そして「どうせきちんとした証拠もなく、効能効果を適当に書いているのだろう」と他の科の医師たちに思われています。私のホームページに記載してある内容もおそらく上記の表と同様に信用性のないものと思われるわけですからかなり迷惑なことです。この迷惑のおかげで、医師たちは私の様々な論文を信じないでしょう。信じてくれなければ私の治療法を全国の医師たちに広めることができません。だから本当に迷惑しています。


「ついで治療効果」について

ついで治療効果とは、私が上記の表を皮肉ったものです。上肢帯の激しい痛みや三叉神経痛の激しい痛みのためにペイン科に毎週通院せざるを得ない患者が、ブロックを続けていると偶然、めまいが改善したり、血圧が正常化したり、不眠症が治ったり…という「痛みを治しているついでに他の病気にも効果が出た」という効果のことを言います。上記の表にある病名は世界中の「ついで効果」を単に並べたてたものであると私は推測します。


「ついで効果」と「治療効果」は月とスッポンの差があります。治療効果とするためにはエビデンスが必用で、エビデンスがあれば保険適応となり、国家がその治療法を認めます。「ついでに効果」は証拠がなく、治療法として確立できません。にもかかわらず、ペイン科の医師たちが自分のクリニックを宣伝するために、これらの「ついで効果的疾患」を大上段に構えて宣伝することを私はたいへん遺憾に思います。ペイン科が「きわもの」だと思われてしまうからです。


ペイン科はリスクや合併症を開示せよ

ペインクリニック科でもっとも問題になるのはブロックのリスクや合併症です。組織に針を刺す治療ですから、毎回必ず針を刺すことによる損傷という合併症を必ず起こします。硬膜外ブロックを行えば、脊髄麻酔になってしまう合併症もたびたびあります。キシロカインによる中毒症状は血管内に薬が入ってしまうと起こることがあります。針を刺した箇所がずっと痛かったり、注射後に麻痺が起こることもしばしばあります。しかし、こうしたリスクや合併症をほとんどのペインクリニックが開示していません。これは非常に嘆かわしいことです。


なぜ耳鼻科の医師がめまいの患者をペイン科に紹介しないか、なぜ眼科の医師が眼精疲労の患者をペイン科に紹介しないか?考えてください。それはリスクが効果を上回る可能性が高いからです。他科の医師としては、ちょっとした合併症が100人に1人でもあれば、めまいや眼精疲労の治療にペイン科のブロックを紹介したくないものです(紹介した側にも責任があるため)。ならば、ペイン科は「治療できる!」ことを説明するよりも、リスクや合併症がどの程度であるか?を説明する方が重要です。ただし、問題はペイン科の医師が「ブロック後に声帯が麻痺して咳が出やすくなる」「硬膜外ブロック後に2時間くらい脊髄麻酔がかかって動けなくなる」などをリスクとして考えないことです。


ブロック後に2時間も力が入らなくなることは患者にとっては苦痛です。苦痛はリスクなのです。注射が痛いのもリスクです。これらのリスクをリスクとして考えないうちは「痛みを伴わない疾患にブロック治療をする」ことは無理でしょう。


ブロック注射後に1時間以上寝ていただく意味

私が以前ペイン科の病院に勤務していた時、そこでは硬膜外ブロックを行った患者は1時間半もベッドに寝させていました。なぜ1時間半も寝かせるのか?には理由があります。注射ミスをカムフラージュするためです。硬膜外ブロックではしばしば薬液が深く入りすぎて半脊髄麻酔状態になります。そうなると1時間以上動けなくなります。しかしブロック後の休憩時間を一律1時間半にしておけば、その頃には麻酔が切れて動けるようになるのでミスにならなくなります。患者は「ブロックとはこんなものか!」と思うのみです。


私の担当患者で、ペイン科の医師と私と両者にかかっていた患者がいたのですが、その患者は「ペイン科の先生のブロックの時は毎回1~2時間動けなくなるのに、先生の時は動けるのはどうしてなんですか?」と質問されたことがあります。それはペイン科の先生のブロックミスで毎回薬液が深く入りすぎているからですとはさすがに言えませんでした。それほどブロックミスは普通に起こることだということです。というよりも、それをミスと考えていない医師たちの姿勢を嘆きます。こうしたデリカシーの欠如が患者に不評を買っていることは言うまでもありません。


最後に

星状神経節ブロックの効能・効果があまりにも常識を逸脱していることについて述べました。ペインクリニック科のガイドラインにこうした多量のエビデンスのない効能・効果が書かれているおかげで、普通にブロックを行う私のような医師の信用が落ちてしまいます。そして私が現在進行形でブロックのエビデンスを作ろうとしている作業そのものが、こうした節操のないガイドラインと同類と思われているだろうことが想像でき、たいへん困っています。どうか、このようなガイドラインを発表することはやめていただきたいと医師の一人として思う次第です。本当に困っています。


もちろん、こうした病気を治せる可能性がないわけではないことはよく知っています。それにしてもこの表は医師として科学者として恥ずかしいです。

 

神経脆弱状態での神経損傷について

2017年治療成績

はじめに

神経ブロックをキシロカインなどの局所麻酔薬を用いて行った場合、もっとも頻繁に起こり、かつ問題となるのは神経損傷でしょう。神経損傷の原因の基礎は、実は多岐に渡る(神経の走行異常、血行不良、圧挫、交感神経性、自己免疫性、代謝異常など)のですが、それを思い浮かべることのできる医師はほとんどいないと思われます。私は神経ブロック後に一過性の麻痺が起こり、それが長時間回復しなかった例を経験しました。この麻痺は再現性があったため、本人の体質が原因であると判断しました。麻痺が起こりやすい体質(状態)というものがあるのなら、神経損傷の概念は変わらざるを得ません。なぜ人によって麻痺の時間に差があるのでしょう。


症例 62歳 男性 主訴:両上肢(左>右)のしびれと痛み

数年前から上記主訴に悩んでいたが近くの整形外科では薬の処方と物療のみであった。H27.2.私の外来を初診。左右の第7頚神経に傍神経根ブロックを行った。注射直後から左上肢に麻痺が出現、全く力が入らなくなる。本人には「薬が狙ったところに入った証拠です」と説明し帰宅していただく。しかし、帰宅後も麻痺は回復せず(知覚低下は数時間で戻る)翌朝も同様に麻痺していた。その後徐々に麻痺は回復したが、完全に麻痺が回復するまでに約3週間を要した。


経過

2度目の治療を行う。前回の麻痺を踏まえ、今回は神経をダイレクトに狙うことはせず、神経根から10mm以上距離を置いた箇所に1%キシロカインを1.5cc×2(左右の第7頚神経根近傍)を注射する。ブロックの際、神経を刺した時のような電撃痛はなく、今回はほぼまちがいなく神経をわざと外した。


結果

今回はブロック後両上肢に8時間麻痺が出現した。後遺症はない。この患者は「しびれと痛みは緩和されたが怖いのでもうやりたくない」と述べた。


考察

1%キシロカインは神経根ブロックに用いると、1時間~数時間の麻酔作用を発現します。しかしながら8時間の麻痺はキシロカインの作用以外の要素を考えなければなりません。いったいどのような作用とどのような体質がこういった麻痺時間の延長の原因となるのでしょう? 2度目のブロックは神経を損傷しないように愛護的に行い、注入圧(水圧)もかけないように行いました。よって水圧や手技で麻痺時間の延長が起こったとは考えにくいのです。今回は2度目の麻痺ですので再現性もあり、しかも左右両上肢に同じような麻痺が現れていますから、原因として患者の体質を考慮しなければなりません。


麻痺時間遅延の原因考察

  1. 局所癒着のため麻酔薬が拡散しない
  2. 無血管野が広がっていて麻酔薬が吸収されにくい
  3. 神経虚血のため浸潤した麻酔薬がwash outされにくい
  4. 麻酔薬への耐性が極めて弱い
  5. 神経が圧に対して極めて弱い

 


などが挙げられます。1~4と5は明らかに原理が異なります。1~4はキシロカインによる作用であり、正確にはneurapraxiaではありません。5は注入圧によりneurapraxiaが発症したと考えます。しかし、臨床的にはneurapraxiaとキシロカインの作用が混在していると思われます。


※neurapraxia: 神経伝導に一部障害を認めるが、器質的には全く異常がないか、あるいは髄鞘の一部にごく軽度の異常を認める状態で、軸索には異常がない。神経回復には損傷部からの再生神経の伸長を必要としないため、麻痺筋は解剖学的位置とは関係なくほぼ同時に完全に回復するが、回復に要する時間は髄鞘の損傷の程度により、数分から数週である。


病的nuerapraxiaの存在

今回の麻痺遅延にキシロカインがどのように影響したとしても、注入液圧がどのように神経を圧迫してしまったとしても、神経がそのストレスに対してneurapraxiaを起こした状況は病的です。神経がストレスに対してかなり脆弱な状態であるといえるでしょう。このような「神経がストレスに対して病的に弱い状態」が存在することは現医学では認識されていません。神経の脆弱な状態は、些細な刺激であらゆる病気に発展する恐れがあり、しかも脆弱な状態はMRIなどで一切描出されないので臨床現場では不可解なトラブルを起こすことがたやすく想像できます。


神経の脆弱な状態では、ささいなストレスではneurapraxiaが発生し、これは可逆ですが、中等度のストレスでaxonotmesis(軸索断裂)を起こしてしまう可能性も考慮しなければなりません。脆弱な状態では「これくらいのストレスでは損傷しない」と思われるようなストレスで軸索断裂が起こる可能性があります。例えばむち打ち損傷や居眠りでの屈曲姿勢などです。軸索断裂が起こってしまうと、回復までに数か月から1年を要することから、患者も医師も回復不可能と誤解してしまう可能性があります。


また、医師の行う注射、針灸での処置などで局所に出血を起こし、血腫が神経を圧迫してaxonotmesis(軸索断裂)が起これば、医療過誤で後遺症が出現したと誤解されるでしょう。よって神経の脆弱な状態は社会であらゆるトラブルを起こす原因になります。少し背中を押しただけなのに、その後に半身不随が出現したというような事件に発展する可能性を秘めています。これまで、神経の脆弱な状態に言及した論文は世界になく、私が初めて提唱しています。しっかり認識されれば、民事訴訟の判例も変わってくる可能性があります。


神経の脆弱な状態

私は脊髄・脊椎不適合症候群が神経の脆弱な状態であると考えています。脊椎のカーブ(軸)が先天的・および後天的に悪く、ちょっとした動作や姿勢で脊髄が尾側にひっぱられてしまい、延髄や脳幹まで下方に引っ張られ、過度な緊張が発生しやすい状態を言います。神経が緊張している状態=脆弱な状態、と推測しています。神経の緊張は現医学にはない(最近になって言及されはじめてきた)病態生理であり、医師の多くが理解していません。


脳神経の脆弱な状態

私は現在、少し立っているだけで、歩いているだけで、椅子に腰かけているだけで、パソコンをしているだけで…めまい・脱力・呼吸困難・耳鳴りなどが発症する患者を6~7名抱えています。これらは脳神経が脆弱な状態に陥っていると推測します。診断名はつきませんので心因性とされ、精神科受診することが一般的です。脆弱な状態にあると、日常の動作で神経が損傷・炎症を起こし様々な症状を起こします。


神経の脆弱な状態の治療法

脆弱な状態に陥る理由は、必ず血行不良が存在しています。原因が骨の変形・自己免疫・腫瘍・代謝異常であったとしても、最後に血行不良を起こして脆弱な状態へと移行していくと思われます。よって治療法は脆弱な状態に陥っている箇所の血行再開です。交感神経節ブロックが最大の効果を発揮すると思われます。


治療リスク

神経の脆弱な状態を改善させる目的で行ったブロックの薬液注入圧で容易に神経が損傷すると思われます。つまりブロック治療の恩が仇になる可能性が高いでしょう。正義感と良心に満ち、勇気を出してブロックした医師の治療が原因で症状が悪化するわけで、そうなると医師の心は激しく傷つき、上司にも「ブロックをするな!」と警告され、「もう二度とブロックをするまい」と思うでしょう。数週間後に患者の症状が回復したとしても、医師の心のトラウマは消えません。私は、そうした正義感にあふれた医師がブロックを行わなくなることに心を傷めます。今回、神経の脆弱な状態に言及したのは、それが医療過誤ではなく、患者の状態でなっているという場合があることを知っていただきたかったからです。


ただし、被害者にこのような内容を説明しても、理解することはなく、憤ることでしょう。医師と患者、あるいわ被害者と加害者は理解しあえることはなくトラブルを避けられないでしょう。セカンドオピニオンを他の医師に求めると、こうした内容を理解できる医師はいないと思われますので、さらに事態が悪化するでしょう。


まとめ

神経の脆弱な状態では病的neurapraxiaや、最悪の場合病的なaxonotmesisがたやすく発生すると思われます。そのきっかけが医療行為であれば医療過誤とされ、きっかけが第3者行為であれば傷害罪が適応されることがあります。しかし、現実的にはそこに神経が脆弱な状態があり、日常の行為で損傷する可能性を考えなければならない状態があるかもしれません。神経の脆弱な状態はこれまでの医学の概念にはなく、今後も訴訟トラブルメーカーとなることが推定されます。その時に、本症例のような事例があることを思い出していただければ幸いです。

古典的片頭痛に特効のブロック

2017年治療成績

はじめに

私は20歳の時から始まった古典的片頭痛の持病があります。古典的片頭痛は通常の片頭痛とは違い、閃輝暗点や視野狭窄、言語障害、感覚障害などが一過性に30分から1時間起こるという特徴があります。寝不足や過労が続き、緊張状態で長時間作業をしていると起こります。上記のような神経症状のあと、1~2日続く頭痛と吐き気に悩まされるということを、20歳の頃から何度も繰り返しています(年に数回くらいの頻度です)。今回も数日前に片頭痛の発作を起こしましたが、その際に自分自身に上頚交感神経節ブロック(1%キシロカイン3cc)を行い、劇的な効果があったので報告します。


古典的片頭痛とは

古典的な片頭痛発作は、視覚現象(しばしばジグザクの光や光のフラッシュが片側に 10~ 30 分で展開される)の後、片側性で拍動性の激しい頭痛が生じ、悪心、嘔吐や光過敏など の症状を伴う。一方、普通片頭痛は両側の頭痛のみを生じる。片頭痛の有病率人口の 15~ 20%でありその半数が女性である。一般的に、片頭痛の多くは緊張やストレス、気圧によ って引き起こされる。また頭痛の家族歴や乗り物酔いの既往があることが多い。片頭痛の 亜系としては、頭痛を伴わない視覚現象のみを呈する場合がある。
病態  片頭痛は 2500 年以上前のギリシャ文明時代から知られているものの、いまだそのメカニ ズムについては解明されていない。しかし神経伝達物質であるセロトニンの異常が片頭痛を引き起こすと考えている。セロトニンは神経細胞間でメッセージを伝達する伝達化学物質である。片頭痛発作時はこの化学物質の変化が脳の局所的な機能低下を引き起こし、血管壁の変化が攣縮性の収縮を引き起こす。血管の狭小化すると、酸素供給が減少することによる脳機能の低下がみられる。(北米、神経眼科学会誌より)


脳血管の血管平滑筋の痙攣

古典的片頭痛の原因ははっきりしていませんが、脳内の血管平滑筋が痙攣するという作用機序があります。もし、血管平滑筋の痙攣を解除できる方法があれば、古典的片頭痛をその場で治療できます。


血管平滑筋を支配するのは交感神経ですから、交感神経をブロックできれば脳血管の痙攣が解除されるのではないかと考え、鏡を見ながら自分の頸部に交感神経節ブロックを行いました。恐ろしいと思われるかもしれませんが、私は普段から上頚交感神経節ブロックの副作用を調べるために、自らの体に試し打ちしていますから全く平気です。


結果

ブロックを行うと10分以内に速やかに閃輝暗点が消失しました。視野狭窄(盲点の拡大)もおさまり、字が読めるようになりました。これほど即効だとは思いませんでした。しかも、いつもは閃輝暗点が消失した後に拍動性の頭痛と吐き気が必ず出現するのに、それが全くありませんでした。


ところがさらに2時間後、再び閃輝暗点が出現し始めます。閃輝暗点が出現し始めた時点で休養をとらないことが原因です。ブロック後も仕事を続けた為、再燃してしまいました。そこで私は再び自分の頸部に上頚交感神経節ブロックを行いました。すると今回も同様に10分程度で閃輝暗点がすみやかに消失。


この時点で若干呂律のまわりが悪かったのですが、薬時間後に呂律が回復、そして驚いたことに、頭痛と吐き気が全くありませんでした。通常はこの後、1~2日拍動性の頭痛と吐き気が続くのですが、頭痛なしです。


古典的片頭痛は頭痛がないものもありますが、私の場合、頭痛は必発で、閃輝暗点が見える状態が数十分続けば、その後に頭痛なしではいられません。にもかかわらず、ブロックが奏効し、今夏は頭痛を予防することが出来ました。


古典的片頭痛へのブロックの機序

ブロックは交感神経を麻痺させ、血管平滑筋の痙攣を解除したと考えます。その後に生じる頭痛は、血管が痙攣していた時間が長ければ長いほど強くなることを私は20年以上も前から体感し、経験しています。すなわち、可能な限り短時間で血管の痙攣を解除できれば、脳のダメージも頭痛も最小限に抑えられると思われます。


治療上の問題点

古典的片頭痛が発生して数十分以内にブロック注射を受けることができるかという時間制限があります。上頚交感神経節ブロックがどの医師にもカジュアルにできるようになればこの問題は解決します。私はそれをめざし、多くの医師たちにブロックの手技を伝えていく所存です。

 

延髄性呼吸困難症(新概念)

2017年治療成績

はじめに

あらゆる呼吸機能検査、採血検査、心機能検査などで異常がないにもかかわらず呼吸困難感が出現する患者は全国に多数存在すると思われますが、そうした患者は例外なく心因性と診断されることになっています。しかしながら、呼吸困難感が出現する状況として臥床時、高い枕、首の前屈長時間時、長時間座位での仕事時など姿勢が関与していると思われるケースが非常に多いこと、頸部交感神経節ブックで速やかに呼吸困難感が消失する例が多いことから、私はこれらの呼吸困難感の原因を心因性と診断することに極めて強い違和感を覚えています。


こうした呼吸困難感の原因は呼吸調整の受容体→延髄→脳への電気信号伝達の異常であると私は判断しています。つまり、脊椎のアライメント異常が根本に存在し、それが原因となって脊髄が尾側に引っ張られ→延髄・脳幹が緊張→延髄・脳幹の血行不良→舌咽神経・迷走神経・延髄の異常→呼吸困難感の出現、という機序を提唱すると共に、延髄性の呼吸困難感は頸部交感神経節ブロックで軽快させることができることを述べたいと思います。


延髄性呼吸困難感の仕組み

原因不明の呼吸困難感は呼吸調整を行う受容体(酸素・二酸化炭素分圧)からの信号が脳に伝わるまでの経路で間違った修飾を受けることで発生すると思われます。つまり動脈血の酸素分圧が低下(二酸化炭素分圧が上昇)していないにもかかわらず、そうであると脳に誤った信号が伝えられるということです。


この誤作動は生理的に健康な人でも起こります。例えば痛みを感じている時、不安や恐怖を感じた時などに、動脈血の酸素分圧が低下していないにもかかわらず呼吸困難感が発生し、呼吸回数が増えます。このように、健常な人でも精神的に呼吸困難感が起こり得ることから、「原因不明の呼吸困難感=心因性」と判断されるに至っています。


確かに、精神状態が呼吸困難感を作り出すことは理解できますが、これがすなわち、呼吸調整受容体―延髄―脳の経路に異常がないと断言する理由にはなっていません。現医学ではこれらを無理矢理「心因性」と判断しており大変残念に思います。


呼吸の受容体

  1. 頸動脈小体(内・外頸動脈の分岐部に位置)は舌咽神経を介して、大動脈小体(大動脈弓に位置)は迷走神経を介して、延髄の弧束核にPaO2低下とPaCO2上昇を感知(主にO2)した信号を送る。そこから吻側延髄外腹側野の外側旁巨大細胞核(呼吸中枢)に感知した情報が伝えられる。
  2. 延髄腹外側には髄液のph低下(CO2上昇)を感知する中枢受容体があり、ここでは完治した情報を吻側延髄外腹側野の外側旁巨大細胞核(呼吸中枢)に伝える。

 


呼吸困難感は呼吸中枢(外側旁巨大細胞核)に過剰な信号が送られると発症すると思われます。感情とも連動するので交感神経とも密接なつながりがあると思われますが、交感神経から呼吸中枢に至る経路は解明されていません。結論として呼吸困難感は延髄の弧束核、そして外側旁巨大細胞核の虚血や損傷で起こる可能性が高いと私は考えます。延髄の損傷を起こす原因の多くjが脊髄の過伸展であると推測します。


延髄損傷で呼吸困難感が発生する

むちうち損傷で延髄が瞬間的に強く引き伸ばされる、高い枕や側臥位での横枕で延髄に長時間の虚血ストレスがかかる、前傾(前屈)姿勢で長時間作業し延髄にストレスがかかる、頸椎の手術で術中の体位が悪く延髄を長時間過伸展してしまう、延髄の呼吸中枢に微小な血栓ができる、などの延髄損傷がきっかけとなり、過剰な信号がここに入力されることで呼吸困難感が出現すると考えます。


呼吸困難感の随伴症状

延髄が過伸展される場合、呼吸中枢のみが単独で損傷する(虚血状態になる)ことは考えられず、延髄の前後に存在する脳神経核の異常がほぼかならず併発すると思われます。


1、嗅覚異常(においに過敏・においがしない)2、眼精疲労・視野狭窄・かすみ目、3、眼球がひくひく動く、複視、4、三叉神経痛(目の奥、こめかみの痛み)5、味がしない、口がゆがむ、6、めまい、難聴、耳鳴り、7、舌のしびれ、口内の異常、8、肩こり、のどのしめつけ、9、動悸・発汗・頻脈、体温が低い、などです。不眠もほぼ必発と思われます。また、錐体路症状が発生してもおかしくありませんので、上下肢の脱力、首に力が入らないなどを伴っても何の不思議もありません。むしろ、呼吸困難だけが単独で起こる方がめずらしいでしょう。


延髄過伸展による症状は現医学では全く不明

延髄が過伸展されて様々な脳神経症状が発症するという発想は現医学では皆無ですから、これらは全て心因性と判断されます。よって患者がどれほど強く症状を医師に訴えたところで、医師の誰も相手にしてくれません(精神科医のみが熱心に話を聞いてくれるでしょう)。そしてうつ病、ヒステリー、不安神経症などといろいろな病名をつけてもらえます。


精神科以外の全ての科で呼吸困難感は「否定的」にとらえられるので、患者は仕事にもつけず、傷病手当金ももらえず、路頭に迷いますので、病名をつけていただける精神科医と依存関係に陥ります。精神科医の処方通りに薬を服薬すれば、各種保証(生活保護など)を受けられるので患者には疾病利得があります。よって精神科病名を受け入れるようになり、患者自身も自己暗示がかかり「呼吸困難は心因性」と刷り込む傾向があることが理解できます。


こうした現状が延髄性の呼吸困難感を医師が誰も研究しない土壌となっていることを激しく遺憾に思います。


延髄性呼吸困難感の治療法

 

頚部交感神経節ブロック

頸部交感神経節(もっとも有名なのは星状神経節ブロック)を行い、延髄の慢性虚血を解除することが最大の効果を発揮すると思われます。私はむちうち患者で呼吸困難感を訴えている患者に本ブロックを行いますと即座に呼吸が楽になるという臨床経験を何度もしていますのでブロックが即効性のあることを実経験しております。


心理カウンセリング

呼吸中枢を刺激してしまう要因として感情(交感神経)があります。よって感情をコントロールすることができれば、ある程度、呼吸中枢への入力信号数を減らすことができます。呼吸苦が出現した際に、自己催眠をかけ、眠くなるように暗示をかけてあらゆる刺激信号を遮断するように修行すれば、それだけでも呼吸苦をやり過ごせるようになるでしょう。また、不安が呼吸苦に連動するので、周囲の不安要素を考えないようにカウンセリングしてもらうことも重要です。ただ、これは原因を治療しているわけではありません。延髄に異常があることは変わらないと思われます。よってカウンセリングに傾き過ぎることは身の破滅を招きます。


寝具やイス、仕事環境を改善する

延髄へのストレスは脊椎を前屈させることで強まります。よって高い枕は絶対に禁忌です。また布団のマットレスに要注意です。薄く平らなものがよいという間違ったうわさが世間に流布していますが、平らな布団は脊椎を数か所で支えることを意味し、宙に浮いている脊椎部分には必ず重力のストレスがかかります。よって平らな薄い布団は禁忌です。理想は脊椎のカーブに沿うようにマットレスが凹凸してくれるものです。脊椎の全体で重力を均等に受けることが重力のストレスを最小限にします。よって寝具の調整は非常に大切です。


また、職場では机が低い位置にあると、長時間前屈を強制させられるので、作業場は高い位置に変えるように工夫します。そしてモニターなども目線の高さに置き、可能な限りした目線にならないようにします。これが呼吸困難予防の最低の環境整備です。呼吸苦が出現した場合は姿勢を変え、可能な限り冤罪の姿勢をとらないようにします。


カイロプラクティク

姿勢矯正も重要で、頸髄・延髄にストレスのかからない脊椎の位置を体に覚えこませる必要があります。それにはカイロプラクターに矯正していただくことが望ましいでしょう。ただし、効果的な治療ほどそのリバウンドには注意しなければなりません。以下にリバウンドの注意点を述べます。


リバウンド

極めて効果的な治療を行い、その治療が原因にヒットした場合、症状は著しく改善するでしょう。私は頸部交感神経節ブロックでその効果が非常に高いことを経験しています。しかし、原因箇所の血流改善を行うことで以下の二種類のリバウンドが起こる可能性があります。


 

  1. 神経細胞が元気を取り戻し、不快な信号をさらに伝えてしまう場合
  2. 一度血流が改善されて、回復に向かうが、薬が切れた頃に再び虚血が出現する場合

1と2は単独で起こるのではなく両方同時にからみあって起こると考えます。つまり、神経細胞が元気になった後に虚血が起こると、その症状は以前よりも強く感じることになるという理屈です。


リバウンドは効果的な治療を受けたほど起こり得る可能性が高く、多くの患者は治療を受けたせいで症状が酷くなったと誤解するでしょう。この時点で患者と医師の信頼関係は崩れ、治療が前に進まなくなります。


リバウンド経験例

私は頸部交感神経節ブロックを自分に注射してリバウンドを研究しています。リバウンドは薬の濃度を上げたり、量を増やしたりした際に起こりやすく、布団に入ってうとうとした頃に突然の呼吸困難が発生し目が覚めます。私の場合30秒程度で収まりますが、人によっては数時間、呼吸困難が出現することもあると患者から報告を受けています。患者はこのようにして起こるリバウンドをブロック注射のせいであると誤解しやすく、現場ではしばしばトラブルが起こります。誤解を解くのは極めて難しいと感じます。


また、実際にはブロック注射が呼吸中枢に悪影響を及ぼしている可能性は0ではないので、私としてはブロックが副作用として呼吸困難を発生させる可能性について常に注意しながら治療法を考えています。

こうしたリバウンドはカイロプラクティクの施術後にも起こる可能性があります。


他の薬剤治療法

血流を改善させる薬を用いるべきです。経口薬ではメリスロン、オパルモン、静脈注射ならリプルやパルクス、そして補助的にプラセンタなどを用いることを提唱します。基本的には延髄の損傷(炎症)が原因と思われますので、炎症を極めて強く抑制できるレミケードなども最後の手段としてありうると思われます(保険適応外です)。

脊髄緊張性頭痛の存在を発見

2017年治療成績

はじめに

私は他の医師にかかっても治らない、原因不明、よって心因性と診断された慢性の疼痛患者を専門に診療してきました。その結果として、現時点で不可解な頭痛・ふらつき・呼吸困難感などを訴える患者を4例抱えています。4例の患者には全例に、脳幹の血流量を上げる目的で上頚交感神経節ブロックを行いましたが、その全例で注射後に必ずリバウンドが起こりました。リバウンドとは一時的に症状が悪化する現象です。恐らくリバウンドは一過性に虚血に陥った箇所に血流が再開されることで生じると推測され、これは古典的片頭痛と原理的には同じではないかと考えます。私の抱える4例は一過性の虚血が三叉神経(脳幹)や後頭神経(C2,C3)に生じているのではないかと思われるのです。そして血流が再開したときに頭痛やはきけ、ふらつき、呼吸困難感などが起こるのではないかと思われます。この推測は、偶然にも私が寒い診察室で徹夜し、コートを着たまま診察台の上で仮眠をとった際に、4症例と同様な症状を私が体験したことがきっかけです。頸髄が緊張する姿勢で就眠すると、延髄や脳幹が尾側に引っ張られ、一過性に脳幹や延髄に血行不良が起こるという病態を考えます。難治性の4例は姿勢や寝具、椅子などを改善させていけば治癒する可能性があり、カイロプラクターと共同で研究を進めれば、完治させていける可能性があると考えました。


頭痛と呼吸困難・吐き気を感じた一夜

私は自分の診療所で作業を行い、終電をのがしたため診察台の上で寝ることを試みます。寒いので分厚いコートを着たまま高さ7cmの診察枕で仰向けで寝ます。30分もすると酷い肩こりが起こり目が覚めます。そこで起き上がり、診察台の上で正座して軽く伸びをします。するとうなじに血流が再開したような感覚と同時に拍動性の頭痛がこめかみと後頭部に起こり胸鎖乳突筋が痛くなりました。私は古典的片頭痛の持病があり、血流が再開した時の拍動性の頭痛をよく知っていますので、「この痛みはまさに血流再開の際の痛みだ」とピンときます。


今度は横向きに寝ます。7cmの枕は横向きであると低すぎるので頸椎に負荷がかかります。すると10分程度で再び肩こりが起こります。この肩こりを治すために、横向きのまま伸びをします。すると前回と同様、血流が再開する感覚と同時に拍動性の頭痛が起こります。それでも無理をして横向きのまま寝ることにします。するとその10分後には呼吸困難と吐き気が出現し、息苦しさのために起き上がります。起き上がって軽く運動をすると呼吸困難はすぐにおさまりました。


次にコートを脱ぎ、これを掛布団のようにかけて寝ます。すると肩こりはあまり起こらず(多少は起こるが)数時間寝ることが出来ました。このエピソードはコートを着たまま寝るということが脊椎のカーブを悪化させ、その結果脊髄が引っ張られて一過性に脳幹や延髄が虚血に陥ったためであると推測しました。その後に起こるこめかみと後頭部の頭痛は、血流が再開した時の血管拡張性頭痛と考えます。この推測は「再現性があること」「姿勢をよくすると即座に軽快すること」からある程度信用性があるものと考えます。


めまい・難聴・耳鳴りも脊髄緊張由来である

今回、私はこめかみの痛み、後頭部・胸鎖乳突筋の痛み、呼吸困難、吐き気という症状が現れましたが、脊髄が緊張し脳幹・延髄が虚血状態となり生じる症状は人によってまちまちです。ある人は耳鳴りが起こり、ある人は難聴が起こり、ある人はクラクラします。呼吸困難だけが起こる人もいるでしょう。よって一連の脊髄緊張が原因と思われる症状は一定しません。また、脊椎がもともと変形・ずれ・弯曲などを起こしてしまっている人は、普段の姿勢で(悪い姿勢をとっていなくても)こうした脊髄緊張症状が出る可能性があります。


脊髄軸異常は難治性

私のように、分厚いコートを着たまま寝るというように物理的に脊椎の軸を変えることで症状が発症する場合、そういうことをやめれば症状は改善します。しかし、もともと軸が歪んできている人の場合、それを治すことはとても難しいことです。よって脊椎軸異常の人は難治性となります。しかし、難治性とは言っても、高齢になれば誰もが椎間板がつぶれて身長が低くなり、脊髄がだぶついてきますので緊張しにくくなります。よって、難治性の人も高齢になると自然治癒すると思われます。


 

カイロプラクターと寝具会社との共同研究は必須

脊椎の軸異常に起因する脊髄緊張は、現医学では全く知られていない病態です。しかし、実際には数多くの脊髄緊張性の症状をお持ちの方がいると思われ、できるだけ早く研究を進めなければなりません。そのためにはカイロプラクターによる脊椎軸の矯正のガイドラインを作っていく必要があるでしょう。そして実際にX線写真を撮りつつ、徒手整復手技で軸がどのように変わるのか?を示していかなければならないでしょう。そして寝具が実は極めて重要であり、寝具開発を共同で行ってくれる寝具会社の方々の協力が必要です。どなたか名乗りを上げていただければ助かるのですが…

難病治療専門医について

2017年治療成績

難病とは何か?

難病とは何か? それは医師が現医学のガイドラインに沿った治療を行ってもたやすく改善しない症状・病気の総称です。筋萎縮性側索硬化症や原発性胆汁性肝硬変など、国が指定している難病だけを指すわけではありません。そういう意味で肩こり・めまい・耳鳴り・汗かき・アトピー性皮膚炎などは立派な難病です。私はそうした「日常的に経験する難病」を改善させることを専門に診療を行ってきました。


 

どうすれば難病専門医になれる?

難病専門医とは言っても、外来に「難病専門外来」と貼り紙をしているわけではありませんし、難病の患者が全国から集まってくるわけでもありません。しかし、実際には私の外来は難病の患者ばかりが集まります。なぜだと思いますか? それは、軽症の患者を1~数回の診療ですばやく治してしまい、外来通院させないからなのです。おそらく、私のような診療スタイルをとる医師は探しても見当たらないと思います。なぜならば、初診の患者にいきなりブロックをして初回で完治させてしまうと病院が赤字経営になるからです。まずは薬とシップで様子を見て、数ヶ月通院しても症状の改善が見られないなら「奥の手として注射」するのが普通の開業医です。さらに、注射はリスクがあるため、信頼関係が結べていない初診の患者に注射をして逆に痛みを作ってしまえば、悪評を立てられ、場合によっては訴えられることもあります。トラブルが多ければ解雇されます。ですから、初回で完治させる治療を行うことは、医師にとっては社会的に大きなリスクを背負います。よって全国を探しても、そういう医師にお目にかかることはまずありません。


しかしながら、私はすでに10年以上前から一度で完治させる診療を常にこころがけていました。理由は簡単です。外来が混雑しすぎるからです。治さなければ外来が患者であふれかえってしまい、仕事ができないほどになってしまうからです。ブロック注射は精神力と集中力がかなり要りますが、その集中力を欠いてしまうほど、患者の数が膨れ上がります。よってそならないように、常に一度で治すようにしてきました。すると、一度では治らない難治性の患者のみが外来を占領するようになります。こうすることで難病患者の割合が少しずつ増えていきます。ただし、これだけでは難病専門にはなれません。一度で完治するような軽症な患者は、どうでもよいのですが、数回~数十回治療が必要な中等傷の患者を来院させないようにしなければなりません。そのためには、診断の適切さが最重要になります。肩が痛いと訴える患者は、本当に肩関節が痛いのか、肩周囲の腱が痛いのか、肩へ行く神経が炎症を起こしているのか?の診断をつける能力が必要になります。通常、これらを正しく診断するには、肩の専門医を数十年やっている必要がありますが、私は実際にブロックをし、その場で治すことで診断をつけてしまいます。まずは腱、次に神経、そして最後に関節・・・というように、痛みがゼロになるまで治療を重ね、そして治ったところで治療終了。このように、一度に多重治療を行うことで、数回~数十回治療を要する患者を、一度で完治させて来院させなくします。もちろん、完治させても再燃しますから、患者は再び来院しますが、治療技術が向上するにつれて、再来院までの期間が長くなります。こういう治療を繰り返すことで、真に難病をかかえている患者が増えていきます。また、難病を治療することで、治療技術が日進月歩でぐんぐん向上していきます。すると、程度の軽い患者はどんどん外来からいなくなります。私はこうして難病専門医になっていきました。


 

ドクターショッピング患者について

慢性の症状を持ち、それを治してくれる有名な医師を探して何軒もクリニックを転々とすることをドクターショッピングと言い、その行為を医師は最も嫌います。理由は簡単です。保健医療はガイドラインが決められており、特殊な治療をすることを保険診療は許可していません。つまり、医師の技術に多少の差はあったとしても、治療法が大きく異なることはなく、全国どこの病院へ行ったとしても「建て前上、同じ」だからです。保険で医療を行っている限り、どこへ行っても同じ治療なのに、ドクターショッピングをするということは、「患者のわがまま、ないものねだり、大人として成熟していない」ということを意味します。よってドクターショッピングする患者は医師に大変嫌われ、まともに診療してもらえなくなります。


 

ドクターショッピングをする患者は間違いなく難病であり(私の難病の定義にしっかりあてはまる)、「他(前)の医師たちが治せなかった」ことが確定します。前の医師の中には大学病院の教授が含まれることがしばしばあります。難病に苦しむ患者はまず有名な病院、著明な専門化医師のところを訪れるからです。そうした名誉ある著名な医師たちが「治せなかった症状」を「名もない普通の医師」が治せるはずがありません。よって、ドクターショッピングしている患者を医師が始めて診察するとき「どうして俺のところにやってくるんだ!」と怒りが沸き起こるものなのです。名誉ある教授が治せなかった症状を治すということは、教授の顔に泥を塗ることにも等しく、縦社会で生きている一般的な医師にとっては反社会的な行為になるのです。これらの状況から考えて初めてドクターショッピングが医師に忌み嫌われる理由が見えてきます。私は実はドクターショッピングする患者を治すことを趣味にしてきました。私は「他の医師が治せなかった症状・患者」にしか興味がありません。他の医師が治せる患者であれば、他の医師にかかればよいのです。逆に、そういう患者には来院してほしくありません。他の著明な医師(教授たち)が治せなかった患者を治してこそ医の醍醐味であることを知り、難病患者にしか興味を示しません。そういう姿勢で治療を続けていたのでドクターショッピングの患者が来院するととてもわくわくした気分になります。そして、儲けを考えることなく全力を尽くしてあらゆる治療を試みます。それが楽しくて楽しくて医師をやっているわけです。全力を尽くせば、難病でさえも多少よくなるので、ドクターショッピングの患者は私のところから他の病院には移りません。よって難病患者がストックされていきます。こうして難病専門医が誕生します。


難病治療=反社会性

私は己の技術を磨くことを趣味として生きてきました。医療だけでなく、心理学、脳科学、音楽、コンピューターグラフィックなど、人が面倒で嫌がる困難を趣味としてきました。以前は教授と呼ばれる医師たちの権威に反感を持ち、その権威に逆らうつもりで医療をとことん研究しましたが、様々な難病を治す技術が身についてきた現在、権威に逆らおうとする精神は消えてなくなってしまいました。出世にもお金にも興味が薄れてしまいました。今はこの技術を多くの医師たちに伝えなければ・・・という気持ちです。


しかし、ここに立ちはだかるのが保健医療です。医師業務は建て前上、「儲けるためのものではなく、人々を救うための事業であり、そのために公的機関が金銭を援助する」となっていて、ガイドラインを無視した医療行為は公的機関が認めないことになっているからです。公的(世界的)に治療効果が認められるまで、保険診療で新しい治療をやってはならないことになっています。ところが、新しく効果の高い治療は常に、既存の権威ある教授の理論を打ち破るため、教授の権威があるうちは公的には認められにくいというからくりがあります。私が教授という地位にすでについているのであれば問題はありませんが、そうでない一般的な医師が新しい治療を打ち出しても、些細なミスのあげあしをとられてしまい、社会的に葬り去られやすいでしょう。よって「他の医師が治せないものを治す」=「反社会性の路線」 であることは間違いのない事実なのです。出る杭は打たれてしまうことをよく知っていますので、出すぎた杭になるまで私は何も公表もせず、こうして水面下で論文をせっせと書き溜めてきたわけです。このサイトは、様々な圧力に耐えうるだろうと思われるほどに証拠を集めた上での発表です。論文としては未熟なものばかりですが、私の治療の是非が問われた場合に、私を救ってくれる唯一の証拠となります。私の理論が「無茶苦茶」だと指摘する学者が次々と出てくることも想定内です。ですが、最終的には「治せない者が治せる者の口を塞いではいけない」という正義が勝つと信じています。私は「治せた者」の意見のみを受け入れます。もともと権威にはおじけづくことがないことを前提としなければ、難病治療は不可能です。


難病治療医の虚しさ

難病治療は保険が認めていない治療です。保険が認めていない=保険がお金を支払ってくれない、ことを意味します。全て自費で行えばよいのですが、難病治療は繰り返し行わなければならないものが多いので自費で行えば破産しますので続きません。続かなければ治せませんので難病治療は成立しません。よって難病治療を行うためには「極めて高い技術を叩き売り」しなければなりません。また、めまいを治すにしても、肩こりを治しているうちに偶然にもめまいが治ってしまったというような体裁にしなければなりません。実際に肩こりを治して差し上げているので違法ではありませんが、めまい治療としてお金を請求できません。また、わが国ではブロック注射は1日に1箇所分しか支払わないという規定ですから、数箇所同時治療ができません。よって、2箇所目からはサービスしなければならないこともしばしばあります。つまり、高い技術を無料で提供するわけで、さすがに虚しさにさいなまれます。自分の高い技術を安い料金(または無料)で売ることは医師として非常にプライドが傷つくことですが、難病治療は教科書的な治療ではありませんのでやむを得ません。現医療体制はきちんとしたガイドラインにのっとっている治療にのみ高い報酬を与えるわけですから、新しい工夫した治療を行えば「報酬を与えない」というペナルティがあることと同じです。こうしたペナルティのおかげで新しい治療は開発されにくいという土壌があります。大学病院では保険審査が甘くなっているのは、こうしたペナルティをやわらげるためです。ペナルティが厳しいと医療の進歩が停滞します。よって、新しい治療はほとんどが大学病院でのみ生まれ、一般開業医のところから生まれることがほとんどないのです。


心因性という難病

心の病は「何でもあり」です。教科書に載っていない奇妙な症状は全て「心因性」と言われる決まりになっています。私は当然ながら「教科書に載っていない奇妙な症状」を専門に治療しています。突然両手が動かなくなる、におい・味がわからなくなる・眼球がひくひく動く…など教科書にのっていない症状です。これらを「心因性」とみなすことは治療を放棄していることであり、著明な教授先生にも治すことができません。そして治す気もありません。実はこういう状況は私にとってもっとも好都合なのです。世界の誰も研究しない症状ですから、それを治療できればすぐに世界の頂点に立てるということを意味しています。「世界の頂点」などどうでもよいことですが、これは探検家が前人未到の地底洞窟を探検するのと同じ気分です。私はその気分を心因性と言われる難病奇病を治してしまうことで得られるわけです。先ほど述べたように、新しい治療は大学病院でしかなかなか研究できません。しかし、心因性の症状は著明な教授先生たちが「近づきたくもない症状」ですから、新たな治療が生まれません。逆に言うと「心因性」と呼ばれる奇妙な症状は、小さな開業医でしか研究ができないのです。私にとっては「心因性」は宝の山にしか見えません。そして実際に「心因性」と呼ばれる症状をブロックで改善させ、心因性ではなく原因があり治療法も存在することを証明して見せています。それはなんと楽しいことでしょうか。


難病ガイドラインを作成

しかし、私一人がこうした難病を次々と解決できたとしても、多くの人々を救うことはできません。難病治療の実績データをきちんと公表し、それが世界で認められ、厚生労働省のガイドラインに掲載されるようにならなければ一般の医師が治療できるようになりません。前途多難ですが、それを実行しなければ社会貢献できません。認められるためには、多くの協力者も必要となります。そのためなら学会を作ることも視野に入れなければなりません。このサイトの名前がなぜ「日常損傷病学」なのか? なぜnanbyo-study.jpなのか? それは私が協力者を募り、学会を作る姿勢を示すためです。これに賛同してくれる教授先生たちが現れることを祈っています。

 

 

 

 

 

 

ALSは身近にある2(突然の脱力)

2017年治療成績


「ALSは身近にある」のパート1(ブログ参)で、32歳の男性の例を紹介しました。彼は現在、J医大に入院し精密検査を受けています。今回は同様に突然全身の脱力が起こった56歳女性の例を紹介し、こういった不可解な脱力を示す症例は心因性とされてしまう残念な現状について報告します。


56歳女性の突然の脱力

この女性はナルコレプシーの治療報告(ブログ参)で紹介した女性と同一人物です。この患者は1.5年前から耳鳴りを治療する目的で週に1回の上頚神経節ブロックを行っていました。しかし、2014.9.昼間、電話している最中に突然眠ってしまうという発作が起こります。


既往歴として髄膜腫で2001,2013にN医大の脳外科でOpeを行っています。私はナルコレプシーと診断し、治療目的で週1回上頚神経節ブロック(1%キシロカイン2cc×2)を開始しました。ブロックを行うと、5~6日間は入眠発作はなく、これで改善するかと思われましたが、徐々にその効果期間が短くなり、数日で発作が再び出現するようになったため、ブロックを週に2回行うことにしました。しかしながらナルコレプシー(入眠発作)は改善せず、ブロックを行うと数日は発作が起こりにくいという状況を繰り返すのみでした。


ところが2014.12.17.夕方、突然上肢と下肢の脱力が起こり自宅で倒れます(意識清明)。翌日近くの内科医に行くが原因がわからないと言われ精神安定剤だけをもらい帰宅。その後当院に来院。幸いにもこのエピソード以来、睡眠発作が起こらなくなり、ナルコレプシーは完治しました。これには少々驚いています。しかし今度は上下肢の脱力という問題に直面します。


現症

以前からの耳鳴りが急激に悪化、めまい、吐き気、上下肢共に脱力、視力障害(目がかすむ)、動悸、ホットフラッシュ、階段が昇れない、嚥下困難(飲み込めない)、発作性の呼吸困難(1日数回、10分続く)、両眼周囲痛(三叉神経痛)、目玉が動く(動眼筋群の線維束攣縮)、音で頭痛(三叉神経痛)。


採血データ:電解質異常なし、CK:113異常なし、ALP:426↑、BUN:23↑、中性脂肪:652↑、血糖:145↑、以外に異常なし。


腱反射:下顎反射(+)、上肢腱反射亢進(+)、下肢腱反射亢進(-)、病的反射なし。


下顎反射(+)、上肢腱反射亢進(+)、嚥下困難(球麻痺)、線維束攣縮などより脊髄由来の錐体路障害の可能性を考えました。つまりALSの初期症状の可能性を考えました。上記の多彩な症状は「線維筋痛症・ALS・闘病日誌」で紹介した患者と極めて類似しており(ほとんど全ての症状が重複している)、脳幹部の血流障害(錐体路を含む)が原因ではないかと推測しました。


治療

当初、低カリウム血症も考慮し維持輸液の点滴を行い、脊髄の血行改善目的に上頚神経節ブロックとT4/5レベルに胸部硬膜外ブロックを行いました(採血データでは低Kなし)。その結果、ブロック後数十分後から脱力感が解消し、嚥下困難、呼吸困難も消失し独歩で帰宅されました。


経過

ALSに症状が極めて類似していることから、N医大の脳外科医に紹介状を送りました(N医大で脳の手術を受けているため)。しかしながら「心因性」と診断されてしまいました。これらの症状を精神疾患であると捨て置かれてしまいましたので、今後の治療は私が行うと決意しました。


感想

脊髄・脳幹系の初期症状は強く出る時と出ない時と、症状が固定していないため、診断がつけられないのだなあと思いました。これだけバラエティに富んだ脳神経症状があり、上記のブロックで即座に脱力や諸症状が軽快したことを考えると心因性ではないと思われますが、現医学で教科書に掲載されていない特殊な症状です。理解不能な症状は、全て「心因性」と捨て置かれることを改めて理解させられました。ブロックをして即座に軽快したことを「暗示にかかっただけ(プラセボ効果)」と解釈する方もおられるでしょう。しかし、暗示で治るのであればすでに内科にかかった時点で治りますので、私の行ったブロックの効果は「暗示効果ではない」と思われます。


このような不可解な脳神経症状を呈した場合、患者は精神科を紹介され、まともな治療は受けられないようです。もちろん、原因が判明したとしても、治療法はありません。現医学水準の低さにため息が出ます。もちろん、ALSと診断がつくはずがないことは最初からわかっています。なぜならば、ALSの確定診断がつけば、5年以内に90%が死亡することが決定するからです。そんな重症な状態には、現時点でなっているはずがありません。よって診断はつかない、いやつけさせません。それでもN医大に患者を紹介した理由は、万一、本当にALSであったとしたら、その患者を私が治療し、それでも甲斐なく症状が進行してしまった場合、「早期にみつけられなかったからこうなった」と言われたくないために紹介しました。N医大で心因性と言われて捨て置かれた状況(つまり現医学では初期脊髄疾患は診断できない状況)を知っていただくためです。現医学を批判しているのではなく、現医学は脳や脊髄について未熟であることを確認したまでです。彼女の治療はこれから本腰をあげなければなりません。


その後の続報

週に2回、腰部または胸部硬膜外ブロックと、上頚神経節ブロック、頸部傍神経根ブロックを行い続けました。この治療を3か月間続けたところ、頸椎から咽喉にかけての痛みが消失し、めまいや頭痛が全く起こらなくなり、上肢の脱力が全く起こらなくなりました。つまり上半身の症状はほぼ完治。下肢の脱力感はほとんど起こらなくなりましたが、階段を上るときに出現するのみとなり、少々の歩行は普通にできるようになりました。現在、歩行時に強烈な腰痛が出現するという症状と耳鳴り症状が残存していますが、他の症状は軽快し、順調です。しかし、残存する症状を治療する目的で、腰部硬膜外ブロックまたは胸部硬膜外ブロックを週1回、上頚神経節ブロックを週1回行うことを続けています。


その後の続報2

ALS様症状としては上半身の症状はほぼ完治させることが出来ました。しかし、階段歩行時に脱力となるという症状は残存。これはブロックで数日は改善するものの、完全に治癒させることはできませんでした。この患者は片道2時間近くかけて週に2回遠方から来院するためおそらく通院にかなりストレスを感じていたと思われます。そして他にも眼科、脳外科、内科、精神科と多数通院をし、その通院のせいで病状が悪化していると思われたため、「他の病院に通院する回数を減らしなさい」と命じました。その命令におそらく彼女のプライドが傷つき、それ以来来院しなくなりました。現在の状況はわかりませんが、まあ、上半身の症状を改善させただけでも快挙ですので、それでよしとしました。


ALS様症状の治療実績

最近のALS様症状の治療実績10例分をまとめて掲載します。治療実績はこちら


 

上頚神経節ブロックによるふらつき治療報告

2017年治療成績

はじめに

耳鼻科外来・脳外科外来などには「ふらつき」を訴える高齢者が毎日大勢訪れます。しかしながら耳石性めまい、良性頭位性めまいなどと診断されるだけで根本的な治療法がない状態です。私は耳鼻科医に「耳石性めまい、良性頭位性めまい」と診断されたふらつきを主訴とする高齢者に対し、これまで上頚神経節ブロックを行い、毎回、ほぼ100%の確率で完治させることができました(正確ではありませんが数十人、しかしながら、その後に各種ふらつき症状の方々を治療するようになり100%とはいかないことを知ります)。再発は多少あるものの、多くは一回のブロック治療でほぼ治ることから、私は「耳石性めまい、良性頭位性めまい」の診断に懐疑的です。また、ふらつきの中には(小刻み歩行などで)足が思うように動かないためにふらついて転倒しやすくなる病態も含まれていますが、それはおそらくパーキンソン症候群に由来するものと思われます。こうしたふらつきにも上頚神経節ブロックが著効することがわかりました(パーキンソン症候群治療の続報で述べたいと思います)。ここでは主に一度の治療で完治し、自律神経失調由来と推測したふらつきについて述べていきます。


ふらつきは大変危険な状態

ここで述べるふらつきは普通に考えるような「目が回るめまい」ではなく、貧血の際に起こる「意識が薄らぐような浮動感を伴う」ものです。ふらつきが起こると高齢者は転倒するリスクが高くなります。高齢者が転倒すれば腰椎や大腿骨に骨折が起こりやすく、転倒してこれらの場所を骨折すると5年以内に80%が何らかの理由でお亡くなりになると言われており(寿命によるとも言われていますが)、高齢者の転倒は寿命を短縮させると思われます(癌よりも予後が悪い)。よってふらつきという症状を長く継続させることは寿命を短縮させると言う意味で非常に危険な状態であると言えます。そして転倒すると恐ろしいという自覚を本人もしており、そのため外出をしないで家にとじこもるようになります。よってふらつきは一刻も早く治療しなければなりません。が、耳鼻科や脳外科では脳幹の血流をよくする内服薬を処方するのみで根本的な治療法がありません(しかし内服薬ではほとんど治りません)。


上頚交感神経節ブロックの威力

私の場合、私が開発した上頚神経節ブロックを行い、脳幹の血流量を強制的に増加させ、三半規管や内耳神経核、延髄の自律神経核の血流を改善させることができます。このブロックを行うことで、ふらつきで来院された方はブロック後、数十分で劇的にふらつきが改善し、そのまま帰宅されます。そしてほとんどの場合、その1回のブロックでふらつきは完治します(ただし、重症な方は完治には至りません)。症状の強い方は数週間後に再発される場合もありますが、繰り返しブロックを行うことでふらつきは改善します。ただし、上頚神経節ブロックは現在、私にしかできないブロック注射であり(今後、医師たちに伝授していこうと思いますが)、多くの医師はそれの代用である星状神経節ブロックを行います。星状神経節は上頚神経節から離れており、改善効果が少ないと思われますが、このブロックでもふらつきは多少なりとも改善すると思われます。この結果、耳石性めまいは耳石のせいではないことが確定します。なぜならブロックを行うことで瞬間的に耳石が消失することなどあり得ないからです。私のところに来院したふらつきの患者たちは、ほとんどが耳鼻科で耳石性めまいと診断されていましたが、それは正しくない可能性が高いと言えます。


ふらつきを治すのに何科が良いか?

ふらつきは頸部の交感神経節ブロックをすれば大抵症状が改善します。しかし、頸部交感神経節ブロックを行うことができるのは現在のところペインクリニックのみです。整形外科医の一部の医師がこのブロックを行えますが、「ふらつき」という症状を訴えても治療してくれませんので、結局のところペイン科のみでしょう。しかし、ふらつきやめまいに星状神経節ブロックが保険適応と認定されていないという現状があります。つまり、現医学で星状神経節ブロックがふらつきを治せるということが知られていないことを意味します。ペイン科でも一部の医師のみが交感神経節ブロックがめまいやふらつきに効果があることを知っているだけであり、通常行われている治療ではありません。「保険適応になっていない」とはそういうことを意味しています。よって、ペイン科に行くときは「ふらつきと肩こりがあります」というように伝え、症状が「ふらつきのみ」と言わない方がよいでしょう。星状神経節ブロックは肩こりには保険適応がありますが、ふらつきには適応がないからです。


一応、めまいやふらつきの原因として脳腫瘍の可能性もありますので、それを否定するために一度は脳外科や耳鼻科を受診することをお勧めしますが、きちんと治したいのであればペイン科に行き、「星状神経節ブロックをしてほしい」と指名したほうがよいかもしれません。何度も言うように「ふらつき」に交感神経(星状神経)節ブロックが効くことは、一般的には医師たちに知られていないことだからです。


ふらつきの原因

ふらつきが起こり、耳鼻科へ行くと、「耳石性めまい」と診断されてしまうということは、それほど「ふらつきの原因」が現医学ではっきりわかっていないことを意味します。逆に私の行う上頚神経節ブロックなど(別名:頸部交感神経節ブロック(星状神経節もその一つ))で治るということから、脳幹や延髄の血行不良が原因であることが推測されます。中でもふらつきは動作時に起こるという特徴から、血圧調整と密接な関係があると思われ、私は自律神経を含めた延髄の血行不良が原因であると推定しています。自律神経を根本的に治療できる薬はなく、頸部交感神経節ブロックが唯一の治療法であると思われます。


ふらつきはブロックで治る

ふらつき症状を治療せずにひきずることは高齢者にとって大変危険です。ですが、ブロックを行うことでほとんど治ります。よって、勇気を持ってペイン科に行くことをお勧めします。耳鼻科や脳外科へ行き、治らない経口薬を処方され続けているだけでは意味がありません。


急激な視力低下はブロックで治す

交通事故のむち打ち症後に急激な視力低下を訴える方がわずかにおられます。また、交通事故でなくても、急に視力が著しく低下、眼がかすむ、ぼやけるなどの症状が起こる場合があります。こうした症状は眼科でも治すことができず、原因もわからないままとなりますが、私はすでに、こうした症状も上頚神経節ブロックで治しています。症例数が少ないので発表するまでには至っていませんが、実際に治せます。


治せるという事実から逆算し、急激な視力低下の原因は脳幹の血流障害による視神経や動眼神経の調節機能の低下と推測できます。交通事故後に視力低下となる例は少なくはありませんが、どこの医者にも治すことができませんので、もし、視力低下でお悩みの方は、一度私の治療を受けることをお勧めします。


さて、同様に、老眼(近いものに焦点を合わせることができない)も、上頚神経節ブロックである程度ですが改善します。改善させた経験を持ちます。一般的には老眼は水晶体の硬化と毛様体筋の筋力低下によると言われていますが、上頚神経節ブロックで即効で近いものが見えやすくなる事実は、それだけが理由ではないと言う証拠です。水晶体の硬化は上頚神経節ブロックでは治せません。毛様体筋の筋力も上頚神経節ブロックでは即効で治すことはできません。となると、上頚神経節ブロックで治る理由は毛様体筋を支配する神経の異常が改善されるからであると推測されるわけです。毛様体筋は副交感神経支配と言われており毛様体神経節、または迷走神経核の血行障害で視力調節機能が失われてしまうと思われます。


つまり、老眼といえども、脳幹の血行不良が原因のものがあり、そういった類の視力低下は上頚神経節ブロックで治せるということになります。


急に起こった視力低下は調節機能低下症

特に「急に悪化した」視力低下の場合、水晶体の硬化が原因であることはほとんどありえないわけですから、原因は毛様体筋の調整力障害、つまり毛様体筋神経(節)、または迷走神経(核)にあると思われます。むちうち症などでは延髄(迷走神経核がある場所)が急激に下方に引っ張られるということが起こりますから、神経損傷を起こして炎症→血行不良となるために急激な視力障碍が出ると思われます。証拠はありませんが、上頚神経節ブロックで即効で視力が回復することが、最大の証拠になりうるでしょう。


当然ながら、こうした視力障害を眼科で治すことは不可能です。唯一治せるとすればペイン科の星状神経節ブロックのみですが、おそらく私の行う上頚神経節ブロックよりは効果が低いと思われるので、どこまで治せるか?は不明です。


星状神経節ブロックや上頚神経節ブロックなどの交感神経節ブロックで、脳幹の血流量を増加させてあげると、視力も速やかに回復する例が多々あると思われますが、残念ながらこの事実を知る医師はほとんどいませんし、保険適応になっていないことからも、教科書的には知られていない事実であると言えます。よって、むち打ち後の急激な視力低下などを回復させたい、老眼を回復させたいなどの希望がある方は、視力低下のことは内緒にして、「肩こり」を理由としてペイン科で星状神経節ブロックを受けることをお勧めします。レーシックなど「問題のある」治療法に挑む前に、一度はブロックをお受けになることを勧めます。

うつ病・神経症への画期的なブロック治療

2017年治療成績

はじめに

H24度の生活保護受給者が入・通院する病名は精神疾患が43%と圧倒的なトップとなっています。精神疾患を完治させることができれば、生活保護の受給者が激減することは明らかですが、現精神医学では「薬漬けで精神的ストレスを感じにくくさせる」という手法がメインの治療法であり、「完治させて受給しなくてもよい状態にさせる」という状態には程遠いようです。しかしながら、私は精神疾患を根本的に治療してしまう可能性を秘めた治療法を開発しましたので報告させていただきます。本治療法は精神的なストレスとなる脳神経の過敏状態をブロックで改善させる療法です。この治療法を確立させることが出来れば精神科の教科書は大きく変化せざるを得ないでしょう。そしてカウンセリング大国のアメリカ合衆国の精神科医・学会の権威を大きく失墜させてしまえるでしょう。それほど本報告は社会に対して影響力が強すぎるものです。よって本報告が社会に広まるとは思えませんので、本気で自分の精神症状を治したい方のみ一読ください。


精神疾患は身体的疾患と区別できない

まず、明確にしておかなければならないことを述べておきます。私はこれまで数々の「他の医師たちが治せなかった症状」を専門に治療してきた経緯があります。が、それらの患者のほとんどが「医学の教科書にない症状、ありえない症状」と医師に言われ、精神科を受診することを強制されていました。正体不明の症状は「精神が病んでいるせい。精神的なストレスのせい。」と断定され抗うつ薬や向精神薬を処方されていました。しかしながら、私は不可解な症状をブロック注射で完治または改善させ、「精神が原因でないこと」を証明してきました。ブロック注射で治るのであれば、それは精神由来の症状ではないことが判明します。しかし、治して初めて「精神由来ではない」ことがわかるわけであって、治らない患者の場合は、原因が身体的なものであったとしても、「精神のせい」にされてしまうという不条理な出来事が起こります。


恐らく、多くの精神疾患は、精神に加わるストレスを除去してしまえば、イライラや不安、幻聴・幻覚なども改善すると思われます。精神に加わるストレスの多くは「身体的なもの(自律神経失調、痛み)」由来ですから、それを取り除けば精神疾患が発病しません。にもかかわらず、これらを混同させて精神疾患と断定する現医学の体勢を見ると、「精神疾患は身体的疾患と区別できていない」ことが判明します。まず、このことをしっかりと認識しなければなりません。


身体的疾患を治してしまえば精神疾患が発病しないのなら、原因は身体的疾患であり、精神疾患は一種の過敏反応でしかないわけです。しかしながら、「医学の教科書にない身体疾患」を治せる医師がいないため、これらは全て精神疾患として混同されることになります。私は「医学の教科書にない身体疾患」を実際に治してきた医師であるため、精神疾患の患者の中に、身体的疾患がメインのものが多々あることを認識できているだけのことです。つまり、「治せる医師」にしか、この医学の現状を認識できないわけで、「医学の教科書にないような症状を持つ患者を治せる医師」を増やしていかない限り、精神疾患による生活保護受給者の数は減らせないことがわかります。


呼吸困難で来院した52歳の男性の例

「空気が吸えない、呼吸が苦しい」という症状で2014.10に私の外来に来られました。肺梗塞の可能性もありますが、私は延髄由来の球麻痺ではないかと直感します。なぜなら、私の外来にはこの患者のように呼吸困難を訴える患者が他に5名も存在し現在通院中だからです。精神科疾患(うつ、神経症)で生活保護を受給されていますので精神疾患によるヒステリー性の呼吸困難の鑑別も必要です。というよりも、医師ならば精神科疾患によるものと断定するのがセオリーです。しかし、私は呼吸困難(息苦しい)と訴える患者に頸部交感神経節ブロックを行うと即座に呼吸困難が解消するという治療を現時点で行っているため、この52歳の男性も、恐らく同様に延髄性の軽い球麻痺症状であると判断し、同様に頸部交感神経節ブロックが効果があるのではないかと推測します。頚部交感神経節ブロックは延髄の血管を拡張させ、延髄の血流不足を即時に解消します。これで呼吸困難が治るのであれば、延髄の血行不良による球麻痺の症状であると推測できるのです。


さて、問題は神経症のある患者が「呼吸困難」という症状に対して、頸部交感神経節ブロックをさせてくれるか?です。神経症の患者は過度に注射に恐怖感を持ち、その恐怖の感情をセーブできないのが普通だからです。恐怖症があるからこそ生活保護を受給できているわけですから、注射嫌いも極めて病的です。


しかし、彼は注射を受けることを承諾します。なぜなら、この患者と私は初対面ではなく、以前に肩関節注射と頸部神経根ブロックで痛みを改善させたことがあるからです。彼は私のこと(注射の腕)を信用しています。そこで上頚神経節に1%キシロカインを2㏄を両サイドに注射します。その数分後には呼吸困難が完全に治癒します。「空気が吸えるようになりました」とのこと。治癒と述べたのは、その後に同様に呼吸困難が起きていないからです。私は「実は、この注射はうつ病や神経症にも効果があるんですよ」とだけ述べて帰宅させます。


患者の既往歴

  • 5年前に腰痛と尿閉で入院し、その時以来生活保護を受ける。その頃より、対人恐怖、外出恐怖、うつなどの症状が発症し、不眠となる。
  • 3年前、睡眠薬の大量摂取により意識もうろうとなり、精神病院に入院する。
  • 半年前、再び大量の睡眠薬で意識もうろうとなり精神病院に緊急入院となる。入院中に起きていることがわからないほど、よだれが口から常に零れ落ちるほどに薬漬けにされ、担当医に薬を変更してほしいと訴えたが希望通りにはならず、退院後、薬漬け体験が恐怖となり、薬を止めることを決意する。しかし、薬を止めるとイライラと不安、不眠が重なり、どうしようかと悩んでいた時に私と出会い、ブロック治療を開始する。

隣人の騒音が気にならなくなる

呼吸困難の治療後3週経過し来院します。「先生、実はこの3週間、全くイライラしなくなったんです」と驚きの第1声でした。「隣の部屋と2回の部屋の人の騒音でいつもイライラしていたのに、それが全然しなくなったんです。だから薬ものんでいません。のまなくてもイライラせずにいられるんです。」とのこと。また、「外出恐怖や広場恐怖があって、普段は家に閉じこもっていますが、注射して1週間はどこにでも外出できました。」と。私は「だから言ったでしょう。この前の注射はうつ病や神経症にも効果がありますと。」


「で、今日はどうされます? 注射して行かれますか?」「まだ、イライラはしませんが、注射をぜひお願いします」と注射恐怖症の患者から注射のリクエストを受けました。この「薬を服用しなくても3週間イライラせず、1週間は外出恐怖もなく過ごせた」という現象を医学的にどのように解釈するか?で世界の精神医学界に論争を巻き起こすでしょう。以下にこの患者との実際のやり取りを紹介します。


精神医学を揺るがす論争点

  1. 精神病の診断が下されている精神疾患患者はその診断が正しくない可能性
  2. 精神疾患で薬漬けにされて治らない患者を治せる可能性
  3. 精神病と身体的な病気の境界線が実は不明瞭という衝撃的な事実

 


論争に決着がつけば、精神科医たちがこれまで行ってきた医療行為に大反省しなければならないかもしれません。そして、生活保護を受給している多くの精神疾患患者は、適切に治療すれば治り、そして社会に復帰できる可能性があることを示しています。まさに、医療界だけでなく、政治界、産業界にも影響を及ぼす大事件となるわけです。私の治療は精神医学における非常に画期的な治療ですが、それを細々と控えめにブログで公表する理由は、「大事件」にしたくないからです。


精神疾患の誤診と問題点

まず、うつや神経症の症状がなぜ頸部交感神経節ブロックで改善するのか?を考えます。私は「治癒させた経験」から逆算して原因を探るという考察方法をとります。この患者は外出恐怖症がありますが、注射後1週間はどこまででも外出できたと言います。イライラやうつが改善するだけでなく、恐怖症までもが軽快しています。


私の行った頸部交感神経節ブロックは大脳・脳幹・小脳・延髄などの血流を増加させます。血流の増加を一時的に改善させただけで1週間、うつや神経症をほぼ克服できていることを考えると、うつや神経症が、脳や脳幹の血行障害によって発症している可能性を考えなければなりません。器質的な原因があり精神構造による障害ではないと推定します。


また、脳幹や延髄の血行障害では自律神経が不調となり、感情の起伏で内臓機能が激変します。感情と共に内臓機能が病的変化を示すことを精神科ではヒステリーという病名をつけていますが、これも精神構造が異常なわけではなく、脳幹や延髄の血行障害を改善させ、自律神経を正常化させれば、感情が動いても身体に影響が出なくなるでしょう。そう考えると、ヒステリーという診断そのものの存在を根底から考え直さなければならなくなります。血行障害という器質的な証拠があるのであれば、それを精神病とするのはそもそも間違いであり、こうした私の考察は、精神医学そのものの根底をゆるがすものになります。


私は、三叉神経痛、めまい、ふらつき、動悸、発汗、赤面、呼吸困難など、多岐に渡る脳神経症状をブロック治療で改善させる実績を持ちますが、これらの症状が酷くなると、精神に異常を来していない人でさえ、正常な精神ではいられなくなります。それは脳への全ての入力信号が不快なものとなるため、精神警戒状態が24時間解除されなくなり、普通の人でも幻覚や幻聴なども出現するようになって当然だからです。この場合、脳神経症状を完治させれば幻聴や幻覚も消失しますので、これを精神病と診断することを根底から見直さなければなりません。あくまで病名は原因疾患を基礎として考えなければなりません。症状で決めるべきではないということです。原因が脳幹の血行不良による脳幹神経炎であり、それを治癒させれば精神症状が出現しなくなるのであれば、これを精神病とするのは誤診であると言えます。


この私の考え方はフロイト以来の精神医学の根底を揺るがす恐れがあります。精神病がブロックで治るとは、それほど奇天烈な出来事であるということです。が、それは現実に私の目の前で普通に起こっています。


私のブロック治療は普及してはならない?

このように、精神科疾患は、自律神経系の身体的なストレスを解消させると治ってしまう可能性を秘めています。が、この治療法が普及することは、精神科医の地位と名誉(過去の偉大な名医も含む)を著しく傷つけるでしょう。よって、こうした医学的議論は前に進まないものです。医学史を愚弄することになるからです。そして私も、声を大にして「私の治療法を普及させよう」とは思っていません。そんなことをすれば私にも危害が及ぶでしょう。蛇足ですが、精神治療の一端として頸部交感神経節ブロック治療を普及させるにしても、それを行うのは私の名義ではなく、他の著名な教授にお手柄を譲り渡した方がよさそうです。


ここでは、精神疾患に悩む方々に、ブロックで治癒させることができる可能性があることを控えめに報告しておきます。そして、国を救う気力のある政治家の方がこれを読んでいれば、もしかすると社会福祉予算(生活保護費)をかなり減らせるかもしれないので、議論していただければと存じます。精神疾患をブロックで治すというのは、それほど大事件だと言うことです。


 

精神疾患をブロックで治療させる実例を収集中

現在(H27.10時点)で20代からうつ病と診断されて生活保護を受給中の37歳の男性をブロック治療継続中です。週1回の上頚神経節ブロックを6回行いました。経過としては不眠・頭のもやもや・イライラ・不安感の全てが改善され、起床時の不安感・焦り・過度の緊張が起こらなくなりました。本人とその家族は「奇蹟的だ」と言って感激されています。来院時の怯えがなくなり、普通に会話ができるようになりました。こうした症例がまとまり次第、発表していきたいと思います。治せない精神疾患が治せる精神疾患となるのも、本ブロックが普及すれば時間の問題でしょう。

しかし、問題は、精神疾患の人が自ら来院することはほとんど不可能だということです。不安感や不信感が強く、大抵は「治せる治療」があることを信じませんし、本人は神経症を持っているために電車などを利用して私のところまで来院できません。よって家族の協力がなければ治療はほとんど不可能ですが、家族は「精神疾患を治せる治療」があることをさらに信じません。

私のところに来院された患者は、すでに「今まで他の医者が治せなかった症状・病気を治して差し上げた方」の親族を無理やり説得して連れてきたものです。つまり、私と家族が絶大な信頼関係にあるからこそ、親族の方を連れてこられたわけです。そういった信頼関係がない限り私がいくら「精神疾患が治せる」と吹聴しても、誰も信じません。また、精神疾患であると思い込んでいる患者が、ネット検索をして治療法を探そうと思うことはなく、よってこのような治療例を発表しても、患者自らがそれを探し当てることはできないようです。よってまとまった治療実績を作り上げるにはまだまだ時間がかかりそうです。

ALSは身近にある

2017年治療成績

はじめに

氷バケツチャレンジで世界にその名を広めた「筋委縮性側索硬化症(以下ALSとする)」ですが、この難病を「自分とは無関係」と大部分の人は思っていることでしょう。しかし、実際はあなたの体にその予兆が身近に起こっているかもしれません。この病気は「確定診断」がついてしまえば、5年以内に90%が死に至るという壮絶な病気です。が、おそらく、多くの人は予兆があったとしても、確定診断がつくまで症状が進行せず、自然軽快してしまうと私は推測しています。つまり、ALSの初期症状を患いながらもそれが確定診断がつく前に自然軽快しているケースが多々あり、そのような症状が出現しているにもかかわらず、無理をして仕事を続け、病気を進行させてしまうのではないかと思うのです。ならば、ALSの予兆があれば、的確に治療と生活指導をすれば、発症を事前に防止できるのではと考えます。ここではそうした予兆にどのようなケースがあるかを、つい先日来院した32歳の男性を例に紹介します。

症例 32歳男性

現病歴

2週間前から両大腿の内股の痛みと腰痛出現。特に内股に力が入りにくいことを訴え、近くの整形外科を受診する。「坐骨神経痛」との診断で消炎鎮痛薬を処方される。数日前より膝と股関節に力が入りにくくなり起床時には下肢がぶるぶるふるえてしまう。普通に歩くことができず、下肢が開脚してしまうため「セカンドオピニオン」を求め私の外来を訪れる。

現症

来院時、非常に何度も咳き込む。理由をたずねると「2年前から咳き込みやすく、さらにえづく」ことが判明。さらに「つばが飲み込みにくいなどの症状がありますか?」と質問すると「はい、あります」とのこと。腱反射は上肢はほぼ左右対称で正常でしたが、両下肢では膝蓋腱反射のみが非常に亢進していました。さらに下顎反射(+)でした。

重要なキーワード

両下肢に力が入らない(特に四頭筋と内転筋)、えづく咳、呑み込みが悪い、両膝蓋腱反射亢進、下顎反射(+)

ALSの初期症状疑い

本症例の場合、ALSの初期症状と思われるのは「えづく咳」です。2年前から発症していますが、その当時のこの症状だけでALSと診断する医師は皆無です。恐らく世界中を探してもえづく咳からALSを発想する医師は0でしょう。私は「えづく咳」は球麻痺症状の一つと推測しています。それに連動して嚥下困難もあるからです。

ALSと診断した根拠

四頭筋・内転筋の筋力低下と膝蓋腱反射亢進は「上位運導ニューロン」、おそらく錐体路症状です。それにALSに特徴的とされる球麻痺と下顎反射が加われば、MRIで錐体路の脱髄所見がなくともALSの初期症状と診断します。現時点で本症例は確定診断が不可能です。万一確定診断がついてしまえば、5年以内に90%以上が死に至ることが確定するわけであり、死刑宣告に近いものがあります。逆に言えば「確定診断がつく前に治癒させないといけない疾患」であり、確定診断は「医師が負けを宣言する」ことと等しいわけです。「確定診断は現時点でつかない」のではなく「確定診断させてはいけない」疾患であるということです。

ALS様患者が私に集まる理由

私は単なる整形外科医であり「ALSを治療します」と宣言したことがありません。しかしながら、ALSの初期症状に一致する症状を持っておられる患者が、現在5名います。ALSは極めて稀な疾患であり、それが5人も集まるのは単なる偶然と言ってよいのか?ということを考えなければなりません。実はこれが偶然ではなく必然的な理由があります。私は「他の医師が治せない症状・疾患を治す」ことを信条として医業に従事しています。珍病・奇病に悩む患者はどの病院に行っても理解してもらえず、多くの病院を回ることになります。その際に私に出会った患者は「ブロック治療により症状が軽快」するので私の元を去って行かないという現象が起こります。もちろん、去る患者もいますが、他の病院では症状が軽快しないので再び私の外来に戻ってきます。つまり、珍病・奇病に悩む患者は私の外来にストックされ、他の科、他の病院に移動しません。よって、ALSの初期症状のような「どの医者にかかっても理解されない症状」を持つ患者が必然的に私の元でストックされていくと思われます。医学の教科書にはない珍病・奇病は、当初、私でさえ診断と治療に苦慮しましたが、ストックされていく患者たちの症状が、とても類似していることに近年気づききます。そして、類似性をたどると脳幹・延髄・脊髄の疾患であると結論付けられるようになったのです。

難治性脊髄疾患の初期症状

ALSは錐体路を主要症状としますが、錐体路以外の難治性脊髄疾患も私の守備範囲です。ALSも他の脊髄疾患も、非常に多くの共通点を持ち、専門医でさえそれらを区別することが難しいことが常に言われています。よって、私はALSのことを名指しで解説しているのではなく、脊髄疾患全般の治療についてここで語っていると思ってください。「えづく咳」など、どんな医者にかかっても判明しない奇妙な症状は難治性脊髄疾患の初期症状である可能性があります。また、MRIで異常がないのに急に力が抜けることがある、などの理解不能な症状もそうです。考えてみると、このような奇妙な症状を訴える患者は全国に五万といらっしゃるわけです。その方々は難治性脊髄疾患の初期の可能性が極めて高いと私は推測します。しかし多くは初期のうちに自然軽快するために診断がつかないまま「変な症状ですね。教科書にない症状です。」と言われて放置されているようです。放置されても多くは自然軽快するので問題は起こりません。ただ、一部の人だけが症状を進行させてしまい、確定診断がつくところまで行きついてしまうと、「医者が治せない」手遅れの状態になると推測します。

生活保護受給と密な関係

本症例のような症状が起こると仕事をすることが不可能であり、社会人として不適合となります。当然ながら会社を解雇され、再就職もできませんので生活保護を受けることになります。したがって、現在生活保護をお受けになっている方々には本症例のような症状が存在していたという方が大勢おられると予想します。現医学で治せないからこそ生活保護を受給するわけです。つまり、生活保護受給者はまさに、現医学では理解できない珍病・奇病の集団と言い換えることができます。彼らに正確に症状を聴取すれば、本症例のような症状があふれていることがわかるでしょう。

生活保護を受けないで病気と闘うと…

珍病・奇病で症状が出ても、退社せずにがんばる方もおられます。そういうがんばりやさんは症状を進行させてしまい、ALSやその他の難病脊髄病の確定診断が出るところまで仕事を続けるでしょう。つまり、ALSなどの難病は、こういう症状がでているにもかかわらず、無理をして仕事を続けた人に起こりやすいと推測します。初期に適切な処置を受ければ、救えたかもしれません。

 

ALS初期は精神病と誤診される

教科書に掲載されていない症状を訴える患者の多くは「精神疾患」を疑われます。ALSの初期症状はまさに精神疾患と誤診される運命にあると言っても過言ではありません。私が受け持つ5名のALS様症状の患者は、私が初診時から診ている患者1名を除き、4名が精神科を兼科しています。これは本人が進んで精神科を受診したわけではなく、担当医師より受診を命じられています。このようにALS初期症状患者は精神疾患を「ほぼ必ず誤診」されます。そして不要な精神科薬で薬漬けにされる傾向があります。

原因不明の脱力の原因

病院で精密検査を受けても、その原因が不明の脱力が存在します。しかし、その際に腱反射亢進のサインがあれば脊髄が原因の可能性が高まります。しかし、腱反射亢進が判明するためには、「明らかな大差」がなければ病的と判断されません。つまり、ごくわずかに腱反射が亢進している場合は判明しませんし。そこに末梢神経障害による反射低下が重なっていると判明しません。さらに、腱反射は普段の反射状態と比較してこそ判明するものですから、普段の腱反射がわからない時点で正しい判断ができないことがわかります。つまり、病気が末期になり、明らかにおかしい状態にならなければ、腱反射異常となかなか診断できないという現状があり、結局、原因不明の脱力の原因が病初期に判明することは難しいことです。ですが、私が短期間にこれだけ多くの「原因不明の脱力」を起こす患者たちと出会うわけですから、原因不明の脱力は、実際にはしばしば起こり得ることであり、脊髄病の初期の初期である可能性も考えなければならないと思います。多くは一過性に自然治癒するので問題にはなりませんが、過去の症状経験を思い起こせば、不可解な脱力を経験したことがある人は決して少なくないのではと思います。

原因不明の脱力の治療

私は原因不明の脱力の治療には、主に交感神経節ブロックを用いています。脊髄・脳幹の血管を拡張させて血流量を増加させるためです。効果は高く、ブロック後に筋力が回復します。ただ、再燃しやすいので何度もブロック通院が必要です。よって、私はこの治療法で、多くの脊髄病を進行する前に予防できると考えています。

本症例の治療方針

皮肉な話ですが、ALSの初期症状ではALSと診断されることはありません。したがってこの患者を神経内科医に紹介したところで、診断がつかずに放置されるのみです。そして万一、紹介した神経内科医がこの患者をALSと診断したとすれば、根本的な治療法はなく、5年以内に90%以上の確率で死に至ることが判明するだけのことです。つまり、神経内科医に本患者を紹介することで、患者にとってのメリットは難病認定のみです。ただ、救いがあるのは、多くのこのような症状の持ち主は仕事を休んでいれば自然軽快する可能性が高いということです。私のブロック治療は、軽快するまでの期間を大幅に短縮できるでしょう。よって、この患者が神経内科医に転医することは、恐らく不幸であると推測します。しかし、難病認定のメリットもあるので、ひとまず大学病院の神経内科に紹介させていただきました。願わくば本患者が再び私の元で治療を受けることです。


 

ALS様症状の治療実績

最近のALS様症状の治療実績10例分をまとめて掲載します。治療実績はこちら

 

健康貯金を考えましょう

2017年治療成績

体の細胞は常に新品

私たちの肉体の細胞の一つ一つは高齢者であっても、生まれたばかりの赤ん坊であっても、両者とも常に新品の細胞で埋め尽くされていることをご存知でしょうか? 90歳のおばあさんの皮膚細胞でさえ、生まれてから1か月しか経過していない細胞で作られているのです。ただし、新品だからと言って「健康な細胞」ではありません。新しい細胞が分裂する際に、十分な栄養が行き届いていないと不健康な傷つきやすい細胞が生まれてしまいます。細胞は新しくても不健康なので、美しい張りや肉厚を作ることができず、強度も弱くなります。よって皮膚は薄くしわくちゃになります。一方、赤ちゃんの細胞は分裂する際に十分な栄養を血管(血液)からもらい受けるので、とてもつややかで健康な細胞が出来あがります。そして健康な細胞から次の細胞が生まれるので、次もその次も健康な細胞が生まれます。しかし、分裂する元の幹細胞が不健康であると、そこから生まれる細胞も不健康となり、次もその次も不健康な細胞で埋め尽くされていきます。不健康な細胞が徐々に多くなっていくことを老化といいます。


細胞は入れ替わる

ここで忘れてはならないことがあります。それは不健康な細胞でさえ、常に「できるならば今よりも健康的な細胞に生まれ変わろう」と努力しながら細胞分裂しているということです。体内にどれほど多くの「健康な細胞」で満たすか?が健康貯金です。不健康で悪質な細胞で満たすことが「負債を抱える」ことを意味します。


悪質な不健康細胞とは

血行が悪いところで、大量に細胞が死滅すると、その死体処理をするマクロファージの手に負えなくなり、マクロファージ自身も死んでしまい、そこには死体の山ができます。死体の山は邪魔にならないように、線維化、粥状硬化、硝子化などと形が変わり、その場所に処理できないゴミとして貯まります。こうした細胞はさらに血行障害を作り出しますから、ゴミの周囲は新しい細胞を作ることができない不毛地帯になります。このように悪質細胞を増やしていってしまうと、時に死に至るような病気を起こし、そして人は死んでいきます。悪質な細胞は健康にとって負債であり、この負債をどうやって返済するかが健康にとってとても重要な概念となります。


医者は貯金、患者は負債

医者は患者の中に健康貯金を作ってあげるためにあらゆる手を出します。悪質細胞を除去し、健康細胞を増やすアドバイスをします。しかし、考えてみてください。この世に生きているだけで負債が増えていきます。これを老化と言います。にもかかわらず、不健康な肉体で、旅行やショッピング、仕事、掃除洗濯炊事を無理に行えば、医者がどれほど努力しようと、健康細胞の数は減り、悪質細胞の数が多くなっていきます。患者が負債を作ることをやめなければ、医者がどれほどお健康の預金を貸してあげたところでそれ以上に消費すれば健康は蝕まれていきます。


薬のほとんどは借金

医者は魔法使いではありません。治療のためにどこかの血行をよくしてさしあげれば、他のどこかの血流量を奪うことになります。治療というものはどこかを健康にした分、一時的にどこかを多少不健康にします。どこかを強力に健康にしようとすれば、どこかが強力に不健康な場所が生まれるものです。つまり、どこかから借金をし、不健康な場所に一時的に健康を補ってあげているだけです。痛みを除去する薬は「痛みという警報」が鳴らないように、警報器の線を切る作業であり、健康細胞に置き換える作業ではないことがわかります。しかし、患者が「痛みがなくなった。健康になった。」と勘違いして、体を酷使してしまえば、実際は悪質細胞が体内に増えて行き、健康貯金を消費していくことになるわけです。


血行をよくする作業=貯金作業

健康細胞で体内を満たすには、血液の流れを良くすることが基本です。なぜなら血行が良好になれば健康な細胞分裂が行われるからです。私はブロック注射を駆使し、不健康細胞が多いと思われる箇所の血管を広げてあげる作業をしてさしあげます。血行さえよくなれば、人の体は健康細胞を作ってくれるので健康細胞貯金が増えます。血行が良くなれば、痛みの警報装置も鳴らなくなり、実際に痛みも消えます。しかし、不健康な細胞が増えた箇所には、ブロックの薬液さえ入りにくく、注射はかなり難しいものとなります。さらに、不健康細胞が多い高齢者では血行を一時的に良くして差し上げても、すぐさま悪化します。必死になって健康細胞の貯金をしても、その貯金が次の日には消えてなくなってしまうのです。


 貯金を何日で使い果たすか?

最近私は患者様に怒りを覚えることが多々あります。健康貯金をふやして差し上げるために他の医者が行わない程(保険の範囲を超えた治療で)手厚くブロック注射をします。保険を超えた分は私が自腹を切ります。そこまでして健康貯金を増やすにもかかわらず、その預金を患者様が数日で使い果たしてしまうからです。次の診察時に、私はさらに多くの預金をしてさしあげようと、さらに多くの自腹を切ります。しかし、いくら多く預金して差し上げても、患者様はその分多く無駄遣いしてしまい「恩を仇で返す」のです。旅行に行ったり、趣味をしたり、買い物に出かけたりして、普段はできないことをめいっぱい楽しみ、そして不健康な体になって次の診察に現れます。私はいったい何のために苦労して保険外のブロックをやってさしあげているのか?わからなくなり虚しくなります。より強力な治療をするほど、より大胆に羽を伸ばし、元の症状に戻るまで、健康消費をやめません。このいたちごっこは「医療」といえるのでしょうか?


おとなしくしていれば貯金は貯まる

私のところに来院された時と変わらない生活をしていただければ、健康貯金が貯まるくらいに、私は患者に全力治療を施します。しかし、患者様は少し良くなれば羽を伸ばし、その預金を全額使い果たしてくれます。酷い場合は借金まで背負ってきます。そして患者様は、毎週毎週私に高額な健康預金をせがみます。すでに保健医療では補えない程の高額な預金をせがみにきます。それでも私は必死に預金額を増額して提供します。もちろん保険外の自腹です。するとその分だけ使い果たしてくれます。これを半年も繰り返していれば、仏さんでも怒るでしょう。


お金の無駄遣いを癖にさせてしまう

私は明らかに他の医者と違い、自腹を切ってまで患者を治して差し上げます。その恩に感謝するのではなく、無駄遣いをエスカレートさせていく不届きものがいます。私は本来、健康の維持方法を患者に指導しなければならない立場ですが、逆に私は患者に「少々体を壊すようなことをしても、注射してもらえれば治る」という観念を植え付けてしまい、結果的に患者を私に依存させてしまっているようなのです。放蕩息子に5万円、10万円、15万円とお小遣いを与え、放蕩息子がお金を大切にせず、平気で無駄遣いする人間に育ててしまうことに等しいのです。


 

私の外来はパンク

すでに私の外来はパンクしています。一人の患者が次から次へと「膝を治して!、足首を治して! 肩こりを治して! めまいを治して! 神経痛を治して!」と私にせがむものだから、1回の診療で5~6箇所の注射をすることがざらであり、そのため、一人当たり最低でも15分要し、その患者が私に毎週かかろうとするものだから、新しい患者が一人も来院できません。私が患者を甘やかすのが悪いのかもしれませんが、このようなずうずうしい患者が私の外来を占有するおかげで、本当に診察して差し上げるべき急患を一人も診察できません。よって、私の外来は全予約制ですが、新患受け入れはゼロ。つまり、まるで完全会員制の病院クラブになっています。そして酷いことに、私の外来を卒業する患者がほとんどいません。なぜなら、治しても治しても、その健康預金を毎週使い果たすものだから、現状維持のままループ来院となるからです。私の外来は予約券の奪い合いが起こっており、見るに耐えられません。


 

優良な患者は早期に卒業

健康管理が自分でできる優良な患者様は、1回から数回の治療で完治するので、私の外来からすぐに卒業します。しかし、これまで健康管理をしたことがない、患者様のみが私の外来に残り、半永久的に私の元をはなれてくれません。なぜなら、私はそうした彼らの身体の一部と同じだからです。私は彼らになくてはならない健康グッズの一つです。


私がいなくなれば寝たきりになる

私は常日頃、患者たちに「私はいつまでもこの病院にはいませんよ。私に頼りすぎると、私がいなくなったときに寝たきりになりますよ」と強い口調で忠告します。しかし、「先生、どこにも行かないでくださいね」と言うだけで、健康管理をしてくれません。そして残念なことに、私が病院を転勤すると、そう忠告した患者は1年以内に本当に寝たきりになります。なぜそれがわかるかといいますと、転勤しても私を追いかけてくる患者様がいますので、その方々から情報を頂けるからです。結局私は患者様に、健康預金を無駄遣いする方法を教えたことになり、無駄遣いをやめない患者様は、私がいなくなったあとに寝たきりになるようです。私が毎週、自腹を切って、どれほど高額な健康預金をさしあげていたかがわかります。そうした必死の治療で寝たきりを防いでいたわけです。だから私がいなくなれば、他の医師にはそんな治療ができるはずもありませんので、寝たきりになります。


治療が仇になる

私はこのような患者様たちに憤りの感情を抱くと共に、「自腹を切ってまで高額な預金を提供し続ける医者としての姿勢」に疑問を持ち始めました。どんなに忠告しても聞き入れない患者様に、それでも必死に自腹を切る治療をすることが、善なのか悪なのか? わからなくなってきました。医療は国のお金で受けられるものであり、有限なもの。そしてハイエナのようにそういった医療にすがる患者に対して、湯水のごとく治療をすることがこの国のためになっているのだろうか?と真剣に考えてしまいます。やはり、外来で患者とけんかしてでも、どんなに患者に嫌われようとも、健康管理を自分で行うように指導すべきなのでしょうか?


腕がいくら上がっても悩みが尽きない

私は年々、治療の技術が上がっています。寝たきりになるべく患者様も寝たきりにさせないで日常生活を送り続けさせることもできるようにもなりました。しかし、そのためには多額の医療費を消費します。多額すぎる分は自腹です。そして他の医者ができないような保険外の卓越した治療をして差し上げても、感謝もされず、当たり前と思われ、そして挙句の果てにその健康を毎週毎週全部使い果たしてくれるのです。人間の欲は限界がなく、特に健康には「預金している」という意識がなく、患者様本人は「健康を浪費している」イメージを持っていません。おそらく、私が腕を上げても上げても、ますます好き勝手に行動範囲を広げ、健康を消費してくれます。それがわかってしまった今、この虚しさをどうすべきか悩んでいます。医療は無限でも無尽蔵でもなく、ぜいたく品です。贅沢をさせれば患者様の自立力を奪ってしまうのです。私のやっている「必死の治療」は患者様から健康への自立力を奪うことになっているわけです。


健康預金の教育

この超高齢化社会を乗り切るには、無尽蔵に医療を患者様に提供するのではなく、健康預金を自分で作る方法を教えていかなければなりません。預金がたまってきた時に、それを遣いたくなる衝動を抑える教育です。人は周囲に迷惑をかけたくないあまり、頑張りすぎて健康預金を使い果たし、結局寝たきりに迷惑をかけます。そうではなく、健康になった時に「さらに預金を積み立てるにはどうすればいいか?」を考える患者様になってもらいたいのです。それを教えていくために、私は患者様の前で悪役を演じなければならないでしょう。不健康なまま生き長らえることは、もはや個人の問題ではなく、周囲の家族に迷惑をかけ、国にも迷惑をかけます。健康預金を使い果たす放蕩高齢者を放置していれば、やがてこの国はつぶれてしまいます。高齢者の健康は個人の問題ではないのです。どうしたらよいのか本当に悩んでいます。

今の医療はおかしいよ!

2017年治療成績

素朴な感想

本日、日本橋で蕎麦屋を経営している71歳のおやじさんが私の外来にお礼を言いにこられた。「何十年も、テーピングしても電気をあてても、薬を飲んでも全然よくならなかったのに、先生に注射してもらったらすっかりよくなったんですよ。」と非常に驚きの顔をしていた。


私は先日、彼が「これじゃあ仕事が出来ない!」と非常に悩んでおられたので、「もしも、私の言うことを信じることができるのなら、注射を受けてみませんか?」と足関節内への注射を勧めた。


多分患者は信じない

「私は、恐らく、あなたが数十年間悩んでいた足の痛みを、即座に取り去ることができます。しかも、注射は一時的によくするのではなく、治す力があります。半数の人は1度の注射でほとんどが改善します。ただし、問題はあなたが私の言うことを信じられるかどうかです。なにせ、これまであなたを治療したいろいろな整形外科医がいて、その先生方が、あなたの足の痛みを治せなかったわけですから、なのに目の前の私があなたの足を1度の注射で治せると言っても信じられませんよね(笑)」


こういうと蕎麦屋のおやじは「いやあ~、ぜひやってください」と言った。「そうですか・・・」私は逆にこのおやじを疑う。「どうせ治るなんて信じていないだろうなあ」といつものように考える。実は私の兄は変形性股関節症で手術を受けたのだが、私が注射で治せると言っても一切信じなかった。私が「股関節内注射」で手術を避けられるほどに痛みを制圧できると、ここで声を大にして訴えても、これを読んでいる読者でさえ信じないだろう。


私でもミスはある

「ただね、この注射は少々難しいんですよ。足の関節は狭いので、かなりの技術がないとうまく注射が入らないんです。だから普通の整形外科医はやらないんですよ。というよりやれないんですけどね。」と言う。これは、万一、注射が効かなかった場合の予防措置である。そして注射をしたのが2週間前のこと。注射は見事成功し、彼は私の外来に来て、足の痛みが治ったことに感謝を言いに来てくれたわけだ。そして5000円分のQuoカードをいただいた。さすが、蕎麦屋のおやじはきっぷがいい。


他の医者が治せないのはおかしい

彼は言う「でもね、何十年も痛くて痛くて苦しんでいたんですよ。テーピングでも温めも何でもやってきたんですよ。それでも今まで誰も治せなかったんですよ。おかしいじゃないですか?」


彼は感謝というよりも怒りを表していた。「なぜ、もっと昔に、こういう注射をしてくれなかったんだ! 今までどれだけ苦しんできたと思ってるんだ!俺の人生を返せ!」と言いたいことが手に取るようにわかった。「おかしいじゃないですか? 注射1本で治るのなら、どうしてそれを他の医者がやってくれないんですか? 整形外科にも何軒もかかったんですよ。それなのに、先生が治せて、他の医者が治せないというのはおかしいですよ。」答えは簡単である。誰も治ると信じていないからである。それ以上でも以下でもない。


よい治療法が世に広まるわけではない

私は、彼の発言に改めて感じたのだが、やはり「おかしい」のである。私がこのように手品のように治してしまえるとしても、私の治療法は世に広まることはない。その理由は、整形外科の教授のメンツである。教授ができないことを他の野良医師ができること自体が、白い巨塔の世界では許されることではない。よって、どんなに治して実績を積んだとしても、それを認めることは許されない。もしも、私が教授になれば、世に広がる。正しいもの、よいもの、患者を幸せにできるものが広がるのではない。今の医療はそんなに患者中心にはできていない。教授たちの「名前を広めるための治療」が広がるだけのことである。だからおかしいのである。


医療改革をするしかない

ちなみに私は自分の診療技術を後輩医師たちに伝えていくつもりだが、それはすなわち「治せない医師たちの顔に泥を塗る」作業に等しいため、それなりの妨害を受ける覚悟が必要になる。もちろん覚悟はできているのでこういうサイトを立ち上げている。おかしいをおかしいままにしておくのはおかしいのである。

胸部交感神経節ブロックが奇蹟を生んだその治療効果とは?

2017年治療成績

はじめに

私は難治性疼痛を専門に治療をすることを志すこと約10年、ブロックでも治らない現医学に見放された痛みを治そうと志すこと半年。ペイン科の医師にさえ治せない痛み症状を治すことに挑戦し始めて3か月。「医師に心因性」と診断されて治療を放棄された患者の治療をするようになったのはこのHPのおかげです。本当に「どんな治療を受けても治らずにネットサーフィンしてやっと私のHPを見つけたような病気の強者が集まってきたからです。


それまで、私は「他の医師が治せない疾患を治せる」と少々天狗になっていたのですが、このHPに相談に来る患者たちは「本当にどんなブロックを行っても全く効果がない」人達ばかりでした。そして当然ながら、私もそうした患者をブロックで治せないことを認識し、かなり落ち込みました。ただ、私がペイン科の医師たちと異なるところは、ブロックで治らない患者を「心因性」とは扱わなかったところです。「絶対にどこかに器質的な理由があって症状が出ている」という考えを貫き、治す方法を模索し始めたところです。


私は実際にブロックが全く効果のないしびれや痛みや脱力、不快感と対峙したとき、「これまでの治療法を全て見直そう」と考えました。そして、これまでのブロック治療で「少しでも治りにくい患者(例えばブロック治療を毎週行っているが痛みが少ししか改善しない患者)」がいなかったかどうかを、振り返ったのです。すると、意外にも私の外来に毎週来院している患者の一部にそうした「ブロックがほとんど効果のない患者群」が存在していることに気づきました。「なかなか治らない」患者群は、ブロックですべてが治らないわけではなく、ある症状はブロックで治るが、ある症状はブロックをしても治らないと言います。つまり、これまで「ブロックがある程度効いている」と思っていた患者でさえ、しっかり問診すると「ブロックが無効である症状」を一つくらい抱えていたのです。この事実は知ろうと思えば認識できることであり、知ろうとしていなかった自分があることに気づきました。痛み症状の8割がブロックで治っているので2割が治っていないことを無視してしまっていたのです。


実は「ブロックが無効な痛み・しびれ・不快感などが少なくない」ということに気づいたのは恐らく私が世界で最初であると思われます。これは決して誇張ではありません。例えば、ブロックをすれば腰の痛みも、下肢の痛みも改善するが、足の裏の痛みだけは残っている、と訴える患者がいたとします。これまでの医者は「治りにくい症状もあるのだろう。足の裏もそのうち治る。」と軽く流していたわけですが、私の場合、「腰と下肢の痛みは神経根が原因の痛みであり、足の裏の痛みはそれとは異なる特殊な中枢性の痛み由来」である可能性を考え始めたということです。だから世界初なのです。


そして私は「ブロック無効の症状」の原因を研究するためにある仮説を打ち立てました。それが脊髄炎です。ブロックは主に痛みを感じている領域の神経根を狙うのがこれまでの医学の常識でした。私はその常識を打ち破り、神経根のさらに中枢の「脊髄の後角細胞に原因がある」という仮説を立て、そこに治療をすることにしたのです。「神経根を狙うのではなく、脊髄後角細胞を狙う」治療法です。すると驚いたことに、難治性の症状を訴えていた患者が次々と改善していくのです。それは奇蹟に近いものであり、患者が驚くとともに、私自身もあっけにとられるほどに驚いています。詳細は「難治性腰痛症BICBの新治療概念」に記載していますが、ここでは冷え症に悩んだ女性の1例を挙げます。


症例3 77歳 F

  • 主訴:両臀部・仙骨部・腹筋・前腸骨部痛、右下肢痛・腹部の強い冷え感、腰の強い冷え感、食欲不振、下肢脱力感、不眠、尿意・便意頻回、排便障害(一度便をするとその後に便意が止まらなくなる)

  • 現病歴:右腰部~下肢痛を主訴に3.5年前、脊椎手術で有名なK病院でL5/S1右拡大開窓術を受ける。その後1年間は軽快していたが、上記痛みが2.5年前から出現。続いて腹部の強い冷え感が1.5年前から出現。腰の冷え感が1年前から出現。K病院では「処置の必要なし」と言われ、その後近くの整形外科をドクターショッピングするが、全てで積極的な治療を拒否される。それでも冷え感は耐え難く、千葉在住であるが新宿まで通い漢方薬に頼る。しかしそれでも冷えは治らない。近医には老人性うつであろうと言われ精神科を紹介される。精神科を受診したが異常なしと言われ、最後に偶然に私の外来を訪れた。

  • 治療1回目 L3/4より腰部硬膜外ブロック行う。右下肢の痛みに多少の効果があったが、冷え感や前腸骨の痛みには全く無効だった。これによりBICBとして治療を考える。
  • 治療2回目 L1/2より腰部硬膜外ブロックを行う→前腸骨と腹筋の痛みは軽快した。しかし冷えには無効。両臀部痛にも無効(L1/2という高位に行ったためと思われる)。
  • 治療3回目 両臀部痛を軽減させる目的で再びL3/4高位に腰部硬膜外ブロックを行う。すると冷えには全く無効。両臀部痛には数日有効。
  • 治療4回目 T12/L1に硬膜外ブロックを行う。これにより、今まで無効だったおなかの冷えが2日間消失した。臀部の冷えは左側が軽快したが右側の冷えには無効であった。しかし初めて冷えに効果があったという快挙であった。
  • 治療5回目 T12/L1に硬膜外ブロック。おなかの冷えに3日効果あるが持続しない。
  • 治療6回目 T10高位の交感神経節ブロックを行う。これまでのどの注射よりも最も効果が高く、冷えが軽快してきている(持続性があった)。そして食欲が増進した。腹筋・腸骨の痛みは軽快。ただし、右股関節~大腿外側~下肢後面痛が強くなる。腰痛も再燃。
  • 治療7回目 T10高位・交感神経節ブロック+右L5神経根ブロック おなかの冷えと腰の冷えがほとんど感じられなくなり、夜中にトイレに起きることもなく熟睡が出来るようになる。食欲が完全回復、直腸膀胱障害も消失、2階と1階を行き来する筋力が急に復活した。ほぼ奇蹟と言える圧倒的な改善に、本人はあまりにも驚いていた。なぜならば、つい最近まで養護老人ホームへの入所を希望していたほど体調がすぐれなかったからである。

    考察:今回、2回の胸部交感神経節ブロックを行うことで多彩な症状のほとんどが劇的に(魔法をかけたように)消失しました。消失効果は1週間持続し、次の診察日まで継続。これまで腰部硬膜外ブロックで冷え感には全く無効、かつ腰周辺の痛みにもほとんど無効でしたが、ブロック高位を上げていくうちに全ての症状に効果が現れ始めました。もっとも効果があったのはT10レベルの胸部交感神経節ブロックであり、このブロックがこの高さの脊髄の血行を促進させ、症状が軽快したと思われます。すなわち、本症例も脊髄レベルの疾患である(脊髄炎)と思われました。改善した症状は非常に多彩であり、腹筋・腸骨の痛み、腰回り・下肢の脱力感、冷えであり、さらに食欲が改善し、直腸膀胱障害が消え、熟睡ができるようになったとのことです。この数年間、症状が続き、軽快しないことから養護老人ホームに入所を考えていたほどだっただけに、今回のブロックの効果には、驚きでした。これはブロック史上の快挙と思われます。また、この文章は誇張でもフィクションでもない事実であることを念押ししておきます(2014.10.30.現在)。


難治性脊髄炎に対するブロックの効果

今回の胸部交感神経節ブロックはT10レベルの胸髄の血行促進を狙って行いました。その理由は、こうした多彩な腰・腹部・下肢症状は原因が脊髄炎にあると考えたからです。脊髄炎の主な原因は血行障害であり、高齢者では血栓などで阻血性の脊髄炎が自然発症すると思われます。つまりそこには脊椎の変形や脊柱管狭窄はあってもなくても無関係に起こるということです。T10への交感神経節ブロックが効果を発揮したのは、T10レベルの脊髄を栄養する動脈をブロックで拡張させ、阻血性の炎症を解除したからではないかと考えています。おそらく、MRIで描出不可能なレベルの脊髄炎は高齢者には日常茶飯事に存在している可能性があります。よってブロックを行っても軽快しない症状がある場合、脊髄炎の存在を考慮し、脊髄の血行改善目的で胸部交感神経節ブロックや胸部硬膜外ブロックなどを行ってみる価値がありそうです。


難治性=脊髄炎と決めつけてはいけない

ブロック無効の理由が脊髄炎が原因である可能性論を私は打ち立てましたが、ブロック無効の全てが脊髄炎と考えるのは行きすぎです。物理的な神経根への圧迫が強ければ、ブロックが無効となることもあるでしょう。癒着が原因で血行不良が神経根に起こっている場合もあり、癒着はブロックでは解除されにくいでしょう。つまり、ブロック無効の病態には脊髄炎だけが存在するわけではありません。本症例はあくまでブロック無効であったにも関わらず、胸部交感神経節ブロックが劇的に効いた1例であり、すべてがそのようにうまく行くとは限りません。ただし、ブロックが無効の際は、一度、脊髄炎の存在を考え、脊髄の血行改善の処置(ブロックだけとは限らない)を促すことを強く勧めます。


胸部交感神経節ブロックの注意点

胸部交感神経節ブロックは交感神経節の存在場所を立体的に把握していなければ、気胸のリスクを負います。胸郭には接線方向から刺入するよう胸椎の4~5cm外側から刺入し、椎体を狙っていくイメージになります。少しでも刺入角度が立ってしまうと肺を刺してしまう危険性がありますので注意が必要です。よって、誰もが簡単に行える手技ではありません。


その後

気温が著しく低下した日に来院することができず、再び冷え感(お腹の冷えと脚の冷えの両方)が治療前レベルに戻ってしまいました。同様にブロックをするものの、効果は6日だったものが3日→1.5日と短くなり、結局、ブロックを行っても1.5日しか冷えが改善しない状態になってしまいました。おそらく、ブロックに耐性ができてきたと考えています。ブロックが1.5日しか効果が続かないのなら、リスクを侵してまで行う理由はありませんので、今後は症状が酷くなったとき限定で行うことにしました。こうしたブロックへの耐性問題を解決することが先決です。

ナルコレプシーへのブロック治療例

2017年治療成績

ナルコレプシーへのブロック治療例

 

症例 56歳 女性

  • 主訴:昼間、電話している最中に突然眠ってしまう 数年前より、昼間に睡魔に襲われて眠ることがよくあったが、2週間前より突然無意識に眠ってしまうということが起こるようになった。
  • 既往歴 髄膜腫で2001,2013にOpe
  • 治療 週1で上頚神経節ブロックを行うと、5~6日間は入眠発作はない。しかし、7日目には入眠発作が出現した。網様体賦活系への血行促進を目的にオパルモンを処方したところ、上頚神経節ブロックが1週間効果を持続できるようになった。

治療経過

 

2014.11.ブロック治療後2か月目、ブロックの効果が数日へと短縮してくる(症状が悪化)。このため11月より週に2回の上記ブロックをすることにし、睡眠発作が起こらないようブロック治療を続ける。2014.12.18.突然上肢と下肢の脱力が起こり自宅で倒れる(意識清明)。近くの内科医に行くが原因がわからないと言われ帰宅。しかし、そのエピソード以来、睡眠発作が起こらなくなる。ナルコレプシーは完治し、治療はこれで終了した。

症例 80歳 女性

  • 主訴:デイサービス中に入眠発作 企図振戦 間欠性跛行
  • 現病歴:夜間不眠で睡眠薬を眠前に1錠、30年前から継続している。私には間欠性跛行の診断で毎週ブロック注射を行っていた。一方、企図振戦が最近出現し始め、当院脳外科医にパーキンソン症候群の診断を受ける。パーキンソン症候群(企図振戦)の治療目的で上頚神経節ブロックを開始したところ、ブロック3回目で企図振戦は改善した。それと同時に上頚神経節ブロックを行うと熟睡できないと訴える。よって上頚神経節ブロックを中止したところ、翌週には企図振戦が悪化すると共に、デイサービスで入眠発作が起こるようになった(以前から入眠発作の傾向があった)。すると本人は上頚神経節ブロックのおかげで、入眠発作が起こらなかったのだと理解し、再び同ブロックを切望する。それ以来毎週同ブロックを行っているが、企図振戦は改善され、入眠発作もない。

 

 

考察

上頚神経節ブロックが不眠症に極めて効果があることは既に多くの患者で実証できています。一度のブロックで数日間は熟睡が得られます。しかし、永続性はないため、ブロックを継続するか否かは患者に選択させています。上頚神経節ブロックは自律神経失調症症状にも効果を発揮しますので、睡眠障害+自律神経発作がある患者には継続使用が望ましいでしょう。


上頚神経節ブロックが睡眠障害に効果的である理由は網様体賦活系の血行を改善するからであろうと思われます。しかし、特筆すべきなのは、ナルコレプシーの患者にはその発作を起こらなくさせる効果があるところです。こうした結果から、ナルコレプシーは網様体賦活系の血行不良が大きな原因の一つになっているという推測が成り立ちます。今のところ、上頚神経節ブロックの効果を永続させることができるかどうかは未知ですが、繰り返しの使用で改善されていくと思われ、本ブロックはナルコレプシーに有効であると思われましたので報告しました。

医師も高齢化、75歳以上が8人に1人の時代

全人口の8分の1以上が健康寿命を超えてしまった

2014.09.15.総務省がまとめた報告によると、75歳以上の人口が総人口の25.9%に達し、8人に1人が75歳以上という時代になりました。しかし、問題は75歳を過ぎてからも日常生活に制限なく健康に過ごすことができるかどうかであり、平均寿命がいかに延びても、健康寿命がそれにともなって延びなければ、国が衰えていくことを意味します。健康寿命とは「日常生活に制限なく健康に過ごすことができる期間」であり、平成22年調査では女性は73.62歳、男性は70.42歳であり、75歳という年齢ではほぼ全員が日常生活に制限が出るレベルの不健康を患っていることになります。つまり、75歳以上は健康寿命を過ぎており、全人口の8分の1が日常生活に支障があり、介護などの医療サービスを受けなければならない状態であることがわかります。健康を維持するためにはとてもお金がかかりますが、そうしたお金のかかる高齢者が全人口の8分の1以上になったということです。このままですと国の経済状況も刻々と悪化し、困窮するでしょう。それはあまりにもたやすく予測できることであり、大至急対策を立てなければなりません。私が日常損傷病学を立ち上げたのはそのためです。国の経済を医療面から支えるためです。健康寿命を平均寿命の延び以上の速度で伸ばしていかなければなりません。

医師も歳をとる

医師とて高齢者になります。高齢になった医師は明らかに若い医師よりも新しい医学知識がなく、30年も40年も前の時代遅れな医学知識で診療していることが少なくありません。しかし、そうであってはならないのです。

本来、医師は歳をとればとるほど、多くの患者を診療してきたことになるため、機転も応用も効き、あらゆる万一の事故に対応できる能力が向上していくはずです。よって、日常生活から職業上の指導、保険の制度の知識や良い病院の紹介先など、全てにおいてアドバイスが優秀であるはずです。ところが実際はそうではなく、適当に手を抜いて診療している高齢者の医師が多いことに、私は同じ医師としてとても恥ずかしい気持ちになります。自分がそうならぬよう努力すると共に、今後、高齢になられる先生方をも指導していく必要があると感じています。なぜならば、医師も高齢化するわけですから、「高齢だから仕方ない」では済まないからです。今後はご高齢の先生方にも現役バリバリで仕事をしていただかないと、日本経済が衰退します。

 外科医は高齢になると内科医になる

外科医は手術を専門に技術を磨きますが、高齢になると視力も体力も低下するため、手術を専門として診療することが不可能になります。また、外科医はチーム医療ですので、大病院から巣だって開業した外科医は、チームを作ることが難しいので外科医としてやっていけません。これらの理由から外科医は高齢になるとほぼ必ず内科医となります。しかし、外科医から内科医になるのと、もともと内科医であるのとでは、内科の知識量が異なるため、もと外科医は診療技量が劣ることが多いようです。

 まじめな医者ほど高齢になると劣化が速い

まじめな医者とは、教科書通りの治療、指導をする型にはまった医者です。大学病院などで長年まじめに勤務してきた優等生です。不真面目な医者は早くから大学を辞職し、一匹狼でがんばってきた医師で、自分なりの治療法を身に着けてきた医者です。

教科書通りの診療をしてきた医師は、教科書に載っていない症状を示す患者を拒否し、患者を型どおりにはめようとします。このまじめさは、大学勤務中は利点となりますが、高齢化すると知識が劣化するため時代遅れの診療になってしまいます。一方、早くから独立した医師は、「患者視点に立った」診療をしなければ生きていけませんから、教科書通りではなく、目の前の患者を治すためのあらゆる工夫をこらします。あらゆる工夫から編み出した治療法は、病気を治すための真実に近いため、時代が進んでも真実は変わらないため、蓄積した医療技術は高齢になっても通用します。よって高齢になってからの診療技術は、早期に大学から独立した医師の方がまじめな医者よりも上に行く傾向が高いと言えます。

 学んだ医者と考えた医者の違い

医者は確かに勉強熱心です。学んで知識を身に着けます。しかし、学んだものは型にはまっており、高齢者にはそのほとんどが通用しません。もともと医学は高齢者向けに構築された学問ではないからです。高齢医学は最近始まったばかりの学問であり、全く医学が現実社会に追いついていません。よって、学ぶのではなく、目の前の患者をどう治すかを必死に考えた医者のみが真に高齢者の病気に対応できるようになります。

医師の世界は「考えること」を悪とされ、「自分の考えで治療する」と破門されてしまう世界です。その中で「考えて治療する」ことはとても勇気のいることです。しかしながら、勇気を出して考え続けて編み出した治療法は、多くの患者を診療すればするほど秀逸な医療技術となっていきますから、その医師が高齢になってからも、ずっと患者の役に立つわけです。学んだ医者は高齢化と共に劣化し、考え続けた医者は高齢になるほど、さらに診療技術が向上していきます。私はこの事実を、現役の若い医師たちに伝えなければならないと思っています。

 血圧の薬を飲み続けて本当にいいのですか?

型にはまった内科医は「降圧薬は医師に言われた通りに一生飲み続けなさい」と言います。しかし実際は、自律神経失調のある患者に降圧薬を服薬させると、急な血圧の変化に耐えきれず、めまいやふらつきを起こし、失神することがあるのです。こうした事実は教科書には掲載されておらず、型にはまった医者は否定します。型にはまらない医者は「自律神経失調を考慮に入れ、血圧を高めに保つ」ことの方が健康寿命を延ばせることを肌で感じて患者に降圧薬の減量を指示します。もちろん後者の方が真実に近いのですが、そのような機転の利いた診療は「型破りである」と言われ否定される運命にあります。よって、型破りな医者は大学病院や医師会から嫌われ、孤独な思いをします。しかしながら、そうやって「自分で考えた治療法」は高齢になっても劣化しませんから、高齢医師になってから、周囲の住民からの信頼度に大きな影響を与えるのです。「考える医師」は「学ぶ医師」よりも高齢になってから優秀になります。というよりも高齢になるほど優秀になります。なんと素敵な言葉でしょう。「高齢になるほど優秀!」。そう、これが人間が高齢になっても生きる意味ではないでしょうか。そういう医師を多く作りたいからこそ、この日常損傷病学を立ち上げたわけです。

高齢化するほど優秀になる医師を目指す

私は常に考えながらブロック注射の技術を磨いてきました。よって私の行うブロック注射は、医学教科書のメニューにないものがあります。上頚神経節ブロックや傍神経根ブロックなどです。ブロック注射は高齢になってからも行える手技であるため、毎日行っていればその技術は衰えず、数をこなすほどに診療技術は上がっていきます。今は、さらに自己抗体や副腎皮質ステロイドホルモン、高コレステロール、血行障害、神経の張力などを考慮に入れた独自の考え方でブロック場所や回数、使う薬剤、補助の経口薬などを次々と考えだし、日進月歩で患者を真に治す技術が向上して行っています。自分でもその伸びがどこまで続くか予想できない程、日々進歩しています。そして現在ではブロックで睡眠障害、自律神経失調、パーキンソン症候群、認知症、脳梗塞後遺症などを治療するまでに至っています。歳と共に優秀になる医者を目指しています。そしてこれは考えることを止めない限り、死の直前まで続くでしょう。

高齢になるほど競争力のある医師を養成する

まさにブロック技術は高齢になるほど高められる技術であり、どの科の医師にもできることであり、この技術を若い医師たちに伝えていき、「高齢になってからこそ競争力が高くなる医師」を若い時代から養成していくことが私の望みです。私が教えた医師たちは高齢になってからこそ地域の住民に大きな恩恵をもたらすでしょう。そして高齢化社会を先導するはずです。これを読んでいる医師が、今のところゼロであることは認識していますが、千里の道も1歩からです。誰かがやらねば始まらないわけですから、それを私がスタートさせる所存です。いずれ私は賛同する若い医師たちを実力ある医師に育てていきます。

脳の誤作動による慢性疼痛を治す

2017年治療成績

はじめに

現代医学は痛みについてまだまだ未開拓であり、なぜ痛みが起こるのか?について、その人体トリックを解明するに至っていません。そうした現状の中、医学で解明できないトリッキー痛みは「脳の誤作動による痛み」と診断され、心療内科に回されて薬漬けにされることが一般的になっています。「脳の誤作動」と診断された患者たちの共通点は「あらゆる神経ブロック注射に対して無効、画像上、血液データ上、異常所見を示さない」ところです。しかしながら、どんな治療にも反応しないこれらの患者たちは、ただやみくもに痛みを訴えるわけではなく、ある特定の動さや姿勢でのみ痛みを訴えます。動作と一致したこれらの痛みが「脳の誤作動」であるはずもなく、一刻も早くこの痛みトリックの種明かしをしなければならないと私は思っています。そのためには、まずこれらの痛みを完治させることが必要です。ここでは、ブロック無効の難治性慢性疼痛患者の痛みトリックと治療法について考えていきます。


慢性疼痛患者を脊髄・脊椎不適合と仮定し話を進める

ブロック無効、画像所見なしの慢性疼痛患者の真の原因を脊髄・脊椎不適合症候群であると、一旦仮定して話を進めます(最初にタネを明かして、痛みトリックを逆から考えていきます)。


脊髄・脊椎不適合とは脊髄から神経根に至るまでの距離が「相対的に」脊柱管の全長よりも短いことを言います。「相対的に」というのは、普段は短くないが、ある姿勢をとると脊柱管の全長が伸び、その中を走る脊髄や神経根が強い張力を受けるという意味です。普通に立っている時は脊髄や神経根は緩んでいるのですが、「重力をかけて」丸まった際に脊柱管全長が異様に伸びてしまうという意味です。ここで重要なことは「重力をかけて丸まる」という点です。


健全な人の脊柱管全長は立位から屈曲にポジションを変えた際の脊柱管全長の変化はそれほど大きくありません。しかし、脊柱側弯などが存在する場合、立位から屈曲へとポジションを変えた際に脊柱管全長が大きく伸びてしまう人が存在します。


この理由は、そもそも脊柱側彎が起こると、脊髄は脊柱管の端を通るようになり、カーブのインコースを通過するため、全長が短くて済みます。ところが背骨を屈曲させると、側彎が矯正されてまっすぐになる場合があり、この際、側彎からまっすぐとなることで脊柱管全長が伸び、さらに立位から屈曲になることで脊柱管が伸び、このダブルの効果で、健常な人よりも脊柱管距離が大きく伸びてしまうのです。


最悪の脊柱管距離の伸び

もしも、硬膜外腔やくも膜に癒着があった場合、数千人に1人くらいは確率的に最悪な状況になります。それは側弯症において、そのカーブのアウトコースに硬膜やくも膜が癒着で固定されてしまう場合です。脊柱管内の癒着は慢性の腰痛のある患者では、ほぼ必ず存在します(実際に硬膜外ブロックをすれば、癒着で薬液が入りにくい人がいることが理解できます)。その癒着が、たまたま側彎のアウトコースに脊髄や神経根が固定されることになれば…普段でも神経根が引き伸ばされ(強い緊張がかかり続け)、さらに特定の姿勢をとった時に、神経根や脊髄が想像を絶するほど引き伸ばされる可能性があります。側弯症がある人の脊椎の動きは、健常人とは明らかに異なりますので、その中を通る脊髄や神経根が、ある特定の姿勢で大幅に引き伸ばされることがあるでしょう。これが脊髄・脊椎不適合(仮説)です。しかも、引き伸ばされていることは画像では診断できませんので、所見なしとなります。所見がないのに神経が損傷している状態であり、これは現医学知識では見つけることができません。つまり、画像所見のない神経破壊が完成します。


神経根や脊髄が強く引っ張られるとどうなるか?

神経根は、中枢は脊髄の後角で根糸という形で接合し、末梢はHoffmann靭帯によって椎間孔に接合されています。つまり、脊柱管距離が伸長すると同時にHoffmann靭帯と根糸の綱引きが起こります。もしも、椎間孔付近に癒着がある場合、綱引きは圧倒的にHoffmann靭帯側の勝利となります。つまり、細い根糸が引き抜き損傷を起こす可能性があります。根糸は前根と後根とありますが、強い緊張を受けるのはアウトコースである後根です。よって、綱引きが起こると後根糸の接合部分が破壊される可能性が高いということです。さて、ここで問題です。根糸接合部が損傷を受けると、私たちの体はいったいどうなるのか?というところです。


脊髄後角は鬼のように侵害受容器がある

脊髄後角は根糸と上行神経との接合部で、ここには痛みを発生させるシステムが鬼のように存在します。しかも、脊髄後角の恐ろしいところは、ここに入力されてくるあらゆる種類の電気信号を痛覚回路に切り替えるシステムを持つところです。したがって、触った感覚、気圧の変化、位置感覚、振動感覚などを痛覚に変換させてしまうという芸当(トリック)ができます。


よって、脊髄後角で神経損傷が発生し、炎症が生じると、そこには地獄のような痛み増幅システムが出来上がってしまいます。これを中枢感作と呼んでいます。このようにして出来上がった脊髄後角炎は、人間の尊厳を奪う程に、地獄の疼痛を患者に与え続ける可能性があります。


脊髄後角炎は錯誤的で現医学で解明途上

腰神経根や仙骨神経根は胸椎・腰椎移行部あたりで接合します。よって胸腰椎移行部の高さにある脊髄後角は神経接合部の密集地帯です。例えばこの密集地帯の一部に引き抜き損傷による神経破壊が起こったとしたら、どうなるでしょう? 損傷した部分の神経だけが痛みを感じるかといえばそうではないということです。引き抜き損傷は微小な炎症性浮腫や出血を伴い(MRIでは映らない程度)、その浮腫は周囲の神経根の接合部にまで及ぶでしょう。すると、現医学ではとても解明できない多彩な痛み(刺すような、チリチリした、殴られるようななど)、さらに灼熱感、冷え感などが現れます。しかも、その症状が出る場所は神出鬼没。炎症の広がり方で、ありとあらゆる不可思議な痛みやしびれが出るはずです。


さらにトリッキーなのは、炎症は損傷個所に留まらないところです。神経は電気信号が一方通行であると長い間考えられていましたが、実は軸索輸送という手段を使って、反対方向にも炎症情報を伝えることができるという、まるで手品のトリックのような動きをすることが最近になりわかってきました。つまり、神経の中枢側で炎症が起こった場合、軸索輸送で末梢に情報が伝わり、末梢で炎症を起こすというような極めてトリッキーな手品を披露できるのです。いわば、脊髄後角で炎症が起こっているのに、足の先端に腫れを引き起こせるということです。こうした神経のトリックを知らない医師は世界にまだまだ多く、一般医学知識としては普及していません。


したがって、損傷部位は根糸の接合部であるのに、痛みは腰から足まで全部…というようなことや、膝や足首に腫れを起こすなんて芸当も可能ということです。こうしたトリッキーな痛みに対して痛みの出る場所へのブロック注射は全く無効。神経根ブロックも硬膜外ブロックも、全て無効となり得ます。なぜなら、炎症を起こしているのは、痛い部分とは全く無関係な高さにある脊髄後角だからです。


要するに幻の痛みを作ることができるのが人間の痛みのトリックです。幻の痛みは、たとえ脚を切断したとしても消えません。なぜなら、脊髄の後角で「痛みの電気信号」を作り出し、それを「脚の痛みを伝える回路に流し込むからです。当然ながら、脚へ行く神経根をブロックしてもほとんど効果ありません。なぜなら、トリックが神経根よりも上(中枢)のレベルで起こっているからです。このようなトリックを種明かしできるほど、疼痛学は進んでいませんので、トリッキーな痛みを訴えた患者は「それは幻の痛みである」と診断され「頭がおかしい」「脳の誤作動」と診断されてしまうという悲惨な状況にあります。


さあ、これでお膳立てができました。最初にお話しした「あらゆる神経ブロック注射に対して無効、画像上、血液データ上、異常所見を示さない」という現疼痛学で解明できない症状を、仮説を用いて再現できました。この仮説が正しいかどうかは、私が実際に「脳の誤作動」と言われて心療内科に回された患者を全国から集め、実際に完治させることで証明できるわけですが…問題は完治させることが極めて難しいことです。


側彎をどう治すか?

脊髄・脊椎不適合症候群は、遺伝的な骨格のバランス異常が起因していると思われます。よって、姿勢を治して背骨を矯正しなければ、なかなか治せないでしょう。よって、これを治していくにはカイロプラクターとの関連を密にして研究していかねばなりません。しかしそれは極めて困難な研究になるでしょう。なぜなら、たとえマニピュレーションで側彎を矯正できたとしたら、その際に脊髄や神経根は引き伸ばされてしまいます。これによりさらに症状が悪化することがほぼ決定的です。つまり、もともと脊髄・神経根が相対的に短い状態で成長してしまった人に背骨の矯正をすると、それが原因で脊髄や神経根を破壊してしまうわけです。よって、もしも背骨の矯正をするのであれば、少しずつ神経を引き伸ばし、神経の伸びと同じスピードで矯正を行わなければなりません。しかし、患者はその痛みに耐えられるはずもないので、事実上、マニピュレーションは不可能です。というよりも、脊髄・脊椎不適合のある患者にマニピュレーションは禁忌です。このことをカイロプラクターはもちろん認識していませんから、全世界で背骨矯正で再起不能になる患者がなくなりません。脊髄・脊椎不適合の概念は私の仮説であり、この仮説は全く認識されていませんのであしからず。ただし、重度の脊髄・脊椎不適合を持つ患者はめったにいません。よって、カイロの施術事故件数は、それほど多くないと思われます(ただし、なる人はなる)。


癒着をどうするか?

次に癒着の問題です。癒着は硬膜外腔で起こるもの、くも膜が癒着するもの、そして癒着部から炎症性浮腫が発生してのう胞を形成するものなどがあり、これも一言で述べられるほど単純ではありません。医師の間では「のう胞は無症状」と言う意見が多く、のう胞が癒着から起こっているという発想が今の医学知識にはありません。よって癒着がなぜ悪いのかさえも考えるに至っていません(残念なことに)。少なくともくも膜のう胞ができるということは、その神経根はガッチリその場に固定され、遊びがゼロになります。遊びゼロであると、洗顔の体勢をとっただけで(わずかのギックリで)、神経根の綱引きが起こり脊髄後角に神経損傷が起こるでしょう(ですがこの概念は現医学にありません)。


癒着には根本的に血行不良が必ず関与しています。よって、癒着部の治療には長期に渡り、血行改善を行う必要があります。が、癒着部がどこであるのかを知るすべはありません。小さな癒着はミエログラフィーを行ってもはっきり描出できません。また、たとえ癒着部がわかったとしても、その癒着を改善させるには、一体、何か月間、根気よく血行改善の治療を行い続けなければならないのか? という問題です。


腰痛が主症状であれば、癒着は下位胸椎以下に起こっていると推測されますが、それでもかなりの広範囲です。的が絞り切れません。血行改善の最有力治療法は、腹部(胸部)交感神経節ブロックですが、こうした癒着を改善させるためには一度に4か所以上の交感神経節ブロックを行い、それを週に数回繰り返し行っていく必要があると思われます。それを行う医師にも患者にも、相当な精神力が必要で、お金も暇もかかるでしょう。


現実的な癒着改善の方法としてステロイドやTNFα阻害剤の使用があります。癒着箇所には炎症が大なり小なり起こります。この炎症性浮腫を改善させないと、ミクロの血行が改善しません。しかしながら、これらの薬剤も、一度きりで治るわけでなく、繰り返しの投薬が必要で、副作用を考えると、使用を躊躇します。よって、癒着はある程度の安静で治すことが現実的と言えるかもしれません。


脊髄後角炎を治療する

さて、本題は脊髄後角炎をどうすれば改善できるかということでしょう。そのためには二つのアプローチが必要です。一つ、血行改善、二つ、浮腫・炎症改善、です。血行改善は交感神経節ブロックが最有力で、浮腫・炎症改善はステロイドまたはTNFα阻害剤の点滴または局所投与が効果的と思われます。これらの治療は繰り返し継続的に行わなければ意味がなく、治療は困難を極めます。また、保険適応はありませんから、金銭的にもかなり困難でしょう。また、脊髄後角炎が生じているという証拠がありませんから、証拠がないものにここまでお金がかかり、リスクのある治療を続けられるか?という難題に突き当たります。


痛みの原因は脳の誤作動ではない

痛みの原因は、脊髄・脊椎不適合による脊髄後角炎であると、断定できたとしても、治療には困難を極めます。脳の誤作動である・ないにかかわらず、どちらにしても、ブロック無効の慢性疼痛を治療するには、困難を極めることだけは変わりありません。


困難を極めるのであれば、どのみち精神科薬に頼るより仕方なく、結局のところ「脳の誤作動」であろうがなかろうが結果は診療内科行き…となってしまいます。ですが、私は、その困難に飛び込み、治療に挑戦していきたいと思っています。脊髄後角炎を短期間に沈静化させることができれば、お金の問題もリスクの問題も解決します。難治性慢性疼痛患者が、脊髄・脊椎不適合と決まったわけでもありませんが、とにかく、慢性の疼痛患者を短期治療で治せる手段をあみだしたいと考えています。他の医師が治せない症状を治すことが私の医師としての使命と思い、前進します。ご清聴ありがとうございました。

慢性疼痛患者へのオピオイド使用に警告

2017年治療成績

はじめに

以前よりがん患者の末期ではその疼痛を和らげるためにモルヒネが使われています。モルヒネはオピオイド神経を興奮させ、下行性に侵害受容器で発生した痛覚の信号を抑制します。近年、トラムセット・ノルスパンテープなど、モルヒネではなくオピオイド受容体に作用する薬が開発され、癌性疼痛以外の疼痛患者にもオピオイドが広く使用されるようになりました。


整形外科領域では腰痛や上下肢の神経痛などに頻繁に処方されるようになっていますが、そこには落とし穴があります。オピオイドは通常、組織や臓器が障害された痛みに用いるべき薬剤であり、神経が障害されて起こっている痛みには効果が低いのです。しかしながら、神経痛にもオピオイドが濫用されはじめた近年、それによる二次的な副作用が出始めていると感じます。ここではオピオイドを神経因性の疼痛に使用した場合の症状悪化について考えていきたいと思います。


オピオイドが効かない痛み

日本ホスピス・在宅ケア研究会ではモルヒネに反応しないケースとして次のようなものを挙げています。

 

  1. 痛みは(組織や臓器ではなく)神経が傷害されて起こっている。 末梢神経が侵されたときは皮節に一致して発生し、中枢性の病変によるときは皮節には一致しない。
  2. 痛みの表現(灼けつくようだ、刺すように痛む)から、神経叢損傷が疑われるが、痛みの部位で感覚が鈍くなっていたり、変化していたりすることで診断できる。
  3. 表在性で灼熱的、あるいはズキズキした不快感のある痛み。
  4. 自発性の刺すような痛み、あるいは放散する痛み。
  5. 深部に併発するうずきが、神経の圧迫と遮断との混在による痛みのときも神経の遮断のときも現れることがある。
  6. 軽く触れたり、軽く叩いたりすると痛みを生じる。したがって肌に着衣が触れると痛みとなり、着衣に耐えれれなくなることがある。
  7. 針を用いた痛覚検査や温室の検査では、感覚低下が認められる。
  8. 時にしびれを伴う。
  9. モルヒネを投与しても効果があがらなかったり、僅かな効果が得られるのみのことが多いため、不眠が続き、患者は疲れきってしまう。
  10. 腕神経叢を巻き込む場合には、上肢に、また骨盤内腫瘍による腰仙骨神経叢の場合には、下肢に典型的な痛みが出る。
  11. アスピリンやモルヒネがあまり効かず、三環系薬がしばしば適応になる
  12. 治療目標は、夜よく眠れること

上に挙げたような場合はオピオイドの使用量を増やしていくことは不適切と思われますが、最近では世界的に「難治性の痛みには何でもかんでもオピオイド」という風潮になってきており、私はそうした疼痛管理に危機感を持っています。あまり効果が出ない痛みに対してもオピオイドを医師が気安く処方しています。オピオイドを処方する医師は痛みの性質と使用薬剤の適応をもう少し真剣に学ぶ必要があると感じます。しかし、オピオイドを販売促進しようとする製薬会社、そして薬学部の研究が、これを阻んでいるような気がします。


 

飲酒後の激痛の例

神経因性疼痛の患者は、その激痛に耐えられず、しばしばお酒を飲んでこれをごまかそうとします。アルコールは脳に対して麻酔作用があり、疼痛をあまり感じなくなります。しかしながら、酔いがさめるとお酒を飲む前よりもさらに強い痛みになっていることがしばしばあります。また、飲酒中は転んで骨折などを受傷したとしても痛みがほとんどありませんが、翌朝、目覚めると激しい痛みになっていることもあります。こうした飲酒後の疼痛増強は、痛みを抑えることによって自由に活動ができるようになり、損傷部位をさらに傷めつけてしまうことが原因と考えられます。


痛みの増強を抑えるために「お酒をさらに飲み続ける」という方法もありますが、これが体に悪いことは誰にでもわかります。オピオイドも同様に、痛みを抑えることにより、損傷部位をさらに傷めつける恐れがあり、服薬が逆効果になることを想定しなければなりません。特に上に挙げた神経破壊によると考えられる疼痛ではオピオイドを使用すべきではないと考えます。


 線維筋痛症患者でのオピオイド使用注意

現医学で理解不能な痛みを総称して線維筋痛症と言われることがあります。線維筋痛症では神経ブロックも無効である場合があり、その場合は「脳で痛みが増幅されている」というような言い方をされ、精神の異常による痛みと定義されてしまうことが多いようです。こうした医者に治せない痛みの場合、プレガバリン・オピオイド・抗うつ剤の併用で薬漬けにするのが近年の常套手段となっていることを非常に残念に思います。


慢性の疼痛に苦しむ患者は、「あまり効果がない」と知っていても、これらの薬を中断すると「酔いがさめた時の激痛」のように痛みが増加するために止められません。よって、神経破壊が起こっている場所には治療がなされず、痛みをごまかすのみとなり、経口薬の悪循環にはまり抜け出せません。もちろん、神経破壊が起こっている場所の同定が、現医学では無理だからこそ、このような悲劇が起こります。


オピオイドによる疼痛増強の可能性

神経破壊が原因で起こる疼痛は通常の求心性痛覚伝達経路とは無関係な経路から起こります。これらがアロデニアや皮節を無視した疼痛領域、異常知覚を作り出します。しかし、そうした臨時痛覚回路の情報をオピオイドで遮断し続けた場合、どういうことが起こるかを想定しなければなりません。


恐らく、臨時痛覚回路は「痛覚情報が十分に脳に送られていない」と判断し、自動的に痛覚回路の増強を計ると思われます。すなわち、オピオイドによる信号遮断をさらに上回る臨時疼痛回路を作り出します。これがどういう結果を招くか、想像すると極めて残酷です。同量のオピオイド使用では痛みに耐えられなくなり、さらにオピオイドを増やさなければならなくなるでしょう。そしてどんなに増やしても、人の体はさらに痛みの回路を増強し、結局、オピオイドを増量してもすぐに効かなくなり、最終的に痛みの回路だけがパワーアップして行き、こうした患者がオピオイドを中止した時に、地獄の猛火に焼かれるがごとく痛みを感じるようになるでしょう。こうした理由から、神経破壊に起因する痛みにはオピオイドは不適切と考えます。


 安静で治る神経因性疼痛であればオピオイド使用は問題なし

神経破壊による痛みであっても、安静にしていれば破壊部の炎症はおさまり、自然治癒するのが人間の痛みの仕組みです。この場合、神経の破壊部分が治癒するまでオピオイドを服薬していれば、何事もなく痛みが自然治癒します。よって、動的なストレスで発生する痛みでは、安静+オピオイドでよいでしょう。この場合は神経因性の疼痛であっても、オピオイド使用が問題ありません。この世に存在する疼痛の99%は「自然治癒する痛み」であるため、オピオイドの使用はほとんどの人に有効です。しかし、残りの1%の特殊な疼痛の患者にオピオイドを使用すれば上記のような、オピオイドによる疼痛回路の強化が起こるでしょう。


 安静でも悪化する痛みがある場合はオピオイド要注意!

ヘルニアも脊柱管狭窄症も神経根症も、安静にしていればそのほとんどが治癒します。物理的に神経が圧迫されていたとしても、圧迫部の浮腫が改善されると、神経が再び炎症を起こす機会が減るでしょう。しかしながら、臥床安静にしていても痛みが消えることがないような痛みの場合、オピオイドは神経破壊を悪化させる可能性が極めて高くなります。


例えば腰椎の数が多いなどの奇形を持つ患者は神経線維の全長が脊椎の全長よりも相対的に短くなると思われます(椎体の数が多い分、神経の長さが長くなければなりませんが、多椎が神経の成長に何らかの悪影響を及ぼす可能性がある)。また、椎間板の数が多いため、前屈させた際に脊柱管全長が長くなる距離が普通の人よりも増えることで、神経線維が引き伸ばされて損傷を起こす可能性が高いでしょう。


このように、脊柱管全長よりも、その中を走る神経線維の長さが足りない場合、神経線維は常に緊張することになり、姿勢が変化することで自動的に神経破壊が起こることがあると推定しています。ある患者は、座位でのみ神経線維が引き伸ばされ、ある患者は仰臥位でのみ神経線維が引き伸ばされ、ある患者は立位のみで引き伸ばされ、神経が破壊されるでしょう。


こうした患者にオピオイドなどの鎮痛薬で、薬漬けにすることは大変危険です。安静にしていても姿勢が悪いのみで神経破壊が起こるでしょう。しかし、その際の痛み信号をオピオイドでブロックするため、知らぬ間に神経破壊が進行し、疼痛回路の増強システムが作動し始めるからです。これに耐えうるためにさらに薬を増やし…疼痛回路はさらに増強…やがて寝たきりの疼痛患者が出来上がってしまいます。


 神経破壊に起因する痛みの治療法

基本的に破壊されている部分には浮腫、血行不良、疼痛メディエーターの貯留が必発です。破壊されている神経が修復され、また、神経線維の緊張が強いのならばその神経線維が多少でも伸びるように成長させるためにも、浮腫の改善、血行改善、疼痛メディエーターの洗い流しが必要と思われます。


これらの治療を神経が破壊されている部分に的確にヒットさせない限り、患者は疼痛地獄から逃れるすべはないと思われます。つまり、神経破壊部の炎症と浮腫、血行不良を改善させるために、ステロイドの大量投与などが必要と思われます。


神経破壊に対し、ステロイド大量投与が有効であることは、すでに癌末期のターミナルケアで証明されており、いまさら私が述べるまでもありません。特に、線維筋痛症などの「神経破損部位が特定できない中枢性疼痛」にはステロイド大量投与が選択されるべきと考えています。部位の特定が難しい場合は全身投与しか方法がないからです。


ターミナルケアではオピオイドが無効の神経破壊性の疼痛患者にステロイドを用いると、とたんにオピオイドが効き始めることが証明されています。しかしながらステロイド大量投与には副作用がつきまとうため、使用が難しいでしょう。


近年、ステロイドに変わる強力な抗炎症薬であるTNFα阻害薬が開発されたため、ステロイドの副作用を起こさせることなく、抗炎症を得られるようになりました。よって原因不明の中枢性疼痛にはTNFα阻害薬の使用を試みるべきと考えます。しかし、この薬剤もまた、強力な副作用があるため、使用が難しいと言えます。


こうした副作用の強い薬剤の使用には、神経破壊部がしっかり同定できていて、炎症が起こっていることが予想されている必要がありますが、以下の理由によってそれが大変困難な状況があります。そして、治療ができない理由があります。


 

難治性慢性疼痛治療の問題点

  1. 血液データに炎症所見が現れない:神経節の部分に炎症起こっていても、CRPやサイトカインなども含め、数値の上昇は一切見られません。それは損傷個所がミクロだからです。炎症が起こっていることを医師に理解してもらえません。
  2. 神経線維の緊張所見をMRIなどから読み取れる医師がいない:神経線維の緊張という考え方が現在の医学には欠落していますので画像で異常所見を読めません。
  3. 神経の破壊部分が推測できない:神経の緊張による神経の破壊場所は最上部では視床、そして延髄・脊髄・神経根・後根神経節…とあまりにも広範囲なため、破壊場所を絞ることができません。
  4. 痛みの場所と原因箇所が離れている:中枢感作が起こっているために、痛みの場所と神経の破壊部位は異なることがあり、通常の医学教育だけでは、その発生場所を推定することは不可能です。
  5. 治療に時間がかかる:神経の緊張が原因なら、神経線維が伸びることを期待して長期の治療が必要になりますが、治る確証がなく、長期の治療は医師・患者ともども根気が続きません。
  6. お金がかかる:保険医療の範囲外の治療となりますからお金がかかります。
  7. 患者は医師を信用しない:これらの考え方は現医学の枠を超えているので、患者は医師を信用することができません。例え治療法を示しても、患者から承諾を得られません。患者はエビデンスを求めますが、現医学レベルではエビデンスを出せません。
  8. リバウンドが来る:オピオイドで長期に疼痛を抑えていたせいで疼痛回路が強化されており、治療過程で激痛が起こること(リバウンド)が予想されますが、これに患者は耐えられず、医師を逆恨みして治療が中断することが予想されます。
  9. 循環系のリスクが高い:薬漬けになっている患者の場合、ブロック時の血圧が不安定になりやすく、少しのミスでも循環不全性ショックを起こすリスクが高くなります。
  10. 副作用に飛び込む勇気が必要:神経破壊箇所が特定できないまま、その箇所の治療を行うにはステロイド,TNFα阻害薬(レミケードなど)の全身投与が必要となりますが、その副作用は決して少なくないため、医師と患者共に治療に勇気と覚悟が必要です。しかし、患者はすでに医師不信に陥っているため、ほとんど同意は得られず、さらに不信感をあらわにする患者に対し治療を行う医師はいません。
  11. 繰り返しの根気治療が必要:ブロックはほぼ無効です(原因場所が特定困難、中枢感作の生じている部分へのブロックで痛みはとれない)が、ブロックを血管拡張のための治療と割り切って何度も繰り返し行う。血管拡張剤を用いるなどあらゆる手段を用いながらのたいへん根気のいる治療が必要と思われます。しかし、そうした精神力もお金もない現実に突き当たります。

 


 難治性になる前に徹底治療

難治性の中枢性疼痛が慢性となった場合、上記のような困難を乗り越えなければ治療が難しく、一般的には、患者は慢性疼痛になるまでに極めて医者不信になっていますので「打つ手なし」となります。患者を救うためには慢性疼痛になる前に、徹底的なブロック治療などで改善させなければなりません。中枢感作の回路を作らせてはいけません。徹底的とは…例えば週に5回、ブロックを行うというような、医師と患者に忍耐の要る治療です。保険医療はそれを認めていませんが、慢性疼痛になる前に引き止めなければ、患者は疼痛の生き地獄にはまり込んでいきます。そこは人間の尊厳のない世界です。そうなる前に手を打つのが医師の使命であると私は思っています。たとえ保険医療が認めていなくても。


しかしながら、近年、オピオイドなる優秀な疼痛治療薬が出現してしまったために、徹底治療をする医師が減り、患者が薬漬けにされ、慢性疼痛の悪循環におちいりやすくなったと感じます。


難治性疼痛の最後の砦、脊髄刺激療法

脊髄刺激療法は硬膜外腔に電極を埋めて微弱電流を流すことで、痛みの電気信号をブロックさせる方法です。疼痛治療の最後の砦的な位置にあります。ただし、電極を埋める位置をどこに決めるのかが問題であり、神経破壊場所(中枢感作が構築されている場所)よりも末梢に入れたのでは効果が低いと思われます。よって万能ではありません。


また、この方法は痛み信号の求心回路を妨害する方法ですから、オピオイドの電気版のようなものです。根本原因を治療しているわけではありません。求心回路の妨害によって、神経破壊部がさらなる疼痛増強回路を作ってしまうことを考えると、オピオイドの薬漬けと同様であり、痛みの解決にならない場合も考えなければなりません。


人間の体は痛み回路に対しては非常に精巧かつ狡猾であり、痛み信号をどれほど遮断しても、根本原因が改善されていない場合はあの手この手を使って神経系は痛みの別回路を作っていきます。よって脊髄刺激療法も、根本原因が判明している場合に行うべきであり、なんとなくの使用では痛み回路の増強を助長するかもしれません。


基本的には脊髄刺激療法でさえ、痛みの根本原因の治療と同時に行うべきでしょう。しかしながら根本治療は困難ですから、原因が不明の難治性慢性疼痛の治療が難しいことは、本法でも例外ではないでしょう。よって、脊髄刺激法もオピオイドと同様、ごく一部の患者には逆効果になる場合もあると考えます。


オピオイドが効かない時

疼痛治療でオピオイドが効かない場合、多くは神経破壊による疼痛であることを想定し、急性期のうちにに手厚いブロック治療を敢行することを勧めます。MRIで調べても、痛みの原因がわからない患者の数は、医師が考えているよりもかなり高い割合で存在しています。つまり、現医学の水準では発見できない神経破壊性の疼痛が想像以上にたくさんあります。しかし、名誉ある医師たちはその事実を決して認めないため、慢性の疼痛患者を生み出し、地獄のような苦しみを味わう患者が存在します。その数はオピオイドが開発されても全く減りません。


オピオイドが効かない時は「なぜ効かないのか?」を現医学水準の枠を超えて考える癖を持つ必要があります。医学書通りの治療では、決して患者を救えません。現医学は疼痛の研究に関して、まだまだ遅れているからです。

更年期症状はブロックでほぼ治る

2017年治療成績

はじめに

更年期症状は女性が閉経後に女性ホルモンの低下によって引き起こす様々な不定愁訴を総称したものですが、実際は女性ホルモンの低下が原因ではなく、延髄の自律神経核の不具合で生じていることがほとんどであると推測します。その理由は、私は更年期症を上頚神経節ブロックで、そのほとんどを根治させることができるからです。これまで更年期症状を思わせる症状を上頚神経節ブックで数十名治療していますが、例外なく軽快していますのでこれらは全て延髄由来であったと思われます。よって厳密には、更年期症と診断されている患者に「真の更年期症」は数%も存在せず、ほとんどが自律神経失調症であると推測します。つまり真の更年期症では女性ホルモンの補充療法で奏効するでしょうから、ホルモン補充で改善しない更年期症状は、ほとんどが更年期症ではないと推測します。上頚神経節ブロックが世界に普及すれば、そうした新事実が医学の教科書に掲載されるようになるでしょう。ここでは上頚神経節ブロックで根治した更年期女性の不定愁訴の治療例を報告します。


 

 症例1 79歳女性

  •  主訴:一日中暑いが体温は正常 発汗過多 腰下肢痛

 

数カ月前から1日中暑い、発汗が多いという症状が出現。私の外来には腰下肢痛を主訴に、神経根ブロックを行うためにほぼ毎週通院している。しかし、私が整形外科医であるのでこれらの症状を私に告げなかった。ある日「クーラーをかけても何をしても暑くて仕方ないんですよ。でも体温計で計っても正常なんです。」と愚痴をこぼすように告白。「それは自律神経失調症の可能性があるので良ければブロックで治してさしあげましょうか?」とブロックを勧める。


 

  •  治療:左右上頚神経節に1%キシロカイン1ccずつ行う
  • 結果:一度の注射で完治 以降、発汗も暑いという症状も全く出現なし

 


 

症例2 82歳 女性

  • 主訴:ふらつき 両膝痛、腰痛

私の外来では両膝痛と腰痛に対し、注射治療を行うためにほぼ週1回通院している。1カ月前から歩いていると突然ふらっとして転びそうになるという症状が出現。実際に4日前に自宅でふらつきのために転倒している。ふらつきの原因は血圧の不安定(自律神経失調)であると説明し、ブロック注射を受けることを勧める。


  • 治療:左右上頚神経節に1%キシロカイン1ccずつ行う
  • 結果:一度の注射で完治、以降全くふらつき症状なし


症例3 52歳 女性

  • 主訴:肩こり、顔面紅潮、発汗過多

肩こりを主訴に私の外来を初診。「突然顔がほてったり、汗をどっとかくようなことはありませんか? 耳鳴りやめまいはありませんか?」という問診により、上記の顔面紅潮、発汗過多があることが判明。近医、産婦人科では更年期症状と診断されているが8年前からあるこの症状は全く軽快しない。私は自律神経失調症を完治させる実績が多数あることを説明し、ブロックを勧めた。

  •  現症:日中、常に1時間に1回以上の顔面紅潮が起こり、寝汗がひどく、就眠中に必ず2度下着を変えなければならない。こういう状態が8年続いている。
  • 治療:左右上頚神経節に1%キシロカイン1ccずつ行う
  • 結果:一度目の治療で顔面紅潮の回数が半減、下着の取り換え回数が1回となった
  • その後:毎週1回本ブロックを行っており現在進行形、ブロック4回目で顔面紅潮の出現回数が1日数回以下となり、顔が赤く暑くなる自覚症状もかなり軽くなり、発症しても気にならない程度に症状が弱まった。

 


 

自律神経失調症は上頚神経節ブロックで治る

私は整形外科医であるため、患者は更年期症状様の症状があっても私に申告しません。私の方から質問し判明するケースがほとんどです。しかも、患者はすでに他の医師に更年期症状と診断を受けている場合が多く、どんな治療を施しても治らないことを認識しています。よって、私がブロックを勧め、「ブロックで更年期症状を治せますよ」と説明しても、ほとんどの場合、患者は私のことを信じてくれず、ブロックを受けません。


ただし、腰下肢痛などで私のブロックを受けた経験のある患者は、私のブロックの技術の高さを理解しているので、上頚神経節ブロックに対してもハードルが低く、気軽に受けていただけます。そしてブロックを行った患者はこれまでほぼ100%の改善率であり、1人の例外もなく不定愁訴が改善しています。効果が出なかった症例が1例としてありません。その理由は私の腕がよいというよりも、診断能力、患者の観察能力が高く、適切に診断ができているからだと思っています。


ただし、自律神経失調症はその根本原因が日常生活での不摂生にあることが多く、日常生活を改善しないと、ブロックをいくら行ってもなかなか治り難いという現実があります。ブロックで治すとしても、一度では治らない場合が多々あり、通院の問題から「治療を十分にできない」こともあります。そういった問題点を克服していかなければ完治へと導くことは難しいでしょう。


上頚神経節ブロックは他にも難治・不治とされる様々な不定愁訴にも効果があり、その実績は「最新トピックス」に多数掲載してありますのでご覧ください。実際に上頚神経節ブロックが世界に普及すれば、数多くの世界中の人々の不定愁訴を完治させられ、人生の質を向上させることができます。ぜひ一刻も早く広めていきたいです。上頚神経節ブロックの安全性について気になる方は「上頚神経節ブロックの作用・副作用」をご覧ください。

高血圧が上頚神経節ブロックで完治する

2017年治療成績

世界初!上頚神経節ブロックで血圧正常化に成功

朗報です。週に1回の上頚神経節ブロック(頚部交感神経節ブロック)を10回行って血圧を正常化させることに成功しました。高血圧症はそのほとんどが原因不明であり、降圧薬を服用しつづけることでしか血圧を正常に保つことができなかったのがこれまでの医学常識でした。しかし、ブロックを行うことで降圧薬を服用しなくても正常に安定化させることができました。グラフはその血圧の動向です。

血圧変動グラフ

 

最初の1カ月は薬を服薬、次の1カ月は薬をほとんど服薬せず、後半の2カ月はブロック治療を週1回で行っています。

平均血圧グラフ

 

上記のようにブロック後半には経口薬を服薬していた時よりも低い水準になっています。ブロックは、最初の5回までは血圧の低下が見られません。よって、ブロックを行っても、その効果が出現するには時間差があります。最初の数回で「効果がないからあきらめた」ということがないようにしなければなりません。この記事の詳細を知りたい方はこちら

腰椎手術回避するための腰・下肢痛への超連続ブロック療法

2017年治療成績

はじめに

歩くことも寝ることも不可能なほど強烈な腰痛・神経痛を患った場合、その患者はまさに生き地獄のような毎日を強いられます。激烈な神経痛にはどんな経口薬も効き目がなく、神経ブロックを行ったとしても一時的にしか改善しないこともあり、患者は「どんなことをしてでもこの激しい痛みから逃れたい」と切望するあまり、短気を起こし、手術への道を選ぶものです。しかしながら、神経根が骨性に圧迫されて発症している場合、手術での成功率は低く、術後も症状が軽快しない場合が多々あります。こうした症例が痛みから逃れ、普通の日常生活に戻るためには、手術以外にどんな方法があるのかについて、その成功例である19日間で15回行った「超連続ブロック療法」から考察します。


 症例

78歳 男性 主訴:腰痛・下肢痛

現病歴

2013.12月 突然の腰痛・右下肢痛が出現し、M整形外科病院を受診。神経根ブロックを2週に渡って2度受けるが痛みが改善しないため入院。10日間ベッド上待機(この間無治療)の後、L4/5 PRIFの手術を受ける。しかしながら痛みは軽減しないためインターネットでトリガーポイント注射ができるクリニックを検索し、2014.2.6.私の外来を訪れる。私は彼に「トリガーポイント注射ではまず治らない」ことを説明し、この日、右のL5神経根ブロックを行う。

現症

腰痛・臀部痛・右下肢外側の痛み・右足背のしびれ

XP

L4/5にpedicle screwがある。L5/S1の間隔が極めて狭く左右椎間孔が見えないほどに狭小化しており、神経痛のメインは椎間孔の狭小化であり、手術でそれが解除されていないことを確認した。


治療経過1

  • 2014.2.6 右L5傍神経根ブロックを行い、初めて2日間痛みがない日が訪れた
  • 2014.2.13 ブロック同上、痛みが劇的に軽快したため2月17日に長距離歩行で悪化
  • 2014.2.20 痛みがL5領域ではなくS1(ふくらはぎ)、右S1傍神経根ブロックへ変更
  • 2014.2.27 ふくらはぎ痛は軽快傾向 右足背しびれあり ブロック同上
  • 2014.3.6 腰痛が軽快 ふくらはぎ痛低下 ブロック同上
  • 2014.3.13. 腰痛・ふくらはぎ痛はほぼ完治、右下肢外側に痛み 右L5ブロックへ変更
  • 2014.3.20. 右側臥位で寝ることができるようになった ブロック同上
  • 2014.4.3. ブロック3日後に痛みが増す(リバウンド) ブロック同上
  • 2014.4.24. 全ての症状が軽快 起床時に少し痛みあるのみ ブロック同上
  • 2014.5.1. 数日前より腰痛出現 両下肢痛も強くなる 腰部硬膜外ブロック+左右L5
  • 2014.5.8. 前回の強力な治療で腰痛・右下肢痛軽快、左L5ブロックのみに変更
  • 途中略
  • 2014.6.26. 左右下肢痛は軽くなり、ブロックを離脱していこうという話となる

 

治療経過2

  • ここまで神経根ブロックが奏功し全快へと向かうと思われたがしかし
  • 2014.6.29. 起床時にぎっくり腰 腰痛・両下肢痛、右足に力が入らない。歩行不可 緊急に近医のM整形外科病院受診しブロック注射を受けるが全く無効 再手術を勧められる。しかしこれを拒否し私の外来に来院する。
  • 2014.6.30. 左右L5ブロックを行うが効果は数時間、「痛みが強いならブロックの回数を増やし、治療を重ねるしかない」と説明。この日から彼は息子に車で送ってもらい、土日以外の毎日、私の外来を追いかけて来院するようになる。

現症

寝ても起きても痛い、右下肢は足の背屈が不可(麻痺)、両下肢のふくらはぎと外側に痛みとしびれ、かろうじて左側臥位のみ可能。歩行は杖をついて3~4mなら可。

治療

仙骨部硬膜外ブロックと神経根ブロックの併用を行う。しかし、仙骨部硬膜外ブロックの際に強い痛みを訴えるので中止。以降神経根ブロックのみで対応し、これを土日以外毎日連日で7月18日まで19日間に15回のブロック行った。その後週に1~2回のブロック治療とする。


 

  •  2014.7.24. ブロックが4~5日効果的となり、治療間隔を週に1回とする
  • 2014.7.31. ブロックが1週間効果持続するようになり、歩行は安定。しかし右足の背屈がほとんどできない。
  • 2014.8.7. うつ伏せに寝ることが可能となり、痛みに苦しむことはなくなった。しかし、右足の背屈が弱いのでブロックを継続(週1回)することにする。

 


特殊なブロック治療について

本症例は非常に特殊です。それは「ブロックを行っても効果がない」という極めて悪質な神経痛症状だからです。しかもL4/5の手術を受けているので腰部硬膜外ブロックができない(やろうと思えば上方の腰椎間からできる)こと。加えて仙骨部硬膜外ブロックは注射時に強い痛みが出てしまうという特殊な状態ですから治療法が八方塞がりとなっている点です。


そこで神経根ブロックに期待するしかありませんが、神経根ブロックは週に1回、連続3回くらいが限度と言われており、私のように神経根ブロックを毎日するという治療法は極めて特殊です。


なぜ毎日神経根ブロックを行えるかの理由は、私の行う神経根ブロックは直接神経を刺すことなく、神経根の周囲にキシロカインを浸潤させる方法をとっているからです。私が行う神経根ブロックは、「傍神経根ブロック」というべきものです。しかしながら効果は十分であり、ブロック後1時間はしばしば下肢が麻痺して歩行不能となることから、十分に神経根に薬液が浸透していることがわかります。よって、通常の神経根ブロックのようなリスクがなく、毎日行えるのです。


本症例は腰椎症性神経根症です

本症例はL4/5を固定手術してしまったことが原因で、L5/S1にストレスがかかりやすくなりL5/S1の椎間板が崩壊し、L5/S1で神経根が骨性に押しつぶされて起こった神経根症です。L4/5を固定すればL3/4とL5/S1に急速な変性が起こることはほぼ必須であり、こういうことが術後に起こることは当たり前です。が、現整形外科学会ではそれを認め、反省する動きが少ない状態です(ないとは言いません)。よって手術被害者は全世界に大勢存在します。


腰椎症性神経根症という病名はない

現在、不思議なことですが腰椎(椎間関節)が変形することで椎間孔が狭くなり、神経根が圧迫される病態は「存在しない」扱いになっています。複雑な理由や事情(行政や面子の問題?)があるからでしょう。


手術的に椎間関節を削って椎間孔広くするということは非常に困難かつ、それを行うと腰椎が不安定になって障害を残すとのことで、行われていません。よって、現医学では椎間孔の狭小化に対する画期的な手術法はなく、固定術しかありません(Hブロックという方法もあり?)。


こういう状況のため、腰椎症性神経根症は手術してもなかなか治りにくい極めて悪質な腰椎疾患と言えます。悪質なだけに本疾患は予防して防ぐことを真剣に考えなければなりません。


ところが、MRI上の脊柱管狭窄に視点が奪われ、これを手術的に固定術を用いて治すことでその前後に重度な腰椎症性神経根症を発生させてしまうのです。予防どころではなく、手術こそが本症の原因づくりになっています。


これは脊椎手術を否定しているわけではありません。脊椎の固定術を行う場合は、その前後の椎間が崩壊していくことを予測の上で、腰椎症性神経根症の発症が将来的に予測される場合は、最初から固定範囲を広くとって手術を行うべきであると言いたいのです。もちろん、なぜそのような広範囲をこていしなければならないかは、患者にしっかり説明し、手術後はきっちり運動制限もするべきです。そうした未来予測と指導を行わないからこそ、脊椎の手術被害者が全世界に多く存在すると言えるでしょう。


腰椎症性神経根症はブロックでも十分に治る

本症は骨性に神経根を圧迫し、後根神経節が炎症を起こすことで激しい疼痛が起こります。骨性ですからブロックで狭くなった椎間孔が広がることはありません。よってブロックで症状が完治するとは思えないでしょう。しかしながら本症は常に突然起こります。発症前は痛みが全くありません。すなわち、たとえ椎間孔が狭くなっていたとしても発症前は何事も起こっていません。この事実は痛みが出現するのは後根神経節が炎症して腫れたことにより「常に触る」状態になったからであると思われます。


そうであるなら、後根神経節の腫れをブロックで解消させることができれば、発症前の元通り「椎間孔は狭くても神経根に触らない状態」に戻れます。


何度も何度もブロックをしても、なかなか腫れが解消しない理由は、椎間孔が狭いためにどんな姿勢をとっても神経根に触ってしまい、「触らない状態」を維持できないからと思われます。そこで、ブロックを繰り返し行うことで炎症の改善力を高め、腫れの消退にまで導きます。


基本的に神経根ブロックは局麻剤で痛み伝達信号を断つために行うのではなく、神経根(後根神経節)の栄養血管を拡張させるために行っています。これを連日繰り返し行うことで栄養血管の拡張している時間を少しでも多くさせます。そして炎症による腫れを消退させていくことが真の狙いです。急性期は後根神経節の浮腫が強すぎて、思うような血管拡張作用が得られないと思われます。そこを打開するために連日のブロックを行います。


連日、連続の神経根ブロック療法

連日、放射線を浴びせ、神経根を刺し、造影剤を注入するというような侵襲的処置を行ってはいけません。よって連日・連続で神経根ブロックを行うためには、神経根を損傷せずに愛護的に、X線を用いずにブラインドタッチで狙った場所に注射針を届かせる技術が必要です。しかも注射針は限界まで細いゲージのものを使用しなければなりません。また、連日行う処置ですから、手技が強い痛みを伴うものであってもいけません。それらの条件を満たせるようになるまで技術を磨いてから治療に臨まなければなりませんが、日頃から自分の注射技術を磨こうという精神でブロックに挑めば必ずできるようになります。


通常の神経根ブロックと私の傍神経根ブロックの違い

通常の神経根ブロックは神経周膜の中に針を刺し、薬液を注入します。私のブロックは神経根近傍に浸潤させるのみです。前者はブロック時に飛び上り悲鳴を上げるほどの痛みを伴いますが、私のブロックは局麻薬を浸潤させながら行うためほとんど痛くありません。


私は神経根ブロックの目的を、「神経根への栄養血管を拡張させるため」に行っていますので、神経に直接刺す意味はないと考えています。むしろ通常行われている神経根に直接刺して行うブロックは無意味なだけでなく、神経根を損傷させるためデメリットが大きいと考えます。


本症例の患者は、通常の神経根ブロックと、私の神経根ブロックの両者を体験していますが、私の傍神経根ブロックの方が治療効果が高いと報告しています。しかしながら通常の神経根ブロックは保険点数が3000点と圧倒的に高く、これを行う医師にお金という大きなメリットを落とします。これをどう考えるかについては各個人に判断をゆだねたいと思います。


 

超連続ブロックと医療の現実

超連続ブロックは極めて愛護的にブロックができるという「高等なブロック技術」があることが前提であり、一般的な教育を受けた医師には実行が不可能であるばかりか、リスクがあるため行うべきではありません。また、保険制度が連日のブロックには金銭の支払いを拒否するため、基本的には許されていません。さらに最大のネックとして、連日来院すると担当医はほとんどが憤慨します(ブロックにケチをつけられていることを意味するので医師のプライドを汚してしまう)。私は「他の医師が治せない疾患を治す」ことを専門としている医師ですから、こうした「挑戦的治療」を行えるのですが、普通は連日ブロックする屈辱に耐えられる医師はいません。患者には理解できないと思いますが、連日のブロックは、患者よりも医師の側に強い精神的ストレスが加わります。よって、本治療は、一般的には不可能な治療法であることを御承知下さい。つまり、こうした神経根症の患者は、一般的には地獄のような苦しみから逃れるすべはなく、最終的には精神科に通院し、痛みを感じなくなるまで大量の精神安定剤を服薬し、社会生活を放棄せざるを得ない状況にあります。


 

神経根症は治らなくても手術

上記の事情から、現実的には患者は手術に願いを託します。しかし、腰椎症性神経根症はMRIなどで所見がないことが特徴なので、画像上は異常なしと言われて手術をしてもらえないのが通例です。手術をしても実際に治りにくいのですが、術後に安静を強いられることで、その安静が神経根の炎症を鎮め、安静の副産物として症状が軽快するという事実があります。よって手術はあまり有効ではなくても、結果的に軽快することがあります。さらに、手術を受けることで社会的に脱落者にならずに済みます。手術を受けると言うことで社会的に同情され、生命保険などからも保証金を受けられるからです。実際問題、地獄のような激痛から逃れて、社会的に脱落者にならずに済むのであれば、たとえあまり有効ではない手術であっても受ける価値が十分に高いと言えます。手術は固定することが有効です。なぜなら椎間の不安定性が解消されるので、椎間から出ていく神経根にストレスが加わりにくくなるからです。しかし、固定をすることで必ず、その上下の椎間が不安定になる運命が決まりますから、いずれ固定した箇所の上下に神経根症が出現することが多いでしょう。私は、そのような手術後の再発を治療することを専門としている医師でもあります。これらの不具合を差し引いても、手術をしたほうが社会的には守られると思われます。

パーキンソン症のブロック治療の効果紹介

2017年治療成績

はじめに

パーキンソン病、パーキンソン症候群に根治療法のない難病に指定されています。治療薬はなく、対症療法としてL-Dopaがあります。新薬は開発され続けていますが、どれも治す薬ではなく、補うものばかりです。すなわち、現医学では誰にも治すことのできない難病ですが、上頚神経節ブロックでパーキンソン症候群による企図震戦を治癒に向かわせることができましたのでその治療成果を報告します。この治療成果後、4例の高齢者の小刻み歩行、手の震えに対し、積極的に上頚神経節ブロックを開始したところ、ほぼ必ず軽快し歩行能力が上昇することが判明しました。よって小刻み歩行は症状が軽度のうちに治療をすれば、改善の余地があり、歩行時のふらつきや転倒を防止できることができることがわかりました。しかし、症状が進行してからでは本ブロックを行っても容易には反応しないことが予想されますので、パーキンソン症候群の治療は診断がなされる前に小刻み歩行などが見られた時点でいち早く治療を開始していくべきだと思われます。また、現在、完全にパーキンソン病と診断され、その病状が進行してしまっている患者にも本ブロックを行っています。追って成果を報告します。


症例 72歳女性 主訴 四六時中企図震戦(何かをしようと意識すると手が震える)が起こる 既往歴 10年前から糖尿病


現病歴 5年前から両下肢のしびれがあり、近医で「糖尿病性だから仕方がない」と言われていた。当院の整形外科にかかるが、MRIなどの所見に乏しいことから、「しびれは糖尿病性」と判断され、しかも担当医はその診断を納得しない彼女に如実な嫌悪感を表し「私が説明しても糖尿病性であることを信じない患者である」とカルテに記載してあった。 彼女はt両下肢のしびれに大きな不満を持ち、日本で脊椎の手術症例が屈指のK病院に行くが、そこでも「MRIで所見が乏しいため」との理由で放置された。このような既往があるため、カルテにはブラックリストのマークがつけられ、彼女との診療には注意をするようにとのお達しが医療従事者に回ることになる。


H25.7.17、担当医が「しびれが脳由来であることもある」と説明し、脳のMRIをとるが陳旧性の脳梗塞の画像のみであった。


H26.5.27、以前からあった両下肢のしびれと左下肢痛の診療依頼を私が受ける。この日、私の初診時、腰部硬膜外ブロックを行う。その後しびれが軽快しており、多くの医師たちが信じて疑わなかった「糖尿病性のしびれ」ではないことが確定。腰神経根由来のしびれであったことを、私がブロックで治療することで証明して見せた(他の医師のメンツをつぶすことになる)。以降、毎週ブロックを行い、しびれが日ごと軽快してきている。


H26.6.17、最近、何かをしようとすると手が震えてしまうということを同院の脳外科医に相談したところ「それはパーキンソン症候群だから何もすることがない」と言われる。同、脳外科医が脳のMRI検査を行うことを指示するが、彼女はこれを拒否。放置されることになる。


H26.7.1、そろそろ彼女と私の信頼関係が成立していると判断。私は「上頚神経節ブロックで手の震えを治せる可能性がある」ことを説明する。「彼女はぜひやってください」と言うので、この日から上頚神経節ブロックを週に1回の割合で行うことになる。もちろん、腰部硬膜外ブロックを毎週行うついでに上頚神経節ブロックを行う。


 治療経過

7/1 7/8 7/15と3回、上頚神経節ブロックを行うが、全く効果なし。しかし、私は最初に「この治療は効果が出るまでに時間がかかる」ことを説明しておいたので彼女はあきらめず、毎回ブロックを快く受けた。

7/22 彼女は初めて「震えが止まる時がある」と治療効果が出たことを私に報告

7/29 震えがない時間帯が増えてきたと私に報告

8/5 震える回数や時間が激減し、ほとんど震えなくなったと報告

その後の経過は下のビデオをご覧下さい


パーキンソン症候群患者のその後

本患者は肺炎をおこし入院し、その後私の外来に4か月以上来院しませんでした。久しぶりに来院した時、彼女の歩行はとてもぎこちなく、さらに両手がかなり震えていました。彼女に再度上頚神経節ブロックを行いましたが全く効果がありませんでした。何度も根気よく通院させるにも、彼女は「一度ブロックしても効果がなかった」ことで治療をあきらめてしまい、その後は来院しなくなりました。誠に残念でなりません。


82歳女性 小刻み歩行の治癒例

膝と腰の治療で遠方(1.5時間かかる)から私の外来に電車通院されている方です。それほど歩行能力が高いのですが、2か月前から小刻み歩行が起こり、椅子に腰かけようとしても椅子を通り越してしまい、座れずに転倒しそうになると私に訴えました。なぜ2か月も経ってから私に相談したかというと「相談しても治せるはずがない」と思っていたからだそうです。ところが私はこの患者の胃部不快を胸部硬膜外ブロックで治して差し上げたところ「この先生になら治らない病気も治せるかもしれない」と思い、ようやく相談することに決めたそうです。

上頚交感神経節ブロックを2回行い、小刻み歩行はすみやかに完治しました。以降3か月以上たちますが、それ以来小刻み歩行は出ていません。


転びそうになる歩行の改善例

小刻み歩行を改善させることで転倒を防ぐことができることを上記の例から学んだ私は、「足がふらつく」と訴える患者は「腰椎由来だけではなく脳由来のものが多々ある」ことを考え始めました。それはパーキンソン症候群とは呼べないもので、診断名がなく、「老化による歩行能力の低下」とひとまとめにくくられているものです。治療法がないどころか、病名も対症療法薬も全くない墓場的な高齢病です。

そこで、腰椎への硬膜外ブロックなどを定期的に行っても歩行能力がなかなか改善しない高齢者を対象に上頚神経節ブロックを4~5名に行いました。すると全例で「歩幅が広がる」「動作が滑らかになる」「歩く速さがアップする」などの具体的な効果が認められました。超高齢社会を支える上で、本治療法は極めて重要な鍵となるでしょう。今後も症例数を積み、その成果を報告していきたいと思います。

外傷後の視力低下をブロックで治す

2017年治療成績

はじめに

むち打ち損傷後に急激に視力が低下する例は全国で多発していますが、その原因は一切不明であり、これを治療できる医師も皆無です。しかし、私は上頚神経節ブロックで視力を改善させることができましたのでそのブロックの効果を報告します。

症例 27歳 女性

  • 2014.7.6.仕事中、階段から滑り落ち、背部・左肘・左股・左膝・左下腿を打撲し、背中と首が激しく痛いという主訴で来院されました。左半身を階段にぶつけていますが、全くぶつけていない首や背中が痛いことを本人は不思議がっていました。
  • 現症 Spurling(-) 知覚異常なし、腱反射正常
  • XP:C4/5にアライメント異常あり(後弯している)、胸腰椎に軽度の脊柱側彎あり、胸椎の後弯は弱くストレート傾向あり

 

治療経過

  • 7月9日 初診時 NSAIDの処方
  • 7月16日 診察2回目 胃痛の訴えあり、NSAIDを中止 この時初めて視力低下が事故以来ずっと続いていることをうちあける。整形外科で訴えることではないと思い、彼女は私に話さなかったが、私が彼女に「目がしょぼしょぼして疲れやすくなっていませんか?」と核心をつくように質問。すると彼女は「実は受傷当日から視力がかなり低下していること(ぼやけて見えること)」を告白した。同日、上頚神経節ブロック 1%キシロカイン1cc×2を行い帰宅。
  • 7月19日 視力がほぼ完全に回復(コンタクトレンズによる矯正視力(右1.0、左1.2))しかしその後は仕事がハードであったためか、数日後から徐々に視界がぼやけはじめ、視力の低下を感じるようになる。
  • 7月24日 視力低下が不安なため眼科を受診。しかし、何の異常もないと言われ原因不明と言われる。
  • 7月30日 再び上頚神経節ブロックを行う。今回のブロックの効果は3日間、視力が回復した。しかし4日目から1メートル以上離れた者がぼやける。そしてたまにピントが合う。というようにまだらな視力低下が続いている。
  • 8月6日 上頚神経節ブロックを行い、「週に2回の治療」を勧める。が、忙しいので来院が難しいとのこと。肩こりが激しいことから強い痛み止めを希望。リリカ(25)を処方する。

<考察>

数日間ではありますが、視力を回復させることができました。しかし、ハードな仕事内容によりすぐに再燃しています。視力低下の原因は不明と言われていますが、上頚神経節ブロックで脳幹への血流量を増加させることにより、速やかに視力が回復したところから考えると、視神経に脳幹部での炎症と血行不良があると思われます。今後、治療を継続することで完治に導く予定です。経過は随時報告します。


本症例のように外傷後に原因不明の視力低下に陥り、そのまま後遺症として視力低下が残る患者が、全国には大勢いらっしゃいます。そうした患者には現在、治療法なしとされていますので、この新たな治療法は希望となると思われます。

 

突発性難聴を即効で治しました

2017年治療成績

突発性難聴の治療成績

突発性難聴の上頚神経節ブロック(SCGB)での治療成績を公表します(2017/06/01)こちらです。


突発性難聴の真実をまず知る必要があります。それは「いまだに原因不明」ということと、耳鼻咽喉科学会で「診断基準や治療法が迷走している」ことです。


ここではその「迷走」について軽く触れておきます。


突発性難聴の研究調査では「治療しなくても65%は自然治癒する」という論文や、「ステロイドで61%が改善」という論文や、「ステロイドで治療効果に有意差は認められない」という反論や、「初期に鼓室内ステロイド注射で74%が治癒」という論文、「いかなる治療を行っても3割は全く治らない」という論文まで、様々な意見が交錯しています。どれも信用レベルが低いものとなっています。


私は、およそ1年半をかけて突発性難聴における上頚神経節ブロックの効果について、研究しました。上頚神経節ブロックは、星状神経節ブロックと類似した手技で、人体の最上位にある交感神経節へのブロックです。はじめは、上頚神経節ブロックが他のどんな治療よりも効果が高いという優位性を示そうと研究していたのですが、意外にも、突発性難聴治療が迷走する真の理由を知ることになります。


それは、突発性難聴の患者は「難聴という大きなハンディを背負うことを命がけで回避しようとしている」ことです。そのため、担当医には内緒で鍼灸、レーザー照射、ブロックなど、あらゆる治療を早期から併用します。ところが、耳鼻咽喉科の医師たちは「患者は自分たちの病院でのみ治療を行っている」と思っていますので、「自分たちの治療のみが患者を治している」と完全に誤解して治療成績を発表しています。この茶番はどうやら世界共通のようです。


自然治癒が65%という数字、鼓室内注射が71%という数字などは患者が「ほかの治療を併用していない」ことが条件となっていますが、実際は「聴力が激減している患者は命がけでいろんな治療法を併用している」のです。それを担当医には隠しています。そのことが判明したのは、当院に来院した患者の97%が「担当医に内緒」にしていることを知ったからです。


耳鼻咽喉科の医師たちは、代替医療、鍼灸・ブロックなどが「彼らの治療よりも治療効果が高い可能性がある」ことを知る機会がほとんどありません(世界に共通)。そうした「信用性の低い状態」での研究ですので、彼らの論文は「きわめてエビデンスレベルの低いもの」となっています。


私は今回、上頚神経節ブロックの治療成績を発表しました(文頭にある)。それ以前の61例の症例報告です。以前の症例患者は現在よりも比較的軽症患者が多かったので、結果的に現在よりも治療成績がよいです。


1、私の上頚神経節ブロックを受けにこられる方の多くは1~2週の入通院治療において不変または悪化した(難治性が確定した)患者がほとんど(約80%)であること。つまり自然治癒しないことが確定している重症患者が、発症から長期間経過してから来院します。


2、61例中 完治11.5%、著効31.1%、軽度回復49.2%、無効8.2% この治療成績は一見悪いように見えますが、「1~2週間あらゆる治療を行っても無効」で「発症からかなり時間が経っている」症例たちを「無効8.2%」にまで導くことを考慮すると、きわめて効果的な治療であると結論付けます。おそらく現時点で右に出るものはない治療であると思われます。


3、上頚神経節ブロックを連日行っても、「まったく無効」の患者が8.2%存在し、自分の無力さを感じます。しかしながら、突発性難聴は一般的には「何をやっても治らない症例が3分の1」と言われていおり、、その「治りにくいことが確定している症例を全国から集めたうえでの無効8.2%」は快挙であると思われます。


現在患者様のご厚意により上頚神経節ブロックの体験ブログを書いていただきました。過度に意識的に私の治療を賞賛しないように指示しております。参考にしてみてください。


突発性難聴の1例→こちらをクリック


例耳鳴りの1例→こちらをクリック


本格的に突発性難聴を勉強したい方はこちら→PDF突発性難聴治療の最先端


また、ブロック注射治療にプラスして更なる新しい分野とのコラボ治療による【治療成績アップ】が望めた研究発表がこちらにあります。 これからの未来に大いに期待される治療法です。ぜひご覧ください。 ↓ ↓ ↓ こちらをクリック

突発性難聴の神経細胞再生(ご加持併用療法)



これより以下の文章は当時(今から1年半前)の私の未熟な発想から書いた恥ずべき文章です。真実ではありますが、適切ではなかったと反省しています。その戒めのために、文章を削除せずそのまま掲載しておきます。


不適切であると思われる部分は、「唯一の根治治療」の「唯一」の単語です。感音性難聴を治療する方法は、鍼灸や星状神経節ブロックなど、効果的なものが存在することを知りました。しかも、某病院のペイン科の医師は、突発性難聴の治療に朝晩1日2回のブロックを献身的に行っているという話も聞きます。そういう方々に大変失礼な文章になっていました。


また「なりたてのほやほやの突発性難聴の治療は楽勝です」との言い方にも熟慮がありませんでした。ただし、仮説ですが、なりたてのほやほやの突発性難聴であれば、そのほとんどを上頚神経節ブロックで完治に導けると推定しています。

あくまで仮説ですが、私は突発性難聴を「MRIでは映らないレベルのプチ梗塞」であると推測しており、細胞が壊死する前に(仮死状態のときに)治療を開始すれば、壊死の範囲を極限まで縮小できると考えています。「楽勝」という言い方は、大変不適切ですが、本当に、難聴が発症して数時間以内であれば、ほとんどを完治させることができると私は信じています。


残念ながら、完全に壊死してしまっている神経細胞に対して、ブロックで血行改善させたところで、治るはずがありません。


突発性難聴の唯一の根治治療

突発性難聴の治療法として星状神経節ブロックがあります。しかし、その根治率は3割程度と言われています。星状神経節ブロックの意味は内耳神経への血管を表面麻酔剤のブロックで拡張させて血流を多くさせることが目的です。しかし、星状神経節は脳幹へ向かう交感神経節の上から3番目の神経節ですから、患部とかなり離れています。これが3割程度しか回復しない理由かと思われます。


ただし、星状神経節は上位の交感神経節へニューロンを送り、星状神経節の信号はそのまま上位の神経節へ流れていくと言われているので、星状神経節のブロックでも確かに脳幹部への血行促進作用は期待できると思われます。しかし、最上部の上頚神経節へのブロックと比較すれば、その効果は劣るでしょう。

本日、突発性難聴を上頚神経節ブロックでその場で治しました

私の外来に突発性難聴の患者(36歳男性)が訪れました。上頚神経節ブロックを行い、その場で右耳の難聴を治しました。左耳は残念ながら治っていません。上頚神経節ブロックが突発性難聴に即効性(右耳)の治癒力があることを示しました。2014.7.10からブロックを開始し2014.7.31までの4回のブロックで左耳の聴力も回復しました。2014.8.7患者自身より「完治した」との報告を受けました。

突発性難聴症例

この男性は3年前に頚部脊柱管狭窄症の手術を受け、頸椎のC3/4/5が内固定されている患者です。1か月前に左頚部の激痛が出現したため、私が頚部の神経根ブロックを3回行い、完治させた患者です。


彼は3日前から耳栓をしたような難聴が出現しましたが、耳鼻科には行かず、私の診察日を待って、本日私のところへ相談しに来ました。私は整形外科医ですが、彼は私のことを「何でも治せるスーパードクター」だと思っていたそうです。なぜならば彼には、過去に死ぬほど激しい痛みで首の手術をした時と同じ痛みが1カ月前に出現し、それを私がたった3回のブロックで治して差し上げたからです。それで耳鼻科ではなく私のところへ来院したと言います。

上頚神経節ブロックの即効性

その話を聞いて私は笑ってしまいましたが、「わかりました。では治療してみます。今日もブロックしますが、今回は耳の下の少し前方に注射しますね」と言って上頚神経節ブロックを行いました。ブロックして10秒後、「右の耳の詰まった感がなくなりました。治りました。」と彼は言いました。「でも左耳はまだダメです」と。


私は彼に「それはそうでしょう。内耳神経もダメージを受けていると思われるので、改善するには最低でも半日はかかると思いますよ。ただ、今回1回キリの治療では左耳は完治しないかもしれませんね。来週も来てください。」と話しは終わった。


発症して3日しか経っていないので右耳は即効で治ったのでしょう。それにしても上頚神経節ブロックの効果はすさまじい力だなあと私が感心してしまいました。左耳の治療経過は後日報告します。

突発性難聴の症例が集まりません

突発性難聴の患者はまず耳鼻科に行くでしょう。だから私の外来には突発性難聴の患者が集まりません。よって今回の症例が私の治療実績の記念すべき第1号です。ですが、「治らない」と言われて放置されて20年という難聴の患者でさえ、繰り返しの上頚神経節ブロックで治療してさしあげていますから、私にとって突発性難聴の治療は比較的楽勝です。固定化した感音性難聴を治せるのですから、なりたてホヤホヤの突発性難聴は楽勝です。

突発性難聴の原因は硬膜緊張症

突発性難聴は原因不明だからこそ突発性という名がつきますが、既に何人もの難聴や耳鳴りを治療している私にとっては突発性(原因不明)ではありません。病態生理は硬膜管の緊張であると推定しています。そこに免疫学的な要素や感染症、音響外傷、気圧差、睡眠不足などのストレスが加わることで発生しやすくなると考えます。この理論を証明するために、難聴・耳鳴り患者の全員の頸椎を撮影して調査中です。概算ですがおよそ8~9割がストレートネックや側弯症があります。おそらく、難聴のない健康な人の頸椎と比べて、ストレートネックの有病率は明らかに高いと思われます。


根本原因に硬膜管の緊張があり、そのせいで脳幹が下方に引っ張られ、脳幹の断面積が低下→血流低下→難聴発症、と考えています。だからこそ、上頚神経節ブロックで脳幹の血流を上げてしまえば、即効で治ってしまうのです。もちろん血流障害説に異論があることは知っています。血流障害が原因ならば再発・再燃が多いはずだが、突発性難聴にはそれがないという意見があるからです。しかし、私の調査では再燃・再発例が全体の20%に存在していました。このことに関しては今後詳しく調査結果を示していきます。

最後に

突発性難聴の調査研究の論文を現在進行形で書いています。近日中に公開します。

 

パーキンソン・難聴・無味症・夜間頻尿・火照り・呼吸困難・ふらつき根治療法

2017年治療成績

常識を超えた数の病気の訴えの例

H26.06.16 86歳男性が次のような主訴で他の患者の紹介で私の元を来院した。①小刻み歩行・②難聴・③無味症・④夜間頻尿・⑤体の火照り・⑥呼吸困難(息苦しい)・⑦ふらついてしまう(後ろ向きに転倒)・⑧血圧不安定・⑨両膝痛・⑩右母指から手首にかけての痛み・⑪食欲不振・⑫お酒が飲めなくなった・⑬腰痛・⑭臭いがわからない。私の標榜科は整形外科である。この主訴の中で整形外科で診療するのは⑨と⑩と⑬だけである。しかし⑩は三〇記念病院の整形外科でずっと診てもらっているが治ったことがない。既往歴として8年前に腰部脊柱管狭窄症で手術を受けている。

医療現場での奇蹟を起こす

さて、私は「他の医師が治せないものを治す」ことを専門にしている。つまり奇蹟を普通に起こすことを得意とする。果たしてこれだけの病気の数々を本当に治療できるのか?と誰もが考える。普通の医師は上記の主訴に対して「治そう」と考える者はいない。治すことはまさに奇蹟であるからだ。だが私は奇蹟を普通に起こしてきた。そのやり方はいたって単純明解。他の医師たちがやらないことをする。それだけだ。やらないことをすれば、案外奇蹟は普通に起きる。やらないこととは・・・まず、これらの主訴をまともに治してみようという発想である。私は整形外科医である。パーキンソン症候群、無味症など、全く関係がない科である。その私がなぜ治そうとするのか?それはこれまで少しずつ奇蹟を起こし、その積み重ねをしてきたからである。いきなり奇蹟は起きない。積み重ねで奇蹟が起きる。

治療経過

初回(6/16)

⑨にキシロカインの両膝関節内注射、②③⑤⑥⑦⑧に上頚神経節ブロック(キシロカイン)を行う。①の小刻み歩行は三〇記念病院でパーキンソン症候群と診断がつけられ、無治療であるが、おそらく腰部脊柱管狭窄症の悪化も含まれているはずである。だが、初日ということであまり多くの治療は行わなかった。彼は初診であり、私との信頼関係ができていないからだ。

2回目(6/23)

診察:「少し楽になった気がする」というのみ。ほとんど何の改善も見られない。奇蹟を起こすにはあきらめないことが最重要となる。私はあきらめない心を持っているが患者の心は弱い、かつ患者は医師不信である(今までの彼と関わった医師が誰一人治せないのだから)。今回は初回の治療に仙骨硬膜外ブロックを加えた。これは①と④と⑬の改善目的である。小刻み歩行は脳が原因であるが、そこに腰部脊柱管狭窄症が加わることで症状をさらに悪化させる。よって腰部脊柱管狭窄症にもアプローチが必要である。さらに④の夜間頻尿は仙骨硬膜外ブロックで私は完治させた経験を多数持つ。だからブロックを付け加えた。

3回目(6/25)

診察:⑤体のほてり→いくらかいい、⑥呼吸困難→完治、膝痛→軽くなる、腰痛→軽くなる、まず二つの奇蹟を起こした。⑤と⑥が2回の上神経節ブロックで改善されたことである。だが、まだまだ遠い。この日は保険請求上の問題もあるので上頚神経節ブロックのみを行う。

4回目(6/30)

診察:⑤⑥の軽快以外ほとんど変化なし、しかし⑦と⑧は改善された。ふらつくことと血圧の不安定がほとんど起こらなくなった。治療3回で合計4つの奇蹟を起こした。


→普通の医者ならこの辺であきらめる。私はあきらめないから奇蹟を起こす。だが問題は患者があきらめてしまうことである。患者の意志は強くない。奇蹟のためには患者の「あきらめない精神力」も必要になる。しかし、そのためには患者を信じさせなければならない。「この医者の言うとおりにすれば奇蹟は起こる」と信じさせる必要がある。だが、これまでの治療では患者を信じさせる材料があまりない。


そこで⑩右母指の痛みを利用する。すでに三〇記念病院の整形外科医が「治せなかった」疾患であるため、これを治すことができれば彼が私を信じる。よって今回は右母指のCMJに関節内注射を行った。「他の医師が治せなかった症状を一瞬で治すことができる」ことのデモンストレーションである。当然ながら右母指の痛みは軽快する(注射は難しいが)。さて、奇蹟を4つ起こし、膝と腰の痛みも軽くさせているが、患者からはお礼のひとこともない。クールなのか無礼なのかわからないが、気にしても仕方ないので気にせず続ける。

5回目(7/2)

診察:②難聴が改善してきた。つまり耳の聞こえがよくなったと本人からの申告があった。5つ目の奇蹟である。右母指の痛みはかなり軽快したがこれは奇蹟とは呼ばない。他の担当医が指の関節内注射ができないという技術的な問題である。この日は右母指内関節内注射(今回はIPJ)と両膝、上頚神経節ブロックに加え、仙骨硬膜外ブロックを行った(夜間頻尿治療)。

6回目(7/7)

診察:④夜間頻尿が改善された。⑪食欲が回復した。しかし③の無味症のため食事はおいしくない。さて、5回の治療で7つの奇蹟を起こした。⑪の食欲回復は高齢者にとって朗報である。食欲中枢の崩壊によって食欲不振となり、食事をとらなくなり→経管栄養となる高齢者が多いからである。上頚神経節ブロックは食欲中枢由来の食欲不振も改善さえることができると思われる。本人は申告していないが、老人性うつ病にも効果があると思われる。


この6回目の治療は自費で行った。保険では請求できないほどのブロックの量となっているからだ。保険では治療できない。自費での請求は1万円を少し超えた。この結果、彼は私を「お金儲けのために患者を食い物にする医師」と思ったのだろうか、来院しなくなった。つまり信頼関係が破綻したのである。


なみにこの患者は自分で会社を経営して、現在は会長職。そして外来の受付には「うちの者を呼んでくれる?」と迎えの電話を事務員にさせるほど横柄なキャラクターの持ち主であったことが、事務員の話から判明。人格形成に問題があった。どのみち、最後まで治療を続ける根気はなかっただろう。

 

中枢感作の定義

2017年治療成績


「中枢感作」とは、末梢での組織損傷や炎症の程度が激しくまた長期間続くとそれらが伝達される中枢に機能的な変化が生じ、正常な伝達が中枢で誤って解釈され「痛み」として感じられるようになることSchaible HG らPain 1993より


こうした定義が事実にそぐわない場合、定義自体が多くの医学者を惑わし、臨床現場を混乱に陥れる。この定義が事実とそぐわない点を以下に挙げる


 

  1. 末梢とはどこからどこを指すのかが不明
  2. 原因は末梢にあるとしているが、中枢自体(周囲)が炎症を起こすことの概念が欠落
  3. 原因は炎症が激しいこと、または長期続くことと限定しているがむち打ちなどで一瞬で起こる場合や、悪い姿勢で長時間いることなどによる損傷の概念が欠落
  4. 中枢とはどこを指すのか不明
  5. 中枢に機能的変化が生じとあるが、中枢またはその周囲の器質的変化の概念が欠落
  6. 正常な伝達が「痛み」と感じられるとあるが、痛み以外の不快感、冷感、灼熱感、重さ、だるさ、掻痒感、虫がはいずる感などがあることが語られていない。さらに中枢感作が聴覚・嗅覚・視覚・平衡感覚・自律神経調節の異変にまで及ぶことの概念が欠落

このように中枢感作の定義はかなり視野の狭い偏った考え方をベースに作成されている。


上の1から6をさらに具体的に述べる。

1,末梢とは通常、「神経末端の侵害受容器」のことを指す。しかしながら、末梢=末梢神経と考えるか否かにより定義は錯乱する。例えば、腓骨神経麻痺、手根管症候群、肘部管症候群のように末梢神経の幹部で起こる神経損傷(炎症)は末梢なのか中枢なのか不明のままである。神経幹部で起こる炎症は「侵害受容器」の考え方からすれば中枢になる。しかし末梢=末梢神経、とするならば末梢になる。


また、神経根部の後根神経節は炎症を起こすと極めて激しいアロディニア(異痛症)を発生させたり、交感神経が発芽してシナプスを作り痛み信号の機能的な変化をもたらしたりし、まさに中枢感作と呼べる症状を引き起こすが、末梢=末梢神経とするならば、後根神経節の痛み信号の機能的な変化は定義上中枢感作ではなくなってしまう。


2,3,中枢感作の根本原因は中枢の炎症ではなく、末梢にあると、この定義では述べられているが、脊髄や延髄、脳幹が直接損傷するケース・その周囲の組織(血管など)が損傷する病態生理が、現医学には欠落していることが問題である。


脊椎の奇形や機能・形態・バランスの変形によって脊髄が強い緊張を受ける病態を私は研究している。脊髄・脊椎不適合症候群と名付けたが、この状態では転倒やむち打ちなど、脊椎が過度に屈曲強制された時に、脊髄や神経根が強い張力を受け、ただちに損傷(炎症)する。また、長時間の悪い姿勢でも脊髄や神経根(その周囲組織)が炎症を起こす。こうした中枢側の神経の炎症は中枢性の疼痛過敏・アロディニアなどを発生させる。が、上記の中枢感作の定義ではこの病態を「中枢感作」と言えない。なぜなら中枢(とその周囲)が炎症を起こす概念が欠落しているからである。中枢感作が末梢の損傷が原因で起こるという視野の狭さのために、中枢感作の定義が臨床症状にそぐわない。


4,中枢感作の中枢とはどこを指すのか?これを中枢神経とするのであれば脊髄から脳となる。しかしながら後根神経節は末梢神経でありながら、ここで疼痛増強のシステムが構築されることが判明している。後根神経節での疼痛増強システムを中枢感作と呼ばないのであれば、中枢感作という言葉自体必要ない。


5,中枢(たとえば脊髄後角)に機能的変化が現れ、通常では痛覚を抑制するはずの触覚が痛覚に変換されて脳へ伝えられるシステムなどが日進月歩で発見されているが…、では脊髄の後角が直接損傷を受けた場合に痛みは発生しないのか?ということを考えなければならない。脊髄後角が損傷しても痛みや不快感が発生すると私は確信している。ここに炎症が起これば様々な受容体が出現し、疼痛信号を作り出そうとするに違いない。しかし、上記の定義では中枢感作は機能変化であり器質変化が想定されていない。器質変化から発生する中枢感作の考え方が欠落しているのである。


6,中枢感作を「痛み」と限定していることにこの定義の欠陥がある。人が感じる不快感には冷感、灼熱感、重さ、だるさ、掻痒感、虫がはいずる感など様々なものがあり、通常、これらの不快感は痛みと共に発生する。よって中枢感作の真実は「痛み」だけではない。私は耳鳴りがまさに中枢感作による電気信号の錯誤であると考えている。めまいも同様な考え方ができる。汗をかいたり、ドキドキしたり、顔が火照るのも電気信号の錯誤的な伝わり方であり、広い意味で中枢感作が原因と考えているが、そうした広い視野でものごとを考えていない定義では、臨床上つかいものにならない。


私の中枢感作定義

よって私が中枢感作の定義を自ら作ることにした。

  • 中枢感作とは求心刺激伝道系における
  • 非常事態1)神経細胞とその周囲組織が損傷した場合、
  • 非常事態2)組織損傷や炎症の程度が激しくまた長期間続く場合、にその非常事態を脳に伝えるために新たな錯誤的刺激伝道信号を脳へ送るシステムが構築された状態を言う。その信号は痛み信号とは限らず、五感に不快をもよおす求心信号の全てである。システムが作られる場所は後根神経節、交感神経節、後角、延髄・橋・視床、脳などどこででも起こり得る。症状は痛みとは限らず、下痢・生理痛・めまい・不眠・耳鳴り・冷感・灼熱感・動悸・異臭など様々である。

 


中枢感作の時間差

例:むちうち事故は受傷当日は症状が出ないが、脊椎の過屈曲で脊髄が引き伸ばされ、脊髄後角の根糸接続部などが損傷を受けると、損傷(炎症)部位を中心に中枢感作のシステムが作られる。システム構築には数時間から数日かかると思われる。中枢感作はそのシステムの種類により構築時間がさまざまである。


中枢感作の存在理由

進化学的に苦痛や不快感の強さは決められている。苦痛が強く設定されると、生き物は行動が消極的になり、慎重になり、組織が損傷したら長期間行動不能になる。よって組織には愛護的であるが生存競争で負ける。痛みが弱く設定されると、上記の反対となり、生存競争では勝てるが病気には弱く寿命が短縮する。そうした適応を受け、苦痛の強さは進化学的に遺伝子内に設定される。


当然ながら、生命維持に重要な臓器の損傷では苦痛が強く設定され、生命維持にあまり関与しない臓器の損傷では苦痛が弱く設定される。恐らく地上の脊椎動物にとって神経という臓器は生命維持に最重要であり、よって神経自体または神経周囲組織が損傷を受けた場合には苦痛が強く長引くように設定されていなければならない。それが中枢感作である。


中枢感作は刺激伝道系の不備を脳に警告するためにある

刺激伝道系はあらゆる感覚を脳に伝えるが、感覚を伝える組織である神経自体が損傷を起こせば、その非常事態をどうやって脳に伝えればよいか?という弱点がある。生物はこの弱点を克服する意味で、刺激伝道系の損傷を感知した際に、損傷した刺激伝道系とは別ルートを使って脳に不快感信号を送る。この別ルート構築が中枢感作そのものである。刺激伝道の不備には

  1. 刺激伝道系神経細胞と周囲組織の損傷(炎症)という不備。
  2. 刺激が中断されてしまう絶対的不備
  3. 個体主に休養を促すために強い苦痛信号を脳に送らなければならないのに、少ししか遅れていないという相対的不備

がある。文頭の中枢感作の定義では3しか表現できない。


中枢感作の実例

1、刺激伝道系神経細胞とその周囲組織の損傷(炎症)という不備

転倒・落下、むちうち損傷、寝違え、腰椎椎間板ヘルニア、脊柱側弯症などにより、脊髄や神経根がその直達および介達および牽引ストレスを受け、神経細胞や周囲の栄養血管が炎症。また、膠原病や糖尿病、薬物、アレルギーなどにより刺激伝道系神経細胞自体が炎症、浮腫、阻血に陥り、それがトリガーとなって中枢感作が構築される。視床、橋、延髄、後根神経節には神経細胞が存在し、これら自体の細胞(または周囲組織)への物理的刺激、阻血、自己抗体からの攻撃、毒物などが中枢感作を構築すると考える。また、神経細胞周囲の栄養血管の損傷がきっかけで阻血→中枢感作が構築される。

 2、刺激が中断されてしまう絶対的不備

手根管症候群、肘部管症候群、梨状筋症候群、胸郭出口症候群、腓骨神経麻痺、脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアなど。これらは神経が幹部またはシナプス形成部で圧迫されて刺激伝道が障害されるパターンである。頚部・胸部の脊柱管狭窄症ではシナプス部(後角)が直接圧迫を受け、それよりも末梢では神経の幹部が圧迫を受ける。圧迫と神経虚血は密接な関係があり、ほぼ必ず阻血が起こる。一般的な医学知識で考えると、神経は侵害受容器がない部分を圧迫されても苦痛を感じることはできないはずである。しかし、実際はしびれや冷感、だるさなどの不快感を発生させることから、このような不快感は通常ルートの刺激伝道系からの信号ではない。さらに、これらの不快感が1日中継続するというのであれば、それはもはや中枢感作が構築されていると言わざるを得ない。中枢感作は痛みだけの専売特許ではないことをしっかり認識しておきたい。

 3、刺激伝道系の相対的不備

末梢組織の損傷(炎症)が強すぎると、または長期間継続すると、侵害受容器までもが破壊される。生物は、侵害受容器が破壊された後も苦痛信号を脳に送り続ける必要がある。いや、むしろ、侵害受容器が破壊されることは致命的であるがゆえに、侵害受容器が壊されると強力な苦痛信号が創造されなければならない。これが、強い痛みや、長期間の痛み罹患により中枢感作システムが構築される必然であると考える。反射性交感神経性委縮症・複合性局所疼痛症候群などもこれに該当すると思われ。


中枢感作を理解し難い

上記の3つの中で大多数を占めるのが1と2である。耳鳴り、回転性めまい、過活動性膀胱、原発性月経困難症などは、中枢感作の一つの症状と考えるが、その場合は1や2の中枢感作に起因していると思われる。私は手を水に濡らすとトイレに行きたくなるという患者を2例経験したが、これらは中枢感作によるとしかいいようがない。


しびれ・冷えは中枢感作である

しびれも冷えもだるさも現実にある物理的エネルギーを感知しているわけではない。冷えを感じている人の四肢の温度を計測したところで全く冷えていない。つまり、錯誤的な刺激伝道系のシステムが構築されていることを意味する。こうした錯誤的な刺激伝道系のシステムを中枢感作と呼ばないのであれば、もはや中枢感作という言葉は不要であるとさえ思う。


中枢感作は炎症ではないというお言葉

「中枢感作は炎症ではない」という考え方が中枢感作の定義の一つになっている。この考え方はシステマチックに考えれば当たり前である。だが誤解を招くのでこういう発言はやめるべきだと思う。なぜなら、中枢感作はどこまで行っても炎症を脳に伝えるシステムだからである。この言葉の語源は恐らく「中枢感作の起こっている場所に炎症が起こっているわけではない」と言いたいのだろう。しかし、それは誤りである。中枢感作の起こる場所と炎症の起こる場所が等しいことが多々あるからだ。上で述べた「中枢感作の実例1」はまさに炎症の起こっている場所が中枢感作の場所である例である(推論ではあるが)。


炎症とは古い細胞、傷ついた細胞、不良細胞、弱っている細胞を除去または修復し、健全な細胞に戻す、または新しい細胞に入れ替える工程の全てを指す言葉である。中枢感作は刺激伝道系の炎症を脳に伝えるシステムに過ぎない。つまり大きな意味で炎症反応の一部という見方をするのが臨床医学というものである。


普通ならば炎症反応を脳に伝える役割をするのは刺激伝道系である。しかし、その刺激伝道系自体が損傷してしまった場合に、誰が脳にその炎症情報を脳に伝えるのか?その役割を担うのが中枢感作である。つまり、中枢感作は炎症に対する反応の一部である。よって「中枢感作は炎症ではない」という発言は極めて誤解を生む。


中枢感作を呼び起こすもの

多くの医学者は我々の体質が日々変化を起こしていることを知らない。例えば、大腿骨骨折を起こして巨大な血腫が骨折部にできた場合、例えば動脈塞栓術で巨大な子宮筋腫を壊死させた場合、人間の免疫パターンが変化を起こす。血腫や壊死組織をマクロファージに食してもらうために、マクロファージの活性化が起こらなければならない。活性化したマクロファージは血腫や壊死組織以外の体細胞にも攻撃を仕掛けるため、体細胞の新陳代謝が激しくなる。この結果、体の中のほとんどの細胞のターンオーバーの期間が短縮し、体中の細胞寿命が低下する。


細胞寿命の低下とは、すなわち、体中の細胞の平均年齢が低下することを意味し、細胞の赤ちゃん化が進むことになる。よって体細胞の強度が低下し、傷つきやすいデリケートな体へと体質が変化する。


そうしたデリケートさは当然ながら脊髄にも及ぶ。脊髄の神経細胞はたやすく死んで入れ替わることはないが、神経周囲の結合組織や毛細血管はデリケートになり、普段の生活で慢性の炎症が起こることがあり、中枢感作を構築してしまうことを考える。


つまり、骨折や手術などをきっかけに免疫システムが変化を起こし、中枢感作が青天の霹靂のごとく構築されてしまうことを考えている。こうした考えは文頭の中枢感作の定義では全く言い表すことができない。


脊髄・脊椎不適合症候群による中枢感作

脊髄は脊椎を屈曲させたときに張力を受ける。うまれつき、脊椎のアライメント(並び方)が悪い者は、脊椎を前後屈させた際に、健康な人よりもはるかに大きな張力が脊髄にかかる。特に成長期にはアライメントが不安定なので脊髄や神経根を損傷しやすい。よって成長期に背骨のアライメントが悪い子供はたやすく脊髄や神経根に炎症が起こり、中枢感作を作ってしまう。これが成長痛の原因であることを私は臨床的にほぼつきとめている。


こう述べると中枢感作を勉強している基礎医学者が「中枢感作は炎症ではない」と私に抗議してきたわけだが…臨床を知らない基礎医学博士にほとほと困惑…。


自律神経失調症もまた延髄が張力を受け、自律神経核の神経細胞が炎症、または周囲の血管、結合織の炎症による中枢感作システムの構築と私は結論付けた。よって、自律神経失調症は脊髄脊椎不適合症候群をベースとした中枢感作であると考え、実際に神経ブロック治療を行い、多くの患者を寛解に導いている。


疼痛錯誤と中枢感作

関連痛・軸策反射・根反射など、実際に炎症を起こしている部位と痛みを感じる部位が異なる錯誤や、わずかな刺激を繰り返すことで強い痛みへと変わるwind up現象など、疼痛錯誤は日常的に遭遇する。


しかし、こうした錯誤的疼痛が全員に起こるわけではない。錯誤的疼痛がどのような症例に起こりやすいかを研究した者はいないが、私は恐らく、中枢感作がある者は錯誤的疼痛を訴えやすいという共通点があると推測する。


まとめ

現在言われている中枢感作の定義があいまいであり、臨床症状にそぐわないことを述べた。そして新たに中枢感作の定義を以下のように設定した。

「中枢感作とは求心刺激伝道系における非常事態1)神経細胞とその周囲組織が損傷した場合、非常事態2)組織損傷や炎症の程度が激しくまた長期間続く場合、にその炎症状況を脳に伝えるために新たな錯誤的刺激伝道信号を脳へ送るシステムが構築された状態を言う。その信号は痛み信号とは限らず、五感に不快をもよおす求心信号の全てである。システムが作られる場所は後根神経節、交感神経節、後角、延髄・橋・視床、脳などどこででも起こり得る。症状は痛みとは限らず、下痢・生理痛・めまい・不眠・耳鳴り・冷感・灼熱感・動悸・異臭など様々である。」